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救急外来で遭遇する小児外科疾患

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Academic year: 2021

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救急外来で遭遇する小児外科疾患

高松赤十字病院 小児外科 久保裕之

(2)

• 当院は576床を有する二次救急指定病院であり、

地域における小児医療の中核を担っている。

• 急を要する小児外科疾患に遭遇することも少なくない。

• 現在、小児外科疾患に対応できる病院は、

香川大学病院、四国こどもとおとなの医療センター、

そして当院のみである。

(3)

• 今日のモーニングセミナーは

外科系当直に入った研修医のため

(4)

部位 小児外科で治療する主な病気 顔面 耳前瘻孔 , 副耳 頚部 正中頸嚢胞 , 側頸瘻 , 梨状窩瘻 , リンパ管腫 胸壁 漏斗胸 呼吸器 嚢胞性肺疾患 , 肺分画症 , 先天性気管狭窄症 , 気管・気管支軟化症 , 異物の誤嚥・誤飲 食道 異物の誤嚥・誤飲 , 胃食道逆流症 , 先天性食道閉鎖症 , 食道狭窄症 , 食道アカラシア 横隔膜 横隔膜ヘルニア , 食道裂孔ヘルニア 肝臓・胆道 胆道閉鎖症 , 先天性胆道拡張症 , 胆石症 , 門脈圧亢進症 消化管 異物の誤嚥・誤飲 , 胃潰瘍 , 肥厚性幽門狭窄症 , 胃軸捻転 , 胃破裂 , 十二指腸閉鎖症 , 小腸閉鎖症 , 腸回転異常症 , 壊死性腸炎 , 胎便性腹膜炎 , 消化管穿孔 , 急性虫垂炎 , 腸重積症 , メッケル憩室 , 腸管重複症 , 腸閉塞 , 腸管ポリープ , ヒルシュスプルング病 , 直腸肛門奇形(鎖肛) , 肛門周囲膿瘍・乳児痔瘻 , 裂肛 , 便秘 , 腸炎 , クローン病 , 潰瘍性大腸炎 膵臓 膵炎 , 膵嚢胞 腹壁・臍 臍ヘルニア , 臍帯ヘルニア , 腹壁破裂 , 臍炎・臍肉芽腫 , 尿膜管遺残症 鼠径部・精巣・卵巣 鼠径ヘルニア , 陰嚢水腫・精索水腫・ヌック水腫 , 停留精巣 , 精巣捻転 , 卵巣捻転 泌尿生殖器 水腎・水尿管症 , 膀胱尿管逆流症 , 先天性腎疾患 , 腎嚢胞 , 尿道下裂 , 包茎 四肢 肘内障 腫瘍 神経芽腫 , ウイルムス腫瘍 , 肝腫瘍 , 胚細胞腫瘍(奇形腫) , 横紋筋肉腫 , 皮膚・皮下腫瘍 外傷 肝損傷 , 膵損傷 , 脾損傷 , 腎損傷 , 腸損傷

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部位 小児外科で治療する主な病気 顔面 耳前瘻孔 , 副耳 頚部 正中頸嚢胞 , 側頸瘻 , 梨状窩瘻 , リンパ管腫 胸壁 漏斗胸 呼吸器 嚢胞性肺疾患 , 肺分画症 , 先天性気管狭窄症 , 気管・気管支軟化症 , 異物の誤嚥・誤飲 食道 異物の誤嚥・誤飲 , 胃食道逆流症 , 先天性食道閉鎖症 , 食道狭窄症 , 食道アカラシア 横隔膜 横隔膜ヘルニア , 食道裂孔ヘルニア 肝臓・胆道 胆道閉鎖症 , 先天性胆道拡張症 , 胆石症 , 門脈圧亢進症 消化管 異物の誤嚥・誤飲 , 胃潰瘍 , 肥厚性幽門狭窄症 , 胃軸捻転 , 胃破裂 , 十二指腸閉鎖症 , 小腸閉鎖症 , 腸回転異常症 , 壊死性腸炎 , 胎便性腹膜炎 , 消化管穿孔 , 急性虫垂炎 , 腸重積症 , メッケル憩室 , 腸管重複症 , 腸閉塞 , 腸管ポリープ , ヒルシュスプルング病 , 直腸肛門奇形(鎖肛) , 肛門周囲膿瘍・乳児痔瘻 , 裂肛 , 便秘 , 腸炎 , クローン病 , 潰瘍性大腸炎 膵臓 膵炎 , 膵嚢胞 腹壁・臍 臍ヘルニア , 臍帯ヘルニア , 腹壁破裂 , 臍炎・臍肉芽腫 , 尿膜管遺残症 鼠径部・精巣・卵巣 鼠径ヘルニア , 陰嚢水腫・精索水腫・ヌック水腫 , 停留精巣 , 精巣捻転 , 卵巣捻転 泌尿生殖器 水腎・水尿管症 , 膀胱尿管逆流症 , 先天性腎疾患 , 腎嚢胞 , 尿道下裂 , 包茎 四肢 肘内障 腫瘍 神経芽腫 , ウイルムス腫瘍 , 肝腫瘍 , 胚細胞腫瘍(奇形腫) , 横紋筋肉腫 , 皮膚・皮下腫瘍 外傷 肝損傷 , 膵損傷 , 脾損傷 , 腎損傷 , 腸損傷 救急外来に来そうな

(6)

当直の時間帯に診察依頼の多い小児外科疾患

(外科系当直にCallが入る疾患)

• 「気付いたら膨れてました!」 • 「突然、膿が出てきました!」 • 「すごく痛がって、ずっと泣いてます!」 • 「目を離したら、手に持ってたコインが無くなりました!」 • 「(転落)(交通)事故です!!」

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当直の時間帯に診察依頼の多い小児外科疾患

(外科系当直にCallが入る疾患)

• 「気付いたら膨れてました!」 ⇒頚部嚢胞性疾患、鼠径ヘルニア(陰嚢水腫)、臍ヘルニア • 「突然、膿が出てきました!」 ⇒肛門周囲膿瘍、頚部嚢胞性疾患感染、尿膜管遺残症感染 • 「すごく痛がって、ずっと泣いてます!」 ⇒鼠径ヘルニア嵌頓、臍ヘルニア嵌頓、精巣捻転 • 「目を離したら、手に持ってたコインが無くなりました!」 ⇒異物誤飲、誤嚥 • 「(転落)(交通)事故です!!」 ⇒外傷

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耳前瘻孔

• 胎生5週頃に第1および第2鰓弓に各3個の耳介結節が発 生するが、この耳介結節の発生過程の異常で生じる 「耳の前が腫れて、膿が出て痛がっています。」

抗生剤処方

痛み止め処方

小児外科外来へ

後日、摘出術予定

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頚部嚢胞性疾患

「首が腫れて、膿が出てます。」

1. 正中頚嚢胞

2. 側頚嚢胞

3. 梨状窩瘻

抗生剤処方 痛み止め処方 小児外科外来へ 後日摘出術予定

ただし、呼吸苦、頻脈には要注意

久保裕之:小児外来で遭遇する耳介奇形と先天性頚部疾患.香川小児科医会会誌,37:71-73,2016. 先天的な発生学的異常

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鼠径ヘルニア

大切なのは痛み・不機嫌があるかどうか • 症状なし=腸・大網がでているだけ、もしくは水腫 ⇒後日、小児外科外来へ • 症状有り=嵌頓の可能性あり ⇒整復の必要があるかも知れない=用手還納or小児外科Call 「股が膨れてます。」 小児外科疾患で最も多い 入浴時によくでる、気付かれる ⇒夕方受診することが多い

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臍ヘルニア

「臍がすごく飛び出してます。中でグチュグチュ音がします。」 すでに出生時、1ヶ月検診時に指摘されていることが多い しかし、中に腸がでていることを知らないことが多い 2歳くらいまでに9割以上が自然に改善する。 綿球・スポンジ圧迫法の効果が報告されている ⇒後日、小児外科外来へ 臍ヘルニアが嵌頓することは稀=可能性が0ではない

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尿膜管遺残症

「臍から膿が。。。」 1. 尿膜管瘻(尿膜管開存) 2. 尿膜管洞 3. 尿膜管嚢胞 4. 尿膜管性膀胱憩室 抗生剤処方、 痛み止め処方 小児外科外来へ ただし、新生児・乳児の臍感染には要注意

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肛門周囲膿瘍

「お尻が腫れて、痛がってます。」 直腸と肛門の境の歯状線にある1mm程度の小さなくぼみ(肛門陰窩)の感染 新生児~乳児、男児に多い 治療方針が様々 • 切開排膿 • 漢方 • 抗生剤内服 • 抗生剤塗布 悪化、遷延すると痔瘻になる可能性あり

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精巣捻転

「下腹が痛い」⇒腹部は平坦・軟。陰嚢所見が見落とされる

「玉が痛い」⇒陰嚢・精巣の診察が行われる

移動精巣固定術時の正常精巣 精巣炎・精巣上体炎との鑑別が必要だが疑わしきは手術が原則 症状が出てから24時間以内,できれば6~8時間以内に手術により捻転を解除すれば 精巣を温存できることが多いが,それ 以上経過すると壊死に陥った精巣を摘出 久保裕之:小児腹痛のPitfall.香川県小児科医会会誌,35:77-79,2014.

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異物誤飲

「手に持っていたコインがなくなった」 「リモコンの蓋が開いていて、ボタン電池が見当たらない」 食道異物⇒摘出がMust 胃内異物もボタン電池は摘出がベター • 基本的には胃内に落ちたものはお尻からでてくる • プラスティックの玩具や破片は経過をみるしかない • 食道に滞ったものは食道潰瘍を起こす • 特にリチウム電池は放電力が強く、短時間で潰瘍 • 複数の磁石は腸をまたいでくっつく可能性あり 胸腹部レントゲン撮影 適切な判断 ⇒小児外科Call

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異物誤嚥

「何かを飲み込んで噎せて、咳している」 CTが有用 気管支に落ちていれば窒息はない 気管にある場合は、場合によって挿管して片方の気管支に押し込む (気管支に落ちていても、咳で気管まで上がってきて窒息した症例がある) ⇒小児外科Call & 呼吸器内科外科

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外傷(Walk in)

詳細な問診 「いつ、どこで、なにによって怪我をしたのか」 打撲傷 擦過傷 挫傷 切傷 刺傷 咬傷 熱傷 • 受傷からの経過時間 • 屋内か屋外か • 鋭利なもので切ったのか • 不潔なものが刺さったのか ⇒抗生剤投与の有無 創を開放にしておくか、縫合によって閉鎖か 破傷風トキソイド、グロブリン製剤の有無 具体的には、 巧いこと処置してください ⇒創チェック、抜糸に小児外科外来へ 久保裕之:小児外来で遭遇する創傷とその処置.香川県小児科医会会誌,34:55-59,2013.

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外傷(救急車搬送)

久保裕之:小児腹部外傷における集学的治療の必要性と小児外科医の役割

~当院で経験した小児腹部外傷6例の検討~.日本小児救急医学会雑誌,16:2-7,2017. 10歳 男児:脾損傷 10歳 男児:膵頭部損傷 8歳 男児:膵頭・体部損傷

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急を要するか要しないか

• 検査、診断に過度にとらわれず、バイタルを注視

バイタル:血圧、脈拍、呼吸回数、体温のみでなく

元気orぐったり、笑顔or不機嫌

• 例えば、鼠径ヘルニア嵌頓や精巣捻転の診断がつけば

誰でも小児外科をCallする

不機嫌、ぐったりから急を要する疾患を疑えるか?

• 保存加療・経過観察をしてしまったことによって失われる

ものはなにか?

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適切な診断、説明、治療、管理できますか?

• 外科当直医師に相談

• 小児科当直医師に相談

• 救急外来看護師に相談

耳前瘻、頚部嚢胞性疾患、鼠径ヘルニア、

臍ヘルニア、尿膜管遺残症、肛門周囲膿瘍、

精巣捻転、異物誤飲誤嚥、外傷

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研修医にとっての救急外来

• 実際の臨床現場から学ぶ場

• 学んだことを実際の臨床現場で生かす場所

修学なくしては技術なく、技術なくして修学なし プロタゴラス 「断片」 講義の後、教科書を紐解いて学んで知識を得る。 そのとき得た知識が重要なのではなく、 教科書を紐解いたスタンスが重要です。 がんばってください

参照

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