教 師 ・ 保 護 者 の 連 携 促 進 プ ロ グ ラ ム の 開 発 的 研 究
一教師集団の協働による応答的コミュニケーションの実現をねらいとして-学 校 教 育 専 攻
学 校 改 善 コ ー ス
坂 幸 子
1
.研究の目的
本研究は、子どもの状況や課題について教師
と保護者の聞に応答的なコミュニケーションが
成立することこそが、学校・家庭の連携の基盤
的条件であると捉え、①その実現を促す通信シ
ステムの改善、②保護者との応答的コミュニケ
ーションの成立を支援する教員系郎裁の構築をね
らいとしたプログラムの開発とその効果を検証
しようとするものであるD
すなわち、本研究では、以下のことを実現す
るプログラムを開発し試行した。
①学級通信を保護者との応答的コミュニケーシ
ョンのチャンネルとして活用することを可能
にするための改善
②保護者とのコミュニケーションの成立を阻害
している組織的要因である教師の個業性を解
消するための学年会におけるコミュニケーシ
ョンの質と形態の変革
2
.
応答的プログラムの開発
(1)教師-保護者問、保護者同士の関係の変革一
通信システムの改善一
通信を学年や学級の状況や連絡事項を伝達す
るとしづ役割だけでなく、学校と保護者をつな
ぐ媒体として捉え、保護者との応答を成立させ
る。そのため、以下の通信の改善を試みた。
①保護者の関心に対応した具体性、課題性、評
価性の高い情報の発信
②保護者からの情報発信を促すための返信要求
指導教官 佐 古 秀 一
と通信欄の設定による応答性の確保
③保護者からの返信に対する的確な応答
④互いの応答の確認と発展性のあるコミュニケ
ーション成立のための通信ファイルの活用
⑤保護者間の関係を築くための他の保護者の考
えの伝達
これらの工夫により、教師からの率直な情報
の開示による教師・保護者間での情報の共有、
それによる保護者の教育関心の喚起と情報発信
の促進がなされると予想した。
コミュニケーションの
座盟主
保 護 者 の 教 育 関 心 の 喚
起・情報発信の促進
座筆盟盟主去
保護者の要望や意見の収集、教
師・保護者η応答刀雅保、保護者
主渉力町する学審のねらい、内容、
協力の内容
コミュニケーションの
肉容の昆体性(聞心対応
血
情報の提供・情報0現 有
率直な情事初湯陪Tミ
通信内容の長特牲・課圏全・評価
性、子ども・騨市・保護者のコミ
ュニケーションの成;立
(個言。糟掛 (姐信の工掲) 《保護者η意掛)
(2)教師聞の関係の変革-学年会の改善一
これまでの学年教師問のコミュニケーション
を行事計画や教科内容の検討といった断片的で、
事務的な内容だけでなく、保護者の関心や要
望・期待、児童理解、学級経営の理解など、学
年教師問で学級の状況を交流・共有し、対応策
の検討、対応を支援する学年会の運営・展開を
導入することを試みた。このような学年教師問
の関係を通し、教師の閉鎖的な役割意識を協働
意識へ転換し、保護者との応答もより積極的に
なることを予想した。
円
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つ
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3
.
プログラムの実施
本研究では、 H小学校の第4学年の3学級を
対象に1学期間プログラムを実施した。
その結果、プログラムの構想に基づいた学級
通信(学年通信を含む)は、 1組では 6回、 2
組では 16回、 3組では 12回発行された。保護
者の応答率(fu答者率)は、それぞれ、67%、590/0、
91%で、あった。
学年会は、フォーマルな会合で、は、連絡調整
や指導の計画が中心で、あったが、インフォーマ
ルな会合で、は、指導法や子どもの情報、保護者
への対応、通信内容や返信について話し合われ
るようになった。
4
.
プログラムの効果
(1)学級通信による応答的なコミュニケーシヨ
ンの成立可能性
本研究で構想したような通信の改善によって、
通信回数などの相違はあるものの、幅広い保護
者との応答的なコミュニケーションを実現する
ことが示されたD また、保護者は潜在的に学校
に対する情報発信志向を有していることも調査
結果から示唆された。保護者の情報発信を受容
するのではなく、教師が通信を通して、具体的
な情報を提供し、返信要求などを行うことで、
保護者の情報発信阻害の低減が図られることが
わかった。
(
2
)
応答性を活性化させるための学級通信のあ
り方
保護者の連携意識の形成には、学級通信によ
るコミュニケーションの成立状況と関連してい
ることが示された。
①通信の頻度が少なく、応答的なコミュニケー
ションが弱し、状況では、保護者は、教師に対
する親近感を低め、保護者の学校教育に対す
る関心を潜在化させ、学校と保護者の役割を
分離して考えるような傾向をもたらす。
②通信の頻度が高くても、応答的なコミュニケ
ーションを作り上げることを教師が十分に行
えない場合は、保護者の関心と教師の情報発
信との問のギャッフ。を大きくし、保護者に教
師の対応に対する不満をもたらし、親近感を
低下させる。
③保護者に対する率直で応答的なコミュニケー
ションが成立する場合には、教師に対する親
近感が高まるばかりでなく、学校教育に対す
る積極的な関与や参加意識もある程度高まる。
以上のことが、本研究の結果から示唆された。
これらのことから、それぞれの教師が保護者と
のヨミュニケーションをどのように築き、情報
や課題を共有するかが、保護者の学校に対する
連携意識に大きく影響することがわかったO
(3)学年会におけるコミュニケーションの変容
フォーマルな会合に関しては、プログラムに
おいて構想したコミュニケーションを促すこと
は困難で、あった。しかし、インフォーマルな会
合では、子どもの情報や通信の内容や返信、保
護者への応答が話題となった。ただし、コミュ
ニケーションの双方向性や相互支援の成立に関
して、課題を残した。
5
.
今後の課題
本研究では、学校と保護者の連携を教師レベ
ルで、実施し、教師・保護者間の応答的なコミュ
ニケーションが通信を通して実現することが実
証されたD また、教師問の協働が保護者との応
答性を高めるためにかなり重要な意味を持って
いることや学校のコミュニケーション・システ
ムの整備が必要であることがわかった。本研究
の結果に基づいて、学年レベルの通信をより応
答的なものに切り替えていくことが今後の方向
として示された。