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河東泰之先生による推薦の言葉(pdf)

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Academic year: 2021

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km-quantumgrp 2017/4/27(10:46) 3/155 pLaTeX2e(2005/01/04)

推薦の言葉

本書は量子群に関するたぐいまれな入門書である.量子群に関する本はすでに世 界中で多く出版されているが,本書はその内容において大変ユニークな本である. 量子群と言ったときに何を指すかは人によって異なる.一番多いのはDrinfeld– 神保式の普遍包絡環の量子変形のことであり,神保氏自身による日本語の本を始 め,世界中で数多い本が書かれている.もう一つはWoronowiczに始まる,リー 群上の連続関数環の量子変形であり,これについてはあまり成書がない.さらにも う一つはある種のテンソル圏の総称であり,これについては英語で本が出始めた ところである.これら三者は密接に絡み合ってこれまで発展してきているが,互 いに同じものではなく,これらを統一的に見る視点はこれまでの各書にはなかっ たものである.その点本書はこれらをバランスよくカバーしており,英語を含め ても世界初の貴重な書物である. 量子群とは普通の群,特にしばしばリー群を何らかの意味で変形して「非可換 化」したものである.ただし群演算はたいてい元から非可換なので,これを非可換 化することには意味がない.Drinfeld–神保式の場合はリー環を変形する.一方, Woronowicz式の考え方は,空間とその上の関数環は同じものであり,関数環の 方を非可換化することによって,空間の「非可換化」が得られるというものであ り,作用素環論では古くからなじみ深い考えである.元の空間がリー群の場合は, そこに積演算が入っているため,関数環の方にHopf代数の構造が入る.こちら の代数構造を変形するのである.またコンパクト群についてはその有限次元ユニ タリ表現たちが対称テンソル圏をなすので,この「対称性」をいくらか弱めたテ ンソル圏を考えることによって,「量子的な」対称性が実現できる. これらの構造はいずれも純代数的に考えることができ,そのような見方の研究 者の方が数が多いかもしれないが,自然に無限次元の代数系が現れるため,作用 素環論がそこでの重要な道具となり,上記の三つの見方を統一する力の元を与え てくれるのである.著者の山下氏はこのテーマにおける世界第一線の若手研究者 であり,このような入門書が日本語で書かれることはたいへん喜ばしいことであ る.多くの若い読者が本書によって量子群の魅力にふれることを願っている. 河東泰之

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