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(1)

広島県 第3回中核教員研修

各教科を通じた

コンピテンシーの育成について

:

パフォマンス課題の開発と活用

2015年5月8日、於 広島県教育センター、

京都大学 西岡加名恵

目次

1.「目標に準拠した評価」とは何か

2.学力評価計画の立て方

3.パフォーマンス課題を作る

「本質的な問い」 「永続的理解」 パフォーマンス課題のシナリオ

4.ルーブリックを作る

5.指導を改善する

6.ポートフォリオを活用する

7.学校のカリキュラム・マネジメント

8.まとめと振り返り

2

質問: どれに該当されますか?

1.

パフォーマンス課題については、名前を聞いた

り読んだりしたことはあるが、ほとんど知らない。

2.

パフォーマンス課題とは何かについてはイメー

ジできるが、まだ実践したことはない。

3.

パフォーマンス課題を取り入れた実践に取り組

んだことはあるが、まだどうもコツがつかめない。

4.

パフォーマンス課題を取り入れた実践に取り組

み、既に一定の手ごたえを感じている。

5.

児童・生徒に取り組ませるパフォーマンス課題

ではなく、教員研修について考えたい。

3

.「目標に準拠した評価」とは何か?

(1)教育評価とは何か?

教師が児童・生徒の能力を評価する。

教師が学習者の学力を評価する。

教師が自分の教育実践を評価する。

社会が学校の教育を評価する。

※何番が正解でしょうか?

4

(2)そもそも教育とは何か

事後:___評価 途中:___評価 事前:___評価 働きかけ=教育 学力は、能力一般では ない。目標として設定 された能力の部分を 指す。 教育評価の中核は、 学力評価! 教育評価は、本来、 「目標に準拠した評価」 6

(3)戦後の指導要録の変遷

「評定」欄

「所見」欄

1948年

1955年

1961年

相対評価

個人内評価

1971年

1980年

1991年

“絶対評価を加味

した相対評価”

個人内評価

2001年

2010年

目標に準拠した

評価

個人内評価

(田中耕治他『新しい時代の教育課程(第3版)』 有斐閣、2012年、pp.328-330) 8

(2)

①戦前の絶対評価(認定評価)

←学籍簿

②相対評価(集団に準拠した評価)

38 % 24 % 24 % 7 % 7 % 9

③個人内評価

④目標に準拠した評価

教育目標を評価規準と

して児童・生徒の学力

を評価するもの

A B 10

(4)「目標に準拠した評価」の意義と課題

Q.相対評価の長所と問題点は何か?

成績がつけやすい

_______

△教師の主観が

入らない??

×必ずできない子ども

がいることが前提

×_______

×_______を

映しださない

長所

問題点

11

Q.「目標に準拠した評価」の意義と課題

は何か?

指導の前に、___

を明確にする

___と照らし合わ

せて評価する

_______

すべての子どもに

学力を保障する

Cf. 「共有の目標化、目標 の共有化」(田中耕治)

△目標、評価規準・基準を

どう定めればいいのか?

△どんな______を

用いればいいのか?

△______とどう結合

すればよいのか?

△目標に教育が縛られる?

←ゴール・フリー評価

意義

課題

12

2.

学力評価計画の立て方

(1)目標分析

※問題点は?

単元1 単元2 単元3 ・・・ 総括的 評価 関心・意欲・ 態度 目標aa 目標ab 目標ac 目標ad 目標ae 目標af 目標ag 目標ah 目標ai ・・・ 合計・ 平均 思考・ 判断 目標ba 目標bb 目標bc 目標bd 目標be 目標bf 目標bg 目標bh 目標bi ・・・ 合計・平均 技能・ 表現 目標ca 目標cb 目標cc 目標cd 目標ce 目標cf 目標cg 目標ch 目標ci ・・・ 合計・ 平均 知識・ 理解 目標da 目標db 目標dc 目標dd 目標de 目標df 目標dg 目標dh 目標di ・・・ 合計・ 平均 15

◎問題点

目標が限りなく_____。⇒多忙化 ________がわからない。 「高次の学力(__________等)」が 評価できるか、疑問。 どの程度のパフォーマンスが見られれば 「良し」と判断できるのか、不明。 ~_________←社会的に共通理解 _________が前提?! ←形成的評価(授業改善のための評価)と 総括的評価(指導後の状況を記録するため の評価)の区別がついていない。 16

(3)

求められている結果 (目標)を明確にする 承認できる証拠 (評価方法)を決定する 学習経験と指導を 計画する 修了時をイメージ する 指導の前に評価 方法を計画する

(2)「逆向き設計」

(Wiggins, G. & McTighe, J., Understanding by Design, ASCD, 1998/2005,G・ウィギンズ&J・マクタイ、西岡加名恵訳『理解をもたらすカ リキュラム設計』日本標準、2012年) 18 理解の6側面

(3)「知の構造」と評価方法・評価基準の対応

原理や 一般化 転移可能な 概念 事実的 知識 事実的 知識 複雑な プロセス 個別的 スキル 個別的 スキル パフォーマンス 課題 筆記テスト 実技テスト

(McTighe, J. & Wiggins, G., Understanding by Design: Professional Development

Workbook, ASCD, 2004, p.65の図や、Erickson, H.L., Stirring the Head, Heart, and Soul, 3rdEd. Corwin Press, 2008, p.31の図 をもとに作成。G・ウィギンズ/J・マクタイ、

西岡加名恵訳『理解をもたらすカリキュラム設計――「逆向き設計」の理論と方法』日本標準、 2012年も参照) 永続的 理解 「本質的な 問い」 ルーブリック チェックリスト 19 単純 複雑 筆記 実演 選択回答式(客観テスト式)の問題 ・ 多肢選択問題 ・ 正誤問題 ・ 順序問題 ・ 組み合わせ問題 ・ 穴埋め問題(単語・句) 自由記述式の問題 ~ 短答問題(文章・段落・図表など) ・ 知識を与えて推論させる問題 ・ 作問法 ・ 認知的葛藤法 ・ 予測-観察-説明(POE)法 ・ 概念マップ法、ベン図法、KJ法 ・ 運勢ライン法 ・ 描画法 パフォーマンス課題 ・ エッセイ、小論文、論説文 ・ 朗読、口頭発表、プレゼンテーション ・ 研究レポート、研究論文 ・ グループでの話し合い、ディベート ・ 実験レポート、観察記録 ・ 実験の計画・実施・報告 ・ 物語、脚本、詩、曲、絵画 ・ 演劇、ダンス、曲の演奏、彫刻 ・ 歴史新聞 ・ スポーツの試合 プロジェクト 実技テストの項目 ・ 検討会、面接、口頭試問 ・ 短文の朗読 ・ 実験器具の操作 ・ 運指練習 ・ 運動技能の実演 活動の断片的な評価 ・ 発問への応答 ・ 活動の観察 パ フ ォ ー マ ン ス 評価 ポー トフ ォ リ オ 評価 法 一枚 ポ ー ト フ ォ リ オ 評 価 (西岡加名恵・田中耕治編著『「活用する力」を育てる授業と評価・中学校』学事出版、2009年、p.9参照)

(4)学力評価の方法

20

◎パフォーマンス評価とは・・・

知識やスキルを使いこなす(活用・応用・総合す

る)ことを求めるような評価方法(問題や課題)

◎パフォーマンス課題とは・・・

様々な知識やスキルを総合して使いこなすこと

を求めるような、複雑な課題。

具体的には、論説文やレポート、展示物といっ

た完成作品(プロダクト)や、スピーチやプレゼ

ンテーション、実験の実施といった実演(狭義の

パフォーマンス)を評価する課題。

21 • 基礎的・基本的な知識・技能の習得

①習得

• 知識・技能を活用して課題を解決するため に必要な思考力・判断力・表現力等

②活用

• 主体的に学習に取り組む態度

③態度

習得 活用 教科 探究 総合

(5)

2008年改訂学習指導要領の学力像

22

体験から感じ取ったことを表現する

事実を正確に理解し伝達する

概念・法則・意図などを解釈し、説明したり

活用したりする

情報を分析・評価し、論述する

課題について、構想を立て実践し、評価・

改善する

互いの考えを伝え合い、自らの考えや

集団の考えを発展させる

(6)活用する学習活動の分類

(中央教育審議会「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援 学校の学習指導要領等の改善について(答申)」2008年1月17日) 23

(4)

(7)

2010年改訂指導要録における

「観点別学習状況」欄の観点

「関心・意欲・態度」

←③態度

「思考・判断・表現」

←②活用

「技能・表現」

←①習得

「知識・理解」

←①習得

(中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会 「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」 2010年3月24日) 24

(8)「思考・判断・表現」の評価

基礎的・基本的な知識・技能を活用しつつ,各教科の内 容等に即して思考・判断したことを,記録,要約,説明,論 述,討論といった言語活動等を通じて評価するもの ※言語活動だけではない(図・グラフ、構想や設計など) 思考力・判断力・表現力等を評価するに当たって,「パ フォーマンス評価」に取り組んでいる例も見られる。パ フォーマンス評価とは,様々な学習活動の部分的な評価 や実技の評価をするという単純なものから,レポートの作 成や口頭発表等による[ママ]評価するという複雑なものま でを意味している。または,それら筆記と実演を組み合わ せたプロジェクトを通じて評価を行うことを指す場合もあ る。 (中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会「児童 生徒の学習評価の在り方について(報告)」2010年3月24日) 25

(9)学力評価計画の“三次元モデル”

観点

評価 方法 単元 1 単元 2 ・・・ 単元 X 単元Y 総括的 評価 関心・ 意欲・ 態度 パ課題 ◎ 到達レベル(質) 思考・ 判断・ 表現 パ課題 ○ ◎ 到達レベル(質) 技能 実技 テスト ○ ○ 到達レベル (量) 知識・ 理解 筆記 テスト ○ ○ ○ ○ 到達レベル (量) 類似の課題を 少しずつレベル アップしながら 繰り返し与える。 ル ー ブ リ ッ ク チェ ッ ク リ ス ト 26

C

F

. 形成的評価と総括的評価の区別の明確化

• 授業改善のための評価は日常的に行われること が重要である。一方で,指導後の児童生徒の状 況を記録するための評価を行う際には、単元等あ る程度長い区切りの中で適切に設定した時期に おいて「おおむね満足できる」状況等にあるかどう かを評価することが求められる。 • 「関心・意欲・態度」については,……ある程度長 い区切りの中で適切な頻度で「おおむね満足でき る」状況等にあるかどうかを評価するなどの工夫を 行うことも重要である。 ( 「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」 より) 27

(10)学力評価計画を評価する視点

カリキュラム適合性

←妥当性

比較可能性

←信頼性

Cf. スタンダード:

社会的に共通理解された目標、評価規準・

基準

公正性:

平等性、結果的妥当性、 条件の明瞭さ、公表と承認の原則 

実行可能性

(西岡加名恵「教育評価の方法原理」田中耕治編『よくわかる教育評 価』ミネルヴァ書房、2005年) 28

3.パフォーマンス課題を作る

ゴール(目標) 本質的な問い 永続的理解 知識とスキル 第 1段階 パフォーマンス課題 その他の証拠 第 2段階 学習計画 学習計画 第3 段 階 29

(5)

◎課題づくり体験(ワーク)

準備物: A3用紙2枚、マジック A3用紙の準備 教科、学年、単元、氏名 「問い」 「理解」 教科、学年、単元、氏名 G R A S P S 30

◎パフォーマンス課題づくりの手順

①単元を選ぶ(適切なサイズの単元を設定する)。 ②単元の中核に位置する重点目標に見当をつけ る。 ②「本質的な問い」を明確にする。 ③その問いに対してどのようなレベルの答えに 達してほしいか(「原理や一般化」についての 「永続的理解」)を明文化する。 ④パフォーマンス課題のシナリオを作る。 (目的、役割、相手、状況、パフォーマンス、評価規準) 31

(1)単元を選ぶ(適切なサイズの単元を

設定する)

◎パフォーマンス課題の位置づけ方

(単元内・単元間の構造)

パーツ組み立て型

繰り返し型

32

◎レポートを書く

(三藤あさみ先生提供。 三藤あさみ・西岡加名恵 『パフォーマンス評価に どう取り組むか』日本標準、 2010年参照) 33

◎プレゼンテーションをする

(京都府立園部高等学校 廣瀬格先生提供) 34

◎教育実習

あなたは、●月●日の●時間目に、●年●組の授業を担 当します。この授業では、教科書の●-●頁の内容を扱わな くてはなりません。生徒の特徴を把握し、それに対応できる 様々な指導上の工夫を行って、すべての生徒に効果的な 学習を促すような魅力的な授業を実践してください。 指導案、可能であれば自分の授業を録画したDVD、板書 の写真、生徒たちに配布したワークシート(または生徒の ノートのコピー)、行った授業に関する振り返り(実践した際 の成功点・反省点・改善点)を書いたメモ(関連する内容を 書いていれば当日の実習日誌でも可)、指導教員の先生か らいただいたコメントや、可能であれば生徒たちからの授業 感想を、教職課程ポートフォリオに収めておきましょう。(下 線部は必須の成果資料) 35

(6)

(2)単元の中核にある重点目標に

見当をつける

教科書で、単元を選ぶ。 学習指導要領で、その単 元に対応する目標・内容、 内容の取扱いの部分を 読む。 http://www.mext.go.jp/a_menu/ shotou/new-cs/youryou/ index.htm キーワードについて 辞典・事典を引いたり、 関連文献を読むことも重要。 36 「 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児 童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」 (2010年5月11日) → 別紙5 各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨 (小・中学校)、別紙6 各教科の評価の観点及びその趣旨(高 等学校) http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/attach/1293 807.htm 「評価規準の作成のための参考資料」(国立教育政策研究所) http://www.nier.go.jp/kaihatsu/shidousiryou.html 「思考・判断・表現」の観点に 書かれた文言をみると、 パフォーマンス課題をイメージ しやすい場合が多い。 教科書会社の ウェブページに 役立つ資料が 載っていることも 多い。 37 1. どのように話せばいいの か? 2. その国の特徴は、どのよ うに捉えられるのか? 3. 自然や社会の中にある、 ともなって変わる2つの 数量の関係はどのように 捉えられるのか? 4. 星は天球上をどのように 動くのだろうか? 5. この音楽のイメージは、 どのように捉えられるの か? 1. アイ・コンタクトとは 何か? 2. 中国の人口は何人か? 3. 品物の値段と消費税の 関係は、比例か? 4. 今日の日の出の時刻は 何時か? 5. この曲の名前は何か? 「本質的な問い」の例 「本質的ではない問い」の例

(3)「本質的な問い」を明確にする

38

■「本質的な問い」の特徴

単純な一つの答えがない

(論争的、探究を触発、様々な深まり)

個々の知識やスキルが総合されていくような

問い

様々な文脈で活用できるような問い(転移)

単元を越えて繰り返し現れるような問い

(再考を促す、転移、カリキュラムの系統性)

「だから何なのか?」が見えてくるような

問い(学問の中核、生活との関連性など)

39

◎実践例

中学校2年生社会科(歴史的分野)

(横浜国立大学附属横浜中学校・当時 三藤あさみ先生)

本質的な問い

◎時代が変わるとはどういうことか。社会を

変えるのは何か。どのように変えていくこと

が、民主的で平和な国家・社会をつくりあ

げることになるのか。

○明治維新によって、日本社会はどのよう

に変化したのか。明治維新後の日本にお

いて、人々が幸福で平和に暮らせる社会

を築くには、どうすればよかったのか。

40

◎「問い」の入れ子構造

包括的な「本質的な問い」

単元ごとの「本質的な問い」 授業での 主発 問 授業での 主発問 授業での 主発 問 授業での 主発 問 単元ごとの「本質的な問い」 授業での 主発問 授業での 主発 問 授業での 主発問 授業での 主発問  方法論の問い  概念理解の問い 41

(7)

◆「本質的な問い」の例

◎・どのように話せばよいのか?

○・小説「海の命」の読書会において、お互

いの読みを深めるためには、グループでどの

ように話し合えばよいのか?

・与吉じいさは、なぜ

20匹しか魚を取らな

いのだろう?

※包括的な「本質的な問い」に◎、単元ごとの 「本質的な問い」に○をつけてみましょう。 ※単元ごとの「本質的な問い」は、1つか2つに 絞りましょう。 →概念理解と方法論 (宮本浩子・西岡加名恵・世羅博昭『総合と教科の確かな学力を育むポート フォリオ評価法 実践編』日本標準、2004年参照) 42

(4)「永続的理解」を明文化する

「永続的理解(原理・一般化)」は必ず完全

な文(「~は、~である。」)として書く。

×「南北戦争の原因がわかる。」 ○「南北戦争は、州の権利と論点、南北の根本 的な経済的・文化的差異、奴隷制についての 分断された意見といった複数の要因によって 勃発した。」 ×「速く泳ぐことができる。」 ○「速く泳ぐためには、引っ張って、押す水の量 を最大にするため、手のひらを平らにして泳ぐ ことが大切である。」 43

◎理解(

U

NDERSTANDING

洗練された柔軟なやり方で知識とスキルを

使える状態

理解の6側面 →パフォーマンス 永続的理解 いろいろな場面で役立つ(転移する)内容 大人になっていても覚えていてほしい理解 学問の中核部分(繰り返し登場する内容) 子どもが誤解しやすい内容  説明する  解釈する  応用する  パースペクティブ (俯瞰)を持つ  共感する  自己認識を持つ 44

◎「知の深さ」と評価方法の対応

レベル

様々な原理や一般化についての 理解を、高度な方略的思考を用 いつつ総合して、長期的なプロ ジェクトに取り組む

原理や一般化についての理解と 方略的思考を総合して用いつつ、 課題に取り組む

概念・プロセス(二つ以上の手順) を把握・適用する

事実的知識・個別的スキルを再生 する 筆記テスト 実技テスト パフォーマンス 課題

※主に次の文献を参考にして、作成した。McTighe, J. & Wiggins, G., Understanding by Design: Professional Development Workbook, ASCD, 2004. p.65. 石井英真「高次の学力の質を捉える枠組み――N.L.ウェブの『知の深さ』を中心に」田中耕治編著『「活用」を 促進する評価と授業の探究』科学研究費補助金 基盤研究(C) (研究課題番号22530817,代表:田中耕治)研究成果最終報告書、2013年、 14 22) 45

永続的理解

「明治維新という政治改革の背景には、欧米における 市民革命、産業革命とアジアへの進出からの影響、貨 幣経済発展を想定していない幕藩体制や年貢制度の 矛盾など国内外の様々な要因があった。 また日本が近代国家として国際的地位を向上するた めに、積極的に欧米文化を摂取し、廃藩置県、富国強 兵政策、殖産興業、地租改正、学制の公布など様々な 改革を行った。その結果工業のめざましい発展や身分 制度の廃止、民主政治の発展など正の側面がみられ た反面、公害や労働問題の発生、帝国主義萌芽によ る大陸進出など負の側面もあらわれた。」 47

◎実践例

中学校2年生社会科(歴史的分野)

(横浜国立大学附属横浜中学校・当時 三藤あさみ先生)

※「永続的理解」の書き方

「~とは何か?」

→「~とは、・・・・・・である。」

×「~とは何かがわかる。」

「~するには、どうすればよいか?」

→「~するには、・・・・・・するとよい。」

×「~することができる。」

48

(8)

◆「永続的理解」の例

グループで、うまく読書会をするには、メン

バー全員が言うべき時に意見を述べること

が重要である。相手の発言に関心を持って

聞き、質問したり感想を述べたりして、相手

の発言に関わると、良い話し合いになる。ま

た、物語の読みを深めるためには、書かれ

ている内容について疑問に思ったことを問

いかけたり、特に印象に残った点について

意見を交流したりすると良い。

(宮本浩子・西岡加名恵・世羅博昭『総合と教科の確かな学力を育む ポートフォリオ評価法 実践編』日本標準、2004年参照) 49

(5)パフォーマンス課題のシナリオを作る

◎シナリオ作りの6要素(

GRASPS)

な―何が目的(Goal)か? やン―(子どもが担う)役割(Role)は何か? だナ―誰が相手(Audience)か? アア そ―想定されている状況(Situation)は? う―生み出すべき完成作品・パフォーマンス (Product, Performance)は? か―(評価の)観点(Standard, criteria)は? ※必ずしも使わなくてもOKです。 (西岡加名恵編著『「逆向き設計」で確かな学力を保障する』明治図書、 2008年。西岡加名恵・田中耕治編著『「活用する力」を育てる授業と 評価・中学校』学事出版、2009年) 50 時は1900年。あなたは明治時代の新聞社の社員 たちであり、社会が大きく変化してきた明治維新を記 念する社説を書くことになりました。社説は、当時を 生きる人々(政治家、産業界の人々、文化人、一般 の人々)に向けた新聞社からのメッセージです。 話し合いの内容や今までの学習を振り返り、今後 の改革のあり方について重要だと考えることを提案 してください。

パフォーマンス課題

Cf. 三藤あさみ・西岡加名恵『パフォーマンス評価にどう取り組むか―― 中学校社会科のカリキュラムと授業づくり――』日本標準、2010年 51

◎実践例

中学校2年生社会科(歴史的分野)

(横浜国立大学附属横浜中学校・当時 三藤あさみ先生)

◆パフォーマンス課題の例

「読書会をしよう!」(小学校・国語科)

グループに分かれて、読書会をします。

物語を読み、「じっくり考えてみたいなあ」

と思ったり、「友達と話し合ってみたいな

あ」と思ったことについて、

20分程度、話

し合いをしましょう。お互いの発言を生か

し合って、読みを深めるような話し合いに

なるといいですね。

(宮本浩子・西岡加名恵・世羅博昭『総合と教科の確かな学力を 育むポートフォリオ評価法 実践編』日本標準、2004年参照) 52

※質のいい課題の条件

①妥当性(

validity):

測りたい学力に対応しているか?

←「本質的な問い」「永続的理解」に対応して

いるか?

②真正性(

authenticity):

リアルな課題になっているか? 現実世界で試

されるような力に対応している?

③レリバンス(

relevance: 関連性、切実さ):

生徒たちの身に迫り、やる気を起こさせるような

課題か?

④レディネス(

readiness):

生徒たちが背伸びをすれば手が届く程度の、

ちょうど良い難度か?

(西岡加名恵「パフォーマンス課題作りのチェックリスト」西岡加名恵・田中耕治編著 『「活用する力」を育てる授業と評価・中学校』学事出版、2009年、p.19) 53

◎交流タイム: チェックポイント

単元のサイズは適切でしょうか?

「本質的な問い」は設定できていますか?

「永続的理解」は、「本質的な問い」に対する

“模範解答”のように書かれていますか?

×「~がわかる」、「~ができる」

パフォーマンス課題は魅力的で明確ですか?

→「なやンだナ、アアそうか(GRASPS)」の要素は? ⑤

パフォーマンス課題は、「本質的な問い」や

「永続的理解」と対応していますか?

どのような指導方法が考えられるでしょうか?

54

(9)

◎実践例:

小学校4年生 算数「折れ線グラフ」

(京都市立高倉小学校 齋藤大介先生の実践を参考にした) ◎グラフとは何か? どのよ うにグラフを書き、読めば いいのか? 折れ線グラフとは何か? どのように折れ線グラフを 書き、読めばいいのか? 折れ線グラフは、変化を表す グラフである。 折れ線グラフを書くためには、 縦軸・横軸に適切に目盛りを 書き、データに基づいてプロッ トされた点とそれをつなぐ線を 書くと良い。 また折れ線グラフを読む時に は、傾きに注目すると、変化の 度合いを捉えることができる。 「本質的な問い」 「永続的理解」 55

課題 「折れ線グラフで伝えよう!」

折れ線グラフ発表会をします。折れ線グラフで 表されるような変化のデータを見つけて、折れ 線グラフを書きましょう。また、その折れ線グラフ から読み取れることについて、説明文を書きま しょう。友達が「おお~っ、面白い!」と言ってく れるような変化を紹介できるといいですね。 子どもたちが見つけた「変化」のデータ (自分の)0歳からの身長 (家などの)1日の気温 6日間の夜ごはんを食べた時間 DSのプレイ時間 1週間の読書量 56 CF. 個々の「技能」の定着を見ることの重要性 (国立教育政策所教育課程研究センター『平成13年度小中学校教育 課程実施状況調査 中学校理科』ぎょうせい、2003年、p.85.) 57

4.

ルーブリックを作る

(1)

ルーブリック

(ここではレベル2・4を省略) 原理・一般化に関する理解 スキル・プロセス資料活用の 5 社会的な事象について、政治・経済・文化・人口・ 地形などの構成要素から3つ以上の視点をもつこと ができる。これらの視点を総合的に関連付けて多角 的に分析し、最適で詳細かつ具体的な根拠をあげ て、非常に説得力のある主張を組み立てることがで きる。 主張を明確にするために 最適な資料を複数選択 して、多角的に関連づけ て、非常に説得力のある 論述を行うことができる。 3 合 格 社会的な事象について、政治・経済・文化・人口・ 地形などの構成要素から2つ以上の視点をもつこと ができる。これらの視点を関連づけつつ分析し、具 体的な根拠をあげて明確な主張を述べることができ る。 複数の資料を関連づけな がら論述を行うことができ る。 1 社会的な事象について、政治・経済・文化・人口・ 地形などの構成要素から事実を述べることはできる。 しかし、断片的に羅列しているだけであり、主張と根 拠を結びつけることに困難が見られる。 基本的な資料の読み取 りや作成に困難をきたし ている。

尺度

(数レベル程度)

記述語

(規準と徴候)

観点

(分けなくても可)

アンカー

作品

59

(2)特定課題ルーブリック

作成用テンプレート

尺度 作品NO 記述語 5 素晴らしい 4 良い 3 合格 2 もう一歩 1 がんばろう まず、作品NOの配置 を確定する。 →アンカー作品 チェックリストとの違い に留意する。 ◆全体的ルーブリック または観点別ルーブリック 60

(3)特定課題ルーブリックの作り方

①お互いの採点がわからないように、

作品を採点する。

61

(10)

②似た評点がついた作品を集め、特徴

について話し合う。

62

(4)単元間の構造化:繰り返し型

文明はなぜ生まれるのか。こ の時代の日本は他の文明から 何を学ぶべきか。 明治維新によって日本社会は どのように変化したのか。明治 維新後の日本において人々 が幸福で平和に暮らせる社会 を築くには,どうすればよかっ たのか。 戦争はなぜ起こるのか。戦争 を起こさない平和な国を保つ ためにはどうしたらよいのか。 「本質的な問い」の入れ子構造 中学校社会(歴史): 社会はどのような要因で変わっていくの か。どのように社会を変えていけばいいのか。 古代文明から学 ぶべき点に関す るレポート 核と な る パフォ ー マン ス 課題 明治時代の新聞 の社説 模擬国際シンポジウ ムでの提言レポート 生徒 作品 ルーブ リック づくり 生徒 作品 ルーブ リック づくり 生徒 作品 長期的ルーブリック 指導と評価 指導と評価 の改善 指導と評価 指導と評価 の改善 63

(5)実演の評価

※授業中に行う総括的評価

「繰り返し型」のパフォーマンス課題 66

※相互評価カード(宮本浩子先生)

67

(6)予備的なルーブリックの作り方(その1)

① 4段階の観点別ルーブリックのテンプレートを 用意する。 ② 評価の観点を考える。 「素晴らしい______の条件は何か」 ③ 重要な観点(4~6個)に絞る。 ④ それぞれの評価の観点に対応する記述語を書く。 効果の程度 頻度の程度 独立の程度 非常に効果的 かなり効果的 いくらか効果的 効果的ではない 常に、継続的に 頻繁に、一般的に 時々、時に めったに~ない 独立して 最小限の支援のもとで いくらかの支援を必要 としつつ かなりの支援を必要と しつつ 68

◎テンプレート

教科:___ 学年:___ 課題名:____ 観点→ ↓尺度 重みづけ

69

(11)

(7)予備的なルーブリックの作り方(その2)

①3段階の「全体的ルーブック」のテンプレート

を用意する。

②それぞれのレベルの記述語を書く。

評点1: 単元を始める時点で見られるであろう、 子どもの実態はどのようなものか? 評点2: 単元の最後までに全員に到達させたい 状態は、どのようなものか? 評点3: 単元の最後までに到達しうるであろう、 理想的な状態はどのようなものか?

③必要ならば、観点別に整理する。

70

◎テンプレート

教科:___ 学年:___ 課題名:____ 尺度 (評点、レベル) 記述語 (パフォーマンスの特徴)

理想的

合格

乗り越えさせ たい実態 71

作品12個ぐらい×グループの数

付箋紙5個セット×グループの数

模造紙(テンプレート)

マジック

※注意!! 実践した先生を責めないで下さい。 ともに知恵を絞る場にしましょう!

(8)校内研修の場合・・・

◎準備物

72

◎校内研修の様子

73

※各グループのルーブリックを比較

①まず、作品

NOに注目して、全体の傾向を確認。

グループによって、甘い、辛い、優柔不断・・・

共通する点数がついている作品

→アンカー(典型的な作品)

逆転する場合

→見ている観点の違い

②記述語の確認

観点別に整理。

本質的な観点と副次的な観点を確認。

76

※ルーブリック作りのメリット

複数の評価者で、子どもの作品の検討

→本質的な評価基準の明確化

→評価力アップ!

社会的に共通理解された基準(観点と水準)

→スタンダード

ルーブリックは、相対評価?!

→「永続的理解」の検証

複数学年で、共通課題をしたら・・・

→長期的ルーブック

77

(12)

は: はっきりとした見通しを与え(

Where)

ひ: 一人ひとりを惹きつける(

Hook)

ふ: 不安がないよう用意させ(

Equip)

へ: 下手なところは改めさせる(

Revise)

ほ: 本人の自覚を促す自己評価

(Self-Evaluate)

と: ところで個人差どうするか?(

Tailor)

さ: 最後に全体見渡そう(

Organize)

5.指導を改善する

(1)単元内構造化(

WHERETO)

78

(2)フィードバック

効果的なフィードバック 具体的に説明がなされる。 意図に関連して効果がある (またはない)とはっきりさせ るような有用な証拠が提供さ れる。具体的なパフォーマ ンスやルーブリックとを比較 する。 時宜にかなっている。 頻繁に行われ、継続的であ る。 自己評価と自己調整を可能 にする。 効果的ではないフィードバック たとえば「もっと頑張れ」「君 の文章はひどい」「よくやっ た」といった一般的なアドバ イスや褒め言葉、非難や奨 励の言葉を口にするだけで ある。ただ点数をつけるだけ である。 時宜にかなっていない。 まれにしか行われず、一回 きりである。 指導者に依存させる。

(Wiggins, G., Educative Assessment, Jossey-Bass, Publishers, 1998, p.49)

79

(3)検討会の進め方

______________で、

自己評価を引き出す。

___________(___)。

現時点での到達点を確認する。

__________を通して、

課題をつかませる。

次の目標を言語化し、合意する。

__________。

※一斉指導(作品批評会など)の形で行うことも可 能。 80

※作品批評会

(宮本浩子先生提供。 堀哲夫・西岡加名恵『授業と 評価をデザインする・理科』 日本標準、2010年参照) 82

(4)単元間構造化:パーツ組み立て型

MP1 日本文化の紹介 あながた紹介したいものを選んで、 簡単な英文で紹介しよう。 Unit 4 日本文化の紹介 あなたが紹介したい日本文化に ついて説明の文を書こう。 MP2 私の修学旅行 長崎の修学旅行の思い出を書 こう。 夏休みの課題 平和・環境・人物・ボランティア などの中からテーマを一つ選ん でレポートを書こう。 WP1 意見文を書こう 文の構成を考えて、自分の意見を書こう。 Unit 6 私の尊敬する人 尊敬する人について後輩たちに紹介する 文章を書こう。 自分の 言 葉 で伝える 自分のこと を 伝える 論理的に 伝える My Opinion の発表 85

◎中学校・英語の課題例:

「私が尊敬する人」

これから後輩たちに英語でメッセージを書きます。そ の中では、あなたが選んだ偉人がどういう人なのか、 なぜあなたはその人を尊敬しているのかを述べてく ださい。その偉人が何を目指して、どのような人生を 歩んだ人なのかを説明するとともに、あなた自身とそ の人を比較して、あなたがどのように考えているのか について述べると、生き生きとしたメッセージになりま す。後輩たちがこのメッセージを見て、英語学習の目 標にできるような作品に仕上がるよう、この3年間で身 につけた英語の力を総動員して作成しなさい。 (森千映子「自分の考えを自分の言葉で表現する」西岡加名恵編著 『「逆向き設計」で確かな学力を保障する』明治図書、2008年、p.111) 86

(13)

生徒の作品例(中学校2年生時)

Baseball is Popular in Japan

I think Baseball is popular in Japan. Because

there are many professional baseball fans in

Japan.

Besides there are may children playing

baseball. I think this is because they like

baseball.

So I think Baseball is popular in Japan.

I like watch[ing] baseball very much.

英語科(森千映子先生、2005年度)

87

生徒の作品例(中学校3年生時)

Tezuka Osamu

I want to say about Tezuka Osamu [Who] is a cartoonist.

He who drew Astro Boy, Black Jack, etc. is the most famous cartoonist in Japan. His name is known to everyone. I like to his comics. I respect him.

He was born in Osaka. He wrote many comics when he was a student, but he was teased by friends. He drew “The New Treasure Island” that had gleatly influence on Fujiko Fujio and Ishinomori Shotaro. Tezuka Osamu married and his wife had a baby boy in 1959. And he built the Insect Production and drew Astro boy, the King of Lion.

英語科(森千映子先生、2006年度)

88

作品(続き)

But later, the Insect Production went bankrupt. But he never give up, and he drew Black Jack that was a very hit comic. It’s popular and famous in Japan. And he visited many schools to appeal importance of life to many students. But he had a stomach cancer while he [was] appealing importance of life. But he didn’t stop it. I think it was very great.

But he died in 1989. The news made many people surprised and sad. But his comics is read by many people. When I knew this story, I was very impressed. Because I think his life was very great. His comics made us moving. So I am going to read his comics all the time. 89

◎生徒作品の例

(森千映子「自分の考えを自分の言葉で表現する」西岡加名恵編著 『「逆向き設計」で確かな学力を保障する』明治図書、2008年、p.117) 90

◎授業の様子

(井上典子先生提供) 91

◎単元間の構造化

実験結果の記録の仕方 (表、グラフ、観察記録文。 結果と考察の区別の仕方) 観察・実験の基本操作 (ガスバーナー、ろ過など) 実験計画の立て方 (条件制御、手順など) 実験を計画し、 実施し、結果を 記録し、考察し、 報告する。 92

(14)

(Wiggins, G. & McTighe, J., Understanding by Design:

Overview 2002, PowerPoint Slides, 2002, p.111)

(5)「マクロの設計」の発想

93

6.ポートフォリオ評価法の活用

「本質的な問い」の入れ子構造 包括的な「本質的な問い」 類似の パフ ォー マ ン ス課 題 単元Aの 「本質的な問い」 単元Bの 「本質的な問い」 単元Cの 「本質的な問い」 パフォーマンス 課題A パフォーマンス 課題B パフォーマンス 課題C 5 4 3 2 1 長期的ルーブリック 単元を超えた 成長を捉える 94

(1)作品を蓄積する ◎中学校社会科

(三藤あさみ・西岡加名恵『パフォーマンス評価にどう取り組むか――中学校 社会科のカリキュラムと授業づくり』日本標準、2010年) 95 96

1年生から書いた作品10個を読み直して、

どう思いますか?

1つの物事について、多方向から見つめ直し、考えを深める ことができるようになったと思う。 歴史のレポートでも地理的知識が必要だったりと、全て物事 はつながっているんだなと実感できた。学習内容が自分の 考えと結びつけられ、教室内だけであった勉強が世界の実 際の動きと結びつき、意味のある内容に思えてくるから[レ ポート課題は好きだ]。 多方向から見られるようになると、考えたことも増えてくる。そ れらを矛盾のないようにつながりを見つけ出し、一つの形に することが大変だった。また、たくさんの資料から、どれを使 えばより効果的かを選び出すことも時間がかかりました。 97

(2)ポートフォリオ評価法とは・・・

ポートフォリオ: 学習者(児童・生徒や学生)の作品や 自己評価の記録、教師の指導と評価の記録などを系 統的に蓄積していくもの ポートフォリオ評価法: ポートフォリオ作りを通して、学 習者が自らの学習のあり方について自己評価すること を促すとともに、教師も学習者の学習活動と自らの教 育活動を評価するアプローチ

(3) 所有権(

Ownership)

:収める作品や

評価基準の決定権

98 学習者 教育者 最良作品集 ポートフォリオ 基準準拠型 ポートフォリオ 基準創出型 ポートフォリオ

(15)

(4)取り組む上でのポイント

① 生徒と教師で見通しを共有する。  なぜ、作るのか? 意義は何か?  何を残すのか?  いつ、どの期間で作るのか?  どう活用するのか? ② 蓄積された作品を、編集する(整理・取捨選択する)。  ワーキング・ポートフォリオからパーマネント・ポートフォリオへ 必要な作品を移す。  検討会で見せる作品を選ぶ。  目次を作り、「はじめに」と「終わりに」を書く。 ③ 定期的にポートフォリオ検討会を行う。  見通しを持つ。  到達点と課題、次の目標を確認する。  成果を披露する。 99 100 (5)「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評 価の在り方に関する検討会」(2012年12月~2014年3月)

◎目標・内容の構造化

×要素的・脱文脈的アプローチ

◎統合的・文脈的アプローチ

101

◎パフォーマンス評価

「汎用的なスキルや教科等の本質に関わる内容についての評価 の方策の一つとして、パフォーマンス評価を重視する必要がある と考えられ、そのためのパフォーマンス課題やルーブリック、ポー トフォリオ評価などに関する検討を深めることも求められる。」

(6)「ミッションに基づくカリキュラムの枠組み」

学問横断の転移のゴール、精神の習慣、 すべてのプログラムに反映される重大な観念 教科 教科 教科 教科 教科 教科 包括的な「本質的な問い」・「永続的理解」、 繰り返すパフォーマンス課題、長期的ルーブリック 単元 単元 単元 単元 単元 単元 単元ごとの「本質的な問い」・「永続的理解」、 パフォーマンス課題、ルーブリック

(Wiggins, G. & McTighe, J., Schooling by Design, ASCD, 2007)

102

◎京都府立山城高校「やましろ文箱」

1部: 目次など

2部: 教科編

3部: My

Special Section

→京都大学 高校生のためのOCW

http://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/opencourse/63

とことん

「問い」に

こだわって

みよう!

103

◎中学校、理科(田中保樹先生)

104

(16)

7.学校のカリキュラム・マネジメント

(1)カリキュラム編成の主体は各学校

「各学校においては・・・適切な教育課程

を編成するものとし、これらに掲げる目標

を達成するよう教育を行うものとする。」

(学習指導要領)

学校のカリキュラム編成は、実質的には、 教職員が集団として取り組む カリキュラム改善・改革を指す ~集団としての問題解決プロセス 105

(2)3つのマネジメント

組織(主体)のマネジメント 推進グループ 課題別グループ(分担と協働) 外部の共同研究者 など 時間のマネジメント 打合せ、会議に使える時間は? 校内研修に使える時間は? 中間検討会、成果発表に使える時間は? 活動のマネジメント 講演、研究会、勉強会 ワークショップ(課題作り、指導案作り、ルーブリック) 授業研究会 など <参考文献> 西岡加名恵「カリキュラムを編成できる教師の力量形成とは」「校内研修をどう組織する のか」田中耕治編『カリキュラムづくりに生きる教師の力量形成』(『教職研修増刊シリー ズ 信頼される学校づくりに向けたカリキュラム・マネジメント』第4巻)教育開発研究所, 2006年5月(『教職研修』2006年6月号),pp.22-25,pp.122-125 106 管理職 教 師 教 師 教 師 教 師 教 師 教 師 推進グループ 推進 グループ グループ A トップダウン型組織 ネットワーク型組織

(3)学校としての組織作り

~推進メンバーは誰か? どうやって全員参加を実現するか? 107

(4)カリキュラム改善・改革のための基本的な流れ

推進グループで 年間基本計画を策定する 全教員で理解を共有する (講演、ワークショップ) 各グループで具体的な 計画を立て、実施する 推進グループで、途中経過を 評価し、計画を修正する 各グループで、 軌道修正を行う 年間の成果を評価し、次年度に活かす (推進グループ、全教職員ほか) 108

(5)カリキュラム改善も「逆向き設計」で!

カリキュラム評価も、基本は、「目標に準拠した評価」 「逆向き設計」が必要!

(Wiggins, G. & McTighe, J., Schooling by Design, ASCD, 2007)

求められている結果を 明確にする 評価のための証拠を 決定する 行動計画を 策定する 終了時をイメージ する 実施の前に評価 方法を計画する 109

(6)「逆向き設計」テンプレートの構造

研究開発の課題(テーマ) 本質的な問い 理解 その他の知識とスキル 第 1段階 直接的な証拠 ◎子どもたちの 学力の向上 ◎授業の改善 ◎教師たちが取り 組む「パフォー マンス課題」 間接的な証拠 ・アンケート調査 ・研修を実施した という実績 など 第 2段階 110

(17)

◎ 京都市立衣笠中学校の場合

1段階: 求められている結果を明確にする 理解(仮説、評価の基準) ●「指導と評価の一体化」を 実現し、カリキュラム改善を 図るには、「逆向き設計」論 が役に立つ。 本質的な問い ●「指導と評価の一体 化」を実現し、カリキュ ラム改善を図るには、 どうすれば良いのか? 研究開発の課題(研究テーマ): 「指導と評価の一体化」を実現し、カリキュラムを 改善する。 その他に必要な知識とスキル 目標に準拠した評価、パフォーマンス課題やルーブリックの作り方 など 111

●研究開発における「課題」の進展

~京都市立衣笠中学校の場合

先生方の行った課題 2005 年度 各教科の代表教師が、パフォーマンス課題 を少なくとも一つ作って、指導に取り入れて みる。 2006 年度 教科会で協力してパフォーマンス課題づくりを行うとともに、モデル作品づくりをしてみて、 指導の改善に役立てる。 2007 年度 各教科会において、パフォーマンス課題に取り組んだ生徒たちが生み出した作品にも とづいてルーブリック作りを行う。また、それ を踏まえて授業改善を図る。 (北原琢也『「特色ある学校づくり」とカリキュラム・マネジメント』三学出版、2006年) 112

(8)様々なテンプレートの活用事例

◎単元学習指導案の例

(森千映子先生提供) 観点と 評価方法 ↓ ↑ 単元内の構造化 114

(9)乙訓スタンダード作りの取り組み

◎乙訓地方中学校長会の決定(2011年度) 学校間での評価について、統一的なルールを定める こと、および改訂・改善を重ねていくことを決定 アンケートの実施 →全教員の意見を集約してルール作り ◎「思考力・判断力・表現力」についてのテスト問題の 検討(2012年度) ◎「乙訓スタンダード」に関するアンケートの実施、 共同で問題・課題づくり(2013年度) ◎パフォーマンス課題の実施、交流(2014年度) →テンプレートの共有 115

◎観点別評価から評定へ変換する

ルールの例

学力構造を配慮して、ありえないA・B・Cの組み合わせはつけない。 例.「A,C,C,C」(「関心・意欲・態度」だけA?!) 「観点別学習状況」欄の評価を、「評定」に変換するルールを決める。 (北原琢也編著『「特色ある学校づくり」とカリキュラム・マネジメント』三学出版、 2006年、pp.50-51) A・B・Cの組み合わせを、 重みづけも勘案しつつ、 %に変換 A・B・Cの組み合わせ から自動的に変換 116

8.まとめと振り返り

次回の研修に向けて

117

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