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プロジェクト研究活動 【報告・資料】

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「豊かな」社会の到来と地域・生活空間の変容-日韓比較-

1 プロジェクト研究メンバー 梅澤 直樹  経済学部教授(研究代表者) 山﨑古都子  教育学部教授 秋山 元秀  教育学部教授 松田 隆典  教育学部教授 阿部 安成  経済学部教授 宗野 隆俊  経済学部准教授 李  秀澈  名城大学准教授        環境総合研究センター客員准教授 2 研究の概要 sustainable society を支える必須の条件のひとつに地 域生活空間における人々の絆があること、にもかかわらず 地域社会の人間関係は「豊かな」社会が築かれてゆく過程 で大きな変容を蒙り、希薄化してしまっているのではない か、こうした 2 点の認識を前提に、現代的諸条件の下でい かに地域の人々の絆を再構成しうるかを、同じ東アジアに おける先進経済国であり、文化的にも深い 縁 えにし を有しつつ軽 んじ得ない差異をも秘めた日韓両社会を比較しながら検討 するというのが本プロジェクトの目的である。そのさい、地 域生活空間のあり方は狭義の生活空間である住宅のあり方 に映し出され、また後者のあり方に規定されてもいる点に 注目し、住宅のあり方は両社会においてそもそもどのよう な特質、伝統を持っていたか、それは「豊かな」社会の到 来と共にどのように変容してきたかにも深い注意を払って きた。このこともまた本プロジェクトの特色となっている。 こうした本プロジェクトも 3 年目を迎え、本年度は下記 のようにそれぞれ韓国から研究者を迎え、一方で日韓両社 会の先進的な環境市民運動に学んで sustainable society の構築に向けてどのような展望を描くことができるかを探 るシンポジウムを開催すると共に、他方で 3 年間の研究の 総括的なセミナーを設けて、この間研究パートナーとして 協力下さった方々と活発な意見交換を行ってさらに研究を 深めるための方向性を確認する機会を持った。前者におい ては宮本憲一前学長をも講演者として招き、地域での市民 活動についての豊富な経験と高い見識に基づいた貴重な示 唆をもお示し頂いた。なお、これらの成果の一部は本号「特 集」に収録されている。 3 シンポジウム&セミナー (1)シンポジウム 日韓環境シンポジウム 2007  −市民参加による環境にやさしい街づくりを求めて− 日時:10月12日(金)13時−17時 場所:コラボ滋賀21 3 F 中会議室 プログラム 第一部 講演   1  宮本憲一 滋賀大学前学長     維持可能な内発的発展   2  金善泰 大田大学校環境工学部教授     国策事業をめぐる葛藤から社会的合意へ  −始華地域持続可能発展協議会の事例を中 心に−   3  長尾是史 N P O 法人びわこ豊穣の郷事務局長     びわこ豊穣の郷の歩みと今後の課題 第二部 パネルディスカッション 宮本憲一 前学長 金 善泰 教授 長尾是史 事務局長 中村豊久 滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖再生課 (2)セミナー 生活空間の近代化に関する日韓比較プロジェクト研究 日時: 3 月17日(月)18時−21時 場所:滋賀大学大津サテライト 報告:山﨑古都子 教育学部教授 開発主導の住環境形成が生活空間の近代化に及 ぼした影響    ゲスト討論者 康仁鎬 韓南大学校工科大学建築学部教授 金貞均 鳴門教育大学准教授

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水辺エコトーンにおける生物多様性と生業活動・コモンズの変容に関する研究

1.プロジェクトメンバー 佐野 静代  環境総合研究センター准教授(研究代表者) 山﨑古都子  教育学部教授 中村 正久  環境総合研究センター教授・センター長 梅澤 直樹  経済学部教授 堀越 昌子  教育学部教授 松田 隆典  教育学部教授 服部 昭尚  教育学部准教授 藤栄  剛  環境総合研究センター准教授 牧野 厚史  県立琵琶湖博物館主任学芸員 宮本 真二  県立琵琶湖博物館学芸員 赤石 直美  日本学術振興会特別研究員 2.研究の目的と計画 本研究の目的は、琵琶湖岸の水辺エコトーンにおける生 物資源の利用と、そこにみられた伝統的な資源管理システ ムについて検証し、今後の水辺の「賢明な利用と保全」の 方途を見出すことである。 内湖やヨシ帯などの水辺エコトーンでは豊かな生物資源 を利用した多様な民俗文化が展開されてきたが、これら地 域ごとに形成されてきた持続可能な資源管理システムは、 今日では十分に検証されることのないままに失われようと している。そこで本プロジェクトでは、自然科学と人文・ 社会科学両分野の協業により、ヨシ・魚類・水鳥など水辺 の生物相と、それを資源として利用する人間の双方を分析 し、人間活動の影響を照合することによって、「人間を含ん だ水辺の生態系」の全体像の解明を目指している。 三ヵ年の計画で、年間数回の研究会を実施し、各自の研 究成果の報告ならびにそれに基づいた分野間での討議を 行っている。また毎年 1 回は外部への公開型の研究会を開 催し、研究成果を学外にも広く公表している。 3.今年度の活動状況 活動最終年に当たる本年は、三年間の研究成果を集約し、 外部へ発信することに主眼を置いた。本研究プロジェクトの 成果発表としては、すでに昨年度末の「環境総合研究セン ター第 3 回年次シンポジウム」において、全体テーマ「水 辺エコトーン―内湖・ヨシ地の生物多様性と文化の多様性 を守る」のもとに、プロジェクト研究員らによるシンポジ ウムとパネルディスカッションを開催し、多数の参加者を 得ることができた。本年はこれに続く外部公開型の研究会 を開催し、特に環境社会学におけるコモンズ論の第一人者 として知られる北海道大学の宮内泰介氏らを迎えて、水辺 のコモンズとその資源管理の意義について、より普遍的な 知見を取り出すことを試みた。県下の研究者のみならず、 行政あるいは地域でヨシ帯の保全活動を行っている市民も 交えて、活発な討議が行われた。 また本プロジェクトでは、広く県下の研究機関との連携 を図るため、滋賀県の主催する「琵琶湖総合保全学術委員 会」や、滋賀県立大学・琵琶湖環境科学研究センターの「沿 岸域研究会」においても、 3 年間にわたる研究成果の一部 について発表し、その知見の共有に努めた。 なお、本プロジェクトの研究成果については、「環境総合 研究センター研究年報」 第 4 巻第 1 号(本号)にて、特集 「水辺エコトーン―内湖・ヨシ地の生物多様性と文化の多様 性を守る」が組まれることになっている。このように本プ ロジェクトは、一定の研究成果をあげたことに加え、学外 の研究機関や行政との連携・研究交流の場としても重要な 役割を果たしたと考える。 ・ 第10回研究会 2007年 9 月30日(日) 13:30∼17:30 大津サテライト 全体テーマ:「コモンズ」としてのヨシ地と地域社会 黒田暁氏(北海道大学大学院文学研究科博士課程) 「人々の河川敷利用にかかわる社会組織と地域資源の あり方―宮城県北上川河口地域に広がるヨシ原から」 宮内泰介氏(北海道大学大学院文学研究科准教授) 「地域社会の自然環境をめぐる半栽培とレジティマ シー―宮城県北上川河口地域のヨシ原を事例に」 ・ 研究成果の外部への公表 2008年 2 月14日(木) 滋賀県厚生会館別館  「琵琶湖総合保全学術委員会」での口頭発表 2008年 2 月29日(金) 琵琶湖環境科学研究センター  「沿岸域研究会」での口頭発表 研究会等の活動記録 (回数表記は初年度からの通算)

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減災ネットワークの育成に関する研究と活動

1.プロジェクトメンバー ○山﨑 古都子(滋賀大学環境総合研究センター長) プロジェクト研究員:恩地 衛、宗像 幸夫、福井 嘉 昭(滋賀県住宅課)丸山 忠昭(N P O 滋賀県防災ネット 主宰者・淡海生涯カレッジ修了生)、山崎 靖生 2.平成19年度の活動状況報告 本年度は減災政策に重点を置き①地域連携活動と、②シ ンポジウムを開催した。 ①地域連携活動 ●月例会 毎月 1 度、水曜日に開催。 場所 滋賀大学大津サテライトプラザ 議 題 減 災 ネ ッ ト ワ ー ク の 育 成 に つ い て 各 委 員 の 実 践報告と検討、連続公開講座の企画 ●第 1 回公開研究会 日時 2007年 8 月22日(水)19:00∼21:00 場所 滋賀大学 大津サテライトプラザ 主題 「住宅の耐震化を促進するために被災地に学ぶ」 講師 山崎靖生氏(元兵庫県まちづくり局長) 出席者 15名 ●第 2 回公開研究会 日時 2007年 9 月19日(水)14:00∼16:30 場所 滋賀県庁 大会議室 主題 「木造住宅の耐震化の促進施策について―木造住 宅の耐震化プロジェクト「TOUKAI-O」」 講師 池谷明氏(静岡県) ●第 3 回公開講座 日時 2008年 2 月15日(金)18:00∼20:00 場所 滋賀大学 大津サテライトプラザ 主題 「減災における植物の役割」 講師 木島温夫(滋賀大学教育学部教授) 出席者 10名 ②シンポジウム「 いのちとくらしをまもる地方自治」 を 滋賀県と共催した。手話通訳、要約筆記付き 日時 2007年12月15日(土) 場所 ピアザホール 基調講演 テーマ「減災政策と地方自治」 前鳥取県知事 片山善博氏(慶應大学大学院教授) パネルディスカッション パネリスト 嘉田由紀子氏(滋賀県知事)、海東英和氏 (高島市長)、石井布紀子氏(コラボネット取締役)、片山 善博氏 コーディネート 宮本憲一氏(前滋賀大学長) 参加者数 約270名 以下は参加者の感想である。 ●12月15日 19時29分配信 京都新聞 地方自治の視点から災害に強いまちづくりを考える災害 被害の減少に向けた取り組みと、災害時の早期復興に向け た準備などを話し合った。 基調講演では、片山善博教授が、2000 年 10 月の鳥取県西 部地震での県の対応について紹介し、被災の際重要な柱と して、現場主義と、方針や施策の迅速な決定、情報公開の 3つをあげた。鳥取県独自に行った施策の中で特に効果を 上げた住宅再建支援について解説。「中央官庁の抵抗が大き かったが、結果として人口流出がほとんどなく、自殺や孤 独死も出なかった」とし、被災者に安心感を与えることが 災害時には必要という認識を示した。 ●インターネット「知事室 > かだ便り」嘉田由紀子 平成 19年12月15日(土曜日)より引用 (前略)私からは、戦前は、地域コミュニティーで災害に 対する備えができていたが、戦後になって行政が対策する ようになり、いつのまにか小さな災害でも災害は防ぐもの 基調講演中の片山善博氏 熱心に聞き入る聴衆

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になってしまい、かえって大きな災害に対処できなくなっ てしまったので、日頃から地域での防災力を高め、災害に 備えることの重要性について述べた。 被災現場を実際に見てきた石井さんからは、日頃の地域 力が非常時の底力になるという意見が出された。また片山 さんからは、減災には、まずコミュニティーが重要だが、実 態は疲弊しているところが多いので、職場環境などを改善 し、家庭や地域のために過ごす時間を確保し、まずコミュ ニティーの力を再生していく必要性があるとの意見を述べ られた。また、前知事らしく、行政は災害時に生産支援を 重視する傾向があるが、まず住民のみなさんの生活基盤を 大切にする生活支援の必要性についても話され、参考に なった。 最後に、会場のみなさんからもご質問を受け、コミュニ ティー力を高めるための個人情報の壁、防災リーダーの育 成や、取り組み事例等の発表の場の提供などについて、意 見をいただく。災害の現場で活躍されている方、大学で防 災について研究する方、地域の防災対策に活躍していただ いている住民の方など、多くの方からの意見をお聞きする ことができ、県民のみなさんのくらしや安全を守るための 今後の課題を感じる一方で、たくさんのエネルギーもいた だきました。(かだ) ●片山さんの講演会は、何よりも経験に基づいた説得力が ありポリシーが伝わる本当によい内容だった。シンポジウ ムも中味が充実していて、本当によいフォーラムだった。会 場も満員でしたし、参加された方は皆、満足して帰られた と思う。 ●行政のことが中心で、一般にやや馴染みにくい内容にな ることを心配したが、特にコミュ二ティーの重要さについ て参加者全員が認識して心強く感じた。参加者の皆さんと ても良い会だったとおっしゃっていた。この種の会合に、 あれだけ多くの参加者が集まったことも、演者の人選が効 を奏したのではという評価がされていた。 ●片山・前鳥取知事起用は本当によかった。徹底した情報 開示、根回し無用の行政、住民目線の現場主義。これを見 事に実行された内容の基調講演は聴き応えがあった。 ●片山氏は主張そのものは教えられるところも多く、共感 が持てた。片山氏の講演はコミュニティの重要性の再確認 だけでなくどう具体化してゆくかに踏み込んだものであ り、そうしたシンポジウムとして意義があったと思う。こ の点、具体的なレベルで豊富な経験と知見をお持ちのパネ リストが揃っていたので時間があればもっと面白い話に展 開していったと思う。

キャンパスを活用した自然体験型環境教育プログラムの開発

1.プロジェクトメンバー 市川 智史  環境総合研究センター・准教授(研究代表者) 横山 和正  教育学部・教授 大蔵香緒里  プロジェクト研究員 2.2007(平成19)年度の活動 今年度は、設置した樹木ラベル(樹木名表示板)を活用 したプロトタイププログラムを作成し、研究代表者(市川 智史)の担当する「環境教育概論」において試行実践を行っ た。また、自然体験型環境教育プログラムのためのフィー ルド整備として、学長裁量経費(計画推進費)の配分を受 け、キャンパス樹木マップ(案内板)を設置した。(2007年 9 月12日) 写真1:樹木案内板設置前

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安全・安心の米作り営農技術に関する産官学連携研究

1.プロジェクト研究題目:安全・安心の米作り営農 技術に関する産官学連携研究 2.プロジェクトメンバー氏名・所属 只友 景士 (滋賀大学経済学部・准教授) 久保 加織 (滋賀大学教育学部・准教授) 太田 喜信 (滋賀県) 田村  彰 (J A 滋賀中央会) 今村  彰 (J A 滋賀中央会) 藤原 幸博 (J A 滋賀中央会) 川地  武 (滋賀県立大学・教授) 広瀬  恢 (㈱日吉・技術顧問) 3.研究の目的と計画 食の安全安心の問題は、農林水産省が 2003 年に「食の安 全・安心のための政策大綱」をとりまとめるなど官民挙げ て取り組まれている重要な政策課題である。本プロジェク トは、安全・安心の米作り営農技術に関する産官学の連携 による調査研究を進めるものであり、環境保全と活力ある 農村経済の確立、持続可能な農村経済形成のために必要と される総合的な公共政策研究の一環として行うものであ る。本プロジェクトの第一の目的は、公共政策に関する研 究成果の公表をおこなうこと、二つめの目的は、広く公共 政策の在り方に関する議論を行う場を設定すること、三つ めは、安全・安心の営農技術の普及・教育の場をつくるこ とである。この三つの目的を持った産官学連携によるワー クショップを開催することが、プロジェクトの主要事業計 画であった。 4.今年度の活動報告 第 4 回食の安全・安心を考えるシンポジウムの開催 プロジェクトの主要事業である「第 4 回食の安全・安心 を考えるシンポジウム−温暖化に強い地域を創る−」が下 記の要領で開催された。 日時:2008年(平成20年) 2 月28日(木)13時∼16時30分 場所:滋賀大学彦根キャンパス(滋賀県彦根市馬場 1 丁目 1 番 1 号)    滋賀大学経済学部 第 2 校舎棟 3 階 第24講義室 シンポジウムプログラム 13:00∼13:05 主催者挨拶 13:05∼14:05 基調講演  演題:日本の再生は、地域から−食から立て直す地 域再生−  講師:金子 勝氏(慶應義塾大学経済学部・教授) 14:05∼14:40 講演(営農技術講習)  演題:気候変動が水稲生産に及ぼす影響  講師:酒井 英光氏(独立行政法人 農業環境技術 研究所) 14:40∼15:00 コーヒーブレーク 15:00∼15:20 事例報告1  演題:地域からの食と農の再生−百菜劇場の取り組 みから− 写真2:樹木案内板設置中 写真3:樹木案内板設置後

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報告者:道前 理緒氏(N P O 法人百菜劇場・滋賀県近 江八幡市) 15:20∼15:40 事例報告 2 演題:彦根リンゴの再生の挑戦 報告者:尾本 正和氏(彦根りんごを復活する会) 15:40∼16:00 事例報告 3 演題:「滋賀県の環境こだわり農業の現状と課題」 報告者:南 重治(滋賀県) 16:00∼16:30 質疑 主催:滋賀大学経済学部附属リスク研究センター    滋賀大学環境総合研究センター 後援:滋賀県、J A 滋賀中央会、全農しが    滋賀県生活協同組合連合会、滋賀県環境生協  協賛:㈱日吉 本年度のシンポジウムは、参加者が150名を超え、熱気溢 れるシンポジウムであった。 主催者を代表してリスク研究センター副センター長の北 村裕明(経済学部・教授)より開会の挨拶を行い、それに 引き続いて、金子勝氏(慶應義塾大学・教授)に基調講演 「日本の再生は、地域から−食から立て直す地域再生−」を していただいた。 金子氏の基調講演は、日本の農業政策の問題点を指摘す るとともに、全国の農村における地域おこしの事例を挙げ ながら生きていける農業のビジネスモデルの確立の必要 性、土作りなどへの新しい科学の役割の重要性、農村が今 やジェンダーの最前線になっていることなど多岐にわたる 話題を紹介するもので、農業セクターからの地域再生を考 える上で示唆深くエネルギッシュな講演であった。 酒井英光氏(農業環境技術研究所)には、「気候変動が水 稲生産に及ぼす影響」と題して講演をしていただいた。温 暖化が水稲栽培に与える科学的なメカニズムと対策技術の 方向性についての解説がなされた。科学の役割・責任の重 要さを再認識させられる講演であった。 休憩を挟み、道前理緒氏(百菜劇場)による「地域から 食と農の再生−百菜劇場の取り組みから−」、尾本正和氏 (彦根りんごを復活する会・会長)による「彦根りんごの再 生の挑戦」、南重治氏(滋賀県庁)による「滋賀県の環境こ だわり農業の現状と課題」の報告をしていただいた。いず れの事例報告も滋賀県における農と食の立て直しに挑戦す る意欲的な活動事例の報告であった。とりわけ彦根りんご を復活する会の取り組みは、ワリンゴの保存と再生の取り 組みとしては、我が国の最高水準を行く取り組みとなって おり、温暖化に強い品種の保存としても今後の展開が期待 されるものであった。 余談ながらシンポジウム終了後、J A 滋賀中央会から米粉 を原料にした「里山パン工房」のパンと J A のエコバックが 粗品として参加者に配布された。また、シンポジウム関連 企画として、滋賀大学彦根地区生協が、シンポジウム協賛 の企画メニューとして、近江米麺のメニューを食堂で提供 した。 本シンポジウムは、滋賀大学経済学部附属リスク研究セ ンターの「経済・社会リスク研究」及び環境総合研究セン ターの「プロジェクト研究:安全・安心の米作り営農技術 に関する産官学連携研究(代表:経済学部・准教授 只友 景士)」の産官学連携研究事業の一環として開催された。本 シンポジウムは、大学が主体となって学術交流と教育の機 会を創造していくこと、安心・安全の米作り営農技術の研 究と普及・教育の場となるネットワークを地域に根ざして 創ることができればと願って 2005 年から継続している事業 である。 本事業の特徴として、「食の安全・安心」の看板を掲げて いるが、直接的な話題(毒餃子問題や食品偽装など)だけ を扱わず、「食の安全・安心」を生み出す地域の生産システ ム作りを考えている点は注意が必要である。 毎年のシンポジウムの開催は、「地域的生産システム」を 創るための「場」を創造することを最大の目的としており、 産官学の連携の中から地域的生産システムを生み出すシー ズを創ることにチャレンジしている。地域的生産システム とは、地域内部から営農技術など生産技術の革新を生み出 す地域のシステムのことであり、地域的生産システムの創 造による地域の競争力強化の可能性を探っている。食の安 全・安心を実現する技術と知見を育み、食の安全・安心の 社会システムを全体として創るために、それを地域から創 り出し、活力ある地域経済づくりにも資するように、今後 も産官学連携プロジェクト研究を発展させていきたい。

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琵琶湖・淀川流域と韓国・洛東江流域を素材にした流域管理政策の日韓比較研究

1.プロジェクトメンバー 中村 正久  環境総合研究センター・教授 只友 景士  経済学部・准教授 中野  桂  経済学部・准教授 遠藤 修一  教育学部・教授 李  秀澈  名城大学・准教授 金  淳植  学術振興会・外国人特別研究員 2.研究の目的と計画 本学を中心とした琵琶湖・淀川水系地域の研究機関と韓 国・啓明大学、大邱慶北研究院を中心とした洛東江水系の 研究機関の交流を通し、流域管理政策(制度・組織・体制、 政策、技術的取り組み、河川環境、利害関係者の参加、財 政など)の日韓比較研究を行う。本プロジェクトは韓国研 究機関の研究者が行う琵琶湖・淀川水系における流域管理 政策に関する調査研究を支援し、韓国研究機関の関連プロ ジェクトは本学などの琵琶湖・淀川水系の研究機関の研究 者が行う洛東江水系の流域管理政策に関する調査研究を支 援する。 3.2007年度の活動状況 2007 年度は両国の自然生態系復元とノンポイントソース 対策をめぐる研究交流を中心課題とし「湖沼・河川の自然 生態系復元とノンポイントソース問題をめぐる研究交流セ ミナー」を開催した。韓国側からは生態河川づくりと 4 大 河川(漢江、洛東江、錦江、栄山江)の非点源汚染源管理 総合対策について、また日本側からは琵琶湖の自然生態系 保全やノンポイント対策事業の最近の動向と河川生態系保 全の研究動向を中心に、研究交流セミナーを通して情報交 換を行った。韓国側が紹介したソウル市清渓川(チョンゲ チョン)は都市内自然生態系復元事業として我が国でも良 く知られているが、国の 10 年計画に関する詳細な情報と併 せた全体像の提示があった。また、ノンポイントソースの 総合対策については、政策樹立の背景と推進方向や体系、課 題について 2006 年度に報告された水管理政策や流域管理制 度と関連づけた報告があり、琶湖淀川水系を含む我が国の 取り組みと異なった側面が浮き彫りになった。 ■ 2 月17日(日)現地見学 ・ 山寺川市街地排水浄化施設(説明:立命館大学市木敦之 准教授) ・ B I Y O センター水質浄化実験施設(説明:琵琶湖淀川水質 保全機構 和田佳子氏) ・ 早崎内湖現地見学及び再生事業(説明:早崎内湖再生協 議会 松井賢一氏) ・ 木曽川自然共生研究センター(説明:センター長 萱場 祐一氏、佐川志朗氏、根岸淳二郎氏) ■ 2 月18日(月)研究交流セミナー 課題 1 :河川湖沼の自然生態系復元をめぐる政策対応 ・「韓国の生態河川作り10年計画」南光鉉(大邱慶北 究院 責任 究員)、金熙哲士(大邱慶北 究院責任 究員) ・「浅水湖沼の水草種の分布と水鳥」浜端悦治、藪内喜人 (滋賀県立大学) ・「河川および水路の自然環境の劣化:二枚貝からみた再生 へのアプローチ」根岸淳二郎(自然共生研究センター) 課題 2 :河川湖沼の非点源汚染をめぐる政策対応 ・「韓国の非点源汚染源管理政策の課題と方向」李昌洙(威 德大學校)、朴承撤(世紀技術團) ・「我が国の湖沼ノンポイント負荷削減政策の枠組みとそ の変遷」中村正久・只友景士(滋賀大学) ・「琵琶湖集水域における路面排水汚染物質の挙動と負荷 削減対策の課題」和田桂子(琵琶湖淀川水質保全機構) 課題 3 :湖沼流域ガバナンスの最近の話題 ・「滋賀県のCO2削減行動計画」中野桂(滋賀大学)、高田友 美(地球の芽) ・「ビクトリア湖のノンポイント問題」中村正久(滋賀大 学)、Thomas Ballatore(ILEC) 4.最終年度に向けて 本プロジェクト最終年の 2008 年度は、 3 年間の研究交流 の成果をベースに日韓の流域管理制度・政策の歴史的変遷 と課題についてとりまとめる。

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びわ湖に流入する河川水の分散機構

1.プロジェクト研究題目 「びわ湖に流入する河川水の分散機構」 2.プロジェクトメンバー 遠藤 修一 (滋賀大学教育学部) 川嶋 宗継 (滋賀大学教育学部) 奥村 康昭 (大阪電気通信大学工学部) 大久保卓也 (滋賀県琵琶湖・環境科学研究センター) 3.研究目的・計画 3-1.目的 びわ湖に流入する主要な河川を対象として、水文・水質・ 生態系の観測を継続実施するとともに、びわ湖の水質や物 質分布を連続的に測定することによって、河川水の水質・ 流量の季節変化、河口域及び湖内における河川水の分散過 程、さらには河川によってもたらされる溶存態・懸濁態物 質の挙動について定量的な把握を行う。観測結果の解析と、 観測値に基づいた数値モデルによって、湖の水質形成と物 質循環について、より高い精度での評価を行う。 3-2.計画 本プロジェクト研究では、河川および、びわ湖における 物質循環を 3 年間にわたり追跡する。研究計画は以下の通 りである。 ・ びわ湖に流入する河川のうち最大の流域面積を有する野 洲川の河口域を対象として、河川水の分散過程を明らか にする。 ・ 水質プロファイラを用いて、水温・電導度・濁度・クロ ロフィルa、溶存酸素、pH等の三次元分布を測定する。ま た、各層の採水を行い、懸濁態物質と溶存態物質の化学 分析を行う。 ・ 河口域から沖帯への河川起源物質の輸送や沈降、および 自生性懸濁態態物質との相互作用などの実態を解明する ために、野洲川河口から沖合に向けた測線上に、現有の 自記流向流速水質計、係留式 ADCP、自記濁度計、セディ メントトラップなどの係留系を展開し、物質の動きを時 間的に連続して追跡する。 ・ 以上の観測によって得られる河川水の流量・水質の時系 列、河口域および沖帯における水質・湖流の連続記録、湖 における水質の三次元分布、本学のテレメータブイによ る気象・水質・湖流データ、および国土交通省による水 文水質データベース、気象庁による河川流域における気 象データなどを用いて河川水の分散・輸送過程の実態を 把握する。 4.今年度の状況報告 2007 年度は、暖冬による湖底の溶存酸素濃度の低下が問 題になったために、湖内における水質観測を重点的に実 施 した。野洲川河口の北方に位置する近江舞子沖の水深 75 m の地点において、各層の水温・溶存酸素濃度・電気伝導 度・クロロフィルの連続自記観測を行うとともに、毎月 1 回 の割合でびわ湖を縦断する 15 測点において、水質の鉛直分 布の観測を行った。 暖冬の影響で、 2 月や 3 月においても鉛直循環が湖底ま で届かず、 3 月末になってようやく全層循環が生じた。そ の後、秋季に湖底付近の低酸素化が進行し、11 月には溶存 酸素飽和度が30%台まで低下した(図参照)。ただし、2008 年の 1 月末には湖面冷却により全層循環が生じ、溶存酸素 は例年よりも早く回復した。これは、前年の湖底水温が平 年よりも高く推移したことが一つの理由である。 電気伝導度については、温度補正の新しい方法を導入し たことにより正確な評価が行えるようになった。その結果、 成層期には水温躍層付近に電気伝導度の高い分布を捉える ことができ、これは湖に流入する河川水に対応することを 明らかにした。今後、河口沖における観測などで、電気伝 導度の正確な評価を行うことにより、河川水の分散パター ンを把握することが可能になると考えられる。また、従来 言われている融雪水による酸素供給のメカニズムについて も、今後解決すべき重要な課題である。 図:2007年の近江舞子沖における溶存酸素飽和度の季節変化

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農業環境政策の制度設計

1.プロジェクトメンバー 藤栄  剛  環境総合研究センター准教授(研究代表者) 矢部 光保  九州大学農学研究院准教授 小糸健太郎  酪農学園大学酪農学部講師 佐々木宏樹  農林水産政策研究所研究員 2.研究の目的と計画 近年、わが国において、環境直接支払い政策をはじめと する農業環境政策の導入されつつある。環境問題に対する 関心が高まる中、政府は平成 19 年度から「農地・水・環境 保全向上対策」を開始した。また、滋賀県は平成 16 年度か らすでに環境直接支払制度を施行しており、農業環境政策 に対する適切な制度設計のあり方を検討するニーズはより 高まりつつある。そこで、本プロジェクト研究では、行動 経済学的な視点から、特に環境保全型農業への取り組みに よって農家が被るリスクに着目して、農業環境政策の制度 設計のあり方を検討する。 平成 18 年度は、行動経済学に関する先行研究のサーベイ ならびに農業環境政策の現状と展開動向の整理・把握を行 う。平成 19 年度は、前年度での整理をもとに、農家のリス ク受容態度を織り込んだ農業環境政策の概念モデルを構築 することによって、政策導入による環境便益ならびに経済 厚生の変化等を検討するとともに、制度設計に資する政策 的含意を導出し、とりまとめを行う。 3.今年度の活動状況 (1)研究会の実施 下記の通り、農業・環境・資源経済学ワークショップを 複数回開催した。開催場所はいずれも滋賀大学大津サテラ イトである。 第 1 回農業・環境・資源経済学ワークショップ 日時:11月14日(水)16:30∼18:30 報告者:高橋卓也氏(滋賀県立大学環境科学部・准教授) 報告タイトル:ISO14001 はほんとうに環境のためになる のか?−環境マネジメントシステムから環境を考える− 討論者:小幡範雄氏(立命館大学政策科学部・教授) 第 2 回農業・環境・資源経済学ワークショップ 日時:12月 3 日(月)16:30∼18:30 報告者:伊藤順一氏(農林水産政策研究所・上席主任研 究官)

報告タイトル:“Collective Action for Local Commons Management: Hypotheses from Evolutionary Game Theory and Empirical Evidence”

討論者:浅見淳之氏(京都大学大学院農学研究科・准教 授) 第 3 回農業・環境・資源経済学ワークショップ 日時:2 月11日(月)16:00∼18:00 報告者:大床太郎氏(広島大学大学院国際協力研究科・ C O E 研究員) 報告タイトル:河川環境の流域単位での管理対策評価 討論者:寺脇拓氏(立命館大学経済学部・准教授) (2)その他の活動 プロジェクトメンバー間での議論を基に、下記の科学研 究費補助金基盤研究(C)の申請を行い、採択された。 研究タイトル:経済実験による環境保全型農業経営の行動 解明−リスク態度を中心として− 研究参画者:井上憲一(島根大学生物資源科学部・准教授) /藤栄剛(滋賀大学環境総合研究センター・准教授)/小 糸健太郎(酪農学園大学酪農学部・講師)/佐々木宏樹(農 林水産政策研究所・研究員) (3)活動内容とその総括 本年度は、前年度での整理をもとに、農家のリスク受容 態度を織り込んだ農業環境政策の概念モデルを構築するこ とによって、政策導入による環境便益ならびに経済厚生の 変化等を検討するとともに、制度設計に資する政策的含意 を導出し、その成果の一部をとりまとめた(藤栄剛「農業 環境政策の経済分析−滋賀県の環境農業直接支払制度を対 象として−」『彦根論叢』第370号,2008,pp.65∼85.)。ま た、本プロジェクト研究の質をより高めるために、主に農 業・環境・資源経済学を専門とする若手研究者を中心とす る農業・環境・資源経済学ワークショップを複数回実施し、 プロジェクト研究推進に資する知見を多く得ることができ た。さらに、ワークショップの開催のみならず、プロジェ クトメンバー間での検討・議論をもとに、本課題を発展さ せる形で、文部科学省科学研究費補助金の採択に結びつけ ることができた。こうしたことから、プロジェクト研究計 画の所期の目的を達成したと評価することができる。

参照

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