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新規π拡張型縮環ポルフィリノイドの化学

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Academic year: 2021

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(1)Title. Author(s). Citation. Issue Date. URL. Chemistry of Novel Fused Porphyrinoids( Abstract_要旨 ). Tanaka, Takayuki. Kyoto University (京都大学). 2012-03-26. http://hdl.handle.net/2433/157809. Right. Type. Textversion. Thesis or Dissertation. none. Kyoto University.

(2) 学. 位. 審. ( ふ り が な ). たなか. 氏. 田中. 名. 査. 報. 告. 書. たかゆき 隆行. 学位(専攻分野). 博. 士. (. 理. 学. ). 学 位 記 番 号. 理. 博. 学位授与の日付. 平成 24 年. 学位授与の要件. 学位規則第4条第1項該当. 研 究 科 ・ 専 攻. 理学研究科. 第. 号. 3 月 26 日. 化学専攻. (学位論文題目). Chemistry of Novel Fused Porphyrinoids (新規π拡張型縮環ポルフィリノイドの化学). 論 文 調 査 委 員. (主査). 大須賀篤弘. 教授. 林. 教授. 民生. 丸岡. 理. 学. 啓二. 研. 教授. 究. 科.

(3) ( 続紙 1 ) 京都大学. 博. 士. (. 理. 学. ). 氏名. 田中. 隆行. Chemistry of Novel Fused Porphyrinoids (新規π拡張型縮環ポルフィリノイドの化学) (論文内容の要旨) ポルフィリンテープはポルフィリン同士が2つのβ位と1つのメゾ位で三重に縮環 した構造を持つ平面状のポルフィリン多量体である。その大きく広がったπ電子系に 起因して、赤外領域にまで及ぶ吸収長波長シフトを示すことや、非常に大きな二光子 吸収断面積を示すことから分子エレクトロニクスや非線形光学材料への応用が期待さ れている。ポルフィリンテープのような“縮環”ポルフィリノイドの開拓は新規機能 性分子開発の為の有効な手法であるが、2つ以上の異なる機能性分子を縮環させる、 “ハイブリッド型”縮環ポルフィリノイドはその合成手法の煩雑さから未開拓の領域 であった。このような背景から申請者は本課題に挑み、ハイブリッド型ポルフィリン 多量体を合成する有用な手法を開発し、ハイブリッド型ポルフィリンテープ及びポル フィリン―ヘキサフィリンハイブリッドテープの合成に成功した。 論文題目. 1.ハイブリッド型ポルフィリンテープの合成と物性 ポルフィリンテープは従来溶解性を確保するためにかさ高い置換基や長鎖アルキル 基 を 有 す る 置 換 基 が 用 い ら れ る が 、 一 方 で H O M O —L U M O ギ ャ ッ プ の 低 下 に 伴 う 安定性の低下も問題であった。申請者は新しいポルフィリンテープの設計指針として 電子求引性置換基を有し、HOMO準位の低いハイブリッド型ポルフィリンテープを 考案し、それらが高い安定性及び溶解性を有することを実証した。またポルフィリン テープ三量体としては初めてX線結晶構造解析にも成功した。そのドナーアクセプタ ー構造に依存して、ハイブリッド三量体における非線形光学特性が向上することも明 らかとなった。 2.ポルフィリン―ヘキサフィリンハイブリッドテープの合成と物性 環拡張ポルフィリン類はポルフィリンよりも環サイズの大きなポルフィリノイドで あり、複数の安定な酸化還元状態を有することや、ユニークな錯化挙動を示すことか ら近年精力的に研究が行われている化合物群である。申請者はポルフィリンとヘキサ フィリンのハイブリッド化合物の合成に成功し、更に縮環反応によってハイブリッド テ ー プ へ と 誘 導 し た 。 そ の 諸 物 性 を 測 定 し た と こ ろ 、 吸 収 ス ペ ク ト ル が 1600 nm に ま で 達 す る 等 、異 種 分 子 間 で も 有 効 に π 共 役 系 が 拡 張 さ れ て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 更 に 、 ヘ キ サ フ ィ リ ン 側 を 還 元 す る こ と に よ っ て 28π 電 子 系 へ と 変 換 し た と こ ろ 、 そ の全体としての物性も変調し、溶媒効果に依存する弱い反芳香族性を示すことも明ら かとなった。 3 . ポ ル フ ィ リ ン ― ヘ キ サ フ ィ リ ン ハ イ ブ リ ッ ド テ ー プ Rh錯 体 の 合 成 と 物 性 反 芳 香 族 性 の ポ ル フ ィ リ ン 類 縁 体 は 合 成 例 が 稀 少 で 、 ま た 小 さ な H O M O —L U M Oギャップを示すなどその物性も注目を浴びている。環拡張ポルフィリン類は酸化還 元 に よ っ て 容 易 に 4nπ 電 子 系 を と り う る が 、 そ の 構 造 が 平 面 骨 格 に 固 定 化 さ れ な い と 反 芳 香 族 性 は 弱 く 、し ば し ば 非 芳 香 族 性 と な る 。ヘ キ サ フ ィ リ ン ロ ジ ウ ム 二 核 錯 体 は 、 その骨格が長方形平面骨格に固定化されることから強い反芳香族性を示すことがわか っており、ポルフィリン―ヘキサフィリンハイブリッドテープに対しロジウム錯化を 行うことでヘキサフィリン骨格が明確な反芳香族性を示し、かつ芳香族性のポルフィ リン部位と縮環したハイブリッド分子を合成し、その物性を明らかにした。.

(4) (続紙 2 ) (論文審査の結果の要旨) 申 請 者 は 新 規 縮 環 ポ ル フ ィ リ ノ イ ド の 開 発 、と り わ け 2 つ の 異 な る 性 質 を 有 す る ポ ル フ ィ リ ノ イ ド を 縮 環 さ せ た ハ イ ブ リ ッ ド 化 合 物 の 合 成 に 取 り 組 ん だ 。三 重 縮 環 ポ ル フ ィ リ ン 多 量 体 は 2001 年 に 開 発 さ れ 、 赤 外 領 域 に ま で 及 ぶ 吸 収 長 波 長 シ フ ト や 巨 大 な 二 光 子 吸 収 断 面 積 を 示 す と い っ た 興 味 深 い 物 性 が 報 告 さ れ て い る 。こ れ ま で こ の ポ ル フ ィ リ ン テ ー プ の 研 究 の 展 開 は 、単 一 の ポ ル フ ィ リ ン ユ ニ ッ ト を 元 に し た 多 量 化 が 中 心 で あ っ た が 、申 請 者 は ハ イ ブ リ ッ ド 化 合 物 へ の 拡 張 に 新 規 縮 環 ポ ル フ ィ リ ノ イ ド と し て の 可 能 性 を 見 出 し 、ド ナ ー ア ク セ プ タ ー 型 ハ イ ブ リ ッ ド ポ ル フ ィ リ ン テ ー プ 及 び 、環 拡 張 ポ ル フ ィ リ ン の 一 種 で あ る ヘ キ サ フ ィ リ ン と ポ ル フ ィ リ ン の ハ イ ブ リ ッ ド テープを開発し、その物性を明らかにした。 ハ イ ブ リ ッ ド ポ ル フ ィ リ ン テ ー プ で は 、電 子 求 引 性 置 換 基 の 導 入 に よ り H O M O 準 位を下げることで分子全体を安定化し、同時に溶解性を向上させる効果が認められ た 。二 量 体 、三 量 体 、複 核 金 属 錯 体 と 、様 々 な バ リ エ ー シ ョ ン の 分 子 を 合 成 し 、そ の X線結晶構造を明らかにした。特に三量体の結晶構造は初めての報告である。また、 ドナーアクセプター構造によって非線形光学特性が向上することも明らかにした。 ポ ル フ ィ リ ン ― ヘ キ サ フ ィ リ ン ハ イ ブ リ ッ ド テ ー プ で は 、異 な る 2 つ の π 共 役 系 分 子 が 三 重 縮 環 に よ っ て 有 効 に 共 役 さ れ 、 そ の 吸 収 ス ペ ク ト ル が 1600nm に ま で 到 達 す る こ と を 明 ら か に し た 。ま た 、環 拡 張 ポ ル フ ィ リ ン の ユ ニ ー ク な 性 質 を 利 用 し て 、酸 化 還 元 に よ る π 共 役 系 の ス イ ッ チ ン グ や 特 殊 な 錯 体 形 成 へ と 展 開 し た 。[28]ヘ キ サ フ ィ リ ン は 近 年 に な っ て メ ビ ウ ス 芳 香 族 性 の 寄 与 が 認 め ら れ た 4nπ 系 芳 香 族 化 合 物 で あ る が 、こ の ハ イ ブ リ ッ ド テ ー プ に お い て は 、三 重 縮 環 構 造 に よ っ て 骨 格 が あ る 程 度 固 定 化 さ れ 、極 性 溶 媒 中 で は 反 芳 香 族 性 の 寄 与 が 大 き く な る こ と を 吸 収 ス ペ ク ト ル や N M R ス ペ ク ト ル の 結 果 か ら 解 明 し た 。そ の 構 造 を ロ ジ ウ ム 錯 化 に よ っ て 完 全 に 固 定 化 す る こ と で 、[28]ヘ キ サ フ ィ リ ン 部 位 を 完 全 に 反 芳 香 族 性 と す る こ と に も 成 功 し て おり、構造・光化学的特性・電気化学的特性といった各種物性を明らかにした。 以 上 の よ う に 、申 請 者 は こ れ ま で に 合 成 が 困 難 で あ っ た ハ イ ブ リ ッ ド 型 の π 拡 張 型 縮 環 ポ ル フ ィ リ ノ イ ド の 開 発 に 成 功 し 、X 線 結 晶 構 造 を 含 む 各 種 物 性 を 明 ら か に し た こ と に よ り 、縮 環 ポ ル フ ィ リ ノ イ ド の 本 質 の 解 明 と そ の 応 用 ・ 展 開 に 大 き く 貢 献した。よって、本論文は博士(理学)の学位論文として価値あるものと認める。 ま た 、 平 成 24 年 1 月 17 日 、 論 文 内 容 と そ れ に 関 連 し た 口 頭 試 問 を 行 っ た 結 果 、 合 格と認めた。. 要旨公開可能日:. 年. 月. 日以降.

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参照

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