フインランドにおける段階的教育支援
」寺別なニーズを必要とする児童に対する外国語活動への活用-
特別支援教育専攻 中村友香
問題と目的
小学校学習指導要領の改訂により英語教育の 必要陛が高まっている。近年,特別支援学校や 特別支援学級に在籍している子どもが増加する 傾向にあり,特別支援教育における英語教育を 支援する取り組みも重要な課題であるといえる。
一方で,経済協力開発機構⑩EC功による国際 学習到達度調査(PISA)の好成績から注目され ているフインランドにおいては,長年小識で 教科として英語が教えられており,その英語力 はTOEFL(iBT) スコアの結果を見ると,世界上 位にランキングされている。フインランドの小 学働4-.語教育を見ることによって,今後の日本 の小学校における外国語活動の方向性を探るこ とができると考えられる。
フィンランドでは約30%の子どもが特別ニー ズ教育を受けている(Linda・Markku, 2011)。
フィンランドのユヴァスキュラ市ではナショナ ルコアカリキュラムに従って,三段階支援を提 起しており,是永ロ013)はこれらが子どもの 早期支援の機能を担っており,学力形成に良い 影響を与えていると分析している。
フインランドにはネウボラと呼ばれる子育て 支援施設も存在する。フインランドの特別支援 学校は日本の特別支援学校とは異なり,学習や コンサルティングのセンターとしての役割を果 たしている。地域の児童生徒,教員,学校スタ ッフ及び保護者のためのトレーニング共教材の
指導教員 高橋眞琴
開発及て雌供,研究などが行われている。これ らの施設が連携することで,子どものさまざま な障害などの早期発見や,障害の重度化・深刻 化の回避べ岬期支援に大きな役割を果たしてお り,フィンランドにおける特別ニーズ教育の充 実とも深く関わっていると考えられる。
そこで本研究では,フィンランドにおける段 階的教育支援について,インクルーシブ教育シ ステムやそれを支える様々な支援体制や実際の 学校での授業実践などから整理するとともに,
日本の小判交英語教育,中でも特別なニーズを 必要とする児童に対する外国語活動への活用の あり方を検討することを目的とする。
方法
1 .文献的検討
2.フィンランドにおける授業観察
3.フィンランドにおける各施設での情報収集 なお,フィンランドでの授業観察内容,イン タビュー内容,各施設での情報収集については,
各所属長,スタッフ,関係者より修士論文に使 用することについて承諾を得ており,個人情報 は含まない。
結果 1
‘文献的検討
インクノレーシブ教育においてはすべての学習 者が一緒の学校に通うことの目的を強調し,指
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導は一人一人の要望に応えなければならず,全 員が学校コミュニティで受け入れられ,評価さ れるべきであり (Halinen・t硲rvinen,2018), 様々な子どもがいる教室では,より柔軟な教育 単馴各が求められている(Timo,2008)~
2 .フィンランドにおける授業観察
小学校段階で教科としての英語教育が確立さ れていた。膨大な量の英語に触れることができ る栃斗書やワークブックが使用され, 4技能を まんべんなく習得できるように様々な活動が授 業内で行われていた。机は4 人1組になるよう に配置されており,席の移動やペア・グループ の変更が頻繁に行われていた。特別なニーズを 必要とする児童に対しては,別の活動を用意し たり,教室での座席の位置を工夫したり,アシ スタントの支援を受けられるようにしたりする などの配慮があった。補習も行われており,全 体の底上げにつながっていた。特別支援学級で は一人1 台辺ad が支給され,ほとんどの学習 が『ad を用いて行われており、iPad に学習の 記録や自己評価などを残すことができるように なっていた。子どもの自主性を尊重し,生徒を 無理に活動に参加させるような指導は一切行わ れていなかった。
3 .フィンランドにおける各施設での情報収集 特別支援学校は,レイアウト共配色が工夫さ れており,すべての場所が学びになるように, 建築家と特別支援学校のスタッフがデザインを 考案していた。
ネウボラにおける定期健診の検査項目は多岐 にわたり,それぞれ細かく調べられていた。健 診後には,ネウボラナースと保護者が話し合う 時間が十分に設けられている。些細な出来事で も気軽に相談することができる環境が整えられ ていた。
考察
フインランドでは,子どもたちは支援を受け ることについて当然の権利ととらえ,教師がそ の子どもに必要だと思った支援が最大限行われ ていた。子どもたちがそれぞれの学びやすい教 材共環境,支援体制が整えられており,社会全 体で子どもを支えているといえる。フィンラン ドにおける段階的教育支援は,学校だけでなく,
特別支援学校やネウボラなどの専門機関が連携 し,子どもの周りにいる様々な人々が協力し合 うことによって実現していると推察される。
フインランドの小学校英語教育は今,成熟期 にあるといえる。 日本における教科化後の小学
*JI 語教育の姿を現在のフインランドに見て取 ることができる。 日本においても活用できる点 が多く見受けられ,現段階での日本における小 学校英語教育とは異なる実践も,これからのよ り充実した小学校英語教育の実現に向けて非常 に参考になると考えられる。
主な引用文献
是永かな子(2013)「フィンランドの通常学校におけ る特別ニーズ教育の活用と学力形成」靴ョーロツ パ研究』 9 巻,pp. 43-53.
H 血nen, I., and R J台rvinen (2008) Towards inclusive education, The case ofFinland Prospects,
38, no. 1, pp.77-97.
Timo Saloviita (2018) How common are inclusive educational practices among Finnish teachers?, んterriation 以)urnal (ザinclusive
Educa抗n,Vo1.22,NO.5,pp.560-575.
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