神経内科
後期研修プログラム(平成26年度) 1) 診療科紹介 当科は,長年にわたり札幌南病院神経内科として診療してきましたが,札幌南病院は平成22 年2月28日をもって閉院し,同日西札幌病院と統合して北海道医療センターとなりました。北 海道医療センターの神経内科は救命救急センターを有する急性期総合病院のなかに障害者病棟 80 床を有するという全国的にも珍しい形でスタートしました。これまで札幌南病院で担って来 た神経変性疾患、神経筋疾患の全経過的フォローアップに加えて、今後は脳卒中を含む神経系の 救急や他科疾患に伴う神経症状を網羅する形で診療していくことになります。 札幌南病院で長年継続してきた重症筋無力症の北海道のセンター的な役割は呼吸器外科との 連携のもとで、さらに充実した形で今後とも継続していきます。また、北海道の事業である難病 医療ネットワーク連絡協議会は当院に事務局を置き、難病医療専門員が常駐しているので、在宅 ケアや社会資源の活用についても学ぶことができます。 平成 22 年 4 月からは臨床研究部も開設され、多発性硬化症などの免疫性神経疾患のエキスパ ートである神経内科専門医(指導医)が研究部長に就任しました。診療と並行して臨床研究に関 しても基礎を学ぶことが可能となると思われます。 2) 施設認定状況、指導医、専門医 ① 日本神経学会教育施設 ② 指導管理責任者名;菊地誠志(院長) ③ 指導医名;土井静樹,藤木直人,南 尚哉,新野正明 ④ 専門医名;田代 淳,宮﨑雄生 ⑤ 専門医以外の医師の紹介;網野 格(専修医),野中隆行(専修医) 3) 後期研修到達目標 I. 一般目標 神経内科診療の基本は,適切な病歴聴取と正しい神経学的診察法による局在診断およ び病態評価にあり,その技法を習得する。そのうえで,当科の特色である神経変性疾患, 免疫性神経疾患(重症筋無力症,多発性硬化症など)をはじめとする多様な病態を持つ 神経疾患の診療を経験する.また,神経放射線学的検査および電気生理学的検査などの 補助診断法について理解を深め,診療に役立てることが出来る。II. 行動目標 後期研修では以下の内容を身につけ、研修終了後には神経内科専門医取得可能となる。 ① ミニマムリクアイアメント(日本神経学会)で定めた神経学的症候や病態の意 味を正しく理解し、適切な神経学的所見をとることが出来る ② 神経生理、神経放射線、神経超音波、神経病理、神経遺伝学をはじめ、各種神 経学的検査結果の意味・解釈や治療の内容を理解出来る。またミニマムリクア イアメント(日本神経学会)で定めた検査、治療、手技は自ら施行し、適切な 判断を下すことが出来る。 ③ 適切な確定診断を行い、治療計画を立案し適切な診療録を作製できる。ミニマ ムリクアイアメント(日本神経学会)で定めた疾患については主治医として十 分な診療経験を有している。 ④ 診断・治療方針の決定困難な症例や神経内科救急をはじめ迅速な対応が必要な 症例などにおいて、自科の専門医、他科の医師に適切にコンサルトを行い、適 切な対応ができる。 ⑤ コメディカルと協調、協力する重要性を認識し、適切なチーム医療を実践でき る。 ⑥ 患者から学ぶ姿勢を持ち、患者と患者の周囲の者に対するメンタルケアの大切 さを知り、実践できる。 ⑦ 神経学的障害をもった患者の介護・管理上の要点を理解し、在宅医療を含めた 社会復帰の計画を立案し、必要な書類を記載出来る。 ⑧ 神経内科救急疾患における診察の仕方、処置の仕方について学び、実践できる。 ⑨ 医療安全、倫理、個人情報保護の概念、医療経済について必要な知識を有する。 ⑩ カリキュラムの修得度を定期的に自己評価するとともに、指導医の評価も受け つつ、自己研鑽を積み重ねる。 ⑪ 日本神経学会をはじめ関連学会の主催する教育講演、生涯教育講演、ハンズオ ンセミナーなどに積極的に出席し、学習する。 III. 専門医取得 ① 神経内科専門医を目指す研修医は日本神経学会のミニマムリクアイアメント を参考に,3年間で全ての項目の研修が出来るよう目標を定める。 ② 神経内科専門医取得には,日本内科学会認定内科医の資格を取得する必要があ るため,初期研修での経験に加え,一般内科的疾患に伴う神経疾患の診療を通 して,一般内科的技量の習得にも努める.
Ⅳ. 週間予定表 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 午前 外来 病棟回診 病棟回診 外来 放射線検査 午後 病棟回診 生理検査 病棟回診 北 大 神 内 筋 病 理 カンファレンス 総回診 新 入 院 症 例 カ ン ファレンス 抄読会 病棟回診 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン カ ン フ ァ レ ンス 病棟回診 生理検査 4)後期研修において神経学会の定めるミニマムリクアイアメント A.神経診察一般 意識状態,言語,脳神経,運動,感覚,腱反射,協調運動,髄膜刺激徴候,脊柱,自 律神経,起立・歩行など B.必須の症候・病態 意識障害,精神症状,痙攣,高次機能障害,脳神経障害,不随意運動,運動麻痺,筋 緊張異常,自律神経障害など C.必須の疾患(主治医となる必要のある疾患) 脳血管障害,脳炎・髄膜炎,てんかん,脱髄疾患,神経変性疾患,内科疾患に伴う神 経疾患,末梢神経疾患,筋疾患など D.必須の疾患(必ずしも主治医でなくとも良い疾患) プリオン病,ミトコンドリア病,膠原病に伴う神経疾患,脊髄血管障害,ジストニア, 破傷風など E.神経救急 適切な対応,的確な診断と病態の把握,緊急検査の選択と結果の解釈,重症度の評価 と集中治療の適応の判断,適切な緊急処置など F.必須の検査 神経生理学的検査,神経放射線学的検査,神経超音波画像検査,神経・筋病理学的検 査,脳脊髄液検査,自律神経検査など G.必須の治療・手技(在宅医療を含む) 人工呼吸器管理,NIPPV を含む呼吸管理,各種リハビリテーション,IVH 管理,経管 栄養管理など H.必須の医療介護・福祉・在宅医療事項 特定疾患申請,介護保険に関する指導・意見書提出,身体障害者申請,在宅医療に関
する指導・意見書提出(訪問看護指示書など)など I.神経遺伝学 遺伝性疾患患者の適切な診療,遺伝学的診断法,家系図の作成,遺伝専門医への適切 な紹介,ゲノム,DNA, RNA, 遺伝子の構造,遺伝子変異についてなど J.その他必須の事項 医療安全,医の倫理,informed consent,個人情報保護,病病連携,病診連携,医療 経済/保険制度など 5) ミニマムリクアイアメントとは別に各施設における研修可能内容 当科は運動障害性疾患,多発性硬化症,重症筋無力症などについて全道から症例が集 まるため,診断から慢性期までのトータルな診療について,十分な症例数を経験するこ とができる.また,その他の疾患においても,それぞれの疾患につきエキスパートが指 導医として在籍しており,質の高い研修が可能である. 6) 神経内科専門医を目指す後期研修の 3 年間 1 年目 指導医・上級医による指導をうけながら、主治医として外来・入院診療 の研鑽を積む。神経内科症例検討会を通じて神経内科の考え方や知識を 学び、必要な診断方法や治療方針を習得していく。また、主治医ではな くとも、カンファレンスや総回診を通じて幅広い疾患に対する理解と経 験を深める。検査業務については、指導の下に適切に施行出来るように する。救急外来では、神経内科救急に対する処置について研鑚を積む。 外来では、退院後の患者の治療継続を行い、疾患の縦断像を把握出来る よう努める。指導医や上級医の指導の下、各種書類を適切に記載する。 医療安全・医療倫理の講演会には積極的に出席する。 2 年目 引き続き、指導医・上級医による指導をうけながら、主治医として外来・ 入院診療の研鑽を積む。神経内科症例検討会を通じて神経内科の考え方 や知識を深め、診断方法や治療方針を習熟していく。カンファレンスや 総回診を通じて幅広い疾患に対する理解と経験をさらに深める。基本的 な疾患では適宜指導医・上級医に相談しながら一人で診療可能なレベル 到達を目指す。検査業務についても基本的な内容は一人で施行出来るこ とを目標とする。救急外来では、神経内科救急に対する経験を深める。
積極的に外来業務を行い、疾患の幅広い知識を身につけるとともに、引 き続き疾患の縦断像を把握出来るよう努める。指導医や上級医の指導の 下、各種書類を適切に記載する。医療安全・医療倫理の講演会には積極 的に出席する。 3 年目 主治医として外来・入院患者を受け持ちながら各種検査を行うととも に、臨床研修医の上級医としての指導も行なう。教育関連病院との連携 を通じて在宅の状況を把握出来るように努め、全人的な診療の中での神 経内科診療の習得を目指す。神経学会の定めるミニマムリクアイアメン トを適切に達成出来るよう、指導医と相談し、不足する研修内容は関連 病院、学会ハンズオンセミナー、各種学習会などを通じて習得出来るよ う研鑽に励む。