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〈論 説 〉
生 命保 険事 業 にお け る契 約 者 配 当の変 遷
田 中 弘
1生 命保 険経理 にお ける最近の課題
生命 保 険 会社 にお け る経 理(1}は,一 般 の事 業 会社 と比 べ る とfい くつ か の特 徴 が あ る。 た とえ ば,監 督 官 庁 に届 け 出 る た め σ)会計(監 督会 計)が 行 わ れ て い る こ と,契 約 や 取 引が 非 常 に長期 にわ た る ため 一般 事業 会 社 向 け に作 られ た
「期 間」 損 益 計 算 が な じまな い こ と,「 大 数 の法 則」 と 「収 支 相 当の 原則 」 を保 険制 度 の技 術 的基礎 と して い るた め,計 上 され る利 益(相 互会社 の剰余金)は ・ 般 の事 業会社 の利 益 と性 格 を異 にす る こ と,負 債 の部 に計 上 され る責任 準 備 金
(将来の保険金等の支払 いに備 えて積み立てる準備金〉が 総 資 本 の ほ とん どを 占め, そ の測 定 の た め に保 険数 理 と呼 ば れ る高 度 な専 門技 術 を必 要 とす る こ と,な ど を挙 げ る こ とが で きる。
監 督 官庁(か つては大蔵省,現 在 は金融庁)に 届 け 出 るた め の 会 計(監 督会計) は,最 も経 営 の 安 全性 を重 視 した会 計 で,清 算 会計 的 な考 え 方 を取 ってお り, 継 続 企 業 と しての 会 計 とはか な り違 う。 た とえば,常 識 的 に は解 約 が増 え る と 収 益 の 悪化 につ なが りそ うで あ るが,監 督 会 計 で は解 約控 除が 収 益 と され るた
め に,解 約 の増 加 は収 益 の 増加 に な る。逆 に,新 契 約 を大量 に獲 得 す る と収 益 の 向 止に貢献 す る と考 え るの が普 通 で あ ろ うが,監 督 会 計 で は,新 契約 費の 支 出が 初 年 度 に全 額 費用 化 され る た め に,契 約 が 増 え る と成 績 が 悪 くな る(詳 し くは,田 中 弘}1994a,34頁 を参照)。
経 済 が上 向 きの 時期 に は,監 督 会 計 の不 都 合 はあ ま り深 刻 な問 題 で は なか っ た。 しか し,今 日の よ うな経 済 環 境 が激 変 す る時期 に は,監 督 会 計 だ け で経営
を管 理 す る こ とは難 し くなっ て きた。 保 険 会社 の経 営 者 は,ゴ ー イ ング ・コ ン サ ー ン と して の 会計(財 務会計)を 活 用 し,自 らの体 力 や収 益 力 を測 定 す る必 要 に迫 られ て い る とい え よ う(須 田 ・幸Y2001年 を参照)。
上 に述 べ た よ う に,保 険 事 業 の経 営 が 成 り立 つ た め に は,「 収 支 相 当 の 原 則 」 が成 り立 つ 必 要 が あ る とい わ れ る。 この 原則 は,「 保 険種 類 別 に保 険 料 お よびそ の運 用 益 の収 入 合計 と保 険金 お よび諸 経 費 の 支出 合計 が 相 等 し くな る よ うに保 険料 を定 め る」 こ とを求 め る もの で,毎 期 の収 支 は 一致 しな くと も,予 定 した死 亡 率 ・利 率 ・経 費率 で推 移 す れ ば,保 険 期 問全 体 で収 支 が均 衡 す る よ
うに な る こ とを指 してい る。
た だ し,現 実 には,こ の 原則 の 下 で計 算 され る保 険料 と実 際 に収 受 され る保 険料(概 算払いの保険料で,営 業保険料 ともい う)は 異 な る。 なぜ な ら,営 業 保 険 料 を見積 もる と きに 「多少 の安 全 性 を織 り込 ん で」,死 亡 率 や 事 業 費 率 は高 め に,運 用 利 率 は低 め に計 算 す るか らで あ る。
そ の ため,こ れ まで は,将 来 の保 険 金 支払 いの た め に運用 され る 「蓄 積保 険 料 」 部 分 の 「利 差 益(実 際の運用利 回 りが 予定の利 回 りよ りいい場合 の差益)」 を
「契約 者 配 当」 と して分 配 して きた。
とこ ろが 最 近 は,低 金利 と株 価不 調 に よ って,生 保 資産 の 運用 利 率が 大 幅 に 低 下 し,利 差 損 を生 じる よ うに な って きて い る。 生保 の予 定 利率 は,契 約 が終 わ る まで の保 証 利 回 りで,い わ ば,契 約 時 の 固定 金 利 で あ る。生 保 はバ ブ ル時 代 に この予 定 利 率 を引 き トげ,個 人 年 金や … 時払 い養 老保 険 な どの 貯 蓄性 の 高 い 商 品 を大量 に販 売 した。 しか し,こ う して 集 め た資 金 は,実 は,運 用先 が あ
ま り多 くな く,日 本 の株 式 市場 や外 債へ の投 資 な どに向 け られ た。
わが 国 の株 式 市場 は,見 か け ほ どは大 き くは ない。 発 行 済 み 株 式 の3分 の2 が 相 互持 ち合 い に よって塩 漬 け に され て い るか らで あ る。残 る3分 の1に 生 保
や銀 行 ・事 業 会社 の 巨 額 の資 金 が 集 中 的 に投 資 され て,バ ブ ルが バ ブ ル を呼 び,異 常 な株 価 高 を招 い た ので あ る。
生命 保 険会 社 で は,契 約 者 か ら受 け取 る保 険料 を計 算 す るに あた り,あ らか じめ資 産 運 用 に よる 一定 の運 用 収 益 を 見込 み,そ の分 保 険料 を割 り引 い て計 算
生 命保険 事 業 に お け る契 約 者 配 当の 変 遷25
してい る。 これ を予 定 利 率 とい う。 生保 各 社 は,こ の 割 り引 い た分 に相 当す る 金 額(予 定利息)を,運 用 収益 な どで確 保 しな けれ ば な らな い。 生 保 の 予 定 利 率 は,平 均 で4%前 後 だ とい う。 と ころが,か つ て な い低 金利 と株 価 の低 迷 か ら,実 際 の 運用 利 率 は年2%程 度 で,こ の予 定 利 息 分 を まか な え ない状 態 が一 部 の 契約 で 発生 してい る。 これ が 「逆 ざや 」 と よばれ て い る。
ち な み に,2000年 度 にお け る生 保 大 手7社 と 中堅3社 の 「逆 ざや 額」 は, 合 計 で1兆3039億 円,各 社 の金 額 はつ ぎの とお りで あ る。 な お,同 年 度 の 決 算 か ら,逆 ざや を埋 め た後 に残 る保 険 本業 の利益 が 「基礎 利 益 」 と して公 表 さ れ て い る(基 礎利益については,後 段 で詳述す る)。 各社 と も,逆 ざや を埋 め た 後 も,基 礎利 益 は黒 字 を報 告 して い るが,金 利水 準 や株 価 の動 向次 第で は逆 ざや が さ らに拡 大す る恐 れ もあ る。
図表1生 保会社の逆 ざや額 と基礎利益 逆 ざや額(億 円) 基礎利 益(億 円)
日 本 生 命 3,200 6,1×37
第 … 生 命 2,567 aly599
住 友 生 命 2,500 2,779
明 治 生 命 740 2,759
朝 日 生 命 1,200 1,049
安 田 生 命 X30 1,750
三 井 生 命 940 92s
太 陽 生 命 ?20 139
大 同 生 命 92 1,142
富 国 生 命 350 577
合 計 13,039 2(),907
この逆 ざや は,最 近 の超 低 金 利 政 策 が変 わ るか,既 契約 の 予定 利 率 を引 き下 げ るか しな い限 り,解 消 され そ う もない。 金 利 政 策 は しば ら く変 わ りそ う もな い し,か とい って 予定利 率 の 変 更 は,現 在 の保 険 業法 で は,経 営 が破 綻 しな い 限 り認 め られ ない ω。 契 約 者 配 当 は,い まの生 命 保 険事 業 に と って,事 業 の継
続 を脅 かす ほ どの重 要 な 問題 で あ る。
本稿 で は,生 保 経 営 に とって現 在 最 も重 要 な課題 とな って い る契 約 者 配 当 に 焦 点 を合 わせ,三 利 源 方 式 か らア セ ッ ト ・シ ェ ア方 式 へ の 移 行,ア セ ッ ト ・
シェ ア方式 の限界,さ らに最 近 の動 向 な どを紹 介 しなが ら,契 約者 配 当の あ り 方 につ い て検 討す る。
なお,こ の10年 間 ほ どの 間 に,生 保 会 社 の経 営 と経 理 に 関す る規 制 は大 き く変 わ って い る。 契約 者 配 当の 変遷 もそ う した規 制 の流 れ の 中 に位 置 づ けて み る必 要 が あ るの で,つ ぎに,保 険事 業 に対す る規 制 とそ の緩 和 ・変遷 につ い て 簡 単 に紹 介 してお くこ とにす る。
2保 険業法改正へ の道程
金 融 規 制 の緩 和 は 世 界 的 な 動 向 で あ る が,保 険 事 業 に 関 して は,大 蔵 大 臣 の 諮 問 機 関 で あ っ た 保 険 審 議 会 が 保 険 事 業 の 全 面 的 見 直 し を行 い,3年 に 及 ぶ 審 議 を 経 て,平 成4年6月 に 「新 し い 保 険 事 業 の 在 り方 」 と 題 す る 答 申 を 行 っ
た 。
6:・.の過 程 に お い て,平 成 元 年4月,「 保 険 事 業 の 在 り方 及 び保 険 関 係 法 規 の 見 直 し」 に つ い て 検 討 す る た め の 総 合 部 会(生 保 と損保 を …つ の場 で検 討 す る た めの合 同部 会)を 設 置 した 。 こ の 部 会 の 基 本 的 な 検 討 項 目 の 一 つ が 「保 険 経 理 の 見 直 し,デ ィス ク ロ ー ジ ャー の 整 備 」 で あ っ た 。 た だ し,保 険 経 理 の 問 題 は,専 門 的 ・技 術 的 な 検 討 が 不 可 欠 で あ る こ とか ら,総 合 部 会 の 審 議 を 効 率 的 か つ 効 果 的 に 進 め る た め に,総 合 部 会 の 下 に ワー キ ン グ ・グ ル ー プ と して 「保 険 経 理 小 委 員 会 」(以 下,小 委員会 とい う)を 設 置 して い る 。
小 委 員 会 は,ほ ぼ1年 を か け て 集 中 的 な 検 討 を 行 い,そ の 結 果 を,「 保 険 経 理 の 見 直 し及 び デ ィス ク ロ ー ジ ャ ー の 整 備 に つ い て 」 と題 す る 報 告 書(小 委 員 会 報 告 とい う)に ま と め て い る 。 そ こ で は,責 任 準 備 金 積 立 方 式 の 見 直 し,イ
ン カ ム 配 当 原 則 の 見 直 し,区 分 経 理 ・特 別 勘 定 の 導 入,配 当 方 式 の 改 善,健 全 性 指 標(ソ ルベ ンシー ・マ ー ジ ン基 準)の 導 入,リ ス ク管 理 の あ り方,透 明 性 の 確 保 な ど,保 険 事 業 の 経 理 に つ い て,数 多 くの 問 題 点 が 指 摘 され,か つ,今 後
生 命 保 険 事 業 に お け る契 約 者 配 当の 変遷27
の あ るべ き方 向 が示 唆 され て い た。
小 委 員 会 報 告 は,目 的 の とお り,総 合 部 会 の 審 議 に 役 立 て られ た が,専 門 的 ・技 術 的 な問題 提 起 や提 言 を作 文 に終 わ らせ る こ とが な い よ うに,そ の 後 に 設 け られ た 「保 険経 理 フ ォ ロー ア ップ研 究 会」(銀 行局保険部長の私的諮問機 関)
に よ って具体 案 の検 討 と実 施 に向 け た作 業 が続 け られ る こ とに なっ た。
上記 の保 険 審議 会 答 申は,小 委 員 会報 告 にお い て検 討 した項 目の うち,リ ス ク管理 の あ り方,責 任 準 備 金 の あ り方,イ ンカム配 当原 則 の 見直 しと含 み益 の 取 り扱 いの検 討x区 分経 理 と特 別勘 定 の 導 入 ・活 用,デ ィス ク ロー ジ ャー の整 備 の 諸点 につ い て意 見 の と りま とめ を行 って い る。
この答 申が 出 され た後,同 年7月 に,保 険 審議 会 に 「法 制 懇談 会 」 が設 け ら れ,ま た,大 蔵 省 銀 行 局 内 に 「保 険調 査 室」 が設 置 され る な ど,旧 保 険業 法 の 改 正 に向 け た体 勢 が と られ る こ とに な った。 上記 の保 険 経 理 フ ォ ロー ア ップ研 究 会 はy保 険業 法 の検 討 と並 行 して,経 理 面 での 具体 的 な検 討作 業 を行 う こ と
に な った。
旧保 険 業 法 が改 正 され たの は,平 成8年 で あ っ た。 契 約 者 配 当 に関係 す る改 正 はiつ ぎの5点 に要約 で きる。
(1)剰 余金 の 内 部 留保
旧保 険 業 法 で は,剰 余金 につ い て 「単 年 度完 全 還元 」 とい う考 え を取 っ て い て,各 社 と も剰 余 金 の99%以 上を社 員配 当準 備 金 に積 み 立 て,こ れ を契 約 者 に配 当 して きたが,新 保 険 業 法 で は,定 款 で 定め た比 率 以 上 を契 約 者 に還 元す れ ば よい こ とに な った。 残 りの剰 余 金 につ い て は,役 員 賞 与 金 な どに充 当 した 後,内 部 留保 に 回 して,ソ ルベ ンシ..̲.・マ ー ジ ンな どの 財 源 とす る こ とが で き
る よ うに な った。
新 保 険 業法 施 行 規 則(第29条)に よっ て,社 員配 当準 備 金 と して 積 み 立 て る べ き最 低 限 度 が 生 保 に あ っ て は80%と され た。 そ の 結 果,生 命 保 険 会 社 で は,平 成9年 度 の 決 算 か ら,社 員 配 当準 備 金 の 繰 入 率 を80%に 押 さ え,内 部 留 保 を充 実 させ て い る。 た とえば,日 本 生命 の場 合,平 成9年 度 の場 合,剰 余 金 処 分 額2,620億 円の うち,社 員 配 当準 備 金 に繰 り入 れ たの は80%ち ょ う ど
の2,018億 円 で,残 りの ほ と ん ど を 基 金 償 却 準 備 金(500億 円)な ど の 形 で 内 部 留 保 して い る 。
(2)配 当 方 式 の 法 定
上 述 の よ う に,旧 保 険 業 法 で は,配 当 に 関 す る 具 体 的 な 規 定 は な く,行 政 指 導 に よ っ て,三 利 源 別 の 配 当 が 行 わ れ て い た 。 新 保 険 業 法 で は,生 命 保 険 会 社 に つ い て は(1)利 源 別 配 当 方 式,(2)ア セ ッ ト ・シ ェ ア 配 当 方 式,(3)利 源 別 配 当 方 式 と ア セ ッ ト ・シ ェ ア 配 当 方 式 を 組 み 合 わせ た 方 式,の い ず れ か を採 用 す る こ
と と され て い る(施 行規則 第25条)。
な お,保 険 審 議 会 答 申 で は,原 則 と して ア セ ッ ト ・シ ェ ア 方 式 を取 る こ と と さ れ て い た が,理 念 的 に 計 算 さ れ る ア セ ッ ト ・シ ェ ア と 現 実 の 損 益 ま た は キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー が 期 間 的 に ず れ る こ と,中 小 規 模 の 生 保 に と っ て ア セ ッ ト ・シ ェ ア の 計 算 は 負 担 で あ る こ と な ど の 事 情 か ら,従 来 の 利 源 別 配 当 方 式 や これ ら を組 み 合 わ せ た 配 当 方 式 も認 め る こ と に な っ た 。
(3)無 配 当保 険
新 保 険 業 法 で は,他 の 契 約 と経 理 を 区 分 す る こ と を 前 提 と して,相 互 会 社 に つ い て も非 社 員 契 約 と し て 無 配 当 保 険(剰 余 金の 分配 の ない保 険 契約)を 販 売 す
る こ とが 認 め られ た(第63条)。
(4)保 険 計 理 人 に よ る配 当 の 確 認
新 保 険 業 法 で は,保 険 計 理 人 は,毎 決 算 期 に お い て 責 任 準 備 金 が 健 全 な保 険 数 理 に基 づ い て 積 み 立 て られ て い る こ と と,契 約 者 配 当 が 公 平 か つ 衡 平 に な さ れ て い る こ と を確 認 し,そ の 結 果 を記 載 した 「意 見 書 」 を取 締 役 会 に提 出 す る と と も に,そ の 写 し を金 融 庁 長 官 に 提 出 す る こ と と して い る(第121条)。 保 険 審 議 会 答 申 の 提 案 を容 れ た もの で あ る 。
(5)配 当 承 認 制 度 の 廃 止
従 来 は,契 約 者 配 当 を 行 う に は,大 蔵 省 銀 行 局 通 達 に よ り,大 蔵 大 臣 の 承 認 を必 要 と さ れ て い た 。 い わ ゆ る,配 当 承 認 制 度 で あ る。 新 保 険 業 法 が 施 行 さ れ た こ と に よ っ て こ れ が 廃 止 さ れ,届 出 制 と な っ た 。 これ も,審 議 会 答 申 の提 言 を 具 体 化 した もの で あ る 。
生 命 保 険 事業 にお け る契 約 者 配 当の 変 遷29
3収 支相 等の原則 と利 益概念
契約 者配 当 の 問題 に入 る前 に,保 険事 業 にお け る経 理 の特 徴 につ い てふ れ て お きた い。 契約 者 配 当 を正 し く理 解 す る た め に は,特 に,保 険 事 業 に お け る
「利 益 」 の概 念 を明 らか に して お くこ とが必 要 で あ る。
(1)収 支相 等 の 原則
保 険事 業の 経 営 が 成 り立 つ た め に は,「 収 支 相 等の原 則 」 が 成 り立つ 必 要 が あ る とい われ て い る。 こ こで収 支相 等 の 原則 とは,生 命保 険 の場 合 で あ れ ば,
「同程 度 危 険 の加 入 者(加 入年齢f性 等が同 一)に つ い て,保 険 種 類 別 に保 険 料 及 びそ の運用 益 の 収入 合 計 と保 険 金及 び諸経 費 の 支出合 計 が相 等 し くな る よ う に保 険 料 を定 め る」(東 京海上火災保険 ・明治生命保険編,1992年,195‑6頁)こ と をい う。つ ま り,毎 年 の 保 険 料 収 入 と保 険 金 支 払 い の 合 計 とは… 致 しな くて も,予 定 どお りの 死亡 率,利 率 で推 移 す る と,保 険期 間の終 期 に は収 支が 均衡 す る ように な るの で あ る(3)。
(2)保 険事 業 に お け る利 益
た だ し,実 際 の 計算 で はr相 互 会 社 で は剰 余 金 が計 上 され る。 この剰 余 金 は, 株 式 会社 で い えば利 益 金 に相 当す るが,内 容 的 には一般 の事 業 会社 の利 益 とは
まった く性 格 が異 な る。 そ れ は,剰 余金 の発 生原 因が,収 支 相 等 の原 則 の 下 で 計 算 され る保 険 料 と実 際 に収 受 され る保 険 料 が異 な る こ とにあ るか らで あ る。
保 険契 約 者 が保 険会 社 に支払 う保 険料 は,営 業 保 険料 また は表 定保 険 料 と よ ばれ,保 険 金 の 支払 い に充 て る財 源 とす る 「純保 険 料」 と保 険事 業 の運営 費用 を まか な う 「付 加 保 険 料」 とか らなる。 純 保 険料 の ほ うは さ らに,将 来 の保 険 金 支払 いの た め に運 用 され る 「蓄 積(貯 蓄)保 険料 」 と当年 度 の 死 亡 保 険 金 等 の 支払 い に充 て られ る 「危 険 保 険 料」 に分 け られ る。
この保 険 料 は,長 期 にわ た る契約 の履 行 を確 実 にす るため,(1)被 保 険 者 が ど れ くらい死 亡 し(死 亡率),保 険 金 と して どれ くらい 支払 うこ とに な るか,(2>受 け取 っ た保 険料 を どれ くらいの利 回 りで運 用 で きるか(運 用利率),紛 会 社 を運 営 す る の に どれ く らい の 費 用 が か か る か(事 業 費率)を 事 前 に 見 積 も る と き
図表2保 険料の分解
・……(予 定一実際)→ 〔死差益〕
死亡契約 に対 死亡保険金
す る危険保険 の支払い
金へ充当
前年度末保 険料積立金
iう ち 死 亡 契 約 の 保 険l i料積 立 金
運 用 に よ る 収 入 … 一一一(実 際 一 予 定)→ 〔利 差 益 〕 (利 息)
事 業 費 の 支 払 い … …(予 定 一 実 際)→ 〔費 差 益 〕 (出典=生 命保険協会 『生命保険計理1(平 成3年 度)』,118頁)
に,多 少 の 安 全 性(余 裕)を 織 り込 ん で 計 算 さ れ る 。 つ ま り,死 亡 率 や 事 業 費 率 は 高 め に,運 用 利 率 は 低 め に計 算 す る の で あ る。 契 約 者 が 支 払 う保 険 料 は こ
う した ゆ と りを 含 ん だ 概 算 払 い と な っ て い る 。
蓄 積 保 険 料 に つ い て は,実 際 の 運 用 利 回 りが 予 定 の 利 回 り よ りも よ け れ ば, 剰 余 が で る 。 こ れ を 業 界 で は 「利 差 益 」 と よ ん で い る 。 ま た,予 定 どお りの 死 亡 率 で 推 移 す る と危 険 保 険 料 に も剰 余 が で る 。 こ れ を 「死 差 益 」 とい う。 事 業
費 に つ い て も,予 定 事 業 費 を下 回 れ ば 「費 差 益 」 と い う剰 余 が で る。
こ れ らの 剰 余 金 は,死 亡 率 等 に安 全 性 を織 り込 ん で 保 険 料 を計 算 した た め に 生 じ る もの でTい わ ば 過 払 い の 保 険 料 とい う性 格 を もつ ω。 した が っ て,こ う した 剰 余 金 が 発 生 した 場 合 は,こ れ を 契 約 者 に 返 還 し,概 算 払 保 険 料 を精 算 す る 必 要 が あ る 。 こ の 精 算 を 「契 約 者 配 当」 と よ ん で い る 。 こ の よ う に 相 互 会 社 に お け る剰 余 金 は,一 般 の 事 業 会 社 に お け る利 益 とは か な り異 質 な もの な の で あ る ㈲ 。
(3)基 礎 利 益
生 命保 険 事 業 に お け る契 約 者配 当 の変 遷31
生 命 保 険 会 社 は,デ ィス ク ロ ー ジ ャ ー 推 進 の 一環 と し て,2000年 度 決 算 か ら,「 基 礎 利 益 」 とい う,新 た な指 標 を 公 表 す る よ う に な っ た 。 基 礎 利 益 は , 保 険 本 業 の 期 間 収 益 を 示 す 指 標 の 一 つ で あ り,「 生 命 保 険 会 社 の フ ロ ー の 基 礎 的 な 収 益 の 状 況 を 示 す 指 標 」 と し て 位 置 づ け ら れ て い る(萩 原 邦 男,2001 年,32頁)。 か ね て 日本 生 命 な どが 導 入 を提 唱 して い た 「業 務 純 益 」 指 標 と ほ
とん ど 同 じで あ る 。 た だ し,こ の 項 目 は損 益 計 算 書 上 の 項 目で は な い の で ,各 社 の デ ィス ク ロ ー ジ ャー 誌(各 社 の 「現状 」 とい う小 冊子)に お い て 開 示 さ れ て
い る 。
基 礎 利 益 は,つ ぎの よ う に計 算 さ れ る 。
基礎 利 益+キ ャ ピタル損 益+臨 時 損 益=経 常 利益
こ こ で キ ャ ピ タル 損 益 とは,キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン(金 銭 の信 託 運用 益+売 買 目 的有価証 券運 用益+有 価 証券売却 益+金 融 派生 商品収 益+為 替差 益+そ の他 の キ ャ ピタ ル収 益)か ら キ ャ ピ タ ル ・ロ ス(金 銭 の信 託 運 用損+売 買 圏的 有価 証券 運用 損+有 価 証券売 却損+金 融 派生 商 品 費用+為 替 差損+そ の他 キ ャピ タル費用)を 差 し引 い た 差 額 で あ る 。 また,臨 時 損 益 と は,臨 時 収 益(再 保 険収 入+危 険 準備 金戻 入額+
そ の他臨時 収益)か ら 臨 時 費 用(再 保 険 料+危 険 準備 金繰 入 額+個 別 貸倒 引 当 金繰 入 額+特 定海外債 権 引 当金 繰入 額+貸 付 金償 却+そ の他 臨時 費用)を 差 し引 い た 差 額 を い っ(生 命保 険協 会 『生 命保険 会社 のデ ィス クロー ジ ャー』2001年 ,7頁)。
こ の 計 算 か ら 明 らか な よ う に,基 礎 利 益 は,「 逆 ざ や 」 を 吸 収 した 後 に残 る 利 益 を 示 して い る。 こ こ 数 年,上 述 し た 逆 ざ や が 大 き な 問 題 と な っ て 表 面 化
し,と きに は,あ た か も生 保 の 最 終 的 な 利 益 が マ イ ナ ス で あ る か の よ う な 誤 解 を 与 え る こ と もあ っ た が,基 礎 利 益 の 数 値 を 公 表 す る こ と に よ っ て,そ う した 誤 解 を解 こ う と い うね らい もあ る よ う で あ る 。
基 礎 利 益 は,保 険 会 社 の 健 全 性 や 効 率 を フ ロ ー 面 で 見 る た め の 指 標 で あ る 。 こ れ が そ の ま ま契 約 者 へ の 配 当 に 回 され る わ け で は な い 。 上 の 算 式 を 見 る と明 らか な よ う に,多 額 の キ ャ ピ タ ル ・ロ ス や 臨 時 費 用 が 発 生 す れ ば,そ れ だ け 配
当 に回 され る金額 は減 少 す る。 そ うい う意味 か らす れ ば,事 業 会社 が計 算 ・表 示 す る 「営 業 利益 」 に近 い概 念 とい っ て よい。
つ ぎの 図表 は,基 礎 利益,三 利 源,配 当の 関係 を示 した もの で あ る。
図表3生 保会社 の利益構造モデル
費差益
利差損
や
基礎利益 死差益
キャピタル 損 益
内部留保へ
配当支払
不動産関係償却 不良債樹賞却
法人税負担
(出 典:荻 原 邦 男,2001年,33頁)
4契 約者 配当方式 の変遷
(1)旧 保 険 業 法 に お け る 契 約 者 配 当
こ こ で 旧 保 険 業 法 とい う の は,平 成8年 に お い て 改 正 され る前 の 保 険 業 法 を い う。 旧 保 険 業 法 に は,契 約 者 配 当 に 関 して,(1)三 利 源 別 配 当,(2)単 年 度 ご と の 完 全 還 元,(3)イ ンカ ム 配 当 原 則 あ る い は キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン配 当 の 禁 止,と い う3本 の 柱 が あ っ た 。
三 利 源 別 配 当 の 考 え 方 は,保 険 業 法 に 規 定 さ れ て い た もの で は な く,行 政 指 導 に よ る も の で あ っ た 。 こ れ は,上 に 述 べ た よ う な 剰 余 金 を 利 差 益,死 差 益, 費 差 益 とい う3つ の 利 源 に 分 解 し,利 源 ご と に,利 差 配 当,死 差 配 当,費 差 配 当 を支 払 う方 式 で あ る 。
.単年 度 の 完 全 還 元 は,旧 保 険 業 法 第66条(剰 余金 の分 配)に お け る 「剰 余 金
生 命 保険 事業 に お け る契 約 者 配 当の 変遷33
ハ 定 款 二 別 段 ノ定 メ ナ キ トキ ハ 各 事 業 年 度 ノ終 二 於 ケ ル 社 員 二 之 ヲ分 配 ス 」 と い う規 定 に よ り,原 則 と して ,社 員 に す べ て 還 元 す る と い う もの で あ っ た 。 こ の 規 定 を受 け て,相 互 会 社 は 定 款 に つ ぎ の よ う な 規 定 を 設 け,剰 余 金 の90%
以 上 を社 員 配 当 準 備 金 に繰 り入 れ て きた 。
「決 算 に お い て 剰 余 金 の 生 じた と き は,そ の100分 の90以 とを社 員 配 当準 備 金 ・ そ の100分 の5以 内 を役 員 賞 与 金 と し,そ の 残 額 を退 職 手 当積 立 金}別 段 積 立 金 そ の 他 に 処 分 す る こ とが で き る 。」(日 本生 命保 険の定款)
実 際 に は,平 成7年 度 あ た り ま で は,各 社 と も剰 余 金 の99%前 後 を 社 員 配 当 準 備 金 に 繰 り入 れ て きた 。 平 成8年 の 業 法 改 正 後 は,改 正 法 の 規 定 を受 け て 各 社 と も80%台 に 落 ち る が,旧 保 険 業 法 の 下 で は,各 年 度 の 剰 余 金 は そ の 年 度 に お い て 完 全 還 元 さ れ て き た 。
(2)イ ン カ ム 配 当 原 則
旧 保 険 業 法 に は,つ ぎ の よ う な 規 定 が 置 か れ て い た(86条)。
「保 険 会 社 ハ 財 産 ノ 評 価 換 又 ハ 売 却 二 因 リ計 上 シ タ ル 利 益 ガ 之 二 因 リ計 上 シ タ ル 損 失 ヲ超 ユ ル トキ ハ 其 ノ差 額 ヲ準 備 金 トシテ 積 立 ツ ル コ トヲ 要 ス 」
これ が,い わ ゆ る 「イ ン カ ム 配 当 原 則 」 と よ ば れ る も の で あ る。
生 保 資 産 の 最 大 の 運 用 先 は,貸 し付 け と有 価 証 券 で あ る 。 有 価 証 券 投 資 か ら あ が る 利 益 と い うの は,株 主 に 対 す る 配 当 と値 上 が り益 で あ る。 前 者 を イ ン カ
ム ・ゲ イ ン,後 者 を キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン と よ ん で い る 。 保 険 会 社 の 場 合 は,こ の86条 に よ っ て,有 価 証 券 等 の 売 却 益,キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン を 契 約 者 配 当 に 回 す こ と が 原 則 的 に禁 止 さ れ て い た の で あ る 。
旧 保 険 業 法 が キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン を配 当 財 源 と して 使 う こ と を 認 め な か っ た の は,売 却 益 を 契 約 者 配 当 に 回 す と弊 害 が で る か らで あ る 。 株 式 に 投 資 して い て も,そ の 配 当 は 事 業 会 社 の ほ うで 決 め る の で,生 保 会 社 の 側 か ら は コ ン ト ロ ー ル で き な い 。 つ ま り,有 価 証 券 に投 資 して も,イ ン カ ム(配 当)が どれ だ け の 大 き さ に な る か は 配 当 さ れ て み な い と分 か らな い 。 と こ ろ が,株 式 等 を い つ 売 却 す る か は,原 則 と して 保 険 会 社 が 自 由 に 決 め る こ とが で き る 。 株 価 が 上 昇 した と き に 売 る,資 金 が 必 要 に な っ た と き に 売 る 。 キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン は保
険 会 社 が 自 由 に 実 現 で きる 。 益 出 し(ゲ イ ン ・トレーデ ィング)が 容 易 に で き る の で あ る。
旧 保 険 業 法 の86条(評 価 益 及 び売却 益 に よ る積 立金)で は,「 保 険 会 社 ハ 財 産 ノ評 価 換 又 ハ 売 却 二 因 リ計 上 シ タ ル利 益 ガ 之 ニ ヨ リ計 上 シ タ ル損 失 ヲ 超 ユ ル ト キ ハ ソ ノ差 額 ヲ準 備 金 トシ テ積 立 ツ ル コ トヲ 要 ス 」 とい う規 定 を置 い て い た 。 但 し書 きが あ り,認 可 を受 け れ ば そ の 全 部 ま た は 一 部 を積 み 立 て な い こ と も可 能 で あ っ た が,原 則 と して は 有 価 証 券 の 売 却 益 は準 備 金 と して積 み 立 て る の で あ る 。
こ う した 規 定 を置 い た 趣 旨 は,昭 和14年 の 改 正 業 法 を 起 草 した 担 当 者 に よ れ ば,つ ぎの とお りで あ る 。 財 産 の 評 価 益 や 売 却 益 とい う もの は,財 産 の 価 値 の 変 動 に よ っ て 生 じ る もの で,臨 時 的 利 益iであ り,将 来 価 格 が 低 落 す れ ば 帳 消 し に な る 。 した が っ て,保 険 会社 の ご と く,淀 の 統 計 的 基 礎 に 基 づ い た 死 亡 率 とか 損 害 率 を 基 礎 に して い る 会 社 に つ い て は,こ う い う臨 時 的 利 益 が あ っ て も これ を利 益 と は 見 な い。 利 益 が で た と きは,こ れ を社 内 に積 立 金 そ の 他 の 形 で 留 保 して お い て,配 当 そ の 他 の 形 で 出 さ な い よ う に す る 。 そ うす れ ば 価 格 の 変 動 が あ っ た 場 合,そ の 準 備 金 を 崩 して そ れ で カ バ ー す る こ と が で き る(青 谷 和夫,1974年,53頁 参 照)。
本 条 が 制 定 さ れ た 当 時,商 法 は 時 価 以 下 主 義 を取 っ て お り,財 産 の 評 価 益 ・ 売 却 益 を計r̲.す る こ とが 可 能 で あ っ た が,「 臨 時 的 な 財 産 の 売 却 差 益,評 価 差 益 を剰 余 化 させ,契 約 者 配 当 と して 社 外 流 出 を許 せ ば,配 当 競 争 を激 化 させ る こ と に な る の で 剰 余 化 を 許 さず 準 備 金 と して 社 内 留 保 させ る」(日 本 生命 保 険相 互会社 法 規 研 究 会,1969年,414頁)ね ら い も あ っ た と い わ れ る。 つ ま り,益 出 し に よ る 過 当 な配 当 競 争 を 防 ぐね らい で あ る ㈲。
こ の86条 の 「財 産 の 評 価 益 や 売 却 益 は 準 備 金 と して 積 み 立 て る」 と い う規 定 を 反 対 解 釈 す る と,配 当 に 回せ る もの は 何 か とい う こ とに な る が,残 る の は 貸 付 金 の 利 息,株 式 の 配 当金,社 債 の クー ポ ン とい っ た 通 常 の イ ン カ ム ・ゲ イ ンだ け で あ ろ う とい う こ と か ら,こ の86条 の 規 定 を 「イ ン カ ム 配 当 原 則 」 と 呼 ん で い る(7)。
生 命 保険 事 業 に お け る契 約 者配 当の 変遷35
(3)イ ン カ ム配 当 原 則 の 弊 害
保 険 会 社 の 資 産 運 用 が 貸 付 金 中心 で あ っ た 時 代 に は,イ ン カ ム 配 当 原 則 は所 期 の 目的 に と っ て 十 分 に役 に 立 っ た で あ ろ う と思 わ れ る 。 と こ ろ が ヂ ー般 の 事 業 会 社 が 直 接 金 融 に 走 り,借 入 れ を 回 避 しは じめ る と,保 険 会 社 の 資 金 は 貸 し 付 け か ら株 式,社 債 な どの 有 価 証 券 に む け られ る よ う に な っ た 。 そ の た め に,
イ ン カ ム 配 当 原 則 が い ろ い ろ な 弊 害 を も た らす よ う に な っ た の で あ る 。2,3 の 例 を 挙 げ て そ の 一弊害 を説 明 す る。
日本 企 業 の 株 式 に投 資 し て も,配 当性 向 が 低 す ぎて,イ ン カ ム ・ゲ イ ンが ほ と ん どな い 。 い き お い 高 い 配 当 を ね らっ た投 資 を行 わ ざ る を 得 な い 。 た と え ば 外 国 株 式 で あ る 。 外 国 株 式 は,日 本 企 業 の 株 式 に比 べ て 配 当 性 向 が 高 い の で, 配 当 権 が つ い て い る外 国 株 式 を 買 っ て,配 当 を 受 け取 っ た らす ぐに 売 却 す る。
そ うす る と,配 当(イ ンカム ・ゲ イ ン)が 入 る。 しか し,配 当 落 ち で 売 却 す る の で 売 却 損(キ ャピ タル ・ロス)が 発 生 す る。 結 局,ト ー タ ル と して の 損 益 は 相 殺 さ れ て 消 滅 す るが,契 約 者 の 配 当 財 源 で あ る イ ン カ ム ・ゲ イ ンは 確 保 さ れ る の で あ る。
も う1つ の 例 と して,オ ー バ ー ・パ,..̲..債券 を あ げ る こ とが で き る 。 額 面 を 超 過 して い る債 券 を 買 い,イ ン カ ム ・ゲ イ ン と して ハ イ ・クー ポ ン の 部 分 を受 け 取 り,そ の 代 わ りに,償 還 が 近 づ くに つ れ て 償 還 損(キ ャピ タル ・ロス)を 計 上 す る。 オ ー バ ー ・パ ー の 部 分 は 形 の 上 で は イ ン カ ム ・ゲ イ ンに な る が,同 じ額 の キ ャ ピ タ ル ボロ ス が 発 生 す る 。
株 式 の 売 却 益 を イ ン カ ム ・ゲ イ ン と し て 計 上 で き る 金 銭 の 信 託 も 多 用 さ れ た 。 と こ ろが,金 銭 の 信 託 は,値rが り益 を 適 宜 実 現 す る の で,簿 価 が 時 価 に 近 く な り,非 常 に 大 き な価 格 変 動 り ス ク に さ ら され る こ と に な っ たO
イ ン カ ム 配 当 原 則 が あ っ た た め に,こ の よ う に キ ャ ピ タル を イ ン カ ム 化 す る と い う抜 け 道 が 利 用 さ れ る よ う に な っ た の で あ る 。 保 険 事 業 の 巨 額 な 資 金 が こ う した 妙 な 投 資 行 動 を と り市 場 を歪 め て きた と い う指 摘 もあ っ だ8)。
(4)ど ん ぶ り勘 定 か ら区 分 経 理 へ
生 命 保 険 事 業 の 場 合,保 険 種 類 ご との 損 益 計 算 は,内 部 会 計 と して 行 わ れ,
監督 官 庁 に結 果 が 報告 され て きた。 しか し,特 別勘 定 を除 けば ,損 害保 険 の よ うに保 険種 類 別 の事 業 損 益計 算 書 が作 成 され る わ けで は な く,ま た,そ の損益 に応 じた契 約 者 配 当が 計算 され るわ け で もな い。 そ の ため に,保 険経 理 が どん ぶ り勘 定 に な り,公 平 な利 益 還元 が な され て い ない とい う批 判 が あ る。 と りわ け,バ ブル期 まで は,含 み益 を多 額 に保 有 して い る個 人保 険 と含 み益 の な い企 業 年 金 との 間で 内 部補助 が行 われ て い るの で ないか とい うこ とが,し ば しば他 業 界 か ら指摘 され て きた。
こ う した批 判 に対 して,保 険審 議 会(保 険経理小委員会)で は,保 険 種 類 別 の 区分 経 理 を推 進 す る こ とに よ り,運 用収 益 等へ の貢 献 度 を明 らか に して 内部 補 助 を遮 断 し・ 利 益 還 元 の 公 平性 や 透 明性 を高 め る こ とを勧 告 した(小 委員会報 告書,第7章)。
この勧 告 を受 け て,大 蔵 省保 険 部 長(当 時)の 諮 問機 関 で あ る保 険経 理 フ ォ ロー ア ップ研 究 会が 具 体 的 な事 業 費等 の配 賦 基準 お よび 区分 経理 モデ ル を策 定 し,生 保 各 社 は平成3年 度 決 算 か ら損 益 計算 書 お よび株 式 含 み益 の 区分 経 理 を 試 行 す る こ とにな った。
保 険 種類 別 の区 分経 理 には,(1)内 部補 助 の 遮 断,(2)商 品別 の 含 み益 の 管理 , (3)保険 商 品 の特 性 に応 じた 資金 の 運用 を可 能 にす る な どのね らいが あ る。 た だ
し・ 一 般 の 事 業 会 社 に お け る セ グ メ ン ト ・リポ ー テ ィ ン グ(区 分報 告)と は まった く違 う一 面が あ る。
一般 事 業 会社 の場 合 は
,売h高 か ら始 め て,売 上 原価,販 管 費等 をセ グ メ ン ト別 に区分 して,最 後 に経 常 利 益 を区分 す るが,株 主 に対 す る配 当は そ う した 区分 とは 関係 な くセ グ メ ン トご との利益 を合 計 した もの が財 源 となる。 各 セ グ メ ン トの 利 益 が い く らで あ るか は,株 主 に対 す る 配 当 に は ま った く影 響 しな い。 事 業 問の 損益 は相 互 にい った りきた りして,あ る事 業 の損 失 を埋 め るた め に別 の事 業 の利 益 を充 て て も,経 理 上 も配 当計 算 上 も ま った く問 題 に な らな
い 。
と こ ろ が,生 命 保 険 会 社 が 行 う区 分 経 理 は,理 念 型 と して つ ぎ の よ う な もの を想 定 して い る。 つ ま り,個 人 保 険 で の 利 益 が い く らで 年 金 保 険 の 利 益 が い く
生 命保 険 事業 に おけ る契 約 者配 当の変 遷37
ら と決 ま った ら,そ れ ぞ れ の 区分 に お け る 配 当 は 各 区 分 の 利 益 の 範 囲 内 で 行 い,原 則 と して,利 益 の 貸 し借 りは しな い,と い う もので あ る。 個 人保 険 は個 人保 険 の 区分 にお け る利益 だ けが 配 当財 源 とな るの であ る。 そ うい う よ うに利 益 を区分 して これ を配 当 に結 びつ け る とい うのが,理 念型 と して の新 しい 区 分 経 理 の考 え方 で あ る。
区分 経 理 をい っそ う徹底 した もの と して は,特 別 勘 定(分 離勘定)が あ る。
特 別勘 定 とは,「 運 用 資 産 を一 般 勘 定 に属 す る 資 産 と区 別 して 管 理 す る もの で あ り,他 の勘 定 か ら独 立 した形 で資 産 運用 収 支の 区分 経 理 が な され」 る もの を い っ(小 委員会報告}第7章1ω ②)。 生 命保 険 の場 合 は,変 額 保 険 等,損 害 保 険 の場 合 は積 立型保 険等 にお い て特 別勘 定が 設 定 され てい る。
区分経 理 を導 人す る場 合 に は,慎 重 に考 え なけ れ ば な ら ない点 が い くつ か あ る。 た とえ ば,区 分 をあ ま り細 か く しす ぎる と,相 互扶 助 とい う保 険 制 度 本 来 の機 能 を 失 う危 険 が あ る の で,企 業 規 模 や 商 品 構 成 に も配慮 す る必 要 が あ る。 大 き く区 分す る と,区 分 経 理 の意 味 を失 って しま う。 …部 の セ グ メ ン トに お いて,運 用 実 績 が 予 定利 率 を下 回 っ た 場 合 に は ど うす る か とい う問 題 もあ る。
事 業会社 にお け るセ グメ ン ト ・リポ ー テ ィングの場 合 は,配 賦 不 能 な コス ト は一 括 して配 賦 不 能営 業 費 用 と して共 通 費処 理 で きる が,保 険 事業 の場 合 は セ グ メ ン ト別 の計 算 が 契約 者 に対 す る配 当 と結 びつ け られ る た め,す べ て の 収 益 ・費用 を いず れ かの セ グ メ ン トに配賦 しな けれ ば な らない。 したが って,き
わめ て詳 細 か つ 公 平 な配賦 基 準 を設 定 す る必 要 が あ る。
区 分経 理 は,本 来,資 産 の 区分 か ら始 め,そ の 区分 ご とに,資 産 か らの収 益 や 資 産 に生 じる費用 を集計 す る方 法 を取 るべ きで あ る。 区分 ご とに貸借 対 照 表 と損 益 計 算書 を作 成 す るので あ る。 しか し,こ の 当時 は,区 分 経 理 の経 験 が な か っ た こ とや,特 に投 資資 産 を細 分 す る と集 中投 資 な どの資 産 運 用 に 支障 が で る おそ れ が あ る な どの事 情 か ら,資 産 を区 分 す る まで に至 らず,収 益 と費 用 だ け の区分 経 理 か らス ター トす る こ とに な った。
こ う した生 保 の 区分 経 理 は,平 成3年 度 決 算 か ら試行 的 に行 わ れ,そ の結 果
を 監 督 官 庁(か つ て は大 蔵 省,そ の 後,金 融 監 督 庁)に 届 け 出 て き た が,平 成12 年 か ら は 届 け 出 な くて も よ い こ と に な っ た 。 た だ し,生 保 各 社 は,後 段 で 紹 介 す る よ う に,そ の 後 も配 当 の 計 算 や 商 品 設 計 に お い て,区 分 経 理 を活 用 して い
る模 様 で あ る 。
以 上 が,旧 保 険 業 法 の 下 で 行 わ れ て き た 保 険 経 理 と 契 約 者 配 当 の 概 要 で あ る。 旧 法 の 下 で は,イ ン カ ム 配 当 原 則 が あ っ た た め に,イ ン カ ム と キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン を 含 め た 総 合 的 な 運 用 成 果 を 還 元 す る こ とが で き な か っ た の で あ る 。 ま た,保 険 種 類 ご との 損 益 計 算 に よ る 配 当 で は な く,す べ て の 保 険 種 類 (特別勘定 を除 く)を 通 算 した,い わ ゆ る 「どん ぶ り勘 定 」 で 損 益 が 計 算 され, か な らず し も契 約 者 間 の 公 平 が 保 た れ な い とい う弊 害 も指 摘 され て い た 。
5新 保 険業法 にお け る契約 者配 当
以 上 の よ う な イ ン カ ム 配 当 原 則 の 弊 害 を 除 去 し,含 み 益 の う ち,現 在 の 契 約 者 が 貢 献 した と考 え られ る 部 分 を 適 切 に 還 元 す る 方 法 と して,小 委 員 会 報 告 や 保 険 審 議 会 答 申 が 提 案 した の が 「ア セ ッ ト ・シ ェ ア 方 式 」 と よ ば れ る も の で
あ っ た 。 こ れ につ い て,す こ し説 明 す る。
(1)ア セ ッ ト ・シ ェ ア 方 式 の 考 え 方
ア セ ッ ト ・シ ェ ア(assetshare)と は,個 々 の 保 険 契 約 が 会 社 資 産 に 対 して 有 す る 持 分 あ る い は そ の 予想 額 の こ と で あ る。 日本 ア クチ ュ ア リー 会 で は こ れ を,「 同 じ種 類,同 じ契 約 年 齢,同 じ契 約 応 当 日,同 料.:同 保 険 価 格 で あ る 同 一 と み な さ れ る 多 数 の 契 約 群 団 の 集 積 され た 正 味 資 産 が,あ る時 点 で 群 団 の 全 て の 契 約 に 分 配 され た 場 合 に,個 々 の 契 約 の 持 分 を 保 険 金 額 に対 して 表 した
もの 」 で あ る と定 義 して い る 。
ア セ ッ ト ・シ ェ ア を ベ ー ス と し て 契 約 者 配 当 を 割 り当 て る こ と を,ア セ ッ ト ・シ ェ ア 方 式 と い い,こ の 方 式 は,「 保 険 種 類 別 に 保 険 期 間,年 齢 な ど 契 約 条 件 を 同 一 とす る 代 表 的 契 約 に つ い て,実 際 の 死 亡 率,利 率,事 業 費 率,継 続 率 等 に 基 づ く各 保 険 年 度 別 の モ デ ル 収 支 計 算 を 過 去 法 的 に 行 い,そ の 収 支 残 (そ の契約 に割 り当 て られ るべ き資 産 つ ま りアセ ッ ト ・シェ ァ)と 年 度 末 責 任 準 備 金
生 命保 険 事業 に お け る契 約 者配 当の変 遷39
と を 比 較 し て,そ の 差 額 を 基 準 に 配 当 額 を 決 定 す る 方 法 」(生 命 保 険協 会 『生 命 保 険講座 生命保 険 計理1』)。 を い う と さ れ る 。
審 議 会 答 申 で は,こ の 方 式 を採 れ ば,「 契 約 者(群 団)の 保 険 契 約 期 間 に わ た る 貢 献 度 合 い(持 分)を 把 握 す る」 こ とが 可 能 で,「 具 体 的 に は,① 契 約 者 の 払 込 保 険 料 に よ る 株 式 含 み 益 の 形 成 や 運 用 収 益 等 へ の 貢 献 度 合 い を契 約 者 持 分(ア セ ッ ト ・シェァ)と し て把 握 した ヒで,② 契 約 者 に 対 す る 配 当 還 元 を 当 該 ア セ ッ ト ・シ ェ ア の 精 算 と して 位 置 づ け(契 約 期 間中の 各年度 の配 当は 部分的 精算 とな る。),③ 契 約 消 滅 時 に こ の ア セ ッ ト ・シ ェ ア に 基 づ い て 最 終 的 に 精 算 す る こ と に よ り契 約 者 還 元 を完 了 させ る」(第2章3(6)ハ)こ と に な る と見 て い る 。
こ こで ア セ ッ ト ・シ ェ ア を 意 味 す る 語 と して 「持 分 」 を 使 っ て い る が,こ の 場 合 の 「持 分 」 は,法 的 な 意 味 で の持 分 で は な くi保 険 会 社 の 内 部 管 理 上 の 観 念 的 な 持 分 と され,ま た,こ の ア セ ッ ト ・シ ェ ア 方 式 は,株 式 の 含 み 益 の 還 元 に つ い て も適 用 さ れ る(同r.)(7特 に,特 別 配 当 の 財 源 部 分 に つ い て は,各 契 約 者 の 含 み 益 形 成 の 貢 献 度 合 い を 考 慮 して,公 平 な還 元 を 図 る 必 要 が あ る と指 摘 され て い るq司,第4章2)。
も うす こ し分 か りや す くい え ば,ア セ ッ ト ・シ ェ ア とい うの はs各 年 度 の 収 支 残 に 運 用 利 回 りの 利 率 を掛 け て 毎 年 複 利 的 に運 用 して い っ た もの で,こ れ を 各 契 約 者 の 持 分 と して 計 算 して お い て,そ の 持 分 を 契 約 の 最 終 段 階 まで に 配 当 と して 支 払 う(つ ま り,精 糞 す る)の で あ る。 毎 期 契 約 者 に 支 払 っ た 配 当 で 精 算 し きれ な か っ た 額 が あ れ ばi契 約 の 消 滅 時 に 支 払 う(消 滅 時特 別配 当:オ配 当〉
こ とに よ っ て 持 分 を 精 算 す る の で あ る 。
こ の よ う な 方 式 の ドで はi毎 期 の 契 約 者 配 当 は,ア セ ッ ト ・シ ェ ア を 部 分 的 に精 算 して い る もの と み る こ と が で き る 。 す な わ ち,株 式 等 の 含 み 益 を徐 々 に 実 現 して還 元 す る こ と も,毎 期 の 配 当 で キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ンの …部 を 含 め た 総 合 収 益 を還 元 す る こ と も,ア セ ッ ト ・シ ェ ア に よ る最 終 的 な精 算 を 見 据 え て, 契 約 者 持 分(ア セ ッ ト ・シェァ)を 部 分 的 に 精 算 す る もの と考 え る こ とが で き る
の で あ る。
株 式 の 含 み 益 に は,審 議 会 答 申 で も明 らか に さ れ て い る よ う に,① 株 式 の 価
格 変 動 に 備 え る 部 分}② 契 約 者 に 還 元 さ れ る 配 当 財 源 部 分,③ 経 営 の バ ッ フ ァー(い わ ばfシ ョ ック ・ア ブ ソー バ ー)と な る 部 分,と い う3つ の 機 能 が 認 め られ る(第2章Sts}ロ)。 株 式 の 含 み 益 に つ い て ア セ ッ ト ・シ ェ ア 方 式 を 適 用 す れ ば,現 在 の 含 み 益 は 既 契 約 者 に 適 切 に 還 元 さ れ る こ とが 期 待 で き る と し,
あ わせ て,他 の 金 融 商 品 に 対 し競 争 が 不 均 衡 と な る 問 題 が 解 決 さ れ る こ と も期 待 さ れ て い る(小 委 員会 報 告,第4章2)。 つ ま り,ア セ ッ ト ・シ ェ ア 方 式 を 採 用 す れ ば,含 み 益 の 大 きい 保 険 商 品 か ら含 み 益 の 少 な い 保 険 商 品 へ の 内 部 補 助 が で き な くな る とい う こ とに な り,他 の 金 融 商 品(た とえば年 金受 託 な ど)と の 間 で イ コー ル ・フ ッテ ィ ン グが で きて い な い とい う批 判 をか わす こ とが で き る
と考 え られ た の で あ る(9)。
(2)ア セ ッ ト ・シ ェ ア の 計 算
上 に述 べ た よ う に,小 委 員 会 報 告 で は,ア セ ッ ト ・シ ェ ア 方 式 を,キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン を 含 め た 総 合 収 益 を 契 約 者 に 還 元 す る た め の 工 夫 と して 位 置 づ け る と と も に,株 式 な ど の 含 み 益 を 還 元 し よ う とす る 場 合 に も適 用 す る こ とが で き る と して い る(小 委 員会報 告第3章 お よび第4章 〉。
保 険 経 理 フ ォ ロ ー ア ッ プ研 究 会 で は,こ れ を受 け て,2つ の ア セ ッ ト ・シ ェ ア 計 算 モ デ ル を 検 討 して い る 。
(a)「 株 式 含 み 益 の 還 元 」 に使 用 す る ア セ ッ ト ・シ ェ ア計 算 モ デ ル
株 式 の 含 み 益 を 還 元 す る た め に ア セ ッ ト ・シ ェ ア 方 式 を使 う場 合 に は,① 含 み 形 成 へ の 貢 献 を 遡 及 して 計 算 す る方 式 と,② 三 利 源 別 の 配 当 方 式 と の 連 続 性 を考 慮 した 方 式,つ ま り,各 契 約 の 経 過 年 数 に 応 じたオ配 当 率 を ア セ ッ ト ・ シ ェ ア とす る 方 式 が 考 え られ る 。
① の 方 式 は,さ ら に,(① 一a)発 生 した 各 年 度 の 株 式 含 み 益 を ベ ー ス に ア セ ッ ト ・シ ェ ア を 遡 及 し て 計 算 す る 方 式(株 式 含 み 益 の増 減 を直接 に ア セ ッ ト ・ シェ ァに反 映 させ る)と,(① 一b)各 年 度 の キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー か ら遡 及 計 算 す る 方 式 に わ か れ る 。
前 者(① 一a)は,各 年 度 の 株 式 含 み 益 の 増 減 を,各 年 度 の 保 有 契 約 に 配 分 し て,当 該 契 約 に 係 る 株 式 含 み 益 の ア セ ッ ト ・シ ェ ア 相 当 額 とす る 。 各 期 の ア
生 命保 険 事 業 に お け る契 約 者配 当 の 変遷41
セ ッ ト ・シ ェ ア を累 計 した 額 か ら,す で に 支 払 わ れ た ア セ ッ ト ・シ ェ ア 相 当 額 を 差 し引 い て,各 保 険 契 約 の ア セ ッ ト ・シ ェ ア とす る も の で あ る。
後 者(① 一b)は,各 年 度 の キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー,つ ま り,(保 険 料 一保 険金 一 配 当金 一事 業費等)を 計 算 し,こ の 残 高 を 各 年 度 の 保 険 契 約 に 係 る 資 産 持 分 と考 え る 。 この 資 産 持 分 に 各 年 度 の 総 合 利 回 り を掛 け て 累 積 計 算 した もの を新 しい 配 当 方 式 へ の 切 り替 え 時 点 に お け る 資 産 持 分 と し,こ れ か ら責 任 準 備 金 相 当 額 を控 除 した もの を 株 式 含 み 益 に 適 用 して,そ の 結 果 を ア セ ッ ト ・シ ェ ア相 当 額
とす る 。
三 利 源 配 当 方 式 との 連 続 性 を勘 案 した 方 式 と は,各 契 約 の 経 過 年 数 に応 じた オ配 当 率 を ア セ ッ ト ・シ ェ ア とす る もの で あ る 。 個 人 保 険 の 場 合 は,新 し い 配 当 方 式 へ の 切 り替 え 時 点 で の 「各 契 約 者 の 経 過 年 数 に 応 じ たオ配 当 率 」 を ア セ ッ ト ・シ ェ ア の 基 準 と す る 。 団 体 保 険 な ど は,個 人 保 険 のオ配 当 水 準 に 見 合 う ア セ ッ ト ・シ ェ ア を割 り当 て る 。
含 み 益 に 残 りが で る とす れ ばTバ ブ ル ・バ ッ フ ァー に 相 当 す る部 分 と考 え ら れ る が,こ の ・定 割 合 は ア セ ッ ト ・シ ェ ア に 加 算 可 能 な 含 み 益 で あ る か ら,経 過 年 数 に 応 じた μ 配 当 の 増 加 に 相 当 す る 部 分 を ア セ ッ ト ・シ ェ ア に 移 して 累 積 す る 。 た だ し,加 算 可 能 な 含 み 益 が な くな っ た 場 合 は 各 保 険 契 約 に か か る ア
セ ッ ト ・シ ェ ア は,株 式 の 価 格 変 動 に 応 じて 変 動 す る こ と に な る。
以 上 は,「 株 式 含 み 益 の 還 元 」 に 使 用 す る ア セ ッ ト ・シ ェ ア の 計 算 モ デ ル で あ っ た 。 保 険 経 理 フ ォ ロ ー ア ッ プ研 究 会 で は,も う 一つ,「 キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン を含 め た 総 合 収 益 の 還 元 」 に使 用 す る ア セ ッ ト ・シ ェ ア の 計 算 モ デ ル につ い て も検 討 して い る 。
(b)「 キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン を含 め た 総 合 収 益 の 還 元 」 に 使 用 す る ア セ ッ ト ・ シ ェ ア 計 算 モ デ ル
総 合 収 益 を還 元 す る た め の ア セ ッ ト ・シ ェ ア 計 算 は,(② 一a)キ ャ ッ シ ュ ・ フ ロ.̲̲.から計 算 す る 方 式 と,(② 一b)資 産 運 用 関 係 の 総 合 利 回 りを 使 っ て 計 算 す る 方 式 が あ る 。
キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー か ら計 算 す る 方 式(② 一a)で は,そ れ ぞ れ の 契 約 に つ い
て,ま ず,各 年 度 の キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー(保 険料+運 用益 か らバ ブル相 当部 分 を控 除 した金 額 一保 険 金 一事 業 費等)を 計 算 す る。 こ の 計 算 に は,含 み 益 が 入 っ て い る 。 こ う して 求 め た キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー か ら 各 年 度 の 配 当所 要 額,責 任 準 備 金 積 増 額,バ ッ フ ァー 相 当 分 を 控 除 して ア セ ッ ト ・シ ェ ア を 求 め る 。
この 方 式 は,各 年 度 の キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー を基 に ア セ ッ ト ・シ ェ ア を管 理 す る も の で,過 去 の 含 み 益 は 新 配 当 方 式 に 切 り替 え る 時 点 に お け る 各 契 約 の μ 配 当 率 を ア セ ッ ト ・シ ェ ア に 置 き換 え,新 配 当 方 式 の 下 で …体 と して 管 理 し よ
う とす る もの で あ る。
この 方 式 に よ る ア セ ッ ト ・シ ェ ア は,た とえ ば,つ ぎ の よ う な 手 順 で 計 算 さ れ る 。 こ の 算 出 手 順 は,フ ォ ロ ー ア ッ プ研 究 会 で検 討 した 案 の1つ で あ っ て, 他 に も計 算 方 法 が 考 え られ る 。
図 表4ア セ ッ ト ・シ ェ ア 計 算 の 手 順(1)
内部留 保 前1 の 当年度剰
余金の 算出
「2i懇 羅
+13轡 閣 麟 躍 綿 昧)
ア セット・シェア 算 幽 経 理 区 分 群 団 別 → ・45 別 計 算 計 算
モデル 計 箪
→161難
※配 当 可能 含み 益 罧 バ プ1L/iフ フ ァー
控除 後 の 含み 益 (財 源 チェ ソク)
この 方 式 は,ア セ ッ ト ・シ ェ ア と して 理 解 しや す く,契 約 者 に 説 明 す る 場 合 に は 便 利 で あ る。 他 面,ア セ ッ ト ・シ ェ ア を そ の ま ま最 終 清 算 に 適 用 す る と し た ら,株 価 の 変 動 に よ っ て は,最 終 清 算 額 が 大 幅 に 変 動 す る お そ れ が あ り,契 約 者 の 期 待 を裏 切 る こ と に な りか ね な い 。
(②一b)の,資 産 運 用 関 係 の 総 合 利 回 りを 使 用 し て 計 算 す る 方 式 で は,各 契 約 の ア セ ッ ト ・シ ェ ア を,つ ぎの よ う に して 計 算 す る 。 す な わ ち,各 年 度 の 蓄 積 保 険 料(保 険 料 一付 加保 険料 一危 険 保 険料)と 前 年 度 の ア セ ッ ト ・シ ェ ア の 合 計 額 に,各 年 度 の 総 合 利 回 り(時 価 利 回 りか らバ ブル,バ ッフ ァー相 当部 分 を控 除 した もの)を 乗 じて 累 積 計 算 す る。 利 差 配 当 を 支 払 う場 合 に は,こ の ア セ ッ
ト ・シ ェ ア か ら差 し引 く。
こ の 場 合 の ア セ ッ ト ・シ ェ ア は,た と え ば,つ ぎの よ う な 手 順 で 計 算 さ れ る 。
生 命保 険 事業 にお け る契 約 者配 当の変 遷43
図 表5ア セ ッ ト ・シ ェ ア 計 算 の 手 順(2)
丁
柴購 講 銅 一2辮 一盤 翌}4遡 嶽 鋼 一∴轍
楽蓄 横傑険 料e保 険 料14加 保険 料 亀験 保険 料
(3)ア セ ッ ト ・シ ェ ア 方 式 の 限 界
と こ ろ で,ア セ ッ ト ・シ ェ ア を ベ ー ス と し て 実 際 の 契 約 者 配 当 を 行 う こ と は,現 実 に は 困 難 で あ る 。 理 由 は い くつ か あ る 。
ア セ ッ ト ・シ ェ ア は,上 に述 べ た よ う に,各 年 度 の 収 支残 に 運 用 利 回 りの 利 率 を掛 け て 毎 年 複 利 的 に 運 用 して い っ た も の で,こ れ を 各 契 約 者 の 持 分 と して 計 算 し て お い て,そ の 持 分 を 契 約 の 最 終 段 階 ま で に 配 当 と して 支 払 う(っ ま
り,精 算す る)と い う も の で あ る 。 した が っ て,ア セ ッ ト ・シ ェ ア に は,実 際 に キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー を 伴 う利 益(た とえば,利 息収 入,有 価 証 券売 却益 な ど)だ け で は な く,キ ャ ッ シ ュ ・フ ロ ー を 伴 わ な い 利 益(た とえ ば,有 価 証 券含 み益) を も含 む こ と に な る。 配 当 に 回 す 流 動 資 産 が 確 保 され な い の で あ る。
も う1つ の 理 由 は,含 み 益 は 増 減 す る の で,契 約 期 間 中 に これ を財 源 と して 配 当 す る こ とが,後 に 払 い 過 ぎ な どの 問 題 を残 す 可 能 性 が あ る こ と で あ る 。 さ ら に また,上 に述 べ た よ う に,含 み 益 に は 保 険 会 社 の 健 全 性 を 維 持 す る た め に 必 要 な 内 部 留 保(バ ッフ ァー)と して の 機 能 もあ り,契 約 期 間 中 に お け る 配 当 に は 充 て られ な い と い う こ と も あ る。
こ う した 事 情 か ら,実 際 に は,上 述 した よ うな 方 法 で ア セ ッ ト ・シ ェ ア を管 理 しつ つ,契 約 の 終 期 に 至 る 各 期 に お い て は,各 年 度 の 利 源 別 差 益 をベ ー ス と
して 配 当 を 行 い(ア セ ッ ト ・シェ アの部 分 的精算 とみ る),契 約 の 消 滅 時 に 残 りの ア セ ッ ト ・シ ェ ア を精 算 す る の が 堅 実 と考 え られ た 。 理 念 と して は ア セ ッ ト ・
シ ェ ア 方 式 で あ るが,実 際 に は,依 然 と して 利 源 別 配 当 方 式 が 使 わ れ た の で あ る 。
6事 業環境 の変化 と配 当方式 の修 正
と こ ろ が,こ こ10年 ほ ど の 間 に,生 命 保 険 事 業 を 巡 る リ ス ク が 増 大 し,金 利 低 下 に よ る 巨 額 の 「利 差 損 」 が 発 生 し,経 営 環 境 が 大 き く変 化 した 。 そ の た
め に,三 利 源 配 当方 式 を従 来 の形 で維 持 す る こ とは次 第 に困 難 に な り,配 当方 式 の 修 正 を余儀 な くされて い る。 以 下 で は,そ う した利 源 別 配 当方 式 を どの よ うに修正 して きたか を紹 介 す るが,そ の前 に,三 利 源 配 当 方式 につ いて概 要 を 紹 介 して お く。
三 利 源 配 当 を行 うには,保 険 会社 の剰 余金 を源泉 別 に区分 す る作 業 が 必要 で あ る。 これ を利 源分 析 とい う。 この 目的 の た め に,剰 余 金 は以 下 の6つ の 源泉 に 区分 され る。
① 費 差損 益=予 定 事 業 費 一事 業 費 支 出
② 死 差損 益 罵保 険料 収 入+予 定利 息 一保 険 金 等 支 払 略 年 チ ル メ ル責任 準 備 金 繰 入 一解約 時 の責任 準 備 金 一予 定 事業 費
③ 利 差 損益=利 息配 当金収 入 一}定 利 息
④ キ ャ ピ タル ・ゲ イ ン(ロ ス)e有 価 証 券 売 却益+有 価 証 券 評 価 益 一有価 証 券 売 却損 一有価 証 券評価 損
⑤ 責 任 準備 金損 益=解 約 時 の 責任準 備 金 一解 約 返 戻 金 支払 一(純 保 責任 準 備 金 繰 入 一5年 チ ル メル責 任 準備 金繰 入)
⑥ その 他損 益=一 税 金
この① か ら⑥ の合 計額 が 損益 計 算 書 にお け る剰 余金 となる。 損益 計 算書 の科 目で 表せ ば,剰 余 金 はつ ぎの よ うに な る。
剰 余金=保 険料 収 入+利 息 配 当金 収 入 一保 険 金等 支払 一解 約 返戻 金 支払 一純 保責 任 準備 金繰 入 一事 業 費 支 出 一税 金+有 価 証券 売 却益+有 価 証 券 評価 益 一有価 証 券 売却 損 一有価 証 券 評価 損
L記 の よ うな利 源 分析 に よる剰 余 は,そ れぞ れ つ ぎの よ うに配 当金 と して還 元 され る。
費差 益 → 費 差配 当
利差 益 → 利 差配 当
難 タル.ゲ イン Σ 三 継
利 源 別 配 当 は,基 本 的 に は,以 上 の よ う な 内 容 の 配 当 を行 う もの で あ っ た 。
生 命 保 険 事業 に お け る契 約 者 配 当の変 遷45
と こ ろ が,先 に 述 べ た よ う に,こ の10年 間 で 生 命 保 険 事 業 を 取 り巻 く環 境 が 激 変 し,契 約 者 配 当 も基 本 的 な 形 で の 三 利 源 配 当 を 維 持 で き な くな り,修 正 を 余 儀 な く され て き た 。 以 下,そ う した 修 正 の い くつ か を紹 介 す る。
(1)利 差 損 と死 差 益 ・費 差 益 の 相 殺
従 来 は,三 利 源 の い ず れ か に損 失 が 発 生 して も,こ の 損 失 を他 の 差 益 と相 殺 す る こ と は な く,差 益 が で た 分 だ け を 配 当 して きた 。 しか しi金 利 水 準 の 低 下 や 株 式 市 場 の 低 迷 な ど か ら多 額 の 利 差 損 が 発 生 す る よ う に な り,平 成3年 度 の 決 算 か ら は,利 差 損 と 費 差 益 ・死 差 益 を相 殺 して,残 額 を 配 当 す る よ う に な っ た 。
た と え ば,あ る 年 度 の 費 差 益 が3,000円,死 差 益 が6,000円,利 差 損 が 2,000円 と い っ た ケ ー ス の 時,従 来 は,利 差 損 を 無 視 し て}費 差 益 と死 差 益 の 合 計9,000円 を 配 当 して き た 。 そ れ が,平 成3年 度 か ら は,こ の9,000円 か
らY利 差 損Z,000円 を差 し引 い て,配 当 を7,000円 と した の で あ る。
日本 生 命 の ケ ー ス で い え ば,平 成3年 度 に お い て は,主 契 約 と特 約 の そ れ ぞ れ に つ い て,死 差 ・費 差 配 当 と マ イ ナ ス 利 差 配 当 を相 殺 し,主 契 約 と特 約 の 間 で は 相 殺 は 行 わ な か っ た 。 そ の 後,平 成5年 度 か らは,主 契 約 と特 約 の 区 分 を 超 え て,死 差 配 当 ・費 差 配 当 と マ イ ナ ス の 利 差 配 当 を 相 殺 す る こ と に し て い る。 な お,マ イ ナ ス の 利 差 配 当 と い う表 現 は,当 該 商 品 の 利 回 り 自体 が マ イ ナ ス だ と い っ た 誤 解 を招 き か ね な い 。 実 際 に は,予 定 利 率 が 保 証 さ れ て い る の で,契 約 者 に は 予 定 利 率 に よ る 配 当 が 行 わ れ て い る。 そ こ で,こ う した 誤 解 を 避 け る た め に,一 部 の 会社 で は,マ イ ナ ス 配 当 を 「配 当 調 整 額 」 と呼 ん で い る。
こ れ で 実 際 の 資 産 運 用 利 回 りが 予 定 利 率 を下 回 っ て 逆 ざ や が 発 生 して も,発 生 した 利 差 損 を 死 差 益 と 費 差 益 で 吸 収 す る こ とが で き る 。
(2)利 差 配 当 率 を 予 定 利 率 別 に 設 定
予 定 利 率 が 高 い 契 約 ほ ど,利 差 損 が 発 生 す る リ ス クが 高 い 。 そ の た め,予 定 利 率 の 高 い 契 約 に つ い て は 剰 余 金 の 還 元 割 合 を低 め て,将 来 の リ ス ク に 備 え る の が よ い と 考 え られ る 。 こ う し た 考 え を基 に,平 成5年 度 の 決 算 か ら,予 定 利 :r‑Yの 高 い 契 約 に は 利 差 配 当 率 を 低 く設 定 す る こ と が 行 わ れ る よ う に な っ た。
従 来 の 配 当 の考 え方 と新 しい配 当の 考 え方 を,仮 設 数字 を使 っ て示 す と,つ ぎの表 の よ う にな る。
図表6配 当方式の比較 従 来の配 当の 考え方
(利差配 当率)
新 しい配当の考 え方
(利差配 当率)
予 定利率3%の 契約 2.5% 予定利 率3%の 契約 2.7%
予定利率4%の 契約 1.5% 予 定利率4%の 契約 L5°/a
予定利率6%の 契約 0.5°/a 予定利 率6%の 契約 0.7p/0
従 来 の 配 当 の 考 え 方 に よ れ ば,配 当 基 準 利 回 り 仔 定 利 率 と利 差 配 当 率 の 合 計)は,予 定 利 率 が い く らで あ る か に 関 係 な くa一 定 とす る も の で あ っ た 。 こ の 仮 設 例 で は,予 定 利 率 が3%で も,4%で も,6%で も,す べ て 予 定 利 率 と利 差 配 当 率 の 合 計(配 当基準 利 回 り)は5.5%と な っ て い る。
新 し い 配 当 の 考 え方 に よ れ ば,配 当 基 準 利 回 りは,予 定 利 率 が 高 い ほ ど,低 く 設 定 さ れ る。 こ の 仮 設 例 で はz予 定 利 率 が3%の 場 合 は 利 差 配 当 率 は 5.7%,予 定 利 率 が4%の と き は 利 差 配 当 率5.5%,予 定 利 率 が6%の と き
は 利 差 配 当 率5.3%と な っ て い る 。
実 際 の 例 と して,日 本 生 命 の 配 当 基 準 利 回 り を 紹 介 す る と,予 定 利 率4%
を境 に して,つ ぎの よ う に推 移 して い る。
日 本 生 命 で は,こ の よ う に,予 定 利 率 が4%を 超 え る 契 約 に 関 し て 図表7日 本 生命の配 当基準 利回 り
平 成4年 度決算 平成5年 度決算 平 成6年 度決算 平 成7年 度 決 算 平成8年 度決算 平 成9年 度決算 平成10年 度決算
定利率 4%以 「 予定利率 4%超
0% 5.0°/a
4% 3.8%
75°/a 3.55%
1% 2.9%
1% 2.9%
9% 2.7%
5% 2.3%
生 命 保 険 事 業 に お け る契 約 者 配 当の 変遷47
は,4%以 下 の 契 約 に比 べ て,配 当 基 準 利 回 りを0.2%低 め に 設 定 す る こ と で,将 来,リ ス クが 顕 在 化 す る場 合 に 備 え る こ と に して い る 。
(3)特 別 配 当 を 予 定 利 率 別 に 設 定
特 別 配 当 の 制 度 は,昭 和46年(1971年)度 の 決算 か ら 実 施 さ れ た も の で あ る 。 こ の 制 度 は,(Dイ ン フ レが 進 行 し,長 期 の 契 約 が 実 質 価 値 を著 し く滅 ら し て き た こ とか ら,キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン を契 約 者 に 還 元 す る,(2)そ れ ま で の 経 営
目標 で あ っ た 純 保 険 料 式 責 任 準 備 金(純 保責 準)を 積 み 立 て る こ とが で き た 会 社 が 出 始 め た(昭 和46年 に6社)こ と か ら,財 源 の 余 裕 分 を 契 約 者 に 還 元 す
る,と い っ た こ とが 目的 で あ っ た(10)。
特 別 配 当 は,当 初,キ ャ ピ タ ル ・ゲ イ ン を 契 約 者 に 還 元 す る こ と が 目 的 で あ っ た。 そ の た め に,そ の 対 象 も貯 蓄 性 商 品 に 限 られ て い た 。 そ の 後,キ ャ ピ タル ・ゲ イ ンだ け で な く,毎 年 の 配 当 で 還 元 で き な か っ た 剰 余 を最 終 的 に清 算 す る た め に 使 わ れ る よ う に な り,昭 和61年 度 の 決 算 か ら,定 期 保 険 等 の 保 障 性 商 品 に つ い て は 死 差 益 等 の 未 還 元 部 分 を 清 算 す る もの と して 特 別 配 当 が 利 用
され る よ う に な っ たU
特 別 配 当 の 導 入 に よ っ てf「 イ ン カ ム 配 当 原 則 」 と 「単年 度 完 全 還 元 」 と い う,従 来 の 配 当 原 則 が …部 修 正 さ れ た こ とに な っ た が,平 成5年 度 の 決 算 か ら は さ ら に 進 ん で,過 去 の 利 差 損 の 発 生 状 況 を考 慮 して,予 定 利 率 が 高 い 契 約 に は 低 い 特 別 配 当 率 を設 定 し,予 定 利 率 が 低 い 契 約 に は 高 い 特 別 配 当 率 を設 定 す
る こ と に した 。
日本 生 命 保 険 の 例 を示 す とfつ ぎの とお りで あ る。
図表8日 本 生命 の特別配 当率 1碇 利 率4%以 下 の 契 約
1
平 成5年 度 決 算i満 期 保 険 金 の38.0%
平 成6年 度 決 算1同33.2%
'F成7年 度 決 算1同33 f
.2%
平 成8年 度 決 算 同28.4%
平成9年 度決 算 同23,6%
平成10年 度決算 同18,8%
予定 利率4%超 の契約 満期 保険 金の3fi.S%
1弛 同 同 同 同
30.8%
30.8°/a 22.S%
]X3.8%
12.8%