ナノスケール組織を有する軽量材料の開発とその構造解析に関する研究
研究代表者 工 学部 池 野 進
本 プ ロジェク トでは、以下の 2 つ のプ ロジェク トを同時進行 させ, 高い信頼性 を持つ軽量材料 の開発 とその性能評価法 を 目指 した。
プロジェク ト1
ナ ノスケール組織 を有す る軽量材料 のナ ノ構造解析 に対す る組織制御 と力学的性質解析手法 の確 立
本 プ ロジェク トでは,第一 に新 たな高信頼性 アル ミニ ウム合金 の開発 のため,合金 開発 を行 った。本 プ ロジェク ト遂行 のために招聘 したアシュ ウ ト大学 の Mahmoud Abdel― Fattah Gaber 教授 との検討 の末,新 しい 自動車用合金 として注 目されてい る,Al Mg Si合金 に再結晶温度 を 変化 させ,粒界 を安定 させ る元素 を添力日した合金 を作製,安全性 を保 障す る均 一伸びの改善に 成功 した。 これ ら添力日 元素 を含む合金 は、添力日元素 を含 まない合金 に比較 して強度 と伸び、
とくに均一伸びが大幅 に改善 され た。 これ らの合金 を引張 り試験 によつて破 断 させ てその破 断面 を SEM観 察す る と,いずれの合金 も粒界破壊 の様相 を示 していた。添加元素 を含 まない合 金では破 断面近傍 でのみ変形 の程度が大 きい様子が観 察 されたのに対 して、添力日元素 を含む 合金 では、試験片全面で変形 の程度 が大 きい ことがわかつた。添力日 元素 を含 まない合金では, 結晶粒 内に粗 いすべ り帯がまば らに観察 され る程度であったのに対 して、添力日元素 を含む合 金 では、間隔の狭いすべ り帯が多 くの結晶粒 に観 察 され る とともに、結 晶粒 その ものの起伏 が激 しい ことが明 らか となった。 この ことは、 これ までに我 々が報告 してい る傾 向,す なわ ち粒界近傍 の変形が抑制 されて粒 内の変形 が助長 され,そ して伸びが改善 され る とい う傾 向 と一致 した。
以上の よ うに,添加 元素 を含 む合金 は伸び あるいは強度 が改善 され る傾 向があ り、 とくに Cu添 力日は均一伸び を改善す ることに成功 した。均一伸びの改善は破 断までの材料 の信頼性 を 改善 した ことを意味 してお り,実用化 が期待 され る。
53
プロジェク ト
ナ ノスケール組織 を有す る軽量材料 のナ ノ構造解析 に対す る走査型電子顕微鏡法 による解析 手法の確 立
本 プ ロジェク トでは,プ ロジェク ト 1で 開発 した合金 中の微細 な金属間化合物 の検 出を行 う 装置の開発 を 目指 した。Ludek Frank教授 との共 同研究 によ り図 1に 示す検 出器 を開発,作製
した。本装置 は既設 の電子顕微鏡 に取 り付 けることができるよ うに設計 され,また、図 2に 示 した よ うにナ ノメー トルサイズの異物 の存在 によつてわず かに変化す る電子線 の散乱 を検 出 で きる構造 になってい る。 さらに試料電圧 を変化 させ ることで、特定の構造 を持つ領域か ら の 2次 電子 を優先的に検 出できる。平成 14年 度 は、装置の設計,作製 と予備試験で終了 した。
15年 度 に Frank教授 とMullerova教授 を招聘 して、得 られ る画像の精度 とその発生原 因に関 す る理論計算 を実施す る予定である。 なお、本装置 は国内の電子機器 メーカーか ら販売 を希 望 されてい る。
0歌
騨
M