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東京女子医科大学病院におけるCOVID-19に対する取り組み

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Academic year: 2021

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東女医大誌 91(1): 40-51, 2021.2

特集 COVID-19

東京女子医科大学病院における COVID-19 に対する取り組み

COVID-19 Task Force チームリーダー

カ ワ ナ マサトシ

川名 正敏

(受理 2021 年 1 月 9 日)

COVID-19 Pandemic

Approaches for COVID-19 at Tokyo Women s Medical University Hospital Masatoshi Kawana

COVID-19 Task Force Team Leader

Tokyo Women s Medical University Hospital (main hospital) has been working on COVID-19 since the end of January 2020. Initially, triage was initiated at the entrance of the general outpatient center, where many patients with immunosuppressive conditions, such as post-transplant patients and those with blood disorders and collagen disease, also enter the hospital. However, at the end of February 2020, the hospital authorities detected an in-creasing trend in the number of patients and decided to address it as a pressing concern for the entire hospital. Thus,“Team Corona was established as a multidisciplinary working unit composed of members from many clinical divisions and departments, under the initiative of the Department of General Medicine and the Depart-ment of Infection Prevention and Control, and various issues related to COVID-19 were discussed and further steps were taken.

With the rapid increase in the number of patients since March, full-scale COVID-19 patient care commenced in our hospital, and the Diabetes Center building was renovated to create a COVID-19 ward. On April 20, the COVID-19 Task Force (COVID team) was formed. Thereafter, the outpatient center for COVID-19 was estab-lished at the former Rheumatoid Arthritis Center. From April 20 to November 14, the COVID team provided in-patient treatment to 150 COVID-19 in-patients.

Since November, the number of COVID-19 patients has been increasing rapidly (called the third wave) in Japan, and the numbers of both COVID-19 positive cases and suspected cases have been increasing in our hospital. For this reason, the COVID team was expanded to a new medical care team, a general internal medicine (GIM) team, was formed. Currently, in cooperation with the team at the Critical Care Center, this GIM team is in charge of COVID-19 medical care in the hospital.

This paper outlines the hospital s efforts against COVID-19 from the end of January to November in chronological order.

Keywords: COVID-19, general internal medicine, Team Corona

Corresponding Author: 川名正敏 〒〒162―8666 東京都新宿区河田町 8―1 東京女子医科大学病院 kawana.masatoshi@ twmu.ac.jp

doi: 10.24488/jtwmu.91.1_40

Copyright Ⓒ 2021 Society of Tokyo Women s Medical University. This is an open access article distributed under the terms of Creative Commons Attribution License (CC BY), which permits unrestricted use, distribution, and reproduction in any medium, provided the original source is properly credited.

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Figure 1. Changes in the number of patients with COVID-19 in Japan and the initiatives of the Tokyo Women s Medical University Hospital.

Modified from reference 1.

(旧膠原病リウマチ痛風センター) はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,11 月になって第 3 波と呼ばれる感染者数の増加を示し ている.東京女子医科大学病院(本院)では,2020 年 1 月末より総合外来センター入口でのトリアージ に始まる様々な COVID-19 対策を実行してきた.そ の後の患者数増加傾向を早期に察知して 2 月末には 第 1 回新型コロナウイルス感染症患者対応会議が開 催され,病院全体としての取り組みが始まった.さ らに総合診療科,感染制御部を中心として,多くの 診療科・部門から招集した多職種実働部隊としての “チーム・コロナ”を発足し,COVID-19 に関する 様々な課題を検討して実行に移してきた. 本院は感染症指定医療機関ではなかったが,3 月 以降に患者数が急増したことや東京都からの要請も あったことから,COVID-19 患者診療を本格的にス タ ー ト す る こ と と な り 4 月 20 日 COVID-19 Task Force(略称 COVID チーム)が結成された. COVID-19 の診断・治療そのものについては,他 稿で詳しく述べられるので本稿では言及しない.本 稿では,本院での COVID-19 への病院としての取り 組み(Figure 1)を,1 月末から 11 月まで時系列に そって概説する1) . 国内感染者確認(1 月下旬)から チーム・コロナ始動(3 月下旬)まで 1.外来トリアージ開始 1 月 16 日中国・武漢への渡航歴がある男性の感 染が本邦第 1 例として報告された.1 月 28 日には武 漢からチャーター機第 1 便が到着し,2 月 3 日には ダイヤモンド・プリンセス号が帰港するなど,当時 は重症急性呼吸器症候群(SARS:2002∼2003 年), 新型インフルエンザ(H1N1:2009 年),中東呼吸器 症候群(MERS:2012 年)と同様の輸入感染症とし ての水際作戦の重要性が叫ばれていた時期であり, いずれは収束に向かうだろうと予想(期待)もされ ていた頃である.しかも初期情報は中国からのみで あり,メディアや SNS で様々な情報が飛び交ってい た. 本院は,移植後・膠原病・血液疾患・悪性腫瘍な ど免疫抑制状態の患者や重症患者が数多く通院して おり,早急に総合外来センターで COVID-19 疑い患 者の導線を分ける“トリアージ”の必要があったが, 2 月初めから外来看護師と総合診療科医師の多大な 努力で,トリアージとかかりつけ診療科への橋渡し が行われていた. 2.新型コロナウイルス感染症患者対応会議およ び「チーム・コロナ」結成(Figure 2) その後の国内感染者が増加の一途であったため, 外来トリアージ含めた COVID-19 対策を病院とし て進めていく方針となり,田邉病院長の発案で 2 月 21 日新型コロナウイルス感染症患者対応会議を発 足し,第 1 回会議が行われた.当初は病院管理者, 感染制御部,総合診療科,看護部,病院事務部のメ ンバーで開催され,外来センターでのトリアージか ら救急外来,救命救急センターでの診療,集中治療 室・手術室での感染対策など数多くの課題が指摘さ

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Figure 2. Domestic COVID-19 epidemic timeline and approaches of our hospital (February to March).

Modified from reference 1.

Table 1. Activities of Team Corona.

れた. そこで出た課題を検討してアクション・プランを 作成し実行していくために,3 月 5 日多部門・多職 種からなる実働部隊としての「チーム・コロナ」を 結成した.結成時メンバーは感染制御部,感染症科, 感染リンクドクターを中心とした関連診療科医師, 看護部,病院事務部からの 22 名である(12 月には 23 部門,37 名).チーム・コロナのミッションは,「患 者視点に立って,安全・安心な医療の実践と高度・ 先進医療の提供を続けられるように,徹底的な感染 予防対策をとって院内感染を起こさないこと.」であ る.3 月,4 月は ほ ぼ 毎 日 ミ ー テ ィ ン グ を 行 い, COVID-19 に関するあらゆる課題を検討し,アク ション・プランやマニュアルを作成して病院管理者 へ提案し,全体会議で報告した(Table 1). 3.外来トリアージと救急診療体制 外来トリアージは,様々な試行錯誤のあと総合外 来センター南エントランス前にテントを設営して, COVID-19 疑い症状のある患者の問診・診察を行 い,かかりつけ科担当医と相談しながら PCR を含め た必要な検査を行う体制となった(Figure 3). これと同時に PCR 検査体制を急いで確立する必 要があったため,中央検査室(三浦技師長)の尽力 により,3 月初めから多数の PCR 検査が可能になる 体制が作られた.トリアージ・発熱外来患者はもち ろんのこと,救急外来からの入院患者には全例 PCR 検査を行い,休日含めて当日中に結果が得られるシ ステムが構築された.PCR 検査の陰性が確認されな い患者は一般病室や手術室・集中治療室には入れな いことを原則にして,予定入院患者も,入院前 1 週 間以内に PCR 検査を行うシステムが作られた. CT 検査も COVID-19 診療には欠かせないため, 中央放射線部の協力を得て疑い例の検査を西病棟 A1 階と中央病棟 1 階 CT 室で行うためのルールが 定められて運用開始となった. 並行して,救急診療でも救命救急センター医師・

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Figure 3. Outpatient triage landscape. 看護師を中心に COVID-19 対策が検討されて,救急 患者は COVID-19 疑い患者であるとの認識にもと づき,PCR 陰性確認ができるまでは防護服での診療 となった.中央病棟 4 階には感染症患者用の陰圧室 が 2 室あるが,これに加えて個室 2 室に陰圧装置を 2 台導入して合計 4 室を陰圧室とし,病棟全体を COVID-19 病棟(陽性,疑い)とした.これにより重 症例は救命救急センター集中治療室に,中等症以下 は中央 4 階病棟に入院する救急システムが完成し た. 4.TWMUH モデル この頃,海外・国内で入院後に COVID-19 が判明 して院内クラスターを作る事例がいくつも報告され ていたため,入院時にどのようにスクリーニングし て院内感染を防ぐかについて,チーム・コロナで繰 り 返 し 議 論 が 行 わ れ て,「入 院 の 患 者 対 応 フ ロ ー 【TWMUH モデル】が作成された.その後改訂に次ぐ 改訂を重ねてきたが,11 月時点でのフローの一部を Figure 4 に示す. Figure 4 に示すとおり,予定入院(無症状)では 入院 1 週間前∼前日に PCR 検査を行って陰性確認 できたら一般病室に入れるが,緊急入院で感染徴候 を有する例は胸部 CT,PCR 検査を行い COVID-19 疑い病棟(救命 ICU,中央 4 階)陰圧室への入院と して,CT 所見によっては合計 3 回 PCR 陰性確認を して隔離解除し一般病室へ移動できるルールとして いる.“疑い”の間医療従事者はすべて防護服での対 応になるため,フロー上どの段階でどの装備になる かが細かく設定された(Figure 5). これらの院内運用ルールは感染制御部で「職員向 け COVID-19 対応マニュアル」としてまとめられ, その後も状況の変化に伴い改訂を重ねている.これ を含めて COVID-19 院内対応の周知は全体会議を 含めた院内会議で行われたが,病院職員がすぐに チェック・確認できるように,電子カルテログイン 画面に COVID-19 関連資料を掲載した(Figure 6). この一連の取り組みにより,当時まだ本邦で検査 数が限定的であった 3∼5 月に 2,981 例の PCR 検査 が行われ,陽性率は,①外来トリアージ例,②入院 前検査(無症状)例, ③緊急入院例でそれぞれ 1.8%, 0.01%,3.7% であったが,上記 TWMUH モデルで入 院フローを運用したところ,9 か月経過した 11 月時 点で院内感染・クラスターは起こしていない(投稿 中:呼吸器内科有村助教). 第 1 波はじまり(3 月下旬)から収束(5 月下旬)まで 3 月下旬から米国,欧州で患者数が急増して2) 多く の都市でロックダウンが敷かれたが(Figure 7),本 邦でも欧州発といわれる第 1 波が始まった.3 月 24 日には東京オリンピック・パラリンピックの延期が 発表され,4 月 7 日には緊急事態宣言が発動された (Figure 8).

1.COVID-19 Task Force(COVID チーム)の発 本院は感染症指定医療機関ではなかったが,4 月 初めのこのような本邦の状況に鑑み,高度先進医療 をしっかり担いながら,国内での COVID-19 蔓延に 対して,本院も感染症診療の体制を早急に整える必 要があると考えた.これには,病院の感染症部門だ

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Figure 5. Personal protective equipment, PPE: equipment content and classification.

Figure 6. Main hospital electronic medical record login screen: for disseminating materi-als related to COVID-19.

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Figure 7. Number of confirmed COVID-19 cases, by date of report and WHO region, De-cember 30, 2019 through May 10, 2020.

Source: https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/situation-reports/20200510 covid-19-sitrep-111.pdf?sfvrsn=1896976f_6

Figure 8. Domestic COVID-19 epidemic timeline and approaches of our hospital (mid-March to April).

Modified from reference 1.

けでは対応不可能で,病院全体の診療体制を,大き く変えざるを得ない状況と判断した.田邉病院長の 指示のもと,COVID-19 陽性病棟と発熱外来セン ターを開設するために院内各科・部門で集中的な検 討を行い,糖尿病センター 4 階,5 階病棟を COVID-19 病棟とすること,発熱外来センターを旧膠原病リ ウマチ痛風センターに開設することを決定した. 4 月 20 日 COVID-19 診 療 を 担 当 す る COVID-19 Task Force(COVID チーム)が発足した.そして 4 月 23 日糖尿病センター 4 階,5 階に COVID-19 病棟 がオープンして本格的に診療が開始された(Figure 9). 糖尿病センターには,4 階,5 階病棟に加えて医局 や教授室,会議室,各種検査室,看護部があったが,

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Figure 9.  COVID-19-positive patients ward. このような決定に基づきすべて他の場所に移動をお 願いすることになり,皆さんはとても大変な思いを されたと伺っている. また,院内各科・各部門から医師・看護師を集め て感染症病棟で診療を行うのは,病院としても全く 新しい試みになる.世界中で COVID-19 という疾患 自体もよくわかっておらず,診断・治療も手探りの 状態での診療になるが,まずは診療チームを結成し て COVID-19 診療を開始して,院内各部署と蜜に連 携をとりながら,新しい情報に基づいて適宜修正し ていくことになった. COVID チームへは内科各科から医師 20 名を招 集した. 4 月 20 日スタートの記念すべきチームは, 循環器内科 4 名,糖尿病・代謝内科 4 名,腎臓内科 3 名,脳神経内科 2 名,消化器内科 2 名,高血圧・内 分泌内科 2 名,膠原病リウマチ内科 1 名,呼吸器内 科 2 名,合計 20 名のメンバーが招集され,サブリー ダーを呼吸器内科有村助教,チームリーダーを川名 という布陣になった.まさに各内科からの派遣医師 による内科横断的な診療チームであり,当院での初 めての試みとなった. これに感染症科菊池教授と総合診療科坂間助教と 安田後期研修医がコアメンバーとして加わって, COVID-19 という未知のウイルス感染症に対する診 療 チ ー ム の 活 動 が 開 始 し た.COVID チ ー ム は COVID-19 中等症・軽症が対象であり,重症例はこ れまでどおり救命救急センター ICU での診療とし た.COVID-19 は発症後 1 週間以内に急激に呼吸状 態が悪化することがあるため,常に救命救急セン ター医師と情報共有しながら管理を行った. 看護部も大きなチーム変更を行った.その前から 外来トリアージと COVID-19 疑い病棟である中央 4 階へは各病棟から看護師が派遣されてチームを形成 していたが,新設された COVID-19 病棟にも糖尿病 センターの看護師に加えて各病棟から看護師が入っ てチームが形成された. この他,神経精神科西村教授,赤穂臨床教授はじ めスタッフの方々のご協力で“コロナリエゾン活動” がスタートした.リエゾン・チームには,隔離病棟 へ急に入院となった患者のメンタルケアで大変お世 話になっているばかりでなく,COVID-19 診療にあ たる医療従事者のメンタル・コンサルテーションも 行っている. このような多様性に富んだ COVID チームなの で,職種を超えての情報共有はしっかり行ってきた. 朝夕のブリーフィング・デブリーフィング(サイン アウト)では,チーム医師,感染症科医師,リエゾ ン,看護師,薬剤師による情報共有を毎日行ってき た.またチームがスタートした 4∼5 月はまだまだ SARS-Cov-2 や COVID-19 に関する確かな情報が少 なく,世界中で試行錯誤をしながらの対応だったた め,適宜「COVID チームセミナー」を開催して,新 しい知見や米国の教育病院(Massachusetts General Hospital3)

,Brigham and Women s Hospital4)

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Figure 10. Triage area and Fever Outpatient Center.

Figure 11. Fever Outpatient Center sketch.

最新診療プロトコールを共有して,当院のプロト コールをアップデートしていった. 2.発熱外来センター 一方,総合外来センター南エントランス前と一部 西病棟 A1 階を使用していたトリアージ・COVID 疑い外来は,旧膠原病リウマチ痛風センターを改装 して発熱外来センターとして 5 月 18 日にオープン した(Figure 10,11). 総合外来センター南エントランスで自覚症状の申 し出があると,トリアージ・ナースが簡単な問診を 行い,COVID チームのトリアージ医師に連絡する. トリアージ医師はかかりつけ科医師と相談しなが ら,原則として発熱外来センターへ誘導して,そち らで COVID-19 疑いとして診察と PCR を含めた必 要な検査を受けてその後の対応を決定する.この発 熱外来センターには診察室―看護師詰め所―PCR 検 体採取室側に陰圧装置が装備され,患者は玄関から 入るとすぐに診察室に案内されてそちらで待機,診 察・検査が終わるとそのまま帰宅する導線をとって おり,防護服での診療は負荷がかかるものではある が職員の安全を重視した運用になっている. 第 2 波(6 月上旬)から第 3 波(現在)まで 1.オール女子医大病院での取り組み このようにして本院でスタートした COVID-19 診療であるが,これには,COVID チームで診療する 内科各科や救命救急センターだけでなく,院内各 科・部門の協力が不可欠で,これにより院内全体で 取り組む体制になった(Figure 12).

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Figure 12. COVID treatment is conducted at All Women s Medical University Hospital. COVID チームや救急診療に関連する診療科以外 の,外科系を含めたすべての診療科には PCR 検査や 外来トリアージの担当を依頼したが,この間に中央 検査部の迅速かつ多数の PCR 検査体制確立と実施 は特筆すべきものがあった.臨床工学部は呼吸用防 護具(電動ファン付きマスク)の管理や陽性病棟で の血液透析,画像診断部には迅速 CT 撮影と読影,薬 剤部には抗ウイルス薬の適応外使用含めた薬剤管理 と情報提供で貢献してもらっている. COVID チームは,内科各科からのメンバーによ る混成チームなので,COVID-19 以外の様々な病態 についても,多くの場合チーム内に専門家がいるの でコミュニケーションがスムーズで迅速に対応する ことが可能になった.実際 7 月に 2 型糖尿病,末期 腎不全/血液透析中,陳旧性心筋梗塞の方が COVID-19 肺炎で入院した際に,上部消化管出血で緊急内視 鏡を施行することになった時にも,消化器・糖尿 病・腎臓・循環器内科からのチームメンバーが協力 しあい,必要があれば自科スタッフに連絡をとると いう形で,陽性病棟での検査をスムーズに行うこと ができた.8 月に潰瘍性大腸炎で治療が難渋してい る例が COVID-19 で入院となった際にも,潰瘍性大 腸炎に対する免疫抑制療法が感染症で困難なため顆 粒球吸着療法(GCAP)を選択したが,これもチーム 内の消化器・腎臓内科メンバーの連携で陽性病棟に て複数回の治療を行い,症状軽快して退院にもって いくことができた.いずれのケースも症例報告とし て論文投稿中である. 小児の COVID-19 診療も当院の課題のひとつで あった.小児科ではこの診療体制を早くから作って いただいており,8 月に 1 歳女児が入院した際には 小児科の先生が COVID チームに入って退院まで一 緒に診療にあたっている. 産科領域も多くの問題点を含んでいる.こちらも 産婦人科で COVID-19 対応について慎重に検討し ていただいて入院・分 にかかわる詳細なフローが 作成された.7 月上旬には COVID-19 陽性患者が救 急外来で分 という極めて特殊な事態が発生した が,COVID チームと産科,救命救急センターの協力 のもと母子ともに迅速かつ適切に感染対策をとりな がら処置を行い無事に退院まで持っていくことがで きた.本例の経緯は症例報告として投稿中である. 2.第 1 波収束後の経過と当院 COVID-19 入院患 者のまとめ COVID チーム開設後,第 1 波の収束とともに一 時期陽性患者数が減少したが,7 月初めより新宿・ 歌舞伎町での感染者数増加にともない再び患者数が 増加した(Figure 1).しかし当時は若年者の軽症例 が多く,COVID チームがスタートして 3 か月を経 過して COVID-19 診療の経験値もだいぶ上がって きて効率的に診療を行えるようになってきたことか ら,チームを 20 名から徐々に減らしていき,7 月下 旬以降は 10 名のチームとして COVID-19 陽性患者 の診療を担当することになった. 4 月 20 日 の COVID チ ー ム 開 設 か ら 11 月 19 日 までの当院 COVID-19 入院患者のまとめを Figure 13 に示す.合計 150 名の患者を陽性病棟および救命 救急センター ICU に収容した.男女比はほぼ 2:1 であり,この時点までは 20∼40 歳が多いが 11 月に 入り 50 歳代以降が増加傾向にある.死亡は 2 例で, いずれも高齢で重症呼吸不全を呈したが人工呼吸器 を含む侵襲的治療を希望されなかったため病棟で亡

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Figure 13. Summary of COVID-19 patients. くなられた. 3.第 3 波を迎えて―総合内科 GIM チームの創設 国内全体では,第 2 波は 8 月上旬にピークを迎え てその後患者数は減少に転じたが,第 1 波と違って 収束には至らず,一定数の新規患者発生が続くうち に 11 月より第 3 波と思われる新規患者数増加がみ られるようになった(Figure 1). 本院でも,秋冬にかけて陽性患者の増加が考えら れ る こ と,こ れ に 加 え て 様 々 な 基 礎 疾 患 を も つ COVID-19 疑い患者が増加することも予想されたた め,COVID-19 診療を含めた内科系の診療体制の再 検討を行った.その結果,10 月時点では 10 名となっ て い た COVID チ ー ム を 再 び 拡 充 し て 総 合 内 科 GIM(General Internal Medicine)チームを作り, COVID-19 陽性患者の診療に加えて,疑い例として の緊急・予定外入院の診療を行うこととした. 11 月 16 日より総合内科 GIM がスタートした.内 科各科から 13 名のメンバーと 2∼3 名の指導医(ア テンディング・ドクター)からなるチームである. COVID チーム同様,内科の横断的診療チームとし て COVID 患者含めて主に緊急・予定外入院患者の 診療を担当している.チームメンバーは各内科の若 手助教・後期研修医からなっているため,様々な領 域の患者に対して,アテンディングの指導のもと チーム内でそれぞれの得意分野を活かしながら一緒 に診療するシステムが出来てきている. 高齢化にともない患者が複数の問題を抱えて入院 することが多くなってくることを考えると,高度先 進医療を実践する大学病院でも,このような GIM チームへのニーズは今後ますます高まってくる.ま た,GIM では内科の広い領域について専門家の指導 のもとで学べるため,臨床実習や初期臨床研修など, 教育面でも中心的役割を果たしていく部門であると 考える. まとめ 新型コロナウイルス感染症に対する 2∼11 月まで の本院の取り組みについて概説した.未知のウイル スという新しい脅威に対して,当初は様々な不安や 混乱が院内にみられたが,早くから病院全体として 取り組むことを決定して診療科・部門や職種を超え てチームを形成したことにより,初めてのことが多 い中で柔軟かつ生産的なチームワークが発揮され た. 今後もこのような横断的組織を磨き上げて,新た な病院の課題に取り組んでいくことが肝要と考え る. 本稿を執筆するにあたり,2020 年 3 月以来院内体制の 構築に多大なご協力をいただいた院内各科,各部門の皆 様に深謝します。貴重な院内写真,感染制御に関する資 料をご提供いただいた感染制御部に感謝します. 開示すべき利益相反はありません. 1)厚生労働省ホームページ:国内の発生状況など. https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/

kokunainohasseijoukyou.html (Accessed December 25, 2020)

2)Johns Hopkins Coronavirus Resource Center : https://coronavirus.jhu.edu/ ( Accessed December 25, 2020)

3)Massachusetts General Hospital COVID-19 Treat-ment Guidance. https://www.massgeneral.org/

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assets/MGH/pdf/news/coronavirus/mass-general-COVID-19-treatment-guidance.pdf ( Accessed De-cember 25, 2020)

4)Brigham and Women s Hospital COVID-19 Clinical Guidelines. https://covidprotocols.org/ ( Accessed December 25, 2020)

Figure 1. Changes in the number of patients with COVID-19 in Japan and the initiatives  of the Tokyo Womenʼs Medical University Hospital
Figure 2. Domestic COVID-19 epidemic timeline and approaches of our hospital (February  to March)
Figure 3. Outpatient triage landscape. 看護師を中心に COVID-19 対策が検討されて,救急 患者は COVID-19 疑い患者であるとの認識にもと づき, PCR 陰性確認ができるまでは防護服での診療 となった.中央病棟 4 階には感染症患者用の陰圧室 が 2 室あるが,これに加えて個室 2 室に陰圧装置を 2 台導入して合計 4 室を陰圧室とし,病棟全体を COVID-19 病棟(陽性,疑い)とした.これにより重 症例は救命救急センター集中治療室に,中等症以下
Figure 4. Inpatient care flow (excerpt) [TWMUH model].
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