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艦これ-提督と艦娘の鎮守府物語- ID:83550

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艦これ-提督と艦娘の

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︻注意事項︼

  この PDFファイル は ﹁ハーメルン﹂ で 掲載 中の作 品を自動的 に PDF化 した も ので す 。  小説 の作 者、 ﹁ハーメルン﹂ の 運営者 に無 断 で PDFファイル及 び作 品を引 用の 範囲を 超 え る 形で 転載・ 改 変・再配布・販売 す る こと を禁 じます 。    

すじ

 深 海 棲艦 が海 を 支 配 した 世 界 、 日 本 もピンチ になっていた 。 そ ん なときに 現れ た在 り し 日 の 軍艦︵ いくさぶね ︶ の 魂を持 った 娘 たち │艦娘│ が 現れる。   いざ 、 反撃を始めよ うと 、 各 地にあ る鎮守府 には 、 提 督が着 任 し 、 指揮を執り始める。 彼は 、 その中のあ る鎮守府 の 提 督 を す る ことに . . . 。   ※ 注意 ※  一、 こ れ は 、二 次創作です 。  二、 普 段、 見 てい る ほかの 小説執 筆 者様 の作 品を参考 にしてい る こと も あ り、 その 方 と似てい る とこ ろ があ り ます 。

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 三、 作 者 は 、艦 こ れをプレイ はしたことがあ り ませ ん。  ☆ お 知ら せ ☆  2016/04/27 タグ に特 殊能力を追加 しました 。  2016/04/30 タグ に 史実ネタを追加 しました 。

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  目   

  

│ │ │ │ │ 第 一話﹁転移 と 任 命 ﹂   1 │ │ │ │ │ 第 二話﹁観 光と 出 発 ﹂   7 │ │ │ │ │ 第 三話﹁航 海と就 寝﹂   12 │ │ │ │ 第 四話﹁ 特典と 鎮守府﹂   18 │ │ │ │ │ 第 五話﹁建造 と報 酬﹂   26 │ │ │ 第六 話﹁ 戦 闘 とこの 世 界 ﹂   34 第 七 話﹁提 督 と 艦 娘 の お 出 掛 け │ 吹 雪 編 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │﹂   41 │ │ │ 第八 話﹁出撃開始 と 通達﹂   53 │ 第九 話﹁任務完了 と ドロップ﹂   60 │ │ │ │ │ 第十 話﹁総 帥と告白 ﹂   69 第 十 一 話﹁提 督 と 艦 娘 の お 出 掛 け │ 睦 月 │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 編│  80 │ │ │ 第十 二話﹁ 給 糧艦﹃間宮﹄ ﹂   88 │ │ │ │ 第十 三話﹁提 督の 名 前 ﹂   98

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一話﹁転移

  ﹁痛ッタ !﹂ ﹁ 大 丈 夫ですか ?﹂ ﹁ あ 、 大 丈 夫です ﹂   彼は 、車 の ガラス に 頭を ぶつけて 目を覚 ました 。 ︵ ここは 、 どこだ ろ うか ?︶  見 に 覚 えのない景 色 に 、 彼は 運転 手に 聞 いた 。 ﹁ あの 、 ここは ?﹂ ﹁ 大本 営 に 、向 かう 車 の中ですが 、 本当に大 丈 夫ですか ?﹂ ﹁ そうですか 。 あ り がとうございます 。寝 てて 忘れ ていた み たいですね ﹂  運転 手の 心配 す る言葉 にそう 返 して彼は 、考 えた 。 ︵ なぜ 、 こ ん なとこ ろ に . . . ?︶  一人悩ん でい る うちに 、車 は大本 営 に着いた 。 ﹁ 着きました よ﹂ ﹁ ああ 、 あ り がとう ﹂ 1 第一話「転移と任命」

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  そう 言 い 、 彼は 車を降り た 。   大本 営 と呼ば れる建 物は 、 どこか 国会議事堂 に似たつく りを してた 。 彼は 、 運転 手 を していた男にあ る部 屋の前まで案 内 さ れ た 。 ﹁ こち ら です 。 そ れ では 、他 の 仕事 があ り ますので ﹂ ﹁ あ り がとう ﹂   彼は 、 案 内 してく れ た 運転 手にお礼 を言 い 。 案 内 さ れ た 部 屋の扉 をノック す る。 ﹁ す み ませ ん﹂ ﹁ どうぞ ﹂   扉 を開 け 、 部 屋へ入っていく 。 き れ いに整え られ た本 棚 にこち らも埃一 つない 応接ス ペース。 そして 、 赤 い カーペット が入ってきた扉か ら、 まっすぐ 部 屋の奥中央へ 置 いて あ る 机へと 続 いてい る。 その カーペット の 真ん 中に 一人 の男が 立 っていた 。 ﹁ 失礼します ﹂ ﹁ い ら っし ゃ い ﹂ ﹁ 失礼ですが 、 あなたは ?﹂ ﹁私 は木村 、階級 は元帥だ ﹂ ﹁ あの 、私 はなぜここに ?﹂ ﹁君 は 、 ここの 世 界に 転移 してきた ん だ 。 そしてこ れ か ら、 君 には 艦娘 の 指揮 すな わ ち 提 2

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督 を して もら う ﹂ ﹁ え . . . ﹂   彼は 、 驚 いた 。会 って 間も ない男に ﹃君 は 、 転移 してきた 人間。 そして 、 こ れ か ら提 督 を して もら う ﹄ な ん てい われ たのだ 。 ﹁ そ れ って 、 どう 言 うことでし ょ うか ?﹂ ﹁ う む。 そ れ で は 説 明 し よ う 。 こ の 世 界 は 、君 の 世 界 と 平 行 し て あ る 世 界 だ 。君 は 文 字 通り この 世 界に ﹃転移﹄ してきた ん だ 。 ここまで 理解 できたかい ?﹂ ﹁ はい ﹂   彼は 、 な ん となく 理解 し 返事を した 。 ﹁ ﹃転移﹄ ということだか ら、 元の 世 界か ら移 ってきたことにな る。 そして ﹃転移﹄ した も のは 、 元の 世 界に戻 れ ないことになってい る。 ﹂ ﹁ え . . . ﹂   彼は 、 また 驚 いた 。 が 、総 帥は 続 けて 。 ﹁ そ ん な 君を私 が 、 発 見 した 。 どうし よ うか 考 えた末に 、 君 の元いた 世 界の 様 子か ら提 督 をや って もら うことにした ん だ 。 どうかね ?や っては 、もら えぬか ?じか n﹂ ﹁ その 仕事。やら していただきます ﹂  最後 の 言葉 まできかずに 、 彼は答えた 。 3 第一話「転移と任命」

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﹁ う む っ ﹂  今度 は 、総 帥が 驚 いた 。 ﹁ 本当に 、 大 丈 夫なのかね ?君 は ﹃転移﹄ してきた前と 同 じで 14 歳のままだし 、 少 し 混 乱してい る だ ろ う ﹂ ﹁ ま だ 少 し 混 乱 し て い ま す が 元 の 世 界 に 戻 れ な い 以 上、 こ の 世 界 で 生 き て い く し か 無 い 様 ですし 、 な ら その 仕事やら せていただきます 。見 た 目も 中 身も14 歳ですが 、 力 にな れるよ うが ん ば ら せていただきます ﹂ ﹁ そうか ﹂  14 歳なのに大 人顔負 けの 意気込みを 示す彼に 、総 帥は 少 し 考 え る と 。 ﹁わ か っ た 。君 に 鎮 守 府 の 提 督 を 任 せ よ う 。 そ れ で は 、 手 続 き を し な く て は 。 と は 言 っ て も、君 の 初期艦 とな る 子 を 決 め て もら うだけだが ﹂   そう 言 いなが ら、総 帥は彼にひとつの ファイルを 渡した 。 ﹁ その中の 内 の 一人を選ん でく れ﹂ ﹁んー﹂  ファイル の中には数 名 の 艦娘 の 情 報が 書 いてあった 。 ど れも 彼にとっては 、 見覚 えの あ る娘 であった 。 ﹁んー。 ﹃ 吹 雪﹄ にします ﹂ 4

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﹁わ かった 。 では 、 呼ぼうか ﹂  総 帥は 、 机に む かうとどこかに 電話を掛 けた 。 数 分後、 扉 をノック す る音 がした 。 ﹁ はい ?﹂ ﹁ 吹 雪 です ﹂ ﹁ どうぞ ﹂ ﹁ 失礼します 。 お呼びでし ょ うか ?﹂ ﹁ い ら っし ゃ い吹 雪君。 こち ら が 、君 の 提 督にな る者 だ ﹂ ﹁よろ しくお 願 いします ﹂   そ れを聞 くと吹 雪 は 、笑顔 にな り。 ﹁ こち ら こそ 、よろ しくお 願 いいたします 。司令官 !﹂ ﹁後 は 、 こ れを君 に渡しておこう ﹂  総 帥は 、 彼に 3枚 の ﹃カード﹄を 渡した 。 ﹁ こ れ は ?﹂ ﹁ こっちの 長方 形の カード が吹 雪 の ﹃艦﹄ のほうの 管理カード で 、 こっちの正 方 形の カー ド が砲などの ﹃ 武器 ﹄ の 管理カード だ 。裏 の ID で 管理 でき るよ うになってい る﹂ ﹁ あ り がとうございます ﹂ ﹁ う む。 そ れ では 、 ま も なく 迎 えの 車 が来 る。後 はその 車 に吹 雪 と乗 り、 港へ 向 かってく 5 第一話「転移と任命」

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れ﹂ ﹁ はい ﹂  10分 ほどで 迎 えが来て 、二人 は 車 に乗 り込み 港へ む かった 。    6

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二話﹁観

光と

    港に 向 かう 車 の中 、 彼は 、外を 眺 め ていた 。 ︵ す れ違 う 車や走 ってい る電車、コンビニ は 、 ど れも俺 の居た 世 界と 変わら ないな . . . ︶   そ ん なこと を考 えてい る と 、運転 席のほうか ら。 ﹁ あのっ !どうなさいました ?﹂ ﹁ えっ ?大 丈 夫ですってあなたは . . . ﹂ 常 盤 じ ょ うば ん ﹁ あっ 、 はい !先ほど も運転 手 を させていただいた 。 ﹃ ﹄ と申します 。 こ れ か ら は 、 本 土 の 移動 時は 、私 が 運転 させていただきます ﹂ ﹁ そうでしたか 。よろ しくお 願 いします ﹂ ﹁ こち ら こそ よろ しくお 願 いします 。 そういえば 、 お 隣 の 方 は ?﹂ ﹁ ﹃ 吹 雪﹄ です 。よろ しくお 願 いします !﹂   吹 雪 の 自己 紹 介を聞 き 、 常 磐 は 驚 いた 様 子で彼に 。 ﹁ えぇ !吹 雪 さ ん ということは 、提 督 を なさ る のですか ?!﹂ ﹁ ええ 、 まぁそうです ﹂ ﹁ どこの 鎮守府 ですか ?﹂ 7 第二話「観光と出発」

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﹁ そ れ が 、 [ と り あえず 今向 かってい る とこ ろ に ] ということなので わ か り ませ ん﹂ ﹁ そうですか . . . ﹂   その 後、 常 盤 は 少 し 緊 張 気 味に 運転 し 、 吹 雪 は 自分 の手 荷 物か ら出 したぬいぐ るみを ひざに乗せなが ら 眠 り。 彼は 、 また 外を 眺 め た 。  ーーーーーーーー  ーーーー   数 分後、 彼 ら はあ る とこ ろ に着いた 。 ﹁ 海 上保安庁 の 基 地か . . . ﹂   彼と吹 雪ら は 、 横浜の海 保 の 基 地に来ていた 。 ﹁ えっと . . . 。指 示に よる と [ あと 1 時 間 す れ ば 、 吹 雪 の ﹃艦﹄ が 曳航 さ れ てこち ら に来 る ので 、 そのあた り でてきとうに時 間 で も つぶしておけ ] だそうです ﹂ ﹁ 時 間を つぶせとい われ て も. . . ﹂   彼が 腕を 組 み考 えてい る と 、 吹 雪 が 。 ﹁ あ 、 あの . . . ﹂ ﹁ん ?どうした吹 雪 さ ん ?﹂ ﹁ ち ょ っとだけこの 辺り だけで も いいので 、見 て 回り たいなと . . . ﹂ ﹁んー。 いい ん じ ゃ ないか ?常 磐 さ ん、 吹 雪 さ んを 案 内 してきますので 、 少 し 待 っていて 8

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いただけますか ?﹂ ﹁わ か り ました 。 息 抜 きで も してきてください ﹂ ﹁ お 願 いします 。 そ れ では吹 雪 さ ん、行 こうか ﹂ ﹁ あっはい !﹂   そうして 、 彼は常 磐 に ﹁30分 ほどで帰 り ますので ﹂ と 言 い吹 雪を 案 内 した 。   ﹃ 横浜 ﹄ の 街 は湾 内 だか ら か 、 深 海 棲艦 に怯えて る様 子 も 無く彼が 知 ってい る ﹃ 横浜 ﹄ と 変わり なかった 。  ーーーーーーーーー  ーーーーーー  ーーー  30分後、 彼 ら は ラン○マークタワーやコ○モ○ールド など を観 て 回り基 地に戻って きた 。 ﹁ どうでしたか ?﹂ ﹁ はい !楽しかったです !﹂ ﹁ 楽し ん でく れ たな ら、よ かった 。私も良 い息 抜 きになった ﹂   そ ん な 話を してい る と 。 ﹁ あっ 、 来ました よ。 吹 雪 さ ん の ﹃艦﹄ ﹂ 9 第二話「観光と出発」

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  吹 雪 の 艦 は 、曳船 に 曳 か れ て 基 地の 一 番先にあ る 桟橋に 泊められ た 。 ﹁後、 お 二人 が 行 った 後 に届いたのですが 、 吹 雪 さ ん には 鎮守府 までの海 路 の地 図を、 あ なたには 総 帥か ら の手 紙 と ダンボール です ﹂   そう 言 いなが ら、 吹 雪 に海 図を 渡し 、 彼に 総 帥か ら の 少 し 厚 い 、 手 紙 の入った 封 筒 を 渡した 。 吹 雪 はどこか ら現れ たのか 、妖精 と 一緒 に海 図 とに らめ っこしてい る。 ﹁今見 て も いいですか ?﹂ ﹁ いいと 思 います ﹂   彼は 、封 筒の 封を切り 中 身を確認 した 。 ﹁ な る ほど 。ダンボールも見 せてください ﹂   彼は 、 手 紙を読み き る と 封 筒の中か ら一枚 の正 方 形の カードを出 し 、 ダンボール の中 身を確認 した 。 ﹁ な る ほど 。面 白い ﹂   彼は 、 そう 言 うと 。 ﹁ 常 磐 さ ん、 あ り がとうございました ﹂ ﹁ いえいえ 、 こち ら こそ 。 こ れ か ら、 が ん ばってくださいね ﹂ ﹁ あ り がとうございます 。 吹 雪 さ ん、 そ ろ そ ろ出 発します よ﹂ ﹁ えっ 。 あっはい !﹂ 10

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  吹 雪 と彼は 、 吹 雪 の 艦 に乗 り込ん だ 。 11 第二話「観光と出発」

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三話﹁航

海と就

寝﹂

   二人 は 、艦 橋に 立 っていた 。   吹 雪 は 、妖精 が 持 ち場に 立 つの を確認 す る と 。 ﹁ ﹃ 吹 雪﹄抜錨 します !﹂   吹 雪 の 掛 け 声 に 妖精 が 復 唱しなが ら 慌しくな る。 そ れ と 同 時に 、 ベル が 鳴り錨 が 揚 が る。揚 げ終え る と 。 ﹁ 前 進微速 !﹂   発 進指 示 を して 、 船 は ゆ っく り 桟橋 を離れ始める。 桟橋では 、 常 磐 が敬礼 を していた 。 彼は 、 ︵や っと 、鎮守府 へ 向 かうのか . . . ︶   と 、考 えなが ら 敬礼 を返 した 。  ーーーーーーーー  ーーーー  基 地 を出 発して 、 10分 ほどした 後、 吹 雪 が 妖精 に 船 の 操 作 を任 せて彼の 座 ってい る 隣 に 座 った 。 12

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﹁ この 後、 城ヶ島辺り で横 須賀鎮守府 所属の 艦隊 の 護衛 が 付 いて 、 本 土 と 鎮守府 の中 間辺 り まで 護衛 してく れる そうです ﹂ ﹁ そうですか 。 あ り がとう 、 吹 雪 さ ん﹂ ﹁司令官、 そ ん なかしこま ら なくて も いい ん です よ ?私 のこと も ﹃ 吹 雪 さ ん﹄ じ ゃ なくて ﹃ 吹 雪﹄ で 良 いですか ら﹂ ﹁ そうか 、分 かった よ。 あ り がとう 、 吹 雪﹂ ﹁ はい !!﹂   吹 雪 は 笑顔 にな り、 彼 も自 然と 笑 っていた 。  ーーーーーーーー  ーーーー   その 後も二人 は 、 い ろ い ろ話 していた 。 そ ん な時 、 見 張 り の 妖精 か ら ﹁護衛艦隊 発 見﹂ 、 通信 の 妖精 か ら ﹁護衛艦隊 か ら 入 電﹂ の 一 報があった 。 吹 雪 は 、 相 手の 通信内容を妖精 に 聞 く 。通信妖精 は 、 ﹁ ﹃ こち ら、 横 須賀鎮守府 所属の 護衛隊、 旗艦 の [球磨] だ クマ。 こ れより、 合 流し 、 指 定 の 辺り まで 護衛 させていただく クマ﹄ だそうです ﹂   と 、 答え る。 ﹁分 か り ました 。通信妖精 は 、﹁了解﹂ と 送 ってください 。合 流までは 現状維持 し 、 合 流 13 第三話「航海と就寝」

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後 は 相 手の 指 示に 従 います ﹂   吹 雪 の 指 示に 、妖精 は 動 きま わり始め た 。 吹 雪 は彼に 、 ﹁合 流まで時 間 があ る ので 、 甲 板 にで も行 って み てください 。気分転換 にな り ます よ ?﹂   と 、勧め た 。 ﹁ そうか 。 では 、行 ってく る﹂   彼は 、 そう 言 うと 端 にまと め ておいた 荷 物の 固 ま り か ら出 発前に常 盤 か ら受 け 取 った ダンボールを持 ち 、 甲 板 へ 向 かった 。 吹 雪 は 少 し 疑 問に 思 ったが 、 彼 を見送る と 妖精 か ら伝わる指 示 を聞 き 始め た 。  ーーーーーーーー  ーーーー   彼は甲 板 の 後方、 一 番 後ろ にあ る12, 7cm連装 砲塔の 近 くで ダンボールを あけた 。 ダンボール の中には 、 折り 畳ま れ た 弓 と 矢 筒 。矢 と 3 等 分 になった 飛行板 と 右下 に [ア] と 書 か れ た も のが 、 入っていた 。   彼は 、 折り 畳ま れ た 弓 と 矢 筒 を 展 開、 3 等 分 さ れ た 飛行板を くっつけた 。 す る と 少 し 光 を 放ち 、 二度 と 分 か れ た り、 折り 畳 め なくなった 。 その 後 彼は 、 矢 筒に 矢を つ め て 背 負 い 、 飛行板を右腕 につけて 、 右下 に [ア] と 書 か れ た も の を腹辺り に着け 、 弓を持 っ た 。 14

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﹁よ しっ ﹂   彼は 、 確認を 終えたのか全てはずし 、 ダンボール ごとまと め て 艦 橋の入 り口辺り に 立 て 掛 けた 。艦 橋 内 に入 る と吹 雪 が 、 ﹁司令官、 ま も なく 合 流します ﹂   と 、伝 えた 。 ﹁了解。合 流 後 は 、相 手に 従 い 鎮守府を目指 す ﹂ ﹁了解﹂   その 後、護衛隊 と 合 流し 、 彼 ら は海 を進み始め た 。  ーーーーーーーー  ーーーー  護衛隊 との 合 流 後、 ふと彼が時 計を見る と 、23:30を指 していた 。 ︵ こ ん な時 間 か 、 欠伸が 出る な . . . ︶   彼は 、 そう 思 いなが ら 欠伸 を した 。 吹 雪 は 、 そ ん な 姿を見 て 、 ﹁司令官、 そ ろ そ ろ寝 ませ ん か ?哨戒 などは 妖精 たちがしてく れ ますか ら﹂ ﹁ そうか 。 で も、 どこで 寝る ?﹂ ﹁艦長室 があ り ますか ら、 そこで 寝 まし ょ う ﹂ ﹁分 かった ﹂ 15 第三話「航海と就寝」

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  そう 言 うと彼は 、 吹 雪 に ﹁ こっちです ﹂ と案 内 さ れ その場 を後 にした 。   吹 雪 と彼には 見 えなかったが 、 その 話を聞 いていた 妖精 は 、 二人 の 後ろ姿を見 て ニヤ ニヤ していたとか 、 していないとか 。 ﹁ こち ら です ﹂   吹 雪 はそう 言 うと 、 彼と 艦長室 にはいった 。 そこには 、 ﹁艦長室 と 聞 いたか ら ど ん な も のかと 思 った ら. . . ﹂ ﹁ と り あえずは 、 機 能 でき るよ うになってますが . . . ﹂   吹 雪 の 言 う よ うに 艦長室 として機 能 でき る状 態ではあったが 、 端 には 布団 が畳ま れ て お り、 ぬいぐ るみ が 2 体 置 いてあった 。 吹 雪 は 顔を赤 くしなが ら、 ﹁ あっ 、 別の 部 屋に も う 一 つ 布団 があ る ので 取 ってきます !﹂ ﹁ え 、 そ れ な ら 手つ d﹂  バタン ! ﹁行 っち ゃ った . . . ﹂    3分後、足音 が 聞 こえてきて 、 ﹁取 って . . .ハアハア. . . 来ました . .ハアハア﹂ ﹁ 手 伝 うって 言 おうとしたのに . . . そ れ にして も速 いな ﹂ ﹁ と り あえず 、布団を ひきまし ょ う ﹂ 16

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  そう 言 って 二人 は 、布団を 横に並べてひいた 。 ﹁ 六 時 ぐ ら い に は 中 間 地 点 に 着 く そ う な の で 目 覚 ま し を 五 時 半 分 に し て お き ま す ね 。 お や す み なさい !! ﹁ お 、 おう 。 お や す み﹂   吹 雪 の 早口 に 驚 きなが ら、 彼は眠 り についた 。 17 第三話「航海と就寝」

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四話﹁

特典と

鎮守府﹂

    彼は 、 吹 雪 に 揺 す られ なが ら起 き る。 ﹁司令官 !起 きてください !﹂ ﹁んー。 おは よ う 、 吹 雪﹂ ﹁ おは よ うございます 。 ま も なく 、 中 間 地 点 です よ﹂ ﹁ そうか ﹂  二人 は 布団を 畳 み、端 に 寄 せて 艦 橋に 向 かった 。  艦 橋に着くと 、通信妖精 が 、 ﹁護衛隊より、 入 電 ﹃ こち ら、 護衛隊旗艦 の [球磨] だ クマ。 こ れ にて 、 護衛を 終 了 しま す クマ。 先ほど 、 こち ら が 出 した索敵機にはこの先の海 路 に 反応 は無い クマ か ら安心 し て クマ﹄ だそうです ﹂   と 、言 い 。 吹 雪 が 、 ﹁分 か り ま し た 。通 信 妖 精 は こ こ ま で の 護 衛 と 索 敵 の お 礼 を 送 っ て く だ さ い 。 こ こ か ら は 、 単 艦 で 鎮守府を目指 します 。 第 一 戦 速 !﹂   と 言 うと 、二人を 乗せた 艦 は 、 前 方 に居た 護衛隊 の 艦を抜 いて海 を進み始め た 。 18

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 ーーーーーーーーーー  ーーーーーー  ーーー   大海 原を進む﹃駆逐艦 吹 雪﹄ 。 そ れ に乗ってい る 彼は 今、左舷 側の甲 板 に 出 ていた 。 ︵よ しっ 。試 すのな ら今 かな . . . ︶   彼の 右腕 には 飛行板 がつけ られ、 背 中には 深緑 に 日 の丸が 描 か れ た 矢 が数本 矢 筒につ められ背負われ てい る。左 手には 弓、 お 腹 の前 辺り に 、 右下 に [ア] と 書 か れ た も の を つけ られ ていた 。   彼は 、背 中の 矢 筒か ら矢を一 本 出 した 。弓 に 矢を掛 け 、 ひ もを引 く 。 ︵ でき る だけ 、集 中 力を あげて . . . ︶   彼は 自分 にそう 言 い 聞 かせて 、矢を 放つ 。   放た れ た 矢 は 一直線 に 飛 び 、炎 とと も に 5 機の ﹃零 戦 艦 戦 52型﹄ が 現れ た 。  一方、 艦 橋にいた吹 雪 は 艦 橋 左 側の 窓 の 外を抜 け 、 零 戦 52型 に 変わる矢を見 て 驚 い ていた 。 そして 窓 に 駆 け 寄り、 矢 の 飛ん できた 方向を見 てさ ら に 驚 いた 。 なぜな ら、 〟 赤 い 一航 戦 赤 城 〟 の 艤装を纏 った 自分 の 司令官 がいたのだ 。 吹 雪 は 艦 橋 を とび 出 し 、 彼へと 駆 け 寄 って 、 ﹁ 何故 司令官 が 艤装を ?﹂ 19 第四話「特典と鎮守府」

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  と 聞 いた 。 ﹁ ああこ れ か 、今 か ら説明 す る か ら他 の や つには 秘密 にしてく れ ないか ?﹂ ﹁ いいです よ﹂ ﹁ では . . . ﹂   そうして彼は 説明 した 。自分 は 、 別の 世 界か ら転移 してきた も のだということ 。総 帥 か ら の手 紙 に 書 いてあった 、 赤城 の 艤装 が 纏 え る のは 、 転移者 の特典の よ うな も のだと いうこと 。 ﹁ あと 、 こ れ は本当に 緊 急 事 態のときしか 実 戦には 使わ ないか ら な ﹂ ﹁分 か り ました ﹂   吹 雪 は 、 理解 したのか ﹃ 先に 艦 橋に戻 り ます 。も うすぐで 鎮守府 に着きます よ﹄ と 言 っ て 艦 橋に戻った 。   吹 雪 を 見 送 る と 、 彼 は 艦 載 機 に 戻 る よ う に 指 示 を 出 す 。 数 分 で 戻 っ て き た 艦 載 機 は 、 彼 の 飛 行 板 に 乗 る と 矢 に 姿 を 変 え る。 彼 は 矢 を 矢 筒 に 戻 し 目 を 閉 じ る。 光 に 包 ま れ て 、 艤装 は彼の 身 体か ら消 えた 。 そ れを確認 す る と 艦 橋へ 向 かった 。  ーーーーーーーーーー  ーーーーーー  ーーー 20

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  彼は 、 目 の前に 見 え る鎮守府 と吹 雪 に 見 せて もら った 鎮守府 周 辺 にの海 図を交互 に 見 なが ら聞 いた 、 ﹁ なあぁ 、 吹 雪﹂ ﹁ 何ですか ?司令官﹂ ﹁俺 の 配 属さ れる鎮守府 って 、島 の 鎮守府 なのか ?﹂ ﹁ あ れ ?言 ってませ ん でしたっけ ?﹂ ﹁言 ってない ﹂   彼の 鎮守府 は 島 にあった 。島 の大きさはち ょ うど神奈 川県 ほどの大きさで 、 鎮守府 は その 一 画にあった 。 ﹁ あそこの桟橋に 泊め まし ょ う 。 両 舷 前 進微速 !﹂   吹 雪 がそう 言 うと 、船 の 速度 が 落 ちて桟橋が 近 づく 。 ﹁ 両 舷 停止 !﹂   そう 言 うと 、 桟橋の横で 船 は 泊 ま る。 ﹁ ﹃ 吹 雪﹄投錨 します !﹂   そう 言 うと 、錨 が 降ろ さ れる。 ﹁ さあ 、 着きました よ !司令官 !﹂ ﹁よ しっ 。 と り あえず 艦 はそのままでいいか ら、降り て 執務室 に 行 こう ﹂ 21 第四話「特典と鎮守府」

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﹁ はい !﹂  二人 は 船を降り、執務室を目指 した 。  ーーーーーーーーーー  ーーーーーー  ーーー  二人 は 執務室 に 向 かうた め、 と り あえず大きな 建 物に 向 かった 。 中に入 る と 、 建 物 内 の地 図 があった 。 ﹁ えっと . . . 。執務室 はっと . . . ﹂ ﹁ あっ 、 ここですね ﹂   そう 言 って 、 吹 雪 は 執務室 のあ る 場所 を指 した 。 ﹁ そこか . . .行 く よ。 吹 雪﹂ ﹁ はいっ ﹂  二人 は 、 その場所へ 向 かった 。  目的 の場所へ着くと 、 扉の 上 には ﹃執務室﹄ と 書 か れ ていた 。 彼は 、 扉 を開 き中へ入 る、 そ れ に 続 いて吹 雪も 入 る。  執務室内 は 、綺麗 だった . . . 。 ﹁ おっと . . . ﹂ 22

(27)

﹁ こ れ は . . . ﹂  ダンボール しかないか ら。 ﹁ 吹 雪﹂ ﹁ はい ?﹂ ﹁ この ダンボール の中 身 は ?﹂ ﹁ たぶ ん こ れ か ら提 督として 艦隊を指揮 す る た め の手 引 きとか 、 指 南 書 とかの 資料 とか 、 執務 の 書類 では ?﹂ ﹁ だ よ な . . . 。自分 の 荷 物は 自分 の 部 屋だし . . . ﹂   と 、言 って ダンボール の 上 にあ るも の を 手に 取る。 ﹁上 にのっていたのはここの地 図 か 。二枚 あ る し 、一枚 は吹 雪 にあげ るよ﹂ ﹁ あ り がとうございます 。私 の 荷 物は 、 ﹃艦﹄ に 載 せてきてい る ので 取 ってきます ﹂ ﹁ そ れ な ら 手 伝 う よ﹂ ﹁良 い ん ですか ?﹂ ﹁ こ れ で も 男だ 、 女の子の手 伝 いす る ことぐ ら い 気 にす る な ﹂ ﹁ じ ゃ あ 、 お 願 いします ﹂   そう 言 い 、二人 はまた ﹃艦﹄ に戻 り 吹 雪 の 荷 物 を運 び 始め た 。 ﹁ そういえば 私 の 荷 物はどこに 運 ぶ ん ですか ?﹂ 23 第四話「特典と鎮守府」

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﹁ 地 図 に よる と 、各艦 種の 艦娘寮 があ るみ たいだか ら そこの ﹃駆逐艦A棟﹄ に ﹂ ﹁ そうな ん ですか ﹂  寮内 は 、 幾つ も の 部 屋があった 。 ﹁ どこがいい ?﹂ ﹁んー﹂   吹 雪 は 、駆逐艦寮 の地 図を見 なが ら悩む。 ﹁ ここにします ﹂   と 言 いなが ら、二階 の 角部 屋 を指 した 。 ﹁了解﹂  二人 は 、 吹 雪 が 指定 した 部 屋に 向 かい 、荷 物 を置 いた 。 ﹁ 吹 雪﹂ ﹁ はい 。司令官﹂ ﹁執務 などは 、明日 か らやる か ら今日 は 荷 物の整 理 などしてて ﹂ ﹁分 か り ました ﹂ ﹁ そ れ じ ゃ あ 、俺も自分 の 荷 物とか整 理 す る か ら行 くね ﹂ ﹁ はい 、 あ り がとうございました ﹂   24

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  彼は 、ーー提 督は 、自分 の 部 屋に 向 かい 荷 物 を 整 理 し 始め た 。  外 は 、 水平 線 に 日 が 沈み始め ていた 。 25 第四話「特典と鎮守府」

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五話﹁建造

と報

酬﹂

   翌日、09:00  執務室 には 提 督と吹 雪、 そして も う 二人 影があった 。 ﹁ 大 淀 で す 。提 督 と 大 本 営 の 任 務 伝 達 の た め、 着 任 し ま し た 。運 営 代 理 も お 任 せ く だ さ い ﹂ ﹁明石 です 。工廠運営 のた め、 着 任 しました 。鎮守府設備 の 修復も お 任 せください !﹂ ﹁ はい 。よろ しく大 淀、明石﹂ ﹁ ﹁ はい !﹂  返事 とと も に敬礼す る 大 淀 と 明石 に 、提 督と吹 雪も 敬礼で 返 す 。   その 後、二人 は ﹃ 失礼しました ﹄ といって 部 屋 を出 て 行 った 。 ﹁ とこ ろ で 、司令官﹂ ﹁ん ?何 、 吹 雪﹂ ﹁二人 は 、 どこで 寝泊りを ?﹂ ﹁ 大 淀 は 伝 達 係 で は あ る が 軽 巡 だ か ら 軽 巡 寮 に 。明 石 は 自 分 で ﹃工 廠 に 自 室 を 作 っ て そ こで 生 活します ﹄ と 言 っていたか ら工廠 だな ﹂ 26

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﹁ そうな ん ですね ﹂  提 督は 、ダンボール か ら 数 枚 の 書類 と ペン、 は ん こ を出 すと 、 ﹁ さて吹 雪、 こ れ か ら この 鎮守府を指揮 す る﹂ ﹁ はい 。司令官﹂ ﹁秘書艦 してく れる か ?﹂ ﹁ はい !﹂ ﹁ はじ め に 今 のこの 鎮守府 の 資 材だが . . . ﹂  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー      燃料︵300︶      銅 材 ︵300︶       弾 薬︵300︶      ボーキサイト︵300︶      開 発 資 材 ︵5︶      高速建造 材 ︵3︶      高速修復 材 ︵3︶  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ﹁ まあ 、最初 はこ ん な 感 じです よ ね ﹂ 27 第五話「建造と報酬」

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﹁よ しっ 。 じ ゃ あまずは 建造 だ 、各資 材 30 ずつで 明石 に 頼み に 行 くぞ ﹂ ﹁ え ?司令官も行 くのですか ?﹂ ﹁最初 だか ら な 。 じ ゃ あ 行 くか ﹂  二人 は 工廠 に 向 かった 。  ー工廠ー ﹁ お ー い 、明石 い る か ?﹂ ﹁ は ー い ?﹂ ﹁建造頼む﹂ ﹁分 か り ました 。 しかし 、 何故 提 督がここに ?﹂ ﹁最初 だか ら だ ﹂ ﹁ そうでしたか 。 あっ 、高速建造 材は 使 いますか ?﹂ ﹁使 ってく れ﹂ ﹁ では 、 はじ め ますね ﹂   そう 言 って 、明石 は 建造レーン に 向 かった 。 ﹁ ど ん な子が 、出 ますかね !﹂ ﹁ 楽し み だな ﹂   そう 言 って吹 雪 と 提 督は 建造 終 了を待 った 。 28

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  すぐに 、明石 は帰ってきた 。も う 一人を つ れ て 、 ﹁ 睦 月 です 。 は り きって 、 まい り まし ょー !﹂ ﹁ 睦 月 ち ゃん !﹂ ﹁ 吹 雪 ち ゃん !﹂ ﹁提 督 、 建造 で睦 月 がでました 。 あと 、 装備 として 12cm 単 装 砲と 7.7mm 機 銃 があ り ます 。 で 、 そ れら の カード と 建造 報告 書 です ﹂ ﹁ あ り がとう ﹂ ﹁ いえ 。 そ れ では 、 まだ 自分 の 部 屋 を 作 り途 中なので ﹂ ﹁途 中だったのか . . . な ん かすまないな ﹂ ﹁気 にしないでください ﹂   そう 言 って 明石 は 工廠 の奥に 向 かった 。 そして 、提 督ははし ゃ いで る二人 に 、 ﹁ 吹 雪、 報告 書出 しに 行 くぞ 。 睦 月も付 いておいで ﹂ ﹁ あっは ー い !﹂ ﹁ お よ ?良 いの ?﹂ ﹁ いいぞ ﹂ ﹁や った ー !﹂ ﹁ じ ゃ あいくか ﹂ 29 第五話「建造と報酬」

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  そう 言 って歩 みを進める提 督に吹 雪 が 、 ﹁ そういえば 、 どこに 出 しに 行 く ん ですか ?﹂ ﹁執務室 のあ る鎮守府庁舎内 の 伝達室 だ ﹂  ー鎮守府庁舎・伝達室ー ﹁ お ー い 、 大 淀 い る か ?﹂ ﹁ 何でし ょ うか ?提 督 ﹂ ﹁ こ れ、建造 の報告 書﹂ ﹁ お 預 か り します 。 しかし 、 何故 提 督がここに ?﹂ ﹁最初 だか ら だ ﹂ ﹁ そ う で し た か 。 あ っ 、初 め て の 建 造 で す の で こ れ の 任 務 が ク リ ア で す ね 。 報 酬 の 各 資 材 50 ずつと 開 発 資 材です ﹂ ﹁ そうか 、 その 資 材はどこに ?﹂ ﹁クリア す る と 自 然に 倉庫 に 追加 さ れ ます ﹂ ﹁分 かった 。 あ り がとう ﹂ ﹁ あの ﹂ ﹁ん ?何だ大 淀﹂ ﹁後ろ にい る のは 、 吹 雪 と . . . 睦 月 ?﹂ 30

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﹁ 睦 月 です 。よろ しくお 願 いします ﹂ ﹁ そうだ 、 睦 月 は先ほどの 建造 で 出 てきた ﹂ ﹁ そうでしたか ﹂ ﹁ あと 、 そうだこ れも 渡しておかないとな ﹂ ﹁艦隊 の 編成表 ですか 。 てことは 、 こち らもクリア ですね 。 こち ら は 、 報 酬 として 艦娘 が 支給さ れ ます 。クリア 時 点 で 工廠 にい る ので 迎 えにいてきてください ﹂ ﹁分 かった 。 あと 、 その子 も艦隊 に組 み込ん どいて ﹂ ﹁了解 です ﹂  提 督と吹 雪 と睦 月 は 再 び 工廠 に 向 かった 。  ー再 び 工廠ー ﹁ 何 度も すまないな ﹂ ﹁ いいえ 。 そ れより、 その クリア記念 の子です ﹂ ﹁ 白 雪 です 。よろ しくお 願 いします ﹂ ﹁よろ しく 。俺 は 、 ここの 提 督だ ﹂ ﹁ 吹 雪 です 。 が ん ば ろ うね !白 雪 ち ゃん !﹂ ﹁ 睦 月 です 。よろ しくね !﹂ ﹁提 督 、 白 雪 の 装 備 と し て 1 2.7 c m 連 装 砲 が あ り ま す 。 で 、 白 雪 の カ ー ド と 装 備 の 31 第五話「建造と報酬」

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カード です ﹂ ﹁ あ り がとう ﹂ ﹁ いいえ 。 また何かあった ら言 ってください !﹂   そう 言 い 明石 は 、工廠 の奥に 行 った 。 ﹁ さて 、三人 と も行 く よー﹂ ﹁ ﹁ ﹁ は ー い ﹂ ﹂ ﹂  提 督たち も工廠を後 にし 、執務室 に 向 かった 。  ー執務室ー  工廠 か ら 帰ってきた 三人。提 督は 三人 の前に 立 ち 、 ﹁ さて 、 睦 月、 白 雪、 着 任 お め でとう ﹂ ﹁ ﹁ はい ﹂ ﹂ ﹁部 屋割 り とかは 、 吹 雪 と 話 し 合 ってく れ。 そして 、 午 後 まで ゆ っく り してて ﹂ ﹁良 い ん ですか ?﹂ ﹁ いいさ 。 その 代わり、 午 後 か ら出撃 してほしい ﹂ ﹁ ﹁ ﹁分 か り ました ﹂ ﹂ ﹂ ﹁ では 、 また午 後 にここにきてく れ。解 散 !﹂   そう 言 うと 、三人 は楽しそうに 話 なが ら部 屋 を出 て 行 った 。 32

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  その 後、提 督は 、 ︵ 大 淀 と午 後 の 出撃 について 話 し 合 うか . . . ︶   と 言 って 、伝達室 へ 向 かった 。 33 第五話「建造と報酬」

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第六

話﹁

とこの

    午 後 の 執務室、提 督の前に ﹃ 吹 雪﹄ ﹃ 睦 月﹄ ﹃ 白 雪﹄ が並 ん でいた 。 ﹁よ し 、 そ ろ ったな 。 こ れ か ら出撃内容を説明 す る﹂  提 督は 一 息 置 いて 、 ﹁ 作戦 名 は ﹃近 海 警備﹄ 。出撃 先は 、 鎮守府 正 面 海 域。 大 淀 の偵 察 機に よる と 、﹃艦﹄ では ない 状 態の 駆逐艦 と 軽巡 が 確認 さ れ てい る。 なので 、艤装を装備 して 出撃 してく れ﹂ ﹁ ﹁ ﹁ はい ﹂ ﹂ ﹂ ﹁ そ れ では 、出撃 !﹂  ーーーーーーーーーー  ーーーーーーーー  ーーーー  三人 が 、 出撃 していく 様 子 を提 督は桟橋で 見送 った 。三人 の影が 小 さくなったの を確 認 す る と 、 ﹁ では 、上 空か ら様 子 を見 ますか ∼﹂   そう 言 って 提 督は 、 自身 の 艤装を 展 開 す る。矢 筒か ら矢を一 本 出 し放つ 。矢 が 零 戦 5 34

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2型1 機に 姿を変 えて 、三人を追 う よ うに 上 空 を飛ん でいく 。 ︵ でき る だけ 高 い位 置 か ら実況を お 願 い . . . ︶  提 督は 自分 の 艦載 機の 妖精 にそう 指 示 を出 す 。 ︵ ﹃了解 です 。 そ ろ そ ろ交 戦 予定 地 点 です ﹄ ︶  妖精 か ら、 そう 返 ってきて 提 督は 耳を澄 ませた . . . 。  一方、 海 上 では吹 雪 たちが敵 を探 しなが ら進ん でいた 。 す る と吹 雪 が 、 ﹁ 敵 艦、見ゆ !艦 種 、駆逐イ級 !砲 撃 戦 よー い ﹂   吹 雪 の 声 に 二人も近 づいてく る 敵に 、艦 砲 を向 け る。 ﹁ って ー !﹂  動令 と 同 時にそ れ ぞ れ の砲か ら 弾が イ級 に放た れる。イ級も負 けじと砲 を 放つ 。  ドカーン !!   その 後、 大きな 音 と共に イ級 の周 り に水 柱 が 立 つ 。 そ れ が 、 消 え る と イ級 はそこに横 た わ っていた 。勝 利であ る。   ちな み に イ級 の放った弾は白 雪 の 艤装を かす め た 程度 だった 。 ﹁ 敵 撃沈を確認、 さ ら に奥に 進み ますか ?司令官 ?﹂ ﹁ い や、 いった ん 戻って来い ﹂ ﹁了解。 こ れ か ら 帰 投 します ﹂ 35 第六話「戦闘とこの世界」

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 提 督との 通信を 終えた吹 雪 は 二人 に 、 ﹁ こ れより、鎮守府 へ帰 投 します ﹂ ﹁ ﹁ はい ﹂ ﹂   と 伝 え 、 鎮守府を目指 した 。上 空では 、 零 戦が 旋回 し吹 雪 たちと 同 じとこ ろを目指 し ていた 。  ーーーーーーーーーー  ーーーーーーーー  ーーーー  提 督は桟橋で 、 水平 線 に 沈む日を背 にし 、 鎮守府 に帰ってく る三人を 眺 め ていた 。 ︵ ち な み に 、20分 前に 零 戦が帰って来て 艤装 はしまってあ る︶  三人 が桟橋に着くと 、 ﹁ おかえ り、 吹 雪、 睦 月、 白 雪、 お 疲れ﹂   と 、声を かけた 。三人 は 、 ﹁ はい !吹 雪、 が ん ば り ました !﹂ ﹁ 睦 月も が ん ばったのです !﹂ ﹁ 白 雪も. . . が ん ば り ました . . . ﹂   と 、 答えた 。 36

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﹁ 結 果 は ?﹂ ﹁ は い 、駆 逐 イ 級 と 交 戦 。 白 雪 ち ゃ ん が 敵 の 弾 を 受 け ま し た が 、 か す め た だ け の よ う で す 。 そして 、 敵の イ級 は 撃沈 しました ﹂ ﹁了解。後 で大 淀 に も 報告してく れ。 そして 各自艤装を 入渠 、 補 給させ るよ うに 。 で 、 吹 雪 はその 後執務室 に来てく れ﹂ ﹁ ﹁ ﹁了解﹂ ﹂ ﹂   吹 雪 たちは 艤装を 入渠させに 、提 督は 執務室 に 向 かった 。  ー21:00 執務室ー  ダンボール しか無い 執務室 に ノック が 鳴る。  コンコン ﹁ は ー い ?﹂  提 督は 、部 屋の 真ん 中 辺り に 座り なが らノック に答え る。 ﹁ 吹 雪 です ﹂ ﹁ どうぞ ー﹂ ﹁ 失礼します 。 そ れ で 、 何の用 事 でし ょ うか ?﹂ ﹁ い や、 この 世 界について 聞 きたいと 思 って ﹂ ﹁ そ れ って 、総 帥に 聞 いたのでは ?﹂ 37 第六話「戦闘とこの世界」

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﹁総 帥に 聞 いたのは 、 転移 についてだけの よ うな も のだし 、 そうじ ゃ なくて 国 の 状 態など が 聞 きたいなと 思 って ﹂ ﹁ そうですか . . . 。 いいです よ﹂ ﹁ じ ゃ あ 、頼む﹂   そうす る と吹 雪 は 提 督の前に 座り、話 し 始め た 。 ﹁ 先ず 、 国 の 状 態についてですが 、 日 本は 深 海 棲艦 との戦 争 が 始 まってすぐは 駐日 の アメ リカ軍 と共に戦 闘を開始 します 。 しかし 、 あっという 間 に敵に やられ ます 。 す る と 、 ア メリカ は敗 北を きに 駐日 の全ての 軍隊を自国 へ 撤退 させ 始め ます 。 まあ 、 航 空機は帰 還 できた も の も い る そうですが 、 他 はほと ん ど 沈められ た ら しいです 。 その 後、 日 本は 陸 海空の 自衛隊を軍 に 変更 し 、 日 本の み で 対抗 します 。 しかし 、 日 本で戦え る軍艦 は元 護 衛艦 などの 現代駆逐艦 ぐ ら いですので 、 ほと ん ど 沈められ ます 。 で 、 海 岸目 前まで 迫ら 私 たち 艦 娘 れ た と き に 現 れ た の が で す 。現 代 兵 器 で 倒 せ な か っ た 敵 を 倒 し た 私 た ち に 人 々 は 、 希望を感 じました 。 そして 、 そのとき 艦娘艦隊 の 旗艦 だった ﹃長門﹄ さ ん が ﹃日 本 奴 ら 深 海 棲艦 に協 力 して を倒 す ﹄ と 言 ったそうです 。 その 後 すぐにこの体制がと られ ました 。 そ して 、 日 本 人 の 生 活は 艦娘 の 集める資 材に よ って 回 っています 。 そ れ は 、 人々も承知 な 様 です ﹂ ﹁ な る ほど 。 で も、 本当に 人々 は 希望 だけ を感 じたのか ?﹂ 38

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﹁ いえ 、 確 かに 純粋 に ﹁ こ れ で 助 か る﹂ ﹁日 本は 勝 て る﹂ と 感 じた 人も いましたが 、 私 た ちに 変 な 目を向 け る人も いました ﹂ ﹁ と 言 うと ?﹂ ﹁ 潜 水 艦 の 子 た ち は 除 き ま す が 、 普 段 私 た ち は こ の 格 好 で 生 活 し ま す 。街 に も こ の 格 好 で 出る ことしばしばあ り ます ﹂ ﹁ つま り、 その 変 な 目 と 言 うのは . . . ﹂ ﹁提 督 の 考 え て い る こ と で あ っ て い る と 思 い ま す 。艦 娘 が そ う ゆ う 系 の 犯 罪 の 被 害 者 に な る ことがあ る ことが 増 えました 。 そ ん なこと も あ り、 鎮守府 か ら外出 す る ときは 、 提 督 随 伴が 必須 にな り ました ﹂ ﹁ そうなのか 。 あと 、最後 に 一 つ ﹂ ﹁ 何でし ょ う ?﹂ ﹁今動 いてい る鎮守府 は ?﹂ ﹁ えっと 。 横 須賀鎮守府や 呉 鎮守府、 佐 世保鎮守府 など 16 ほどあった 気 がします ﹂ ﹁ あ り がとうな 、 吹 雪﹂ ﹁ いえ 。 そ れ では 、 そ ろ そ ろ寝 ますね ﹂ ﹁ あっそうだ 、 吹 雪﹂ ﹁ 何でし ょ う ?﹂ 39 第六話「戦闘とこの世界」

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﹁明 日 外 に 、執 務 室 に 置 く 机 と か 見 に 行 か な い か ?睦 月 た ち に は 悪 い が 哨 戒 を し て も ら って ﹂ ﹁ えっ 。 で も そ れ だと睦 月 ち ゃん たちがか わ いそう ﹂ ﹁心配 す る な 。 彼女たちは 、 また別の 日 に 連れ て 行 ってあげ るよ﹂ ﹁ な ら、 お 供 します !﹂ ﹁ そうか 、 じ ゃ あ 明日、0600 に正 門 に来てく れ﹂ ﹁ はい !では 、 お や す み なさい ﹂ ﹁ はい 。 お や す み﹂  バタン   吹 雪 が 出 て 行 ったあと 、 ﹁. . . 大 淀 に 明日 の 執務を頼ん でか ら行 くか ﹂   と 言 って 、提 督は大 淀 の 部 屋に 向 かった 。 40

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七話﹁提

督と

艦娘

のお

出掛

雪編│﹂

   提 督は 、朝早 くに 工廠を訪れ ていた 。 ﹁ お ー い 。明石ー﹂ ﹁ 何ですかぁ ?まだ 0530 です よ﹂   と 、明石 は 提 督の 声 に欠伸 を しなが ら 答え る。 ﹁ すま ん が 、建造を頼み たいのだが ﹂ ﹁ いいですけど 。 何故こ ん な 朝早 くに ?﹂ ﹁実 は . . . ﹂   そうして 訳を話 すと 、 ﹁ へ ー そ れ で 。分 か り ました 。資 材の数は ?﹂ ﹁燃料250、 弾 薬30、銅 材 200、ボーキサイト30、 で 頼む﹂ ﹁了解 です 。 帰ってきた ら またきてください ﹂ ﹁分 かった ﹂   そう 言 って 提 督は 、工廠を出 て 行 った 。  ーーーーーーーーーー 41 第七話「提督と艦娘のお出掛け─吹雪編─」

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 ーーーーーーーー  ーーーー  ー 正 門 前 ー  提 督は 、 吹 雪 が来 る の を待 っていた 。 ちな み に 、 白い 提 督 服 であ る。 ﹁ お 待 たせました ﹂   吹 雪も、 いつ も の セーラー服 で来た 。違 うのは 、 緑色 っぽい トートバックを持 ってい たこと 。 ﹁気 にす る な 。 さて 、行 くか ﹂ ﹁ はい !﹂   吹 雪 と 提 督は正 門を くぐ り ぬけた 。 ﹁ 机 を買 うのが 目的 だが 、 先に吹 雪 の 行 きたいとこ ろ か ら回ろ う 。 どこに 行 きたい ?﹂   そう 言 い 提 督は吹 雪 に ガイドブックを見 せ る。 ﹁ そうですね . . . 。 と り あえず 街 に 出 て 、行 きたいなと 思 ったとこ ろ に 行 きたいです ﹂ ﹁ そうか 、分 かった 。 じ ゃ あ 電車 に乗って中 心部 に 向 かうか ﹂   そうして 、二人 は 最寄り駅 に 向 かった 。  ー最寄り の 駅ー ﹁ えっと 、 目的 の 駅 はっと 。 ここか 、 切 符は . . . 。 そうだ吹 雪、 切 符の 料金 は大 人 と子 供 42

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どち ら だ ?﹂ ﹁確 か 私 は大 人料金 です ﹂ ﹁ そうか 、 じ ゃ あ大 人二人 っと 。よ し 。 吹 雪、切 符だ ﹂ ﹁ あ り がとうございます 。 あっそ ろ そ ろ電車 来ます よ﹂ ﹃ ま も なく 、一 番 線 に 電車 がまい り ます ﹄  ホーム に 電車 が 滑り込む。 ﹁ さあ 、 乗 り まし ょ う ﹂ ﹁ ふ ーん。車 両は 201を. . . ﹂ ﹁司令官 !﹂ ﹁ん ?。 あ 、 ああ 今行 く ﹂  二人 は 電車 に乗 り、目的 の 駅を目指 す 。  ー目的 の 駅ー ﹁ 着きましたね ー﹂ ﹁意外 と繁 栄 してい るも のだな 。 どこか 見 たい所あったか ?﹂  提 督は 、街 の 規 模に 関心 しなが ら聞 く 。 ﹁ そ ー ですね . . . 。 あそこ 、行 きたいです !﹂ ﹁ゲームセンター か 、 いいぞ ﹂ 43 第七話「提督と艦娘のお出掛け─吹雪編─」

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﹁ では 、行 きまし ょ う !! ﹁ そ ん なに 引 っ張 る な !﹂   吹 雪 は 提 督の 服 の 袖を引 っ張 り なが らゲームセンター へ 向 かった 。  ーゲーセン内ー  ガヤガヤ ﹁わー !い ろん な ゲーム があ り ますね !﹂ ﹁ そ 、 そうだな ﹂ ﹁司令官 ?どうしました ?﹂ ﹁ い や、ゲームセンター ではあま り遊ん だことが無くてな ﹂ ﹁ そ ん な ん ですか 。 あっで もクレーンゲーム く ら いな ら できます よ ね ﹂ ﹁ そのく ら いな ら いいぞ ﹂ ﹁ では 、やり まし ょ う !﹂   そうして 、 二人 は クレーンゲーム の 台を吟 味していく 。 吹 雪 は 、 その中の 一台 に 目を つけ 、 ﹁司令官、 こ れやり まし ょ う !﹂ ﹁ん ?ペンギン のか 。 ってこ れ どっかで 見 たことあ るよ うな ﹂ ﹁開 発とかしてい る と失敗す る ときがあ り ます よ ね ?﹂ 44

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﹁ あ ー、 そのぬいぐ るみを こういうとこ ろ に 、 ﹂ ﹁ そうな ん です 。意外 と 人気 あ るみ たいで 、 ﹂ ﹁ ほしいのか ?﹂ ﹁ ほしいですけど . . . 。難 しそうですね ﹂ ﹁ ませ ろ。俺 が 取 って み せ る﹂ ﹁ 本当ですか !? ﹁ ああ ﹂  チャリン ﹁も う 少 し 右 です ﹂ ﹁む っ ﹂ ﹁ あっそこそこ !﹂ ﹁ こうだっ !﹂  ペンギン が クレーン に 掴 ま れ て浮き 上 が る。 ﹁ お ー﹂ ﹁ん っ 。 どうか ?﹂  取り出 し 口 手前で スルッ と 落 ちてしまう 。 ﹁ あ ー﹂ 45 第七話「提督と艦娘のお出掛け─吹雪編─」

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﹁ だ め だったか ﹂   が 、ペンギン は バウンド して 取り出 し 口 に 落 ちた 。 ﹁ ﹁ お ー。や った ー !﹂  二人 は 人目も気 にせず 喜ん だ 。 ﹁ はい 、 吹 雪﹂ ﹁ あ り がとうございます 司令官 !! ﹁ いいえ 。 そ れより、少 し 休憩 す る か ﹂ ﹁ そうですね !﹂   吹 雪 は ペンギン のぬいぐ るみを かば ん にしまい 、提 督と 休憩スペース へ 向 かった 。  ー休憩スペースー ﹁ じ ゃ あ 、 何か 飲むも の 買 ってく る か ら待 ってて ﹂ ﹁ はい !﹂  提 督は 、 吹 雪 にそう 伝 え る と 自販 機に 向 かった 。 吹 雪 はかば ん の ペンギンを見 て 笑み を こぼす 。 そ ん な吹 雪 の前に 二人 の男が 、 ﹁よー。 か わ いいね ー。 こ れ か ら俺ら と 遊 ばない ?﹂    一方、 提 督は 自販 機で 飲み 物 を買 っていた 。 時 々、 あの吹 雪 の 笑顔 に ボケー っとな り 46

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なが ら。   そ ん な時 、 吹 雪を待 たせていた 方向 か ら声 が ! ﹁ い や です ー !﹂ ﹁ なぁなぁ ∼ いいじ ゃん か よー﹂ ﹁やめ てください !﹂ ﹁ っくそ ﹂  提 督は 走 って 、声 の 方向 へ 向 かった 。 ﹁ ほ ーら さ ∼﹂ ﹁ い ーやー﹂ ﹁ 何して ん だ ゴラー !﹂   吹 雪 は 、 男 一人 に片 腕を引 っ張 られ ていた 。も う 一人 の男は 隣 で ニヤニヤ していた 。  提 督は 、 そ ん な男 ら目掛 けて手に 持 っていた も の を投 げた 。  ゴツン ﹁痛 いな 。誰 だ ∼投 げたのは ﹂ ﹁ゲッ !その制 服 は !﹂ ﹁ハアハア. . . 吹 雪 に 一 体 . . . 何し よ うとしてい る !?﹂ ﹁司令官 !﹂ 47 第七話「提督と艦娘のお出掛け─吹雪編─」

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  いつの 間 にか周 り には 人 だか り ができていた 。 ﹁ ふ ん っ !司 令 官 だ と ?! 下 一 人 も ま と も に 見 て ら れ な い の か ?情 け ね ∼ な ∼。 こ い つ は 連れ て 行 くか ら な 。 おい !﹂ ﹁ はい よ、 兄 貴。 ほ ら 来い !﹂ ﹁ い や﹂ ﹁ くっ !﹂   そのとき 、提 督の 耳 に 微 かな戦 闘 機の 音 が 聞 こえた 。 ﹁ん ?﹂   そ れ と 同 時に 、二人 の男に 変化 が . . . ﹁ ﹁イタタタタ !﹂ ﹁チャンス !!吹 雪、 こっちだ ﹂ ﹁司令官 !﹂   吹 雪 は手 を離 さ れ た 隙 に 提 督の元へ 向 かう 。提 督は吹 雪を自分 の 後ろ にま わ す 。 ﹁ くそっ !覚 えて ろ !﹂ ﹁ まってください兄 貴﹂ ﹁ ふぅ ﹂  提 督は 、二人 が 逃 げたの を確認 す る と 安 堵の息 を漏ら す 。 そして 、 48

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﹁ と り あえずこっちだ吹 雪﹂ ﹁ あっ 。 え 、 はい ﹂  提 督は 、 吹 雪を連れ て別の場所へ 行 った 。  ーーーーーーーーー ﹁ すま ん !!! 雪 !!俺 が 目を離 したばか り に 怖 かっただ ろ う ﹂  提 督は 、最 敬礼 以上 に 深々 と 頭を下 げた 。 ﹁ い や。 そ ん な 頭下 げないでください !﹂ ﹁ い や、 で も﹂ ﹁ いい ん です 。怖 かったけど . . . ﹂ ﹁ん ?怖 かったけど何だ ?﹂  提 督は 、 吹 雪 の 言葉 に 疑 問 を投 げかけ る。 吹 雪 は慌てて 、 ﹁ いいえ !何で も あ り ませ ん !ささ 、行 きまし ょ行 きまし ょ !﹂   そう 催促 す る。 ﹁ そ う だ な 。 こ ん な こ と も あ っ た し も う 帰 ろ う 。 机 は 適 当 に 明 石 に 見 繕 っ て も ら う こ と にし よ う ﹂   そう 言 って 、二人 は 家路 に着いた 。 ﹃怖 かったけど 、 吹 雪 のた め に 立 ち 向 かった 司令官 はかっこ 良 かったです ﹄ 49 第七話「提督と艦娘のお出掛け─吹雪編─」

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  吹 雪 は 、司令官 に 聞 こえて無くて よ かったと 思 った 。  ー 帰 宅後、鎮守府工廠ー   吹 雪 は 寮 に帰 り、提 督は 工廠 に来ていた 。 ﹁明石ー﹂ ﹁ は ー い 。建造 結 果 ですね ﹂ ﹁ ああ ﹂ ﹁ 結 果 は 、 この子が 出 ました ﹂   その 声 と共に 、 奥か ら建造 さ れ た子が 出 てく る。 ﹁古鷹 と 言 います 。重巡洋艦 のいいとこ ろ、 たくさ ん知 って もら え る と 嬉 しいです ﹂ ﹁よろ しく 、俺 がここの 提 督だ ﹂ ﹁よろ しくお 願 いします 。提 督 ﹂ ﹁提 督 、 古鷹 さ ん の カード と 装備 の 20.3cm連装 砲と 7.7mm 機 銃 の カード です ﹂ ﹁ どう も。古鷹、 今日 は も う 遅 いか ら休み なさい 。 こ れ、 俺 が 使 って る 地 図 だがここか ら 重巡 の 寮を見 つけて 休め。部 屋はどこ 使 って も良 い ﹂ ﹁ はい 。分 か り ました ﹂   そう 言 って 古鷹 は 工廠を出 て 行 った 。 ﹁ あっ 。 そうだ 明石﹂ 50

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﹁ 何でし ょ う ?﹂ ﹁執務 用に机がほしい ん だけど ﹂  提 督は申し 訳 なさそうに 言 う 。 ﹁ え ー。買 いに 行 った ん じ ゃ ない ん ですか ?﹂ ﹁ そ れ が . . . ﹂  提 督は 、訳を話 す 。 ﹁ そ ん なことが . . . ﹂ ﹁ そのときは 、 本当に吹 雪 には 悪 いこと を したと 思 ってい る﹂   そう や って 少 し 頭を下 げた 。 ﹁ ま ぁ 。 そ ん な に 反 省 し て い た ら 次 は し な い で し ょ う ね 。 で 、 そ ん な こ と が あ っ て 帰 っ てきたか ら 机は 見 ていないと . . . ﹂ ﹁ そうです ﹂  明石 は 少 し 悩む と 、 何 を思 いついたか 。 ﹁ いいです よ。 作 り ます ﹂ ﹁ 本当か !﹂ ﹁ ええ 、 その 代わり 条 件 が ﹂ ﹁ 条 件 ?﹂ 51 第七話「提督と艦娘のお出掛け─吹雪編─」

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﹁ はい 、工廠 の 仕事 のほかに 艦娘寮 の本 棟 でお 店をやら してください !﹂ ﹁ まあ 、 そのく ら いな ら いいぞ ﹂ ﹁ じ ゃ あおまかせ を !!明日 には 完成 させます ﹂   そう 言 って 明石 は 工廠 の奥に 消 えていった 。  提 督 も 欠伸 を しなが ら工廠を あとにした 。 52

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第八

話﹁出撃開始

通達﹂

   朝早 く 、 提 督が 執務室 で ダンボール か ら書類やらを出 してい る と 誰 かが ノック す る音 が 、 ﹁ は ー い ﹂ ﹁明石 です ﹂ ﹁ どうぞ ー﹂ ﹁ 失礼します 。 机ができたので 、 お 持 ちしました ﹂ ﹁ そうか 。部 屋に入 れる のは手 伝 う よ﹂ ﹁ お 願 いします ﹂   焦げ 茶色 に塗 ら せた机が 執務室 に 運 び 込 ま れ た 。 ﹁ あと 椅 子ですね ﹂ ﹁ すま ん な ﹂ ﹁ いいえ 。 こう 言 うの好きな ん でいいです よ﹂   こ ん どは机と 同様 に焦げ 茶色 で 更 に クッション まで 付 け られ た 椅 子が 運 ば れ た 。 ﹁ あ り がとう ﹂ 53 第八話「出撃開始と通達」

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﹁ いいえ 。 また何かあった ら言 ってください ﹂   そう 言 って 明石 は 部 屋 を出 て 行 った 。  提 督は 明石 が 出 て 行 ったこと を確認 す る と 、 ﹁ さて 、やり ますか ー﹂   と 言 って 、  ダンボール内 の 書類を 机に 納め た り し 始め た 。  ーーーーーーーーー  ーーーーーーー  ーーーー  日 が 昇 って 人々 が 動 き 始め たとき 、執務室 に来 る艦娘 が 一人 いた 。  コンコン ﹁ はい ?﹂ ﹁ 吹 雪 です ﹂ ﹁ どうぞ ﹂ ﹁ 失礼します 。執務 の手 伝 い を﹂ ﹁ あ り がたいが机が 一 つしか無い ん だ 。今度頼ん でく る か ら今日 はいいぞ ﹂  提 督は 今日 の 分 なのだ ろ う 。 数 枚 の報告 書 に 記 入 を しなが ら 答え る。 ﹁ そうですか ﹂ 54

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﹁ あっそうだ 。建造 だけ 頼ん できてく れ ないか ?﹂ ﹁ いいです よ。資 材の数は ?﹂ ﹁建造を二回 で 、 資 材数は 、 一回 が 燃料250、 弾 薬30、 銅 材 200、 ボーキサイト3 0。も う 一回 が 各資 材 30 で 頼む﹂   そう 言 うと机か ら建造 の 書類を取り出 し 。資 材の 欄 に数 を記 入して吹 雪 に 差 し 出 す 。 ﹁分 か り ました 。 では 行 ってきます ﹂ ﹁ ああ 。 あと 、 帰 り に睦 月 と白 雪を連れ て来てく れ。今日出撃 す る か ら﹂ ﹁ はい ﹂   そう 言 うと 、 吹 雪 は 建造 の 書類を提 督か ら受 け 取り執務室を あとにした 。 ﹁ さて 、俺 は 古鷹を 呼 ん で来なくては ﹂  提 督は 、重巡 の 寮 へ 向 かった 。  ー重巡寮ー  提 督が 重巡 の 寮 に入 る と 古鷹 は入 り口 すぐの 談話スペース での ん び り していた 。 ﹁ あっ 。 おは よ うございます 。提 督 ﹂ ﹁ おは よ う 古鷹。部 屋はどうだ ?﹂ ﹁ 居 心 地 良 いです よ。 あと 、 地 図 あ り がとうございました ﹂  古鷹 はそう 言 って 提 督に地 図を返 す 。 55 第八話「出撃開始と通達」

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﹁ そうか 、 そ れ な ら良 かった 。 そうだ 、今日出撃 して もら いたいのだがいいか ?﹂ ﹁ いいです よ﹂ ﹁ な ら、執務室 に 一緒 に来てく れ。他 の子に も 紹 介 す る﹂ ﹁ はい ﹂  二人 は 執務室 に 向 かった 。  ー執務室ー  提 督と 古鷹 が 執務室 に来て 10分後。 吹 雪 が睦 月 たち を連れ てきた 。  コンコン ﹁ は ー い ﹂ ﹁ 吹 雪 です 。二人を連れ て来ました よ﹂ ﹁ どうぞ ﹂ ﹁ ﹁ ﹁ 失礼します ﹂ ﹂ ﹂ ﹁ い ら っし ゃ い 。 紹 介 し よ う 、新 しく入った 重巡 の 古鷹 だ ﹂ ﹁よろ しくお 願 いします ﹂ ﹁ ﹁ ﹁よろ しくお 願 いします ﹂ ﹂ ﹂ ﹁ で 、 こ れ か ら今回 の 出撃 の 説明を す る﹂  四人 は机の前に並 ん だ 。 56

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﹁今回 の 出撃 は 鎮守府 正 面 海 域。 前 回 は ﹃艦﹄ でないほうの 駆逐 と 軽巡 がいたのだが大 淀 の偵 察 機に よる と 、 ﹃艦﹄ の 駆逐 と 軽巡 になっていた ら しい ﹂ ﹁ そうな ん ですか 。司令官、編成 の 内容 は ?﹂ ﹁編成 は 、 旗艦 に ﹁ 吹 雪﹂ 、 僚艦 に ﹁古鷹﹂ ﹁ 睦 月﹂ ﹁ 白 雪﹂ だ 。古鷹 は吹 雪 の サポートを してく れ﹂ ﹁ はい ﹂ ﹁艦 は も う 曳航 して もら って桟橋に 移動 してあ る。 そ れ では 、出撃 !﹂ ﹁ ﹁ ﹁ ﹁ はい !﹂ ﹂ ﹂  四人 は 執務室を出 て 行 った 。提 督は 窓 か ら 桟橋 を見 て 。 ﹁ さて 、出撃 したの を確認 した ら一 機だけ 向 か わ すか ﹂ ﹁〟一 機だけ 向 か わ す 〟 とは何ですか ?﹂ ﹁ う わ っ !大 淀 いつか ら聞 いていた ?! ﹁四人 と入 れ違 いで入って来てか ら いましたけど ?そ れより一 機だけって何ですか ?﹂   大 淀 はそう 言 って 提 督に 迫 った 。 ﹁ うっ 。分 かった 分 かった 。話 すか ら少 し 離れ てく れ﹂   そうして 提 督は 話 した 。転移者 という 事 とその特典 み たいなので ﹃赤城﹄ の 艤装 が 纏 え る こと を。 57 第八話「出撃開始と通達」

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﹁ そうな ん ですか ﹂ ﹁ そ う だ 。 あ と こ れ は こ こ で は 大 淀 以 外 に 吹 雪 に し か 言 っ て 無 い 、他 の や つ に は 言 わ な いでく れ﹂ ﹁分 か り ました 。 あっ 、 あとこ れ﹂ ﹁ん ?﹂   大 淀 は 一枚 の 紙を 渡した 。 ﹁今朝 大本 営 か ら 届いた や つです ﹂ ﹁豊後 水 道を抜 けて 日向 灘 辺り に敵の潜水 艦 か 。ん ?こ れ どこかで . . . ﹂  紙 には 、﹃豊後 水 道を抜 けて 日向 灘 辺り に敵の潜水 艦 の 反応を 発 見﹄ と 書 か れ ていた 。 提 督は 書 か れ た 内容を見 てあ る こと を思 い 出 す 。 ﹁ っ !。 そこの潜水 艦部隊を早 急に 倒 せ !万 が 一を考 えて ﹁ 大 和﹂ ﹁矢矧﹂ ﹁雪風﹂ ﹁磯風﹂ ﹁ 浜 風﹂ ﹁霞﹂ ﹁朝霜﹂ ﹁初霜﹂ は 使 ってはいけない !﹂ ﹁ えっ 。 そ れ って も しかして ?﹂ ﹁ ああ 、 おそ ら くそいつ らを使 った ら、 ﹁雪風﹂ と ﹁初霜﹂ は 助 か る か も し れ ないが 他 は 轟 沈 の 可 能 性 も あ る。 そ れ に 敵 の 大 艦 隊 か 4 0 0 機 ほ ど の 航 空 機 の 攻 撃 に 遭 う こ と に な る か も し れ な い 。 だ か ら そ れ を 考 え た 部 隊 を 編 成 を し て 立 ち 向 か う 必 要 が あ る。 そ う大本 営 に 送 ってく れ﹂ 58

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﹁ は 、 はい !﹂   大 淀 は 駆 け 足 で 部 屋 を出 て 行 った 。  提 督は 窓 の 外を見 て 、 ゲ ﹁ そ う だ 。 い く ら こ こ が 艦 こ れ の 中 の 世 界 で あ っ て も、 の よ う に は 行 か な い こ と があ る か も し れ ない ん だ よ な ﹂  提 督は 、 水平 線 に 見 え る四隻 の 艦を見 て 少 し 震 えた 。    59 第八話「出撃開始と通達」

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第九

話﹁任務完了

ドロップ﹂

   零 戦 52型 が 四隻 の 艦隊を 捉え る。 ﹃ 吹 雪 たちの 艦隊を 発 見 しました ﹄ ﹁ ここは . . . ﹂ ﹁ おそ ら く敵単 艦 での偵 察艦を撃墜 した先ですね ﹂ ﹁ という 事 はま も なく . . . ﹂ ﹁ 正 面 海 域 の敵主 力艦隊 との 交 戦ですね ﹂   そ う い う 提 督 と 大 淀 が い る の は 鎮 守 府 本 庁 舎 に あ る 艦 隊 司 令 部。二 人 は 提 督 の 艦 載 機が 送る 映 像を見 なが ら そう 話 した 。 ﹁ 敵 艦隊 の 艦 種と 編成 は ?﹂ ﹁軽巡ホ級 と 駆逐ロ級二隻 の み です ﹂ ﹁ そうか ﹂  二人 は映 像を見 なが ら交 戦のとき を待 った 。  ー鎮守府 正 面 海 域ー   吹 雪 たちの 艦隊 は先ほど 駆逐イ級 との 交 戦 を難 なくこなし奥へ 進ん でいた 。 60

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﹁んー。 居ませ ん ね ﹂   吹 雪 は 艦 橋 か ら 水 平 線 へ 目 を 凝 ら す 。 い つ ど こ か ら 現 れ る か 分 か ら な い 深 海 棲 艦 に 艦 橋 内 は 少 し 緊 張に 包 ま れ ていた 。 そのとき 、 ﹃ 正 面 に敵 艦隊を 発 見 !軽巡1、駆逐2 !﹄ ﹁ 全 艦 に 通達 !旗艦 先 頭、 単縦 陣 で敵と 交 戦す !全 艦最 大戦 速 !﹂  観 測 妖精 と吹 雪 の 指 示で 一気 に 緊 張 感 が 高 ま る。四隻 は 徐々 に ﹁ 吹 雪﹂ ﹁古鷹﹂ ﹁ 睦 月﹂ ﹁ 白 雪﹂ の 順 に縦に並び敵に 向 かう 。 ﹁反航 戦で敵と 交 戦します !砲 撃 戦 よー い !﹂   吹 雪 の 声 と 共 に 全 艦 の 艦 砲 が 左 舷 側 で 敵 艦 を 捉 え る。対 す る 敵 も 単 縦 陣 で 艦 砲 は こ ち らを向 いてい る。 ﹁ て ー !﹂  ドーン !ドーン !   そ れ ぞ れ の 艦 砲が弾 を 放ち 、 目標目掛 けて 飛 び 交 う 。 この 交 戦で敵の 駆逐ロ級一隻を 撃沈、 軽巡ホ級を小 破 、 も う 一隻 の 駆逐ロ級を 大破に 追 い 込ん だ 。 こち ら は 、 古鷹 と睦 月 が 微減 で 済ん だ 。 ﹁ こ れより雷撃 戦に 移り ます !雷撃 戦 よー い !﹂   両 艦隊 が 右回頭 し 、魚雷 発 射管を向 け る。 61 第九話「任務完了とドロップ」

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﹁ て ー !﹂  魚 雷 が 放 た れ 海 に 微 か な 泡 が 見 え る。 敵 の ホ 級 も 負 け じ と 魚 雷 を 放 つ が こ ち ら の 魚 雷 と当たった り してあま り 数が来なかった 。  ドッバシャーン !!  魚雷 が命中し水 柱 と 轟音を響 かせ る。間 か ら は ホ級 と ロ級 が 沈む のが 見 えた 。 ﹃ 敵全 滅を確認 !こち ら は睦 月 が 魚雷を受 けて中破 !白 雪 に 曳航 さ れ ています ﹄ ﹁分 か り ました 。 全 艦 に 伝達、 こ れより鎮守府 へ帰 投 す !﹂   吹 雪 たちは 燃 えて 沈む 敵 艦を 横に 見 据えて 鎮守府を目指 した 。  一方、艦隊司令部 では攻略 成功 に 安 堵の 声 が 、 ﹁よ っし ゃー !何 事も 無くて よ かった ﹂ ﹁ そうですね 提 督 ﹂ ﹁ ああ 、 そ ろ そ ろ艦載 機 を 戻す 。 あと 、 あいつ らを迎 えにいこう ﹂ ﹁ そうですね ﹂   そ う 言 っ て 二 人 は 桟 橋 に 向 か う た め 部 屋 を 出 て 行 っ た 。提 督 の 艦 載 機 が 四 隻 の ほ か に も う 一隻、 吹 雪 に よ く似た 船 体の 艦 が 漂 ってい る の を見 ずに 。   ﹁ん ?何でし ょ うかあ れ ?﹂ 62

(67)

 同 刻 、 吹 雪 はその 艦を 発 見 していた 。 ﹃ 側 面 に 〟サザナミ〟 と 書 か れ ています ﹄ ﹁ と り あえず 接近 して中 を見 て み まし ょ う ﹂   吹 雪 たちは 艦を寄 せて 〟サザナミ〟 と 書 か れ た 艦 の中に入 り、辺りを探 索した 。 ﹁んー。誰も 居ませ ん ね 。 あとは 艦長室 ぐ ら いでし ょ う ﹂   吹 雪 たちは 、艦長室 に 向 かった 。 ﹁ と り あえず 、 中に入 り まし ょ う ﹂  四人 は恐 る 恐 る 中に入 り、 人 が居ないか 探 した 。 が 、 結局 見 つか ら ず 部 屋の 真ん 中に 集 ま り首を かしげた 。 ﹁ 戦 闘 の あ と で 交 戦 場 所 付 近 に あ っ た 帝 国 海 軍 の 艦 な の だ か ら ド ロ ッ プ し た も の か と 思 ったのですが . . . ﹂ ﹁妖精も艦娘 の 姿も見 つか ら ないのね ﹂ ﹁ で も、ドロップ艦 な ら艦娘 は居 る はずです よ﹂ ﹁も う 一回探 しまし ょ うか ﹂   吹 雪、 睦 月、 白 雪、古鷹 がそう 言 って 考 えてい る と 、 ﹁ 本当に 端 か ら端 まで 探 しましたか ∼ ?ふ む ふ む﹂ ﹁探 しました よ って !う わ っ !﹂ 63 第九話「任務完了とドロップ」

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﹁〟 う わ っ 〟 って 酷 いですね ∼ 吹 雪 ち ゃん ?﹂ ﹁ い き な り 現 れ て 何 言 っ て る ん で す か 漣 ち ゃ ん !あ と 、勝 手 に ス カ ー ト の 中 を 見 な い で !! ﹁許可を取れ ばいいの ?﹂ ﹁ そう 言 う 事 じ ゃ あ り ませ ん !﹂ ﹁ ﹁ ﹁ あっ居た ﹂ ﹂ ﹂   漣は 突 然 現れ た 。 吹 雪 は 顔を真 っ 赤 にして 、 ﹁ と 、 と り あえず !こ れ か ら 漣ち ゃんを私 が 曳航 して 鎮守府 まで 行 きます !﹂ ﹁りょー かい ﹂   そこか ら は 早 かった 。各艦 に戻 り、 吹 雪 は漣の 曳航 の 準備を す る。 ﹁古鷹 さ ん !先 頭 お 願 いします !﹂ ﹁了解。 全 艦 前 進原速 !﹂   ﹁ 漣 ﹂ を加 えた 五隻 は ﹁古鷹﹂ を 先 頭 に ﹁ 吹 雪﹂ ﹁ 漣 ﹂﹁ 白 雪﹂ ﹁ 睦 月﹂ の 順 に並び 再 び 鎮守府を目指 した 。  ーーーーーーーーーー  ーーーーーーーー  ーーーー 64

(69)

  時 間 はお昼前 、 桟橋には 提 督と大 淀 が居た 。 水平 線 か ら こち ら に 向 かってく る今朝出 て 行 った 艦隊を見 て 。 ﹁ お ー 来た来た ﹂ ﹁提 督 、艦 が 一隻増 えてます 。 どう やらドロップ艦 が 出 た よ うです ﹂ ﹁ドロップ艦 ?﹂ 艦 ﹁ はい 、 出撃 した先で敵 艦隊 と 交 戦のあと 、 時 々近 くに 帝国 海 軍 の が 漂 ってい る ことが 艦 あ る ん で す よ。 発 見 し た 艦 隊 が 所 属 す る 鎮 守 府 に そ の が 居 な い な ら 艦 内 に 艦 娘 が 居 ま す 。 居 る な ら 艦 娘 は 居 ら ず 艦 の み で す 。 こ れ は 建 造 に も 言 え る こ と で す 。 簡 単 に 言 えば 一 つの 鎮守府 に 艦娘 は 各 種 一人 という 事 です ﹂ ﹁ な る ほど ﹂   大 淀 が 提 督にそ ん なこと を話 してい る と 、艦隊 は も う桟橋に着けていた 。 ﹁司令官 !﹂ ﹁ おお 、 お帰 り。 結 果 は ?﹂ ﹁ は い !最 初 に 駆 逐 イ 級 一 隻 と 交 戦 、 こ ち ら は 損 害 無 く 撃 墜。 次 に 軽 巡 ホ 級 一 隻 と 駆 逐 ロ級二隻 と 交 戦 、 こち ら は 古鷹 が 微減 で睦 月 が中破しましたが 撃墜。 帰 投 の 際 漣 を 発 見 しました ﹂ ﹁綾波型駆逐艦﹁ 漣 ﹂ です 、 ご主さま 。 こう 書 いてさざな み と 読み ます ﹂ 65 第九話「任務完了とドロップ」

(70)

  そう 言 って空中で 文 字 を書 きなが ら 漣は 自己 紹 介 した 。 ﹁よろ しく 。俺 はここの 提 督だ ﹂ ﹁よろ しくね 。 あとこ れカード﹂   漣は 自分 のと武器の カードを提 督に渡した 。 ﹁ あ り がとう 。 さて 、 損傷艦 は 順 に入渠と 補 給 。 吹 雪 は 、 工廠 に 寄 って 建造 の結 果を聞 い て 執務室 に来てく れ﹂ ﹁ ﹁ ﹁ ﹁ ﹁ はい ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ﹂  返事 と共に 各自 散って 行 った 。  ー執務室ー  提 督が 書類 の整 理を してい る と ノック の 音 が 鳴る。 ﹁ は ー い ﹂ ﹁ 吹 雪 です ﹂ ﹁ どうぞ ー﹂ ﹁ 失礼します 。今日 の 建造 の結 果、 この 方 が 出 てきました 。 どうぞ ﹂ ﹁ん ?﹂   吹 雪 が扉か ら少 しず れる と扉の 向 こうか ら一人 の女性が 現れ た 。 ﹁ あの . . . .軽巡洋艦、 神 通 です 。 どうか 、よろ しくお 願 いします . . . . . ﹂ 66

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