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3. 7. 4 電磁波計測研究所 時空標準研究室

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3. 7. 4 電磁波計測研究所 時空標準研究室

室長  花土ゆう子 ほか 33名

情報通信の基盤となる正確な周波数と時刻を作り・測り・届けるための超高精度技術の開発

【概 要】

周波数標準は、無線通信における利用周波数帯の拡大や、光通信技術の開発と導入による超大容量化等が進 む情報通信システムの維持・発展を支えるとともに、時刻の定義や広範な精密物理計測の基盤となっている。こ の周波数標準のさらなる高精度化、高信頼化等を図り、この分野における国際競争力を一層強化することを目 的として、テラヘルツ帯など現在実現されていない新たな領域の周波数標準を確立することなどの高度利用技 術、これまでのマイクロ波領域に代わる光領域の周波数標準の開発、およびその評価のための時空計測技術の 高度化等の研究開発を行う。

【平成 25年度の成果】

(1) 標準時および周波数標準の発生と供給に関する業務

日本標準時の発生では、標準時分散管理システム構築のため、

未来 ICT研究所内に整備した施設に原子時計を移設・設置し、

新計測システムの構築および計測制御ソフトウェアを開発した

(図 1)。また、誤差が最少になるリンク経路を自動判定するプロ トコルの開発、一括管理データベースを設計・構築するとともに、

現地における試験的な時系発生実験を開始した。

日本標準時の供給においては、標準電波送信設備の老朽化対策 として、はがね山標準電波送信所における設備更新を進めるとと もに、おおたかどや山標準電波送信所の設備更新にも着手した。

テレホン JJYでは平成 24年度より月間 14万アクセスを超える状況が続き、公開 NTPサービスでは 1日あ たりのアクセス数が 2億件を突破した。タイムスタンプに関しては、平成 23年度に日本工業規格 JIS X 5094 として標準化した時刻配信・監査方法について国際標準化機構(ISO)での手続きを進めた結果、平成 25年 に ISO/IEC 18014 part4の国際規格原案となった。標準電波を用いた周波数遠隔校正に関しては、沖縄、金 沢およびサロベツにおける実証実験を継続するとともに、日変動や季節変動に伴う受信状況の変化に対応す るため、アンテナなど受信系ハードウェアを改良し受信同期精度を向上した。

国際活動としては、うるう秒対応議論が平成 27年世界無線通信会議(WRC-15)の議題になったことに伴 い、WP7Aのみならずアジア・オセアニア地域無線通信連合 WRC準備委員会(APG-15)に参加するなど対 応を強化し、日本の立場を主張し各国に働きかけを行った。

(2) 次世代周波数標準器の研究開発

In+イオントラップ型光時計の研究開発においては、Ca+/In+共同冷却サブシステムや時計レーザーサブシ ステム等、時計遷移周波数精密計測システムを構成する主なサブシステムの稼働を開始し(図 2)、これらを 統合運用して時計遷移観測実験に着手した。

Sr光格子時計では、極低温環境の実現により確度向上を目指 す新型 2号機において、十分な真空系の冷却到達温度を達成し、

この真空槽内で Sr原子線の生成を行い、原子群を生成・捕捉し た。一方、実用化を目指す 1号機のシステムにおいては、細部の 最適化を進めて長時間の連続運転を可能とし、また光格子を形成 するレーザーの周波数について従来よりも安定度を 1桁以上改 善して、ドイツの Sr光格子時計との周波数比較実験で顕著な成 果を上げた((3)参照)。また、新たな試みである超高安定光源の 開発を開始した。

マイクロ波周波数標準の分野では、セシウム一次周波数標準器

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図 1 標準時分散管理システム構築のため 未来 ICT研究所に整備した施設

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図 2 In+イオントラップ型光時計における サブシステムの開発

(2)

3. 7 電磁波計測研究所

(NICT-CsF2)の開発において、周波数シフト量の不確かさが 1016台であることを確認するとともに、更に不確かさを低減す べく新計測手法に取り組んでいる。

テラヘルツ周波数標準に関しては、差周波発生によるサブテ ラヘルツキャリア光源における計測精度を評価し、1THzに迫る 周波数帯においてもマイクロ波標準の安定度を損なわないこと を実証した。またテラヘルツコムの高度化を実施し、0.3 THzで 1017台の周波数計測精度を達成した(図 3)。この結果は速報論 文誌に掲載されるとともに、Nature Photonicsのリサーチハイラ イトとして紹介された。また世界初のテラヘルツ周波数分周器 を開発した。昨年度に JournalofPhysicsB誌に掲載された、分 子イオン THz周波数標準において 1016以上の確度を達成する ために必須となる無摂動状態の精密分光の提案が、同誌の「2012 年ハイライト論文」として選出された。 また、テラヘルツ研究セ ンターに対して、時空標準研究室の有する周波数安定化技術を 提供して 3THz量子カスケードレーザーの位相ロックの実現に 大きく貢献した。

(3) 高精度な時刻・周波数比較・伝送技術の研究開発

衛星双方向周波数比較に関しては、搬送波位相(キャリア フ ェ ー ズ)方 式 で、世 界 で も 最 長 基 線(約 9,000km)と な る NICT PTB(ドイツ物理工学研究所)間にて実証実験を実施し、

国内短基線と変わらない測定精度(0.2ps@1s)を得た(図 4)。こ れは搬送波位相を用いない従来方式での精度を 2桁以上上回る 精度である。また、同基線において衛星双方向比較による Sr光 格子時計直接比較を実施し、不確かさ 1.6×1015での周波数一致 を確認した(図 5)。これは世界初の大陸間の光標準直接比較実 験であり、双方向搬送波位相方式が光標準の国際周波数比較に 有用であることを示した成果である。

国際活動としては、ESA(欧州宇宙機関)が推進する国際宇宙 ステーションを用いた高精度周波数比較実験 ACES計画に関し て、国内関係機関(東京大学・産業技術総合研究所)の意見を束 ねて参画し、地上局を配備する世界 7機関の 1つとして世界中の 候補の中から NICTが選ばれ、日本代表機関として地上局の運用 管理を行う予定となった。

VLBI周波数比較に関しては、電磁界シミュレータを利用して 大型カセグレンアンテナに対応した新しい広帯域フィード

(6 14GHz)の試作器を設計・製作し、鹿島 34m アンテナへ搭載 した(図 6)。合わせて超小型アンテナの広帯域化を行うととも に、実証実験のため鹿島・小金井・つくば(産業技術総合研究所 と協力)の 3局へのシステム配備を整えた。データ取得系におい

ては、新規開発した高速 A/D変換器の性能評価試験により課題の洗い出しを進め、RFダイレクトサンプ ラのスケジュール観測に対応したデータ記録ソフトウェアの整備も行った。さらに鹿島 小金井間の高速回 線を整備し分散処理システムの基盤整備を進めた。統合解析ソフトウェアに関しては、VLBI+GNSSデータ、

および地上測量データを統合解析する機能実装を実現した。このソフトウェアを使って VLBIと GPSの統 合解析を実施し、統合解析の有効性を確認した。さらに、実データを用いて VLBI、および GNSS周波数比 較の解析を試行した。

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図 3 テラヘルツコムの周波数計測精度

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図 5 PTB(独)Sr光格子時計と NICT_Sr光 格子の周波数比較結果

図  34m アンテナ用広帯域フィード

参照

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