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パート2:マクロ経済学の基本モデルの考え方:短期から長期へ

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1章 マクロ経済モデルの基本的な考え方 1-1 経済成長現象と景気循環現象 非常におおざっぱな表現になってしまうが,マクロ経済モデルのもっとも重要な目的は, マクロ経済の生産指標である国内総生産(GDP)の運動法則を明らかにすることである。 以下に詳しく見ていくように,GDP の運動は,経済成長現象と景気循環現象という 2 つ のマクロ経済現象から構成されている。 下の図は,1955 年から 2007 年のサンプル期間について名目 GDP の動向をプロットし たものである。なお,図の凡例にある「68SNA」とは,国際連合が 1963 年に定めた国民 経済計算方式である。この旧い計算方式が1993 年に改められものは,「93SNA」と呼ばれ ている。また,1990 年(2000 年)基準の SNA とは,1990 年(2000 年)の産業連関表 に基づいて作成されたSNA を指している。 この図は,名目 GDP がものすごい勢いで拡大してきたことを示している。第二次世界 大戦後10 年を経過した 1955 年の名目 GDP は,8.4 兆円にすぎなかった。しかし,1960 年には16.0 兆円,1970 年には 73.3 兆円,1980 年には 240.2 兆円,1990 年には 430 兆円, 2000 年には 503.0 兆円,2007 年には 515.7 兆円と急速に増加してきた。1955 年から 2007 年までの52 年間に名目 GDP は,61.4 倍の規模になり,年率換算すると 8.2%で成長して きた。 名目GDPの長期傾向 0.0 100,000.0 200,000.0 300,000.0 400,000.0 500,000.0 600,000.0 1955 1958 1961 1964 1967 1970 1973 1976 1979 1982 1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003 2006 暦年 10億 円 名目GDP(68SNA,1990年基準) 名目GDP(93SNA,2000年基準) 次に,物価上昇(インフレーション)の影響を調整した実質GDP の推移を見てみよう。 下の図は,1955 年から 2007 年のサンプル期間について,2000 年基準のデフレーターに

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よって実質GDP を算出している。 実質GDPの長期傾向 0.0 100,000.0 200,000.0 300,000.0 400,000.0 500,000.0 600,000.0 1955 1957 1959 1961 1963 1965 1967 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 暦年 10 億 円 実質GDP(2000年基準に換算) 実質GDP は,1955 年に 48.兆円すぎなかったが,四半世紀後の 1980 年には 300.0 兆 円,50 年後の 2005 年には 536.8 兆円に達している。1955 年から 2007 年の 52 年間に実 質GDP は 11.6 倍になり,年率換算で見ると 4.8%で成長してきた。もちろん,国民経済 計算に基づいた統計なので,三面等価が成り立っている。したがって,マクロ的な支出も 所得も,実質GDP と同様に急速に拡大してきたことになる。 半世紀にわたる期間に実質ベースで見た日本経済の生産規模,支出規模,あるいは,所 得規模が 10 倍以上になったと言う事実は,驚異的なマクロ経済現象と言える。マクロ経 済学では,10 年を超えるタイムスパンで実質 GDP が増大する現象を経済成長(economic growth)と呼んでいる。 しかし,10 年程度に期間を区切って注意深く実質 GDP の推移を見ると,実質 GDP が コンスタントな率で成長してきたわけではないことが分かる。パート2 の数学付録で詳し く説明するが,経済変数を自然対数で変換して時系列でプロットした場合,そのグラフの 傾きがその経済変数の成長率に対応する。下の図は,実質GDP の自然体数値の時系列的 な推移をプロットしているので,グラフの傾きが実質 GDP の成長率に対応していること になる。 この図が示すように,1950 年代半ばから 1970 年代初頭までは,グラフの傾きが急であ り,実質GDP が急速に成長した。しかし,1970 年代半ばから 1980 年代を通じてグラフ の傾きが緩やかになっており,実質GDP の成長が減速したことを示している。1990 年代

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初頭から2000 年代初頭にかけてグラフの傾きがさらに緩やかになって,実質 GDP はほぼ 横ばいで推移した。2003 年以降,グラフの傾きが若干ながら急になるが,1990 年以前と 比較すると,傾きははるかに緩やかである。 具体的に実質GDP の平均的な年率成長率を見ると,1955 年から 1973 年で 9.2%,1973 年から1991 年で 3.8%,1991 年から 2002 年で 0.9%,2002 年から 2007 年で 2.1%であ る。過去 50 年間,日本経済は成長傾向にあるものの,成長する速度は徐々に減速してい ると言える。特に,「失われた10 年」とも呼ばれている 1990 年代は,実質 GDP が停滞 気味で推移した。 実質GDPの自然対数値(2000年基準に換算) 10.0 10.5 11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5 195 5 195 7 195 9 196 1 196 3 196 5 196 7 196 9 197 1 197 3 197 5 197 7 197 9 198 1 198 3 198 5 198 7 198 9 199 1 199 3 199 5 199 7 199 9 200 1 200 3 200 5 200 7 下の図を用いて,さらに短い時間間隔で実質 GDP の成長率を見てみると,数年間とい うタイムスパンでGDP 成長率が大きく変動していることが分かる。1955 年から 1973 年 までの高成長期にあっても,GDP 成長率が年率 4%から 13%の間で振幅している。1974 年には,マイナス成長さえ記録している。その後,1970 年代半ばから 1980 年代にかけて はGDP 成長率が年率 2%から 6%の間で,1990 年代には年率でマイナス 2%から 3%の間 でそれぞれ変動してきた。

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実質GDP成長率の推移 -0.04 -0.02 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12 0.14 19 55 19 57 19 59 19 61 19 63 19 65 19 67 19 69 19 71 19 73 19 75 19 77 19 79 19 81 19 83 19 85 19 87 19 89 19 91 19 93 19 95 19 97 19 99 20 01 20 03 20 05 20 07 暦年 実質GDP の傾向的な動向に比べて,実質 GDP が相対的に高く成長する時期を好況,相 対的に低く成長する時期を不況とそれぞれ呼んでいる。数年間のタイムスパンで好況と不 況を繰り返すマクロ経済現象は,景気循環と呼ばれている。 景気循環現象は,数年間隔で見た実質GDP の動向ばかりでなく,完全失業率の推移で も確認できる。パート1 で説明したように,完全失業率とは,働く意志のある労働者人口 (労働力)のうち就業できない労働者数の割合を指している。下の図は,1953 年から 2008 年にかけて年平均の完全失業率の推移をプロットしている。 完全失業率は,実質 GDP 成長率の長期的な動向と対応するように,長期的な上昇傾向 を示している。完全失業率は,1960 年代から 1970 年代半ばまで 2%を下回って推移して きたが,1980 年代には 2%を上回るようになり,2000 年代初頭には 5%を超えている。 ただし,2004 年以降,完全失業率は低下傾向を示している。 数年間の間隔で完全失業率の動向を見ると,0.1%オーダーの細かな動きであるが,傾向 的な動きに比して失業率が低くなる時期と高くなる時期を観察することができる。前者が 好況期に,後者が不況期にそれぞれ対応していることになる。 好況と不況の循環をよりはっきりと見るために,過去3 年間の完全失業率の平均の推移 も図に加えてみよう。すると,平均的な動向よりも失業率が低くなっている時期(好況) と,高くなっている時期(不況)が入れ替わっていることがよく分かる。たとえば,「失わ れた10 年」と呼ばれている 1990 年代は,完全失業率が傾向的な水準よりも上回って推移 している。一方,株価や地価の高騰で経済が活況を呈した1980 年代後半には,完全失業

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率が傾向的な水準を下回って推移している。 完全失業率の動向 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 1953195519571959196119631965196719691971197319751977197919811983198519871989199119931995199719992001200320052007 完全失業率 過去3年の移動平均 1-2 供給サイドから分析する経済成長モデル マクロ経済学の伝統的な考え方では,景気循環現象を説明する経済モデルと経済成長現 象を説明する経済モデルを別々に作成することを慣行としている。それでは,どのような 本質的な側面が景気循環モデルと経済成長モデルとを分かつのであろうか。非常に乱暴な 言い方をしてしまうと,経済成長モデルは供給,あるいは生産サイドからマクロ経済を分 析し,景気循環モデルで需要,あるいは支出サイドからマクロ経済を分析する。 1-2-1 生産要素の動向 まず,「供給・生産サイドからマクロ経済を説明する」とは,どのようなことを意味する のかを考えていこう。パート1 で詳しく見てきたように,国民経済計算においては,生産 要素を投入した結果,財・サービスが生産されるというようにマクロ経済を記述している。 主な生産要素には,機械や工場などの生産設備,働く意志のある労働者(労働力),工場 や事務所が立地する土地である。マクロ経済において原材料などの中間投入財を生産要素 と考えないのは,ある部門が中間投入財を生産し,他の部門がその中間投入財を投入して いるので,経済全体で見れば,中間投入財の産出と投入は相殺されるからである。 マクロ的な生産活動の産出部分に相当するマクロ経済の生産水準は,当然ながら実質

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GDPによって計測される。それでは,それぞれの生産要素の規模はどのように計測される のであろうか。非常に分かりやすいのは,労働力であろう。生産活動に従事する意志のあ る労働者の数が労働力の規模に相当する。したがって,計測単位は,「人」である。労働力 は,ある時点における働く意志のある労働者数なので,ストック変数であることに注意し てほしい。 下の図は,1953 年から 2007 年のサンプル期間について,各年の 12 月時点における労 働力の推移をプロットしたものである。1953 年当初は 4000 万人を下回っていた労働力が, 1990 年には 6500 万人を上回る水準にまで増加している。こうした労働力増加の背景には, 人口自体が増加したとともに,女性が積極的に労働力へ参加するようになった事情がある。 12月の労働力 3000 3500 4000 4500 5000 5500 6000 6500 7000 1953195519571959196119631965196719691971197319751977197919811983198519871989199119931995199719992001200320052007 万人 それでは,工場や機械などの生産設備(生産資産)の規模は,どのように計測されるの であろうか。ストック変数である生産資産の価値は,ある時点で生産活動を行っている企 業が保有する生産設備を,当該時点の市場価格で評価したものである。したがって,計測 単位は,通貨単位の「円」である。 下の図は,1969 年から 2005 年のサンプルについて,経済全体の生産資産(企業が保有 する在庫ストックや家計の住宅資産も含まれている)を市場価格で評価したものをプロッ トしたものである。1969 年には,100 兆円に満たなかった生産資産は,1980 年に 600 兆 円,1990 年代半ばには 1200 兆円を超えている。

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生産資産と土地資産 0.0 500,000.0 1,000,000.0 1,500,000.0 2,000,000.0 2,500,000.0 3,000,000.0 1969 197 1 1973 197 5 1977 197 9 1981 19831985 19871989 1991 1993 1995 1997 1999 200 1 2003 200 5 暦年末 10 億 円 生産資産(在庫ストックを含む) 非生産資産(土地など) 市場価格で評価した生産資産価値が増加しているのは,生産設備の規模が拡大した要因 とともに,生産資産の価格が上昇した要因が反映されている。しかし,下の図が示すよう に,価格上昇要因を取り除くために GDP デフレーターで実質化しても,生産資産価値は 一貫して上昇している。2000 年を基準とすると,1969 年には 300 兆円に満たなかった生 産資産の実質価値が,2005 年には 1300 兆円に達している。

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GDPデフレーターで実質化した生産資産 0.0 200,000.0 400,000.0 600,000.0 800,000.0 1,000,000.0 1,200,000.0 1,400,000.0 196 9 197 1 197 3 1975197 7 197 9 198 1 198 3 198 5 198 7 1989 199 1 199 3 199 5 1997199 9 200 1 2003200 5 10億円 生産活動に供されている用地の規模についても,基本的には市場価格(地価)で評価す ることができる。同じ表には,経済全体の土地資産(家計,政府,地方自治体が保有する 土地も含む)を市場価格で評価したものもプロットしている。 この表が示す土地資産価値の動向,生産資産価値の動向とはかなり異なった傾向を示し ている。土地資産価値は,当初は急速に上昇するが,1990 年にピークを打った後は低下傾 向にある。30 年あまりの期間で経済全体の土地面積が急速に拡大して,急速に縮小すると は考えにくい。土地資産価値は,土地面積の変化よりも,地価の変動に大きく左右される。 事実,地価水準は,1980 年代後半に高騰して 1991 年前半にピークを打った後,2007 年 まで長期的な下落傾向を示してきた。 1-2-2 マクロ経済の生産関数とは? 供給(生産)サイドからマクロ経済を分析する際には,「労働力,生産資産,土地の生産 要素をフルに活用した場合に実現できるマクロ的生産水準」が「現実に観察される実質 GDP」に対応していると考える。生産要素を完全に活用して実現される実質 GDP 水準は, 完全雇用GDP(full-employment outputs)と呼ばれている。「完全雇用」と言うと,労働 力だけがフルに雇用されているような印象を与えるが,ここでの「完全雇用」は,すべて の生産要素が完全に活用されている状態を意味している。したがって,供給サイドから経 済成長現象を分析するということは,労働力や生産設備の拡大が実質 GDP の増大,すな わち経済成長をもたらしていると考えていることになる。 供給サイドから経済成長現象を分析するには,生産関数(production function)という

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道具立てともに,資本蓄積(capital accumulation)と技術進歩(technological progress) という経済学的な概念が必要となってくる。 経済学では,生産要素の投入と財・サービスの産出の関係は,生産関数と呼ばれている。 中間投入財が生産要素として表れないマクロ経済では,生産関数Hを次のように表すこと ができる。 実質GDP = H(労働力,生産資産,土地) と表すことができる。 しかし,先にも述べたように,長期間であっても土地面積が大きく変化するとは考えに くいので,標準的なマクロ経済学では,生産要素としての土地の役割を重視していない。 その結果,通常は,次のように生産要素が労働力と生産資産だけからなる生産関数Fを考 えている。 実質GDP = F(労働力,生産資産) また,後に説明するように,景気循環モデルでは,生産設備の規模も一定と想定するの で,分析で用いられる生産関数Gは,次のように簡略化されている。 実質GDP = G(労働力) 1-2-3 資本蓄積と技術革新 以下では,生産要素が労働力と生産資産からなる生産関数Fを前提に,資本蓄積と技術 進歩という経済学的な概念を説明していこう。 下の図は,1955 年から 2007 年のサンプル期間について,実質 GDP を労働力で割った 「労働力 1 人あたりの実質 GDP」をプロットしたものである。「労働力 1 人あたり実質 GDP」は,1 人の労働者が生み出すことができる財・サービスの生産高という意味で,労 働生産性と呼ばれている。 この図は,労働生産性が半世紀の間に飛躍的に増大していることを如実に物語っている。 2000 年基準で見て 1 人の労働者が生み出す財・サービスの水準は,1955 年に 100 万円に すぎなかったものが,2000 年代には 800 万円を超えている。半世紀の間に労働生産性は 8 倍になった。先に見てきたように,半世紀で労働力は1.5 倍強増大したが,実質 GDP の 方は12 倍となった。すなわち,実質 GDP の成長が労働力の拡大をはるかに上回ったので ある。

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労働力1人当たり実質GDP(2000年基準,万円) 0.0 100.0 200.0 300.0 400.0 500.0 600.0 700.0 800.0 900.0 195519571959196119631965196719691971197319751977197919811983198519871989199119931995199719992001200320052007 労働力1 人当たりの生産水準が著しく向上したということは,労働力 1 人当たりの支出 水準や所得水準も飛躍的に上昇したことになる。このような生活水準の驚異的な改善は, 一体全体,どのような要因によってもたらされたのであろうか。 マクロ経済学では,上述のような労働生産性の向上の主な要因として資本蓄積と技術革 新を想定している。パート1 で解説をしてきたように,工場や機械などの生産設備規模(実 物資産残高)は,毎年の設備投資によって増大していく。より正確には, 今期末の実物資産残高 = 前期末の実物資産残高 + 今期の粗設備投資(総固定資本形成)- 固定資本減耗 が成り立つので,粗設備投資から固定資本減耗を除いた純設備投資の分だけ実物資産の残 高が増加していく。こうした実物資産残高の増加プロセスを資本蓄積と呼んでいる。 労働者1 人が良好な職場環境でより多くの機械や設備の操作に従事できるようになれば, 当然,1 人の労働者が生産できる水準も上昇するであろう。事実,労働力の拡大を凌ぐテ ンポで実物資産が蓄積されてきた。下の図は,1969 年から 2005 年のサンプル期間につい て,「労働者1 人当たりの実質実物資産額」をプロットしたものである。なお,「労働者 1 人当たりの実質実物資産額」は,1 人の労働者が工場や機械にどれだけ恵まれているのか を示している指標なので,労働装備率と呼ばれている。 1969 年から 2005 年の間に,労働力は 1.3 倍しか拡大していないのに,実質実物資産残 高は4.8 倍となった。その結果,労働装備率は 3.6 倍となっている。たとえて言うならば, 1969 年時点には労働者 1 人当たり機械 1 台を操作していたのが,2005 年には 3 台から 4 台を操作するようになった。

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労働力1人当たり実質生産資産(万円) 0 500 1000 1500 2000 2500 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 こうした労働装備率の飛躍的な改善が労働生産性の大幅な上昇をもたらしたことは間違 いがない。同時に,労働者に装備されている機械や設備の性能が向上したことも,労働生 産性の向上に貢献している。こうした実物資産の性能の向上が技術進歩と呼ばれているの である。 パート2 で説明する成長会計と呼ばれる分析手法によると,1969 年から 2005 年の間に 労働生産性が約130%と上昇しているが,そのうちの 100%の上昇分が資本蓄積に,30% の上昇分が技術進歩にそれぞれ起因している。 1-3 需要サイドから分析する景気循環モデル 1-3-1 需要サイドのマクロ経済モデルとは? 先に述べたように,標準的なマクロ経済学では,実質 GDP や失業率の変動として表れ る景気循環現象は,基本的に需要サイドから分析している。本節では,まず「需要サイド からマクロ経済を分析するとはどのようなことなのか」を考えていこう。 パート1を勉強した読者からすると,国民経済計算では三面等価の原則が成り立ってい て,マクロ経済の生産(供給)側の指標である国内総生産(GDP)と支出(需要)側の国 内総支出(GNE)は常に一致しているので,供給サイドからであっても,需要サイドから であっても,分析に大きな違いが生じることはないのではないかと思ってしまうかもしれ ない。

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しかし,注意してほしいのは,国民経済計算のルールからGDP と GDE が一致すること と,マクロ経済モデルでどのようにGDP や GDE の水準が決定するのかということは,ま ったく別問題であるという点である。先に述べたように,「供給サイドからのマクロ経済分 析」では,労働力や生産設備などの生産要素を完全に活用した場合に実現する実質 GDP (完全雇用GDP)が実際に観察される実質 GDP に一致すると考えられている。その結果, 統計手続き上GDP と一致する GDE の水準にも,基本的に供給サイドの条件が反映される ことになる。 一方,「需要サイドのマクロ経済分析」では,消費支出,設備投資支出,政府支出,純輸 出(輸出から輸入を控除したもの)などから構成される国内総支出が,実際のマクロ経済 の生産水準である実質GDP に相当すると考えている。すなわち,需要サイドを決定要因 と考えるマクロ経済モデルでは,経済全体の需要サイド(総需要と呼ばれている)の規模 にちょうど合致するように,経済全体の生産規模(総供給と呼ばれている)が決定される。 当然ながら,現実のマクロ経済において,このように需要サイドから決定される実質 GDP は,供給サイドから決定される完全雇用 GDP と一致する保証は何もない。実際の GDP が完全雇用 GDP を下回れば,いずれか,あるいはすべての生産要素に使い残しが生 じることになる。たとえば,①働く意志のある労働者が雇用されずに失業する,②すでに 設置してある生産設備の稼働率が低下する,あるいは,③土地が空き地のままに放置され る,というようなことが生じる。 需要サイドのマクロ経済分析では,実質 GDP が需要要因によって決定される側面を取 り出すために,供給サイドのマクロ経済環境を完全に固定させてしまう。具体的には,労 働力,生産設備,土地などの生産要素の供給にいっさい変化がないとする。生産設備水準 に変化がないと言うことは,資本蓄積もまったく起きていないことを意味する。また,技 術革新も生じないとする。 このように供給サイドのマクロ経済環境を完全に固定してしまえば,完全雇用 GDP も 常に一定の水準となる。供給サイドの条件にまったく変化がないにもかかわらず,実質 GDP に変動が生じれば,すべて需要サイドのマクロ経済環境が引き起こしていると考える ことができる。すなわち,需要サイドのマクロ経済モデルでは,実質 GDP の変動として 現れる景気循環現象は,需要サイドの要因に結びつけられている。 また,実質GDP が完全雇用 GDP を下回れば下回るほど,働く意志があるにもかかわら ず雇用されない失業者の人数や失業率も上昇する。すなわち,需要サイドのマクロ経済モ デルでは,失業者数や失業率の変動として現れる景気循環現象も,総需要の動向に左右さ れると解釈することができる。 1-3-2 需要サイドのマクロ経済モデルに独自の特色 需要サイドのマクロ経済モデルには,標準的な供給サイドのマクロ経済モデルに存在し ない次のような興味深い特色がある。 (1) 金利や物価の動向への関心 (2) 国際貿易の重要性

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(3) マクロ経済政策の必然性 以下では,これらの3 つの特徴を概観していこう。 (金利と物価の動向への関心) 需要サイドのマクロ経済モデルでは,実質 GDP の失業率の変動ばかりでなく,金利や インフレーション(物価上昇率)の動向も重要な景気循環現象として捉えている。事実, 以下に示すように,金利も,インフレーションも,景気循環の局面で大きな変化を示して いる。 金融資産の金利に関する詳しい議論は,パート2 やパート 4 で行うが,ここでは,金利 は,ある一定の期間,資金を貸し付けた見返りに元本とは別に受け取る所得としておこう。 1 年未満の貸し付けから生じる金利を短期金利,1 年を超えて 5 年程度の貸し付けから生 じる金利を中期金利,5 年を超えた貸し付けから生じる金利を長期金利と呼んでいる。金 利は,貸付期間,1年ごとに支払われる金利の元本に対する比率(パーセント表示)で表 される。 下の図は,1963 年以降のサンプル期間について,短期金利としてコールレート(パート 4 で詳述)を,長期金利として 10 年物国債利回り(パート 3 とパート 4 で詳述)をそれ ぞれプロットしたものである。国債利回りが 1986 年以降しか記録されていないのは,そ れ以前には,10 年物国債を自由に取引する金融市場がなかったからである。コールレート について言えば,1970 年代半ばや 1980 年前後のように 12%を超えた時期もある一方で, 1995 年以降のようにほぼゼロ水準で推移していた時期もある。1986 年以降の国債利回り も,1%から 8%の間で振幅を示している。

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短期金利と長期金利の動向 0 2 4 6 8 10 12 14 16 1963 1964 1966 1968 1970 1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 % コールレート(有担保) 国債利回り 下の図は,1955 年から 2007 年までのインフレーションの動向を見るために,消費者物 価上昇率(年率)をプロットしたものである。過去 50 年間の消費者物価上昇率の振幅幅 も非常に大きい。1970 年代半ばには 25%近くに達した消費者物価上昇率は,2000 年前後 から0%近傍で推移してきている。

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消費者物価上昇率 -5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 1955 195 8 1961 1964 196 7 197 0 1973 1976 1979 1982 1985 198 8 1991 199 4 199 7 2000 2003 2006 % 需要要因を景気循環モデルでは,金利と物価の動向を分析にするに際して,2 つのステ ップを踏んでいる。第1のステップでは,IS-LM モデルと呼ばれているマクロ経済モデル において,物価水準に変化がない(インフレーションがない)と想定して,実質 GDP と 金利の相互依存関係を分析している。なお,IS-LM モデルの IS は,パート 1 で説明した 投資貯蓄バランスを意味している。貨幣市場の需給を表す LM の名前の由来については, パート2 で説明したい。 【IS-LM モデル】 ← 実質GDP 金利 → IS-LM モデルは,仮定によって物価水準を固定していることから固定価格モデルとか, 物価水準を固定すると想定しても差し支えない短い期間(1 年以下)を分析対象としてい ることから短期モデルと呼ばれている。 第 2 ステップでは,AS-AD モデルと呼ばれているマクロ経済モデルにおいて,物価水 準が調整されるメカニズムを導入しながら,インフレーションと実質GDP,あるいは,イ ンフレーションと失業率の相互依存関係を分析する。実質GDP(あるいは,失業率)とイ ンフレーションの関係は,それを発見した経済学者の名前にちなんでフィリップス曲線 (パート2 で詳述)と呼ばれることが多い。AS-AD モデルは,物価水準が変化する期間を

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射程においていることから,中期モデルと呼ばれることもある。 【AS-AD モデル】 ← 実質GDP インフレーション (失業率) → ここで注意してほしいのは,AS-AD モデルも,供給サイドの経済環境を固定している点 では,需要サイドの要因に焦点をあてている景気循環モデルであるという点である。すな わち,AS-AD モデルでは,労働力や生産設備などの生産要素の供給が固定され,資本蓄積 も技術革新もないことをあらかじめ仮定している。

若干奇異なのは,AS が総供給を意味する Aggregate Supply の略,AD が総需要を意味 するAggregate Demand の略なので,AS-AD モデルが供給サイドの要因を考慮している ような印象を与えてしまう。しかし,この時点で明確に説明するのは難しく,パート2 全 体で明らかにしていきたいが,標準的なマクロ経済モデルの1 つである AS-AD モデルが いう「供給関数」の概念と,標準的なミクロ経済学で用いられている「供給関数」の概念 は合致していない。前者の「供給」の考え方には,「労働力や生産設備などの生産要素の供 給が変化するとともに,完全雇用 GDP が変化する」という意味は含まれていないのであ る。 (国際貿易の重要性) 需要サイドの要因を重視しながら,国内総支出の規模が国内総生産の規模を決定すると いう分析枠組みでは,国際貿易の動向を決して無視することができない。パート1 で詳し く見てきたように,輸出から輸入を差し引いた純輸出は,国内総支出の主要項目の1 つで ある。純輸出の増加(低下)が国内総支出を押し上げる(押し下げる)。 下の図は,1955 年から 2007 年のサンプル期間について,名目 GDP に占める名目純輸 出の比率をプロットしたものである。1970 年代半ばまでは,輸入が輸出を上回り,純輸出 比率は-1%から-2%の間で変動してきた。一方,1980 年代半ばや 2000 年代半ばには,純 輸出がGDP の 4%を超えた。

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純輸出/GDP -4.00% -3.00% -2.00% -1.00% 0.00% 1.00% 2.00% 3.00% 4.00% 5.00% 6.00% 1955 こうした純輸出の動向の背景には,「輸出のしやすさ・しにくさ」や「輸入のしやすさ・ しにくさ」を決める外国為替レートの変化がある。外国為替レートについては,パート 2 で詳しく議論するが,ここでも簡単に説明しておこう。 外国為替レートとは,異なる通貨の換算レートである。円・(米国)ドルの外国為替レ ートは,「1 ドルを購入するのに円をいくら支払わなければならないのか」によって表され ている。1 ドルを購入するために多額の円を支払わなければならないときに「ドル高・円 安」と,少額の円で 1 ドルを購入できるときに「ドル安・円高」とそれぞれ呼んでいる。 たとえば,1 ドル 100 円のレートは,1 ドル 110 円のレートに比べて「ドル安・円高」で ある。 「ドル高・円安」になると,日本製品のドル表示価格が安くなるので,米国民が日本製 品を購入する。日本から米国への輸出が増える。逆に,米国製品の円表示価格は高くなる ので,日本国民は米国製品を購入しなくなる。日本の米国からの輸入が減少する。すなわ ち,「ドル高・円安」は純輸出を拡大する方向に働く。一方,「ドル安・円高」は,まった く逆のメカニズムが働いて,輸出が減って輸入が増えるので,純輸出が縮小する方向に働 く。 このように純輸出の重要な決定要因である外国為替レートも,大きな変動を示している。 下の図は,1973 年以降について,1 ドル当たりの円の換算レートをプロットしたものであ る。円ドルレートは,長期的に見ると「ドル安・円高」の方向で推移しているが,良い短 い時間間隔で見ると「ドル安・円高」の局面もあれば,「ドル高・円」の局面もある。たと えば,1980 年代の前半は円がドルに対して大きく減価(円安)したのに対して,1980 年 代の後半は逆に著しく増価(円高)している。

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円ドルレート 0.00 50.00 100.00 150.00 200.00 250.00 300.00 350.00 19 73 19 74 19 75 19 76 19 77 19 78 19 79 19 80 19 81 19 82 19 83 19 84 19 86 19 87 19 88 19 89 19 90 19 91 19 92 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 円/ ドル 海外との財・サービスの輸出入を考慮したモデルは,閉鎖経済モデル(closed economy model)に対して,開放経済モデル(open economy model)と呼ばれている。開放経済の 景気循環モデルの大きな特徴は,外国為替レートと輸出入の関係を明らかにするとともに, 外国為替レートがどのように決定されるのかを解明しているところである。 パート2 で議論するが,実は,外国為替レートの水準は,国内外の金利水準に左右され る。さらに状況を複雑にするのは,外国為替レートが純輸出を通じて総需要(国内総支出) に影響を与えて,さらには,国内の金利水準も変化させる可能性があるところである。 したがって,開放経済の景気循環モデル(モデル作成者の名前にちなんでマンデル・フ レミング・モデルと呼ばれている)では,純輸出,外国為替レート,国内金利,総需要(国 内総支出)の相互依存関係を分析することになる。 【開放経済の景気循環モデル:マンデル・フレミング・モデル】 外国為替レート → 純輸出 ↑ ↓ 国内金利 ← 総需要 国外金利 (マクロ経済政策の必然性) 需要サイドを機軸とした景気循環モデルのもっとも重要な特徴は,マクロ経済政策の必

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要性を提起しているところであろう。先にも述べたように,需要サイドから決まる実質 GDP が供給サイドから決まる完全雇用 GDP と一致する保証はまったくない。もし,実質 GDP が完全雇用 GDP を下回れば,働く意志がある労働者が失業をし,すでに設置されて いる生産設備の一部が稼働されなくなってしまう。すなわち,マクロ経済にある労働力や 生産設備などの生産要素を無駄にしているという意味で「マクロ経済の状態が望ましくな い」と判断することができるであろう。 こうした状況こそ,政府のマクロ経済政策によってマクロ経済を「望ましい状態」に誘 導する余地が生まれる。もしマクロ経済政策によって実質GDP を完全雇用 GDP に近づけ ることができれば,失業率が減り,生産設備の稼働率が高まるので,その分,すでにある 生産要素を有効に活用することができる。 ここで言うマクロ経済政策には,財政政策と金融政策がある。財政政策は,政府が公共 投資や政府消費などの政府支出を増減することによって,実質 GDP をコントロールしよ うとする政策である。一方,金融政策は,中央銀行(日本の場合は日本銀行)が短期金利 を上下させることによって(後に詳しく説明するが,貨幣供給量を増減する金融政策もあ る),実質GDP をコントロールしようとする政策である。 IS-LM モデルや AS-AD モデルのもっとも重要な役割は,財政政策や金融政策のマクロ 経済政策の効果を経済学的に評価するところにある。 1-3-3 景気循環モデルと経済成長モデルの統合に向けて これまで,供給サイドから経済成長を,需要サイドから景気循環を分析する標準的なマ クロ経済学の考え方を紹介してきた。われわれは,供給サイドと需要サイドを完全に切り 分けることによって,経済成長と景気循環というマクロ経済現象を分析する手段とともに, マクロ経済動向に働きかける経済政策を評価する枠組みを手に入れることができた。しか し,供給サイドと需要サイドの二分法という考え方が万能でないことも確かである。最後 に,こうした標準的なマクロ経済学の考え方の限界を指摘しておきたい。 先にも述べたように,需要サイドを機軸とした景気循環モデルでは,労働力や生産設備 などの生産要素の供給を完全に固定した上で,需要サイドから景気循環現象を分析してい く。しかし,どのような状況にあっても,こうした分析手法が常に適切であるとはかぎら ない。特に,生産要素の供給,すなわち,労働供給や資本蓄積自体が景気循環に左右され る場合には,景気循環現象を供給要因から完全に切り分けることができなくなる。 労働力の供給を例にとってみよう。労働供給が景気循環に左右されると同時に,労働供 給の変化が景気循環の動向に影響を与える可能性もある。その結果,労働供給と景気循環 の間に相互依存関係が生じてしまう。 → 労働供給の変化 景気循環 ← もっと具体的に考えてみよう。深刻な不況の結果,今,職探しをあきらめて,その代わ

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りに将来に備えて大学院で進んだ知識を身に付けようとしたとする。フルタイムの学生・ 院生は労働力に含まれないので,大学院就学者の増加分だけ労働力が減少する。この場合, 労働力の減少を反映して完全雇用GDP も低下するので,不況による実質 GDP の低下を需 要サイドだけで考えるのは適切でない。仮に不況のそもそもの原因が需要サイドにあった としても,現実に観察される実質 GDP の低下には,需要要因とともに供給要因も反映さ れていることになる。 実際の労働力の変化を見ても,景気循環に左右される面を決して無視することができな いであろう。下の図は,1954 年から 2007 年のサンプル期間について,労働力の年間変化 をプロットしたものである。労働力は,景気循環の影響を受けながら,1 年間で数十万人 のオーダーで変動している。たとえば,株価や地価の高騰で好景気に沸いた1980 年代後 半は,毎年100 万人ずつ労働力が拡大している。逆に,「失われた 10 年」と呼ばれている 1990 年代や 2000 年代前半には,労働力が前年比で減少している年も多い。このように労 働力の動向を概観しただけでも,景気循環が労働供給に与える影響は,決して小さいもの でないことが理解できる。 労働力の変化 -100 -50 0 50 100 150 200 250 1954 万人 生産要素の供給と景気循環の相互依存関係については,資本設備の供給に対応する資本 蓄積についても妥当する。下の図は,1955 年から 2007 年のサンプル期間について,粗設 備投資に相当する国内総固定資本形成,固定資本減耗,さらに国内総固定資本形成から固 定資本減耗を差し引いた純設備投資の動向をプロットしたものである。先述のように,純 設備投資が資本蓄積に貢献していく。 固定資本減耗は,時間を通じて資本が蓄積されることを反映して単調に増加している。 しかし,国内総固定資本形成が好景気に拡大する傾向がある結果,資本蓄積に貢献する純

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設備投資は景気循環に大きく左右されている。たとえば,好景気であった 1980 年代後半 は純設備投資が顕著に増加した。一方,景気が低迷した1991 年以降から 2000 年代前半に かけては,純設備投資が減少傾向に転じた。 資本蓄積のテンポが鈍化(加速)すると,完全雇用 GDP の成長も鈍化(加速)するの で, 景気循環 → 資本蓄積 → 景気循環 という形で景気循環と資本蓄積の間に相互依存関係が生じる。この場合も,景気循環の動 向に需要要因とともに,供給要因が反映されることになる。 粗設備投資と純設備投資 0.0 20,000.0 40,000.0 60,000.0 80,000.0 100,000.0 120,000.0 140,000.0 160,000.0 19551957195919611963196519671969197119731975197719791981198319851987198919911993199519971999200120032005 10 億 円 国内総固定資本形成 固定資本減耗 国内純固定資本形成 本書のパート4 では,供給サイドを機軸とする経済成長モデルと需要サイドを機軸とす る景気循環モデルを統合して,需要要因と供給要因の両方が実質 GDP の動向に反映する マクロ経済モデルを紹介していく。

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1-4 パート 2 のマップ 1.マクロ経済モデルとは? 2.閉鎖経済の景気循環モデル ・ IS-LM モデル(固定価格モデル,短期モデル) ・ AS-AD モデル(中期モデル) 3.開放経済の景気循環モデル ・ マンデル・フレミング・モデル 4.経済成長モデル 5.労働市場のマクロ経済モデル 6.マクロ経済モデルから見た日本経済 7.(補論)マクロ経済学の歴史

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