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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ショ糖存在下におけるサルモネラの熱および酸耐性 とその機構に関する研究

郭, 越

http://hdl.handle.net/2324/4060227

出版情報:Kyushu University, 2019, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (2)

(2)

氏 名 郭 越

論 文 名 Study on the heat and acid tolerance and underlying mechanisms in Salmonella in the presence of sucrose

(ショ糖存在下におけるサルモネラの熱および酸耐性とその機構に関する研究)

論文調査委員 主 査 九州大学 教授 宮 本 敬 久 副 査 九州大学 教授 井 倉 則 之 副 査 九州大学 准教授 本 城 賢 一

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

サルモネラはストレス耐性の高い食中毒細菌であり、チョコレートやピーナッツバターなどの低 水分活性食品を原因とする食中毒事件の原因菌として重要である。ショ糖は甘味の付与だけでなく 水分活性を低下させて保存性を向上させることから広く食品に利用されている。本研究は、ショ糖 がサルモネラのストレス耐性に与える影響とその機構について検討したものである。

まず、ショ糖が Salmonella Typhimurium NBRC 12529の熱耐性に与える影響を調べている。トリ プチケースソイブロス (TSB、aw = 0.99) および35%ショ糖含有TSB(35TSBS+、aw = 0.95)中で37℃、

24時間培養した菌体をそれぞれの培地に懸濁して60℃で5分間加熱すると生菌数は低下するが、TSB で培養した菌に比べて 35TSBS+で培養した場合には生菌数が 3 桁高いことを示している。このとき 90%以上の生残菌は回復可能な損傷状態であった。また、加熱処理後のS. Typhimuriumの非損傷菌 数に大きな違いは認められないが、生育培地のショ糖濃度の増加に伴い回復可能な損傷菌の割合が 増加することを明らかにしている。さらに、DNAマイクロアレイ解析の結果、35TSBS+で培養後には TSB で培養した菌体に比べてスーパーオキシドディスムターゼ、鉄代謝および外膜タンパク質関連 遺伝子群を含む79遺伝子の転写量が減少し、コバラミン合成およびプロパンジオール代謝関連遺伝 子群を含む207遺伝子の転写量が増加することを見出している。このうちコバラミン合成を正に調 節するpocR欠損株を作製して35TSBS+で培養後に調べた結果、加熱処理後の生残率が野生株に比べ て有意に減少し、本遺伝子産物の機能がショ糖存在下におけるサルモネラの熱耐性向上に重要であ ることを明らかにしている。

次に、S. Typhimuriumの酸耐性に対するショ糖の影響を調べるため、人工胃液(消化酵素などを 含む、pH 2)中におけるS. Typhimuriumの生菌数変化を経時的に測定している。その結果、人工胃 液で1分間処理後には、TSBで培養したS. Typhimuriumの生菌数はほとんど減少しないが、35TSBS+ で培養した菌では5桁減少することを示している。ショ糖存在下における培養中に酸化ストレス応 答遺伝子群の転写量が減少することが、生菌数減少の原因の一つとして重要であると推察している。

また、35TSBS+培養菌を 60℃で 5 分間加熱し、さらに 3 時間の回復培養を行うことにより酸耐性を 回復することを見出している。DNA マイクロアレイ解析の結果、回復培養 3 時間目には膜電位の回 復に機能するファージショックタンパク質関連遺伝子群の転写量増加が顕著なことから、膜電位の 回復はS. Typhimuriumの酸耐性回復に重要であると考察している。

以上要するに、本研究の成果は、食品の安全性の確保に重要な基礎的知見を与えるもので、食品 衛生化学および食品微生物学の発展に寄与する価値ある業績と認める。

よ っ て 、 本 研 究 者 は 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 得 る 資 格 を 有 す る と 認 め る 。

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