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老朽住宅密集地域における老朽住宅のストックの有効活用に関する研究 : 大阪市西成区北西部を事例として 利用統計を見る

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(1)

老朽住宅密集地域における老朽住宅のストックの有

効活用に関する研究 : 大阪市西成区北西部を事例

として

著者

冨永 哲雄

雑誌名

東洋大学大学院紀要

51

ページ

369-386

発行年

2014

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00007314/

(2)

― 369 ―

要旨

本研究の目的は、老朽住宅が密集する大阪市西成区北西部を対象地域に設定し、増加傾向 にあるゲストハウスというサービス手法が、老朽住宅密集地域の問題を解決する可能性を明 らかにすることを目的としている。中央防災会議から公表された老朽木造住宅密度でも、全 国の市区町の上位10位のうち8区が大阪市に属しており、深刻な状況といえる。 ゲストハウス管理業者へのアンケート調査の結果から、1、老朽住宅は、築年数が経過し ているため、運営コストが少なく、所有者にとっては改修費用さえ投資をすれば、毎月家賃 収入が入ることが魅力となり、老朽住宅を改修させる動機となっている。2、入居者の大半 は海外の渡航者によって構成されており、賃貸住宅市場では倦厭されやすい層をターゲット にしている。3、すぐに入居できるように、家具、家電を付けており、さらに賃貸契約では ないため事務手数料などの初期費用がかからないなど、海外渡航者のニーズと合致している。 以上3点を確認することが出来た。その結果、ゲストハウスというサービス手法がこれまで 遊休状態になっていた老朽住宅を再び活用し、老朽住宅密集地域の問題を解決する可能性が あることが明らかになった。 キーワード:老朽住宅、大阪市、西成区、不動産、リノベーション、再市場化 目次 1 研究概要 2 大阪市における老朽住宅密集地域の現状 3 ゲストハウスへの改修の動き 4 老朽住宅とゲストハウスの関係性 5 結論

老朽住宅密集地域における老朽住宅のストックの

有効活用に関する研究

―大阪市西成区北西部を事例として―

福祉社会デザイン研究科人間環境デザイン専攻博士前期課程修了

冨永 哲雄

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1 研究概要

1-1 研究の背景、目的 本研究の目的は、老朽住宅が密集する大阪市西成区北西部を対象地域に設定し、増加傾向 にあるゲストハウスというサービス手法が、老朽住宅密集地域の問題を解決する可能性を明 らかにすることを目的としている。大阪市における老朽住宅は、中央防災会議から公表され た老朽木造住宅密度1)でも、全国の市区町の上位10位のうち8区が属しており、深刻な状況 といえる。主な対策として住宅地区改良法に基づき、これまで老朽住宅等の建替えと公共施 設の整備努力されてきた。老朽化した住宅の更新は一定程度進んできているが、老朽木造住 宅の建て詰まりに加え、権利関係の輻輳や建物所有者や入居者等の高齢化が進んでいるなど 様々な要因により、依然として多くの老朽住宅が残されており、地域全体でみるとまだまだ 十分に改善されたとはいえない状況である。さらにこうした老朽住宅の多くは、空き家とな っており、大阪市の空き家率は14.4%になり、西成区においては20%といずれも全国平均の 13.1%を大きく上回っている。 一方で、2007年頃から、地域内にゲストハウスが運営されるようになった。ゲストハウス は、シェアハウスなどと同様に住宅ライフスタイルや家族形態の変容などにより、血縁に依 存しない居住形態を選択する人びとが増加傾向にある(丁ら,2008 中村ら,2009 冨永ら,2013 キーナら,2013ほか)2)3)4)5)。ゲストハウスは敷金、礼金、仲介手数料がなく、さらにほとん どの物件では家具、家電がついており、さらに賃貸契約ではないため事務手数料などの初期 費用がかからない等、若者のライフスタイルに合致した新しい居住形態と言える。 老朽住宅密集地域の研究は主に都市計画の分野で行われており、それらは主に住環境に焦 点を当てたものである(多治見,2008)6)。また建築学の分野では、実際に行われた不良住宅 地区改良事業の検証を行ったものや(大月,2006)7)、同和対策事業における改良住宅に対す る論考である(内田,1993)8)。本研究の視点は、老朽した遊休住宅が、ゲストハウスという サービス手法を活用して、別の用途に転換することにより、老朽住宅密集地域の問題が解決 するのではないか、という点にある。その解決策を実証的に解き明かしたものはない。しか し、老朽住宅密集地域における解決策として、新たな居住形態として注目されているゲスト ハウスが展開される要因はゲストハウス管理業者の意識や、入居者の属性などを把握するこ とにより、1つの可能性が見いだせるのではないか。本研究は、この問題意識から、ゲスト ハウス管理会社への聞き取り調査、入居者属性を明らかにすることによって、老朽住宅密集 地域の問題を解決する可能性を明らかにすることを目的としている。 1-2 研究の方法・対象 本研究は、ゲストハウスというサービス手法が、老朽住宅密集地域の問題を解決する可能 性を明らかにすることを目的としている。具体的な調査方法は以下に示す通りである。

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― 371 ― 1)物件に対するアンケート・聞き取り調査 ゲストハウス管理業者1社に協力を得て、管理している6軒への建物の「1.開設年度」、 「2.建築構造」、「3.家賃・居室の面積」、「4.共用部」等4つの項目を中心にアンケート調査を 行った。その後結果と照らし合わせ、老朽住宅がゲストハウスになるまでの課程を明らかに するため、聞き取り調査を行った。 2)入居者に関するアンケート調査 ゲストハウス管理業者1社に協力していただき、管理している6軒への建物の「1.入居者の 概要」、「2.国籍・出身地」、「3.宿泊期間」、「4.宿泊経緯」、「5.ビザの種類」、「6.契約時の書 類」、6つの項目を中心にアンケート調査を行った。 1-3 対象地域の概要 大阪市西成区は、全国有数の大規模な 被差別部落と日雇い労働者の居住地域で ある「あいりん地域」があることで有名 だが、老朽した木造住宅が密集している ことはあまり知られていない。平成19年 に内閣府中央防災会議が出した報告書1) において、昭和55年以前に建築された木 造住宅密度が2,795(戸/km2)に上り全 国でも最も密集していることが分かって いる。図1は、大阪市が平成12年に発行 した大阪道路現況図を使用しているが、 太線で囲まれているのは、「特に優先的な取組みが必要な密集住宅市街地に指定されており、 災害時において倒壊したり、部材が飛散する危険性が高く、早急な対策が必要な地域であ る。

2 大阪市における老朽住宅密集地域の現状

老朽住宅密集地域に対して、はじめて法規定されたのは1927年に制定された不良住宅地区 改良法である。その後同法から引き継いだ住宅地区改良法が根拠法になり、付帯した事業な どによって、これまで老朽住宅等の建替えと公共施設の整備が行われてきた。大阪市内では 下寺町や北日東町、南日東町などに行った事業があり、多治見左近(2008)6)や大月敏雄 (2006)7)をはじめ多くの研究が蓄積されている。大阪市の対策としては、1995年に発生し た阪神・淡路大震災を契機に、市街地の燃えやすさ、老朽建築物の集積状況、世帯密度を踏

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まえ、「大阪市防災まちづくり計画」を1999年に策定している。そのなかで面的な災害の可 能性のある地域を「防災性向上重点地区(約3,800ha)」として制定し、国の都市再生本部に おける密集市街地の整備方針を踏まえ、不燃領域率等を指標として、「特に優先的な取り組 みが必要な密集住宅市街地(約1,300ha)」(図1)をそれぞれ指定している。また「狭あい道 路拡幅促進整備事業」および「主要生活道路不燃化促進整備事業(防災コミュニティ道路の 整備)」を老朽住宅密集地域に適応している。しかし、実際は、老朽木造住宅の建て詰まり に加え、道路や公園等の都市基盤の整備が不十分で、幅員4メートル未満の狭あい道路も多 く、さらに、権利関係の輻輳や建物所有者や入居者等の高齢化が進んでいるなど様々な要因 により、依然として多くの老朽住宅が残されており、地域全体でみるとまだまだ十分に改善 されたとはいえない状況である。さらにそうした老朽住宅の多くが空き家となっており、大 阪市の空き家率は14.4%になり、西成区においては20.0%といずれも全国平均の13.1%を大 きく上回っている9)

3 ゲストハウスへの改修の動き

3-1 ゲストハウスの概要 ゲストハウスという言葉は、シェア住居白書10)によると「比較的安価な料金で利用出来る 宿泊施設を指して使われることが多い。ホテルとは違い、部屋によってはトイレ、バスルー ムがない場合もあり、共用のものを利用するシステムが取れている。月単位の料金設定をし ているところもあり、そこではアパートのように長期滞在も可能となっている」と説明され ているが、実際は近年増加傾向にあるシェアハウス等との違いが明確ではない。丁(2008)3) らの研究によるとシェア居住の形態は、①ルームシェア、②ハウスシェア、③ゲストハウ ス、④ミングル、⑤ハウスシェアリングの5つに分けることができる(表1)。ゲストハウス は業者が専門的に経営または管理しているというのが特徴である。また、ゲストハウスには 滞在型と居住型の2種類がある。前者は1ヶ月未満の短期の旅行者や観光客を受け入れてお り、一方で後者は1ヶ月以上の中長期の利用者を受け入れており泊まる場所としてではなく、 生活空間として利用されている。 以上を踏まえて、本研究では、ゲストハウスを、①ゲストハウスは業者が専門的に経営ま たは管理していること、②最短の契約期間を1ヶ月とする賃貸物件であること、③入居者同 士が共通して使用する共用空間があること、④世代・国籍・性別等による入居制限を設けて いないこと、と定義する。

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― 373 ― 類型 特徴 ルームシェア マンションやアパートの集合住宅の1室を借りて、1つの住戸に血縁関係のない人々が同居する住まい。個室があり、1室に複数名で居住している場合も稀にみられる。LDKや風 呂、トイレ等を共同利用する。規模は多くても5室程度である。 ハウスシェア ルームシェアと同様な空間構成や利用等をしているが、一軒家になるとハウスシェア、シェアードハウス、シェアハウスと呼ばれる。 ゲストハウス 主に業者が専門的に経営または管理しており、家具、家電、日常生活における備品に付属している。また共用空間の清掃等は自主管理ではない場合が多い。シェア-ドハウスと呼ぶ場 合もある。規模は2室以上で最小5人以上、最大100人以上の居住者が共同生活している。 ミングル 友人2人(同棲)で半共同生活する住まい。大阪など関西を中心に供給されており、個室は鍵がかかり、台所や風呂等は共同利用する。光熱費や共同利用する備品等は居住者で折 半することになる。 ハウスシェアリング 都市再生機構が行っているルームシェアのタイプである。比較的回転率や空き家率がおおいところのファミリー世帯向けの住戸を単身者に賃貸している。 表1 シェア居住の形態 丁(2008)3) 類型 特徴 ルームシェア マンションやアパートの集合住宅の1室を借りて、1つの住戸に血縁 関係のない人々が同居する住まい。個室があり、1室に複数名で居住 している場合も稀にみられる。LDKや風呂、トイレ等を共同利用する。 規模は多くても5室程度である。 ハウスシェア ルームシェアと同様な空間構成や利用等をしているが、一軒家になる とハウスシェア、シェアードハウス、シェアハウスと呼ばれる。 ゲストハウス 主に業者が専門的に経営または管理しており、家具、家電、日常生活 における備品に付属している。また共用空間の清掃等は自主管理では ない場合が多い。シェア-ドハウスと呼ぶ場合もある。規模は2室以 上で最小5人以上、最大100人以上の居住者が共同生活している。 ミングル 友人2人(同棲)で半共同生活する住まい。大阪など関西を中心に供 給されており、個室は鍵がかかり、台所や風呂等は共同利用する。光 熱費や共同利用する備品等は居住者で折半することになる。 ハウスシェアリング 都市再生機構が行っているルームシェアのタイプである。比較的回転 率や空き家率がおおいところのファミリー世帯向けの住戸を単身者に 賃貸している。 3-2 ゲストハウスにおける物件調査の結果 本研究は西成区において展開する6 つのゲストハウスの物件に対して、ゲストハウス管 理業者(6 軒)に対してアンケート調査をおこなった(表 2)。その結果、開設年度は「2007 年」が 2 件、「2008 年」が 1 件、「2010 年」が 3 件、となっており、近年開業するケースが 増えてきている。建築構造は 3 件、鉄筋コンクリート構造、それ以外の 3 軒は木造になっ ている。家賃は高い物件で 4 万円に設定されており、安い物件で、3 万円に設定されており、 築年数や駅までの距離、部屋の広さなどによって家賃が変わってくる。居室面積は広い物 件で 12 ㎡、狭い物件で 5.5 ㎡となっている。ゲストハウスの場合、個室の専有面積以外に 共同リビング、シャワー、トイレなどの設備が付いている。この結果から居室面積は狭い 印象を受けるが、付属している設備によって補っていることが窺える。西成区のあいりん 地域で営業している簡易宿所が宿泊料金が安いことで知られているが、1泊1400 円前後に 設定されているため11)、月あたり42000 円となり、ゲストハウスの方が家賃は低くホテル より安価に泊まれることが可能になっている。 3-2 ゲストハウスにおける物件調査の結果 本研究は西成区において展開する6つのゲストハウスの物件に対して、ゲストハウス管理 業者に対してアンケート調査をおこなった(表2)。その結果、開設年度は「2007年」が2件、 「2008年」が1件、「2010年」が3件、となっており、近年開業するケースが増えてきている。 建築構造は3件、鉄筋コンクリート構造、それ以外の3軒は木造になっている。家賃は高い物 件で4万円、安い物件で、3万円に設定されており、築年数や駅までの距離、部屋の広さなど によって家賃が変わってくる。居室面積は広い物件で12㎡、狭い物件で5.5㎡となっている。 ゲストハウスの場合、個室の専有面積以外に共同リビング、シャワー、トイレなどの設備が 付いている。この結果から居室面積は狭い印象を受けるが、付属している設備によって補っ ていることが窺える。西成区のあいりん地域で営業している簡易宿所が宿泊料金が安いこと で知られているが、1泊1400円前後に設定されているため11)、月あたり42000円となり、ゲス トハウスの方が家賃は低くホテルより安価に泊まれることが可能になっている。 表 2 ゲストハウスの概要 ハウスA ハウスB ハウスC ハウスD ハウスE ハウスF 個室面積(最大) 12㎡ 9㎡ 6㎡ 9㎡ 10㎡ 10㎡ 個室面積(最小) 12㎡ 7㎡ 5.5㎡ 7㎡ 6㎡ 5.5㎡ 構造 木造 鉄骨造 木造 木造 鉄骨造 鉄骨造 階数 2 3 2 2 2 2 個室 9 7 8 11 14 15 週当たり最低 15,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 週当たり最高 15,000 12,000 15,000 12,000 15,000 15,000 月当たり最低 38,000 36,000 37,000 30,000 36,000 37,000 月当たり最高 40,000 38,000 40,000 34,000 40,000 42,000 浴室 × × × × × × シャワー 1箇所 1箇所 1箇所 2箇所 2箇所 1箇所 トイレ 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 コンロ ☓ 2台 2台 ☓ ○ 2台 洗濯機 ☓ 1台 1台 ☓ 1台 1台 乾燥機 ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ 駐輪場 ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ TV ☓ 1台 1台 1台 1台 1台 インターネット ☓ 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 ☓ リビング ○ ○ ○ ○ ○ ○ 賃 料 構 造 共 用 部 個 室 3-3 老朽住宅改修の流れ ゲストハウスはすべて改修された物件である。本稿では、図面採集の許可がえられた 3 物件の老朽住宅がゲストハウスに変化する流れを明らかにする。 1)事例①ハウス C 元々は単身者用の共同住宅であったが、ゲストハウスの前の用途は主に生活保護受給者 向けの共同住宅となっていた。図 2 は、共同住宅当時の図面である。築後 50 年~60 年経過 しており、老朽化が激しい物件であった。図 3 はゲストハウスに改修後の図面である。2007 年 10 月に開業しており、改修期間は約 2 カ月となっている。改修費用は従前居住者の転居 費用なども含め 900 万円となっている。主な改修点としては、居室の1つを壊し、共同ト イレ、共同の炊事場としたことである。 図 2 ハウス C の図面(従前) 図 3 ハウス C の改修後の図面

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3-3 老朽住宅改修の流れ ゲストハウスはすべて改修された物件である。本稿では、図面採集の許可がえられた3物 件の老朽住宅がゲストハウスに変化する流れを明らかにする。 1)事例①ハウスC 元々は単身者用の共同住宅であったが、ゲストハウスの前の用途は主に生活保護受給者向 けの共同住宅となっていた。図2は、共同住宅当時の図面である。築後50年~60年経過して おり、老朽化が激しい物件であった。図3はゲストハウスに改修後の図面である。2007年10 月に開業しており、改修期間は約2カ月となっている。改修費用は従前居住者の転居費用な ども含め900万円となっている。主な改修点としては、居室の1つを壊し、共同トイレ、共同 の炊事場としたことである。

表 2 ゲストハウスの概要

ハウスA ハウスB ハウスC ハウスD ハウスE ハウスF 個室面積(最大) 12㎡ 9㎡ 6㎡ 9㎡ 10㎡ 10㎡ 個室面積(最小) 12㎡ 7㎡ 5.5㎡ 7㎡ 6㎡ 5.5㎡ 構造 木造 鉄骨造 木造 木造 鉄骨造 鉄骨造 階数 2 3 2 2 2 2 個室 9 7 8 11 14 15 週当たり最低 15,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 週当たり最高 15,000 12,000 15,000 12,000 15,000 15,000 月当たり最低 38,000 36,000 37,000 30,000 36,000 37,000 月当たり最高 40,000 38,000 40,000 34,000 40,000 42,000 浴室 × × × × × × シャワー 1箇所 1箇所 1箇所 2箇所 2箇所 1箇所 トイレ 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 コンロ ☓ 2台 2台 ☓ ○ 2台 洗濯機 ☓ 1台 1台 ☓ 1台 1台 乾燥機 ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ 駐輪場 ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ TV ☓ 1台 1台 1台 1台 1台 インターネット ☓ 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 ☓ リビング

賃 料 構 造 共 用 部 個 室

3-3 老朽住宅改修の流れ

ゲストハウスはすべて改修された物件である。本稿では、図面採集の許可がえられた 3

物件の老朽住宅がゲストハウスに変化する流れを明らかにする。

1)事例①ハウス C

元々は単身者用の共同住宅であったが、ゲストハウスの前の用途は主に生活保護受給者

向けの共同住宅となっていた。図 2 は、共同住宅当時の図面である。築後 50 年~60 年経過

しており、老朽化が激しい物件であった。図 3 はゲストハウスに改修後の図面である。2007

年 10 月に開業しており、改修期間は約 2 カ月となっている。改修費用は従前居住者の転居

費用なども含め 900 万円となっている。主な改修点としては、居室の1つを壊し、共同ト

イレ、共同の炊事場としたことである。

図 2 ハウス C の図面(従前) 図 3 ハウス C の改修後の図面

表 2 ゲストハウスの概要 ハウスA ハウスB ハウスC ハウスD ハウスE ハウスF 個室面積(最大) 12㎡ 9㎡ 6㎡ 9㎡ 10㎡ 10㎡ 個室面積(最小) 12㎡ 7㎡ 5.5㎡ 7㎡ 6㎡ 5.5㎡ 構造 木造 鉄骨造 木造 木造 鉄骨造 鉄骨造 階数 2 3 2 2 2 2 個室 9 7 8 11 14 15 週当たり最低 15,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 週当たり最高 15,000 12,000 15,000 12,000 15,000 15,000 月当たり最低 38,000 36,000 37,000 30,000 36,000 37,000 月当たり最高 40,000 38,000 40,000 34,000 40,000 42,000 浴室 × × × × × × シャワー 1箇所 1箇所 1箇所 2箇所 2箇所 1箇所 トイレ 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 コンロ ☓ 2台 2台 ☓ ○ 2台 洗濯機 ☓ 1台 1台 ☓ 1台 1台 乾燥機 ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ 駐輪場 ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ TV ☓ 1台 1台 1台 1台 1台 インターネット ☓ 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 ☓ リビング ○ ○ ○ ○ ○ ○ 賃 料 構 造 共 用 部 個 室 3-3 老朽住宅改修の流れ ゲストハウスはすべて改修された物件である。本稿では、図面採集の許可がえられた 3 物件の老朽住宅がゲストハウスに変化する流れを明らかにする。 1)事例①ハウス C 元々は単身者用の共同住宅であったが、ゲストハウスの前の用途は主に生活保護受給者 向けの共同住宅となっていた。図 2 は、共同住宅当時の図面である。築後 50 年~60 年経過 しており、老朽化が激しい物件であった。図 3 はゲストハウスに改修後の図面である。2007 年 10 月に開業しており、改修期間は約 2 カ月となっている。改修費用は従前居住者の転居 費用なども含め 900 万円となっている。主な改修点としては、居室の1つを壊し、共同ト イレ、共同の炊事場としたことである。 図 2 ハウス C の図面(従前) 図 3 ハウス C の改修後の図面

表 2 ゲストハウスの概要

ハウスA ハウスB ハウスC ハウスD ハウスE ハウスF 個室面積(最大) 12㎡ 9㎡ 6㎡ 9㎡ 10㎡ 10㎡ 個室面積(最小) 12㎡ 7㎡ 5.5㎡ 7㎡ 6㎡ 5.5㎡ 構造 木造 鉄骨造 木造 木造 鉄骨造 鉄骨造 階数 2 3 2 2 2 2 個室 9 7 8 11 14 15 週当たり最低 15,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 週当たり最高 15,000 12,000 15,000 12,000 15,000 15,000 月当たり最低 38,000 36,000 37,000 30,000 36,000 37,000 月当たり最高 40,000 38,000 40,000 34,000 40,000 42,000 浴室 × × × × × × シャワー 1箇所 1箇所 1箇所 2箇所 2箇所 1箇所 トイレ 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 コンロ ☓ 2台 2台 ☓ ○ 2台 洗濯機 ☓ 1台 1台 ☓ 1台 1台 乾燥機 ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ 駐輪場 ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ TV ☓ 1台 1台 1台 1台 1台 インターネット ☓ 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 ☓ リビング

賃 料 構 造 共 用 部 個 室

3-3 老朽住宅改修の流れ

ゲストハウスはすべて改修された物件である。本稿では、図面採集の許可がえられた 3

物件の老朽住宅がゲストハウスに変化する流れを明らかにする。

1)事例①ハウス C

元々は単身者用の共同住宅であったが、ゲストハウスの前の用途は主に生活保護受給者

向けの共同住宅となっていた。図 2 は、共同住宅当時の図面である。築後 50 年~60 年経過

しており、老朽化が激しい物件であった。図 3 はゲストハウスに改修後の図面である。2007

年 10 月に開業しており、改修期間は約 2 カ月となっている。改修費用は従前居住者の転居

費用なども含め 900 万円となっている。主な改修点としては、居室の1つを壊し、共同ト

イレ、共同の炊事場としたことである。

図 2 ハウス C の図面(従前) 図 3 ハウス C の改修後の図面

表 2 ゲストハウスの概要 ハウスA ハウスB ハウスC ハウスD ハウスE ハウスF 個室面積(最大) 12㎡ 9㎡ 6㎡ 9㎡ 10㎡ 10㎡ 個室面積(最小) 12㎡ 7㎡ 5.5㎡ 7㎡ 6㎡ 5.5㎡ 構造 木造 鉄骨造 木造 木造 鉄骨造 鉄骨造 階数 2 3 2 2 2 2 個室 9 7 8 11 14 15 週当たり最低 15,000 12,000 12,000 12,000 12,000 12,000 週当たり最高 15,000 12,000 15,000 12,000 15,000 15,000 月当たり最低 38,000 36,000 37,000 30,000 36,000 37,000 月当たり最高 40,000 38,000 40,000 34,000 40,000 42,000 浴室 × × × × × × シャワー 1箇所 1箇所 1箇所 2箇所 2箇所 1箇所 トイレ 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 2箇所 コンロ ☓ 2台 2台 ☓ ○ 2台 洗濯機 ☓ 1台 1台 ☓ 1台 1台 乾燥機 ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ 駐輪場 ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ ☓ TV ☓ 1台 1台 1台 1台 1台 インターネット ☓ 使用可能 使用可能 使用可能 使用可能 ☓ リビング ○ ○ ○ ○ ○ ○ 賃 料 構 造 共 用 部 個 室 3-3 老朽住宅改修の流れ ゲストハウスはすべて改修された物件である。本稿では、図面採集の許可がえられた 3 物件の老朽住宅がゲストハウスに変化する流れを明らかにする。 1)事例①ハウス C 元々は単身者用の共同住宅であったが、ゲストハウスの前の用途は主に生活保護受給者 向けの共同住宅となっていた。図 2 は、共同住宅当時の図面である。築後 50 年~60 年経過 しており、老朽化が激しい物件であった。図 3 はゲストハウスに改修後の図面である。2007 年 10 月に開業しており、改修期間は約 2 カ月となっている。改修費用は従前居住者の転居 費用なども含め 900 万円となっている。主な改修点としては、居室の1つを壊し、共同ト イレ、共同の炊事場としたことである。 図 2 ハウス C の図面(従前) 図 3 ハウス C の改修後の図面

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― 375 ― 2)事例②ハウスE 元々は家族向けの1軒家であったが、改修前の用途は歯科医院がテナントとして入ってい た。築年数は約30~40年の物件で、2008年12月にゲストハウスとして開業した。改修期間は 2カ月で、費用は800万円となっている。図4は、ゲストハウスに改修後の図面である。歯科 医院当時は主に101号室から107号室が診察室として利用されており、エントランス、トイレ 以外はほとんど使われていない状態であった。階段部分、トイレ部分は、以前と変わらずに 使用しているが、元々診察台が置いてあった診察室は、間仕切りを加えて居室にした。2階 部分は開設当初4つに区切り、ドミトリー形式の居室にしていたが、空室率が高かったため、 200万円追加投資をして、図5に示す通り、現在では8部屋の居室タイプになっている。 2)事例②ハウス E 元々は家族向けの 1 軒家であったが、改修前の用途は歯科医院がテナントとして入って いた。築年数は約 30~40 年の物件で、2008 年 12 月にゲストハウスとして開業した。改修 期間は 2 カ月で、費用は 800 万円となっている。図 4 は、ゲストハウスに改修後の図面で ある。歯科医院当時は主に 101 号室から 107 号室が診察室として利用されており、エント ランス、トイレ以外はほとんど使われていない状態であった。階段部分、トイレ部分は、 以前と変わらずに使用しているが、元々診察台が置いてあった診察室は、間仕切りを加え て居室にした。2 階部分は開設当初 4 つに区切り、ドミトリー形式の居室にしていたが、空 室率が高かったため、200 万円追加投資をして、図 5 に示す通り、現在では 8 部屋の居室タ イプになっている。 図 4 ハウス E の図面 図 5 ハウス E(2 階改修後) 3)事例③ハウス G 元々は店舗付き住宅と倉庫であった。2 つの物件の大家が同じであり、両方とも空き家に なっていたこともあり、2 軒まとめてゲストハウスへと転用された事例である。両物件とも に築後 30 年~40 年経過していると推察されるが、倉庫として使われていた物件は老朽化が 激しく 1 階の天井部分は部分的に剥がれおちているおり、今にも崩れそうな状態であった。 開業は 2014 年 3 月にゲストハウスとして開業、改修期間は約 3 カ月、費用は 1500 万円か かっている。主な改修点としては、店舗であった部分を居室に割るとともに、水道関係が 集合していた部分を共同の炊事場、シャワールームとした。倉庫部分は、階段、トイレ以 外に壁がなかったため、間仕切りを追加し、5 つの居室としている。 3)事例③ハウスG 元々は店舗付き住宅と倉庫であった。2つの物件の大家が同じであり、両方とも空き家に なっていたこともあり、2軒まとめてゲストハウスへと転用された事例である。両物件とも に築後30年~40年経過していると推察されるが、倉庫として使われていた物件は老朽化が激 しく1階の天井部分は部分的に剥がれおちているおり、今にも崩れそうな状態であった。開 業は2014年3月にゲストハウスとして開業、改修期間は約3カ月、費用は1500万円かかってい る。主な改修点としては、店舗であった部分を居室に割るとともに、水道関係が集合してい た部分を共同の炊事場、シャワールームとした。倉庫部分は、階段、トイレ以外に壁がなか ったため、間仕切りを追加し、5つの居室としている。

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図 6 ハウス G の図面 図 7 ハウス G の図面(灰色部分) 3-4 ゲストハウスにおけるアンケート調査の結果 本研究は西成区において展開する6 つのゲストハウスの入居者全員(119 人)に対してア ンケート調査をおこなった結果、以下のことが明らかになった。 1)入居者の概要 「男性」が79 人(66.3%)、「女性」が 40 人(33.6%)であることがわかった。また、19 歳から61 歳までが入居しており、62 歳以上の入居者はいないことが明らかになった(図 8)。 年齢構成の内訳は図9 に示す通り「20 歳未満」が 3 人(2.5%)、「20 歳以上〜25 歳未満」 が53 人(19.3%)、「25 歳以上〜30 歳未満」が 53 人(44.5%)、「30 歳以上〜35 歳未満」 が22 人(18.5%)、「35 歳以上〜40 歳未満」が 8 人(6.7%)、「40 歳以上〜45 歳未満」が 6 人(5.0%)、「45 歳以上〜50 歳未満」が 3 人(2.5%)、「60 歳以上」が 1 人(0.8%)であっ た。「50 歳以上〜55 歳未満」、「55 歳以上〜60 歳未満」はそれぞれ 0 人であった。35 歳未 満が101 人(84.9%)と 8 割以上が 35 歳未満で、平均年齢は 29.2 歳であった。 図 8 男女比 図 9 年齢構成 3-4 ゲストハウスにおけるアンケート調査の結果 本項では、西成区において展開する6つのゲストハウスの入居者全員(119人)に対してア ンケート調査をおこなった結果を以下に記述する。 1)入居者の概要 「男性」が79人(66.3%)、「女性」が40人(33.6%)であることがわかった。また、19歳か ら61歳までが入居しており、62歳以上の入居者はいないことが明らかになった(図8)。年齢 構成の内訳は図9に示す通り「20歳未満」が3人(2.5%)、「20歳以上~25歳未満」が53人 (19.3%)、「25歳以上~30歳未満」が53人(44.5%)、「30歳以上~35歳未満」が22人(18.5%)、 「35歳以上~40歳未満」が8人(6.7%)、「40歳以上~45歳未満」が6人(5.0%)、「45歳以上~ 50歳未満」が3人(2.5%)、「60歳以上」が1人(0.8%)であった。「50歳以上~55歳未満」、 「55歳以上~60歳未満」はそれぞれ0人であった。35歳未満が101人(84.9%)と8割以上が35 歳未満で、平均年齢は29.2歳であった。 図 6 ハウス G の図面 図 7 ハウス G の図面(灰色部分) 3-4 ゲストハウスにおけるアンケート調査の結果 本研究は西成区において展開する6 つのゲストハウスの入居者全員(119 人)に対してア ンケート調査をおこなった結果、以下のことが明らかになった。 1)入居者の概要 「男性」が79 人(66.3%)、「女性」が 40 人(33.6%)であることがわかった。また、19 歳から61 歳までが入居しており、62 歳以上の入居者はいないことが明らかになった(図 8)。 年齢構成の内訳は図9 に示す通り「20 歳未満」が 3 人(2.5%)、「20 歳以上〜25 歳未満」 が53 人(19.3%)、「25 歳以上〜30 歳未満」が 53 人(44.5%)、「30 歳以上〜35 歳未満」 が22 人(18.5%)、「35 歳以上〜40 歳未満」が 8 人(6.7%)、「40 歳以上〜45 歳未満」が 6 人(5.0%)、「45 歳以上〜50 歳未満」が 3 人(2.5%)、「60 歳以上」が 1 人(0.8%)であっ た。「50 歳以上〜55 歳未満」、「55 歳以上〜60 歳未満」はそれぞれ 0 人であった。35 歳未 満が101 人(84.9%)と 8 割以上が 35 歳未満で、平均年齢は 29.2 歳であった。 図 8 男女比 図 9 年齢構成

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― 377 ― 2)国籍・出身地 外国籍の入居者は96人(80.7%)であった。国別出身者を地方別にみると「台湾(中華民 国)」が57人(47.9%)、「香港(中華人民共和国香港特別行政区)」が9人(7.6%)、「中国(中 華人民共和国)」が11人(9.2%)、「韓国」が9人(7.6%)、であった。この結果からアジア諸 国が80%以上を占めることが明らかになった。数は少ないものの「ドイツ」が3人(2.5%)、 「イギリス」が3人(2.5%)、「アイルランド」が1人(0.8%)、「カナダ」が1人(0.8%)、「オー ストリア」が1人(0.8%)、と欧米諸国が9人(7.6%)、「ジャマイカ」が1人(0.8%)が確認さ れた。日本の入居者は、23人(19.3%)都道府県別にみると、「大阪府」が最も多く5人 (4.2%)、次いで「埼玉県」、「福岡県」が2人(1.7%)、「北海道」、「奈良県」、「兵庫県」、「静 岡県」、「神奈川県」、「岡山県」、「愛媛県」、「沖縄県」それぞれが1人(0.8%)、「不明」が6人 (5.0%)となっていることが明らかになった。 2)国籍・出身地 外国籍の入居者は96 人(80.7%)であった。国別出身者を地方別にみると「台湾(中華 民国)」が57 人(47.9%)、「香港(中華人民共和国香港特別行政区)」が 9 人(7.6%)、「中 国(中華人民共和国)」が11 人(9.2%)、「韓国」が 9 人(7.6%)、であった。このデータ からアジア諸国が80%以上を占めることが明らかになった。数は少ないものの「ドイツ」 が3 人(2.5%)、「イギリス」が 3 人(2.5%)、「アイルランド」が 1 人(0.8%)、「カナダ」 が1 人(0.8%)、「オーストリア」が 1 人(0.8%)、と欧米諸国が 9 人(7.6%)、「ジャマイ カ」が1 人(0.8%)が確認された。日本の入居者は、23 人(19.3%)都道府県別にみると、 「大阪府」が最も多く5 人(4.2%)、次いで「埼玉県」、「福岡県」が 2 人(1.7%)、「北海 道」、「奈良県」、「兵庫県」、「静岡県」、「神奈川県」、「岡山県」、「愛媛県」、「沖縄県」それ ぞれが1 人(0.8%)、「不明」が 6 人(5.0%)となっていることが明らかになった。 図 10 国籍・出身地 3)宿泊期間 入居者の平均入居期間を把握するため、2013 年 3 月 1 日~2013 年 3 月 1 日までの入居者 動態を調査した。利用者の総数は119 人で現在も 43 人(36.1%)が利用している。それ以 外の75 人(63.8%)については、1 年の間に退去をしている。本項では、この退去した 76 人の宿泊期間について明らかにする。まず、入居期間が最も長かった入居者は396 日で、 最も短かった入居者は6 日間であった。平均入居期間は、109.2 日である。また「1 日以上 ~1 ヶ月未満」が 20 人(13.1%)、「1 ヶ月以上~3 ヶ月未満」が 24 人(53.9%)、「3 ヶ月以 上~6 ヶ月未満」、が 17 人(19.7%)、「6 ヶ月以上~1 年未満」が 11 人(11.8%)、「1 年以上」 3)宿泊期間 入居者の平均入居期間を把握するため、2013年3月1日~2013年3月1日までの入居者動態を 調査した。利用者の総数は119人で現在も43人(36.1%)が利用している。それ以外の75人 (63.8%)については、1年の間に退去をしている。本項では、この退去した76人の宿泊期間 について明らかにする。まず、入居期間が最も長かった入居者は396日で、最も短かった入 居者は6日間であった。平均入居期間は、109.2日である。また「1日以上~1ヶ月未満」が20 人(13.1%)、「1ヶ月以上~3ヶ月未満」が24人(53.9%)、「3ヶ月以上~6ヶ月未満」、が17人 (19.7%)、「6ヶ月以上~1年未満」が11人(11.8%)、「1年以上」が3人(1.3%)という結果に

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なり、86.7%の利用者が6ヶ月以内に退去していることが明らかになった。3 人(1.3%)という結果になり、86.7%の利用者が 6 ヶ月以内に退去していることが明 らかになった。 図 11 入居期間 4)宿泊の経緯 宿泊の経緯は、「友人の紹介」および「ホームページ以外の広告」がそれぞれ 41 人(35.3%) となっている。次いで「ホームページ」が 33 人(28.4%)、「その他」が 1 人(0.8%)、であ った。 図 12 宿泊経緯 4)宿泊の経緯 宿泊の経緯は、「友人の紹介」および「ホームページ以外の広告」がそれぞれ41人 (35.3%)となっている。次いで「ホームページ」が33人(28.4%)、「その他」が1人(0.8%)、 であった。 が3 人(1.3%)という結果になり、86.7%の利用者が 6 ヶ月以内に退去していることが明 らかになった。 図 11 入居期間 4)宿泊の経緯 宿泊の経緯は、「友人の紹介」および「ホームページ以外の広告」がそれぞれ 41 人(35.3%) となっている。次いで「ホームページ」が 33 人(28.4%)、「その他」が 1 人(0.8%)、であ った。 図 12 宿泊経緯 5)ビザの種類 ビザの種類は、「特定活動(ワーキングホリデー)」が最も多く66人(69.5%)であった。

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― 379 ― 次いで、「就労ビザ」が11人(11.6%)、「留学ビザ」が10人(10.5%)、「短期滞在(旅行)ビ ザ」が8人(8.4%)、であった。このデータから「特定活動(ワーキングホリデー)」を目的 として来日している外国人が7割近くを占めることが明らかになった。 5)ビザの種類 ビザの種類は、「特定活動(ワーキングホリデー)」が最も多く 66 人(69.5%)であった。 次いで、「就労ビザ」が 11 人(11.6%)、「留学ビザ」が 10 人(10.5%)、「短期滞在(旅行) ビザ」が 8 人(8.4%)、であった。このデータから「特定活動(ワーキングホリデー)」を 目的として来日している外国人が 7 割近くを占めることが明らかになった。 図 13 ビザの種類 6)契約時の書類 契約時の書類は「外国人登録証明書」が最も多く 84 人(70.6%)となっている。次いで 「パスポート」が 11 人(11.6%)であった。「保証人」の回答欄も設けていたが、結果は 0 人(0%)、であった。外国籍の人が日本で賃貸契約を結ぶ場合には、外務省の資料9)による と 1、在留カード、2、所得証明書、3、連帯保証人または誓約書、4、印鑑登録証明書が必 要になる。初期費用も 1、今月の家賃と来月の家賃、2,敷金、3,礼金、4、仲介料が必要 になる。さらに日本の賃貸契約は基本的に 2 年になっているため、短期間借りたい人々に はハードルが高く設定されている。そのため賃貸契約を結ばないゲストハウスは渡航者の ニーズを捉えていることが明らかになった。 6)契約時の書類 契約時の書類は「外国人登録証明書」が最も多く84人(70.6%)となっている。次いで 「パスポート」が11人(11.6%)であった。「保証人」の回答欄も設けていたが、結果は0人 (0%)、であった。外国籍の人が日本で賃貸契約を結ぶ場合には、外務省の資料9)によると1、 在留カード、2、所得証明書、3、連帯保証人または誓約書、4、印鑑登録証明書が必要にな る。初期費用も1、今月の家賃と来月の家賃、2,敷金、3,礼金、4、仲介料が必要になる。 さらに日本の賃貸契約は基本的に2年になっているため、短期間借りたい人々にはハードル が高く設定されている。そのため賃貸契約を結ばないゲストハウスは渡航者のニーズを捉え ていることが明らかになった。

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図 14 契約時の書類 3-5 入居者調査の結果関係性 本項では、前項で明らかになった入居者調査を元にそれぞれの関係を明らかにする。 1)入居期間と国籍との関係 表1に入居期間と国籍とのクロス集計結果を示す。「1 年以上」の利用者は少なく、「1ヶ 月以上~3 カ月未満」が多くなっている。特に「日本」の利用者は、6 カ月以上の利用はな く、他国の利用者と比較すると短期間であることが分かる。 表 1 入居期間と国籍との関係 データの個数 行ラベル その他韓国 香港 台湾 中国 日本 総計 1日以上~1ヶ月未満 2 2 2 6 4 16 1ヶ月以上~3ヶ月未満 2 1 2 14 4 5 28 3ヶ月以上~6ヶ月未満 1 14 2 17 6ヶ月以上~1年未満 1 2 2 5 1 11 1年以上 1 1 1 3 総計 6 6 7 3 9 6 11 75 2)入居期間とビザの種類との関係 表 2 に入居期間と国籍とのクロス集計結果を示す。多くの項目で「1 カ月以上~3 カ月未 満」が多いことが分かる。また入居者の多くがワーキングホリデー制度を利用した渡航者 であるが、最初の手続きで与えられる滞在資格は 180 日であるため、更新手続きを行わず 帰国している。 3-5 入居者調査の結果関係性 本項では、前項で明らかになった入居者調査を元にそれぞれの関係を明らかにする。 1)入居期間と国籍との関係 表3に入居期間と国籍とのクロス集計結果を示す。「1年以上」の利用者は少なく、「1ヶ月 以上~3カ月未満」が多くなっている。特に「日本」の利用者は、6カ月以上の利用はなく、 他国の利用者と比較すると短期間であることが分かる。 図 14 契約時の書類 3-5 入居者調査の結果関係性 本項では、前項で明らかになった入居者調査を元にそれぞれの関係を明らかにする。 1)入居期間と国籍との関係 表1に入居期間と国籍とのクロス集計結果を示す。「1 年以上」の利用者は少なく、「1ヶ 月以上~3 カ月未満」が多くなっている。特に「日本」の利用者は、6 カ月以上の利用はな く、他国の利用者と比較すると短期間であることが分かる。 表 1 入居期間と国籍との関係 データの個数 行ラベル その他韓国 香港 台湾 中国 日本 総計 1日以上~1ヶ月未満 2 2 2 6 4 16 1ヶ月以上~3ヶ月未満 2 1 2 14 4 5 28 3ヶ月以上~6ヶ月未満 1 14 2 17 6ヶ月以上~1年未満 1 2 2 5 1 11 1年以上 1 1 1 3 総計 6 6 7 3 9 6 11 75 2)入居期間とビザの種類との関係 表 2 に入居期間と国籍とのクロス集計結果を示す。多くの項目で「1 カ月以上~3 カ月未 満」が多いことが分かる。また入居者の多くがワーキングホリデー制度を利用した渡航者 であるが、最初の手続きで与えられる滞在資格は 180 日であるため、更新手続きを行わず 帰国している。 2)入居期間とビザの種類との関係 表4に入居期間と国籍とのクロス集計結果を示す。多くの項目で「1カ月以上~3カ月未満」 が多いことが分かる。また入居者の多くがワーキングホリデー制度を利用した渡航者である が、最初の手続きで与えられる滞在資格は180日であるため、更新手続きを行わず帰国して いる。

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― 381 ― 表 2 入居期間とビザの種類 データの個数 行ラベル ワーキング ホリデー 就労 短期滞在 不明 留学 総計 1日以上~1ヶ月未満 8 4 4 16 1ヶ月以上~3ヶ月未満 14 4 3 5 2 28 3ヶ月以上~6ヶ月未満 14 3 17 6ヶ月以上~1年未満 7 3 1 11 1年以上 1 1 1 3 総計 4 4 7 8 1 2 4 75 3)年齢と宿泊期間との関係 表 3 に年齢と宿泊期間とのクロス集計結果を示す。宿泊期間は「1 ヶ月~3 カ月未満」が 最も多くなっており、その大部分を 20 代が占めていることが明らかになった。また 1 年以 上利用しているのは「20 歳以上~25 歳未満」のみとなっている。 表 3 年齢と宿泊期間 データの個数 行ラベル 1日以上 ~1 ヶ月未 満 1 ヶ月以 上~3ヶ月 未満 3ヶ月以 上~6ヶ月 未満 6ヶ月以 上~1 年 未満 1年以上 総計 20歳未満 1 1 20歳以上〜25歳未満 1 3 3 5 3 15 25歳以上〜30歳未満 8 15 8 2 33 30歳以上〜35歳未満 4 4 5 2 15 35歳以上〜40歳未満 5 1 6 40歳以上〜45歳未満 1 1 2 45歳以上〜50歳未満 1 1 50歳以上〜55歳未満 1 1 60歳以上 1 1 総計 16 28 17 1 1 3 75 4)年齢と出身国との関係 表 4 に年齢と出身国とのクロス集計結果を示す。「台湾」の利用者が多くなっている。「台 湾」の利用者の多くがワーキングホリデー制度を利用していることが前項で明らかになっ たが、制度を利用できる年齢が 18 歳以上 31 歳未満となっているため、「25 歳以上~30 歳 未満」が最も多くなっている。また日本、中国を除いた「台湾」、「香港」、「韓国」の利用 者は 35 歳未満であることは分かった。利用者はさらに母数は少ないものの「日本」は幅広 い年齢層が利用していることが確認された。 3)年齢と宿泊期間との関係 表5に年齢と宿泊期間とのクロス集計結果を示す。宿泊期間は「1ヶ月~3カ月未満」が最 も多くなっており、その大部分を20代が占めていることが明らかになった。また1年以上利 用しているのは「20歳以上~25歳未満」のみとなっている。 表 2 入居期間とビザの種類 データの個数 行ラベル ワーキング ホリデー 就労 短期滞在 不明 留学 総計 1日以上~1ヶ月未満 8 4 4 16 1ヶ月以上~3ヶ月未満 14 4 3 5 2 28 3ヶ月以上~6ヶ月未満 14 3 17 6ヶ月以上~1年未満 7 3 1 11 1年以上 1 1 1 3 総計 4 4 7 8 1 2 4 75 3)年齢と宿泊期間との関係 表 3 に年齢と宿泊期間とのクロス集計結果を示す。宿泊期間は「1 ヶ月~3 カ月未満」が 最も多くなっており、その大部分を 20 代が占めていることが明らかになった。また 1 年以 上利用しているのは「20 歳以上~25 歳未満」のみとなっている。 表 3 年齢と宿泊期間 データの個数 行ラベル 1日以上 ~1 ヶ月未 満 1 ヶ月以 上~3ヶ月 未満 3ヶ月以 上~6ヶ月 未満 6ヶ月以 上~1 年 未満 1年以上 総計 20歳未満 1 1 20歳以上〜25歳未満 1 3 3 5 3 15 25歳以上〜30歳未満 8 15 8 2 33 30歳以上〜35歳未満 4 4 5 2 15 35歳以上〜40歳未満 5 1 6 40歳以上〜45歳未満 1 1 2 45歳以上〜50歳未満 1 1 50歳以上〜55歳未満 1 1 60歳以上 1 1 総計 16 28 17 1 1 3 75 4)年齢と出身国との関係 表 4 に年齢と出身国とのクロス集計結果を示す。「台湾」の利用者が多くなっている。「台 湾」の利用者の多くがワーキングホリデー制度を利用していることが前項で明らかになっ たが、制度を利用できる年齢が 18 歳以上 31 歳未満となっているため、「25 歳以上~30 歳 未満」が最も多くなっている。また日本、中国を除いた「台湾」、「香港」、「韓国」の利用 者は 35 歳未満であることは分かった。利用者はさらに母数は少ないものの「日本」は幅広 い年齢層が利用していることが確認された。 4)年齢と出身国との関係 表6に年齢と出身国とのクロス集計結果を示す。「台湾」の利用者が多くなっている。「台 湾」の利用者の多くがワーキングホリデー制度を利用していることが前項で明らかになった が、制度を利用できる年齢が18歳以上31歳未満となっているため、「25歳以上~30歳未満」 が最も多くなっている。また日本、中国を除いた「台湾」、「香港」、「韓国」の利用者は35歳 未満であることは分かった。利用者はさらに母数は少ないものの「日本」は幅広い年齢層が 利用していることが確認された。

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表 4 年齢と出身国 データの個数 行ラベル その他 韓国 香港 台湾 中国 日本 総計 20歳未満 3 3 20歳以上〜25歳未満 4 5 4 6 4 23 25歳以上〜30歳未満 2 4 3 37 2 5 53 30歳以上〜35歳未満 1 1 16 4 22 35歳以上〜40歳未満 1 2 5 8 40歳以上〜45歳未満 1 1 3 5 45歳以上〜50歳未満 1 2 3 50歳以上〜55歳未満 1 1 60歳以上 1 1 総計 10 9 9 5 7 1 1 23 119 5)年齢と出身国との関係 表 5 に年齢とビザの種類とのクロス集計結果を示す。「就労」を除くと利用者の大部分が 35 歳未満であることが明らかになった。「就労」においては 25 歳未満の利用者はなく、25 歳以上の幅広い年齢層が利用していることが分かった。 表 5 年齢とビザの種類 データの個数 行ラベル ワーキングホリデー 就労 短期滞在 留学 不明 総計 20歳未満 3 3 20歳以上〜25歳未満 12 1 6 4 23 25歳以上〜30歳未満 39 3 4 2 5 53 30歳以上〜35歳未満 12 2 2 2 4 22 35歳以上〜40歳未満 2 1 5 8 40歳以上〜45歳未満 2 3 5 45歳以上〜50歳未満 1 2 3 50歳以上〜55歳未満 1 1 60歳以上 1 1 総計 66 11 8 10 24 1 19 6)ビザの種類と出身国との関係 表 6 にビザの種類と出身国とのクロス集計結果を示す。利用者の多くがワーキングホリ デー制度を活用していることが確認できる。「香港」に至ってはすべてがワーキングホリデ ー制度の利用者であることが分かった。また「日本」は、入居の際ゲストハウス管理業者 から利用の目的を聞き取らないため、すべて不明になっている。 表 6 ビザの種類と出身国 5)年齢と出身国との関係 表7に年齢とビザの種類とのクロス集計結果を示す。「就労」を除くと利用者の大部分が35 歳未満であることが明らかになった。「就労」においては25歳未満の利用者はなく、25歳以 上の幅広い年齢層が利用していることが分かった。 表 4 年齢と出身国 データの個数 行ラベル その他 韓国 香港 台湾 中国 日本 総計 20歳未満 3 3 20歳以上〜25歳未満 4 5 4 6 4 23 25歳以上〜30歳未満 2 4 3 37 2 5 53 30歳以上〜35歳未満 1 1 16 4 22 35歳以上〜40歳未満 1 2 5 8 40歳以上〜45歳未満 1 1 3 5 45歳以上〜50歳未満 1 2 3 50歳以上〜55歳未満 1 1 60歳以上 1 1 総計 10 9 9 5 7 1 1 23 119 5)年齢と出身国との関係 表 5 に年齢とビザの種類とのクロス集計結果を示す。「就労」を除くと利用者の大部分が 35 歳未満であることが明らかになった。「就労」においては 25 歳未満の利用者はなく、25 歳以上の幅広い年齢層が利用していることが分かった。 表 5 年齢とビザの種類 データの個数 行ラベル ワーキングホリデー 就労 短期滞在 留学 不明 総計 20歳未満 3 3 20歳以上〜25歳未満 12 1 6 4 23 25歳以上〜30歳未満 39 3 4 2 5 53 30歳以上〜35歳未満 12 2 2 2 4 22 35歳以上〜40歳未満 2 1 5 8 40歳以上〜45歳未満 2 3 5 45歳以上〜50歳未満 1 2 3 50歳以上〜55歳未満 1 1 60歳以上 1 1 総計 66 11 8 10 24 1 19 6)ビザの種類と出身国との関係 表 6 にビザの種類と出身国とのクロス集計結果を示す。利用者の多くがワーキングホリ デー制度を活用していることが確認できる。「香港」に至ってはすべてがワーキングホリデ ー制度の利用者であることが分かった。また「日本」は、入居の際ゲストハウス管理業者 から利用の目的を聞き取らないため、すべて不明になっている。 表 6 ビザの種類と出身国 6)ビザの種類と出身国との関係 表8にビザの種類と出身国とのクロス集計結果を示す。利用者の多くがワーキングホリデ ー制度を活用していることが確認できる。「香港」に至ってはすべてがワーキングホリデー 制度の利用者であることが分かった。また「日本」は、入居の際ゲストハウス管理業者から 利用の目的を聞き取らないため、すべて不明になっている。

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老朽住宅密集地域における老朽住宅のストックの有効活用に関する研究 ― 383 ― データの個数 行ラベル その他 韓国 香港 台湾 中国 日本 総計 20歳未満 3 3 20歳以上〜25歳未満 4 5 4 6 4 23 25歳以上〜30歳未満 2 4 3 37 2 5 53 30歳以上〜35歳未満 1 1 16 4 22 35歳以上〜40歳未満 1 2 5 8 40歳以上〜45歳未満 1 1 3 5 45歳以上〜50歳未満 1 2 3 50歳以上〜55歳未満 1 1 60歳以上 1 1 総計 10 9 9 5 7 1 1 23 119 5)年齢と出身国との関係 表 5 に年齢とビザの種類とのクロス集計結果を示す。「就労」を除くと利用者の大部分が 35 歳未満であることが明らかになった。「就労」においては 25 歳未満の利用者はなく、25 歳以上の幅広い年齢層が利用していることが分かった。 表 5 年齢とビザの種類 データの個数 行ラベル ワーキングホリデー 就労 短期滞在 留学 不明 総計 20歳未満 3 3 20歳以上〜25歳未満 12 1 6 4 23 25歳以上〜30歳未満 39 3 4 2 5 53 30歳以上〜35歳未満 12 2 2 2 4 22 35歳以上〜40歳未満 2 1 5 8 40歳以上〜45歳未満 2 3 5 45歳以上〜50歳未満 1 2 3 50歳以上〜55歳未満 1 1 60歳以上 1 1 総計 66 11 8 10 24 1 19 6)ビザの種類と出身国との関係 表 6 にビザの種類と出身国とのクロス集計結果を示す。利用者の多くがワーキングホリ デー制度を活用していることが確認できる。「香港」に至ってはすべてがワーキングホリデ ー制度の利用者であることが分かった。また「日本」は、入居の際ゲストハウス管理業者 から利用の目的を聞き取らないため、すべて不明になっている。 表 6 ビザの種類と出身国 データの個数 行ラベル その他 韓国 香港 台湾 中国 日本 総計 ワーキングホリデー 3 7 9 47 66 就労 3 4 4 11 短期滞在 3 1 4 8 留学 1 2 7 10 不明 1 23 24 総計 10 9 9 5 7 1 1 2 3 11 9 3-6 ゲストハウスを利用する入居者の特徴 本項では、前項で明らかになった結果を元にゲストハウスを利用する入居者の特徴をま とめる。 1)若者が多い理由 前項で入居者の多くがワーキングホリデー制度を利用していることが明らかになった。 ワーキングホリデー制度は、就労ビザや留学ビザなどと違い若者限定(18 歳から 25 歳また は 30 歳)の特別なビザとなっている。このことから入居者の大部分が若年層で占められる 結果となった。 2)台湾人が多い理由 台湾がワーキングホリデー制度を結んでいる国は、オーストラリア、ニュージーランド、 日本となっており、日本が締結している 11 カ国と比較すると選択肢が狭いことがあげられ る。また留学ビザ等と違いアルバイトの種類などに制約がなく、滞在の費用を用意してい れば必ずしも働かなくてもよいとなっているため、長期間滞在しつつ旅行を希望する人で も渡航することが可能となっている。 3)数カ月の人々が多い理由 利用者の大半がワーキングホリデー制度を利用した渡航者であることが明らかになって いるが、ワーキングホリデー制度必ずしも就労しなくてもよく、途中で帰国することも可 能である。短期間で帰国している利用者の大半は日本で就労する事なく目的を果たしたの ちに帰国している。 3-6 ゲストハウスを利用する入居者の特徴 本項では、前項で明らかになった結果を元にゲストハウスを利用する入居者の特徴をまと める。 1)若者が多い理由 前項で入居者の多くがワーキングホリデー制度を利用していることが明らかになった。ワ ーキングホリデー制度は、就労ビザや留学ビザなどと違い若者限定(18歳から25歳または30 歳)の特別なビザとなっている。このことから入居者の大部分が若年層で占められる結果と なった。 2)台湾人が多い理由 台湾がワーキングホリデー制度を結んでいる国は、オーストラリア、ニュージーランド、 日本となっており、日本が締結している11カ国と比較すると選択肢が狭いことがあげられる。 また留学ビザ等と違いアルバイトの種類などに制約がなく、滞在の費用を用意していれば必 ずしも働かなくてもよいとなっているため、長期間滞在しつつ旅行を希望する人でも渡航す ることが可能となっている。 3)数カ月の人々が多い理由 利用者の大半がワーキングホリデー制度を利用した渡航者であることが明らかになってい るが、ワーキングホリデー制度必ずしも就労しなくてもよく、途中で帰国することも可能で ある。短期間で帰国している利用者の大半は日本で就労する事なく目的を果たしたのちに帰 国している。

4 老朽住宅とゲストハウスの関係性

調査の結果から、ゲストハウスの利用者の80.7%が日本以外の海外から来た利用者であり、 主な目的はワーキングホリデー制度を利用した来訪者であることが明らかになった。第3章

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で記述したように、外国籍の人が日本で賃貸契約を結ぶ場合には、ハードルが高く設定され ているため、①家賃が安く、②初期費用がかからない、等の理由からゲストハウスは、渡航 者のニーズに合致している。一方、ゲストハウス管理会社としても、老朽化した住宅では、 空き家率の上昇などの点から、老朽住宅を改修し、新たな入居者を得ることは新たなビジネ スにつながるとして好意的に受け止めている。

5 結論

本研究では、老朽住宅が密集する大阪市西成区北西部を対象地域に設定し、増加傾向にあ るゲストハウスというサービス手法が、老朽住宅密集地域の問題を解決する可能性を分析し た。その結果、①老朽住宅は、築年数が経過しているため、固定資産税などの税金が少な く、所有者にとっては改修費用さえ投資をすれば、毎月家賃収入が入ることが魅力となり、 老朽住宅が更新させる動機となっている。②入居者の大半は海外の渡航者によって構成され ており、賃貸住宅市場では倦厭されやすい層をターゲットにしている。③すぐに入居できる ように、家具、家電を付けており、さらに賃貸契約ではないため事務手数料などの初期費用 がかからないなど、海外渡航者のニーズと合致している、の3点が明らかになった。 この結果からゲストハウスというサービス手法が老朽住宅密集地域の問題を解決する可能 性があるということが明らかになった。しかし、利用者の平均入居期間は109.2日と約3ヶ月 となっており、86.7%の利用者が6ヶ月以内に退去していることも明らかになっており、回転 率の高さは否めない。さらに外国籍の人は、国家情勢によって常に変化するものなので、現 在ある老朽住宅が海外渡航者向けのゲストハウスとして転業させるのには、大きな危険性も 孕んでいる。 以上の結果から、今後の課題として、海外渡航者の賃貸需要の把握を入居者の視点から把 握するために聞き取り調査を実施することが挙げられる。

付記

本研究は、科研挑戦的萌芽研究「狭小低家賃住宅の社会住宅化を通じた日本型ジェントリ フィケーションの唱導」(代表 大阪市立大学水内俊雄)の助成を受けたものである。

引用・参考文献

1) 内閣府中央防災会議(2007)「昭和55年以前木造住宅密度(資料:東南海、南海地震等に関す る専門調査会)」 2) 中村 友樹、石坂 公一、大橋 佳子(2009)「都市における居住型ゲストハウスの特性」、『日本 建築学会計画系論文集』、74号、636pp 3) 丁志映、小林秀樹(2008)「都新部における単身者向けのシェア居住に関する研究―ゲストハ

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― 385 ― ウスの選択理由と規模別による共用空間の使われ方」、『都市住宅学』63号、75-80 4) 冨永哲雄、ヒェラルド・コルナトウスキ、ヨハネス・キーナー、高田ちえこ、水内俊雄 (2013)「ゲストハウス及びシェアハウス改築実践―大阪市西成区北西部の不動産業ビジネス からのアプローチ―」、『人文地理学会大会一般発表(於 大阪市立大学)』 5) ヨハネス・キーナー、ヒェラルド、コルナトウスキ、冨永哲雄、高田ちえこ、水内俊雄 (2013)「大阪市西成区北部におけるゲストハウス外国人―宿泊者の日常生活に関する実証的 研究―」、『人文地理学会大会一般発表(於 大阪市立大学)』 6) 多治見左近(2008)「戦前大阪市の密住地区調査と不良住宅地区改良事業に関する研究(建築 経済・住宅問題) 」日本建築学会近畿支部研究報告集. 計画系 (48), 657-660, 2008-05-23 7) 大月敏雄(2006)「不良住宅地区改良事業と細民調査(1911年[明治44年]-1927年[昭和2 年]」,<特集>建築学120年間の現場,創立120周年記念特集号[I])」、『建築雑誌』 121(1546) 8) 内田雄造(1993)「同和地区のまちづくり論」明石書店 9) 総務省「平成20年住宅・土地統計調査」http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2008/index.htm 10) ひつじ不動産(2008)「シェア住宅白書 2008年度版」 http://www.hituji-report.jp/ 11) 冨永哲雄 「大阪市西成区における老朽住宅の再市場化の実態に関する研究」日本建築学会,神 戸大学,2014年9月 12) 外務省(2012)「-日本で生活を始めることを予定している皆様へ-第2版」 http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/pdfs/seikatsu_guide_jpn.pdf

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keyword: dilapidated dwelling , Osaka City, Nishinari Ward, real-estate, renovation

The objective of this work was intended to set the target area the Osaka Nishinari Ward Northwest dilapidated apartment house is crowded, management style called guest house is on the increase, to clarify the potential to re-market the dilapidated apartment house house. I also say in old wooden house density, which is published by the Central Disaster Prevention Council, 8th district of the top 10 municipal across the country belongs to Osaka City, Osaka City a serious situation.

From the results of the questionnaire survey of real-estate and building skill in the art to which are administering a guest house, for building age has passed, operating costs less, 1, dilapidated apartment house is, if the investment even repair cost for the owner, that the monthly rental income to enter is attractive, it is motivated to update the dilapidated apartment house. 2, the majority of residents are constituted by travelers overseas, door is targeting the narrow layer in the rental housing market. 3, to be able to move quickly, and put furniture, home appliances, are consistent initial cost and not take further, with the needs of overseas travelers. I was able to confirm the three points or more. As a result, the possibility that house is to re-market the old houses revealed.

A study on re-market of old run-down house in

densely built areas :

A Case Study of Osaka Nishinari Ward Northwest

図 14  契約時の書類  3-5  入居者調査の結果関係性    本項では、前項で明らかになった入居者調査を元にそれぞれの関係を明らかにする。  1)入居期間と国籍との関係    表1に入居期間と国籍とのクロス集計結果を示す。 「1 年以上」の利用者は少なく、 「1ヶ 月以上~3 カ月未満」が多くなっている。特に「日本」の利用者は、6 カ月以上の利用はな く、他国の利用者と比較すると短期間であることが分かる。  表 1  入居期間と国籍との関係 データの個数 行ラベル その他韓国 香港 台湾 中国 日本
表 4  年齢と出身国  データの個数 行ラベル その他 韓国 香港 台湾 中国 日本 総計 20歳未満 3 3 20歳以上〜25歳未満 4 5 4 6 4 23 25歳以上〜30歳未満 2 4 3 37 2 5 53 30歳以上〜35歳未満 1 1 16 4 22 35歳以上〜40歳未満 1 2 5 8 40歳以上〜45歳未満 1 1 3 5 45歳以上〜50歳未満 1 2 3 50歳以上〜55歳未満 1 1 60歳以上 1 1 総計 10 9 9 5 7 1 1 23 119 5)年齢と出身国との関係

参照

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