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スポーツマネジメント研究における統計的分析手法:2004年から2010年にESMQ、JSM、SMRに掲載された学術論文の内容分析

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(1)

スポーツマネジメント研究における統計的分析手法:

2004 年から 2010 年に ESMQ、JSM、SMR に掲載された

学術論文の内容分析

大西孝之

1)

 原田宗彦

2)

 押見大地

3)

Statistical Data Analysis Techniques Employed in Sport Management Studies:

A Content Analysis of Research Published in the ESMQ, JSM, and SMR from 2004 to 2010

1)静岡産業大学 2)早稲田大学 3)早稲田大学大学院

連絡先: 大西孝之 静岡産業大学

〒 438-0043 静岡県磐田市大原 1572-1

Address Correspondence to:

Takayuki Ohnishi, Shizuoka Sangyo University 1572-1 Owara, Iwata, Shizuoka 438-0043, Japan E-mail: ohnishi@ssu.ac.jp

Abstract

The purpose of this study was to examine the statistical data analysis techniques employed in sport management studies. For this investigation, content analyses were conducted on 401 articles published in the European Sport Management Quarterly (ESMQ), Journal of Sport Management (JSM), and Sport Management Review (SMR) from 2004 to 2010. The statistical data analysis techniques were classified by levels as basic, intermediate, and advanced statistics. Overall, 213 articles which were categorized as quantitative or mixed research were analyzed. The results revealed that 42.1% of all statistical data analysis techniques in the research article reviewed were categorized as basic, 33.2% were considered advanced, and the remaining 24.7% were found to be intermediate. The results indicates that reader would need a conceptual understanding of basic and advanced statistical data analysis techniques to interpret research reported in the sport management studies.

Key words: sport management studies, quantitative research methods, data analysis techniques, content analysis

キーワード:スポーツマネジメント研究、量的研究の手法、統計的分析手法、内容分析

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スポーツマネジメント研究 第3巻第1号 スポーツマネジメント研究は比較的歴史の浅い 学問領域である。スポーツマネジメント研究分 野における国際的な学会組織は、1985 年の北米 スポーツマネジメント学会の設立を皮切りとし、 ヨーロッパ・スポーツマネジメント学会(1993 年)、オーストラリア・ニュージーランド・スポ ーツマネジメント学会(1995 年)、アジア・ス ポーツマネジメント学会(2002 年)、ラテンア メリカ・スポーツマネジメント学会(2009 年)、 アフリカ・スポーツマネジメント学会(2010 年) と各地域で設立されている。これらの学会は研究 成果を公表する学術誌を発行している。1987 年 の北米スポーツマネジメント学会による Journal of Sport Management(以下「JSM」と略す)” の 発刊が端緒であり、続いて 1994 年にヨーロッ パ・スポーツマネジメント学会が “European Sport Management Quarterly(以下「ESMQ」と略す)1)” を、 1998 年にオーストラリア・ニュージーランド・ スポーツマネジメント学会が “Sport Management Review( 以 下「SMR」 と 略 す )” を、2007 年 にアジア・スポーツマネジメント学会が “Asian Sport Management Review” を発刊した。これらの 学術誌を通じてスポーツマネジメント研究の研究 成果が蓄積されつつある。

学術誌はある研究分野のコミュニケーションの 媒体として機能し、その研究分野の方向性を指し 示す(Van Doren and Heit, 1973)。つまり、学術誌 に掲載された学術論文の情報をもとに、研究者は 研究や講義を行い、実務家は現場の課題を解決す る。Soucie and Doherty(1996)が示したように、 スポーツマネジメント分野における研究と実務の 関係は、研究者が実務における問題から研究課題 を発見し、学術的に研究を行い、実務家はその研 究成果を用いて問題解決を図り、新たに発生した 課題に対しては再び研究者が研究を行うという循 環関係である。この循環を活性化するのが、研究 成果を公表する学術誌であり、学術誌に掲載され た学術論文である。 しかしながら、スポーツマネジメント研究がス ポーツマネジメントの現場や学術界により一層受 け入れられるためには、より厳密な研究を続ける ことが必要であり、研究分野としての信頼性をさ らに向上させ、研究分野をより発展させる必要が ある(Barber et al., 2001; Olfason, 1990; Quarterman et al., 2005, 2006)。新たな学問領域の信頼性や発 展の程度を測定するためのひとつの方法は、そ の領域の学術論文について研究テーマや研究方 法、用いられている統計的分析手法を、その領 域の研究者が包括的に自己分析することである (Crawford-Welch and McCleary, 1992; Quarterman et

al., 2005, 2006; Reid and Andereck, 1989; Riddick et al., 1984)。近年において急速に拡大している我が 国のスポーツマネジメント研究分野の更なる信頼 性の向上と発展のため、これまでのスポーツマネ ジメント研究分野の学術誌に掲載された学術論文 を精査し、参考にすることは重要である。 調査手法や分析手法は研究を行うための手段で あり、研究手法の厳密さに影響を与える(Dann et al., 1988)。本研究では、分析方法の中でもスポ ーツマネジメント研究において用いられている 統計的分析手法に焦点を当てた。一般に量的研究 の研究方法は、①研究のデザイン、②母集団と標 本、③測定用具、④変数、⑤データ分析で構成さ れる(クレスウェル,2007)。統計的な分析は研 究のプロセスの一要素に過ぎないが、学術論文で 用いられている統計的分析手法を調べることによ り、研究方法の洗練の程度を評価することができ る(Reid and Andereck, 1989)。

以上のことから、本研究はスポーツマネジメン ト研究分野の学術誌に掲載された学術論文で用い られている統計的分析手法について調べることを 目的とした。具体的には、2004 年から 2010 年 までに ESMQ、JSM、SMR の 3 誌に掲載された 学術論文を対象とし統計的分析手法について内 容分析を行った。本研究の成果は、Quarterman et al.(2005)が指摘したように、次の情報を提示す る。つまり、①将来の研究において考慮されるで あろう基礎的なデータ、②スポーツマネジメント 研究分野の大学院レベルにおける研究手法の講義 で教えるべき内容、③スポーツマネジメント研究 において用いられている統計的分析手法について 最低限理解しておくべき情報、④スポーツマネジ

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メント研究分野の手法や統計学を講義する教員に とってのファカルティディベロップメントのため の情報、⑤スポーツマネジメント研究分野の洗練、 発展、成熟の程度を他の研究領域と比較するため の情報、そして⑥スポーツマネジメント研究分野 において用いられている様々な手法についての情 報である。集約すると、③と⑥はスポーツマネジ メント研究を「理解する」際に、②と④はスポー ツマネジメント研究の研究手法を「教える」際に、 そして①と⑤はスポーツマネジメント研究を「行 う」際に有用な情報となる。 先行研究のレビューとリサーチクエスチョン これまでにも、スポーツマネジメント研究 分野における学術論文で用いられた統計的分 析手法を内容分析で明らかにした研究が報告 さ れ て い る。Barber et al.(2001) や Jamieson et al.(1994)、Pitts and Pedersen(2005)、Quarterman et al.(2006) は JSM に 掲 載 さ れ た 学 術 論 文 を 対 象 に 内 容 分 析 を 行 っ た。 ま た、Balduck et al.(2004)は JSM に加え、ESMQ、SMR につい ても併せて分析を行っている。他にも、Mondello and Pedersen(2003)は Journal of Sports Economics に掲載された学術論文を対象に、Quarterman et al.(2005) は Sport Marketing Quarterly に 掲 載 さ れた学術論文を対象に統計的分析手法について内 容分析を行った。上記以外にも、Canadian Journal of Applied Sport Sciences や Research Qaurterly for Exercise and Sport、NIRSA Journal に掲載されたス ポーツマネジメント研究分野についての学術論文 (Jamieson et al., 1994; Olfason, 1990)、 博 士 論 文 (Olfason, 1990)、学会発表の抄録(Jamieson et al.,

1994)の統計的分析手法の内容分析を行った研究 も存在する。

スポーツマネジメント研究分野以外でも、学術 論文で用いられた統計的分析手法の内容分析を 行った研究は、教育学(Baumberger and Bangert, 1996; Elmore and Woehlke, 1988; Goodwin and Goodwin, 1985a, 1985b; Hutchison and Lovell, 2004; Kieffer et al., 2001; Willson, 1980)や心理学(Bangert

and Baumberger, 2005; Edgington, 1964, 1974; Schinka et al., 1997)で多く行われている。他にも、 ホスピタリティ/ツーリズム研究(Baloglu and Assante, 1999; Crawford-Welch and McCleary, 1992; Reid and Andereck, 1989) や レ ジ ャ ー 研 究(Van Doren and Heit, 1973)、治療レクリエーション研 究(Bedini and Wu, 1994)、マーケティング研究 (Grazer and Stiff, 1987)などで行われている。

以上の先行研究について、分析の対象となった 学術誌、発行年、最も多く用いられていた統計的 分析手法の上位 5 手法を表 1 にまとめた。統計 的分析手法についての内容分析のコーディング基 準が異なり、一概に比較することはできないもの の、分野に共通して、最も多く用いられている統 計学的分析手法は記述統計と言える。しかしなが ら、記述統計のみ用いた論文の数は少なく、多く の論文は記述統計を含めた複数の統計学的分析手 法を用いている。その他の分析手法としては、相 関分析や分散分析、回帰分析が多く用いられてい る。 本研究では、学術論文で用いられた統計的分 析手法の①レベル別の分類、②同一誌もしくは 同一分野の学術誌における発行年による違い、そ して③同一分野の学術誌間の比較を報告してい る先行研究のレビューを行った。Quarterman et al.(2006)が指摘するように、レベル別の分類は 少々恣意的なものであるが、学術誌で用いられて いる統計的手法を概観し、結果や提言を示すため に有用である。また、発行年による違いを確認 することにより、ある研究領域内で用いられてい る統計的分析手法の短期的なトレンドを検証する ことができ、同一分野の学術誌間で用いられてい る統計的分析手法を比較することによって、結果 の一般化可能性を高めることができる(Goodwin and Goodwin, 1985b)。これら 3 つの視点は本研究 の目的を達成し、インプリケーションを行うに当 たって有用であり、本研究の結果と比較する際の ベンチマークとなるものである。 まず、学術論文に用いられている統計的分析手 法をレベル別に分類した先行研究では、①基礎、 ②中級、③高度の 3 つに分類した研究が多く公

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スポーツマネジメント研究 第3巻第1号

表 1 統計的分析手法の内容分析を行った先行研究

著者名 対象学術誌名 対象年 統計的分析手法(上位 5 手法)

■スポーツマネジメント研究分野

Olfason(1990) Journal of Sport Management, Canadian Journal of Applied Sport Sciences, Research Qaurterly for Exercise and Sport, Administrative Science Quarterly, Academy of Management Journal, Journal of Applied Psychology, Dissertation Abstracts

1980-1988 ①相関分析、②分散分析、③回帰分析、④因 子分析、⑤多変量分散分析

Jamieson et al.(1994) Journal of Sport Management, NIRSA Journal, Proceedings from

the NIRSA annual conferences 1977-1993 ①記述統計、②因子分析、③分散分析、④カイ 2 乗検定、⑤相関分析、⑤多変量分散分析、 ⑤回帰分析

Barber et al.(2001) Journal of Sport Management 1991-1995 ①記述統計、②分散分析、③多変量分散分析、 ④検定、⑤因子分析

Pitts and Pedersen(2005) Journal of Sport Management 1987-2003 ①因子分析、②記述統計、③ t 検定、④分散分 析、⑤回帰分析

Quarterman et al.(2006) Journal of Sport Management 1987-2004 ①分散分析、②回帰分析、③カイ 2 乗検定、 ④ t 検定、⑤多変量分散分析

Quarterman et al.(2005) Sport Marketing Quarterly 1992-2004 ①一元配置分散分析、②回帰分析、②カイ 2 乗検定、④ t 検定、④事後の多重比較 Balduck et al.(2004) European Sport Management Quarterly, Journal of Sport

Management, Sport Management Review 1999-2003 ①記述統計、②多変量解析、③ノンパラメトリック検定、④ t 検定、⑤その他 Mondello and Pedersen(2003) Journal of Sports Economics 2000-2002 ①回帰分析、以下記載なし

■教育学研究分野

Willson(1989) American Educational Research Journal 1969-1978 ①分散分析、②相関分析、③回帰分析、④多 重比較、⑤因子分析

Elmore and Woehlke(1988) American Educational Research Journal, Educational Researcher,

Review of Educational Research 1978-1987 ①分散分析/共分散分析、②回帰分析、③多変量解析、④相関分析、⑤ノンパラメトリッ ク手法

Goodwin and Goodwin(1985a) Journal of Educational Psychology 1979-1983 ①要因分散分析、②ピアソン相関分析、③事 後の多重比較、④回帰分析、⑤独立したサン プルの t 検定

Goodwin and Goodwin(1985b) American Educational Research Journal, Journal of Educational

Psychology 1979-1983 ①要因分散分析、②ピアソン相関分析、③回帰分析、④事後の多重比較、⑤一元配置分散 分析

Kieffer et al.(2001) American Educationa Research Journal, Journal of Counseling

Psychology 1988-1997 ①相関分析、②分散分析、③多変量分散分析、④回帰分析、⑤カイ 2 乗検定 Baumberger and Bangert(1996) Journal of Learning Disabilities 1989-1993 ①記述統計、②一元配置分散分析、③要因分

散分析、④事後の多重比較、⑤カイ 2 乗検定 Hutchinson and Lovell(2004) Journal of Higher Education, Review of Higher Education,

Research in Higher Education 1996-2000 ①記述統計、②回帰分析、③相関分析、④探索的因子分析、⑤分散分析 ■心理学研究分野

Edgington(1964) Journal of Abnormal Psychology, Journal of Applied Psychology, Journal of Comparative and Physiological Psychology, Journal of Consulting Psychology, Journal of Educational Psychology, Journal of Experimental Psychology

1948-1962† ①分散分析/共分散分析、② t 検定、③相関分

析、④ノンパラメトリック手法、⑤カイ 2 乗 検定

Edgington(1974) Journal of Abnormal Psychology, Journal of Applied Psychology, Journal of Comparative and Physiological Psychology, Journal of Consulting and Clinical Psychology, Journal of Educational Psychology, Journal of Experimental Psychology, Journal of Personality and Social Psychology

1964-1972† ①分散分析/共分散分析、②相関分析、③ノ

ンパラメトリック手法、④カイ 2 乗検定、⑤ t 検定

Schinka et al.(1997) Journal of Personality Assessment 1990-1994 ①相関分析、②分散分析、③ t 検定、④カイ 2 乗検定、⑤因子分析

Bangert and Baumberger(2005) Journal of Counseling & Development 1990-2001 ①記述統計、②ピアソン相関分析、③回帰分析、 ④一元配置分散分析、⑤多変量分散分析/多 変量共分散分析

■ホスピタリティ/ツーリズム研究分野

Reid and Andereck(1989) Journal of Travel Research, Annals of Tourism Research, Tourism

Management 1978-1987 ①記述統計、②回帰分析/相関分析、③モデル、④分散分析、⑤ノンパラメトリック手法 Crawford-Welch(1992) Cornell Hotel and Restaurant Administraion Quarterly,

International Journal of Hospitality Management, FIU Hospitality Review, Hospitality Education and Research Journal, Journal of Travel Resarch

1983-1989 ①記述統計、② t 検/ z 検定、③回帰分析、④ カイ 2 乗検定、⑤分散分析

Baloglu and Assante(1999) Cornell Hotel and Restaurant Administraion Quarterly, Hospitality Education and Research Journal, International Journal of Hospitality Management, FIU Hospitality Review, International Journal of Contemporary Hospitality Management

1990-1996 ①記述統計、②回帰分析、③相関分析、④分 散分析、⑤因子分析

■レジャー研究分野

Van Doren and Heit(1973) Journal of Leisure Research 1969-1971 ①回帰分析/相関分析、②カイ 2 乗検定、③ 分散分析、④因子分析、⑤コルモゴロフ・ス ミルノフ検定

Riddick et al.(1984) Journal of Leisure Research 1978-1982 ①相関分析、②因子分析、③分散分析、④回 帰分析、⑤記述統計

■その他の研究分野

Grazer and Stiff(1987) Journal of the Academy of Marketing Science, Journal of Marketing, Journal of Marketing Research, Journal of Consumer Research

1980-1985 ①カイ 2 乗検定、②分散分析/共分散分析/ 多変量分散分析、③因子分析、④回帰分析、 ⑤相関分析

Bedini and Wu(1994) Therapeutic Recreation Journal 1986-1990 ① 2 変量、②単変量、③多変量 † 偶数年の推測統計学的手法

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表されている。教育学研究分野において、1979 年から 1983 年までに最も用いられた統計的分 析手法は中級の手法(43.2%)であり、次いで 基礎的な手法(35.4%)であった(Goodwin and Goodwin, 1985a)。教育学研究分野の同時期に掲載 された別の学術誌の学術論文では、Goodwin and Goodwin(1985b)によると、中級の手法が 36.5 %、基礎的な手法が 33.3%であった。同じく教 育学研究分野において、1989 年から 1993 年に 掲載された学術論文でも、用いられている統計的 分析手法は基礎的な手法と中級の手法がそれぞれ 54.7%と 31.6%であり(Baumberger and Bangert, 1996)、高度な統計的分析手法の割合は少ない。 1990 年から 2001 年までの心理学研究分野の学 術論文においても同様であり、基礎的な統計的分 析手法が 61.7%、また中級の統計的分析手法が 21.9%であった(Bangert and Baumberger, 2005)。 一方で、1987 年から 2004 年までに JSM に掲載 された論文について内容分析を行った Quarterman et al.(2006)によると、最も多く用いられたのが 基礎的な統計的分析手法(67.7%)であったが、 次いで多く用いられていたのが高度な統計的分析 手法(18.6%)であった。 次に、同一誌もしくは同一分野の学術誌に掲 載された学術論文で用いられている統計的分析 手法の発行年による違いを報告した先行研究を記 す。1969 年から 1978 年に American Educational Research Journal に掲載された論文において、発 行年と用いられた統計学的分析手法の間に統計 的に有意な関連は認められず、分析された 10 年間において分析手法の増減について有意な傾 向は認められなかった(Wilson, 1980)。同様に、 Goodwin and Goodwin(1985b) は、1979 年 か ら 1983 年の間で用いられている統計的分析手 法のレベルに統計的に有意な変化は認められず、 また分散分析と相関分析を用いた論文の比率も 統計的に有意な変化が認められないことを示し た。さらに、統計的に明らかにした結果ではな い が、Kieffer et al.(2001) は、Willson(1980) や Goodwin and Goodwin(1985b)、Elmore and Woehlke(1988)との比較から、用いられている 統計的分析手法には大きな変化がないことを指摘 した。一方で、Edgington(1964, 1974)は、アメ リカ心理学会ジャーナル 6 誌について、1948 年 から 1962 年までの間で分散分析を用いている論 文の割合は上昇しており、t 検定を用いている論 文の割合は減少していることを指摘した。また、 Reid and Andereck(1989)は、1978 年から 1987 年にツーリズム研究分野で掲載された学術論文で は、10 年間で用いられている統計的分析手法に ついて大きな変化はないが、ノンパラメトリック 手法が散発的に増減を繰り返し、モデル分析が上 昇傾向にあることを指摘した。最後に、1992 年 か ら 2004 年 ま で に Sport Marketing Quarterly に 掲載された学術論文を内容分析した Quarterman et al.(2005)は、記述統計が用いられている割合は 年々減少しており、逆にパラメトリック手法の割 合が増加傾向にあることを指摘した。 最後に、同一分野の学術誌間で用いられて いる統計的分析手法に違いがあるのかを検証 した先行研究を記す。1979 年から 1983 年に American Educational Research Journal と Journal of Educational Psychology に掲載された論文では、分 析のレベル、分散分析や相関分析の使用頻度に おいて統計的に有意な差が認められた(Goodwin and Goodwin, 1985b)。 同 様 に、Hutchison and Lovell(2004) は Journal of Higher Education、 Review of Higher Education、Research in Higher Education の 3 誌間で、用いられている統計的 分析手法のレベルに有意な差があることを明ら かにした。統計的に明らかにした結果ではない が、Elmore and Woehlke(1988) は、American Educational Research Journal と Educational Researcher、Review of Educational Research の 3 誌 に掲載された論文の間で最も用いられている手法 は異なり、それは学術誌の編集方針のためである と指摘した。また、Baloglu and Assante(1999)、 Crawford-Welch(1992)、Grazer and Diff(1987)、 そして Reid and Andereck(1989)もそれぞれ分析 した学術誌間で、用いられている統計的分析手法 の傾向は異なることを指摘した。

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スポーツマネジメント研究 第3巻第1号 る。前述の通り、内容分析のコーディング基準が 異なるため、一概に比較することはできないもの の、用いられている統計的分析手法の多くは基礎 から中間レベルの手法であった。しかしながら、 Quarterman et al.(2006)では中級の統計的分析手 法よりも高度な統計的分析手法が用いられている ことが報告されており、それが JSM の特徴なの か、分野を超えた経年的な変化なのかを断言する ことはできないものの、注目に値する結果であろ う。また、統計的分析手法の経年変化について統 計的な有意性は認められないと一致するが、個別 の手法の増減を指摘している研究も存在する。統 計学の進展や計算機の性能の向上などにより新し い統計的分析手法が用いられるようになってきて いるはずであるが、これらの研究の対象としてい る期間はすべて 15 年未満であり、変化を有意に 見出すためにはもう少し長い期間が必要なのかも しれない。最後に、同分野であっても掲載されて いる学術誌によって用いられている統計的分析手 法には違いがある。2000 年から 2002 年に北米 スポーツマネジメント学会、ヨーロッパ・スポー ツマネジメント学会、オーストラリア・ニュージ ーランド・スポーツマネジメント学会で発表され た研究の抄録を内容分析した研究によると、それ ぞれの学会で発表される研究のテーマには違いが あった(Mowrey, 2003)。そして、スポーツマネ ジメント研究分野の中でも、特にスポーツマーケ ティング研究分野(Quarterman et al., 2005)とス ポーツ経済学分野(Mondello and Pedersen, 2003) において最も多く用いられていた統計的分析手法 は異なっていた。このことから、ESMQ、JSM、 SMR によって用いられている統計的分析手法は 異なると考えられる。 以上のように、学術論文で用いられている統計 的分析手法について、そのレベルを明らかにした り、経年変化を調べたり、また同分野の学術誌間 で比較を行ったりすることで、学術論文を理解す るために必要な統計的分析手法の知識や、研究を 行うに当たって考慮されるべき統計的分析手法の 情報、また研究手法や統計学の講義で教えるべき 内容についての知見が得ることができる。また、 それぞれに内容分析のコーディング基準が異なる ため直接的に比較することはできないが、レビュ ーの結果をベンチマークとすることにより、スポ ーツマネジメント研究分野の洗練や発展、成熟の 程度を知ることができる。しかしながら、近年の スポーツマネジメント研究分野において用いられ ている統計的分析手法を内容分析した研究は見受 けられない。そこで、本研究では下記の 3 つの リサーチクエスチョンを設定した。なお、分析の 対象とする期間については、2004 年以前に JSM に掲載された学術論文の内容分析を多くの先行 研究が行っており(Balduck et al., 2004; Barber et al., 2001; Jamieson et al., 1994; Olfason, 1990; Pitts and Pedersen, 2005; Quarterman et al., 2006)、また ESMQ と SMQ に つ い て も Balduck et al.(2004) が 1999 年から 2003 年までの内容分析を行って いることから、重複を避けるために 2004 年から 2010 年とした。 RQ1: 2004 年 か ら 2010 年 に ESMQ、JSM、 SMR に掲載された学術論文において用い られている統計的分析手法やそのレベルは どのようなものか? RQ2: 2004 年 か ら 2010 年 に ESMQ、JSM、 SMR に掲載された学術論文において用い られている統計的分析手法のレベルは掲載 された学術誌によって違いはあるか? RQ3: 2004 年 か ら 2010 年 に ESMQ、JSM、 SMR に掲載された学術論文において用い られている統計的分析手法のレベルは発行 年によって違いはあるか? 研究方法 1.分析の対象と変数 本研究では 2004 年から 2010 年までの 7 年間 に、ESMQ、JSM および SMR に掲載された学術 論文を内容分析した。学術誌に掲載された記事で も、イントロダクションや解説、書評などの学術 論文ではないものは分析対象に含めなかった。結 果、ESMQ で は 137 論 文、JSM で は 167 論 文、 そして SMR では 97 論文が内容分析の対象とな

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を参考にした。また、先行研究において出現し ていない統計的分析手法については、多変量解析 や計量経済学などの統計学の書籍(朝野,2000; Hair et al., 2009; Hardy and Bryman, 2009; クレフト・ デレウ,2006;松浦・マッケンジー,2009;中 島ほか,2009;新谷・山田,2007;末吉,2001; Tabachnick and Fidell, 2007; ア プ ト ン・ ク ッ ク, 2010)を参照し、先行研究を参考に分類した統 計的分析手法との解説の順序や内容の比較から 3 つの水準に分類を行った。 最後に、学術誌によって用いられている統計的 分析手法のレベルに違いがあるかを検証するため にカイ 2 乗検定を行った。同様に、発行年によ って用いられている統計的分析手法のレベルに違 いがあるかを検証するためにカイ 2 乗検定を行 った。なお、有意水準はいずれも 5%未満とした。 3.コーディングの信頼性 本研究では筆頭著者と共同著者のうちの 1 人 が、学術論文を 4 つの研究アプローチのうちの 1 つに分類し、その中から量的研究と混合研究に 分類された学術論文で用いられた統計的分析手法 を抽出した。筆頭著者は対象となった全サンプル 401 論文をコード化し、共同著者の 1 人は全サ ンプルからランダムに選ばれた 1 割を、筆頭著 者とは独立してコーディング作業を行った。共同 研究者が全サンプルの 1 割を分析するのは分析 の信頼性を確認するためであり、内容分析の書籍 (有馬,2007; Riffe et al., 2005)や先行研究(Bangert

and Baumberger, 2005; Goodwin and Goodwin, 1985a, 1985b)に依った。結果、研究アプローチ の分類と統計的分析手法の抽出について、コーダ った。 本研究のリサーチクエスチョンを明らかにす るための従属変数は、分析対象の学術論文で用 いられた「統計的分析手法」と、それらをレベル 別に分類した「統計的分析手法のレベル」であ り、それぞれ頻度を求めた。同じく独立変数は、 分析対象の学術論文が掲載された「学術誌」(i.e, ESMQ、JSM および SMR)とその「発行年」(i.e., 2004 年から 2010 年の各年)であった。なお、 リサーチクエスチョンの解明には直接関係しない が、分析の手続きにおいて、統計的分析手法を用 いた学術論文かどうかを区別するために、①量的 研究、②質的研究、③混合研究(i.e., 量的アプロ ーチと質的アプローチの両方を用いた研究)、④ 概念的研究のいずれかの「研究アプローチ」に、 分析対象の論文を分類した。 2.分析の手続き 分析対象となった学術論文に用いられている統 計的分析手法を明らかにするために、データの 収集を 2 段階に分けて行った。まず、分析の対 象となった 401 論文を、①量的研究、②質的研 究、③混合研究、そして④概念的研究のいずれか の研究アプローチに分類した。次に、前段階に おいて量的研究と混合研究に分類された論文で用 いられていた統計的分析手法を抽出した。その 後、抽出した統計的分析手法を、①基礎的な統計 的分析手法、②中級の統計的分析手法、③高度 な統計的分析手法に分類した。分類基準は先行研 究(Bangert and Baumberger, 2005; Baumberger and Bangert, 1996; Goodwin and Goodwin, 1985a, 1985b; Hutchison and Lovell, 2004; Quarterman et al., 2006)

表 2 研究アプローチの分類 ESMQ JSM SMR 計 n % n % n % n % 量的研究 53 38.7 80 47.9 32 33.0 165 41.1 質的研究 43 31.4 45 26.9 35 36.1 123 30.7 混合研究 12 8.8 23 13.8 13 13.4 48 12.0 概念的研究 29 21.2 19 11.4 17 17.5 65 16.2 計 137 100.0 167 100.0 97 100.0 401 100.0

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スポーツマネジメント研究 第3巻第1号 ー間の「変数ごとの一致率」は、それぞれ 92.7 %と 89.5%であり、コーダー間の信頼性の最低 限基準となる 80%(Riffe et al., 2005)を上回った。 このことにより本研究におけるコーディング作業 は高い信頼性が得られたと判断した。 内容分析の対象となった 401 論文の研究アプ ローチを分類した結果を表 2 に示した。全体と して量的研究に分類された論文が 41.1%であり、 混合研究に分類された論文が 12.0%であった。 統計的分析手法の抽出では、これら量的研究と混 合研究に分類された 213 論文を分析の対象とし た。一方、30.7%が質的データのみを用いた研 究であり、残りの 16.2%が概念的研究に分類さ れた。 結 果 RQ1 について、前節で量的研究と混合研究に 分類された 213 論文で用いられた統計的分析手 法をコーディングした結果、表 3 の通り、48 の 統計的分析手法が用いられていた。1 論文につき 平均 3.11(標準偏差 1.43)の統計的分析手法が 用いられており、多くの論文が複数の統計的分析 手法を用いていることが明らかとなった。基礎的 な統計的分析手法が最も用いられており(42.1 %)、次に高度な統計的分析手法(33.2%)、最 後に中級の統計的分析手法(24.7%)であった。 表 4 に学術誌と統計的分析手法のレベルのク ロス表を示した。学術誌によって用いられている 統計的分析手法のレベルが異なるかを検証するた めにカイ 2 乗検定を行った。分析の結果、学術 誌と統計的分析手法のレベルには有意な関連が認 められなかった(χ2=2.30, df=4, p=.68)。この時、 効果の大きさは 0.06、検定力は 0.19 であった。 以上のことから、RQ2 について、2004 年から 2010 年に ESMQ、JSM、SMR に掲載された学術 論文において用いられている統計的分析手法のレ ベルは、掲載された学術誌によって違いが認めら れなかった。 また、発行年と統計的分析手法のレベルのクロ ス表を表 5 に示した。論文が掲載された年によ 表 3 抽出された統計的分析手法とレベル別の分類 n % 基礎的な統計的分析手法 記述統計 201 30.3 カイ 2 乗検定 25 3.8 一元配置分散分析 21 3.2 対応のない t 検定 16 2.4 1 サンプルの t 検定 6 0.9 対応のある t 検定 6 0.9 z 検定 3 0.5 マクネマー検定 1 0.2 小計 279 42.1 中級の統計的分析手法 ピアソンの積率相関 55 8.3 回帰分析 54 8.1 事後の多重比較 23 3.5 スピアマンの順位相関 6 0.9 多要因一元配置分散分析 5 0.8 繰り返し測定多要因分散分析 4 0.6 繰り返し測定一元配置分散分析 3 0.5 その他の相関分析 2 0.3 クラスカル・ウォリス検定 2 0.3 マン・ホイットニーの U 検定 2 0.3 多要因共分散分析 2 0.3 単位根検定 2 0.3 乗数分析 1 0.2 繰り返し測定共分散分析 1 0.2 ヨンクヒール・タプストラ検定 1 0.2 相関係数の差の検定 1 0.2 小計 164 24.7 高度な統計的分析手法 確認的因子分析 50 7.5 探索的因子分析 48 7.2 構造方程式モデリング 28 4.2 クラスター分析 11 1.7 ロジスティック回帰分析 11 1.7 階層的回帰分析 11 1.7 多要因多変量分散分析 11 1.7 マルチレベルモデル 7 1.1 プロビット回帰 6 0.9 一元配置多変量分散分析 6 0.9 多要因多変量共分散分析 5 0.8 包絡分析法 4 0.6 コレスポンデンス分析 3 0.5 トービットモデル 3 0.5 固定効果回帰モデル 3 0.5 多母集団同時分析 3 0.5 ネットワーク分析 2 0.3 正準相関分析 2 0.3 一元配置多変量共分散分析 1 0.2 繰り返し測定一元配置多変量分散分析 1 0.2 繰り返し測定多要因多変量分散分析 1 0.2 判別分析 1 0.2 不変分析 1 0.2 ファジィ手法 1 0.2 小計 220 33.2

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って用いられている統計的分析手法のレベルが異 なるかを検証するためにカイ 2 乗検定を行った。 分析の結果、論文が掲載された年と統計的分析 手法のレベルには有意な関連が認められなかった (χ2=4.65, df=12, p=.97)。この時、効果の大きさは 0.08、検定力は 0.23 であった。以上のことから、 RQ3 について、2004 年から 2010 年に ESMQ、 JSM、SMR に掲載された学術論文において用い られている統計的分析手法のレベルは、発行年に よって違いは認められなかった。 RQ1 についてより詳細に検討するために、用 いられた統計的分析手法のレベルと学術誌およ び発行年の間に有意な関連が認められなかった ことから、以下では、掲載された学術誌および発 行年を考慮せず、表 3 をもとにレベル別に統計 的分析手法を記した。なお、統計的分析手法の説 明は、分類の際に用いた書籍(朝野,2000; Hair et al., 2009; Hardy and Bryman, 2009; クレフト・デ レウ,2006;松浦・マッケンジー,2009;中島 ほ か,2009; 新 谷・ 山 田,2007; 末 吉,2001; Tabachnick and Fidell, 2007; ア プ ト ン・ ク ッ ク, 2010)を参考にした。 まず、基礎的な統計的分析手法の中では 8 つ の手法が用いられていた。平均値や標準偏差など を用いてデータの傾向や性質を示す「記述統計」 が最も多く用いられていた手法であった(30.3 %)。次に多く用いられていた手法は、比率の差 の検定を行う「カイ 2 乗検定」であり(3.8%)、 多群の平均値の差の検定を行う「一元配置分散分 析」が続いた(3.2%)。独立したサンプルにおい て 2 群間の平均値の差の検定を行う「対応のな い t 検定」(2.4%)、特定の値と平均値の差の検 定を行う「1 サンプルの t 検定」(0.9%)、対応 があるサンプルにおいて平均値の差の検定を行う 「対応のある t 検定」(0.9%)が続いた。その他、 母平均と標本平均の差を検定する「z 検定」(0.5 %)、対応があるサンプルにおける比率の差の検 定を行う「マクネマー検定」(0.2%)が基礎的な 統計的分析手法として用いられていた。 次に、中級の統計的分析手法では 16 の手法が 用いられていた。この中で最も多く用いられてい た手法は、2 変数間の関係を分析する「ピアソン の積率相関」(8.3%)であった。他にも相関分析 関連として、順位データの相関を分析するノンパ ラメトリック手法の「スピアマンの順位相関」(0.9 %)や部分相関分析などを含む「その他の相関分 析」(0.3%)、「相関係数の差の検定」(0.2%)が 用いられていた。2 番目に多く用いられていた手 法は、変数間の因果関係を分析する「回帰分析」 (8.1%)であった。また、テューキー法やボンフ ェローニ法など、分散分析を行った際に事後の検 定として行う「事後の多重比較」が 3.5%の割合 表 4 学術誌と統計的分析手法のレベルのクロス表 ESMQ JSM SMR 合計 n % n % n % n % 基礎的な統計的分析手法 85 43.8 137 41.4 57 41.3 279 42.1 中級の統計的分析手法 51 26.3 76 23.0 37 26.8 164 24.7 高度な統計的分析手法 58 29.9 118 35.7 44 31.9 220 33.2 計 194 100.0 331 100.0 138 100.0 663 100.0 表 5 発行年と統計的分析手法のレベルのクロス表 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 合計 n % n % n % n % n % n % n % n % 基礎的な統計的分析手法 23 41.1 36 42.4 43 43.0 31 43.1 45 39.5 41 45.6 60 41.1 279 42.1 中級の統計的分析手法 16 28.6 20 23.5 27 27.0 16 22.2 33 28.9 19 21.1 33 22.6 164 24.7 高度な統計的分析手法 17 30.4 29 34.1 30 30.0 25 34.7 36 31.6 30 33.3 53 36.3 220 33.2 計 56 100.0 85.0 100.0 100 100.0 72 100.0 114 100.0 90 100.0 146 100.0 663 100.0

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スポーツマネジメント研究 第3巻第1号 以上の従属変数を同時に分散分析、共分散分析の 対象とする多変量分散分析として、「多要因多変 量分散分析」(1.7%)や「一元配置多変量分散分析」 (0.9%)、「多要因多変量共分散分析」(0.8%)、「一 元配置多変量共分散分析」(0.2%)、「繰り返し測 定一元配置多変量分散分析」(0.2%)、「繰り返し 測定多要因多変量分散分析」(0.2%)が用いられ ていた。他には、階層的に異なった水準で測定さ れたデータを分析する「マルチレベルモデル」(1.1 %)、事業体の効率性を相対的に評価する手法で ある「包絡分析法」(0.6%)、視覚的にカテゴリ ー間の関係性を把握するために用いられる「コレ スポンデンス分析」(0.5%)、ある情報と別の情 報の間の関係情報を扱う分析手法である「ネット ワーク分析」(0.3%)、変数群間の相関を評価す る「正準相関分析」(0.3%)、データがどの群に 所属するかを判定する「判別分析」(0.2%)、構 造的な不変性を調べる「不変分析」(0.2%)、そ して人間の主観や言葉の曖昧さを扱う「ファジィ 手法」(0.2%)が用いられていた。 考 察 本研究は、2004 年から 2010 年に掲載された スポーツマネジメント研究分野の学術論文を対象 に内容分析を行い、用いられた統計的分析手法を 分類した。ESMQ、JSM、そして SMR に掲載さ れた論文のうち、研究アプローチが量的研究およ び混合研究に分類された 213 論文では基礎的な 統計的分析手法が最も多く用いられていた。次 に多く用いられていたのは高度な統計的分析手法 であり、最後に中級の統計的分析手法であったこ とを明らかにした。統計的分析手法のコーディン グ基準が異なるため一概に比較はできないが、こ の結果は Quarterman et al.(2006)が明らかにし た 1987 年から 2004 年までに JSM に掲載され た論文の統計的分析手法のレベルと同順であっ た。Quarterman et al.(2006)の研究では、中級の 統計的分析手法と高度な統計的分析手法の割合は 15.7%と 18.6%であったが、本研究においては 24.7%と 33.2%であり、中級の統計的分析手法 で用いられていた。さらに分散分析関連として、 2 要因以上の分散分析である「多要因一元配置分 散分析」(0.8%)、対応があるデータを対象とす る「繰り返し測定一元配置分散分析」(0.5%)、 前述の 2 つを同時に行う「繰り返し測定多要因 分散分析」(0.6%)、共変量を用いた分散分析で ある「多要因共分散分析」(0.3%)や「繰り返し 測定共分散分析」(0.2%)が用いられていた。さ らに、多群の差の検定を行うノンパラメトリック 手法である「クラスカル・ウォリスの検定」(0.3 %)、2 群の差の検定を行うノンパラメトリック 手法である「マン・ホイットニーの U 検定」(0.3 %)、時系列データが定常か非定常かを検定する 「単位根検定」(0.3%)、マクロ計量モデルにおい て外生変数の変化に対する内生変数の反応の大 きさを求める「乗数分析」(0.2%)、多群間のト レンドを検定するノンパラメトリック手法である 「ヨンクヒール・タプストラ検定」(0.2%)が用 いられていた。 最後に、高度な統計的分析手法では 24 の手法 が用いられていた。高度な統計的分析手法で最も 多く用いられていた手法は、あらかじめ因子構造 を仮定した上で検証を行う「確認的因子分析」(7.5 %)であった。次に、データに対し探索的に因子 を求める「探索的因子分析2)」(7.2%)が続いた。 構成概念や観測変数の関係や強さを検証する「構 造方程式モデリング3)」が 4.2%、複数の母集団 から得られたデータの構成概念や観測変数の関係 を同時に分析する「多母集団分析」が 0.5%の割 合で用いられていた。階層的手法や k-means 法を 用い類似したデータをまとめる手法である「クラ スター分析」が用いられていた割合は 1.7%であ った。回帰分析を発展させた手法として、従属変 数がカテゴリカルデータである場合に用いる「ロ ジスティック回帰分析」(1.7%)や「プロビット 回帰分析」(0.9%)、独立変数を順次投入し従属 変数の説明率の変化を確認する「階層的回帰分析」 (1.7%)、従属変数が打ち切りデータである場合 に使用する「トービットモデル」(0.5%)、そし てパネルデータの推計に使用する「固定効果回帰 モデル」(0.5%)が用いられていた。また、2 つ

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いが認められなかった。これらの 3 誌を発行す るヨーロッパ・スポーツマネジメント学会、北米 スポーツマネジメント学会、そしてオーストラリ ア・ニュージーランド・スポーツマネジメント学 会の学会大会における研究発表のテーマには違い があり(Mowrey, 2003)、スポーツマーケティン グ研究分野(Quarterman et al., 2005)とスポーツ 経済学分野(Mondello and Pedersen, 2003)では最 も多く用いられている統計的分析手法が異なるこ とから、3 誌間で用いられている統計的分析手法 のレベルには違いがあると考えられたが、結果は 支持されなかった。つまり、学術誌の編集方針の 違いが掲載される論文で用いられる統計的分析手 法に影響するという Elmore and Woehlke(1988) の指摘は、スポーツマネジメント研究分野では確 認できなかった。このことから、スポーツマネジ メント研究分野において必要とされる統計的分析 手法のレベルは、他分野とは異なり、学術誌間で 共通していることが示唆された。 また、本研究では発行年と用いられた統計的分 析手法のレベルの間には有意な関連が認められな かった。発行年と分析手法のレベルの違いを指摘 したスポーツマネジメント研究分野の先行研究は なかったが、この結果は他分野の先行研究(Kieffer et al., 2001; Goodwin and Goodwin, 1985b; Reid and Andereck, 1989; Wilson, 1980)と一致する。しか しながら、前述の通り、長期的には近年のスポー ツマネジメント研究分野においてはより高度な統 計的手法が用いられるようになってきている。他 の研究分野と同様に、研究の積み重ねにより統計 学は進展しており、新しい分析手法が開発され、 他分野の研究者がそれを利用できるようになって きている。本研究で分析の対象とした 2004 年か ら 2010 年までの 7 年間では有意な差が認めら れなかっただけであり、さらに過去の研究論文、 もしくは将来の研究論文との長期的な比較では差 が認められるものと考えられる。 次に、スポーツマネジメント研究分野の学術 論文において最も用いられていた統計的分析手 法は記述統計であった。この結果は、分野を問わ ず、多くの先行研究と合致する(e.g., Balduck et と高度な統計的分析手法の割合が増加していた。 このことから、スポーツマネジメント研究分野に おいて用いられている統計的分析手法はより高度 化していることが示唆される。一方、2000 年代 初頭以前のスポーツマネジメント研究分野とは異 なる分野の学術論文で用いられた統計的分析手 法をまとめた先行研究(Bangert and Baumberger, 2005; Baumberger and Bangert, 1996; Goodwin and Goodwin, 1985a, 1985b)と比較すると、最も多く 用いられていた統計的分析手法が基礎的な手法で ある点は一致したが、次に多く用いられていた手 法は異なる結果となった。つまり、2 番目に多く 用いられていた統計的分析手法のレベルは、先行 研究では中級の手法であったが、本研究では高度 な手法であった。以上のことから、他分野と比較 しても、近年のスポーツマネジメント研究分野に おいて用いられている統計的分析手法は、より高 度なものとなってきていると考えられる4)。Li et al.(2008)の指摘によれば、質的研究の重要性に ついて認識されてきているものの、伝統的にスポ ーツマネジメント分野の研究者は数量的実証主義 に影響を受けている。彼らが学生を指導すること によって、また査読者として投稿論文を審査する ことによって量的研究が多く公表される傾向とな る。結果として、数量的実証主義が拡大再生産さ れ、スポーツマネジメント研究分野ではより高度 な統計的分析手法が用いられているものと考えら れる。 次に、本研究では掲載された学術誌と用いら れた統計的分析手法のレベルには有意な関連が 認められなかった。スポーツマネジメント研究分 野において学術誌間で用いられている分析手法 のレベルの違いについて指摘した先行研究は見 当たらなかったが、他分野の先行研究(Baloglu and Assante, 1999; Crawford-Welch, 1992; Elmore and Woehlke, 1988; Goodwin and Goodwin, 1985b; Grazer and Diff, 1987; Hutchison and Lovell, 2004; Reid and Andereck, 1989)では、同分野の学術誌 であっても用いられている統計的分析手法に違 いが認められると一致する。しかし、本研究では ESMQ、JSM そして SMR の 3 誌間にレベルの違

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スポーツマネジメント研究 第3巻第1号

al., 2004; Barber et al., 2001; Jamieson et al., 1994)。 他の統計的分析手法を用いたとしても、サンプル の属性などを報告する時に記述統計は用いられる ことから、これは当然の結果であると言える。同 様に、回帰分析や相関分析、分散分析が用いら れている割合が相対的に高いのも先行研究に合 致する(e.g., Mondello and Pedersen, 2003; Olfason, 1990; Quarterman et al., 2006)。一方で、本研究に おいては、確認的因子分析や構造方程式モデリン グを含め 24 手法が高度な統計的分析手法に分類 された。この数は、Bangert and Baumberger(2005) の 11 手法、Baumberger and Bangert(1996)の 6 手法、Goodwin and Goodwin(1985a)の 6 手法、 Goodwin and Goodwin(1985b)の 8 手法、そして Quarterman et al.(2006)の 12 手法よりも大幅に 増加している。先行研究では出現しなかった高度 な統計的分析手法が多く分類されたことからも、 近年のスポーツマネジメント研究分野の研究者は 新しい手法を積極的に取り入れ、高度な手法を幅 広く用いていると示唆される。 本研究は、ESMQ、JSM および SMR に掲載さ れた学術論文の質を評価したものではないが、 2004 年から 2010 年までの 7 年間で用いられた 統計的分析手法を実証的に明らかにした。先行研 究と比較すると、この期間のスポーツマネジメン ト研究分野の学術論文においては、用いられてい る統計的分析手法はより高度化し、多様化してい ることが明らかとなった。このことより、スポー ツマネジメントに関する研究はより洗練化してい ることが示唆される。また、スポーツマネジメン ト研究分野の学術誌に掲載されている学術論文を 解釈するためには、基礎と高度な統計的分析手法 の概念的な理解が必要であることが示された。 インプリケーションと今後の研究課題 1.本研究のインプリケーション 本 研 究 は、ESMQ、JSM お よ び SMR に 2004 年から 2010 年までに掲載された学術論文で用い られた統計的分析手法を実証的に明らかにした。 以下では、前述した本研究の成果が提示するスポ ーツマネジメント研究を「理解する」「教える」「行 う」ための情報に沿ってインプリケーションを述 べる。 まず、スポーツマネジメント研究を「理解す る」ための情報に関して、本研究では内容分析か ら 48 の統計的分析手法が発見され、研究者や実 務家、そして学生がスポーツマネジメント研究分 野の学術論文を読む際には、非常に多くの統計的 分析手法の概念的な理解が必要であることが示さ れた。また、近年のスポーツマネジメント研究分 野の学術論文では、基礎的な統計的分析手法だけ でなく、高度な統計的分析手法も多く用いられて おり、その理解は不可欠なものとなってきている。 これらに対する理解がなければ、研究結果の誤っ た解釈にもつながりかねない。 そこで、統計的分析手法の正しい理解のために も、研究手法や統計学を「教える」場は非常に重 要になる。時間的な制約から、本研究で明らかと なった統計的分析手法のすべてをスポーツマネジ メントの研究法の講義内で詳細に教授することは 困難かもしれない。しかし、講義内で基礎的な統 計的分析手法から高度な手法まで幅広く教えるた め、教員が講義の内容や方法を改善し向上させる 必要がある。また、学術論文内に明確な実務への インプリケーションを記すことにより、実務家が 研究成果を用いやすくすることはもちろんである が、実務家が統計的分析手法を理解し、論文内に 記されている数値や記号、図表を解釈する要点を 学ぶ場を、学会を中心として提供することも必要 であろう。 最後に、スポーツマネジメント研究を行う際に 必要な情報についてのインプリケーションを記 す。研究者は自らの研究の目的や課題、仮説を検 証するために、多様な統計的分析手法の中から 最適な手法を選ぶ必要がある。実務家や学生がす べての統計的分析手法を十分に習熟することは現 実的に困難であることから、適切な統計的分析手 法を用いることは研究者の責任である。本研究で 示した先行研究で用いられている統計的分析手法 は、研究者が自らの研究において用いるべき手法 の具体的な指針となるだろう。また、近年のスポ

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ーツマネジメント研究ではより高度な分析手法が 用いられていることが示唆された。スポーツマネ ジメント研究分野の研究者は、引き続きより厳密 な研究を行い、研究の信頼性と発展を確保してい く必要がある。 2.今後の研究課題 本研究は、2004 年から 2010 年までにスポー ツマネジメント研究分野の学術論文において用い られた統計的分析手法を明らかにしたものである が、今後、新たに用いられるであろう分析手法は 明らかにしていない。新しい統計的分析手法の例 を挙げるならば、推定法ではあるが、ベイズ推定 はその 1 つと考えられる。ベイズ推定は母数の 事前情報を利用し推定値を求める方法であり、マ ルコフ連鎖モンテカルロ法の発展により、急速に 応用されてきている。これは統計学における近年 の目覚ましい変化の 1 つとされ、その変化は統 計学全体における推定法の一大発展とも言われて おり、例えば、構造方程式モデリングにおいて最 尤推定ではなくベイズ推定を用いることにより、 カテゴリカルデータや打ち切りデータ、欠損値へ の対処が可能となる(豊田,2008)。統計的分析 手法の高度化は統計学の発展、また情報機器の性 能の向上やソフトウェアの充実に密接に関係して いる。すべての新しい統計的分析手法を完全に把 握することは困難であるが、統計学の専門家に助 言を得るなり、関連分野の先行研究を参考にする なりして、自らの研究にとって最適な統計的分析 手法を用い、より厳密な研究を行う必要がある。 本研究は 2004 年から 2010 年までに ESMQ、 JSM、SMQ に掲載された学術論文について内容 分析を行ったが、スポーツマネジメント研究分野 の国際的な学術誌はこの 3 誌だけではない。他 にも Asian Sport Management Review、International of Sport Management、International Journal of Sport Management and Marketing などがある。また、国 内に目を向けても、スポーツ産業学研究や体育・ スポーツ経営学研究などがある。今後、これらの 学術誌において用いられている統計的分析手法を 調べることにより、スポーツマネジメント研究分 野で用いられている統計的分析手法の理解がより 深まるだろう。 また、本研究では ESMQ、JSM、SMR の 3 誌 間では、用いられた統計的分析手法のレベルに 有意な差が認められなかった。しかしながら、 Quarterman et al.(2005)と Mondello and Pedersen (2003)の研究は、スポーツマネジメント研究分 野の細分野では用いられる統計的分析手法に違 いがあることを示唆する。つまり、International Journal of Sports Marketing & Sponsorship や Journal of Sport & Tourism、Journal of Sports Economics、 Sport Marketing Quarterly などを内容分析すること により、スポーツマネジメント研究分野の細分野 で用いられている統計的分析手法について理解を 深めることができる。また、本研究では行わなか ったが、ESMQ や JSM、SMR に掲載された学術 論文を、スポーツマネジメント研究分野の細分野 に分類した上で、用いられた統計的分析手法を比 較することによっても可能である。 さらに、本研究はスポーツマネジメント研究分 野で用いられている統計的分析手法を明らかにす るために、量的研究および混合研究のみを分析の 対象とした。しかしながら、質的研究と概念的研 究の割合はそれぞれ 30.7%と 16.2%であり、ス ポーツマネジメント研究は決して量的研究のみを 行っているわけではない。近年では、仮説生成の 研究方法として質的研究に注目が集まっており、 スポーツマネジメント研究分野においても質的研 究法の書籍(Edwards and Skinner, 2009)が出版さ れている。フォーカスグループやインデプスイン タビュー、ケーススタディ、エスノグラフィ、ア クションリサーチ、グラウンデッド・セオリーな どの質的研究法は、実際にスポーツマネジメント 研究分野で用いられ、学術誌に掲載されている。 今後、スポーツマネジメント研究分野における研 究手法全体を理解するために、質的研究や概念的 研究についてもレビューする必要がある。 最後に、統計的な分析は研究のプロセスの一 要素に過ぎない。研究全体の厳密さを確認する ためには、その他の要素についても考慮する必要 がある。例えば、研究が想定する母集団、選び

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スポーツマネジメント研究 第3巻第1号 出されたサンプル、サンプリングの方法、用いた 変数の妥当性などは、研究の厳密さに密接に関 係する。スポーツマネジメント研究がより厳密 なものとなるために、統計的分析手法以外の要素 も検討した先行研究を参考にし(e.g., Bangert and Baumberger, 2005; Barber et al., 2001; Grazer & Stiff, 1987)、スポーツマネジメント研究分野の近年に 公表された学術論文の自己分析を行い、信頼性や 発展の程度をより包括的に検討する必要がある。 【注】

1)発刊当時には“European Journal of Sport Management” という名称だったが、2001 年に ESMQ と改称した。 2)本研究では、先行研究と同様、主成分分析を探索 的因子分析に含めた。探索的因子分析と主成分分 析は一組の観測変数の背後に少数の構成概念を仮 定し、観測変数間の関係を説明するモデルである が、因果の方向が異なるという違いがある(e.g., 豊 田,1992)。しかしながら、混同して用いられるこ とが多々あり、本研究の分析対象の学術論文でも 多くみられたため、本来ならば明確に区別して分 類すべきところであるが、主成分分析を探索的因 子分析に含めて分類した。 3)構造方程式モデリングは、因子分析や回帰モデル、 分散分析など多くの下位モデルを含むが(e.g., 狩 野,2002;豊田,1992)、先行研究と同様、本研究 では下位モデルを別に分類した。 4)前述の通り、多くの論文が複数の統計的分析手法 を用いていたが、抽出対象の 213 論文のうち 62.0 %が 1 つでも高度な統計的分析手法を用いていた。 教育学研究分野において 1996 年から 2000 年に掲 載された論文の内容分析した Hutchison and Lovell (2004)の報告では、1 つでも高度な統計的分析手 法を用いていたのは、分析対象論文のうち 48.9% であった。このことからも、本研究の分析対象と なったスポーツマネジメント研究分野の学術論文 ではより高度な統計的分析手法が用いられてきて いることが示唆される。 【文献】 朝野煕彦(2000)入門多変量解析の実際(第 2 版). 講談社:東京. 有馬明恵(2007)内容分析の方法.ナカニシヤ出版: 京都.

Balduck, A. L., Parmentier, A, and Buelens, M. (2004) Research methodology in the domain of sport

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スポーツマネジメント研究 第3巻第1号

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2011 年2月 16 日受付 2011 年 11 月 1 日受理

表 2 研究アプローチの分類 ESMQ JSM SMR 計 n % n % n % n % 量的研究 53 38.7 80 47.9 32 33.0 165 41.1 質的研究 43 31.4 45 26.9 35 36.1 123 30.7 混合研究 12 8.8 23 13.8 13 13.4 48 12.0 概念的研究 29 21.2 19 11.4 17 17.5 65 16.2 計 137 100.0 167 100.0 97 100.0 401 100.0

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