農 地 大学穿 青 学部 紀 要 Nn5 7 :1 6 7 ‑1 7 4 ( 平成1 5年)
幼稚 園 生 活 に お け る 幼児 の ス ト レ ス 対処 行動
一
保育者 の 評定 に 基 づ く 実態調査
‑小 林 真
(2 0 0 2年1 0月2 1日 受 理)
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A bstr a ct
T h is a rticle c o n sists of tw o.studie s. In Stud y I, tw e nty ‑fiv e kinde rga rte n te a ch er s r epo rted
str e s s ors pe r cie v ed b y yo u ng childr e n a nd their c opl ng beh a vio r in daily kind e rga rte n life・ T he r e w e r e v a riety of str e s s o r s in daily life a nd C hildr e n c oped b y v a rio u s w ays fo r the s e str e s s o r s・ In
Stud y II, the c opl ng beha vio r of l'8 9 childr e n w a s e v alu ated b y te a ch e r in ch a rge・ As a r e s ult of th e in v e stigatio n , that 5 ‑ye a r‑old childr e n m ai nl y to ok the c oping beha vio r b y pr ob le m s olving in
c o m pa ris o n wi th 3‑ a nd 4 ‑ye a r‑old ch ildr e n . T he n th e childr e n w e r e cla s sified into 6 gr o ups b y the clu ste r a n alysis o n c opl ng beha vio r s・ A m o ng th e gr o ups,it w a s sh o w n that the r e m a rkable diffe r e n c e o n the c opl ng beh a vio r e xisted .
キー ワ ー ド: ス トレ ス対 処 幼児 幼 椎 園 教 師評 定
K ey w o rds : str e s s c op ing,yo u ng childr e n ,k inde rga rte n,te a che r r ating
問 題 と 目 的
幼 児が日
常
生 活で どの ようなス トレツ サ ー に遭 遇 して い る か、 ま た どの ような対 処 行 動を取 っ てい る か につ い て はこれま で
十
分 な研 究
がなされて こな か っ た。 小 林 ・ 加 藤 (2 0 0 1) は, 幼 児が家 庭で遭 遇す るス トレ ツ サ ー と対 処 行 動に つ い て
報
告 して い る が、 幼種
園の生 活で出 会 うス ト レツ サ ーに
関
しては報
告が少ない。嘉
数 ・ 井 上 ・ 白 石 (19 94) が友 達との け ん か ・ 仲 間はずれ ・ 先 生に叱ち れ る とい っ たス トレ ツ サ ー の存 在を報 告して い る。 ま た堀 池 ・富
田 ・ 村 田 ・ 久 保 (1 9 99) は、 友 達との けん か ・
友
達に命令
さ れ る ・先
生に叱ら れ る ・ 園 行事
の練
習 ・ 雨の 日に思う ような遊 びが できない ・片づけを強 要さ れ る とい っ たス トレ ツサ ー が
存
在 すること を報 告
して い る。 し か しこうし たス トレ ツサ ー に対し て、 幼 児が どの よう な 対
処
行動
を取 って い る か、 そ して対 処 行 動に よっ て社 会 適 応が促 進さ れて い る か に つ い て は十 分な研 究
成
果が蓄
帝 さ れて いない 。L
ふ
z a r u s,& Fol km a n(1 9 8 4) はス トレ ス対 処 行 動を 大き く問 題 解 決 型の対 処と
情
動 焦 点 型の対 処に分 けて い る。 さ ら に これ ら を 8 つ の対 処 行 動に分 類 し た ものが成 人を対 象と し たス トレ ス マ ー ビング心 理 学 研 究 所,1 9 96) o 問 題 解 決 型と しでは計 画 型、
対 決 型の 2
種
類が あ り、情
動 焦 点 型と して は逃 避 型、 隔 離 型、 自己制 御
型、責
任受 容
型、 肯 定 評 価 型が あ る。 ま た、 問題
解 決と情
動 焦 点の両 者を含 む対 処と して ソ ー シ ャ ルサポ ー ト希
求 型の対 処 行 動が存 在
す る。 し か し幼 児に こうし た対 処 行 動の 分 類が当て は ま るか
どうか は今の ところ確
認さ れて い ない。 小 学生 を対 象に調 査を実 施し た大 竹 ・
島
井 ・嶋
田(1 9 98) は、 因 子 分 析に よっ て 問 題 解 決 ・ 行動
的 回 避 ・ 気 分転 換
・ サポ ー ト希 求 ・ 認 知 的 回 避 ・情
動 的 回 避の 6 因 子を抽 出し た。 そこ で本
研 究で は、 試 験 的に こ の 6 つ の対 処 行 動の分 類を幼 児に援
用 して、 対 処 行 動の実 態 調 査を行 う。まず 研 究Ⅰ に おい て 、 幼 椎 園 生 活に お け るス ト レ ツサ ー の
存
在を確
認し、 幼 児が どの よう な 対 処 行 動を と っ て い る か、 その概 要を調 査 する。 研 究、ⅠⅠで は、 対 処 行 動の発 達 的
変化
や性 差を検討
す る。さ らに、 ス ト レ ス対 処 行 動の個 人 差
(
対 処 行 動のパ タ ー ン
)
に よ っ て 幼 児をい くつ か甲
タ イ プに分 類 し、 そ れ ぞ れ の子 ど もに応 じ た保 育 者の支援
の あ り. 方を検
討す る。研 究 】
幼
稚
園の生活
で生じ る様
々 なで き ご とに.対して、そ れ をス トレ ッサ ー と感じ る子 ど も が どの程
度
v) るの か を明ら か にす る。方 法
対
象
者富
山 市 内の公立 ・ 私立幼稚
園に勤 務 する 教 諭2 5名。手 続き 堀 池ら(19 99) を も とに1 3種 類の ス トレ ッ
サ ー を記 載 し た質 問 紙 調 査を実 施 し た。 担 任す る 子 ど もの 中で そ れ ぞ れの ス トレ ッ サ ー を経 験す る 子 ど も が どのく らい い る か を訪ね た。 各ス トレ ツ サ ー に つい て、 1 : 全くい ない ・ 2 : あ ま りい な い ・ 3 : 半 分く らい い る ・ 4 : か な りい る ・ 5 :
非 常に た く さ んv) るの 5 段 階の 中か ら選 択して も ら っ た。 さ らに
自
由 記 述 欄を設け、 その他の ス トレ ツサ ー に は どの よ う な もの が あ る か、 ま た幼 児 は どの よ う な対 処 行 動を取 っ て い る か を記入 して
調 査
時
期 19 9 9年1 0月。結
果と考察
質 問
項
目と人 数をTab lel に示す。 どの ス トレ ツサ ー につ い ても、 非 常に た く さ んい る と回
答
し た 保 育 者はい な か っ た。 し た が っ て 、 ほ と ん どの子ど も が感じ る ような'
強
度
の(
あ るい は持 続
的な)
ス トレ ツサ ー は な く、 ス トレ ツサ ー の 感じ方に は 個 人 差が大きい こと が示さ れ た。
≒妻 き 妻芦 ± ‑ ‑ ‑ ‑‑ ‑‑
Q 2 遊 び の仲間 に 入 れ ない Q 3 友 達か ら命令され る
Q4 自分 が 使って い た もの を友達 に 取 られ る Q 5 使いたい道 具 が な い、ま た は 友 達 に使 われている Q 6 園行事( 運動 会や 発表会)が あ る
Q 7 園 行事の た め に練 習を しなけ ればならない Q8 遊びたいの に片プけ を しな け ればな らない Q 9 雨 の 日に 思 うような遊び が でき ない Q 川 先生に しか られ る
Q1 1 給 食ま た は お弁 当を食べる ま で遁ぺない Q1 2 新学期を 迎 え る
Q1 3 遅刻や 早 退 をする
次にス トレ ツサ ー 問の 人 数の違い を
検
討す る た め、 選択
肢の 1 と 2 を 1 点、 3 ・.4 を 2 点と
変 換
し、 コ ク ラ ン の Q
検
定を実 施 し た。 その結 果Q (1 2) ‑ 3 3.7 7 と なりl % 水 準で有 意な結 果が得ら れ た。 2 点と答え た保 育 者が多か っ たの は項 目1(
1 3人)
と項 目8(
1 2人)
で あ っ た。 1 点と答
えた保 育 者が
多
か っ たの は項
目1 3(
2 4人)
と項 目 l l(
2 2人)
で あっ た。 し た が っ て ク ラス の状 況に も よ る が、 比較 斡
多 くの子 ど も が け ん か や片づ け をス ト レツ サ ー と感 じて い る とい え よう。 ま た、給 食が終わ る まで遊べない こと を不 快に 感じ る子 ど も や、 遅 期 ・ 早 退な どで遊べ ない 、 ま た は その
日の生活の流れ に乗れ ない
等
の不快
感を感 じ る子 ど も は ほ と ん どいない こと が示さ れ た。自 由
記 述 で あげ られ たス トレ ツサ ー を Tabl e 2 に 、 対 処 行 動を Tab le3 に 示す。 Table2 か ら わ か る よ うに、 基 本 的生活 習 慣で の つ まずき、 友 達との ト ラ ブル、 集 団生活の ル ー ルが守れ な い と き、
とい っ たス トレッサ ー が存 在す るこ と が明ら かに なっ た。 こう し た場 合に幼 児は、 自 分の気 持ち を 言 葉で伝え る ・ でき る活 動だ け行う
(
問 題 解 決)
、 保 育 者や友 達に気 持ち を伝え る(
サ ポ ー ト希 求)
、八つ 当た り を す る ・ 言い訳を す る
(
行 動 的 回 避)
、 泣く(
情 動 的 回 避)
、 動物
や他の遊 びな どに目を 向け る(
気 分 転 換)
、 我 慢す る ・ 一 人に な る(
認‑ 1 6 8 ‑
幼稚 園生活に おける幼 児の ス トレ ス対 処 行動
Tabte2保 育者が あげた園生酒に おける ストレッサー
給 食が食べられない と き 絵 が描 け ない とき 順 番が守れない と き 友 達と の別れ
ゲー ム や リ レJT 負 けた と き
新し い も の ( 人 や場 面) に出 会った とき ( 特に, 入園 当初)
衣 服の着 脱が う ま く で き な い と き (汗を かいている と き、 裏返し を直すと きなど) 基本 的生T7;・習 慣(着脱 衣、 緋 鯉な ど) が身に付い て いない た め に, 友達の ベース にあわ せ
て‡手動できない
ク ラ ス単 位の話し合い などで. う る さ くする友達が い る とき 静か に話を聞かなけ れば なら な い とき
登園 時に親等とBI]れ る と き 牛乳を 1本飲まな ければ なら な い とき 特 定の友 達に いつも くっつか れ る とき 道具を独りLLi め し よ う とする と き 和式の トイレ を使う と き
Table3 保 育者があげた幼 児の対処 行 動
先 生や友達に つ らかった こ とを話 す、 慰 めてもら う 先 生に代わ り に( 友達を) 叱って も ら う 既に言う
保 育者に よ く話しかける 友 達に自 分の思いを言 葉で伝え る
友 達や保 育者か ら廃決のきっか けを 与え て も ら う ( 牛 乳に関し て) 飲め る量だ けをコ ップに注い で も ら う 泣く
物にあた る
叩く・引っか く・噛みつく など ( 衣 脂 を) 投 げ たりする
ウサギな どの動物に放れ る・動 物を 眺め るな ど 気持 ちを切り替え る
人 の目につか な い よ うなと こ ろ で一人 で考え る い ろ い ろ な言い訳をする
そ の場( あ る い iまそ の友 達) か ら離れ る 他の遊 びと告を向ける
お な か が痛く な る 友達に同調 する 我 慢する
知 的 対 処
) 等
め 対処
行 動を取 っ て い ること が明らか に な っ た。
これらの 結 果から、 ほ と ん ど す べて の子 ど も が
経
験す るス トレ ツサ ー は存
在 し な か っ た が、 子 ど も が全く経 験 し ない ス トレ ツ サ ー も あ ま り存
在 し な か っ た。自由
記 述の結
果を含めて、 幼稚
園 生 活 に おい て は艶
々なス トレ ツサ ー が存
在 することが 示さ れ た。 ま た、 これ らの ス トレツサ ー に対して、 幼 児は様
々な 対処行 動
を取
づ て い ることも 明ら か になっ た。 今後
は、 幼 児が用い る対処
行動
の発
達 的変化
と個 人 差を調 査 し、 幼 稚 園に お け るス トレス マ ネジ メ ン トを
検 討
して いく 必要
が あ ろう。研 究 】 t
幼 児が園 生 活の
中
で採 用 するス トレ ス対 処 行 動 を調 査し、 その発 達 的 変 化や性
差を明ら かにす る。 ま た、 ス トレ ス場面
で採 用す る対 処 行 動の パ タ ーンに どの よ う な個 人 差が み ら れ る か を探 索 的に検 討す る。
方 法
対
象者 富
山市 内
の私
立 幼稚
園の教諭
9名
。手
続
き質 問 紙
法に よっ て,各 教 諭
が担 任
する幼 児(i
8 9名)
が日 常 的に どの ようなス トレ ス対 処 行 動を取っ て い る か を調 査し た。 調 査 し た対処
行 動は, 大 竹ら(1 9 9 8) の報
告と調 査Ⅰの結 果を ふ ま えて選ん だ以 下の 6種
類で あ る。 す なわ ち、① 先
生古手 言 う(
サポ ー ト希
求)
、②
どうす ればよV、 か自
分で考
え て解
決 する( 問 題 解
決)
,③
泣 く( 悼
郵
的 回 避)
、④
当たり 散らす ・ 不満
を言 う(
行 動約 回 避
)
、⑤ 他
の遊 びに目を向け る .・ 動
物
と ふ れあうな ど
(
気 分転 換)
、⑥
あ きらめ る ・ 我慢
する ・ 何 もし ない( 認
知 的 回 避 ・ 対 処せず)
である。 こ れ らの 行 動に つ い て、 i : 全 くみ ら れ ない ‑ 4 : 非 常に よ く見ら れ るの4 件 法で評定
して も らっ た。調 査 時 期 1 9 9 9
年
1 1月結
果対 処 行 動の発 達 的
変 化
と性
差 対 処 行 動の発 達 的変化
と性 差を検
討 する た め に、 6 つの 対 処 行 動の 評 定 値を従 属変
数と し、年 齢
と性
別を独 立変
数と する 3 ×2 の多
変 量 分 散 分析
を実施
し た。 その結 果、 年齢
に関
して A ‑ .8 4 4,ド(1 2,5 5 6) =4.l l(p<. 0 0 1) 、性
に関
し て A =.9 3 6 ,ド(
6,2 7 8) =3 .1 9(p<.0 5)で有 意な
多
変 量 主 効 果が得ら れ た が、交
互作
用は有
意と な ら な か っ た。年齢
の主効
果につ い て個 別 変 量を検 討
し た とこ ろ、問
題解
決で は F =1 0.0 6 6 (p<.o o 1) 、情
動 的 回 避で は F =4.8 1 3(pく 0 1) 、 行動
的 回 避で は F =3.7 3 7(p<.0 5) の 有 意な主効
果が得
ら れ、 気 分転 換
と認 知 的 対 処 ・ 対 処せずで は主効
果が有
意傾
向と な っ た(
いずれもd f‑2,2 8 3)
0年 齢
差に関
し て は Tukey のW S D法に よ る多
重 比較
を 行 っ た.性
差に廃
して は、 サポ ー ト希
求で は F =3.■
○
'
■
保 育 専 の 評 定 Q
)
8女児 4且児
■S鼓児
Fig.1 サ ポート希 求
2 保 育 者 の 評 建 値
■̲▲
保 育 者 の 評 定 値
2 保 育 者 の 評 定 値
ヽ J
P I
保 育 者 の 評 定 値
保 有 者 の 評 定 値
3魚児 4虎児 5 達 見
Fig l 問題 群 決
さ鼓児 4& 児 5汝児
F ig.3 情動 的 回避
3鼓児 4 鼓泥
F‑t& 6 認 知 飽対 処・対 地せ す
有 意な主 効 果が得ら れ、 問 題
解
決と行 動 回 避で主効
果が有
意 傾 向と な っ た(
い ずれ も df=1,2 8 3) 。年
齢 ×性 別の平
均 値 ( グル ー プの 人 数が異な るので調 和 平 均を用い、た) を Fi g.l ‑ Fig.6に 示す。
Fi g.1 に示さ れ た よ うに、 サポ ー ト
希
求に̲よ る 対 処に年齢
差は な く、 女 児の方が有 意に こ の対 処 行 動を取 っ て い た。 Fi g.2 に示さ れ た よ うに、 問 題解
決で は 5 歳 児が 3 ・ 4 歳 児に 比べて有
意に多
くこ の方 略を と っ て おり、性
差は み ら れ な かっ た。Fi g.3に示さ れ た よ うに 、
情
動 的 回 避 で は 3 歳 児 が 4 ・ 5 歳 児に比べ て有 意に多
く こ の方 略を とって お り、 男 児の 方が こ の方 略を
多
く とっ■て い た。
Fi g.4 に示さ れ
た
よ うに 、 行 動 的 回 避で は 5 歳 児 が 3 ・ 4 歳 児に比べて有
意に こ の方 略を多
く とって おり、 男 児の方が
有
意に多
く こ の方 略を と っ て い た。 F i g.5 に示さ れ た ように、 気 分転 換
に関
す る主効
果は有 意 傾 向であ っ た が、多
重 比較
に よ れ ば5 歳 児が 4 歳 児に比べて有 意に こ の 方 略を多
くと り、 3 歳 児は その 中 間で ど ち らの
年
齢と も有 意 差が なし、 とい う結 果が得ら れ た。 気 分転
換に性
差 は み ら れ な か っ た。 認 知 的 対 処 ・ 対 処せずに つ い て は、 気 分 転 換と同様
の結 果が得ら れ た(F ig.6)0多
変 量 分 散 分析
の結
果か ら、 問 題解 卿こよ る対
処は 5 歳 児で
多
く、情
動 的 回 避(
泣く)
は 3 歳 児 に多
く み ら れ ること が わ か っ た。 ま た個 別 変 量の 主 効 果は有 意では な か っ た が、 5 歳 児は気 分 転換
や認 知 的 対 処を行う
傾
向が高
く、 5歳
児は より多
くの 対 処 行動
を身につ けて い るこ と が示さ れ た。性
差に関して は、 女 児でサ ポ ー ト希 求が多く、 男 児で行動
的 回 避(
八つ 当たり 等)
が多 くみ ら れ た。対 処
行
動の個
人 差年 齢
. 性 別・ に か か わ らず、採
用す る対 処 行 動の パ タ ー ン に は個 人 差が存 在す ると思わ れ る。 そ こ で評 定さ れ た幼 児す べて を対
象
に、 採 用す る対 処 行 動の パタ ー ン をいく つかに類 型 化を試み、 対 処 行 動の個 人 差を解 明す る。 その た めに、 6 つの対 処 行 動の得 点の相 関 係 数を類 似 度に用 い、 最 長 距 離 法に よ る ク ラス タ ー 分 析を試 み た。 ク ラス タ ー に分 類さ れ る人 数や対 処 行 動の 特 徴か ら、 6 ク ラス タ ー に分 類す るのが妥 当で あ る と判 断さ れ た。 各ク ラス タ ‑ の人 数は、 第1 群: 2 9 人、 第2 群 : 31 人、 第3 群 : 8 5人、
第
4 群 :‑ 17 0 ‑
幼 稚 園生活にお け る幼 児の ストレ ス対 処 行動
6 5人、
第
5 群: 2 2人、第
6群
: 5 8人で あっ た。ク ラス タ ー
間
の対処
行動
の違
い を検 討
する た め,対 処 行
動
の評定
値を従 属 変 数
と し、 6 ク ラス タ ー を独 立 変 数と す る多
変 量 分 散 分 析を行い、 Tukey のWS D法を用t、 て多
重 比政
を行 っ た. その結
果、A =0.0 7 8、 F(3 0,1 1 8) =3 3.1 8 9 と な り 0.1 % 水 準の
有
意な多 変
量 主効
果が得ら れ た。 個 別変
量を検
討し た
結
果, すべ て の 対 処 行動
で0.1 %水準
の 主効 果
が得ら れ た
(
サポ ー ト希
求: F ‑5 9.8 8 7、問題 解
決: F =2 4.1 6 5、情 動
的 回 避: F ‑3 6.02 3、 行動
的 回 避 : F =3 0.4 2 2、 気分 転 換
: F =1 9.3 0 7 、 認知
的 対 処 ・ 対 処せず: F =2 0.2 8 3 、 い ずれ も d f =5,2 8 4)
。各
ク ラス タ ‑ の対 処 行 動の得
点を F ig.7 に示す。
q 良 青 春 の 評 定 値
2 3 4 S 6
Fi長.7各クラスクーの対処行動
多
重 比較
の結
果から, サポ ー ト希
求に関
して は 3 群と 5 群が最も低く J 次い で 2 群, 1 群、 4 群の順に
高
くなり、 6 群が最
も高
い傾
向を示
し た。問 題 解
決に関し て は、 5 群が最も低く、 次い で 4 群、 6 群、 3 群の順に高
くなり、 1 群と 2 群は他
の ク ラス タ ー よJり も 有 意に
高
い傾 向を示し たo情 動
的 回 避に関
し て は 2 群が最も低
く, 次いで 6 群、 1 群と 3 群、 5 群の順に高
く なり、 4 群が最
も高
い
傾
向を示し た。 行 動 的 回 避に関
して は、 1 群と 3 群が最 も低
く, 4 群と 6群
が中 程 度
で、 2群
と 5 群が最
も高
い傾
向を示し た。 気 分転換
に関
して は、 1 群 ・ 2 群 ・ 4 群が低
く、 3 群 ・ 5群
・ 6群
が高い傾 向を示し た。 認 知 的 対 処 ・ 対 処せ ずに関 して は, 2 群と 4 群が最も低く、 次い で 6 群 ・ 1 群 ・ 5 群が中 間に位 置し.、 3 群が最も
高
い傾 向を 示し た。多
重 比 較の結 果と F i g.7 に基づい て、 各ク ラス タ ‑ の 特 徴を ま と め た もの を Tab le4 に示す。 第 1 群は主と して問 題 解 決によ る対 処が高
く、 行 動約 回 避
( 攻 撃 的
な発 散)
や 気分 転 換
・ 我慢
などの対
処
を取
ら ない子 どもたちである。第
2群
は問題 解
決に よ る対
処 も 行 うが, 行動
的 回 避が高
い 点で 第 卜群と は異なっ て い る.第
3 群は サポ ー ト希 求 が低
く, 気 分転 換
や認 知 的 対 処な ど が高
い こと から, 自 分 一 人で ス トレ ス場 面に対 処し てい る子 ど も とv) え るo
第
4 群は サ ポ ー ト希
求と情
動 的 回 避(
泣 く)
が高
い こと から、 周 囲の 人(
主に保育
者)
に頼 っ てス トレ ス場
面
を解
決して もら おうとす
る 子 ど も た ち で あ る。′
第
5 群は行 動
的 回 避 ・ 気分 転
換
・ 認 知 的 対 処 等の 3 種 類の対 処 行 動が高
く、 荒 れ たりその場を避け たりす る とい っ た行動
を取
り やすい子ど もで ある とい え る。第
6 群は サポ ー ト希
求と気 分転 換
が高
く、 問 題解
決や情
動 的 回 避が 低い こ と か ら、・
情
動中
心 的な対 処を多
く取る子 どもである とい え る。
Tab le 4 各 ク ラスタ‑ の対 処 行 動の特徴
1 群 2 群 3 群 4群 5群 6 群
サ ポー ト希求 問 題解決 情 動 的 回避 行 動 的 回避 気分転 換
認 知 的 対 処・ 対 処 せず
高 中 低 中 高
、中
低 低 中 高 高 高 高 低 高 中 低 低 低 中 中 底 高 南 中 高 低 高 低 低 中 高 中 低 低 中
考 察
研
究ⅠⅠ か ら、 5 歳 児に な る と比較
的多 様
な対 処 行動
を と る こと が わ か っ たo また、 女 児の方が サ 求 ‑ 、ト を求め る度
合いが高
く, 男 児に行 動 的 回 避 が多
くみられ ること が わ か っ た。 し た が っ て、自
分で ま だ十 分な対 処 行 動が と れ ない 3 ・ .4 歳 児に 対して は、 保 育 者が サポ ー タ ー と な っ て情
動 制御
を は か っ たり、
問 題 解
決を支援
する こと が必 要で ある とい える。 ま た、 男 児に行動
的 回 避(
八つ 当 たり など)
が多
くみら れる が、 こ のような対処
行 動の後で保 育 者が子 ど も を注 意す る と, か え っ て 興奮
を あ お っ て し ま う可 能性
が あ る. 平 山(1 9 9 4)の事 例の よ う に、 保
育 者
が サポ
ー タ ー と な っ て 子 ど もの 不 快な情
動を緩
和す ること が む し ろ効 果 的で あ る と思わ れ る。 男 児は女 児に比べて
自
発 的に サ ポ ー ト を求めてく るこ と が少な いた め、 保 育 者の方か ら賛 極 的に ス トレ ス場 面に介入 して いく必
ま た、 対 処 行
動
の パ タ ー ン に よっ て 子ど も を 6つ の ク ラス タ ー に分 類 し た が, サ ポ ー ト を求め る 子 ど も や, 一 人で対 処 する子 ど も な ど、 様々 な タ イプの子 どもがい るこ と が明ら か に なっ た..
一 人
で対 処 する場 合 も、 問 題
解
決を多
く用い て ストレツサ ー その もの を
軽
減で き る場 合と, その場を離
れ たり 他の こと に目を向けて不快
な情
動を緩
和 する 子 ど も な ど、 対 処の仕 方は様
々で ある。 し か し嶋
田(1 99 9) が述 べて い る ように、 些細
なス トレツ サ ーであ っ て も その
経
験頻 度
が高
い場 合に は、 徐々 に 心身
の健
康を崩 し て し ま うこと'がある. ス トレツサ ー その もの を
軽
減でき ずに自
分 一 人で情
動 中 心 型の対 処を して い る子 ど も に対して は、一 人で我
慢
で きて い る か ら とい っ て 放置
して おくこと は望 ま し くない 。 保育 者
は、 子 ど もの 対 処 行 動の特
徴 を十
分に把 握 して お く必 要が あ る だ ろ う。全 体 的 考察
本
研 究で は、 2 づの調 査か ら お お む ね次の こと が明 らか にな っ た。 まず 研 究Ⅰで は、 幼稚
園の生 活に おい て、 子ど も た ち は様
々 なス トレ ス 場面
に 対 時して tゝるこ と、 そ して こう し たス トレ ツ サ ーに
様
々 な や り方で 対 処して い ること が示さ れ た。次に研
究
ⅠⅠ に おい て、 5 歳に な る と各 種
の対 処 行 動を使
用できる/こ と、 さ ら に女 児は
自 発
的に保 育 者や友 達にサ ポ ー ト を求め る が男 児は サ ポ ー ト を 求め ること は少な く, む し ろ行 動 的 回 避を行うこ と が示さ れ た。 2 つ の研 究考
ふ ま え る と、 保育
者 は子 ど も が幼 稚 園の生 活におい て不 快な情
動を感 じ た と き に、 よいサ ポ ー タ ー と して振
る舞
う こと が重 要で あ る と考え ら れ る。 特に 3 ・ 4 歳 児の場 合に は対 処 行 動が限 定さ れて い るの で、 保 育 者がス トレ ス場 面を察 知して子ど もに 関わ る こと が必 要であ る. ま た研 究II に お け る ク ラ
.ス タ
ー 分 析か
ら、 年
齢
や性 別を問わず 幼 児ゐ
対 処 行 動に は個 人 差が あ ること が示さ れ た。 し た が っ て、 保 育 者が 子 ど も 一 人 一 人の対 処 行 動の特 徴 を把 握 し な が ら サ ポ ー タ ー と して機 能す るこ と が重 要で あ る とい え る。本 研 究では、 保 育 者の評 定に基づ いて幼 稚 園の
に つ い て の調 査を行 っ た。 し か し研 究ⅠⅠで幼 児を 6 つ の ク ラス タ ー に分 類し た が、 こう し た対 処 行 動の タ イ プの 違い が心 身の健
康
と由
達 して い る か どうか に つい て は本
研 究か ら は明ら か に な っ て い ない。 今後
は、 幼 児が どの よ う な場面
をス トレ ツサ ー と感じて い る か、 そ し て その ス トレ ツ サ ー に どの よ う に対 処して い る か, さ らに対 処 行
動
の タイプに よっ て 心
身
の健 康
に違いが み ら れ るの か を検
討し ていく必 要が あ る。特
に、 保 育 者を ソ ー シ ャルサ ポ ー トの提 供 者と し て利 用して い る幼 児と、
自
分∵人で対 処して い る幼 児の間に メ ン タル ヘ ルス 上の差 違が生‑じて い る か ど う か を調 査して い く 必 要がある1. も し
自
発 的に サポ ー ト を利 用できて いない幼 児が、 メ ン タル人
ル ス上の問 題を抱え て い るの であ れば
、 保育者
が子 ど もの ス トレ ツ サ ー を敏 感に受け止め、 よいサポ ー タ ー に な るこ と が 重 要だ からで あ る。 こうし た研 究の発 展に よ っ て 、幼 児の対
処
行 動の違い を認 識し た上で保 育者
が よいサポ ー タ ー にな れ る ような、 保
育者
へ の教 育 プロ グラム の
開
発が必 要に な るで あ ろ う。引 用 文 献
平
山 許 江 1 9 9 4社
会 的 行動 様
式の 問題
へ の関わり (2) 一 積 極 型の享
ど も へ の 働き か け‑ . 福島
備美 (
編 著
) 乳 幼 児 保育 臨床
学福
村 出 版堀 池 美
菓
子 ・富
田 昌平
・ 村田陽 子 ・ 久 保秀
和 1 9 9 9 幼 児の 園 生 活に お け るス トレ ス に関す る研 究. 幼
年
教育 年 報
,2 l,1 9‑2 5.嘉
数 朝 子 ・ 井 上 厚 ・ 白 石 敏 行 1 9 94 幼稚
園に お け る幼 児の心 理 的ス トレ ス及 び 対 処 行 動. 琉 球 大 学 教 育 学 部 紀 要,4 5, Ⅰ,1 5‑29 .小 林 真 ・ 加 藤 知 里 2 0 0 1 幼 児の ス トレ ス 対 処 行 動 に気 質と
食
生 活が及 ぼす影 響.富
山 大 学 教育
学 部 研 究 論 集,4 ,5 9‑6 6.ラ ザ ル ス, R . S . & フ ォ ル クマ ン, S . 1 9 9 1 ス トレ ス の心 理学 一 認 知 的 評 価と対 処の研 究 ‑ . 実 務 教 育 出 版
(
La z a r u s,R.S. 良 Folkm a n,S. 19 84 StT e S S, aP Pr a ]'
s al a nd c op) ng. Ne w Yo rk : Springe r Publishing.
)
日本 健 康心 理学 研 究 所 1 9 9 6 ラザス ル式ス トレ ス
‑ 172 ‑
幼 稚園
生
活にお け る幼児の ストレ ス対 処行 動‑ コ ー ビン グイ ン ベ ン ト リ ー
(
S C I)
.実務 教 育
出版
大 竹 恵 子 ・
島
井哲
志 ・嶋
田洋徳
1 99 8 小学
生のコ ー ビン グ方 略の実 態と役 割. 健 康 心理学 研 究,l l, 3 7‑4 7.嶋
田 洋徳
1 9 9 9学 校
ス トレ ス と教育 問題
の 予 防 小林
正 幸( 編 著)
実 践 入 門 教育
力 ケン セ リング ー
学校
で生かすカ ウン セリン グの理論
と技
法 一 川島書 店
P p.1 4‑2 3.付 記
本 研 究
の デ ー タを収 集
する に あ たり、富
山 大学
教育 学部
生(
当 時)
の大 童優
子さ んの協
力を得ま し た。 こ の場を借りて , 感 謝の意を表
し ます。 ま た, 調 査卑
こ協
力し てい た だい た幼稚
園 教諭
の皆
さん に感 謝い た し ます。
な お