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重心系エネルギー13 TeVでの陽子陽子衝突におけるZボソンと消失運動量を含む事象を用いた標準模型を超える物理の探索

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Academic year: 2021

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(1)

Search for Physics beyond the Standard Model

in Events with a Z Boson and Missing

Transverse Momentum in pp Collisions at √s =

13 TeV

著者

Kasahara Kota

発行年

2017

その他のタイトル

重心系エネルギー13 TeVでの陽子陽子衝突における

Zボソンと消失運動量を含む事象を用いた標準模型

を超える物理の探索

学位授与大学

筑波大学 (University of Tsukuba)

学位授与年度

2016

報告番号

12102甲第8017号

URL

http://hdl.handle.net/2241/00147723

(2)

名 笠原 宏太

の 種

類 博 士 ( 理学 )

号 博 甲 第 8017 号

学 位 授 与 年 月 日 平成 29 年 3 月 24 日

学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当

科 数理物質科学研究科

学 位 論 文 題 目

Search for Physics beyond the Standard Model in

Events with a Z Boson and Missing Transverse

Momentum in pp Collisions at √s = 13 TeV

(重心系エネルギー13TeV での陽子陽子衝突における Z ボソン と消失運動量を含む事象を用いた標準模型を超える物理の探 索)

査 筑波大学 教授 理学博士 金 信弘

査 筑波大学 教授

理学博士 金谷 和至

査 筑波大学 教授 博士(理学) 受川 史彦

査 筑波大学 准教授

博士(理学) 武内 勇司

査 筑波大学 講師 博士(理学) 佐藤 構二

論 文 の 要 旨

本論文は、欧州原子核研究機構 CERN 研究所の陽子・陽子衝突型加速器 LHC (Large Hadron Collider) を用いた重心系エネルギー13TeV の陽子・陽子衝突実験 ATLAS において Z ボソンと大きな消 失運動量を持つ事象を解析して標準模型を超える物理の探索を行い、その結果を報告したものである。 素粒子標準理論では、大きく分けて3種類の素粒子が存在する。ひとつはクォークとレプトンであり、こ れらが物質を構成し、次にゲージボソンであるグルオンと光子と W/Z ボソンが力を媒介し、ヒッグス粒子が これらの物質構成粒子と W/Z ボソンに質量を与える。ヒッグス粒子はこれまでに LHC 加速器の二つの実 験 ATLAS と CMS ですでに発見されているが、ヒッグス粒子の性質の解明がこれらの実験における今後 の課題とされている。その解明によって、標準模型を超える物理を発見する可能性が期待されている。ま た、標準模型を超える物理として最も可能性が高いと考えられているのが暗黒物質粒子の発見である。 本論文は、これらの標準模型を超える物理を探索するために、以下の3つの目的を追求したものである:

(3)

(1)Z ボソン対に崩壊する重い新粒子の探索、(2)ヒッグス粒子の非可視粒子への崩壊探索、(3)暗黒物 質の対生成事象探索、の3つである。 本論文は、2015 年から 2016 年 7 月までに収集された重心系エネルギー13TeV の積分ビーム輝度 13fb-1に対応する陽子・陽子衝突データを用いて、標準模型を超える物理を探索した結果を報告したもの である。終状態で Z ボソンが崩壊してできた電子・陽電子対またはミュー粒子対と大きな消失運動量があ る事象の中から、横質量分布などの変数を用いて重い新粒子の崩壊候補事象、ヒッグス粒子の非可視粒 子への崩壊候補事象、暗黒物質の対生成候補事象を選択して、候補事象を既知の背景事象予測値と 比較した結果、測定誤差の範囲で一致する、すなわち標準模型を超える物理がないことが確認されたこ とを報告したものである。本論文は、その結果、重い新粒子探索において Randall-Sundrum graviton の生 成断面積の上限値を得て、その質量の下限値が 1.03TeV であることを明らかにしている。また、ヒッグス粒 子の非可視崩壊の分岐比が 98.2%以下であることを明らかにしている。さらに暗黒物質粒子の対生成事 象に対しては、暗黒物質粒子対に崩壊する仲介粒子ηと暗黒物質粒子χのそれぞれの質量に対する制 限を得ている。これらの新しい測定によって、標準模型を超える物理で期待される新粒子に対する制限を 大幅に改善したものである。

(4)

審 査 の 要 旨

〔批評〕

素粒子標準模型で予言される素粒子のうち、質量の起源となるヒッグス粒子は 2012 年に CERN 研究

所の陽子・陽子衝突型加速器 LHC (Large Hadron Collider) を用いた重心系エネルギー7TeV と 8TeV

の陽子・陽子衝突実験 ATLAS とCMSによって発見された。この発見によって素粒子標準模型で予言さ れる素粒子はすべて確認され、素粒子標準模型は高い精度で検証された。しかしながら、現在の素粒子 標準模型では、宇宙観測から存在しなければならないとされている暗黒物質粒子を説明できない。本論 文では、暗黒物質粒子のような素粒子標準模型を超える物理の枠内で初めて存在しうる素粒子あるいは 崩壊を探索している。それが、Z ボソン対に崩壊する重い新粒子、ヒッグス粒子の非可視粒子への崩壊、 暗黒物質粒子の対生成、の3つである。本論文では、重心系エネルギー13TeV の積分ビーム輝度 13fb-1 に対応する陽子・陽子衝突データを用いて、終状態で Z ボソンが崩壊してできた電子・陽電子対またはミ ュー粒子対と大きな消失運動量がある事象を解析して、重い新粒子の崩壊、ヒッグス粒子の非可視粒子 への崩壊、暗黒物質の対生成を探索し、その結果を報告したものである。この研究は素粒子標準模型を 超える理論があるのかを知る大きな手掛かりとなる。本論文の研究では, ATLAS 実験において得られた 陽子・陽子衝突事象の中から,終状態で Z ボソンと不可視粒子が存在するチャンネルで新粒子を探索し たものであり、意義深い。笠原君が中心となって推進したこの解析結果は、ATLAS 実験という大グループ で吟味され、承認された。 2015 年から 2016 年 7 月までに収集された重心系エネルギー13TeV で収集された 13 fb-1 相当のデ ータを解析した結果,Z ボソン対に崩壊する重い新粒子、ヒッグス粒子の非可視粒子への崩壊、暗黒物 質粒子の対生成、のいずれも観測されなかったが、それぞれの新粒子の生成に対する制限を得ている。 本論文は、その結果、重い新粒子探索において Randall-Sundrum graviton の生成断面積の上限値を得 て、その質量の下限値が 1.03TeV であることを明らかにしている。また、ヒッグス粒子の非可視崩壊の分 岐比が 98.2%以下であることを明らかにしている。さらに暗黒物質粒子の対生成事象に対しては、暗黒 物質粒子対に崩壊する仲介粒子ηと暗黒物質粒子χのそれぞれの質量に対する制限を得ている。この 結果は素粒子標準模型を超える物理を探索する基盤的解析であり、今後の探索に役立ち、それによって 素粒子物理学の発展に大いに貢献するものである。 〔最終試験結果〕 平成 29 年 2 月 20 日、数理物質科学研究科学位論文審査委員会において審査委員の全員出席のも と、著者に論文について説明を求め、関連事項につき質疑応答を行った。その結果、審査委員全員によ って、合格と判定された。 〔結論〕 上記の論文審査ならびに最終試験の結果に基づき、著者は博士(理学)の学位を受けるに十分な資格 を有するものと認める。

参照

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