- 70 -
人間科学研究 Vol. 28, Supplement(2015)
修士論文要旨
【問題と目的】
スクールソーシャルワーカー(以下SSWr)という福祉 の専門職が2008年に小中学校に導入された。しかし、現場 には様々な課題がある。その一つがSSWrと教師の連携で ある。学校現場ではSSWrの認知が進んでいない(高良ら 2008;堀井 2010など)。また教師とSSWrの連携に着目した 研究は少ない。こうした現状を踏まえて、本研究では教師 とSSWrの望ましい連携の在り方を探ることを目的とした。
これまでのところ、SSWrと教師の連携に関する先行研究 では、SSWr側の視点に立ち、SSWrを対象としたものが多 く(赤尾ら2011;厨子・山野2011;比嘉2013など)、教師を 対象としたものが少ない。そこで、本研究では教師を研究 協力者に設定し、教師側の視点から連携のあり方を検討し た。それにより教師側がSSWrをどのようにとらえ、どの ように連携しているかを明らかにできると考えた。
また本研究ではSSWrの配置形態にも着目した。先行研 究の多くは、特定の地域の特徴が強く出ている論文である。
具体的に述べるとSSWrの配置形態に違いがある。先行研 究ではSSWrが学校に配置されている形態(配置型)が前 提条件になっていた。それに対して、多くの自治体では、
SSWrが配置されている場所が教育センターや市役所の教 育委員会などになっており、そこから学校に派遣される形 態(派遣型)が多く、先行研究とは状況が大きく違う。特 に教師の生徒指導上の抱え込み(山野 2004)や教師の SSWrへの理解不足がSSWrの支援を停滞させるという指 摘(比嘉 2013)があり、学校の中に配置されているか、学 校外に配置されているかという形態は連携を考える上で重 要だと考え、本論文では配置形態に関しても検討した。
【方法】
教師7名に対してインタビュー調査を行い、M-GTAに て分析を行い、結果図(図1)とストーリーラインを作成 した。また配置形態に関する語りを抽出し、表にまとめた。
以下、結果図と表1である。また本研究は早稲田大学倫理 委員会の承認を得て実行された。(承認番号 2014-019)
【結果と考察】
図1 教師の視点からみたSSWrとの連携プロセス
表1 教師から見た派遣型の特徴
概念名 実際の語り
第三者性 学校とはちょっと違う第3者的な立場を取った方が ワーカーとしてね。動きやすいはずだから。
即時的対応 の困難性
・やっぱり、電話入れても出かけてます、っていう とねえ。即時性が弱いっていうかね。
対応開始ま での困難
生徒とうまく関係性をたもてなかったら、ワーカー の第一歩がすごい遅れるじゃん。
他機関との 連携促進
最終的にAさんに言われたのは、学校から撤退して いかれる時にぜひ今度は私達にって言われて。そこ
(他機関)に電話をして、動けるようになったって のはすごく有難かったです。
【提言】
・教師とSSWrの連携においては信頼関係構築が重要であ り、SSWrの人権尊重に関わる門性が影響していた。今後 はこの点について議論を深め、明確にしていく必要がある。
・ SSWrの配置形態に関して、学校現場、地域に合わせた 配置が必要と思われる。例えば、問題を多く抱えている 学校には配置型、地域でのネットワークづくりに重点を 置く場合には派遣型を採用するということである。