Ⅰ.はじめに
高等学校は「中学校における教育の基礎の上に,心 身の発達及び進路に応じて,高度な普通教育及び専門 教育を施すことを目的とする」(学校教育法第 50 条) 学校である。普通教育に関する各教科を主とする普通 科高校のほか,専門教育に関する各教科,商業や工業, 農業などを履修する専門(学科)高校がある。専門高 校は,専門的な知識・技能を習得し社会で活躍する人 材を育成することを目的としており,商業科は,経理 や情報処理など商業の分野で活躍できる人材の育成を 目指し専門的な知識や技術を身に付けることを目的と している。Ⅱ.商業高校の盛衰
全国の高等学校生徒数を学科別に見ると,2014 年 現在,普通科が 7 割超に対し工業科は 8%,商業科は 6%と少数派である。しかし,1950 年代から 70 年代前 半までの高度成長期には,即戦力となる専門高校の生 徒が 4 割を占めていたが,70 年代後半以降,その比率 は低下し続け現在に至っている。一方,学科別進学 率・就職率の推移を見ると,就職率の低下,特に商業 科など専門高校の就職率の低下が目立つ。90 年代の 「失われた 10 年」以後さらに低下し,2000 年以降は 5 割前後となり,大学・専門学校への進学率が上昇して いる。 東京都公立高等学校課程別・学科別生徒数(表 1) では,戦後六十数年間の変化を知ることができる。生 徒数は,二度のピークを経て現在は 13 万人前後で推 移している。65 年の 21 万人,88 年の 25 万人は第 1 次 ベビーブーム,第 2 次ベビーブームによるもので,現 在はピーク時の半分近くに減少している。また,勤労 青少年の教育を担ってきた定時制高校は,集団就職の 中卒者の進学先として生徒数は 5 万人を超えていたが, 60年代後半から減少し始め,第2次ベビーブームの80 年代後半に 2 万人を超えた時期もあったが,現在は 1 万人をやや越えた程度になっている。一方,商業科の 生徒は 60 年代には全体の 15%程度であったが,70 年 代後半から低下し始め,84 年には 10%を切り最近は 5%程度で推移している。工業科も商業科ほどではな いが,大きく減少している。また,90 年代後半から 登場した総合学科が 6%程度,定時制では 4 人に 1 人 が総合学科で学んでいる。 このように専門高校は,経済社会の変化に翻弄され てきた。高度成長期には「職業高校」と呼ばれ職業直 結の学校で,生徒は卒業後就職し,即戦力となった。 そのため,校内で多くの検定試験を実施,資格取得の ための学習が盛んに行われてきた。資格取得は,就職 を有利にするとともに生徒の学習意欲を高める役割も 果たしてきた。卒業生は一流企業に就職できるという 高い評価を得て,多くの優秀な生徒を集めることがで き,資格取得もスムーズにできた。しかし,職場で要 求される知識や技能が高度化し,「大卒」が「高卒」 の活躍の場を奪い,専門高校生の活躍の場を狭めるこ とになった。そのため,就職者は減少,大学や専門学 校への進学者が増加した。しかし,大学への進学は, 専門高校より普通科の方が有利であり,普通科志向が より高まり,商業高校における生徒の多様化がさらに 進み,学習指導要領や各学校の教育課程にも大きな影 響を与えてきた。Ⅲ.学習指導要領「商業」の変遷
商業高校が担う商業教育は経済教育の一部である。 商業科の目標は,1950 年版学習指導要領から一貫し て①商業に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得 させること②経済社会における商業の意義や役割を理 解させること③経済社会の発展に寄与する能力と態度高等学校商業科における経済
教育―公民科との関連―
The Journal of Economic Education No.34, September, 2015Economic Education in Commercial High School:
Its Relevance to Civics
Ohta, Masayuki
を育てることである。なお,99 年版学習指導要領で 「商業」に代わって使用され始めた「ビジネス」は, 企業が行う経済的諸活動の総称であり,必修科目とし て「ビジネス基礎」が設置された。 さて,商業経済科目の基礎科目として設置された 「商業一般」には次のような特色があった。①商業経 済科目の基礎的なもので,他の商業科目学習のための 基礎としても役立つ。②第 1 学年において必ず履修さ せることが適当である。③普通科等においても,一般 教養として学習させる商業科目として適当である。78 年には「商業経済Ⅰ」となり,国民経済的観点等を含 めることとなり,さらに 89 年に「流通経済」となり 商業に関する活動のうち流通にかかわる面に重点を置 くとともに,流通活動や企業の経営活動に必要なコ ミュニケーション能力の育成に関する内容及び地域経 済の理解を通して流通経済を理解させる内容などが加 わった。さらに,99 年「ビジネス基礎」となり,基 礎的・基本的な内容で構成され,より専門的な学習へ の動機付けや卒業後の進路についての生徒の意識を深 めることをねらいとした。また,ビジネスの国際化に 対応するため語学力が必要であり,英語に慣れ親しま せるようにすることになった。09 年でビジネスにお ける日本人とのコミュニケーションに関する内容に再 構成された。さらに職業人として求められる倫理及び 経済や企業活動に関する基礎的な内容が取り入れられ た。(表 2) 次に,「商業一般」から「ビジネス基礎」までの教 科書の変遷を概観すると次の二点が分かる。①「商業 一般」の教科書は,実教出版,大原出版,一橋出版の 3 社から発行されていた。実教は「深見義一・久保村 隆祐」本と「糸魚川祐三郎」本とその後継の「上林・ 新庄」本の 3 種,大原は「木村増三」本,一橋は執筆 者が固定されていなかった。②「商業一般」から「商 業経済Ⅰ」「流通経済」そして「ビジネス基礎」と ページ数は次第に減少し,「図例」「図説」「例解」「明 解」などが書名に付され,本文には図や表,イラスト などが多用され,より教科書に親しみ読みやすくなる よう工夫された。生徒の多様化が背景にあることは明 らかである。
Ⅳ.都立商業高校における商業科の教育課程
1979・85・99・2013 年の都立商業高校 2 校(芝商業 及び第一商業)の教育課程から次のことが分かる。① 第 1 学年の必修科目「商業一般」「商業経済Ⅰ」「流通 経済」「ビジネス基礎」を2~4単位で設置,このほか 「簿記会計」(「簿記」),「計算実務」(「計算事務」「珠 算」)も必修となっていたが,99 年教科「情報」が導 入されると「情報処理」も必修になった。②商業経済 科目では,第 2 ~ 3 学年でかつて「商業法規」と「経 済」が必修となっていたが,現在は選択になっている。 ③第 2 ~ 3 学年で,必修科目に加え選択科目が増えた。 生徒は自らの興味・関心,進路を考え科目選択を行う が,就職や進学に有利な簿記や情報処理など資格取得 にかかわる科目が多く選択され商業経済科目は敬遠さ れがちである。Ⅴ.商業科と公民科との関連
都立商業高校 9 校のビジネス経済科目と公民「現代 社会」「政治・経済」の教育課程(表 3)から,次の ようなことが読み取れる。① 7 校では「現代社会」が 第 3 学年に必修で置かれている。普通科では第 1 学年 で置かれることが多い。②「ビジネス基礎」は第 1 学 年で 2 ~ 3 単位で必修,「経済活動と法」は 4 校が第 3 学年で必修としている。これは,普通科に比べ就職者 が多いため,労働法など法に関する知識を身に付けさ せるためである。③「ビジネス経済」「ビジネス経済 応用」は選択科目として置く学校が 6 ~ 7 校ある。し かし,これらの科目は,経済に関する抽象的な内容が 多く座学中心のため選択者は多くない。 商業のビジネス経済科目と公民「現代社会」「政 治・経済」の学習指導要領の目標と内容,教科書の内 容を比較してみると次のようなことがわかる。 ①「公民」はその目標にあるように,「広い視野に 立って」経済について理解させるのに対し,「商業」 はビジネスに必要な経済に関する知識を習得させるこ とが目標である。②「公民」は,主権者として,労働 者として,消費者として経済について考察を深めるの に対し,「商業」はあくまでも経営者や企業の一員と して経済について考察する。③「公民」では「経済社 会の変容」や「個人の経済活動における役割と責任」 「経済活動の在り方と福祉の向上」なども扱う。「ビジ ネス基礎」で経済の基礎として「希少性」「トレード オフ」「機会費用」などを理解させるとともに,「ビジ ネス経済」では需要と供給などのミクロ経済理論と景 気循環や経済政策などのマクロ経済理論の基礎的な内 容を理解させ,具体的な経済事象についてこれらの理 論と関連付けて考察する能力と態度を育成する。 教科書の比較(表 4)により「ビジネス基礎」「ビジネス経済」「ビジネス経済応用」と「現代社会」「政 治・経済」の内容が明らかに重複していることが分か る。「公民」独自の内容としては,経済の歩み(歴史), 中小企業,農業,消費者,公害・環境など経済の諸課 題,社会保障,南北問題,地域主義などが,「ビジネ ス基礎」独自の内容としては,売買取引,企業倫理, 「ビジネス経済応用」では起業手続,地域産業などが 挙げられる。商業高校では,商業科・公民科との担当 教員が連携し,両教科科目の内容を関連付け授業を展 開することが求められる。
Ⅵ.商業教育の課題―教員養成の視点から―
1901 年から戦後にかけ半世紀優秀な商業科教員を 養成・輩出してきた東京高等商業学校・東京商科大学 附属商業教員養成所における「学科課程」(商業教員 養成所規則第 98 条)は,当時の商業学校のカリキュ ラムに対応した内容となっていた。また,英語の授業 時数が多く,卒業生は商業のほか公民,英語の授業も 担当する教師となっている。 現在の専門学科の教員養成には「公民」など普通科 とは異なる課題がある。それは,専門学科の科目内容 の幅の広さである。例えば,「工業」は 61 科目,「農 業」は30科目,「商業」は20科目あり,これらの科目 を「工業」「農業」「商業」などの教員免許をもつ教員 が授業を担当する。「商業」では「ビジネス経済」「ビ ジネス経済応用」などの経済学,「経済活動と法」の 法律学,「簿記」「財務会計」「原価計算」「管理会計」 などの会計学,「マーケティング」「商品開発」「広告 と販売促進」などの商業学,「情報処理」「電子商取 引」「プログラミング」「ビジネス情報管理」などの情 報処理,「ビジネス実務」などではビジネスマナー, ビジネス英語,ビジネス文書,珠算などの実務的技能 など多岐にわたる。また,授業には大学で学んだ理論 的知識だけでなく,実務的技能も必要になってくる。 商業科の教員には限らないが,「学び続ける教師」が 求められており,そのような機会が十分与えられるよ うな研修体制の充実が求められる。 参考資料 [1] 文部省「高等学校学習指導要領商業科編(試案)」(1951 年 1 月実教出版) [2] 文部省「高等学校学習指導要領商業科編」(1956 年 1 月実 教出版) [3] 文部省「高等学校学習指導要領解説商業編」(1972 年 5 月 一橋出版) [4] 文部省「高等学校学習指導要領解説商業編」(1979 年 5 月 一橋出版) [5] 文部省「高等学校学習指導要領解説商業編」(1989 年 12 月大日本図書) [6] 文部省「高等学校学習指導要領解説商業編」(2000 年 3 月 実教出版) [7] 文部科学省「高等学校学習指導要領解説商業編」(2010 年 5 月実教出版) [8] 文部科学省「高等学校学習指導要領解説公民編」(2010 年 6 月教育出版) [9] 東京都立商業高校「学校要覧」各年版 [10]片岡寛・清水啓典『ビジネス基礎』(2014 年実教出版) [11]佐々木宏夫『ビジネス経済』(2014 年実教出版) [12]伊東光晴・赤岡功『ビジネス経済応用』(2014 年実教出 版) [13]間宮陽介ほか『現代社会』(2014 年東京書籍) [14]間宮陽介ほか『政治・経済』(2014 年東京書籍) [15]一橋大学『一橋大学学制史資料第 7 巻』1983 年 9 月)表1 東京都公立高等学校統計(課程別・学科別生徒数・比率 %)1948 ~ 2014 年 年度 生徒数 全日制 定時制 全普通% 商業 % 工業 % 定普通% 商業 % 工業 % 分校 % 1948 56585 52828 3757 1949 84661 57222 27439 1950 106935 73171 33764 1951 122360 82758 39602 79.9 9.2 9.1 55.6 13.3 13.4 16.1 1952 130587 86127 44460 78.2 10.2 9.8 55.1 14.3 13.5 15.7 1953 136682 88857 47825 78.2 10.0 9.8 55.1 14.3 13.4 15.7 1954 138813 89993 48820 78.0 10.1 9.9 55.9 13.8 13.7 15.2 1955 141894 92853 49041 77.9 10.0 9.8 56.3 13.5 13.6 15.2 1956 146062 95785 50277 76.7 11.1 9.7 55.1 14.6 13.8 15.1 1957 150843 99282 51561 73.0 12.9 10.6 61.6 21.7 15.2 1958 154638 101778 52860 72.3 13.2 10.8 60.5 22.3 15.8 1959 158705 104703 54002 71.0 13.4 11.8 60.0 22.6 16.0 1960 159324 106791 52533 70.7 13.5 12.2 60.0 22.0 16.7 1961 159679 108482 51197 70.5 13.7 12.3 60.6 21.1 17.1 1962 160861 110266 50595 70.2 14.6 11.6 61.3 20.5 17.2 1963 179662 127782 51880 68.8 14.8 13.0 61.0 20.4 17.2 1964 194666 141969 52697 66.5 14.8 15.4 62.3 20.4 16.4 1965 209316 154745 54571 66.5 14.8 15.4 62.3 20.4 16.4 1966 205686 151538 54148 66.3 14.8 15.5 59.5 19.9 16.1 1967 201254 151435 49819 66.5 14.8 15.3 63.0 19.3 16.7 1968 195531 150323 45208 66.6 14.8 15.1 63.6 18.4 17.0 1969 188900 149932 38968 66.8 14.7 15.0 64.2 16.9 17.9 1970 184092 149916 34176 67.0 14.5 15.0 64.7 15.2 19.1 1971 180431 150198 30233 67.8 14.2 14.6 66.1 13.6 19.5 1972 176934 150465 26469 68.5 13.9 14.3 67.3 12.7 19.3 1973 174824 151474 23350 69.4 13.6 13.7 69.9 11.7 17.8 1974 175475 154378 21097 70.3 13.1 13.4 71.4 11.0 16.5 1975 178815 158770 20045 71.3 12.7 12.8 72.2 11.1 15.8 1976 182911 164290 18621 72.3 12.3 12.4 72.1 11.1 15.6 1977 187938 170540 17398 73.4 11.8 11.8 72.4 10.8 15.2 1978 193836 177799 16037 74.5 11.4 11.4 72.2 11.4 15.1 1979 199789 184677 15112 75.6 10.9 10.9 72.0 11.1 15.0 1980 210772 194640 16132 76.9 10.4 10.3 71.0 10.7 16.2 1981 218296 201538 16758 77.7 10.1 9.9 69.7 10.7 17.2 1982 218287 201693 16594 77.7 10.0 10.0 69.8 10.5 17.4 1983 222960 204805 18115 77.7 10.0 10.1 69.7 10.4 18.1 1984 229422 209948 19474 77.8 9.9 10.0 69.1 10.3 18.2 1985 240385 219843 20542 78.6 9.6 9.7 68.4 10.7 18.5
1986 243945 221566 22379 78.7 9.6 9.6 67.7 11.1 18.8 1987 246450 222713 23737 78.8 9.5 9.6 67.9 11.9 18.5 1988 249839 225213 24626 78.9 9.4 9.4 66.9 12.1 18.2 1989 248893 224510 24383 79.0 9.3 9.4 68.3 12.0 17.8 1990 239200 216682 22518 78.7 9.2 9.6 68.8 12.0 17.1 1991 222493 202667 19826 78.5 9.2 9.6 69.7 10.9 16.6 1992 205347 187809 17538 78.5 9.1 9.6 70.8 9.9 15.6 1993 192254 176441 15813 78.8 9.0 9.4 71.5 9.5 14.5 1994 182791 168243 14548 79.1 8.7 9.2 72.0 9.2 14.2 1995 175290 161090 14200 79.4 8.5 9.0 72.7 9.3 13.2 1996 166615 152431 14184 79.5 8.1 9.0 総合 % 72.6 9.5 12.9 1997 161239 147867 13372 79.4 8.0 8.8 0.3 71.6 9.6 13.5 1998 157386 144305 13081 79.4 7.9 8.8 0.5 71.4 9.6 13.7 1999 156571 143255 13316 79.5 7.9 8.7 0.5 70.5 9.5 14.5 総合 % 2000 154939 141393 13546 79.5 7.8 8.6 0.5 69.9 9.1 14.5 1.2 2001 151578 138052 13526 79.5 7.6 8.7 0.5 67.8 8.9 14.1 3.7 2002 146264 132818 13446 79.7 7.2 8.7 0.7 66.2 8.5 13.8 6.1 2003 142045 129294 12751 79.6 7.0 8.7 0.9 64.9 8.6 12.9 8.3 2004 139699 126766 12933 79.4 7.0 8.6 1.3 64.1 8.3 12.1 10.3 2005 136069 122837 13232 80.1 6.6 8.1 1.8 63.6 7.4 11.5 12.7 2006 132769 119517 13252 79.8 6.2 8.0 2.4 61.6 6.9 10.9 15.6 2007 130345 116710 13635 79.6 5.5 7.6 3.3 60.6 5.7 10.0 18.7 2008 129663 116084 13579 78.8 5.3 7.3 4.1 58.8 5.0 9.5 21.7 2009 130827 116866 13961 78.3 5.2 7.2 4.6 57.6 4.8 9.2 23.1 2010 133542 119038 14504 78.1 5.2 7.1 4.9 57.3 4.9 9.3 23.1 2011 134864 120099 14765 77.3 5.4 7.3 5.3 57.1 5.0 9.5 22.7 2012 136097 121539 14558 76.7 5.5 7.5 5.7 56.7 4.8 9.6 23.1 2013 135274 121197 14077 76.4 5.5 7.6 5.9 56.9 4.4 9.8 23.0 2014 136898 123415 13483 76.7 5.5 7.5 5.7 56.7 3.8 9.5 24.0 資料出所:「調査月報」(東京都教育庁 1951~56 年)「都内公立学校一覧」(同 1954~65 年)「東京都の教育」(同 1957~58 年)「東 京都教育統計年鑑」(同 1959~88 年)「東京都公立学校一覧」(同 1966~2014 年)「東京都公立学校統計台帳資料編」 (同 1973~83 年)「公立学校統計調査報告書学校調査編」(同 1985~2014 年) 表2 高等学校学習指導要領商業科「商業経済科目(ビジネス経済科目)」の推移(基礎科目・原則履修科 目・必修科目) 改訂 分野 必修科目 商業経済科目 学習指導要領のポイント 1950 (15) (商業経済) 商業経済・金融・経営・法規 「商業経済」は,商業課程学習の基礎,卒業後,事務や 経営に従事するために必要な,最低限度の知識・技能と, 合理的に経済活動を営むための心構えとを養うことがお もな目標。 1956 (21) 商業経済関係科目 商業一般 商業一般・商事・経営・経済・商業法規・商品 基礎的な地位を占め,他の商業科目の学習の基礎として も役立つ。第1学年において必修が適当。商業科以外の 課程でも,一般教養としてなんらかの商業科目を学習す る場合に選択される科目として適当。
表3 東京都立商業高校「商業(経済関係科目)」「公民」教育課程(新課程)2014 年(除く五日市高校) 科目 芝商業 第一商業 第三商業 第四商業 第五商業 赤羽商業 荒川商業 葛飾商業 江東商業 現代社会 3 年必(2) 3 年必(2) 1 年必(2)3 年選(2) 3 年必(2)3 年必(2)3 年選(2) 1 年必(2) 3 年必(2) 3 年必(3) 3 年必(3) 政治・経済 なし 3 年選(2) なし 3 年選(2) なし 3 年選(2) なし なし なし ビジネス 基礎 1 年必(2) 1 年必(2) 1 年必(2) 1 年必(2) 1 年必(3) 1 年必(3) 1 年必(3) 1 年必(2) 1 年必(2) ビジネス 経済 2 年選(3) 2 年選(3) なし なし 2 年選(3) 2 年選(3) 3 年選(3) 3 年選(2) なし 2 年選(3) 2 年選(3)3 年選(3) ビジネス 経済応用 3 年選(2) 3 年選(2) なし 3 年選(3) なし 3 年選(2) 2 年選(3) 3 年選(2) 3 年選(3) 経済活動と 法 2 年選(2) 3 年選(2) なし 3 年必(2) 3 年必(3) 3 年選(3)3 年選(2)2 年選(2)3 年選(3) 3 年必(3) 3 年必(3) 必は必修科目,選は選択科目,( )内は単位数 1960 (20) 商業経済関係科目 商業一般 商業一般・商事・経営・経済・商業法規・商品 基礎的な科目。商業の社会的使命の理解と,商業に従事しようとする者としての自覚を得させるように指導する。 1970 (36) 商業経済関係科目 商業一般 商業一般・経済・経営・商業法規 商業従事者としての立場からだけでなく,一般消費者の 立場から,日常の経済生活を合理的に営む観点を適宜含 めて内容を取り扱う。普通科等で一般教養的に履修させ る場合には,おもに日常の経済生活を合理的に営む観点 に立つ。 1978 (18) 商業経済科目 商業経済Ⅰ 商業経済Ⅰ・マーケティ ン グ・ 商 品・ 商 業 経 済 Ⅱ・ 商 業 法 規・ 貿 易 英 語・商業デザイン 従前の「商業一般」を再検討し,盛りだくさんな内容を 精選・集約して,基礎的・基本的な事項を一層重視する とともに,国民経済的観点等を含める。平板な授業にな らないように,例えば,実習,調査,研究,見学,視聴 覚教材や統計資料・新聞等の利用など効果的な指導の方 法について適宜工夫することが適当である。 1989 (21) 商業経済科目 流通経済 流通経済・計算事務・商 品・マーケティング・商 品デザイン 商業経済・経営・商業法 規・英語実務・国際経済 従前の「商業経済Ⅰ」を主として売買を中心とした商的 流通や運送・保管等の物的流通と,これらの企業の経営 活動に求められる商業人としてのマナー,コミュニケー ション能力の育成や,地域経済に対する理解を深めるこ とをねらいとして,「流通経済」に改め,内容の充実を 図った。具体的事項を取り上げることにより理解を深め るよう配慮する。 1999 (17) ビジネス経済分野 ビジネス基礎 (流通ビジネス科目) 商品と流通・商品技術・ マーケティング (国際経済科目) 英語実務・経済活動と 法・国際ビジネス 基礎的・基本的な内容で構成され,より専門的な学習へ の動機付けや卒業後の進路についての生徒の意識を深め ることを目的とした科目。商業教育全般の導入として基 礎的な内容を取り扱う。 商業の学習ガイダンス,経済生活とビジネス,ビジネス と流通活動,ビジネスと売買取引及び外国人とのコミュ ニケーションを内容とした「ビジネス基礎」を原則履修 科目の一つとして新設。 2009 (20) ビジネス経済分野 ビジネス基礎 (マーケティング分野) マーケティング・商品開 発・広告と販売促進 (ビジネス経済分野) ビジネス経済・ビジネス 経済応用・経済活動と法 従前の外国人とのコミュニケーションに関する内容をビ ジネスにおける日本人とのコミュニケーションに関する 内容に再構成するとともに,職業人として求められる倫 理及び経済及び企業活動に関する基礎的な内容を取り入 れるなどの改善を図った。各種メディア教材などを活用 し,経済社会の動向に着目させること。 ( )商業科の科目数
表4 「ビジネス基礎」「ビジネス経済」「ビジネス経済応用」「現代社会」「政治・経済」教科書の経済単元 「ビジネス経済」(実教) 「現代社会」(東書) 「政治・経済」(東書) (1)市場と経済 1-3 市場経済のしくみ 2-1 経済主体と経済の循環 1資源配分のしくみ 2現代の市場経済とビジネス (2)需要と供給 1-3 市場経済のしくみ 2-3 市場経済の機能と限界 1需要の概念と需要の変化 2供給の概念と供給の変化 (3)価格決定と市場の役割 1-3 市場経済のしくみ 2-3 市場経済の機能と限界 1価格決定のしくみ 2市場の役割と課題 (4)経済成長と景気循環 1-4 国民所得と経済成長 2-4 国民所得と経済成長 1GDP(国内総生産) 2経済循環 3物価と実質 GDP 4経済成長 5景気変動とインフレーション (5)経済政策 1-7 政府の役割と財政 2-6 財政のしくみと機能 1財政 1-6 中央銀行の役割と金融の自由化 2-5 金融のしくみと機能 2金融 「ビジネス経済応用」(実教) 「現代社会」(東書) 「政治・経済」(東書) (1)サービス産業化とサービス産業 2-2 産業構造の転換と国際経済環境の変化 1産業構造の変化と労働 2サービス産業の現状 (2)経済の国際化 5-1 貿易と国際分業 1-2 現代経済の特質 1企業の国際化・グルーバル化 5-2 外国為替のしくみと国際収支 5-1 貿易と国際収支 2国際化の進展と国際収支 5-5 グローバル化の進展 5-5 グローバル化する世界経済 3貿易の利益と課題 4国際資本移動 5外国為替 (3)金融市場と資本市場 1-5 金融のしくみと働き 2-5 金融のしくみと機能 1金融取引の発達 2貯蓄と投資の動向 3金融市場と資本市場の役割 4金融市場と資本市場の課題 (4)企業経営 1-2 現代の企業 2-2 生産のしくみと企業 1企業経営の特色 2企業経営と外部環境 3企業の社会的責任 4企業の海外進出と経営
(5)ビジネスの創造と地域産業の振興 1起業の手続き 2新たなビジネスの展開 3地域ビジネス事情 1-1 経済社会の変容 1-1 資本主義体制の成立と発展 2-1 戦後復興と高度経済成長 3-1 経済再建から高度成長へ 2-3 経済のバブル化とその後 3-2オイル・ショック後の日本経済 2-4 日本経済の現在 3-3 日本経済の現状 2-5 中小企業と農業 4-1 公害と環境保全 3-1 自立した消費者への道 4-2 消費者問題 3-4 社会保障の役割 4-3 農業・食料問題 3-5 環境保全と循環型社会 4-4 中小企業の現状と課題 5-3 戦後国際経済の枠組みとその変化 4-6 社会保障と福祉 5-4 対立と協調の時代 5-2 経済対立と国際協調 5-3 発展途上国の経済 5-4 地域主義の動き 「ビジネス基礎」(実教) 「現代社会」(東書) 「政治・経済」(東書) 企業活動の基礎 1-2 現代の企業 2-2 生産のしくみと企業 1ビジネスと企業 1-5 金融のしくみと働き 2-5 金融のしくみと機能 2資金調達 1-7 政府の役割と財政 2-6 財政のしくみと機能 3企業活動と税 3-2 労働者の権利 4-5 雇用と労働問題 4雇用 3-3 現代の雇用・労働問題 5企業倫理 ビジネスと売買取引 1売買取引の手順 2代金決済