⽇常臨床におけるピットフォール
★⼼配する疾患 ○治療院・サロンレベルで来院される可能性のある危険なしびれの状態 ○急性にしびれが起きたことがはっきりしていて、脱⼒を伴う ○⾮常に特異な分布のしびれ ⼝と⼿掌、顔の⽚側と反対側の上下肢【1】しびれ
★⼿掌・⼝症候群 →⼀側の⼿掌と同側の⼝周囲に⽣じる感覚障害(しびれ感、⾃発痛など) 病変の⼤部分は視床の⼩梗塞 ★要注意のしびれ 数週間の経過で進⾏する⼿⾜のしびれ→悪性腫瘍、全⾝性の⾎管炎 ★問題のないしびれ ⾼齢者→基礎疾患なし、経過観察しても進⾏が認められない→原因不明 良性のしびれ
★頭痛 3 兄弟 → どんなに痛くても命は⼤丈夫
緊張型頭痛
⽚頭痛 → 考えられる Key Word は?
群発頭痛
頭痛 3 兄弟の Key Word から危険な頭痛の Key Word を考えてみましょう。
◎危険な頭痛
頭痛はほとんどが良性ですが、重篤な頭痛、病的な頭痛のほぼすべては
他には、
★治療院・サロンレベルで来院の可能性がある頭痛が主となる救急疾患 くも膜下出⾎、脳出⾎、脳腫瘍、髄膜炎 髄膜炎に関しましては、ある条件を満たしますと来院の可能性があります。 実際に 1 例経験があります。 ○くも膜下出⾎ 頭痛の特徴 嘔吐は教科書に書いてあるほど⾒られません。 教科書に書いてあります「○○のような頭痛」は意外に少ないです。 40%強は 頭痛です。
それより⼤切なこと 意識障害、意識の喪失はよく起こりますが、ご本⼈が記憶しているほど⻑くは なく、ほとんどの患者さんは、「ちょっと、横になっていた。」、「少し、寝 ていた。」と表現されます。 効果的な質問 上のような典型的な症状が無くても注意が必要なケース ① と思われる若者、壮年者 ②⾼齢者→⾼齢者は や ( )とは縁が薄い
考えられる疾患は ③夜間の頭痛 ・夜間の頭痛には注意が必要 患者さんの病気に関する感度は⾼いものです。 夜、仲間とカラオケを楽しんでいるときに頭痛がすると来院されたらそれだ けで、救急搬送するべきです。 また、⼤切な会議を頭痛がするからといって抜け出し治療に来た時も、 同様です。 楽しんでいるときや⼤切な話をしているときに「頭痛」ごときで、治療に来 る、これは、患者さんが「危ない」と思っているからです。痛みの程度は関 係ありません。 1 位 2 位 3 位
特に以下のことがはっきりとしている場合は、躊躇なく救急搬送してく下さい 救急隊も最近はよく勉強されていますので、上の内容を話すだけで、理解して くれます。 ○脳出⾎ 頭痛の特徴 頭痛に加えて悪⼼、嘔吐 脳出⾎になる可能性が⾼い持病
○脳腫瘍 頭痛の特徴 特に ほかには、慢性閉塞性肺疾患による⾼炭酸ガス⾎症、群発性頭痛、性交時の男 性の絶頂感に伴って起こる頭痛(くも膜下出⾎と間違えることあり)などがあ ります。 ○髄膜炎 髄膜炎の特徴 と
両⽅ある場合に、治療院・サロンに治療をしに来ることはまずありませんが、 優秀な鍼灸師と評判が⽴つと、両⽅あっても来院の可能性はあります。 問題は の後、 頭痛が残っているので、それを何とかして欲しいと来られた場合です。 実際によく経験があり、1 例だけ髄膜炎でした。 髄膜炎かどうかを⾒分ける簡単な検査→ジョルト・アセンテュエーションテス
ト(Jolt Accentuation Test)ジョルト・アセンテュエーションテストが陽性
なら髄膜炎の可能性が⾼い
いろいろ勉強しましたが、全部忘れても、これさえ覚えておけば⼤丈夫!!
― 危険な頭痛の3⼤徴候 ―
3つそろえば、脳疾患イベントの可能性が100%です。
〇頭痛とは関係しませんが、脳疾患イベントの⼀つである脳梗塞の実例を参考 まで上げておきます。 60代⼥性、慢性腰痛症、最近、腰痛がひどくなり来院され、若⼿の鍼灸師が 担当。毎⽇、通院され徐々に痛みが回復。 ある⽇、タクシーの運転⼿が、「お客さんが⾞から降りられないので、⼿伝っ て。」と受付に来る。担当の鍼灸師が向かい、からだを⽀えながら治療室へ⼊ ってきました。患者さんは「腰が痛くて⼒が⼊らない。」と繰り返していまし た。治療室に⼊ってきた瞬間、担当の鍼灸師に「救急⾞を呼ぶように」と指⽰ を出しました。ポイントは1点だけです。 救急搬送を指⽰したポイント
内臓の病気からくる関連痛か筋⾻格系の1次性疼痛かの判断は極めて重要です。 意外に関連痛が多い場所です。 痛みを引き起こしている部位を確定するのも、意外に難しいです。いろいろな 病気が肩に痛みを引き起こします。 関連痛を⽰唆する Key Word このどちらからの訴えがあれば、必ず、医療機関へのコンサルを進めてくだ さい。内科専⾨医で⼀応は、⼤丈夫です。
【3】肩痛
・治療院・サロンにあまり来ないレベルだが、知っておくべきこと 常に痛く、どのような態勢でも痛みがあり、かつ、その痛みが増悪している 夜間痛、寝汗、発汗、発熱、悪寒 〇夜間痛の意味を正しく理解されていますか? 夜間痛とは 痛みを⾔う 〇⼼筋梗塞の診断は複雑怪奇 左肩部の原因不明な痛み、胸の圧迫感=⼼筋梗塞ではない 「⾮典型的例こそ⼼筋梗塞の典型例」 ⼼筋梗塞の放散痛(関連痛) 左肩ではなく、 ( の痛み
⼼窩部痛を胃の痛みと断定しない ⼼筋梗塞の初発症状で⼼窩部痛、場合によっては胃の痛みを訴える割合は 25%。 ⻭の痛み、あごの関節の痛みのこともあり これらから考えられることは? ⼼筋梗塞は、常に ) に放散痛が出る 放散痛 + すぐに循環器内科にコンサルを!! ⾼齢者の⼼筋梗塞は痛みを訴えない!! 85歳以上の⾼齢者の70%近くは胸痛を⾃覚しません。 最も多い訴えが、「息切れ」 「⾵邪をひいて、息がしづらい」→危険サイン
⼥性の⼼筋梗塞の43%は胸痛を訴えない
息切れ、吐き気、全⾝倦怠を訴えることが多い
1⼈で歩いて、治療院・サロンに来るレベルでの危険な病気の割合は少ないで す。だからといって、漫然と治療を続けるのは危険です。 Key Word は ①説明のつかない体重減少 ②1ヶ⽉以上、( ) ③1ヶ⽉以上、( ) ④数ヶ⽉の内で痛みが徐々にひどくなる ⑤痛みのせいで眠れない 考えられる症状 エビデンスとしては、上のようになりますが、臨床の経験値からは、1週間、 痛みが変化しない場合は、筋⾻格系以外の腰痛を考慮に⼊れるべきです。 〇危険な腰痛かどうか、これだけ覚えておけば⼤丈夫
【4】腰痛
整⾻院・サロンに腹痛を主訴として来院されることはあまりないでしょう。鍼 灸院は評判が⾼くなりますと、当然、来院があります。 ただ、中には、関連痛が主となり来院される可能性はあります。そのような症 例を教科書から⾒てみましょう。 症例 20歳⼥性 主訴:全⾝が筋⾁痛のように痛い 現病歴 ⽇曜⽇に引っ越しをし、重い荷物を多く運んだ。その⽇は何ともなかったが、 翌、⽉曜⽇に全⾝に筋⾁痛を感じた。特に、右の胸の下あたりから、右のお腹 の上あたりまでが痛い。筋⾁痛と思い、シップを貼ったが、よけいに痛くなっ た。数⽇たっても痛みは軽くならず、徐々にひどくなってきたので、来院 患者さんの解釈モデル 引越による全⾝の筋⾁痛
【5】腹痛
Key Word は何でしょうか? 確定診断はクラミジア感染が原因の Fitz-Hugh-Curtis 症候群でした。 30歳未満の⼥性、右季肋部(上腹部)の痛みおよび圧痛→FHCS 〇20〜30歳代、⼥性の右上腹部痛は⼦宮の病気を疑う ⼦宮内膜症、卵巣膿瘍など 実例を挙げておきます。 整⾻院勤務時代の同僚の奥さん(20代) 1ヶ⽉前から、右上腹部が痛みだす、痛み⽌めも効かず、常に痛いと訴える ので、彼から相談を受けました。 ⼦宮内膜症や卵巣の病気の疑いがあるので、婦⼈科の受診を勧めました。 その半⽉後に、彼から夜間に携帯で電話が⼊り、奥さんが⼊院したから、 明⽇は休むとありました。詳しく聞きますと、卵巣膿瘍があり、それが炎症
を起こし、破裂したので⼿術を受けるとのことでした。 その後、出勤した彼に、婦⼈科の受診につき確認しましたところ、診察を 受けたが、右上腹部痛と⼦宮の病気の関連を否定されたそうで、安⼼してい たそうです。 勉強不⾜の婦⼈科医に当たったようです。鍼灸師の⾔うことより婦⼈科医 の⾔うことを信じるのは、普通です。しかし、彼も柔整師で医療⼈の端くれ であれば、奥さまの病気の状態から、「普通ではない」ことを感じるべきで した。 「普通ではない」Key Word は何でしょうか? 〇関連痛を疑うべき症状をまとめておきましょう。
評判の治療院・サロンになりますと、いろいろな病気の⽅が、先⽣に治しても らうために来院されるようになります。 問診中、治療中に意識障害を起こすケースも想定が必要です。慌てないため にすることは、⼀つだけ。 意識障害=脳疾患イベントではありません。バイタルの内の⼀つを測定し判 断します。 意識障害を起こしたら、すぐに を測る 判別の⽅法 この判別をして、脳外科に送るのか、内科に送るのかを救急隊に話せば、患 者さんが助かる率が⾼くなります。
【6】意識障害
勤務先のオーナーが、この勉強のときにたまたま聞きに来ていて、その後、 別の部⾨の従業員と激しく論争になり、その従業員が意識を失い、倒れた時に、 上の測定を⾏い、判別し、すぐに、脳外科に送ったことにより、事なきを得た とことがありました。 今回の講義内容は以上です。他にもいろいろありますが、1⼈で歩いて来院、 治療のために治療院・サロンを選択する可能性がある疾患だけに絞り込んであ ります。 カリスマ鍼灸師、整体師など⽬指し、成功する治療院・サロンにしたいとお 考えでしたら、是⾮、知っておく必要があることばかりです。過去の経験から も、評判を聞いて、このような患者さんは、先⽣に治してもらおうと思って来 られます。 患者さんが、危険な病気だと思う感度は、医療者が思っているより⾼いとい うのが、現代の医学における常識です。医療系コンサルの⾔う、「患者さんは
ないでください。
少なくと、「これだけ覚えておけば⼤丈夫」だけは、忘れないでください。
年間に1⼈、2⼈来院するかどうかといえども、知らないために、患者さんを