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京阪式アクセント地域における 形容詞のアクセント

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Academic year: 2022

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(1)

京阪式アクセント地域における 3拍 形容詞のアクセント

一― 淡路島 ・大 阪府南部 を中心 に 一一

山   岡   華菜子

1 1ま じめに

3拍形容詞11'(「暗い」「寒 い」 な ど

)は

ア クセ ン トに よる語 の類 別 とい う観 点か ら2つ に分 けるこ とがで きる。第1類 (「赤 いJ「暗 い」 な ど)と第2類(2)(「白い」「長 い」 な ど)

であ り、京 阪式 アクセ ン ト地域 にお ける伝統 的 なアクセ ン トは終止形 (基本形

)の

場合、

第1類

HHL 

第2類

HLLと

なる13t

1:調査地域

由 良

(2)

佐藤栄作編 (1989)よ り、両類の区別 を残 している和歌山県田辺市方言 を例 として 3拍 形容詞終止形 と連用形(4,ァクセ ン トを表 1に まとめる。終止形 アクセ ン トは第 1類 と第 2 類 とで下が り目が異なること、連用形アクセ

ン トは第 1類 が高 くは じまり(以下、本稿で はこれ を「H―型Jと 呼ぶ

)第

2類が低 くは じまる(以下、「L―型」と呼ぶ)こ とがわかる。

た だ しこの よ うな区 号Uは、 中井 幸 比 古 (2002)や 佐藤 (1989)に よる と現代京都や 大阪・徳島方言で既 に失われてお り、表 2の

2

lL形 カッタ形 テ 形 ナル形

1類 HLL LHLLL LHLL LHLLL/

LLLH

2類 HLL LHLLL LHLL LHLLL/

LLLH

ように、第

1 2類

ともに終止形 を含む各活用形が第 2類 アクセン トで発音 される傾向に あるc

京阪地域 における形容詞のアクセ ン トを、終止形以外の各活用形 も含んで調査・記述 し た先行研究は多 くないが、山名邦男 (1965)の 記述 によると、淡路島の14〜20歳 (当)

には両類の区別がな く、終止形・カッタ形は第 2類 アクセ ン トで発音 されている。つ まり、

京都や大阪、徳島、淡路島方言では既 に両類の区別が失われ、第 2類 アクセ ン トヘ統一 さ れた と考えてよいであろう。

しか しなが ら、徳島市内のアクセ ン トについて中井幸比古 (1999)は 、 3拍 形容詞の終 止形には第 2類 アクセ ン トしかあ らわれないが、カッタ形に第2類アクセ ン トだけでな く 第 1類 的なH―型 アクセ ン トも聞かれ、類の区別は関係 な く併用 していると述べているc

佐藤 (1989)と 中井 (1999)の 被調査者は生年が20年ほど異なることか ら、カッタ形に両 型あ らわれることが佐藤(1989)の後で新たに生 じた変化であると捉 えることもで きる し、

両者の生育地が同 じ徳島市内の違 う地域である可能性 もあるか ら、中井 (1999)の 被調査 者は第 2類 的なL―型への統一 を経ずに

L型

H―型の併用へ至 ったと捉 えることもで きる。

また、中井 (1999)と 同 じ傾向にある もの として神戸市のアクセ ン トについて記述 した 橋尾直和 (1991)が あ り、 ここで も終止形は

HLLで

第2類的だが、ナル形のアクセ ン ト

は類 に関係 な くH―型 となってお り、表 2と は異 なる様相であることが うかがえる。

以上のように、京阪式アクセ ン ト地域 における 3拍 形容詞のアクセ ン トは、第 1類

 

第 2類が合同 して第2類的な

L型

アクセ ン トで発音 されるようになった と簡単 には言い切 れない状況である。そこで本稿では、筆者が調査 をおこなった淡路島 と大阪府南部お よび 和歌山県北部の結果 をもとに、 3拍 形容詞のアクセ ン トについて考察す る。

調査概要 (調査地域 は図 1参 照)

21 

淡路島・徳島県鳴門市・兵庫県明石市におけるアクセン ト調査 (2011〜2012年)

調査地域は淡路島内の岩屋・富島・郡家・洲本

 

由良・津丼

 

福 良(5)と徳島県鳴門市鳴 門町の亀浦港近辺お よび兵庫県明石市の明石港近辺である。洲本では若年層 2名 ・中年層

ヨ尋1

田 辺 終 止 形 カッタ形 テ 形 ナ ル 形 1類 HHL HHLLL HLL HHHH/

HLLL

2類 HLL LHLLL LHL LHHH

46〕

(3)

3名

 

高年層 3名│け、他の地域では各年齢層 2名 ずつ (1地域 につ き6名

)に

対 して調査 票読み上げ形式の調査 をおこなった。

当該地域で言語形成期 を過 ごし現在 も同 じ地域 に居住する人 (または勤務す る人)を対 象 とし、 3拍 形容詞第 1類 「赤い・甘い・遅い 軽い 日音い」、第 2類 「青い 。暑い

 

白い 長い・早い」の合計10語、それぞれの語について終止形 とテ形

 

カッタ形・ナル形、連体 形 と単文の述語 となる形の発音 を聞 き取 った。 また、加 えて「遠い (第1類)」 の終止形 のみの発音 について も聞 き取 りをおこなった。

22 

大阪府南部および和歌山県北部方言アクセン ト調査 (2013年)

調査地域は岸和田市春木 ・岬町深 日と和歌山市加太・橋本市恋野の 4地 域である。当該 地域で言語形成期 を過 ごし現在 も同 じ地域 に居住する人 を対象に、春木では若・中年層 2 名ずつ と高年層 1名 、深 日では若年層 1名 と中・高年層 3名 ずつ、加太では若・中年層1 名ずつ、高年層 2名 、恋野では若・中年層 2名 ずつ、高年層 3名 に対 して調査 をお こなっ た。 このうち、春木・深 日・加太では漁業関係者 を調査 した。

調査項 目は 3拍 形容詞第 1類 「赤い

 

浅い

 

甘い 。薄い・遅い 。かたい・軽い・暗い 。 つ らい

 

遠い」、第2類「青い・痛い 。多い 。黒い 。臭い 。寒い 。白い 。近い

 

長い

 

古いJ

の計20語で、それぞれ終止形 とテ形・カッタ形・ナル形・連体形 と単文の述語 となる形の 発音 を聞 き取 った。

調査結果

以下、31か ら34で は「遠い (第1類)」 と「多い (第2類 )Jを除いた結果 を示す。 こ の2語についてはオ段長音 を含む語であることか ら、終止形

HHLあ

るいは連用形H―型 があ らわれやすい と考えられるため、35に おいて別途取 り上げる。

31 

終止形

調査 したほとんどの地域で、終止形のアクセ ン トには第2類的な

HLLし

か聞かれなかっ た。

HHLが

聞かれたのは岬町深 日と和歌 山市加太の高年層のみであ り、深 日の高年層は

HHLで

発音 したのが第 1類 44%・ 第2類4%17'でぁったのに対 して加太の高年層 は第1

100% 

第2類 17%であつた。つ ま り、深 日の高年層は

HHLか

HLLへ

の変化の途中 段階にあること、加太の高年層は両類の区別 をよく保 っていることがわかる。ただ し、 ど ちらの地域 も中年層以下では

HLLし

かあ らわれず、他の地域 と同様の姿 となっているいt

なおこの 2地 域の高年層 における連体形のアクセ ン トは、加太が終止形 と同 じ結果であ り、深 日においては第 1類 41%・ 第 2類

4%で

あった。

32 

連用形:カッタ形 (表3・ 表 6)

この形のアクセ ン トにはH―

(HHLLL)と L型 (LHLLL)の

二つがある。終止形 に 第 1類 と第2類の区別が残 っていた深 日

 

加太の高年層はカッタ形にもやは り区別が残存

(4)

してお り、第 1類 にはH―型、第 2類 にはL―型が偏 ってあ らわれるとい う結果であった。

また、終止形 アクセ ン トには

HLLし

かあ らわれず、両類の区別がみ られなかった岸和田 市春木の高年層において も、H―型が第 1類 に多 く、L―型が第2類に多い。 この ことか ら 部分的に両類の区別が残存 している可能性 も考えられるが、これについてはテ形 ・ナル形 の結果を確認 した後、第 4節 において考察をおこなうことにする。その他の地域、年齢層 においてはH―型 とL―型が類 に関係 な くあ らわれ、そこには地域 ごと 。年齢層ごとの違い がみ られる。

まず

L型

が多いのは、深 日の中年層、加大の若 。中年層、明石の中・高年層 と鳴門の 高年層、そ して淡路島内岩屋の若 。中・高年層 と洲本の高年層、津丼の中 高年層91である。

明石の若年層 と洲本の若・中年層にはH―型が聞かれることがあるが、

L型

もほぼ同程度 聞かれる。一方、H―型が多いのは淡路島内の福良 と由良の若・中・高年層、津丼の若年層、

そ して岸和 田市春木 と橋本市恋野の若 。中・高年層である。全体的に年齢層が下がるにつ れてH―型が増 えるのがわかる。

上記のH―型・

L型

とは異 なるアクセ ン トが、富島の全年齢層 と郡家の中・高年層、岩 屋 の若・中年層 の一部 に聞かれた。表6でH―型 ・

L型

の下段 にそれぞれ ()で示 した

LLHLLと HHHLLで

ある。 これ らが どの ように生 じたのかについては明 らかでないが、

おそ らくはL―型が変形 した ものであ り、

HHHLLは

そ こか ら変化 した ものであろ う。そ うであるとす るな らば、

LLHLLは

L―型、

HHHLLは

H―型 と同様の性質 をもつ ものであ ると捉 えられる

.な

お、郡家 と富島の中・高年層には

LLHLLし

か聞かれず、富島では若 年層 に も

LLHLLが

多い ことのほか、岩屋の若年層 に も一部あ らわれることがあった。

HHHLLは

岩屋の中年層 と富島の若年層の一部にあ らわれる。

33 

連用形:テ(表4・ 表 7)

テ形のアクセ ン トにも、カッタ形 と同 じくH―型 とL―型、 さらにその変形であろうと思 われる

LLH(あ

るいは

LLF:テ

が下降拍

)が

あ らわれる。 また、深 日と加太の高年層 に は両類の区別がある点、春木の高年層に聞かれるH―型が少 ないなが らも第 1類 に偏 って いる点が、カッタ形 と共通 している。その他の地域

 

年齢層においてはH―型 とL―型が類 に関係 な くあ らわれるが、カッタ形 と比べると全体的にL―型が多い とい う結果であった. 以下で、細か く見てい くことにする。

L―型が多いのは深 日の中年層、恋野の若・中・高年層、加太の若・中年層、明石の中 高年層 と岩屋・郡家・洲本・津丼・鳴門の全年齢層である。福良の中

 

高年層はカッタ形 に比べればL―型が多いが、それで もやは りH―型が多い傾向にある。‐方でH―型が多い のは、春木の若・中年層 と深 日

 

明石・由良・福良の若年層である。先述 したとお り、カッ タ形 に比べ ると全体的にL―型が多いが年齢層が下がるとH―型 も増 え、特 に由良

 

福良・

深 日ではその傾向が顕著である。 また、全年齢層 に共通 してL―型の多い恋野や郡家、津 井で も若年層 には比較的H―型があ らわれやす くなっていることがわかる。なお、富島に は

LLH(LLF)と

い うアクセン トが聞かれるが、他地域 と同 じ型 もカッタ形に比べ ると

〔 44 〕

(5)

多い。

語形について も触れてお くと、「アカクテ」「イタクテ

Jの

ように言 うのは加太 と明石 ・ 鳴門の 3つ の地域、「 アカテ (赤くて)J「イタテ (痛くて)」 のように言 うのは春木・深 日 と淡路島内の地域で、恋野は2拍目のア段音 をオ段音で言 う傾向にある (「アコテ (赤く て)」「イ トテ (痛くて)」 )。

34 

連用形:ナル形 (表5・ 表 8)

語形は、「アカナル (赤くなる)」「イタナル (痛くなる)」 となる地域が多いが、その他 にも「アコナルJ「イ トナル」 となる地域 (恋)、「アカクナル」「イタクナルJとなる地 域 (加)、「アカンナル」「イタンナルJは0となる地域 (鳴

)が

あつた。

アクセ ン トを確認 してみると、やは り

L型

(アカナル・アコナル

LLLH/ア

カクナル

LHLLH/ア

カ ンナ ル

LLHLH)と

H―(ア カ ナ ル・ ア コナ ル

HHHH/ア

カ クナ ル

HHLLH/ア

カンナル

HHHLH)の

両方があ らわれるが、L‑lJが 多いのは深 日の中年層 と 加太の若

 

中年層、恋野・明石 ・岩屋・富島・郡家

 

洲本 ・由良 ・福良・鳴門の全年齢層 であった。つ ま り、ほ とん どの地域 においてはL―型のほ うがあ らわれやすい といえる.

一方で、春木の若・中年層 と深 日の若年層、津丼の若年層にはH―型のほうが多い とい う 結果であつた。 また、

L型

のほ うが多い地域・年齢層であって も、明石や郡家、福良の 若年層にはH―型が比較的多 く聞かれることか ら、ナル形 もこれ まで見て きたカ ッタ形・

テ形 と同様に、年齢層が下がるとH―型が増 える傾向にあるということがで きる。

これ らの地域・年齢層には両類の区別はほとんどみられないが、深 日と加大の高年層に はやは り両類の区別が残 ってお り、春木の高年層にもそのような傾向がみ られたほか、郡 家・津丼

 

福良の高年層 1名 ずつにもH―型が第 1類 に偏っているとい う傾向があった。

35「

遠い」 と「多い」のアクセン ト

先 に述べた ように、「遠い (第1類)」 と「多い (第2類 )Jはオ段長音 を含む語である ことか ら、他の語に比べて 1拍 日と2拍目が

Hに

な りやすい と考え られる。そのため、

上記の結果か らは除いたのだが、地域や年齢層 によってはこれ らの語のアクセ ン トに違い がみ られたため、ここで取 り上げてお く。

まず、春木 恋野・明石 と岩屋・富島・郡家・由良では他の語 との違いは見出されなかっ た。 しか しなが ら、洲本の高年層 と津丼・福良・鳴門の全年齢層には

HHLと

い うアクセ ン トがあらわれた。これらの地域においては「遠い」の終上形 を調査 しただけではあるが、

他の語には

HLLし

かあ らわれなかったこと、岩屋や富島などではこの語のアクセ ン トが

HLLで

あったことは、無視で きない結果であるといえよう。

また、「遠い」 と「多い

Jを

各活用形 まで含めて調査 した深 日と加太では、他の語 に両 類の区別を残 していた高年層以外 にもこの2語には第 1類 アクセン トがあ らわれ、特に終 止形が

HHLで

あったこと、全体 にL―型アクセ ン トが多かった深 日の中年層や加太の若・

中年層が これ いの語の連用形 をH―型で発音 したことには注 目すべ きであると思われるc

(6)

カ ッタ形

年齢 層

類 別 1 2 l 2 l 2

地域(人, 本 木(若1) H― 100%100% 94% 83% 78% 44%

L― 0%  0% 6% 17% 22% 56%

地域(人) 深 日(若 l l'3  3) H― lt‐l%100% 4%  0% 78% 4%

L‑11 0%  0% 96% 100% 22% 96%

地域(人) 恋 野(若3) H―14 94% 89% 100%100% 100% 96%

L― 6% 11% 0%  0% 0%  4%

地域{人 加 太(若2) H― 0%  0% 0%  0% 94% 28%

L― 100%100% 10Э%100% 6% 72%

3

4

6 カッタチ

年 齢 層

類 別 1 2 l 2 1 2

地 域(人) 明石(若2)

H型

I附

)

誂 眺

誂 眺

肌 眺 既 眺

L型

 と 1[b

誂 眺

賜 眺

100%100%0%  0% 90% 70%0%  0%

地域(人) 岩屋(斉2)

硼 属靴

) 0%  0%0%  0% 0%  10%10% 0%

L型

 こ 1:L

80%  80%20% 20%

100%100%

0% 0%

地域(人) 富 島 若2 2高 2)

硼 』皿

) 10% 10%10% 0% 0%  0%0%  0%

L型 11[[)

% 醜 眺 協

0%  0%

100%100%

0%  0%

100%100%

地 域(人) 郡 家 若2中 2高 2)

H・

潜 皿

) 50% 50%0%  0%

L型

 11[b

50% 50%0%  0%

0%  0%

100% 100%

0%  0%

100%100%

地 域(人) 洲 本(若3)

脚 膚

I告[[)

60% 67%0%  0%

L型

 1ltt)

醜 眺

賜 眺 協

偶 協

100%100%0%  0%

地域(人) 由 良(若2)

H型 (II告

1)

100%100%

0% 0%

100% 100%0%  0%

80% 80%

0%  0%

L迎

 1ltb

0%  0%0%  0%

肌 賜 肌 幌

地域(人) 津丼(若2 112 2)

H型

淳 塩 11)

100%100%

0% 0%

醜 眺

賜 眺

30% 10%0%  0%

L型

 11[b

賜 協

醜 銘

70% 90%0%  0%

地域(人) 福 良(若2)

H型

  膚 乱 1)

100%100%0%  0% 100%100%0%  0% 100%100%0%  0%

L型

 11[b

地 域(人) Fl(若2)

硼 膚靴

) 100%100%0%  0%

蝦 眺

‰ 眺 肌

侶 眺 蘭

L型

 と 1[b

賜 眺

脳 眺

60% 70%0%  0%

テ 形

年 齢 層 J

類 別 l 2 l 2 l 2

地域(人) 春 木(若1 H― 72% 50% 56% 44% 11% 0%

L‑11 28% 50% 44% 56% 89% 100%

地域(人) 深 日(若3) H― 100%100% 4%  0% 52% 4%

L‑11 0%  0% 96% 100% 48% 96%

地域(人) 恋 野(若3) H‑11 39% 17% 11% 6% 0% 11%

L― 61% 83% 89% 94% 100% 89%

rll城(人) 加 太(若 1 111  2) H― 0%  0% 0%  0% 100% 6%

L―][ 100%100% 100%100% 0% 94%

5

ナ ル形

年齢層 I

類 号」 1 1 2 1 2

地域(人) 春 木(若2 1:2  1)

H‑lJ 100%100% 100%100% 67% 44%

L― 0%  0%

0% 0%

33% 56%

地域(人) 深 日(若

1中 3高

3) H― 100%1∞

%

33% 33% 59% 710

L― 000  0% 67% 67% 41% 93%

地域(人) 恋 野(若3) H― 33% 28% 6%  0% 4%  0%

L― 67% 72% 94% 100% 96% 100%

地 域(人) 加 大(若2) H― 0%  0% 0%  0% 100% 0%

L― 100%100% 100%100% 0% 100%

〔42〕

(7)

7

テ 形

年齢 層 :局

類 別 l 2 l 2 1 2

地域(人) 明石(若2) H―

 HlLi:LL

岬 秘鵬

100% 90%0%  0%

地域(人) 岩屋(若2) H一

 HlLttLL

硼 出胤

100%100%0%  0% 100%100%0%  0% 100% 80%0%  0%

地 域(人) 富島(若2) H̲型

 Hl器

LL

型 出鵬

1001rj 90%0%  10% 40% 40%60% 60% 50% 50%50% 50%

地 域(人) 郡 家(若2) H̲型

 HttLL

脳 眺

肌 眺

0%  0%0%  0% 0%  0%0%  0%

副 出器

80% 90%0%  0%

100%100%

0% 0%

70% 70%30% 30%

地域(人) 洲 本

2中 3高

3) H―

 HlLi:LL

33% 20%0%  0% 0%  0%0%  0%

國 協鵬

100%100%

0% 0%

67% 80%0%  0%

100%100%

0% 0%

地域(人) 由 良 2中 2高 2)

卜型 Hl器

0%  0%

0%  0%

硼 出出

70% 70%0%  0% 100%100%

0% 0%

地域(人) 津丼(若2) H̲型

 HlⅧ

LL

誂 眺

侶 賜

型 誦鵬

100% 90%0%  0% 100%100%0%  0%

地 域(人) 福 良(若2) H―

 HlLttLL

80% 100%0%  0%

50% 50%0%  0%

硼 秘胤

地 域(人) 鳴 門

2中 2高

2) H―

 Hl淵

LL

% 肌

0% 10%

0%  0%

硼 協器

100% 90%0%  0%

100% 90%

0%  0%

10rl%100%

0%  0%

8

ナ ル 形

年 齢 層 一局

類 別 l 2 1 2 ] 2

地域(人) 明 石 2中 2高 2)

H型 50% 40% 0%  0% 0% 10%

L型 50% 60% 10D%100% 100% 90%

地域t人) 岩屋(右2)

H型 20% 10% 0%  0% 0%  10%

L型 80% 90% 100%100% 100% 90%

地域(人) 富 島(若2)

H型 0% 10% 0%  0% 10% 0%

Iン 100% 90% 100%100% 90% 100%

地域(人) 郡家(若2)

H型 30% 30% 0%  0% 30% 10%

L型 70% 70% 100%100% 70% 90%

地域(人) 洲 本 :3 3) H型 10% 10% 0%  0% 7%  0%

L]! 90% 90% 100%100% 93% 100'

地域(人) 由 良(若2) H型 10% 10% 20% 101J 20% 20%

L型 90% 90% 80% 90% 80% 80%

地域(人) 津丼(右2)

H型 80% 60% 0%  0% 40% 20%

L]│ 20% 40% 100%100% 60% 80%

地域(人) 福良(若2)

H型 40% 40% 0% 20% 20% 0%

L型 60% 60% 100% 80% 80% 100%

地域(人) F与(若2)

H型 0%  0% 0%  0% 0%  0%

L型 100%100% 100%100% 100%100%

(8)

変化の道筋 と要因について

第 3節 で見たように、調査 した多 くの地域 において 3拍 形容詞の第 1類 と第 2類 の区別 は既 に失われていた。 しか しなが ら、高年層に両類の区別を残 している地域、それが疑わ れる地域、「遠いJ「多い」に第 1類 的なアクセ ン トがあらわれた地域、また、カッタ形 ・ テ形・ナル形で異なる傾向を示す地域があ り、 3拍 形容詞のアクセン トは複雑 な様相 を呈 しているといえよう。そこで、 ここでは特 に連用形アクセ ン トにみ られたその複雑 さを改 めて整理 し、 3拍 形容詞のアクセ ン ト変化 について考察をお こなう。

41 

変化の道筋

本稿でこれまで述べて きた調査結果か ら、連用形のアクセ ン ト変化には次の二つの道筋 が考えられる。

第 1類(H―型)/第2類(L―型)>両類の合同(L―型)>H―型への移行

第 1類(H―型)/第2類(L―型)>両類の合同(L―型・H―型の併用)>H―型の増加

Aに

あてはまるのは、高年層 に両類の区別があ り中年層にL―型、若年層にH―型が多 く あ らわれた深 日と、高年層にL―型が多 く年齢層が下がるにつれてH―型の増加傾向がみ ら れた明石 と淡路島北部 (岩屋・富島・郡家

 

洲本

)で

ある。淡路島南部の津丼は高年層1 名のカッタ形・ナル形 アクセ ン トに類別の名残 らしきものがあったが、いずれにせ よL―

型が多い状態か らH―型へ移行 している様子がみ られるか ら

Aに

あてはまると判断する。

その他、カッタ形 にはH―型が比較的多いがテ形 とナル形にはL―型が多かった由良・鳴門 と恋野 も、ひとまず

Aに

該当す ると考 えて よいであろう

c加

太 も、 まだ

L型

か らH一型 への変化はみられないものの、流れとしては

Aの

ようにみえる。福良は判断 しがたいが、

先行研究の記述か ら淡路島は全体的に一旦L―型へ と合流 した (あるいはL―型が圧倒的に 多 くなった)と 考えられるか ら、ひとまず

Aと

してお く。

一方で、春木は高年層の連用形アクセン トに第 1類 と第 2類 の区別が若千残っているよ うに見え、その後

L型

が多 くなる様子 もないことか ら、Bにあてはまるように思われるc

つ まり、ほとんどの地域は両類が合同 じL―型へ とほぼ統一 された後にH―型へ移行 した と 考 え られる結果 となったが、春木 においてのみL―型 によって統一 された形跡が結果にあ

らわれなかった とい うことになる。

42 

変化の要因 と地域差

続いて、両類がH―型へ と移行する要因 と移行 しない要因について考えてお きたいcさ まざまなことが要因 となっていることは間違いないであろうが、筆者はその一つに4拍形 容詞の終止形アクセ ン トにおける

HHHL>HHLLと

いう変化があると考える。

例 として、変化の道筋

Aが

わか りやす くみ られた岬町深 日における4拍形容詞の終止

〔40〕

(9)

形アクセン トについて確認 してみる。調査 したのは「悲 しい(第1類)・嬉 しい(第2類)・

重 たい・短い

Jな

どで、高年層がすべて

HHHLと

い うアクセン トで発音 したのに対 して 若年 層 はすべ て

HHLLと

い うアクセ ン トで発音 した。 中年層 は語 によって異 な り、

HHHLと HHLLと

が どちらもあ らわれるという結果であった山。

これ らの4拍形容詞 はカッタ形・テ形・ナル形アクセ ン トのいずれ もがH―型であ り、

後ろか ら数えたときの下が り目が 3拍 形容詞 と同一である (「カッタ」「クテ (テ)」「 クナ リレ(ナル)Jの前に下が り目が くる)。 4拍 形容詞の終止形アクセン トが変化 し、後ろ2拍 が低 くなることによって 3拍 形容詞の第2類的なアクセ ン ト(HLL、 後ろ 2拍 が低い)と 同一になることと相関 して、3拍形容詞の連用形にL―型か しH―型 という変化が生 じた と 考 えることがで き、それ によって表9のよう

な統 一性 のあ る状 態 になる。

'。 中・高年層 の 結 果が深 日と類似 して い る加 大 にお い てL 型 か らH―型へ の変化 が見 られ ないの も、4 拍 形容 詞 の終 止 形 ア クセ ン トが

HHHLで

あ るこ とと関係 してい る とい えるであろ う。

また、地域 によってH―型のあ らわれ方に違いがある理由について も、4拍形容詞の終 止形 アクセ ン トとの関連か ら説明がつ くと考えられる。H―型が多 くあ らわれた地域 。年 齢層 にほぼ共通す る点は、「遠い

Jや

「多い」の終」L形 に

HHLと

い うアクセ ン トが聞か れたこと (春木 を除 く)、 高年層 に類別の名残があったこと、4拍形容詞の終止形 アクセ ン トが

HHLLで

あったことである。つ ま りこれ らの地域 は3拍形容詞のアクセ ン トにお ける類の合同 (第2類アクセ ン トヘの統一

)が

遅かった可能性があ り、その時期が4拍形 容詞のアクセ ン ト変化が生 じた時期 と時間的に近かった ことが推測 される

cそ

れによっ て、

L型

アクセ ン トが定着する前 にH―型 アクセ ン トヘの移行が起 こったため、中には春 木の ようなL―型に統一 された形跡がみ られない地域があったのだろう。

一方で、H―型が さほ ど顕著 にあ らわれなかった地域 は、 3拍 形容詞のアクセ ン トがL―

型 となった時期 と4拍 形容詞の終止形 アクセ ン トが変化する時期 には時間的な隔た りがあ り、そのために

L型

で比較的安定 しているのだと考えることがで きる。

43 

カッタ形・テ形 。ナル形の傾向差

上記の ように考える場合、カッタ形・テ形

 

ナル形 におけるH―型 とL―型のあ らわれ方 の違いは無視で きる ものではない。全体的な傾向 としてカッタ形にH―型があ らわれやす いのはなぜか、同 じ連用形アクセン トで もカッタ形・テ形・ナル形は同列に扱 ってよい も のであるのか とい うことについて、ここで改めて検討することにする。

41に おいて変化の道筋 をひとまずAと した由良・福良・鳴門・恋野に共通 しているのは、

カッタ形にH―型のあ らわれる割合が高いことである。そ して、その うち由良

 

鳴門・恋 野ではテ形 とナル形のH―型が少 ない。カ ッタ形 とテ形・ナル形 とは同 じ連用形で も性質 の異なるものだが、淡路島の北部や深 日の結果をみるとその違いがアクセン トに反映 して

9

終 止 形 カッタ形 テ 形 ナ ル 形 3拍 HLL HHLLL HHL HHHH

4す自引 HHLL HHHLLL HHHL

HHHHH

(10)

い る とは必ず しもい えない1大態 である。仮 にア クセ ン ト型 のあ らわれ方がそれぞれの性 質 に よって変 わ るので あれば、

L型

のあ らわれ方 に も差が あ って しか るべ きであ るの に、

実際 にはH―型へ の移行 が見 られ る地域 ・年齢 層 に しか カ ッタ形 ・テ形 ・ナル形 の違 いが うかが えないか らで あ る。 そ こで、本稿 で は この3つを同列 に扱 い、41でひ とまず

Aと

した由良 ・福良 ・鳴 門 と恋野 は、や は リー旦 第2類的 な

L型

へ統一 されてか らH―型へ 変 化 した と考 える。 そ して、H―型 ア クセ ン トのあ らわれ方 に違 いが み られ る理 由 を他 に求 め る ことにす る。

結論 か ら述べ れば、 カ ッタ形 のL―型 が不安定 な ものであ るため にH―型へ の移行が速 い とい うこ とになる。 テ形 にみ られ る

L型

は3拍動詞 第2類の一段 活用 (「落 ちる」 な ど)

お よび第3類 (「歩 く」 な ど

)の

テ形 (LHL、

LHLL)と

同一 で、 カ ッタ形 と違 って そ も そ も型 と して安定 してい る。 また、 ナル形 は調査 したほ とん どの地域 にお いて一語 的 な語 形 で

LLLHと

なってお り、 こち らも安定 してい るか らカ ッタ形 に比べ る と

HHHHへ

は変 化 しに くいの だ と考 え られ る。3。 カ ッタ形 はそ うい う意味 での安定性 に欠 けるため、4拍 形容詞 の終止形 アクセ ン トが変化 した とき、 テ形 や ナル形 よ りも先 にH―型へ移行 したの であろ う。

お わ りに

̲卜の ように、本稿 では3拍形容詞の アクセ ン ト変化 につ いて、調査結果 にみ られた地 域 ・活用形 ごとの傾 向差やその要 因について考察 をお こなって きた。 とはい え、結果 には あ らわれ なか った部分 を推測 で補 ってい る ところ も多 く、十分 である とはい えない。他の 地域 で も調査 をお こない、 よ り詳 しく検討す る ことを今後の課題 と したい。

(1)本稿では「早稲田語類J(注 2参照)において「3拍 ク活用形容詞」とされている語のことを「3 拍形容詞Jと 呼ぶ。

12)本稿における語の類別は「早稲田語類」(秋永一枚他1998、 坂本清恵他1998)に 従う。

13)本稿では便宜上アクセントをH(高拍

)L(低

拍)であらわす。

(4)カ ッタ形 (「アカカッタJなど)、 テ形 (「アカクテ」、方言形は「アカ(―)テ、アコ(―)テJ

など)、 ナル形 (「アカクナルJ、 方言形は「アカ(―)ナル、アコ(―)ナJなど)をまとめて 連用形アクセントと呼ぶことがある。

(5)調査は、田中高兵衛(1950)の地図にあげられている淡路島内の全52地域から試験的な調査を経 て地域差があらわれやすい地域を七つ選び、おこなった。それぞれの地域における伝統的な職業に 従事する人を調査の対象とし、岩屋・富島

 

郡家

 

由良

 

福良では漁業関係者を中心に、洲本では 古 くからの商店街で生まれ育った人を中心に、津丼では瓦産業に携わる人を中心に調査 した。なお、

徳島県鳴門市鳴門町の亀浦港近辺および兵庫県明石市の明石港近辺では漁業関係者を中心に調査を おこなった。

16)若年層は20〜 30代、中年層は40〜50代、高年層は60代70代 (一80代前半を含む)と する。年 齢は調査時′点のもの。

(7)例えば、深日の高年層の第 1類 は「12(高 年層3名 がHHLで発音 した語数の合計)■ 27(高年

〔 38 〕

(11)

層3名×調査 した9語)×10o」 で小数点以下を切 り捨て、44%というふ うに算出 した (HLLは同 じ計算方法で56%となる)。他の地域・年齢層 →舌用形 類別においても同 じように計算をおこない、

すべてパーセンテージで示す。表3〜8もF・l様

(8)同じ和歌山市内であって も、地域 によってHHLのあ らわれ方に違いがあると思われる。和歌山 北港の北のあた り、加太 よりも和歌山市駅 に近い ところに位置する榎原の若年層には第1類の

HHLが残 っている状態であった。 また、調査 した年齢層や具体的な地域 は不明だが、村内英一 (1982)の 記述 によれば和歌山市 における3拍形容詞のアクセ ン トは第1類の終止形 にHHLと HLLとが併用 されている。

(9)津丼では高年層の 1名 にH―型があ らわれ、第1類に偏っている。先取 りになるが、33で 述べ る ナル形で も同 じ傾向がみ られた。 このことか ら春木 と同様、部分的に両類の区別を残 している可能 性があるため、後で検討する。

l101「赤い」や「白いJのように名詞形 をもつ語の場合、ナル形「アカンナルJ「シロンナルJの撥音 は「に」に復元 される(「赤になるJ「白になる」)可能性が考えられ、他の語形 と異なることになる。

しか し、「遅い」や「長い」のような語においても「ォソンナルJ「ナガンナルJという語形になる こと、これ らの語 と色彩形容詞の結果に差がみ られなかったことから、ここでは特に区別せず、「ア カナル」「アコナルJなどと同様に扱 う。

│" 春木・恋野では HHLL、 加太では

HHHLc淡

路島はすべて確認で きたわけではないが、高年層 を中′と、に調査 した ところHHLLが多い (由良の高年層に

HHHLが

一部聞かれた)。 4拍形容詞の アクセ ン トには「おい しいLLHL」 のようなもの も間かれるが、これについては今除外 してお く。

02 変化順序 は終止形 を例にとると、4拍

HHHL→

3拍HLL→ 4拍 HHLLと考えられる。 また、

表9に 2拍形容詞「無い」「良い (え)Jを加えて も、テ形以外は体系的に整った姿になる。

こO H―型がカ ッタ形 よりもナル形やテ形 にあ らわれている地域 もご く一部にみられるため、地域 に よる違いを考慮する必要があるが、それについては別稿で改めて論 じたい。

【参考文献】

秋永一枚・上野和昭

 

坂本清恵

 

佐藤栄作

 

鈴木豊 (1998)編 『日本語アクセ ン ト史総合資料

 

研究 篇』東京堂出版

坂本清恵

 

秋永一枚

 

上野和昭

 

佐藤栄作 ・鈴木豊 (1998)編 『「早稲田語類」「金田一語類」対照資 料』 アクセン ト史資料研究会

佐藤栄作 (1989)編 『アクセ ント史関係方言録音資料』 アクセン ト史資料研究会 田中高兵衛 (1950)「兵庫県淡路方言地図JF近畿方言』 7

中井幸比古 (1999)「徳島市南部地域のアクセ ン トについて一 旧勝 占村方上出身の高田豊輝氏のアク セン ト」中井幸比古

 

高田豊輝

 

大和 シゲミ編 『徳島市方言アクセ ン ト小辞典』

中井幸比古 (2002)『京阪系アクセン ト辞典』CD ROM版

 

勉誠出版

橋尾直和 (1991)「神戸市須磨 (青年層)方言のアクセン ト」『日本語研究 (東京都立大学)』 12 村内英一 (1982)「和歌山県の方言J講座方言学7『近畿地方の方言』国書刊行会

山名邦男 (1965)「淡路のアクセン ト」F音声の研究』11

山岡華菜子 (2012)「淡路島のアクセン トについて一 アクセ ン トの変化傾向 と進度の違い一J日本方 言研究会 『第95回研究発表会発表原稿集』

謝辞

 

調査協力者の方々に厚 く御礼 申 し上げます。

参照

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