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問題と目的

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Academic year: 2021

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- 81 -

中学生の社会的スキルを高めるための試み:養護教諭の保健だよりを活用して

人間教育専攻

臨床心理士養成コース 池川由香

1.

問題と目的

教育現場における不登校の問題紳士会的問題 とされ,中学校の不登校者数は小学校よりも多 く,進級するにつれて増加することが報告され ている。その要因の一つには対人関係の問題が 挙げられており,円滑な社会生活の阻害に影響 を及ぼしていると考えられる。現代の社会にお いては,児童生徒が円滑な対人関係を築くため の社会的スキルを獲得する機会は減少している と考えられており,学校でその機会を提供する 必要性も示唆されている。そして,社会的スキ ルの獲得を目指す社会的スキル訓練

(Social Skills  Training:

以下

SST)

が注目され,学 校では,学級担任による集団

SST

が実施され,

その有効性が嬬忍されてきており,養一護教諭に よる社会的スキルを獲得・向上するための試み も行われ始めている。しかしながら,養護教諭 が心の健康教育の手段として用いている保健だ よりが,社会的スキルの獲得・向上に有効であ るかどうかは検討がなされていない。

そこで本研究では,中学生を対象に保健だよ りを配布し指導することよって社会的スキルの 向上を試みる。そして,保健だよりの有効性を 明らかにすることを目的とする。

2.

方 法

対象者:四国地方の公立

A

中学校に在籍する生 徒

55

名(男子

30

名,女子

25

名)と公立

B

中学

指導教負

古川洋和

校に在籍する生徒

72

名(男子

36

名,女子

36

名)を分析対象とした。

研究デザイン:非無作為化比較試験を採用し,

A

中学校を保健だよりが配布される介入群に

B

中執交を保健だよりが画時されずに通常の学校 生活が送られる対照群に割り付けた。

保健だよりによる指導の手続き

:2014

5

月か ら7 月の約

3

か月間

2

週間に

1

回,終わりの 会において全6 回にわたり保健だよりが配布さ れた。保健だよりは,社会的スキルの構成要素 に関する寸車の先行研究および「実践!ソーシ ヤルスキル教育

J

(字削│・佐藤,

2006)

を参考に,

臨床心理学を専攻する大判完生によって作成さ れ(全

6

回の内容:①聴くスキル,②問題解決 スキル,③言苦・非言語スキル,④主張スキル,

e 渥助・参加スキル,⑥まとめ),あらかじめ用 意された手引きに沿って学級担任による指導が 行われた。また,保健だよりは各教室そ校内の 廊下に掲示された。生徒は,ホームワークとし て,第

1

回から第

5

回の説明後にワークシート へ理解した点を言言殿することが求められた。ワ ークシートへの京識事項については,第

5

回終 了後,大判完生によって実践化を促すコメント が記入され,第

6

回時に各生徒へ返却され丸 効果指標:中学生用社会的スキル尺度(嶋田,

1998)

を用いた。中学生の社会的スキルを測定

するための

25

項目から構成され,

4

件法で評定

が求められた。調査は,①介入開始 1週間前,

(2)

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- 81 -

②介入終了1週間後,邸ト入終了8週間後,の 3時点において評定が求められた。

保健だよりの適切生:介入終了8週間後,介入 群に割り付けられたA中学校の耕哉員(12名)

を対象に,保健だよりおよびホームワークの適 切性に関するアンケート調査を実施した。内容 は,①保健だよりの内容・西疏時期・配布間隔・

分量・回数と西日説明時の所要時間,改善点,

②ホームワークの内容・分量と改善点,③その 他の気づいた点,の3点から構成され,内容・

酒巴布時期・百時間隔はそれぞれ5件法で,分量・

回数は3件法で評定が求められた。所要時間は 全6回の平均時間(分)を記載し,改善点と気 づいた点は自由言己主とした。

3.結 果

保健だよりの効果:介川平と対照群の介入開始 1週間前の中学生用社会的スキル尺度得点を共 変量とし,各群の介入終了1週間後および8週 間後の中学生用担会的スキル尺度得点について 共分散分析を行った結果,介入終了 1週間後に ついて,各群の聞に有意差は認められなかった

(F=O. 26, P=O. 61 :偏η2=0.002)。また, 8  週間後について,各群の聞に有意差は認められ なかった (F=0.09,P=O. 77 :偏η2=0.001)。 各群の中学生用社会的スキル尺度得点の変化の 大きさを検討するために,介入開始 1週間前を 基準とし,介九終了1週間後および8週間後に おける効果量とその 95%信頼区間を算出した。

その結果,介入群の効果量と95%信頼区間〔下 限一上限〕は 1週間後において0.20(‑0.17‑ 0.57), 8週間後において 0.03(‑0.41‑0.34),  対照群は 1週間後において O.17  (‑0. 16 ‑ 0.50), 8週間後において 0.07(‑0.25 ‑0.40)  で、あった。

保健だよりの適捌生:保健だよりの配布指導の 所要時間は平均6分間であり,保健だよりおよ びホームワークの内容や借主配布計画などの 評定はおおむね適切で、あった。一方で,配布間 隔の短さや回数の多さ,分量の少なさなど少数 の課題が得られ,発達段階への考慮キ積極的な 活用に向かう内容へと再考すること,指導後に 生徒の実践化につなが制服品なプログラム構 築の必要性が挙げられた。

4.考 察

本研究の目的は,中学生を対象に保健だより を配布し,指導することによって社会的スキル を向上できるかどうか検討することで、あった。

本研究の結果から,保健だよりは中学生の社会 的スキルを向上することができないことが示唆 された。以下に,その理由と本研究における課 題を挙げる。①保健だより配布前における対象 者の社会的スキルの程度が標準的な範囲に分布 しており, 一次予防として社会的スキルの手盟支 が標準的な範囲に分布する対象者へは,保健だ よりを用いた社会的スキノレの向上効果は,従来 の集団SSTと比較して弱し、ことが示唆された。

⑫舌字を通した学習によって,社会的スキルを 獲得・向上するためには,保健だよりによる指 導後に日常生活の中で般化および定着化の設定 も含めたプログラム構築が望まれる。③保健だ よりの内容が,生徒の動機づけや必要な社会的 スキルの実態に即しているかという点において 欠けていた可能性がある。④生徒が瑚卒できる 保健だよりや指導の手引きへと改善が求められ る。⑤十土会的スキルを獲得しながらも対人関係 における問題を抱え,学校生活や社会生活への 適陀」惑に結びついていない状況が推察され,適 応状態も併せて検討がなされる必要がある。

参照

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