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発話障碍者のための自然対話支援システムの開発(第3報)

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Academic year: 2021

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(1)2005−HI−116(9)   2005/11/18. 社団法人 情報処理学会 研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 発話障碍者のための自然対話支援システムの開発(第 3 報) 梅舟 柄安†. 大倉 典子†. †芝浦工業大学 あらまし. 発話に障碍をもつ方は,人とコミュニケーションをする時に不自由を感じることが少なくない.コ. ミュニケーションを支援するための機器は何点か開発されているが,これらの機器は,普通の自然な対話とは異 なる不自然な部分が多い.そこで,本研究では,人と自然に対話することを支援するシステムのプロトタイプを 開発した.. キーワード 発話障碍者,対話,リアルタイム. Development of the Natural Dialog Support System for Disarthria Kamia UMEFUNE†. Michiko OHKURA†. †Shibaura Institute of Technology Abstract Compared with natural conversation, present system to support communication for disarthria people have some unnaturalness such as timelag and their conspicuousness. Therefore, we have developed a new communication-support-system which has no timelag and inconspicuous. Keyword Disarthria,Dialog-Support-System,Real-time,Inconspicuous. 1. は じ め に 聴者/ 発話障碍者. 発話に障碍をもつ方は,人とコミュニケーションを. 発話障碍者. する時に不自由を感じることが少なくない.コミュニ. c. ケーションを支援するための機器は,すでにトーキン グ エ イ ド ((株 )ナ ム コ 社 製 ) を は じ め と し て 何 点 か 開. b. 衣服の中. ,人と「対話をする」という機能を果. a. (. 発されており. [ 1]. たしている.しかしこれらの機器には,思ったことを 言葉として発するまでにタイムラグが生じる,機器が 見えてしまうなど,普通の自然な対話とは異なる不自. 手. ). 然な部分が多い.そこで,発話に障碍をもつ方が,言. Fig.1 Outlook of Using the Proposed System.. 葉の不自由を感じることなく積極的に自分をアピール したり,人と自然に対話したりすることを支援するシ ステムの開発に着手した. [ 2] [3]. 3. シ ス テ ム の 構 築. .. 構 築 し た プ ロ ト タ イ プ の 構 成 を Fig.2 に 示 す .. 本稿では入力デバイスの改良と入力方式の検討な. プロトタイプ. 入力デバイス. らびにその評価について行ったので,その結果を報告 する.. 2. シ ス テ ム の 概 要 シ ス テ ム の 概 要 を Fig.1 に 示 す . ① 10 個 の 入 力 ボ タ ン ( Fig.1 の a ) を 両 手 の 各 指 に 装 着 .. 入出力制御. ②ユーザは出したい音に対応する入力ボタンを押す.. ユニット. ③ 入 出 力 制 御 ユ ニ ッ ト ( Fig.1 の b ) を 介 し て , リ ア ル タ イ ム に 小 型 ス ピ ー カ ( Fig.1 の c ) か ら 音 声 を 出 力 . Fig.2 Structure of the System.. −57−. 小 型 PC.

(2) 3.1. 入 力 デ バ イ ス の 製 作 と 改 良 3.1.1. 指 輪 型 入 力 デ バ イ ス. Table 1 Comparison of Input Devices.. 入 力 デ バ イ ス を 開 発 す る に あ た り ,「 Finger Ring」[ 4 ] を 参 考 に ,Fig.3 に 示 す 指 輪 型 の 入 力 デ バ イ ス を 製 作 し た.この入力デバイスを利用するにあたり, ・装着に時間がかかる. 指輪型 × △ ×. 装着しやすさ 入力しやすさ 目立ちにくさ. 手袋型 △ × △. 粘着式手型 ○ ○ △. ・やや入力しにくい ・目立つ. 3.2. 入 出 力 制 御 ユ ニ ッ ト. などの問題点があった.. Windows PC を 用 い ,入 力 デ バ イ ス と の 接 続 に は キ 小型. ーボードの基板を流用した.. タクトスイッチ. 3.3. ソ フ ト ウ ェ ア プ ロ グ ラ ム の 作 成 に は VB6.0 を 採 用 し た .10 個 の 入 力 ボ タ ン に 日 本 語 50 音 を 対 応 さ せ ,対 応 す る 音 声 を 出 力するプログラムを作成した.入力したボタンを順に 調べ,ボタンが入力された場合には入力ボタンに対応. Fig.3 Ring-type Input Device.. する数値を加算していき,その加算数値を音声再生モ ジュールにわたす.. 3.1.2. 手 袋 型 入 力 デ バ イ ス. 4. 入 力 方 式 の 検 討. 指 輪 型 の 入 力 デ バ イ ス を 改 良 し ,Fig.4 に 示 す 手 袋 型. 文 献 [ 5 ] を 参 考 に 日 本 語 120 音 と 指 10 本 の 対 応 づ け の. の入力デバイスを製作した.装着が行いやすくなった. 検 討 を 行 い , Fig.6 と Fig.7 に 示 す 2 つ の 入 力 方 式 を 考. が,手袋が外れやすく,ボタンを的確に押すことがで. 案 し た . 左 手 の 親 指 を L1, 右 手 の 親 指 を R1 と し , 順. きないことが時々あるという問題点があった.. に小指まで指番号の対応づけを行った.. 4.1. 同 時 入 力 方 式 同 時 入 力 方 式 の 概 要 を Fig.6 に 示 す . 左 手 に は , 子. シートスイッチ. 音 ・ 濁 点 ・ 半 濁 点 ・ 拗 音 (ァ 行 )の 機 能 を 割 り 当 て , 右 ポリエチレン. 手 に は 母 音 と 拗 音 (ャ 行 )の 機 能 を 割 り 当 て た .. グローブ. 例 え ば 「 は 」 を 入 力 す る 場 合 は , 指 番 号 R1 と L1 と L3 を 同 時 に 入 力 す る .「 ぱ 」・「 ば 」 な ど の 半 濁 点 語 や. メタルケーブル. 濁 点 語 を 入 力 す る 場 合 は ,「 は 」の 入 力 と 同 時 に 半 濁 点 ボ タ ン (L4)・ 濁 点 ボ タ ン (L5) を 入 力 す る . 同 様 に 「 ひ. Fig.4 Glove-type Input Device (Left) and Outlook when Wearing (Right).. ゃ」 ・ 「 ふ ぁ 」な ど の 拗 音 を 含 む 語 な ど に は ,「 は 」の 入 力 と 同 時 に 拗 音 ( ャ 行 ) ボ タ ン (R2) ・ 拗 音 ( ァ 行 ) ボ タ ン (L4 と L5)を 入 力 す る .ま た 小 文 字 の「 っ 」は ポ ー ズ (間 ). 3.1.3. 粘 着 式 手 型 入 力 デ バ イ ス 手袋型入力デバイスの上記問題点を改善するため. をおいて表現する.. に さ ら に 改 良 し ,Fig.5 に 示 す 粘 着 式 手 型 の 入 力 デ バ イ スを製作した.以上 3 種類の入力デバイスの比較を. ----- 同時入力方式-----ぁぃぇぉ. L3. L4. Table1 に 示 す .. L2. L5. ゃゅょ L1. ラ行:L1 + L2 +L3. サ行:L2. ヤ行: L4. タ行:L3 ワ行:L5 ナ行:L1 + L2 マ行:L2 + L3. Fig.5 Sticky and Hand-type Input Device.. R5. [ 母音 ・拗音 ] ア:R1. カ行:L1. ハ行:L1 + L3. R4. 右手. [ 子音 ・濁点 ・ 半濁点 拗音 ]. 物質. R3. R1. 左手. 粘着性. R2. イ:R2 ウ:R3 エ:R4. 句読点: ポーズ. オ:R5. 短音(っ): ポーズ 長音(のばす): あ い う え お. Fig.6 Outline of Simultaneous Input Method. −58−.

(3) 用 ,文 用 ).こ の ボ タ ン を 押 す と ⑤ に 文 字 が ラ ン ダ ム. 4.2. 2 度 入 力 方 式 2 度 入 力 方 式 の 概 要 を Fig.7 に 示 す . 左 手 に は , 子. に 表 示 さ れ る .被 験 者 は 入 力 ボ タ ン を 使 っ て 表 示 さ. 音・濁点・半濁点の機能を割り当て,右手には母音・. れ た 語 を 入 力 す る .表 示 さ れ た 文 字 は 正 し く 入 力 さ れるまで,次の文字が表示されない.. 拗 音 (ァ 行 )・ 拗 音 (ャ 行 )の 機 能 を 割 り 当 て た . 例 え ば 「 は 」を 入 力 す る 場 合 は ,R1 と L5 を 同 時 に 入 力 す る .. ②被験者が入力した語を表示.. 「 ぱ 」・「 ば 」 な ど の 半 濁 点 語 や 濁 点 語 を 入 力 す る 場 合. ③ 入 力 結 果 履 歴 .被 験 者 が 入 力 し た 語 を 順 に 表 示 す る . 入 力 が 正 し い 場 合 は , ” ○ ”と 入 力 に か か っ た 時 間. は ,R1 と L5 の 2 度 押 し・R1 と L5 の 3 度 押 し を 行 う .. を表示. ④ 入 力 中 の ボ タ ン を 点 灯 表 示 .(た だ し ,2 度 入 力 方 式. --- 二度入力+同時入力 -------L4. L3. L2. L5. ゃゅょ L1. R2. 評 価 シ ス テ ム の 方 で は ,入 力 中 に 押 し た ボ タ ン の 回. R4. 数を数字で表示.). R5. R1. 左手. 評価方法として,各語・各文の入力時間と入力ミス. 右手. [ 子音 ・ 濁点・半濁点 ] を制御 カ行:L1. ガ行:L1*2. ラ行:L1+L4. サ行:L2. ザ行:L2*2. ワ行:L1+L5. タ行:L3. ダ行:L3*2 パ行:L5*3. 率(誤入力した語の総数を入力した語の総数で割った. [ 母音・拗音 ] を制御. もの)による客観的評価と,アンケートによる主観的 評 価 を 行 っ た .被 験 者 10 名 の 内 5 名 に は 2 度 入 力 方 式. ナ行:L4 バ行:L5*2 ハ行:L5 マ行:L1+L2 ヤ行:L1+L3. R3. 句読点: ポーズ 短音(っ): ポーズ. ア:R1. ァ:R1*2. イ:R2. ィ:R2*2. ウ:R3 エ:R4. ゥ:R3*2 ェ:R4*2. オ:R5. ォ:R5*2. →同時入力方式の順に,残りの被験者 5 名には同時入 力方式→2 度入力方式の順に評価実験を行った. 評価実験の手順は以下の通りである. (1) 50 音 語 の 入 力 方 法 の 説 明 後 , 入 力 練 習 ( 3 分 間 ). 長音(のばす): あ い う え お. (2) 50 音 語 の 入 力 評 価 実 験 を 3 回 ( 1 回 10 語 ) (3) 50 音 語 以 外 の 入 力 方 法 の 説 明 後 ,入 力 練 習 (3 分 間 ). Fig.7 Outline of Twice Input Method. (4) 50 音 語 以 外 の 入 力 評 価 実 験 を 3 回 (1 回 15 語 ). 4.3. 同 時 入 力 方 式 と 2 度 入 力 方 式 の 主 な 相 違 点. (5) 文 の 入 力 評 価 実 験 を 2 回 (1 回 12 文 ). 同時入力方式と 2 度入力方式の入力方法で,主に異 な る 部 分 を Table 2 に 示 す .. な お ,50 音 語 は ,各 母 音 の 出 現 回 数 が 等 確 率 に な る ように,各行から任意に 3 語を抽出し,各回に各行の 語 が そ れ ぞ れ 1 回 ず つ 出 る よ う に 割 り 当 て た .50 音 語. Table 2 Comparison of Input Methods. 同時入力方式 50音語. 以 外 の 濁 点 語 , 半 濁 点 語 に つ い て も 同 様 に 行 っ た . 50 音語以外の拗音語については,各行から任意に 2 語を. 2度入力方式. カ∼ラ行:L1∼L3のどれかカ∼ハ行:L1∼L5の内1つ. 抽出し,各回に割り当てた.また,文の入力評価実験. ヤ行:L4  ワ行:L5. で は , 50 音 語 の 文 (例 え ば 「 お は よ う 」 な ど )か ら 始 ま. マ∼ワ行:L1とL2∼L5の        内1つ. 濁点語 半濁点語. 50音語の指番号 と L5. り , 徐 々 に 50 音 語 以 外 の 語 を 多 く 含 む 文 (例 え ば 「 だ. 50音語の左指番号の. い じ ょ う ぶ で す か 」 な ど )に な る よ う に し た .. 2度押しと該当する母音 50音語の指番号 と L4. 拗音語(ャ行) 50音語の指番号 と R2. ⑤. 50音語の左指番号の 3度押しと該当する母音. ①. ②. 50音語の指番号 と R2. 拗音語(ァ行) 50音語の指番号 と L4+L5 該当する母音の2度押し. た だ し 拗 音 語 (ャ 行 )に つ い て は ,と も に 同 じ 入 力 方 法 .. ③. 5. 入 力 方 式 の 比 較 評 価 実 験 5.1. 実 験 方 法 男 子 大 学 生 10 名 ( 全 て 20 代 前 半 の 健 常 者 ) を 被 験 者 と し て , Fig.2 の プ ロ ト タ イ プ ( 入 力 デ バ イ ス は. ④. Fig.5 の 入 力 デ バ イ ス を 使 用 ),作 成 し た 2 度 入 力 方 式 評価システムならびに同時入力方式評価システム ( Fig.8) を 使 用 し , 両 方 式 の 比 較 評 価 実 験 を 行 っ た . 以 下 に , 入 力 方 式 評 価 シ ス テ ム (Fig.8)の 仕 様 に つ い て 示す. ① 入 力 評 価 開 始 ボ タ ン (上 か ら 50 音 語 用 , 50 音 語 以 外. −59−. Fig.8 Outlook of Input Method Evaluation System (About Simultaneous Input Method).

(4) 5.2. 実 験 結 果 5.2.1. 入 力 時 間. 入 力 時 間 の平 均 (文 ). 実 験 で 測 定 し た 50 音 の 入 力 時 間 , 50 音 以 外 の 入 力. 同時入力 2度 入 力. 時 間 , 文 の 入 力 時 間 を そ れ ぞ れ Fig.9, Fig.10, Fig.11 に 示 す .こ れ ら の グ ラ フ か ら ,50 音 の 入 力 時 間 で は 特 に 大 き な 差 は 見 ら れ な か っ た も の の ,50 音 以 外 の 入 力 時間と文の入力時間では, ・2 度入力方式の方が同時入力方式と比べて速い. ・回数を重ねるごとに入力時間が短くなっている. こ と が わ か る .ま た ,50 音 以 外 の 3 回 目 と 文 の 1 回 目・ 2 回目については,入力方式の差が統計的に有意であ った.2 度入力方式はボタンの 2 度押しで文の入力を Fig.11 Input Time (Sentences). 行い,同時入力方式は複数のボタンを 1 度で文の入力 を行うため,同時入力方式の方が 2 度入力方式より入 力時間が短くなると予想していたが,この実験結果は 予想とは異なっていた.このような結果が得られたの は,2 度入力方式の方が同時入力方式と比較して覚え やすい入力方式であるためと推測される.. 5.2.2. 入 力 ミ ス 率 50 音 の 入 力 ミ ス 率 , 50 音 以 外 の 入 力 ミ ス 率 , 文 の 入 力 ミ ス 率 を そ れ ぞ れ Fig.12, Fig.13, Fig.14 に 示 す . これらのグラフから, ・2 度入力方式の方が同時入力方式と比べ,ミス率が 低い.. 入 力 時 間 の平 均 (50音 ). 同時入力 2度 入 力. ・2 度入力方式は,回数を重ねるごとにミス率が減っ ている. こ と が わ か る .入 力 ミ ス 率 に つ い て も ,50 音・50 音 以 外・文の全てにおいて,入力方式の差が統計的に有意 で あ っ た . こ の こ と か ら ,2 度 入 力 方 式 の 方 が 同 時 入 力方式と比較して,入力しやすい入力方式であると考 えられる. 以上より,2 度入力方式の方が同時入力方式よりも 入力時間が短く入力ミスが少ないという結果が得られ た.このことから,2 度入力方式は,同時入力方式と 比較して,覚えやすく入力しやすい入力方式であると. Fig.9 Input Time (50-character kana syllabary). 秒. 入 力 時 間 の平 均 (50音 以 外 ). 言える.. 入 力 ミス率 (50音 ). 同時入力 2度 入 力. *. 同時入力 2度 入 力. *. **. Fig.12 Input Error (50-character kana syllabary). Fig.10 Input Time (Without 50-character kana syllabary). −60−.

(5) 入 力 ミス率 (50音 以 外 ). 6. 高 齢 者 を 対 象 と し た 2 度 入 力 方 式 評 価 実 験. 同時入力 2度 入 力. 6.1. 実 験 方 法 高 齢 者 ( 65 歳 以 上 ) 9 名 を 被 験 者 と し て , Fig.2 の プ ロ ト タ イ プ ( 入 力 デ バ イ ス は Fig.5 の 入 力 デ バ イ ス を 使 用 ), 前 述 の 2 度 入 力 方 式 評 価 シ ス テ ム を 使 用 し , 2 度入力方式の評価実験を行った.なお,被験者 9 名 の う ち 3 名 (60 代 後 半 )は パ ソ コ ン の キ ー ボ ー ド 入 力 に 慣 れ て い る 方 を , 残 り の 6 名 (70 代 後 半 )は パ ソ コ ン を 利用したことのない方で各指が正常に動く方を被験者 として採用した. 評価実験の手順は以下の通りである. (1) 50 音 語 の 入 力 方 法 の 説 明 後 , 入 力 練 習 ( 10 分 間 ). Fig.13 Input Error (Without 50-character kana syllabary). (2) 50 音 語 の 入 力 評 価 実 験 を 3 回 ( 1 回 10 語 ) (3) 50 音 語 以 外 の 入 力 方 法 の 説 明 後 ,入 力 練 習 (10 分 間 ). 入 力 ミス率 (文 ). (4) 50 音 語 以 外 の 入 力 評 価 実 験 を 3 回 (1 回 15 語 ). 同時入力 2度 入 力. (5) 文 の 入 力 評 価 実 験 を 2 回 (1 回 12 文 ) 2 度 入 力 方 式 の 評 価 実 験 で は 20 代 の 被 験 者 の 場 合 , (1),(3)の 入 力 練 習 を 3 分 程 度 と し た が ,高 齢 者 の 場 合 に お い て は ,入 力 練 習 を 10 分 程 度 と 少 し 長 め に 練 習 時 間を設けた.しかし,実際に実験を行ったところ,ど の 被 験 者 も 10 分 程 度 で は 短 か っ た こ と が わ か り ,パ ソ コ ン 経 験 者 で は 20 分 ∼ 30 分 ほ ど , パ ソ コ ン 未 経 験 者 で は ,30 分 ∼ 40 分 ほ ど 練 習 時 間 を 必 要 と し て い た こ と が わ か っ た .高 齢 者 の 方 が 20 代 の 被 験 者 と 比 べ て 練 習 時間が極端に長くなる理由として, ・1 語あたりの入力を確認する時間が長い.. Fig.14 Input Error (Sentences). ・入力方法を理解している語も含めて全ての語を1つ. 5.2.3. ア ン ケ ー ト 結 果. ずつ順番に練習する傾向がある.. 被験者に 2 度入力方式と同時入力方式のどちらが良 かったかを回答してもらったところ,2 度入力方式の 方が良かったと回答した被験者が 7 人,同時入力方式 の方が良かったと回答した被験者が 3 人だった.2 度 入力方式を選択した理由として, ・. また,パソコン未経験者の中には,ローマ字の教育 を受けていないために ・ 各 語 に 対 応 す る 母 音 (例 え ば 「 ふ 」 の 母 音 は 「 う 」 ) が全くわからない.. 全体的に 2 度入力方式の方が覚えやすかった.. ・ 拗音と濁点・半濁点の組み合わせが,2 度入力方 式の方が覚えやすかった.. ・ 語 に 対 応 す る 行 (例 え ば 「 ふ 」 は 「 は 」 行 )が わ か ら ない. と い う 被 験 者 も お り ,(1)を 行 う 前 に 日 本 語 に つ い て の. ・ 同時入力方式は同時に押すボタンの数が多いため, 最後まで覚えられない部分があった. ・ 同時入力方式は同時に押すボタンの数が多く,誤 入力につながりやすかった.. 説明をする必要があった.また,6 人中 5 人は, ・2 度入力のテンポが速いため入力が追いつかず,ほ とんど入力することができない. な ど の 理 由 が あ っ た た め , (4)以 降 の 評 価 実 験 を 行 う. などの回答が比較的多かった.. ことができなかった.. また,同時入力方式を選択した理由として, ・. の 2 点が主に目立った.. 同時入力方式の方が,一度で言葉を入力できるた め,二度入力方式と比べて速く入力できるところ. 6.2. 実 験 結 果 6.2.1. 入 力 時 間 実 験 で 測 定 し た 50 音 の 入 力 時 間 , 50 音 以 外 の 入 力. が良かった. ・. 2 度入力方式は入力のタイミングが難しく,うま. 時 間 ,文 の 入 力 時 間 を そ れ ぞ れ Fig.15,Fig.16,Fig.17. く言葉を入力することができなかった.. に 示 す . こ れ ら の グ ラ フ か ら , 50 音 の 入 力 時 間 ・ 50. などの回答を得た.. 音以外の入力時間・文の入力時間の全てにおいて,. −61−.

(6) ・パソコン経験者の方がパソコン未経験者と比べ, 入力時間が短い.. ・ 50 音 , 50 音 以 外 , 文 と 入 力 内 容 が 難 し く な る に 従 っ て ,高 齢 者 の 経 験 者 と 未 経 験 者 の 差 が 大 き く な っ ている. ・パソコン経験者,パソコン未経験者両方とも回数を 重ねるごとに入力時間が短くなっている こ と が わ か る .な お ,50 音 の 入 力 時 間 の 差 に つ い て は , 統計的に有意であった. ま た , Fig.11 と Fig.17 の 比 較 よ り , 2 度 入 力 方 式 の 文 の 入 力 時 間 に お い て , 高 齢 者 (パ ソ コ ン 経 験 者 )は , 20 代 の 被 験 者 と 比 べ て ,2∼ 3 倍 の 入 力 時 間 が か か っ て いることがわかる.. Fig.17 Input Time (Sentences). 6.2.2. 入 力 ミ ス 率. **. **. **. 50 音 の 入 力 ミ ス 率 , 50 音 以 外 の 入 力 ミ ス 率 , 文 の 入 力 ミ ス 率 を そ れ ぞ れ Fig.18, Fig.19, Fig.20 に 示 す . これらのグラフから, ・入力ミス率は,パソコン経験者とパソコン未経験者 では,大きな差が見られない. ・文の入力ミス率については,回数を重ねるごとにミ ス率が若干低くなっている. ことがわかる. ま た , Fig.14 と Fig.20 の 比 較 よ り , 2 度 入 力 方 式 の 文 の 入 力 ミ ス 率 に お い て ,高 齢 者 (パ ソ コ ン 経 験 者 )は , 20 代 の 被 験 者 と 比 べ て , ミ ス 率 が 高 い こ と が わ か る . また,高齢者(パソコン経験者)と高齢者(パソコン 未経験者)で比較した場合,入力ミス率については入 力時間の場合と異なり,パソコン経験者の方がパソコ. Fig.15 Input Time (50-character kana syllabary). ン未経験者よりミス率が高いことがわかる.. Fig.16 Input Time (Without 50-character kana syllabary). Fig.18 Input Error (50-character kana syllabary). −62−.

(7) 苦痛などは感じない. ・入力に慣れれば面白そう. などの回答を得た.. 7. ま と め 本研究では,発話に障碍を持つ方のための自然な対 話を支援することを目的としたシステムの開発を行っ た.今回は,使いやすい入力デバイスの検討と改良を 行い,また入力方式の比較評価実験ならびに高齢者を 対象とした 2 度入力方式の評価実験を行った. 入力デバイスの改良では,より装着がしやすく入力 のしやすい入力デバイスの改良を行った.また,入力 方式の比較評価実験では,2 度入力方式の方が同時入. Fig.19 Input Error (Without 50-character kana syllabary). 力 方 式 と 比 較 し て ,入 力 時 間 が 短 い ,誤 入 力 が 少 な い , 入力方法が覚えやすいという結果が得られた.高齢者 を対象とした 2 度入力方式の評価実験では,2 度入力 のテンポをもう少し遅くして欲しい,3 度入力はない 方が良いなどの回答が特に目立った. 今後は,評価実験から得られたログデータを解析し, 高齢者から得られた回答を参考にして,入力方式をさ らに改良していき,最終的には,高齢者にも好評の得 られる使いやすい入力方式の確立を目指したい.. 謝辞 社会福祉法人 さくら会 ケアホーム西五反田・さく らハイツ西五反田 施設長 今澤和子様 および被験者 としてご協力いただいた同施設の入居者の皆様に深く Fig.20 Input Error (Sentences). 感謝いたします.また,同じく被験者としてご協力い ただいた芝浦工業大学教員および大学院生,学生の皆 様にも謝意を表します.. 6.2.3. ア ン ケ ー ト 結 果 評価実験後,今後入力方式を改良していく上で改善 して欲しい点や,特に問題はなかった点などについて 自由に回答してもらった.. 参考文献 [1]. こ こ ろ Web,”様 々 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン エ イ ド ” http://www.kokoroweb.org/chap16/kkr16d01.html.. パソコン経験者では,. [2]. ・慣れれば速く入力できそう. ・2 度入力のテンポをもう少しゆっくりにして欲しい. ォ ー ラ ム 講 演 予 稿 集 , 6H-7 (2005). が,慣れれば今のテンポでも大丈夫. [3]. ・3 度入力はない方が良い.. 梅舟 柄安,大倉典子,発話障碍者のための自然 対 話 支 援 シ ス テ ム の 開 発 ,第 4 回 情 報 科 学 技 術 フ. 梅舟 柄安,大倉典子,発話障碍者のための自然 対 話 支 援 シ ス テ ム の 開 発 ,ヒ ュ ー マ ン イ ン タ フ ェ. などの回答を得た.. ー ス シ ン ポ ジ ウ ム 2005,3141,pp.711-714 (2005). また,パソコン未経験者では, ・2 度入力のテンポがもう少しゆっくりであれば,. [4]. 2 度入力は特に問題なく使える.. 福本 雅朗,平岩 明,曽根 原登,ウェアラブル コ ン ピ ュ ー タ 用 キ ー ボ ー ド FingerRing, 電 子 情. ・3 度入力はない方が良い.. 報 通 信 学 会 論 文 誌 ,Vol.J79-A, No.2, pp.460-470. ・始めて日本語の仕組みを知ったが,ルールはすぐに. (1996). 理解でき,わかりやすかった. ・各語に対応する母音や行が,すぐに頭にでてこない. [5]. のでその点を工夫してほしい. ・必要に迫られてこの入力方式を利用する場合,特に. −63−. 田中 久美子,伊藤 和幸,重度身障者のための 1 ボ タ ン 自 然 言 語 入 力 シ ス テ ム に 向 け て ,信 学 技 法 , NLC2004-8,WIT2004-35 (2004).

(8)

Table 2 Comparison of Input Methods.

参照

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