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就労移行支援事業所における応用行動分析を用いたスタッフトレーニングの効果―スタッフの対応の特徴による差異―

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-88 294

-就労移行支援事業所における応用行動分析を用いた

スタッフトレーニングの効果―スタッフの対応の特徴による差異―

○恒吉 麻実子1)、陶 貴行2)、嶋崎 まゆみ3)、加藤 美朗4) 1 )株式会社LITALICO LITALICOワークス事業部 九州グループ、 2 )株式会社LITALICO LITALICOワークス事業部 HRグ ループ、 3 )兵庫教育大学大学院、 4 )関西福祉科学大学 【問題と目的】 応用行動分析を用いたスタッフトレーニング (以下 「ST」という)は, 就労支援においても効果が示され ている(陶ら,2017).平澤(2003)は,積極的行動支 援の特徴として,技術的基準(支援計画が行動分析の 理論と一致しているか)と,文脈的基準(支援計画の 実行者,対象者,環境に適合しているか)の重要性を 示し,多様な価値観や技能をもつ人々からなる教育・ 福祉現場では,文脈的基準に関する技術化を検討する 必要を示している. 石垣ら(2016)は,養護教諭の「健康相談における 対応の特徴の違い」を文脈の違いとして,対応の類型 による行動コンサルテーションの効果の差異を示し, それぞれの文脈によってコンサルテーションの方法を 工夫する必要性について述べている. 就労支援において,行動変容を支援者が必要とする のは,支援者がどう介入していいかわからない,困難 場面であると考えられる(恒吉ら,2017).その,「困 難場面での対応の特徴」を文脈の違いとして,対応の 類型に伴い,STの効果に違いがあるのかを検討するこ とを本研究の目的とする. 【方法】 1 .調査対象 就労移行支援事業所リタリコワークス(以下,「LW」 という)の2017年 3 月から10月までの間にSTに参加し たスタッフ35名の内,STを最後まで受けた32名を対象 とした. 2 .調査方法 就労支援版ST開始,ST終了,ST終了 3 ケ月後でWEB アンケートによる調査を実施. 3 .調査材料 ( 1 )基礎情報:年齢,性別,職種 ( 2 )就労移行支援事業所のスタッフの困難場面での 対応チェックリスト(恒吉ら,2017).支援で困難を 感じた時の自分の気持ちや考えについて 5 件法で回答 を求める, 8 カテゴリ30項目の質問項目. ( 3 )課題特異的自己効力感につての質問項目 STの講義で説明される強化,スモールステップ,分 化強化,ABC分析それぞれの効力予期について, 5 件 法で回答を求めた. 4 .分析方法 スタッフの困難場面での対応の特徴を類型化するこ とを目的として,Ward法におけるクラスタ分析を実 施.各クラスタと時期の要因が,ST受講者の課題特異 的自己効力感に与える影響を検討するために,二要因 分散分析を行った. 【倫理的配慮】 本研究は兵庫教育大学の倫理委員会に承認を得てい る. 【結果】 1 .調査対象者の属性 調査対象は地域の就労移行支援事業所スタッフ32名 (年齢33.1±4.9),男性10名(男性(年齢32±3.3), 女性22名(年齢33.8±5.4)であった.全国にあるセン ターの内, 5 県にまたがった.スタッフの役割はそれ ぞれ,センター長 6 名,サービス管理責任者 6 名,企 業対応をメインで行う支援員が 2 名,現場支援員18名 であった. 2 .就労移行支援事業所スタッフの困難場面における 対応の特徴の類型化 クラスタ分析の結果, 2 つのクラスタに分類できる と判断し,各クラスタにおける 8 つのカテゴリの得点 の特徴から,第 1 クラスタを「支援行動積極タイプ」 (N=19),第 2 クラスタを「支援行動消極タイプ」(N=13) とした.クラスタ分析の結果をFig.1に示す.支援行動 積極タイプは,7名(36.8%)が,支援行動消極タイプ は11名(84.6%)が直接支援に関わることの多い現場 支援員であった. 3 . 各クラスタと時期の要因が,ST受講者の課題特異 的自己効力感に与える影響 2 つのクラスタ及び時期(pre,post, post2)を独 立変数,課題特異的自己効力感得点を従属変数とする 二要因分散分析を行った結果,時期の主効果(F( 2 , 60)=21.78,p<.01)と, 2 つのクラスタによる主 効果(F(1,30)=12.440, p<.05)がともに有意であ り,交互作用(F(2,60)=2.50,p=0.091)は有意傾 向を示した.そこで,各時期におけるクラスタの単純 主 効 果 の 検 定 を 行 っ た と こ ろ,ST前(F(1,30) = 11.49,p<.01),ST直後(F(1,30)=9.74,p<0.01) において,クラスタの単純主効果が示されたが,ST終 了 3 ヶ月後では有意差は認められなかった.各クラス タにおける時期の単純主効果については,支援行動積

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P1-88 295 -極タイプ(F(2,60)=8.15,p<.01),支援行動消極 タイプ(F(2,60)=14.88)ともに,時期の単純主効 果が認められた為,多重比較を行った.結果,支援行 動積極タイプ,支援行動消極タイプともにSTプログラ ム前よりもSTプログラム後,終了 3 ヶ月後の方が有意 に課題特異的自己効力感が上昇していた.STプログラ ム 後 と 終 了 3 ヶ 月 後 と の 間 に 有 意 な 差 は 見 ら れ た かった. 【考察】 本研究の目的は,就労移行支援事業所のスタッフに おける困難場面での対応の特徴の差異によるSTの効果 について検討し,STが効果的に利用者の行動変容に生 かされるための文脈的基準を考慮する方法について考 察することであった. 困難場面の対応の特徴は, 2 つに類型化され,両群 ともST前よりST後,ST3カ月後の自己効力感は有意に 上昇しており,両群ともにSTの効果が示された,一方 で,ST前,ST後それぞれの時期における課題特異的自 己効力感は,支援行動積極タイプが有意に高かった が,ST後からST終了 3 ヶ月後において支援行動積極タ イプの課題特異的自己効力感は低下し,支援行動消極 タイプの課題特異自己効力感は上昇,ST3ヶ月後には 差がなくなっていた. その理由として,支援行動消極タイプは, 84.6%が 直接支援に関わることの多い現場支援員であり,ST終 了後も応用行動分析に基づく介入を現場で実践を継続 しやすかったことが考えられ,自己効力感上昇のため の 情 報 源 で あ る「 遂 行 行 動 の 成 功 体 験 」 (Bandura,1997)を積んだことが考えられる. 一方で,支援行動積極タイプは,直接介入を行う現 場支援員の割合が36.8%と少なく,残りの63.2%は サービス管理責任者や,センター長,企業対応をメイ ンとする支援員など,直接利用者に介入できる場面が 少ないスタッフが多かった.ST実施時は,その文脈を 考慮して,ST実施者が支援計画の工夫行っていたが, ST終了後は介入場面が減り,自己効力感の低下に繋 がったと考えられる. 【今後の課題】 直接介入の経験が自己効力感に影響を与えた,と考 えると, 6 ヶ月後や 1 年後は支援行動積極タイプの効 果はさらに落ちていく可能性があるため,継続した調 査が必要である. 【文献】 石垣久美子,嶋田洋徳(2016)行動論的コンサルテー ションが健康相談における養護教諭の自己効力感に及 ぼす影響 学校保健研究(58)p95‐106

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