複数の模型船を用いたロボット船舶の
検証システム
水産工学研究所 松田秋彦、寺田大介、三好潤、溝口弘泰、長谷川勝男 神戸大学 橋本博公、沈海青、谷口裕樹、世良亘ロボット漁船への道
• 平成27年1月23日にロボット新戦略に関するとりま とめが行われるなど、近年、政府主導によるロボット 開発推進が行われている。 • その中で、平成26年度補正として、「農林水産業に おけるロボット技術開発実証事業(研究開発)」が公 募された。 • 水産業においては加工機械など、陸上作業のロ ボット化は進んでいるが、洋上でのロボット化はあま り進んでいない。ロボット漁船への道
• 一方、船舶の運航にあたっては有人船舶の船橋を いかなる場合も無人にしてはならないと「1978年 の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に 関する国際条約」において定められている。 • しかしながら、漁労作業まで無人ロボット化するの はハードルが高すぎる。 • そこで、「ロボット漁船を開発するための安全・省エ ネ自動操縦システムの開発」として応募し、採択さ れた。 3/35 船舶の運航自動化に関するWSロボット漁船への道
• ここでいうロボット漁船とは「安全に漁港と漁場を自 動で往復できる漁船」とする。 • そのためには波浪が穏やかな航路を必要以上に遠 回りにならないように選んだ上で他船との衝突を避 けながら目的地まで航行出来なければならない。 • したがって、要素技術は「安全で省エネな航路の選 定手法の開発」と「衝突防止手法(避航アルゴリズ ム)の開発」である。 4/35 船舶の運航自動化に関するWS安全で省エネな航路の選定技術の開発
• 商船では安全で省エネな航路の選定技術はウエ ザールーティングと呼ばれて実用化されている。 • 漁船に適用する場合は下記の点が問題となる。 1)気象予報の細かさ。 → 商船のものはメッシュや時間感覚が荒すぎて漁 船に用いると精度が悪い。 2)波向きなどによる安全性の評価 → 波高2mでも向波か追波かなどで危険性が違う。 • これらを解決したものを提案した。 船舶の運航自動化に関するWS 5/35衝突防止手法(避航アルゴリズム)の開発
• 「安全で省エネな航路の選定技術の開発」について は理論計算と一部実船を用いた検証を行った。 • 一方、「衝突防止手法(避航アルゴリズム)の開発」 については数値シミュレーション以外に模型実験に よる検証も行いたい。 • 模型船に障害物(陸地、暗礁、他船など)を認知させ るシステムの構築が必要となる。船舶の自動避航
• 避航するためには障害物を認知しなければならな い。 • 自動車では多数の自動運転補助システムが市販さ れている。 • 道路は基本的に平面でかつ動かないため、レー ダーや画像で障害物を認識することが海上と比較 すれば容易と考えられる。 • 数キロ先を見る必要は無い。 7/35 船舶の運航自動化に関するWS船舶の自動避航
• 船舶はかなり手前から相手船を認識している。 → 船舶の操船は反射神経ではなく、頭脳であると 言われるように、かなり先を見越して避航を行って いる。 • 船舶は実海域を航行している。 → 波浪の反射などもセンサーは感知するため、 時々刻々変化するものが航行に支障がないもの (海面やゴミ類)か、支障があるもの(船舶など)かを 正確に見分けるのは今のところ困難。 8/35 船舶の運航自動化に関するWSとはいえ・・・
衝突防止音響レーダー FarSounder-500/1000 (東陽テクニカのHPより) • 前方を水中から監視する。 • 水中にある固形物=確実 に障害物。 • 距離的な問題と水面近くの ものの問題は残る。 船舶の運航自動化に関するWS 9/35船舶で障害物
(相手船)を見付ける方法
• AIS(船舶自動識別装置)の普及により相手船を見 付けることが容易になった。 • 搭載義務船舶は、300総トン数以上の国際航海す る船舶、500総トン数以上の非国際航海の船舶、国 際航海の全旅客船となっている。 • 搭載義務の無い船舶向けに無線従事者が不要で 特定船舶局として開局できる簡易型AISが販売され ている。価格も約10万円と安価。中国の漁船はす べて搭載しており、価格引き下げに貢献した可能性 がある。AISのさらなる活用
• AISを様々な障害物に取り付けて航行安全に寄与 することが出来ないかという検討が始まる。 例えば… 〇氷山に取り付けて危険な位置を知らせる。 〇延縄などに取り付けて漁具の位置を知らせる。 〇鯨の位置を近くの地上局から発信する。 等々… 船舶の運航自動化に関するWS 11/35AISの活用例(海上保安庁
HPより)
船舶の運航自動化に関するWS 12/35AISのさらなる活用
• AISは2chを使って運用されている。 • しかしながら、搭載船舶や情報量の増加と共に周波 数が逼迫している。 • そこで、チャンネル数を増やすことが検討されている。 • 一方、垂直方向には電波が良く届くため、人工衛星 で受信する試みも始まっている。 • 近い将来、周辺の船舶や障害物だけではなく、全世 界の船舶の情報が得られるようになる可能性があ る。 船舶の運航自動化に関するWS 13/35無人航行技術の最前線
• 自動航行する際に障害となる周囲の相手船等を確 実に実海域で発見する手法が今までなかった。 • 一方、AISの普及により、見付けることは出来ない が、すべての相手船、障害物が自分の位置を教え てくれる時代が来る可能性が見えてきた。 • GPS機能により絶対位置がわかるため、陸地など も相対位置がわかる。 → これを使って無人航行を行う技術を構築しよう!衝突防止手法の開発
• AISに着目した衝突防止手 法の開発は大阪大学の長 谷川らが2002年頃から実 施している。 • 大阪大学の池でDGPSを 搭載した模型船を用いて実 験を行っている。 • このとき、相手船は2隻いる が、バーチャルで実験を実 施している。 船舶の運航自動化に関するWS 15/35衝突防止手法の開発
• そのほか、2005年には九大の古川らが実験を行っ た結果を発表するもやはり模型船は1隻で残りは バーチャルであった。 • シミュレーションを実施している例は多い。 • 複数の模型船を用いて相互通信をしながら実験し ている例はない。 → 複数の模型船を用いた自由航走模型実験が出来 るシステムを構築して実証試験を行おう! 船舶の運航自動化に関するWS 16/35海洋工学総合実験棟
船舶の運航自動化に関するWS 17/35航行軌跡計測装置
SIO PIO Pulse I/O On board computer CW CCW Stepping Motor Driver Revolution DC Motor Driver DC Motor Propeller Revolution Rudder Stepping Motor Fiber Optical Gyroscope Angular Angurar Velocity Acceleration RC Receiver Radio Controller Position calcurator Ultra Sonic Server位置計測システム
w av em ak er model ship 19/35 船舶の運航自動化に関するWS位置送信システム
w av em ak er 10 FOR A=0 TO 1000 20 PRINT A; 30 NEXT A 40 END Server 船舶の運航自動化に関するWS 20/35避航アルゴリズム
• 基本的に長澤モデルという 避航アルゴリズムの定番と なっている考え方を踏襲。 • かなり狭い場所での実験に なるため、チューニングを 実施。 • 詳しくは昨年11月の日本船 舶海洋工学会の講演会で 発表しているので、そちらを 参照していただきたい。 船舶の運航自動化に関するWS 21/35シミュレーション
シミュレーション(
2隻)
船舶の運航自動化に関するWS 23/35
模型実験(
2隻)
シミュレーション(
4隻)
船舶の運航自動化に関するWS 25/35
模型実験(
4隻)
27/35 船舶の運航自動化に関するWS実験結果
• 2隻であれば衝突せずに航行することが模型実験で 検証することが出来た。 • 4隻ではシミュレーションでも模型実験でも衝突が発 生した。 • その原因の一つは、衝突危険度の計算量によると 考えられる。 28/35 船舶の運航自動化に関するWS選好度の計算
• 本来避航操船の選好度は 先のようなメッシュで計算す べきである。 • しかしながら、船内コン ピュータでは計算速度の制 約から7点程度しか計算で きなかったため、衝突回避 に最適な航路をとれなかっ た可能性がある。 船舶の運航自動化に関するWS 29/35 0% 20% 40% 60% 80% 100% 120% 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.91 -6 0° -5 0° -4 0° -3 0° -2 0° -1 0° ±0 ° + 10 ° + 20 ° + 30 ° + 40 ° + 50 ° + 60 ° 0.9-1 0.8-0.9 0.7-0.8 0.6-0.7 0.5-0.6 0.4-0.5 0.3-0.4 0.2-0.3 0.1-0.2 0-0.1実験システムの改良
• 計算速度向上のため、陸上で避航に関する計算を 実施し、模型船に操舵角を返すように仕様を変更。 • ディープラーニングを用いた避航アルゴリズムを開 発。改良版システム
w av em ak er 10 FOR A=0 TO 1000 20 PRINT A; 30 NEXT A 40 END Server 10 FOR A=0 TO 1000 20 PRINT A; 30 NEXT A 40 END position rudder, propeller Server 31/35 船舶の運航自動化に関するWSディープラーニング
32/35 船舶の運航自動化に関するWS模型実験結果
33/35 船舶の運航自動化に関するWSまとめ
• ロボット漁船を構築するために必要な避航アルゴリ ズムを検証するための模型実験を行えるシステム を構築した。 • ディープラーニングを用いたシミュレーションと模型 実験の結果からシミュレーションの確からしさを確認 することが出来た。ご清聴ありがとうございました。