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異種間生殖細胞補完法による希少動物種の新規保存技術の確立

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Academic year: 2021

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平成 28 年度 研究経過報告書 研究者名 岡村 大治 研究課題名 異種間生殖細胞補完法による希少動物種の新規保存技術の確立 研究目的・内容 本研究では、生息域内・生息域外保全などの従来の取り組みによって個体数の減少を食い. 止められない哺乳動物種を最新の発生工学的手法によって救済することを目的とし、「異種. 間キメラ生殖細胞補完法による希少動物種の新規保存技術の確立」を目指すものである。将. 来精子や卵子へと分化・成熟する生殖細胞で特異的に発現し、且つその遺伝子改変マウスに. おいて生殖細胞の完全欠失が報告されている遺伝子に着目し、これらを次世代ゲノム編集. 技術を使ってマウス受精卵内で破壊する。そして、希少哺乳動物の体細胞クローン胚から樹. 立した ES 細胞を当該マウス胚盤胞に注入し仮母親マウスの子宮内に移植することで、ドナ ー由来生殖系列細胞を排他的に持つマウス-ドナー動物異種間キメラ個体の作出を目指す。 研究の経過 当該研究期間に達成すべき内容は、(1)次世代ゲノム編集技術を用いた宿主(マウス)由 来の始原生殖細胞を欠失する胚の作製と、(2)当該胚盤胞への ES 細胞注入による生殖細胞 補完法の確立である。(1)次世代ゲノム改変技術を用いたマウス受精卵におけるゲノム編集 技術は広く普及し非常に完成度が高く、さらに近年エレクトロポレーション(電気穿孔法). によるプロトコルも一般化されつつあるため技術的懸念は少なく(従来は受精卵へのマイ. クロインジェクションであるため、実験従事者の習熟度によって成功率に大きく差が生じ. た)、受精卵へのゲノム編集は速やかに遂行されるものと思われる。当研究チームも当該技. 術に最適化されたエレクトロポレーションを設置し、現在標的とする内在生殖細胞の欠失. に向けてマウス受精卵へのゲノム編集を試みている。また、マウス受精卵におけるゲノム編. 集に先んじて、当該ゲノム編集が標的遺伝子に対して高効率且つ特異的に行われるかを見. 極めるために、ES細胞を用いた標的遺伝子のゲノム編集における破壊を試行した。我々は、 非常に高い効率で複数の標的遺伝子に狙ったゲノム編集が遂行されたことを確認した。そ. こで今後は(2)上記で作製した生殖細胞欠失胚を胚盤胞まで生育させた上で、ES 細胞を注入 することでキメラ個体の作製を試みる。その際、その実現に向けた検証手順として、①マウ. ス ES 細胞→②ラット ES 細胞→③そして最後に希少動物種の体細胞クローン ES 細胞を用 いた異種間キメラを作製していく計画である。まずはキメラ形成能が確認されているマウ. ス ES 細胞を用いることで、キメラ個体内で ES 細胞由来生殖細胞のみで構成された精巣・ 卵巣を確認し、「生殖細胞補完法」のシステムとしての確立を目指す。もっとも重要かつ懸. 念すべき点は、遺伝子欠損胚への ES 細胞の移植によって生殖細胞が補完されるかどうかで ある。万が一、これらの遺伝子欠損胚で実現しなかった場合は、それ以外の生殖細胞特異的. な遺伝子を標的として実施する予定である。. 本研究と関連した今後の研究計画 次世代ゲノム編集と異種間キメラ技術を用いた宿主臓器の補完法は、近年非常に注目さ. れている。本提案課題はその実用例の一部でしかなく、今後はげっ歯類に止まらず、ブタや. ウシなどの家畜を含めた多様な種にも広がる可能性を我々は示している(Wu et al., Cell, 2017)。その野心的な目標は、他種動物内でのヒト臓器の作成に他ならない。しかし現在ま でに、その標的となる遺伝子または臓器として明確に証明されたものは、膵臓におけるPdx1 遺伝子(Kobayashi et al., Cell, 2010)しかなく、今後は各臓器における破壊標的遺伝子の 探索が求められる。 (平成 29 年 3 月 31 日現在)

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