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Health Locus of Controlから健康行動への因果関係に及ぼす死の不安の影響

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Academic year: 2021

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Health Locus of Controlから健康行動への因果関係に及ぼす死の不安の影響 学 校 教 育 専 攻 人間形成コース 松 田 茶 茶 序 死 に 関 す る 諸 問 題 に , 一 般 的 に 老 年 期 の 発 達 課題やターミナル・ケア ホスピスなどにおい て 焦 点 が 当 て ら れ て い る 一 方 で 死 が 日 常 生 活 か ら 事 離 し , 生 に つ い て 考 え る こ と の 少 な く な った今日,青年期を含め,子どもに死について 教 え , 意 識 的 に 考 え さ せ る こ と が , 命 の 貴 さ や 時間の大切さを教えるうえで非常に重要である と言われている.また,現代社会では事件,事 故 , 災 害 な ど 様 々 な か た ち で , あ ら ゆ る 世 代 に お い て 身 近 に 死 は 起 こ り 得 る も の で あ り , そ れ にさらされる頻度は青年期に高い.そして更に, 青 年 期 に お い て 死 を 主 題 と し て 扱 う こ と は , そ の後の人生に対する基盤を形成することとなる と主張されている(松田, 1996; 丹下, 1999). ま た , 近 年 に お い て ヘ ル ス ・ プ ロ モ ー シ ョ ン の拡大が見られる中,現代の死因構造の大半を 占めているのはガンや心臓病,あるいは脳血管 疾 患 な ど の 生 活 習 慣 病 で あ り , 若 年 者 ほ ど 健 康 習慣の死亡率への関与が高いという報告がなさ れ て い る ( 村 松 ・ 村 松 ・ 村 松 ・ 金 子 ・ 賓 成 ・ 武 田・合田・片岡, 1999). ま た , 大 学 生 を 含 む 青 年 期 は 活 動 的 で , 他 の 年 齢 層 と 比 較 し て 有 疾 病 率 の 低 い 集 団 で あ る た め , 自 身 の 健 康 へ の 関 心 は 低 い と も 言 わ れ て い る ( 佐 々 木 ・ 板 橋 ・ 富 田, 1996). し か し , 青 年 期 に と っ て い る 健 康 に関わる行動や意識は,将来の健康を予測する 大きな要因である. 指導教官 皆 川 直 凡 先行研究によると, Health Locus of Con -trolが健康行動を予測するとき,その二者の間 に健康価値が媒介変数として存在することが示 唆 さ れ て い る が , 一 方 で 健 康 行 動 と 死 の 不 安 の 関連の方向性の明確化や, HLCと死の不安の関 係 性 が 問 題 と な っ て い る . そ こ で , 健 康 価 値 を 包括する概念である死の不安が, HLCか ら 健 康 行 動 へ 向 か う 因 果 関 係 に お い て 影 響 を 及 ぼ し て い る の で は な い か という仮説をたて,大学生 を対象に本研究を行った.そして,教育的視座 から,実際の健康状態を測定し,現状としての 健 康 状 態 に ど の よ う に 作 用 し て い る の か に つ い ても検討した. 研 究 I 研 究 Iは,研究Eで 使 用 す る た め の 適 切 な 死 の不安尺度が本邦には存在しないという問題を 受 け , 信 頼 性 お よ び 妥 当 性 を 備 え た , 調 査 使 用 に耐えられる死の不安尺度を開発することを目 的 と し て 行 わ れ た . 死 の 不 安 を “ 人 間 の 基 本 的 欲 求 で あ る 生 存 の た め の 自 己 防 衛 に 伴 っ て 生 じ るものであり,‘いずれ自分にも死が訪れる' という,回避することのできない脅威に対して もつネガティヴな感情"と定義し,この定義に 基 づ き , 予 備 調 査 に よ り 質 問 項 目 を 作 成 し , 予 備調査および本調査を重ねた末, Personal Death Anxiety Questionnaireが 完 成 し た . 本 尺 度 の 信 頼 性 お よ び 妥 当 性 の 検 討 を 行 っ た 結

U

つ 臼

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果,内的整合性,安定性,因子的妥当性,構成 の不安は,心理的健康に必要なものである"と 概念妥当性を有しており,調査使用に耐えられ いう提唱に沿うものであると言える. る尺度であることが示された.ただし,構成概 念妥当性に関して,本尺度の未完という因子に おいては,外的基準と正に関連する傾向は見ら れたものの,統計的に有意な関連ではなかった ため,この部分の改良の余地が示唆され,今後 の課題として残された. 研 究E 研 究 Hは, HLCから健康行動への因果関係に おける死の不安の影響,および健康状態との関 連性を検討することを目的として行われた.

Health Locus of Control尺度(渡辺, 1985,

1985),大学生の健康習慣に関する質問紙(村松 . 村 松 ・ 村 松 ・ 金 子 ・ 寅 成 ・ 武 田 ・ 合 田 ・ 片 岡, 1999),研究 Iで開発したPersonal Death

Anxiety Questionnaire, General Health

Questionnaire(中川・大坊, 1985)を用いて調 査を実施し,仮説の検討を行った.その結果, 仮説モデ、ルが有意と認められたのは半数強であ り,モデルそのものの改良,あるいはモデルに 関わる変数の置換などの必要性および可能性は 否めなかった.しかし,部分的にではあるが, HLCか ら 健 康 行 動 へ 向 か う 関 係 性 に 死 の 不 安 が 影響を及ぼしているものも見受けられ, HLCの みが健康行動を予測するという単純なモデ、ルで、 はないことがうかがえた.また,死の不安と心 理的不適応との関連を検討した結果,死の不安 のうち,死に関する無力感,死ぬ瞬間の苦しみ ・不安という因子は心理的不適応と正の関連を もつが,未完という因子は他の因子とは異質な 働きを示すと考えられ,前者は過去の多くの研 究結果に一致するが,後者はServaty& Hayslip(1996)の“ある一定水準の意識的な死 今後の課題 以上,本研究から得られた知見をもとに,モ デ、ルについての改良や再検討,そしてHLCと健 康行動との媒介変数についての知見の深化を進 めることの必要性が示唆された.その深化を進 めることが,現代社会において問題視されてい る諸事について,その解決の方法論を早急に模 索していく土台を形成し,適正な教育法を検討 することにつながると考えられる.また,縦断 的研究やコホート研究も行い,より幅広く多岐 にわたる知見を得ることによって,健康教育や デス・エデュケーションにおいて,質の高い寄 与の果たせる研究が拡大されることが今後に望 まれる. -

参照

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