技術科教室 平
h/1anufacturing and Effect of Ruler for Crosscutting of Handsaw
Seiji HIRATA*
To crosscut a board accurately and easily with a handsaw in a junior high school,two types of ruler are tried and the effects are studied as follows:
(1)The blade―pushing type needs more force and time than expected,and the error cannnot be neglected.
(2)The guide type gives an easier work,accordingly with the smaller errOr and the smoother surface quanty. On the Other hand, the guide causes a longer time to fix the 、vork and a
narrower sight of the sa、 vn part.
1.は
じめ に 中学校技術・ 家庭科の木材加工領域 において,の
こぎりび きは基本的作業 の一つである。 また, かんなによる木 日の修正 は割れが生 じやすいので,特
に横 び きは,け
が き線 に正確 に行 うことが必 要である。しか し,の
こぎりび き指導 に関す る研究(lXりもなされているように,け
が き線 に沿 って的 確 にの こぎりび き。)することは中学生 に とって容易 とはいえない。 的確 なの こぎりび きに役立てるため,あ
て木律XOやあて定規(∝りが技術・家庭科の教科書に掲載 さ れ,補
助教具kalが研究 され,そ
しての こび き定規0が
市販 されている。これ らの構造 は簡単で取 り扱 い も容易であるが,簡単 な木製品(1のの製作 に必要 と思われ る幅200mll程度 の板材 の横 び きには適 さな ヤゝ。 そ こで本研究で は,幅200mtl程度 の板材 の横 び きが中学生で も正確かつ容易 に行 えることを目的に2種
類 の手び きの こぎりの横 び き用定規 を試作 し,生
徒 に実地 に使用 させてその効果 を比較 した。2.試
作 した手 び きの こ ぎ りの横 び き用定 規 図 1は,試
作 した押 し当て式の手びきのこぎりの横びき用定規 (以下,押
し当て式定規 と略称す る。)と背板 を取 り付 けた両刃のこぎりとを示す。図2は
,試
作 したはさみ式の手びきのこぎりの横 びき用定規 (以下,は
さみ式定規 と略称する。)と背板 を取 り付けた両刃のこぎりとを示す。 また図3は
,押
し当て式定規 を用いたのこぎりびきを,図
4は
,は
さみ式定規 を用いたのこぎりびきをそ 路* 晴 田平田晴路 :手 びきのこぎりの横び き用定規の試作 とその効果 れ ぞれ示 す。 次 に
,両
定規 に共 通 す る特徴 を示 す。 ① 板材 は,台
と上板 にはさんで固定する。 切削中に板材が動 くと的確な切削が困難になるが,中
学生にはの こぎりびきする際に板材 を自力 で確実 に固定 してお くことが容易でないと思われる。そこで確実に板材が固定できることを求め, 板材 を台 と上板の間にはさみ,上
板 をちょうナッ トで締め付 ける方式を採用 した。 また台には研磨 紙 を貼 り付け,固
定 をより確実なものにした。 ② のこ身には背板 を取 り付 ける。 ほぞ組みや組みつぎなどの切削に用いられる日本の胴つきのこぎりやアメリカ合衆国のbacksaw(10, dovetail saw(10に は,背
金が取 り付 けられている。背金 は,の
こ身が曲がるのを防ぎ,正
確な切削 図1
押 し当て式定規 図2
はさみ式定規 図3
押 し当て式定規を用いたのこぎりびき 図4
はさみ式定規を用いたのこぎりび き に寄与す る。また,backsawを
使用す るmiter box(1動やmiter machine(り に見 られ るように,背
金 に の こ身が動 く位置 を制御 させ る役 目を持 たせ ることもで きる。本研究での定規で は,こ
れ ら背金 の 利点 を取 り入れ るため,151■ll厚の合板での こ身 をはさみ背板 とし背金の代わ りをさせ る。 次 は,各
定規固有 の特徴 を示す。 押 し当て式定規 は,背
板 を定規板 に押 し当てての こぎりび きを行 う。の こぎりび きしやすい よう, 背板 には把手 を取 り付 けてある。 はさみ式定規 は,背
板 を定規板 と案内板 との間に通 しての こざり び きす る。の こ身が横振れ しない円滑なの こぎ りび きを実現 させ るには,定
規板 と案内板 との間隔 を調整す ることが必要である。ム
臼ぜ\
│
\
/
案内板
背板
/
二―蜀咀 と華二.と!なお両定規 とも
,定
規板 と上板 は2011ull厚の合板 とし強 固 な構 造 に した。 3。 手 び きの こ ぎ りの 横 び き用 定 規 の 効 果(1)検
査方法 試作 した両定規 の長所 と短所やその効果 を調べ るため,被
検者 にA「
のこぎ りだけを使用す る。 (普通 のの こぎりび き)」,B「
押 し当て式定規 を使用す る。」,C「
はさみ式定規 を使用する。」の3 通 りの方法 によって板材 を切断 させた。 被検者 は鳥取大学附属 中学校第1学
年B・D組
の男子生徒43人,鳥
取県鴨川中学校第1学年A組
男子生徒20人の合計63人である。検査期 日は,鳥
取大学附属中学校 の生徒 については1988年 1月, 鳥取県鴨川中学校 の生徒 について は1989年 2月 である。検査期 日には被検者 は,既
に授業での こぎ りび きを経験済みである。3通
りの方法別 に別個 の両刃の こぎ りを用いたが,使
用 した両刃の こぎ りは刃渡 りが210111111の同一銘柄であ り,その横 び き歯 は,の
こ身の左右であさりの出の偏 りの認 め ら れない ものである。 板材 は,幅
210mll,長 さ9001mll,厚さ121n14のアガチス材 (比重:0.48)と
した。 アガチス材 を被削 材 に選 んだのは,中
学校技術・ 家庭科で使用 され る頻度が大 きい とい う理由か らである。 切削のためのけが き線 は板材 の右 の木 日か ら301mll間隔にけが き,切
断 も右端 のけが き線か ら順 に 行わせた。 またひ き道 の曲が りとけが き線か らのずれ を測定す るのに必要な基準線 を,各
けが き線 か ら左 に151ullの位置 に引いた。板材 を固定するためある程度 の板材 は必要であるので,板
材の長 さ が25011ull以下 になった らよ り長い板材 に交換 した。 板材 の切断 は,各
方法 によって1回行 った。各方法の順序 は被検者 ごとに全組合わせ によって変 え,練
習効果が検査結果 に影響 しないよう配慮 した。 検査 は,板
材 の固定 との こぎりび きとに関する官能検査,板
材 の切断に要 した時間,ひ
き道 とけ が き線 とのずれ,ひ
き道 の曲が り,ひ
きはだの良否 について行 った。(2)結
果 と考察 ① 板材 の固定 に関す る官能検査 板材 の固定 に関 して,「ア.固 定 は簡単 だった」,「イ.の こぎりび きの とき板材が動 きに くかった」, 「ウ.固
定 に手間がかかった」,「工.固
定 に手がつかれた」,「オ.の
こぎりび きの とき板材が動 き やすかった」,「力。 その他」の6つの選択枝 を 設 けて,各
方法 ごとに2つまで答 えさせた。表 1は,そ
の回答結果 を示す。 表1か
ら,方
法Aで
は「オ.の
こぎりぴ きの とき板材が動 きやすかった」が最 も多 く,以
下 「工.固
定 に手がつかれた」,「ア.固
定 は簡単 だった」 の1隠に多い。 また方法Bで
は「ア.固
定 は簡単 だった」,「イ.の
こぎりび きの とき板 材が動 きに くかった」が多い。そして方法Cで
は,「イ。の こぎ りび きの とき板材が動 きに くかった」 が他 の方法 に比べて も最 も多い。 また「ア.固
定 は簡単だった」 も多いが「 ウ。固定 に手間がかか った」 も少な くない。 以上 よ り生徒 は,横
び き用定規 を使用す ると板材の固定が確実 になると感 じているが,方
法Cで
表1
板材の固定に関する感想 方法 ア 人 イ 人 ウ (人) エ (人) オ (人) 力 人 A 7 B 3 5 C 1 5258
平田晴路 :手 びきのこぎりの横びき用定規の試作 とその効果 は固定が面倒 とい う感想 も持つ ことがわか る。方法Cの
はさみ式定規 は案内板があるため,け
が き 線 を切断 され る位置 に合 わせ るのが面倒 だった と思われ る。 ② のこぎりびきに関する官能検査 のこぎりびきに関 して,「ア.け
が き線の通 りに切断できた」,「イ.の
こぎりをひ くのにあまり力 がいらなかった」,「ウ。けが き線の通 りに切断しにくかった」,「工.の
こぎりをひ くのに特に力が 必要だった」,「オ.板
材 をどこまで切 っているのかわか りに くかった」,「力。その他」の 6つ の選 択枝 を設け,各
方法 ごとに 2つ まで答 えさせた。表 2は,そ
の回答結果 を示す。 また表 3は,の
こ ぎりびきが易 しかった‖贋位 を質問 した結果を示す。 表2か
ら,方
法Aで
は,「ウ.け
が き線 の通 りに切断 しに くかった」,「工.の
こぎりをひ くのに特 に力が必要だった」の回答が多い。方法Bで
は,「ア.け
が き線 の通 りに切 断で きた」が最 も多いが, 「工.の
こぎりをひ くのに特 に力が必要だった」が次に多い。方法Cで
は,「ア.け
が き線 の通 りに 切断で きた」,「イ.の
こぎりをひ くのにあまり力がい らなかった」,「オ.板
材 をどこまで切 ってい るのかわか りに くかった」が多い。 以上 よ り,生
徒 は横 び き用定規 を使用す るとけが き線 に沿 って的確 にの こぎりび きで き,特
には さみ式定規で は楽 にの こぎりび きで きると感 じていることがわか る。 しか し,押
し当て式定規 は力 が意外 に必要な こと,は
さみ式定規 は切断 されている場所が見 えに くいな どの短所 も感 じているこ ともわか る。押 し当て式定規で力が必要だった とする生徒が多いのは,背
板 を定規板 に密着 させて の こぎりび きす ることの困難 さを示 していると思われる。 表3についてフリー ドマ ンの検定 を行 うと,方
法間に1%水
準 の有意差が認 め られ (χ2三42.5,df=2),方
法C,B,Aの
順 にの こぎりび きが易 しい といえる。 ③ 板材の切断に要 した時間 本検査 は,前
記の鳥取県鴨川中学校第1学
年の男子生徒20人について行った。 板材の切断に要 した時間 は,板
材の固定に要 した時間 と板材ののこぎりびきに要 した時間に分け 表2
のこぎりびきに関する感想 方 法 ア (人) イ 人 ウ 人 エ (人) オ (人) カ (人) A 6 B C 1 0 表3
のこぎりびき力場 しかった順位 方 法 1位 (人)地
閃
3位 (人) A B C 2 注)1,( )内 は標準偏差 を示す。 2.各方法間の平均値 の差 の検定結果(いずれ もdf=19) (ll 被 削材の固定 に要 した時間 B―Cit‐370, p<001 12)のこぎりび きに要 した時間 A―B:t‐108, p>005 B―CIt‐335, p<001 A―Cit‐441, pく001 (3)合計時間 A一 B:t‐412, pく001 B―Cit‐109, p>005 A―C:t‐582, p<001 表4
切断に要 した時間の平均値 方 法 被 削材 の固定 に要 した時間 (秒) の こぎ りび き に要 した時間 (秒) 合計時間 (秒) A 50(18.9) 50(18。 9) B 24( 6.8) 58(30.2) 82(34.3) C 37(15.1) 36(10.3) 73(20.1)て測定 した。表4に
,そ
の結果 を示す。 表4で
は,方
法Cの
板材の固定 に要す る時間 は,方
法Bの
それ より長い。 この理 由 は,は
さみ式 定規 には案内板が あるので,切
断 され る位置 にけが き線 を合わせ るのに時間 を要す るため と思われ る。方法Bの
の こぎりび きに要す る時間 は,方
法Aの
それ と同程度であ り方法Cの
それ よ り長い。 この理 由は,押
し当て式定規で は背板 を定規板 に密着 させての こぎりび きす るのに苦労す るため と 思われ る。 また板材 の固定 との こぎりび きとの合計時間 を較べ ると,板
材の固定時間のない方法A
が最 も短時間であ り,定
規 を使用す る方法B,Cは
長時間 となる。 はさみ式定規 は,板
材 の固定時 間が長いため,の
こぎりび き時間が最 も短 い とい う利点が生かされてない。 ④ ひ き道 とけが き線 とのずれ 本検査 は,前
記 の鳥取大学附属中学校第1学
年 の男子生徒43人について行 った。 ひ き道 とけが き線 とのずれ は,切
り終わ りの箇所で工具顕微鏡 を用いて測定 した。表5は
,そ
の 結果 を示す。 表5の方法A―
B間
と方法B― C間
には, 1%水
準 の有意差が認め られ る (それぞれt=4.74,
t=6.39,両
者 ともdf=42)が
,方
法A―
C間
には有意差が認 め られない(t=0.94,df=42, p>
0.05)。 同表 よ り,方
法Bの
ずれが最 も大 きい ことがわか る。方法Aの
普通 のの こぎりび きが方法Bの
押 し当て式定規 よ りよい結果 となったのは,方
法Aで
は被検者がけが き線 を見 なが らひ き道 の修正 を 行 えるため と思われ る。なお方法Bの
ひ き道 だけが けが き線 の外側 にずれていることが注 目され る。 ⑤ ひ き道 の曲が り 本検査 は,前
記の鳥取大学附属中学校第1学
年の男子生徒43人について行 った。 どれだけ直線 に近 くの こぎ りをひ くことがで きるか を表す と考 えられ るひ き道 の曲が りは,ひ
き 道 と基準線 との最小 の間隔 と,ひ
き道 と基準線 との最大 の間隔 とを工具顕微鏡でそれぞれ測定 しそ の差で表 した。表6は
,そ
の結果 を示す。表6の各方法間には
1%水
準 の有意差が認 め られ(A―
Btti t=5.56,B―
C間 it=4.61,
A一
Ctti t=11,01,い
ずれ もdf三42),普通 の方法での曲が り量が最 も大 き くはさみ式定規 でのそ れが最 も小 さい ことがわか る。押 し当て式定規での曲が り量 は,は
さみ式定規 のそれ よ り大 きく, 背板 を定規板 に押 し当てるだけで はの こ身 の位置 を制御することが困難 と思われ る。 はさみ式定規 表5 切り終わりでのけがき線とのずれ 方 法 平均 (mm) A -0.42(1.17) B 0.65(0.93) C-0.23(061)
注)1。( )内
は,標
準偏差 を示す。2.正
値 はけが き線 の外 側へのずれを,負
値 はけが き線の内側ヘ のずれを示す。 表6
ひき曲が り 方 法 平均(mm)
A 1.60(073) B 082(0.62) C 0.37 (0.14) 注)( )内
は,標
準偏 差 を 示す。260
平田晴路 :手 びきのこぎりの横びき用定規の試作 とその効果 で はその構造か らひ きみちの曲が りは生 じない はずであるが,背板 と案 内板 とのす きまの調整不良, 使用 したの こぎりの歯の高 さと目立て との左右 での偏 り,な
どで生 じた と考 えられ る。背板 と案内 板 とのす きまの調整 は,今
後簡単かつ適切 にで きるよう改善 したい。⑥
ひきはだの良否
各方法のひきはだを調べ
,各
方法を代表する例を図
5に示す。
図5
ひきはだ 図5で
は,普
通 のの こぎ りび きを した場 合 と押 し当て式定規 を使用 した場合 とに は,の
こぎ りの 軌跡 が 目立 つ。 はさみ式定規 を使 用 した場 合 は最 も平滑 なひ きはだで あ り,そ
の構造 に よる特長 が 現 わ れ て い る。4.結
論 手びきのこぎりの横びき用定規 として,押
し当て式定規 とはさみ式定規 とを試作 し,両
定規の効 果 を検査 し比較 した。その結果,両
定規 とも板材の固定が確実になるほか次に示す特徴があること 力逹わかった。1)押
し当て式定規 で は,の
こぎりび きに予想以上 の力 と時間を必要 とし,ひ
き道 とけが き線 との ずれ も大 きい。背板 を定規板 に押 し当て ることによって,の
こ身 を横方向に動かない ようにして の こぎ りび きす ることは容易でない と思われ る。2)は
さみ式定規で は,案
内板 の働 きによっての こぎりび きが簡単であ り,ひ
き道 とけが き線 との ずれやひ き道 の曲が りは小 さ く,そ
してひ きはだ も平滑である。 しか し案内板 の存在 は,け
が き 線 を切断 され る位置 に合わせて固定す るのを面倒 にし,の
こざりび きしている箇所 を見 に くくす る。板材 の固定 に要す る時間が長いため,
このままで はの こぎりび き時間が短い利点が生か され ない。 今後,押
し当て式定規で は背板 と定規板 との密着 に磁石 を利用する,は
さみ式定規 で は案 内板 を 透明の材料 に変更す る,な
どの方策 によって横 び き用定規が教育現場で簡便 に使用で きるよう改善 したい。 本研究 を行 うに当た り,懇
切丁寧 な助言 を下 さった鳴門教育大学河原淳夫教授 に深甚 なる謝意 を 表 します。 また検査 に協力いただいた鳥取県鴨川中学校高橋達夫教諭 に御礼 申し上 げます。引
用
文
献
徹)向
山玉雄・林俊郎 :ノコギ リ引 き作業 における技能 の習得過程,日本産業技術教育学会誌,第29巻第3号, 1987, 57-64. 修)村
田昭治・橘 田紘洋:巧致性 の発達 と技術教育 の方法(2),日本産業技術教育学会誌,第30巻第1号,1988, 23-27. (3)文部省:中学校指導書技術・家庭編,開隆堂,1978,13. 傲)鈴
木寿雄 ほか編修 :技術 。家庭上,開隆堂,1989,31. (5)馬場信雄ほか著作 脩)鈴
木寿雄ほか編修 (7)馬場信雄 ほか著作 新編新 しい技術・家庭 (上),東京書籍,1990,22, 前掲書,52. 前掲書,48. 俗)宇
都家重臣・間田泰弘 :加工学習における補助教具の効果―木材加工補助教具 (治具)とそれに対応 したの こについて一,第30回日本産業技術教育学会全国大会講演論文集,1987,28. (9)岡田金属株式会社:トップマン技術・家庭カタログ,第
100号,1990,35.61.10
文部省:中学校学習指導要領,大蔵省印刷局,1977,81.10 CHRIS H.GRONEMAN:GENERAL WOODWORKING,McGRAW HILL BOOK COMPANY,1971,
44.
l121 1bid。,97.