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育児期にある夫婦ペアレンティング―互いの育児の批判をめぐって―

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育児期にある夫婦ペアレンティング

―互いの育児の批判をめぐって―

Parenting together in the child-rearing stage:

On mutual criticisms of each other's child-rearing

清 水 嘉 子(Yoshiko SHIMIZU)

* 抄  録 目 的 夫婦の危機である産後クライシスを乗り越え,家族の再構築期にある夫婦のぺアレンティングを有効 に機能させることは,子育て支援を行う上で重要な視点と考える。そこで支援への第一歩として,夫婦 の子育ての話し合いの状況,夫婦が相手から子育てを批判された時の気持ちや,批判の背景にある事柄 の受け止めを明らかにすることを目的とした。 方 法 倫理的な配慮に基づき,子育て期にある夫婦1062人に調査用紙を配布し,回収された515人の内,自 由記述調査に協力している325人(妻185人,夫140人)を対象とした。記述は質的記述的分析により内 容分析を行い,サブカテゴリーとカテゴリーを命名した。 結 果 子育ての話し合いは8割が行われ,出産後が最も多かった。批判に対する妻の受け止めでは<夫から の批判をマイナスに受け止めている><夫からの批判をプラスに受け止めている>のカテゴリーが あった。妻が考える夫の批判の背景では,<互いの性格傾向による><夫との生育歴や親役割観の違 い><夫婦関係の歪み>のカテゴリーがあった。一方,批判に対する夫の受け止めでは<妻からの批判 をマイナスに受け止めている><妻からの批判をプラスに受け止めている><妻からの批判を受けても 関係ない>のカテゴリーがあった。夫が考える妻の批判の背景には,<互いの性格傾向による><妻と の生育歴や育児観の違い><家庭内の役割や関係性>のカテゴリーがあった。 結 論 夫婦の育児への批判をめぐって,その違いや特徴が明らかになった。良好な夫婦のペアレンティング の介入に向けて,妻と夫の受け止めや背景にあるものの違いを念頭において,夫婦の認識や受け止めの ずれが大きくなる前に,お互いの思いを伝達すること,親役割観の見直し,育児観の尊重,不満な思い を伝え話し合うことが示唆された。 キーワード:育児期,夫婦ペアレンティング,育児への批判,妻,夫 2019年3月20日受付 2020年2月10日採用 2020年5月9日早期公開

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Abstract Objectives

When working to offer support in child-rearing, it is important to be aware of the fact that overcoming postpartum crises can be dangerous to a married couple, while ensuring that the married couple is parenting well during the stage of family reconstruction. As a first step in offering this support, the present study aimed to clarify the level of dis-cussion among the couple regarding child-rearing, the feelings of each parent when criticized by the other about their child-rearing, and how each spouse perceived the underlying basis of the criticism.

Methods

Taking the appropriate ethical considerations, we distributed survey forms to 1062 individuals comprising mar-ried couples raising children. Of the 515 from whom surveys were recovered, data from 325 (185 wives and 140 husbands) who participated in the free description survey were analyzed. All written content of this descriptive qual-itative study was analyzed by content analysis.

Subcategories and categories were identified. Results

Eighty percent reportedly discussed child-rearing with their spouse; these discussions were reportedly most frequent immediately after childbirth. The two categories describing the wife's reception of her husband's criticisms were as follows: “I receive my husband's criticism in a negative way” and “I receive my husband's criticism in a positive way.” Categories defining the underlying factors that wives felt were driving the criticisms from their hus-bands were as follows:“it is dependent on our personality tendencies,” “it is due to differences in our perception of the role of parents and our upbringing history,” and “restrictions in our marital relationship.” Meanwhile, the hus-band's response to his wife's criticism about their child-rearing was divided into three categories, as follows:“I receive my wife's criticism in a negative way,” “I receive my wife's criticism in a positive way,” and “it doesn't matter if my wife criticizes me.” Categories defining the underlying factors that husbands felt were driving the criticisms from their wives were as follows:“it is dependent on our personality tendencies,” “it is due to differences in our perception of the role of parents and our upbringing history,” and “the roles within the family and the associations therein.” Conclusion

Examination of these couples and their criticisms of one another regarding child-rearing revealed some dif-ferences and characteristics. As we look toward being able to offer interventions that would enable favorable parenting among a married couple, we must keep in mind these differences in reception of criticism between wives and hus-bands, as well as the different underlying factors. Before the disparity in awareness or receptivity becomes too large within the married couple, it will be important to encourage them to communicate with each other about their feelings and review perception of his role as a parent, while respecting perspectives on child-rearing and any feelings of dissatisfaction.

Key words: child-rearing stage, coparenting, on mutual criticisms, wife, husband

Ⅰ.緒   言

近年,産後クライシスは夫婦の危機として注目され ている。夫は妻の出産後においても長時間労働の傾向 があり,特に我が国の離婚年齢において子どもが3歳 未満にある夫婦の離婚が最も多い現状にある(ベ ネッセ次世代育成研究所,2011)。その背景として, 母親は産後の生活の予期がなされず,産後のホルモン 変化やマタニティブルーを体験する中で育児をしてい ること,この間,妻の夫の対する愛情は,出産後に急 激に低下していることが関係していると考えられる (渥美,2010)。我が国では,子どもの乳幼児健診を中 心にした母親への子どもの成長発達に対する保健指導 が行われているが,出産後の夫婦を対象とした夫婦間 の協力に関する育児支援が行われていない時間があ る。また,妊娠期からのペアレンティングプログラム の紹介(佐々木他,2019;涌水,2016)や夫婦関係に 関する研究(中島他,2008)はあるが,育児期にある 夫婦を対象にした夫婦ペアレンティング介入プランは ほとんど紹介されていない。 研究者が先行して取り組んだ研究では,育児ストレ スや育児幸福感など母親を対象にして進める一方で, 父親に同様の研究デザインによる調査を行い,親とし ての共通点と相違点を見出している。その1つは,母 親の育児で生じる否定的情動に着目し,育児ストレス を Lazarus の理論(Lazarus, et al., 1984/1991)に基づい

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た否定的情動である5つの怒り・イライラ,疲れ,不 安・恐怖・心配,不満,むなしさ・悲しみを感じる場 面の自由記述からその実態を明らかにした(清水, 2003b)。同様に父親を対象にすることで父親の育児ス トレスを明らかにしている(清水,2006a)。この研究 から親として共通していたことは,育児ストレスで は,不安・恐怖・心配と怒り・イライラに2分されて いたことである。また,母親が,複雑な情動状態にあ ることに対して,父親では,独立した単純な構造を示 していた。特に母親をサポートする父親の特徴として 心配や不安が高いことが伺えた。父親は子どもと接す る時間の少ないこと,自分のことを最優先しがちなこ と,家族のために働き明け暮れること,年をとってい く自分,子どもと接して疲れる自分自身に対するスト レスが特徴だった。また,子どもの自己本位な特性に おいて,“可愛がっているのに母親の方が好き”,“パ パ嫌い”と言われた時に,子どもの自分に対する愛着 や愛情についての受け止めが悲しみやむなしさにつな がっていた。さらに,妻の子育てに対する不満や手 伝ってやりたくてもできないこと,そして妻の体力へ の心配などがあった。これらは,パタニテイーブ ルーとされ今日注目されている。 次いで,母親・父親の育児の際に生じる肯定的情動 に着目し,育児幸福感を Lazarus の理論に基づいた肯 定的情動である 7 つの安心,希望,愛情,喜び,感 謝,同情,誇りを感じる場面の自由記述からその実態 を明らかにした(清水他,2006b)。父親の情動の特徴 は,同情,誇り,安心,希望,感謝であった(清水, 2006a)。特に同情,誇り,安心は母親に比べて父親が 高かった。父親の育児幸福感は,あくまでも子どもを 中心とした育児事情ではあるが,妻に対する同情や誇 り,感謝の情動がみられていた。夫は子どもと接する 機会が少ないためか,喜びや愛情の育児事情は少な かった。夫に対して,遊びを通して子どもと関わる時 間を増やして関係性を保つこと,妻と子どものことを 愛すること,家族との時間を大切にしていくこと,妻 に対する感謝や誇りの感情を言葉で伝えていくことが 支援として有効であると考えられた。 母親が育児をより安定して行うために夫が重要な役 割を果たしていると考える。夫の家事・育児協力時間 が多く,具体的な育児協力のある夫の妻は育児ストレ スが低く(清水,2003a),夫婦関係満足度も高まる(田 中,2014)。家事・育児時間が長い男性ほど夫婦の役 割分担に関する話し合いの結果について「夫婦の適切 な役割分担について,納得した」と回答している(清 水,2003a)。また,子どもの成長とともに育児への自 信がなくなることからも(清水,2017),出産後早い段 階で互いの協力に対する話し合いも重要になってくる。 この時期に改めて夫婦の役割分担の話し合いを持つこ とが大切になる。加えて,縦断研究により1歳半の子 どもをもつ母親が夫に打ち明けて相談できることで, 育児への自信を高めることに影響していることが明ら かとなり,この時期の夫婦を対象としたプランが有効 であると考える(清水,2017)。夫婦ペアレンティング の促進行動は,育児期にお互いが考えていることや求 めていることへの理解を深め,コペアレンティングの 視点(加藤他,2014a;加藤他,2014b)から,夫婦で互 いを理解し助け合い,互いに影響し合いながら,親と しての役割をどのように行っていくかを追求し,より 良い子育てを可能とすることを目指す重要な行動と言 える。一方で,批判行動は促進行動を阻害する働きを 持つものである。1995年頃より海外で二人親家庭にコ ペアレンティングの概念が導入され研究がすすめられ ており,母親が父親の育児関与を妨げる直接間接の原 因となりうること,つまり性役割観が強い母親は,父 親の育児関与が低いことが明らかにされているが (McBride, et al., 2005),今後は縦断調査や質的調査に よって父親の育児関与増加を阻んでいる要因や夫婦ペ アレンティングを明らかにする課題がある(青木, 2009)。本研究では,育児における協働感に,父親の 育児行動や母親へのサポート行動に対する母親と父親 のそれぞれの自覚と評価が関係していることから(佐 藤,2008),妻の批判行動に目を向け夫婦ペアレン ティング研究として,どのようなペアレンティングが 繰り広げられているのかを明らかにする一助として, 夫婦がお互いの育児への言動を批判する働きについて 取り上げ,互いが相手から批判された時の心理や批判 の根底にある考えを明らかにすることを目的とした。

Ⅱ.研 究 方 法

1.研究デザイン  質的記述的研究 2.研究対象 A県内に在住する,3 歳から 4 歳の子どもをもつ夫 婦1062名に調査用紙を配布した。3歳から4歳の子ど もをもつ夫婦を対象とした理由は,3歳までの縦断研

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究から母親の育児への自信が,子どもの成長とともに 減少し,夫への相談がなされていないほど自信がない ことから,先行研究で対象とした3歳以降 4歳の子ど もをもつ親を対象とし,この時期の夫婦ペアレン ティングを明らかにすることとした(清水,2017)。 3.調査期間と依頼方法 調査期間は 2018 年 10 月から 2018 年 12 月であった。 A県に位置する幼稚園並びに研究者の所属する機関の 子育て支援センターへ調査協力のお願い文と共に質問 紙を送付した上で,研究者が施設長に直接説明し協力 を依頼した。調査用紙の配布は施設長より行われ,質 問紙は夫婦に依頼した。妻には,夫への依頼文と調査 用紙を同封した封筒と,妻への依頼文と調査用紙を同 封した封筒を渡し,妻から夫に封筒を渡すよう依頼し た。夫婦がそれぞれに回答した後には,別の封筒に入 れて封をし,園またはセンターに持参することを明記 した。依頼文には,調査の協力にあたり,調査に協力 をしない場合,途中で辞退した場合に不利益がないこ とを記載した。また,質問紙調査に協力する同意とし て,調査用紙の表紙に同意へのチェック欄を設け, チェックのある者は調査への協力に同意が得られたも のとした。 4.調査方法  尺度を用いた選択的回答並びに記述式質問項目に よる自記式質問紙調査 5.調査内容 質問紙の内容は,子育て期にある親の意識や協働の 可能性を知るために,育児幸福感尺度短縮版(清水 他, 2010a), 育 児 ス ト レ ス 尺 度 短 縮 版(清 水, 2010b),自己志向的完全主義尺度(桜井他,1997), 結婚の “現実”尺度(柏木他,2003),夫婦ペアレン ティング調整尺度(加藤他,2014a),夫婦のデモグラ フィックデータとして年齢,子どもの数と年齢は数値 の記載,親としての実感,産後のイメージ,里帰りは 「はい,いいえ」,子育ての話し合いは「ある,ない」, 家族構成,就労形態,子育ての話し合いの時期・頻度 ・納得度は選択項目による回答を求めた。特に,妻と 夫の育児行動に対して批判されたことに関する受け止 めや,背景にあるもの,育児に関する話し合いについ て,その内容や話し合いの内容に関する実態,話し合 いがなされないとすればその理由など自由記述で記載 を求めた。なお,本研究は,行われた調査において質 的なデータである子育ての話し合いの実態に着目し分 析を行っている。量的なデータは別途分析を行ってお り夫婦ペアレンティングの促進と批判行動のパターン による調整の実態と関連要因を明らかにしている。 6.分析方法 育児の話し合いの実態(その内容,話し合いがなさ れない理由)を質的な記載より質的記述的研究によ り,内容分析(浮かび上がるテーマやパターンの分 析)を行った(Polit, et al., 2010)。夫から育児をめぐ り批判的な言動があった時の妻の受け止めと,妻が考 える夫の言動にある事情について記述されている事柄 を抽出した。同様の記述は代表して一つのみ記載し, 記述の意味に着目した。さらにその意味するところを くみ取り受け止めや背景にあることとして分類し,サ ブカテゴリーとした。さらにサブカテゴリーを受け止 めや背景にあることとして分類し,意味するところを くみ取りカテゴリーとして命名した。カテゴリーの質 的な分析は,母性看護学領域の教員に助言を求め内容 の妥当性・信頼性を担保した。 7.倫理的配慮 調査の依頼文には,自由意思による協力であるこ と,調査・分析終了後はデータを破棄することを明記 した。倫理審査は名古屋学芸大学倫理委員会の審査を 受け2018年に承認(#274)を得た。

Ⅲ.結   果

1.対象者の属性と育児状況 調 査 用 紙 の 回 収 は 妻 291 人(56.5%), 夫 224 人 (43.5%),計 515 人(回収率 48.5%)であった。その内 記述による回答項目に記載のあった妻は 185 人,夫 140人 計 325 人 で あ っ た。 妻 の 平 均 年 齢 は 37.5 歳 (SD4.7 歳)であり,家族形態では,核家族 90.8%,複 合家族9.2%,就業状況では,専業主婦53.5%,パート タイム31.9%,フルタイム3.2%であった。子どもの数 は,2.05 人で末子の年齢 3.2 歳(SD1.9 歳)であった。 一方,夫の平均年齢は39.4歳(SD6.0歳),就業状況で は,フルタイム89.3%,自営・その他10.7%であった。 出 産 前 に 親 と し て の 実 感 を も っ て い た 妻 は 63 人 (34.1%)と夫に比べて多く,産後の生活イメージとの ギャップを感じていた妻は146人(78.9%)が感じてお

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り,夫より多かった。里帰り出産については,110人 (59.5%)であった。 2.育児に関する話し合いの状況 育児に関する話し合いでは,話し合いをしたことが あると答えた妻が152人(82.2%),夫が123人(87.9%) であり,話し合いの時期は結婚した時,妻が 23 人 (15.1%),夫が23人(18.7%)で,妊娠した時,妻が75 人(49.3%),夫が 50 人(40.7%),出産後,妻が 114 人 (75.0%),夫が 95 人(77.2%)と徐々に多くなってい た。話し合いに対する納得に関しては妻が 101 人 (66.4%),夫が90人(73.2%)納得しており,数え切れ ないほど話し合いを行っている妻は 100 人(65.8%), 夫は77人(62.6%)であった(表1)。話し合いを行わな かった理由には,時間がなかった,その必要がな かった,相手が面倒がる,きれるから,生まれてから でないとわからないからなどであった。 話し合いの内容では,経済的なこと,子どもの教育 について,子どもへのかかわり方,妻の仕事,家族計 画,家事育児の分担,子どもの健康・成長・性格,住 む場所や住居について,困っていることなどであっ た。話し合いを行った夫婦では,妻の9人(4%),夫の 4人(3%)が話し合いの内容は実行されていなかった。 3.夫からの育児に関する批判の妻の受け止め 互いの受け止めや考えに関する記述は,妻・夫で記 載する。結果の記述ではカテゴリーは< >とし,サ ブカテゴリーは【 】として記載した。 夫からの批判に対する妻の受け止めでは<夫からの 批判をマイナスに受け止めている>は【夫に批判され 落ち込む】【夫に批判され攻撃的な気分になる】,<夫 からの批判をプラスに受け止めている>では【夫に批 判され自らを振り返る】【夫から批判されることに感 謝している】であった。【夫に批判され落ち込む】は, 悲しい,全否定された気分,人格否定された,自信が なくなり消えてなくなりたい,ショック,理不尽な気 持ちなどの記述があった。【夫に批判され攻撃的な気 分になる】は,ムカつく,腹が立つ,イライラする, そういうあなたはどうなのなどの記述があった。【夫 に批判され自らを振り返る】は,自分の不十分なとこ ろを自覚している,一理あると思えるので受け入れら れる,自分のしていることを反省する,直そうと思う などの記述があった。そして,【夫から批判されるこ とに感謝している】は,夫にサポートされている感 じ,自信がないから,むしろ相談したい,ありがたい 気持ちになるなどの記述があった(表2)。 4.夫の育児の批判の背景を妻はどのようにとらえて いるか 妻の夫からの批判の背景にある考えの主たる背景に は,<互いの性格傾向による>,<夫との生育歴や親 役割観の違い>,<夫婦関係の歪み>があった。 <互いの性格傾向による>は【自分の性格がそうさ せている】【夫の性格がそうさせている】【夫はその時 の気持ちをぶつけているだけ】,<夫との生育歴や親 役割観の違い>では【夫は父親としての威厳を示した い】【夫が考える子育てがある】【夫とは育った環境が 違う】と受け止めていた。<夫婦関係の歪み>は,【夫 婦のコミュニケーションのずれ】【夫には不満がある】 があった。【自分の性格がそうさせている】は,感情的 なところ,自己中心的なところ,独断的なところ,【夫 の性格がそうさせている】は,タイプAだから,自己 表1 夫婦の子育てに関する話し合いの状況 妻 夫 N=185 N=140 話し合い した しない した しない 152 82.2% 33 17.8% 123 87.9% 17 12.1% 時期 結婚した時 23 15.1% 129 84.9% 23 18.7% 100 81.3% 妊娠した時 75 49.3% 77 50.7% 50 40.7% 73 59.3% 出産後 114 75.0% 38 25.0% 95 77.2% 28 22.8% 頻度 数えきれないほど 100 65.8% 77 62.6% 5回程度以上 37 24.3% 39 31.7% 1-2回程度 15 9.9% 7 5.7% 納得 したどちらでもない 10148 66.4%31.6% 3 2.0% 9033 73.2%26.8% 0 0%

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中心的なところ,視野が狭いところ,その場しのぎ, 感情的なところ,客観的,理論的なところ,冷静さな どの記述があった。【夫はその時の気持ちをぶつけてい るだけ】は,仕事が忙しい,イライラしている,八つ 当たりしているなどの記述があった。【夫は父親として の威厳を示したい】は,自分がパパであることを見せ たい,父親の言うとおりにすることを示したい,自分 の方が力があるなどの記述があった。【夫が考える子育 てがある】は,思い通りにやりたい,手抜きしてほし くない,理想の母親像があるなどの記述があった。【夫 とは育った環境が違う】は育ちが違う,男女の違いな どの記述があった。<夫婦関係の歪み>では,【夫婦 のコミュニケーションのずれ】は,愛情がなくなった, 二人でいることに限界がある,理解しようとしない, 馬鹿にしていて協力がない,相手を一人の人として認 めていない,疎外感がある,【夫には不満がある】は, 感謝の気持ちを伝えず不満がたまっている,家計管理 や家事がおろそかになっている,自分を構ってくれな いなどの記述があった(表3)。 5.妻からの育児に関する批判の夫の受け止め 妻からの批判に対する夫の受け止め<妻からの批判 をマイナスに受け止めている>は,【妻に批判されて 落ち込む】【妻に批判されて内心怒りを感じる】,<妻 からの批判を受けても関係ない>では【妻に批判され ても気にしない】,<妻からの批判をプラスに受け止 めている>は【妻に批判され自らを振り返る】【妻の意 見を尊重するしかない】であった。 【妻に批判されて落ち込む】は,悲しい,力不足を 痛感させられた,やる気を損なう,そう言われてもう まくできない,申し訳ない気持ち,しょうがないと感 じたなどの記述があった。【妻に批判されて内心怒り を感じる】は,ムカつく,腹が立つが我慢している, 不愉快に思う,素直に受け入れられず反発してしま う,小言が多く嫌だなどの記述があった。【妻に批判 されても気にしない】は,わからないことに対して言 われても何も感じない,参考程度にする,流す,子ど もに合うやり方は一つではないなどの記述があった。 そして,<プラスの受け止め>では【妻に批判され自 らを振り返る】は,なるほどと思うところがある,考 えを受け入れ修正する,自分でも反省するところがあ るなどの記述があった。【妻の意見を尊重するしかな い】は,一番子どもと接していて理解しているため妻 に従おうと思う,そのまま素直に受け入れる,納得い かない点もあるが主に面倒を見ているのは妻なので仕 方ないなどの記述があった(表4)。 6.妻の育児の批判の背景を夫はどのようにとらえて いるか 夫の妻からの批判の背景にある考えの主たる背景に は,<互いの性格傾向による>,<妻との生育歴や育 児観の違い>,<家庭内の役割や関係性>があった。 <互いの性格傾向による>は,【自分の性格がそう させている】【妻の性格がそうさせている】【妻はその 時の気持ちをぶつけているだけ】,<妻との生育歴や 育児観の違い>では,【妻との育児観の違いがある】 【妻には子育てへの考えがある】【妻とは育った環境が 違う】であった。<家庭内の役割や関係性>は,【妻は 育児・家事への自分に対する不満がある】【妻は夫で ある自分に不満がある】と受け止めていた。 表2 夫からの育児に関する批判の妻の受け止め N=185 カテゴリー サブカテゴリー 記述 夫からの批判を マイナスに受け 止めている 夫に批判され落ち込む 悲しい全否定された気分,人格否定,自信がなくなり消えてなくな りたい,ショック,理不尽な気持ち,わかってもらえず辛かった, あきらめの気持ち,またか気持ちが落ちた,理解されないさみしさ を感じる,自分がただ振り回されている感じ,聞き流すようにす る,開き直って忘れる 夫に批判され攻撃的な気分になる ムカつく,腹が立つ,頭にくる,イライラする,そういうあなたは どうなの,何もしないのに口出ししないで,ストレスだった,怒り がこみ上げ泣けてきた,うるさい,何もしていないのに批判するの はおかしい,わかっていないのはあなた,心の中であきれる 夫からの批判を プラスに受け止 めている 夫に批判され自らを振り返る 不十分なところを自覚している,自分のしていることを反省する, 直そうと思う,足りないところに気づかされた,一つの意見として 参考にする,後で振り返り相手の気持ちを知り受け止め改善した, その通りだと納得し直した 夫から批判されることに感謝して いる サポートされている感じ,自信がないからむしろ相談したい,ありがたい気持ち,私と子どものことを思ってくれている

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表3 妻が考える夫の育児に関する批判の背景にあるもの N=185 カテゴリー サブカテゴリー 記述 互いの性格傾向 による 自分の性格がそうさせている 感情的になりやすい,自己中心的なところ,独断的なところ,ぐちぐちと引きずってしまう,先を見て行動するところ,冷静さがな い,要領が悪い 夫の性格がそうさせている タイプ A だから,自己中心的,視野が狭い,その場しのぎ,感情的なところ,客観的,理論的なところ,冷静さ,先を見て行動すると ころ,常に自分が正しいと考えている,心配しすぎ 夫はその時の気持ちをぶつけてい るだけ 仕事が忙しい,イライラしている,やつあたりしている 夫との生育歴や 親役割観の違い 夫は父親としての威厳を示したい 自分はパパであることを見せたい,父親の言うとおりにすることを示したい,自分の方が力がある,自分が一番偉い文句を言うなと考 えている 夫が考える子育てがある 思いどうりにやりたい,手抜きしてほしくない,理想の母親像があ る,子どもへの愛情,ネット情報に固執している,子育ては妻の仕 事と思っている,社会的な立場からの発言が多い,他と比較したい サポートしたいと思っている,一般的な子育て論で見ている 夫とは育った環境が違う 育ちが違う,考え方が違うのは当たり前,母子家庭での育ち,父親のとしての関りがわからない,男女差やジェネレーションギャップ もある 夫婦関係の歪み 夫婦のコミュニケーションのずれ 理解しようとしない,馬鹿にしている,協力がない相手を一人の人 として認めていない,夫は疎外感を感じている,夫に相談しないと ころ,愛情がなくなった,本当に最低離婚を考えている,根本的に 合わない 夫には不満がある 感謝の気持ちも伝えず夫も不満がたまっている,家計管理や家事がおろそかになっている,子どもの成長に不満がある,自分を構って くれない 表4 妻からの育児に関する批判の夫の受け止め N=140 カテゴリー サブカテゴリー 記述 妻からの批判を マイナスに受け 止めている 妻に批判されて落ち込む 残念,やる気を損なう,子育てをやっていけるのか不安,自分な りに頑張っているのにしょうがないと感じた,申し訳ない気持ち, 悲しい,そういわれてもうまくできない,力不足を痛感させられ た,妻は頑張っていて自分はダメな人間だ,本当にすいません, 悪かったなと思う 妻に批判されて内心怒りを感じる 不愉快に思う,そんなことはないだろう,口出しするのをやめよ うと思う,ムカつく,素直に受け止められず反発してしまう,小 言が多く嫌だ,腹が立つが我慢している,批判ばかりだとやりた くなくなる 妻からの批判を 受けても関係ない 妻に批判されても気にしない わからないことに対して言われても何も感じない,いろんな意見 があるんだと実感した,父親としての考えでしているので参考程 度,妻はイライラしているので何を言ってもむり,人には考え方 がいろいろあると思う,そういう考えもある,あまり気にしない, どうでもいいじゃんと思う,流す,子どもに合うやり方は一つで はない,心のバランスのため深刻に受け止めないようにする 妻からの批判を プラスに受け 止めている 妻に批判され自らを振り返る 納得して意識改革をした,新たな気づきに通じる,子どものため 直さないといけないと思う,妻が思っている以上に協力できてい ない,なるほどと思うところがある,自分でも反省するところが ある,考えを受け入れ修正する,仕事を休む時は休む,納得でき ることであれば反省しなおす,自分の子どもへの言葉遣いに気づ く,イラっとするがその後冷静に考えようと問いかける 妻の意見を尊重するしかない そのまま素直に受け止める,一番子どもと接していて理解しているための判断妻に従おうと思った,納得いかない点もあるが,主 に面倒を見ている妻なので仕方ない

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【自分の性格がそうさせている】は,自分勝手なと ころがある,視野の狭さ,おおざっぱなところなどの 記述があった。【妻の性格がそうさせている】は,何か した後にすぐ片付けないと気が済まない,短絡的な考 え方,注意力が細かいところなどの記述があった。 【妻はその時の気持ちをぶつけているだけ】は,ホル モンバランスが悪い,子育てのイライラがある,子ど もの行動への不満があるなどの記述があった。<妻と の生育歴や育児観の違い>では,【妻とは育児観の違 いがある】は,考え方や方針が違う,価値観が違う, 感覚や考え方の不一致があるなどの記述があった。 【妻には子育てへの考えがある】は,妻なりに信念が ある,子どもに対して良い親像がある,妻なりに正し いと判断する考えの根拠があるなどの記述があった。 【妻とは育った環境が違う】は怒られないで育ってい る,妻の父と自分の落差,妻は厳しい環境で育ってい る,時代の流れで育児のやり方が違うなどの記述が あった。<家庭内の役割や関係性>では,【妻は育児 ・家事への自分に対する不満がある】は,どこか自分 ばっかりという考えがある,育児に対して相手の求め る水準に満たない不満,子育てにあまり協力的でない などの記述であった。【妻は夫である自分に不満があ る】は,会話がない,妻の考えを尊重しないと思って いる,たぶん嫌いだからなどの記述があった(表5)。

Ⅳ.考   察

1.夫婦の子育てに関する話し合い 研究対象者の家族構成において核家族が9割を占め ていたことについては,調査は都市部で行われてお り,都市部の家族形態の特徴から核家族が多かったと 考えられた。祖父母との同居の世帯では夫の育児頻度 表5 夫が考える妻の育児に関する批判の背景にあるもの N=140 カテゴリー サブカテゴリー 記述 互いの性格傾向 による 自分の性格がそうさせている 自分勝手なところがある,自分の視野の狭さ,おおざっぱなところ 妻の性格がそうさせている 何かした後にすぐかたずけないと気が済まない,短絡的な考え方,注意力が細かいところ,否定的なことを発するのが好き,人を困らせたい完 全主義なところ 妻はその時の気持ちをぶつけている だけ ホルモンバランスが悪い,子育てのイライラがある,予定通り物事が進 まないストレスがある,リフレッシュが足りていない,オーバーワーク で疲労状態,子どもの行動への不満がある,ストレスのはけ口,疲れて いるんだなと感じる,八つ当たりしたいのだろうし見守る 妻との生育歴や 育児観の違い 妻との育児観の違いがある 考え方や方針が違う,価値観が違う,迷いながらも子どものためと思いやっている,育児に対するスタンスの違い,自分には育児に対する目標 がない,感覚や考え方の不一致がある 妻には子育てへの考えがある 基本に忠実に考えろといった思いがある,妻なりに信念があるのだと思 う,妻に強い偏った考えがある,他者との比較,子どもに対してよい親 像がある,本など勉強していると思うので任せる,全ての基準に義父母 があるのが妻の考えにある,全ては子どものためだと思う,妻なりに正 しいと判断する考えの根拠がある 妻とは育った環境が違う その家によって違う,人間だから仕方ない,妻の父と自分の落差,考え方や方針が違う親からの教育の違い,妻は厳しい家庭で育っている怒られ ないで育っている,生活環境の違い,時代の流れで育児のやり方が違う 家庭内の役割や 関係性 妻は育児・家事への自分に対する不 満がある 仕事の関係で出来れば妻に子育てをお願いしたい,どこかで自分ばっか りという考えがある,一人目の時に育児不参加だったことが大きな背景 である,仕事が忙しく子育てに参加できない,子どもに関わっていない 気持ちがある,子どものことをあまり聞かないから,ちゃんとできてい ないことが多い,自分の考えを押し付けてしまった,育児に対して相手 の求める水準に満たない,こうあってほしい姿とのギャップがある,家 事育児に対する考えがまだ足りない,育児の時間がなく任せっきりに なっている,自分の育児に対する未熟さがある,仕事より子育てが大変 と思っていてどちらも大変と考える自分とのギャツプがある,子ども優 先に時間を考えて行動していなかった,子どもと妻で決めていることが わかっていない,子どもに対する対応に不満がある,やってほしい時に すぐ頼みを聞かないから 妻は夫である自分に不満がある 会話がない,妻は自分の考えを尊重していないと思っている,たぶん嫌 いだから,自分に対する不満がある,家族に対する感謝の気持ちをもっ と言葉にしてほしい,妻の育児ストレスを自分が受け入れてやれていな い,仕事ばかりだから,帰りが遅く家にいなさすぎ

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はやや低く(ベネッセ次世代育成研究所,2011),本 研究対象では核家族が多いことから夫の協力は高い状 況にあると推察される。そうした中で幼児期の子ども を持つ夫婦の話し合いは 72.3%との報告があり(矢倉 他,2002),夫婦の子育ての話し合いでは,類似した 傾向,つまり良く話し合いをする傾向にあった。本結 果では,8割近くの夫婦は子育ての話し合いをしてお り,話し合いをしなかった者の理由には,時間がな かった,その必要がなかった,相手が面倒がる,きれ るから,生まれてからでないとわからないからなどで あった。これらの理由から話し合われないケースで は,話し合いをすることが相手にとって面倒,きれる などの状況にあり,協力して合意しながら子育てをし ていくことが難しいと考えられるケースが含まれてい ると考えられる。子育ての話し合いは出産後に最も多 く,現実的に話し合う必要に迫られている時期である と考えられた。その回数は数え切れないほど話し 合っており,納得するまで話し合っているものが6割 を超えていた。また,「その都度話をする」は「話をし たことがある」に比べ話し合いの位置づけがより身近 なものとなっていると考えられる。 以上のことから,子育ての話し合いは比較的良く行 われており,その内容は多岐にわたっている。納得す るまで話し合う傾向がある中で,話し合いでは理想的 な解決法が共有されることが多いと考えられ,日々の 生活においては,現実に遭遇していない段階でのある べき理想の話では,実行が難しくなる場合があると考 えられ,その時々の対応が求められると考える。 2.妻と夫の育児への互いの批判の受け止め 妻と夫の互いの批判の受け止めで共通している点 は,マイナスの受け止めとして批判されて落ち込むこ と,さらに感情的,攻撃的になり,内心怒りを感じて いた。落ち込む点は共通であり,悲しい,やる気がな くなる,申し訳ないなどの気持ちであるが,妻はさら に全否定・人格否定されたと感じており,ショックや 消えてなくなりたいなどの気持ちを抱いていた。子育 ては母親の役割として大きいことを実感しているから こそ,妻の落ち込みは深いと考えられると共に,女性 特有の感覚的な受け止め方(田中,1998)が示されて おり,記述の内容からもそうした受け止め方が反映さ れていると推察された。夫と違い,妻は特に攻撃的な 気分になり態度や言葉に現れるが,夫は妻に比べると 冷静な部分や我慢の心などがみられ,客観的な見方が 一部残っていると考えられる。主として育児にかか わっていないことや性差としての脳の働きが関係して いることも考えられる(Belsky, et al. 1994/1995;五百 田,2015;田中,1998)。 プラスの受け止めで共通している点は,批判された ことに対して自らの言動を見直していた。また,夫の 特徴では,気にしないという受け止めがあり,本研究 では妻から批判されても関係ないと解釈したが,状況 によってはマイナスにもつながり得ると考えられる。 ある意味何を言われても動じない,聞き流す,参考程 度にしかならない,やり方はいろいろあるから,など 冷めた受け止めとも考えられる。また,妻の意見を尊 重するしかないと考え,子育てを主としてやっている 妻を尊敬している姿があった。また,一部の妻の中に は,批判されたことに感謝の念を抱いているものも あった。その根底には,自分の足りなさを自覚し,夫 への信頼の心を持ってサポートされていると感じてい た。必ずしもマイナスの側面ばかりではないこともわ かった。批判をどのように受け止めるのかは,背景に あることをどのように考えているのかにも関連してい ると考えるが,妻のマイナスの受け止めは,子育てを 中心になってやっているからこそ熱くなりやすく,受 けるダメージも大きいと考えられた。 乳児を持つ夫婦ペアレンティングの関係のパターン には調和的なコペアレンティングに加え非友好的で競 争的なコペアレンティング,コペアレンティングの不 一致のパターンが紹介されており(Van Egeren, l.A., 2003),妻にとってマイナスの受け止めは,夫との非 友好的で競争的,または不一致なコペアレンティング に通じるものであると考えられた。 3.妻と夫の育児への批判の背景にある考え 第一子の出産を機に夫婦はそろって子育てのス タートラインについても,妻が認知する夫からのサ ポートは,子どもの成長とともに低下していることが 明 ら か に さ れ て い る(Belsky, et al. 1994/1995; ベ ネッセ次世代育成研究所,2011;加藤,1999)。こう した背景にあって,夫婦は互いに子育てに関する批判 の背景にあるものを感じていた。共通点は互いの性格 傾向によるもので,自分の性格,相手の性格,そし て,その時の気持ちをぶつけているだけと受け止めて いた。さらに,生育歴の違いがあるからという点も共 通している。また,妻は親役割観である父親としての 威厳や理想とするものからきていると受け止めてい

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た。一方,夫は育児に対する考えの違いや妻の子育て への考えがあると受け止めていた。 特に大きな違いでは,妻は夫との夫婦としてのコ ミュニケーションのずれや夫の様々な不満を感じてお り,それらは夫婦関係への歪みとして認識されていた が,夫は家事育児に対する自分への不満や,夫である 自分への不満があると考えていた。この点について は,妻は夫婦の関係性に起因した歪みとして認識して いるのに対して,夫は,家庭内の役割や,不満として 認識しており,この受け止めの違いは,現状の認識の 微妙な立ち位置の違いがあると考えられた。これらの 違いが生じる背景には,男と女の物事のとらえ方とし て の 違 い, 感 性 と 理 論 の と ら え 方 の 違 い(田 中, 1998)が示されていることから,物事の認識におい て,感覚的な気持ちが夫との関係性に発展するのでは ないかと推察される。夫婦間の認識に齟齬がある場合 は,夫婦関係満足度が低いことが明らかにされてお り,お互いがパートナーに感謝やねぎらいといった気 持ちを伝え,パートナーからも同様の気持ちが感じら れるカップルは,夫婦満足度が高いことが示されてい る(狩野,2013)。 また,夫婦関係への介入がペアレンティングへの介 入以上に有効であることから(Cowan, et al., 2002), コペアレンティングと夫婦関係の質との間には密接な 関係がある。結婚後に,夫婦の関係は子どもを交えた 新しい関係を構築していかなければならず(片岡, 2015;中川,2009;小野寺,2005),良好な夫婦ペア レンティングの介入に向けて,こうした母親と父親の 受け止めや背景にあるものの違いを念頭に置いて,夫 婦の認識や受け止めのずれが大きくなる前に,お互い の思いを伝達することや,親役割観の見直し,育児観 の尊重,不満な思いを伝え話し合うことが大切になる ことが示唆された。 本研究の限界は,質問紙による自由記述から得られ たデータをもとに分析しており,テーマの回答に対す る一側面を切り取ったものを質的データとしているこ とから,研究の限界がある。今後,聞き取り調査に よってその背景にあるものをとらえ,本結果をさらに 深める取り組みが必要である。研究の課題としては夫 婦をカップルとした聞き取りを行い,母親が父親の育 児関与を妨げる直接間接の原因となりうることを明ら かにすることである。性役割観が強い母親は,父親の 育児関与が低いことから(McBride, et al., 2005),互 いの性役割観や相互作用がもたらす夫婦ペアレン ティングへの影響について検討することも課題とな る。

Ⅴ.結   語

育児期にある夫婦の子育ての話し合いに関する実態 と,子育ての互いへの批判をめぐる受け止めや背景に あることの認識について明らかにすることを目的に本 研究に取り組んだ。夫婦の育児への批判をめぐって, その違いや特徴が明らかになった。夫婦の認識や受け 止めのずれが大きくなる前に,お互いの思いを伝達す ることや,親役割観の見直し,育児観の尊重,不満な 思いを伝え話し合うことが大切になることが示唆され た。 謝 辞 本研究において,調査に協力くださいました協力施 設,対象者の皆様に感謝いたします。なお本研究は, 平成 29 年~32 年文部科学省補助金 基盤研究 C 家族 の再構築を促す子育て支援の検討(JSPS 科研費 課 題番号17K12304)の一部になる。 利益相反 論文内容に関し開示すべき利益相反の事項はない。 文 献 青木聡子(2009).北米における離婚経験のない夫婦のコ ペアレンティング研究の現状と課題 ― 我が国の今後 の育児研究に向けて(fulltext).学校教育学研究論集, 20,S17-27. 渥見由喜(2010).夫婦の愛情曲線の変遷,東京:日本経 済新聞出版社.

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参照

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