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地域コミュニティと自主防災組織
徳島県西部地域つるぎ町を事例として教科・領域教育専攻 社会系コース
中 西 美 佳
本論は、 1995年阪神・淡路大震災や2011年 東日本大震災等の大災害を教司11として、近年全 国的にその重要性が調われている自主防災組織 と地域コミュニティの在り方について考察する。
第1章では、自主防災組織の沿革、法律との 関係、全国的な現状についてみていった。自主 防災組織とは、地域住民が自主的に連帯して防 災活動をおこなう任意団体のことである。 1963 年に作成された防災基本計画の中で、「自主防 災組織」とし、う用語が公的な文書として初めて 用いられ、行政機関への協力機関のーっとして 位置づけられた。そして、 1995年阪神・淡路大 震災を契機に地域の防災力に注目が集まり、同 年、災害対策基本法が改正された。その中で、
行政の責務のーっとして自主防災組織の育成が 明記され、自主防災組織の法的根拠となった。
ここで、日本における防災意識と自主防災組織 について分析をおこなった。2004年から各都道 府県において防災意識の高まりがみられ、自主 防災組織数、組織率も年々増加していることが わかった。
第2章では、主に徳島県の災害や防災につい て考察している。明治以降に徳島県で発生した 主な災害の資料をもとに、徳島県の災害特徴を 分析した。その結果、徳島県の災害は吉野川│沿 岸地域、太平洋に面する県南部、山間地域であ る県西部などその地理的特徴によって、違いが みられることがわかった。徳島県は、徳島県立
指 導 教 員 山 本 準
防災センターの設立やウェブサイト、 SNS、安 否確認メールなどを通じてそのような災害に備 えている。徳島県の自主防災組織の現状として は、組織率が 2014年時点で92.7%と全国平均 の80.0%を大きく上回っている。そのことから、
徳島県は全国的に見て自主防災組織の育成に力 を入れていると考えられる。
第 3章では、本論の研究対象地域である徳島 県西部地域つるぎ町自主防災組織の概要把握と 機能分析をおこなった。つるぎ町は、 2014年
12月 5日に未曾有の大雪により一部集落の孤 立が発生した。この雪害が起こった集落は、旧 半田町八千代地域の 10集落である。この雪害 からみえてきたつるぎ町の課題として、停電対 策、通信途絶対策、町の組織づくり、県と町の 連携の4点があげられた。
次に、つるぎ町の自主防災組織の現状につい て考察をおこなった。つるぎ町は 2006年に「つ るぎ町地域防災計画」を作成し、自主防災組織 体制の整備と育成がおこなわれた。その結果、
2014年につるぎ町自主防災組織は全24組織で 組織率が 100%となった。その自主防災組織24 組織の区域をつるぎ町地図に示してみると、北 部の比較的人口の多い地域では一組織あたりの 面積は小さいことがわかった。一方で、南部の 山間部では、一組織あたりの面積が広大となっ ていることがわかった。さらに、自主防災組織 ごとの高齢化率について考察した。2010年現在
- 264 - において、つるぎ町自主防災組織24組織中 10 組織が65歳以上の人口が全人口の50%以上で
あるいわゆる限界集落で、あった。これら限界集 落は、つるぎ町南部の山間地域、雪害のあった 旧半田町八千代地域に多い。一方、比較的人口 の多い中心部は、一部地域を除き高齢化率が低 かった。そして、つるぎ町の日浦地域、高清地 域、西浦地域の自主防災組織への聞き取り調査
をまとめた。
第4章では、本論における分析全体を通じて みえてきた自主防災組織の現状と課題について 論じている。まず、聞き取り調査をおこなった 3地域ごとに課題点をあげた。行政主導で結成 し、住民の参加意識が高い日浦地域の課題は、
①運営資金、②交通インフラ、③会員の高齢化 である。同じく行政主導であるが、住民の参加 意識が低い山間部の高清地域の課題は、①会員 の参加意識、②他国体との役割明確化、③交通 手段、④組織活動範囲である。一方行政主導で 住民の参加意識は低いが、つるぎ町の中心部で ある西浦地域の課題は、①会員の参加意識、② 他団体との役割明確化である。次に、つるぎ町 全体の自主防災組織の課題として、①組織内連 携、②組織と町の連携、③組織間格差、④組織 活動範囲、⑤会員の高齢化の5つがあげられた。
そして、これらつるぎ町自主防災組織の現状 と課題を踏まえて、今後の自主防災組織の在り 方について考察していった。ここで、取り上げ た自主防災組織の課題は、各自主防災組織が努 力してし、かなければならない課題、各自主防災 組織と行政の力が必要な課題、自助の強化をは かる必要のある課題に分けることができる。こ のことから、今後つるぎ町自主防災組織を機能 させていくためには、地域の力(共助)だけで なく、共助を支えて調整する行政の力(公助)
や自分の身を守る備えをする住民の力(自助) が必要であると考えた。自助、共助、公助が密 接にかかわり合い、連携することがそれぞれの 地域特性に合った共助の実現につながるのでは なし、かと結論付けられる。
自主防災組織の全国的な現状、徳島県の自主 防災組織の現状、そしてつるぎ町の自主防災組 織の現状を分析し、さらにつるぎ町の自主防災 組織3地域への聞き取り調査をおこない、実感
したことが 3,京あった。
一つ目は、行政からのトップダウンにより自 主防災組織の組織率が 100%になっただけでは、
共助は成り立たないということである。住民が 必要性を感じ、参加意識を持ってこそ共助は実 現可能といえるのではないだろうか。
二つ目は、会員の高齢化への対応についてで ある。高齢化の進んだ地域において、安全に生 活できるようにするためには、自助、共助、公 助の連携が大切である。その中でも資金が極力 かからず、早期に実現可能な方法を考えていく 必要がある。
三つ目に、自主防災組織の活動は、近隣住民 のコミュニケーションの場となり、普段の生活 においても助け合うことができる安心安全な地 域づくりにつながるのではないかということで
ある。
本論では、様々な自主防災組織の課題をあげ、
その在り方について考察をおこなってきた。し かし、つるぎ町の自主防災組織全てを分析する ことはできなかった。したがって、今後もつる ぎ町自主防災組織に注目し、よりよい自主防災 組織の在り方について考えを深めていきたい。
また、つるぎ町における地域の担い手の一人と して「共助」という考え方がつるぎ町に長く根 付いていくよう努めていきたい。