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ロシア語教育研究の動き 2011

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NEWSLETTER 2012.2. N。.37

221‑8686横浜市神奈川区六角橋3‑2711電話 (045)481‑5661(代)神奈川大学言語研究センター

K4 NAG. 4F ・ I l A

国際ロシア語 ・ロシア文字教師連盟 第 1 2 回大会 に参加 して

墳 正 典

国際 ロシア語 ・ロシア文学教 師連盟 は ロシア語 の略語 か ら 「マ プ リヤル (M An P5IJl)」と呼 ばれてお り、1968年 にモスクワで第1回大会が開 かれて以来、 現在 は4年 に一度 開催 され てい る。

これ までは ロシアや東 中欧のみで開かれ、今 回は 中国 ・上海での開催 で、初 めてのアジアでの大会 とな ったO ヨ‑ロツパか らは遠 い地 にもかかわ ら ず、48か国か ら1200名 が集 まった とい うことで あ る (スボンサ‑ とな ったアエ ロフロ‑ ト・ロシ ア航空が無料 のチ ャーター便 を出 したこともその 手助 け とな った らしい)。 しか し、 隣国の中国で の開催 にもかかわ らず、 日本か らの参加 はご く少 人数 にとどまってお り、 しか も震災 の影響 もあっ て、 エン トリー しなが ら欠席せ ざるを得 なか った 方 々もあ った。 日本か らの参加者で報告 を行 った のは、私 と小林潔特任准教授 を含 めて、6名5組 のみであ り (代理 での報告が さ らに1件)、 その 他、報告 を行わない参加者 もご くご く少人数 だ っ たよ うだ。 このことはまった く残念 であ るが、少 ないか らなのか、我 々は 「日本か らの同僚」 と様 々 な人 に声 をかけ られ、大会期 間中、非常 に楽 し く 過 ごす ことができた。

この大会 は、2011年5月11日か ら14日まで、

上海郊外 の上海外 国語大学松江キ ャンパスで行わ れた。 このキ ャンパスは建物 がそれぞれ の学部学 科 で学 ばれ る言語 の地域 の趣 を もった ものとな っ ていて、例 えば、 ロシア語学部 の建物 はロシア正 教会風 の玉ね ぎ型 の ドームがついてお り (もちろ ん先頭 の十字架 はないのだが)、 日本文化経済学 院は 日本庭 園で囲まれた瓦屋根風 の建物 であった。

広大 な敷地 のほぼ中央 には巨大 な図書館 が準 えて お り、 その前 は噴水な ども配置 され、 テーマパー クか と思われ るような美 しいキ ャンパスであった。

5月10日午後 に上海虹橋空港 に降 り立 つと、 マ プリヤルのボー ドを持 ったボランテ ィア学生が待 っ ていて くれ、 マイ クロバスで大学近 くのホテル に 連れ て行 って くれ た。 そ ろいの水色 のTシ ャツを 着 た学生ボランテ ィアは、 この大会 を通 して大活 躍 であった。参加者 はみな大学周辺 のホテル に分 かれて宿泊す ることにな っていた。 フロン トで宿 泊 のチ ェックインと大会登録 の確認 をす ま し、部 屋 に落 ち着 くと、私 の部屋 か らは上海外 国語大学 のキ ャンパスが見 えた。 その晩か ら、 同 じホテル に泊 まった参加者 は、三食 同 じレス トランで食事 をとることにな り、 多 くの人 々と会話 を交 えるこ とができた。

大会 は、11日の開会式 と14日の閉会式 を含む全 体会議 と、 その間の2日間の分科会や円卓会議 に 分 かれ、夜 にはコンサ ー トな どの文化 プログラム も用意 された。我 々が参加 した分科会 「外 国語 と してのロシア語教育 の歴史 と教育方法の革新」 は、

2日間の午前午後 をすべて使 って報告 と活発 な討 論が行われた。

14日の閉会式 と全体 での懇親会 のあと、上海へ のエ クスカーシ ョンにも参加 してみたo大型 バス を連ねて上海 の街 中まで行 き、預 園等 に寄 ったの ちに、船 で夜景 を楽 しむ ことができた。参加者 は ロシア人 が多 く、 もちろんその他 の参加者 や中国 人 ガイ ドもロシア語 で話 すわけで、 中国の上海 を ロシア語の中で観光す るとい う、今考 えるとちょっ と不思議な小旅行 であった。

上海 は10年以上前 に来 たのが最後であ ったが、

この出張を通 して、 中国の大 きな活気 を感 じた。

震災直後 の 日本 か ら来 た成果 もあるか もしれない が。

2011年 は、 マ プ リヤル第12回大会 の他 に、ll

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(2)

月 に札幌で開催 された北海道大学スラブ研究セン ターと国際スラヴイス ト会議 スラヴ語文法構造研 究部会 との共 同主催 による国際シンポジウム 「ス ラヴ諸語 における文法化 と語柔化」 にも参加でき た。 こちらは、 マプリヤル に比べ ると小 ぢんま り としたものであるが、私 にとっては専門によ り近

い分野 の催 しで、 ロシアをは じめ各 国のスラヴ語 学者 と交わることができ、大変楽 し く、かつ、大 変勉強 にな った集 ま りであった。 マプ リヤル にし て も、 国際スラヴィス ト会議 にしても、 国際学会 は大 いに刺激を受ける催 しである。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

ロシア語教育研究の動き 2011

‑ 日本ロシア語教育研究会の活動を中心 に‑

日本 ロシア語教育研究会は決 して大 きな組織で はないが、全 国各地 の大学 ・高専 ・高校等 のロシ ア語教師お よび大学院生の集 ま りで、 メンバーの 属性 も専任 ・非常勤、 ロシア語ネ イテ イヴそして 日本人講師 と様 々であ り、定期的にイベン トを企 画 し研修 の機会 を設けている。筆者は2010年12 月から11年12月まで事務局をつとめた。

2011年度は以下の3つの大きな集ま りがあった。

これは、研究会前代表の林 田理恵教授 (大阪大学) を研究代表者 とす る科研費企画 「大学間,高等学 校 一大学 間 ロシア語教育 ネ ッ トワー クの確立」

(基盤B、2011‑2015年度) とも密接に関わ ってい る。本学堤教授お よび筆者 もこの企画 の研究分担 者である。

1:サマ‑セ ミナ‑2011「ことば力 ・つける ・は か る。 8月17‑18日に富 山県 の立 山山麓温泉

「森 の雫」 にて泊 ま りこみで行 ったもので、 内 容は以下の通 りである。

講演1:野村和宏 (神戸市外国語大学) 「外 国 語授業 の活性化 をめざして一英語教育か らロ シア語教育へ活かす もの‑」

講演2:カザケ‑ヴイチ・マル ガ リー タ、林 田 理恵 (大阪大学) 「CEFR基準 ロシア語スピー キング,ライテ ィング評価法」

野村講演は、氏 自身の実践報告であると同時に 教員 どうしの研修 の意義を再確認す るものであっ たO カザケ‑ヴイチ ・林 田講演はむ しろ研修 とい うべきもので、 ロシア教育省認定 ロシア語検定試 験 について、受験者の答案例 をもとに出席者 も自

らの採点案を作 り検討 し、スピーキングとライティ ングという評価が困難な領域の取 り扱い方を学んだ。

小 林 潔

2:日本 ロシア文学会2011年度絶会 ・研究発表会 プレシンポジウム 「ロシア語発 『外 国語教育連 携の時代へ‑生涯教育から外国語教育を考える‑』」。 10月 7日に慶鷹義塾 日吉キ ャンパスにて開催

(共催 :中国語教育学会、 日本 フランス語教育 学会、 日本独文学会 ドイツ語教育部会、 日本 ロ シア語教育研究会

)

。 (同時にパネル展示 「大学 でのロシア語教育の今 を語 ろう一情報交換 ラウ ンジ ー'K3王40日‑」 も行われ、神奈川大学を含 む各大学でのロシア語教育 の紹介がなされた。

各校 の履修形態や教材、留学 ・海外研修 などの 企画 を示 し情報交換 と経験交流 をはか った もの である。)

プレシンポでは、 ロシア語現場報告 として加藤 純子 (関西大学 ・大 阪大学)、熊野谷葉子 (慶鷹 義塾)、竹 内敦子 (関東国際高校)、柳町裕子 (新 潟県立大学),依 田幸子 (北海道古平高校) が登 壇 したほか、筆者 も報告 を行 った。続 けて、 パネ リス ト報告 として境一三 (独語 :慶鷹義塾)、大 木充 (仏語 :京都大学)、跡部智 (英語 :慶鷹義 塾)、古川裕 (中国語 :大 阪大学) が登壇 した。

司会は白山利信 (露語 :筑波大学) お よび林 田教 授である。それぞれの教育機 関でそれぞれのや り 方で言語教育 に関わ っている者たちの協働 の一歩

として有意義な企画であった。

3:ロシア語教育研究集会 ・総会 2011。12月4 日於東京外 国語大学本郷サテライ ト。研究会集 会と同時に林田科研の報告会 も兼ね るものであっ た。研究報告は4本で以下の通 り。

高木美葉子 「ロシア語教材例文データベース作 成 における教育現場 のための検索語 と索

引」

日日lHlllHlHlllrHHIlHIHHHlHHHHHlHHHIHHIHIHHHHIHIHlHHHlllHIHIIIllHHIHIHlHHIHHHHHHHHHHlllHIHHHIHHlHHHIHHHIrHHHHHHHIHHHlllIHH

(3)

三浦 由香利 (神戸大学) 「文法学習 を運用練習 に繋げる試み一動詞変化形提示 ツ‑ルを利用 して‑」

加藤純子 (関西大学 ・大阪大学) 「仕事 と生活 に関す る対話 と記述一大阪大学マルチ メデ ィ ア教材 における交流の状況設定

須佐多恵 (大阪大学) 「フィンラン ドにおけ る ロシア語教育の現状」

高木、三浦、加藤報告 はITを活用 した教材 ・教 室活動についてであるC須佐報告は、本学堤教授、

クロチコフ氏 (駒津大学)、筆者 とともに2011年 9月に行 ったヘルシンキ訪問に基 づ く。

林 田科研 では 「TRKIとロシア語能力検定 とを 用 いた各教育機関の現状把握および両試験の比較」

と題 して、 ロシア教育省認定 ロシア語検定 試験 (TPKH) と日本国内の検定試験 との比較を行 っ た。それぞれの教育現場で受講生に二つの試験 に 取 り組 んで もらい、その結果 を分析 したものであ る。当 日不参加 の報告者 も含 めて高校 ・高専 ・大

学の13の教育機関での結果が報告 された。各機 関 におけるカ リキ ュラムとの関連 の考察、試験その ものの内容比較な ど今後 の研究 につなが る企画で あった (なお、学生の個人情報 が絡む こうした題 材 の取 り扱 いに注意 を要す ることは研究会で も既 に認識 されてお り、 然 るべ き配慮 がな され る)。

生涯教育 を念頭 に各教育機 関を通 じて教育 ・学習 を 「つづける」・「つなげる」 ことを目指 し、 それ ぞれの現場 の問題点 を明 らかにし、将来 的にはロ シア語人材 の 「入 口」「出口」 をも視野 に入れて ロシア語教育を考 えていこうというのである。

目前 の学生を大事 にす ることは言 うまで もない が、将来 を目指す ことも必要である。他 の言語 の 教育研究 に比べれば遅れをとってはいるがロシア 語 に関 して も教育研究は盛 り上が りを見せは じめ た。2012年度 は9月23日(日)に 「ロシア語母語 話者家庭 の子供 たちにおけ る母語継承教育」 (仮 題)をテーマ としたセ ミナーが、 また12月2日に 研究集会が開催 され る予定である。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

大学院 という幸福

大学院の科 目を提供す ることにな り4年 目にし て初めて受講生が現れた。 内容が 「生成文法」 だ けに履修す る学生などそ うはいまいと高を括 って いたのだが、時には志向が合 うこともあるようだ。

現在読んでいるのは、受講生の関心を考慮 して、

昨年MIT Pressか らLinguisticInquiryMono‑

graphsシ リー ズ の一 つ として 出版 され たPhil BraniganのPTOVOCatlveSyntaxo ミニマ リズム を採用 し、移動現象を包括的に扱 う仕組みを提案 している野心作である。

さて、授業であるが、学部 と違 い、 あま り 「教 える」 という意識がない。学部 の授業は、相手 も 素人で、少 しでも 「生成文法」 の思考法 に馴染 ん で もらいたいと思 うか ら、理路整然 とした解説 を 心掛ける。それ に対 して、大学院生、殊 に 「生成 文法」 の何 たるかをそれな りに理解 している相手 だ と容赦がない。扱 っている内容が理論展開の最 前線 とい うこともあるのだが、明快 な説明への腐 心などはどこへや ら、‑学徒に戻 り、目の前に座 っ

鹿 瀬 富 男

ている前期課程 に入 ったばか りの学生 に矢継 ぎ早 に問いかける。 いきおい語 り口もぞんざいなもの になってい く‑0

「そんな、LFでは中間痕跡が全部消 えてなきやい けないって言 ってもさ、そんなことしたら、Which pictureofhimselfdidJohnsaythatBillliked best?なんか困るんじゃん」

「えっ ?」

「だ って、himselfの先行詞 って、Johnで もいい んで しょ?でもって、その解釈 を可能にす るのは、

中間痕跡なんじゃん」

「あっ、そ うですね」

「Braniganが出してる例は、Thestudentsasked whatattitudesabouteach othertheteachers hadnoticedだから、中間痕跡が関係 しないんだよ。

何だかね え‑・」

こんな具合 に、 まるで勉強会や研究会にでも参

ltlHllHHHlHlHIHlHltHLHHHlllHHHHllHllHIIlllJlllllHHIJHLllHlHHHHllHIHHHlHHllHHIHHM M HIHllllllllHllllJIHHllllHlHlllHlllHHHHHllHHHIHHIHHll

(4)

lHHIlllllHHHIHmTIHllHllllHJHIHllllllJHIMlllHHJJMHIHIHHIHHJIHHllHHHlHlHllllHHllHHHMllHHHllJHHlllllHHIHHIHHHlmHHHHlHlllllHIImHIHHl

加 しているかのように授業 をしていると、90分は 申し訳ないが、少な くとも研究室 にいる間、学務 あっと言 う間で、気がつ くと時計が13時近 くを指 に苛 まれ、研究に没頭 しづ らい状況 にある当方 に

していることも多 い。付 き合わされ る受講生には とって、大学院の授業は至福の時間となる。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*

愛 しき若者言葉

「最近 の言葉 は乱れている」 とい う批判 をしば しば耳 にす る。発言者 は年長者であ り、 自分 よ り 若 い人 たちが使 う言葉、特 に大学生や高校生の世 代 が使 う言葉 を非難 して云 うケースが圧倒 的に多 い。 しかし、 日進月歩で通信技術が進化 し、コミュ ニケーシ ョン ・ツール も多様化す るに従 って、新 しい媒体 には新 しい名が与 えられ、新 しい動作 に は新 しい動詞が与 えられ るのは必然の帰結である。

さらに、通信 ツールに字数制限が加わ るな らば、

少 しで も短 くしか も多 くのニ ュアンスを伝 えるこ とのできる言葉が 自然発生す るのは当然である。

また、文化が成熟 し、ほんの少 しの差異 に意味を 見 出す若者 の間では、 それぞれの持つ微妙なニ ュ アンスを表現すべ く様 々な新語が生みだされ るD そ して、文化 間の激 しい生き残 り競争 に打 ち勝 っ た語は大勢の使用者を獲得 しおそ らく百年後 には 辞書の見 出し語 を飾 ることになるだろう。一方、

惨敗 した語は短期間で消えてい くのである。

今年 も、授業 を通 じて、お しゃべ りを通 じて、

またツイ ッタ‑ やフェイスブックを通 じて学生か らた くさんの素敵な若者言葉 を教 えて もらうこと ができた。言語には、理解言語 と使用言語がある。

使用言語、 つま り自分 自身で使 いこなす ことが出 来 る言葉 より、理解言語の方がは るかに多 いのが 普通である。毎 日の新聞やテ レビの報道を見てみ るとよい。 これまで想定外だった事象が生 じると、

新語が生 まれ る。 その多 くは視聴者 にとって理解 できればよいのであって、使用す る必要 はほとん どない。若者言葉 も同じで、若者 同志が連帯感 を 確 かめ合 うために使 っているところに、気持 ちば か り若 い教員が割 り込んで無理に若者言葉 を使お うなどとした ら、学生たちは礼儀正 し く気を配 り なが らも、心の中では失笑す るに違 いない。

次の若者言葉は全国的に使われているように思 うが、 どんな意味だろうか。

富 谷 玲 子

「どや顔」「デ ィす る」「バイ トな う (ナ ウ)」

「スタバる」「枝 る/枝野 る」「与謝野 る」「乙」

「鉄板」「ネ トゲ」「森ガール」

少 々解説 (翻訳 ?) を付す と、順 に、 「どや顔」

=「

『どうだ !すごいだろう』 とい う自慢顔 を臆面 もな くす る」、 「デ ィす る」=「デ ィス リぺ ク トす る / (軽蔑す る/ 中傷誹誘す る)」、 「バイ トな う」=

「今、バイ トしているところだよ」、 「スタバ る」=

「スターバ ックスにい る/行 く」、 「枝野 る」=「寝 ていない (3月11日以降の枝野氏の疲労 ・不眠を 押 してのテレビ会見を若者は大変尊敬 し、ustream での各局 のテ レビ放送 には応援 の書 き込みが途絶 えなか った。現荏 は 「枝野氏のごと く自分 も寝て いない」 の意で用 いて いる)」、 「与謝野 る

」 =

が乱れ る/風 によって髪が乱 され る」、 「乙」=「お 疲れ様 !」、 「鉄板」

=

「手堅 い/ (鉄板 のよ うに 硬 いところから)絶対に大丈夫」、「ネ トゲ」=「ネッ トゲ‑ム」、 「森 ガール

」 ‑「

『森か ら出てきた女 の 子』 のように、 ゆ るふわのファッシ ョン/ あるい はそのファッシ ョンを好む若い女性」 となる。

これ らの語 の発生年 を特定す ることは一部 を除 きかな り難 しい。 「最近 の若者 は言葉 が乱れてい る上、政治にも関心がない」 などと嘆 く有識者 も 多 いが、 ところが どっこい、学生たちは政治家の 発言、世 の中の出来事 を実 によ く観察 している。

ただ、テレビや新聞という媒体を彼 らは既に捨て、

コンピュータで得 られ る世界規模 の情報 を交換 し 合 っているのである。 そ ういった世界規模 の視点 か ら見た日本の若者 の評価 として、枝野氏は動詞 に昇格 した。若者か らこれほ どの評価 を集めた最 近の政治家を、今 のところ私は知 らない。

「デ ィす る」「な う」 は英語の知識を前提 とした 語構成 だ し、 「スタバ る」「枝野 る」「与謝野 る」

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(5)

は、見事 に現代 日本語の五段動詞 になっている。

ちなみに 「与謝野 る」 の語源は与謝野晶子の 『み だれ髪』 とのこと、明治文学や文学史 の知識 まで 日常生活のお しゃべ りに活用 しているのである。

これ もまさに文化 の一端 と言 えるのではないだろ

うか。

このような新 しい日本語 を発見 した時、 また意 味用法 を把握できた時、 そしてそれ らを学生か ら 教 えてもらうとき、私は一瞬、幸福 になる。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・* 言語研究センター共同研究

『 良友』画報 と都市研究

本共 同研究は1926年〜1945年 の間、上海で発 行 された 『良友』画報の多様な内容 を、専門領域 を超 えた学際的な視点か らとらえ直す ことを目指 す ものである。上海で発行 された 『良友』画報 に 関す る研究成果 としては、1930年代に同雑誌の編 集を担当 した馬国亮が出版 した 『良友懐 旧』 (200 2年、三聯書店) が最新 の先行研究である。 しか

し、 中国以外の国ではまだこの画報 を全面的に分 析 した研究は発表 されていない。

1926年 に創刊 された同雑誌は、中国の政治、経 済、社会、文化はもちろん、文学、広告、漫画な どあ らゆる分野を網羅 している。 と くに、 この画 報が創刊 された1920年代はアジアで大衆消費社会 とも言 うべき社会現象が幅広 く見 られた時期 で、

映画や百貨店 などが登場す る時期 とも重 なる。本 共同研究はこの 『良友』画報 を精読す る輪読会を

孫 安 石

続 けなが ら、 2004年 8月 には ワ‑ クシ ョップ

「『良友』画報 と上海」 (上海) を開催 し、2007年 9月 には雑誌 『アジア遊学』 に 『良友』 を取 り上 げた特集号 (勉誠出版) を出版す ることができた。

2010年1月 には菊池敏夫 「上海の百貨店業界 と近 代中国」 (臨時研究会) を開き、8月には上海市棺 案館、上海市 図書館 な どを訪れ、 『良友』 画報 関 連の資料調査を行 うことができた。

本年度 は本学 の非文字資料研究センターの租界 班 と共同で 「中国のたばこ産業 とカレンダー印刷」

に関連す る研究会 (2011年7月22日) を開き、

2012年2月 には上海師範大学の城市文化研究所 と 今後の研究活動について意見調整す る計画である。

来年度 は、上海現地 でワークシ ョップを開催す る ほか、言語センターの叢書刊行 に向けて研究活動 のさらなる活性化を期 したい。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・* 言語研究センター共同研究

韓 国語 の漢語動詞 の受身文 のデータの整備

ヂ 亭 仁 ・文 彰 鶴

近年 日本 の大学 におけ る韓 国語 のレベルが非常 に高 くなっている中で、韓国語 を教 えている教員 にとっても履修 している学生 にとっても非常 に大 きい問題の1つが韓国語の受身用法の獲得である。

韓 国語 の受身文は 3つの方法 (Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ類 の 受身文)、7つの接辞の付加 によって作 られ るため、

その派生は複雑な様相 を呈 している。 と りわけ、

日本語 と漢語語幹 を共有す る漢語動詞 の受 身文

(Ⅲ類の受身文)の場合は、語幹に 「一旦Lト(doeda)」

・「‑tj

= L

Lト(badda)」・「‑Cor=

Lト(danghada)」の3

の接辞が付加 され うるが、 この3つとも付加 でき る場合 と1つ しか付加できない場合がある。 なの で、漢語動詞 によって受身接辞が異なるため、従 来通 り、典型的な動詞を用 いて説明す るだけでは その違 いが学生に充分に伝わ らない。

本研究では、 『デイ リー コンサイス韓 日 ・日韓

‖llM l‖HH‖llllHH日 日llHHH日日HIHHH lllH HllHIHHllH‖IH HH日日lHllllHHIHH LHIHHHllIHH l=lHHHIHllHIHHllHJIH=lHHIIHlll日日l‖HlH ‖lllHl日日 ll

(6)

lHIHHHLHHJIHHIHIHHLHHHlHIJLIHHIllHllHIIHHHHHIHHI日日HHHHHIHHIHllHlHLHHHIHILHllHHLHHIHHHIHlJlHHHHHHlllHHlHHHHllLHlHlHHHIHlHHl

辞典中型版』 (三省堂

、201 0 )

を参考 に 「頻度 の の提示 だけではな く、短文解釈、長文解釈 を通 し 高 い韓 国語 の漢語動詞

」5 00

語 のデータの整備 を て学生たちの理解を高めている

.2 01 2

年度からは、

試みた。現在一部の結果は

、2 01

1年度の韓国語上 さらに用例 を工夫 し、 中級 の授業 でも活用できる 級 の授業で活用 している。授業では、動詞 リス ト ようにす る予定である。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・* 言語研究センター共同研究

CALL システム利用の

先端的言語教育のデザインとその応用

松 村 文 芳 cALL

システムのクライアン ト (学生用モニタ)

画面 にある

「 c o mp l a y

(コムプレイヤー) を使用 す るまでのサーバー管理者 の業務 を紹介 しておき たい。本言語研究センターが管理す る

CALL

教室

( 31 4

を除 く)にはビクター製のソフ トウェア

CALL

とビデオ・オン・デマン ド

( VOD)

を実行す るビデ オ転送 ソフ トが導入 されている。

学生は画面 に表示 された

「 c o mp l a y

」 のアイコ ンをク リックす ることによって

、VOD

サーバーに 保存 されている

「 *. mp 4

(エムペ グ

4 )

」 とい うビ デオファイルを画面 に表示 して、動画 ・字幕 (中 国語 ・英語)、音声 を使用 して ビデオ教材 を学習 す ることができる。

学生にとっては簡単な操作 で実行できるシステ ムであるが、教材作製者 にとってはソフ トの作成 はアイデアの創 出と時間のかか る作業が必要 とさ れ る。作成 のおおまかな作業過程 を紹介 してお こ う。第一は ビデオカメラで教材 を撮影す る (ある

いは既存 の

DVD

ソフ トを使用す る) ことである。

第二 にビデオカメラに取 り込 まれた映像 と音声 を

I EEE1 39 4

ケーブル

( DVD

の場合 は

AV

ケーブル) を使用 して

( DVD

の場合は

AD

コンバータを経て) 編集用のパソコンに取 り込む。第三は編集用 のパ

ソコンでは 「ム‑ど‑メ‑カー

( Wi nd o ws

の場合

) 」

「 Ed i u

s」

、「 Pr e mi e r e

」等のビデオ編集ソフ トを 起動 して、送 り込まれた信号を取 り込み

、「 *. AVI 」

というファイルに保存する。第四にこの巨大なファ イルを圧縮 して

「 *. mp g

、「 *. mp2

、「 *. mp 4

」、

「 *. wmv 」

のファイル を作成す る。第五 にこので きたファイル を各

CALL

教室 の教員用 コンソール に設置 された編集機か ら

、VOD

サーバーに転送す る。

以上が

vOD

を使用 したシステムの教材作成過程 であるが、作成 マニ ュアルが存在 しないので既存 の知識 をフル活用 して手探 りで作業 しなければな らないのが現状である。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・* 言語研究センター共同研究

「 ロシア語学習 ・教育 におけるレア リアの 内容 と位置づけに関す る研究」活動報告

堤 正典 ・小林 潔

ここでい うレア リアとは、 当該 国の言語文化 に いので、神奈川大学 とい う現場 を念頭 におきなが 関す る知識 のことで、特 にその言語運用 を支 える ら取捨選択す る必要がある。

ものを想定 している。 このような知識がないと言 本年 は、 関連す る学内の他 の共 同研究や学内外 語学習にもまた実際の使用にも支障が生 じる。 だ の科研費 プロジェク トで得 られた知見 をも活用 し が、教育時に何 もか も取 り上げるわけにはいかな つつ調査 と研究を進 めた。 ロシア以外 の諸外 国で

日日llHIHl=HHHLHI日 日 日日Hl日日H H H H lHHl日日 HH H H日 日lHlHlHllH川 HHHHHl日日日日lHH‖H日 日HlH = lHH HH IllHH日 日lHIHllHllH日 日HH川 l日日 l

(7)

のロシア語教育やそこでの教材 をも検討 した。特 記 に価す るのは、9月 のモスクワ、ぺテル ブル ク での調査 とフィンラン ドでの学校見学である。ヘ ルシンキのロシア学術文化センターのロシア語教 室では 「フィンラン ドが ロシアか ら得 たもの」 を テーマとしてお り、 また露芽バイ リンガル学校 で

は若者文化を媒介 とした教材 を用 いていた。

これ らを分析 し参照す ることで、 ロシアに関す る知識を殆 ど持 たないもし くは偏 りがある受講生 に対 して何 をどのように提示 してい くべきかの検 討を更に続 けてい く。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・* 言語研究センター共同研究

「 言語の個別性 と普遍性 一文 と発話の構造」

本共 同研究は、昨年度 までの3年間で神奈川大 学からの共同研究奨励助成金により 「モダリティ ・

プロジェク ト」 として活動 していた。2011年度は、

このプロジェク トにおける2冊 目の論集の編纂作 業が活動の中心 となっている。

本年3月 に刊行 された武内道子名誉教授 と佐藤 裕美准教授 の編 による神奈川大学言語学研究叢書 1『発話 と文 のモ ダ リテ ィ ー対照研究の視点か ら』 (ひつ じ書房) は、所員 にとっての長年 の念 願であった言語研究センターの叢書の第1巻であっ

活動中間報告

堤 正 典 ( 代表代行)

たが、現在作成中の論集はその続巻 となる。

この論集は、昨年7月24日に本共 同研究 グルー プにより開催 されたワークシ ョップ2010 「モダ リ テ ィ研究 と言語教育」 での各報告 を中心 に10篇の 論考が掲載 され る予定であ る。前作 は対照言語学 的な側面か らモ ダ リテ ィを取 り上げたが、今 回は 言語教育の視点か らモダリテ ィを取 り上げる。

なお、論集発行以外 にも、現在、年度末 に向け て、学外 の研究者 を招 いての講演会あるいはシン ポジウムの開催を検討 しているところである。

*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・* 言語研究センター共同研究

中間言語 と第二言語習得 (2)

日本人の学習スタイル

今年度、我 々の研究 グループは中心課題 として

「外 国語学習 におけ る日本人学生 の学習 スタイル の役割」 について取 り組んできた。

これ まで 「第二外国語 の習得」 に関す る研究分 野では、第1言語の話者 と習得 を目指す第2言語 の話者 を隔てている違 いとは何かという点が注 目 されてきた。その関心は主にそれぞれの言語 の構 造そのものの違 いや双方の話者 の暮 らす国 々の文 化的、社会的背景 (伝統、宗教、歴史、芸術など) に向け られてきている。一方で、学習者 の育 った 国の教育 システムが彼 らの学習行動に及 ぼす影響

アルトウ一口 バロン ロペス

について着 目した研究はほ とんど行われていない のが現状である。

去 る11月25‑27日に東京 で国際シンポジウム

「21世紀、グローカル時代の外国語教育」 が開催 さ れ、スペインのFundaci6nComillasのⅠnmaculada Martinez教授 が来 日した。Martinez教授 は学習 スタイル研究の専門家で、 その博士論文はまさに スペイン語 を学ぶ 日本の大学生の学習スタイル を 扱 ったものである。

Martinez教授 によれば、教員の仕事は伝達 した い内容 に対す る知識 を与 えるだけではない。 それ

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(8)

らの内容を伝達す るもっとも適 した方法 を探す こ とも必要である。 つま り、我 々教員 は、学習者が どんな学生であるのか、 また彼 らがこれまで どの ように学習 してきたのかを考 えた うえで、その学 習の継続 を助けるあ らゆ る手段 を取 らなければな

らないということだろう。

確かに、学習者 がどんな学生であるか、 そ して 彼 らがよ り効率的に学ぶには どうした らいいかを 理解 し、それを彼 ら自身にも意識 させ ることがで きれば、 自らが決断 し、生涯 にわたって 自律 的に 学習 し続 ける人材 を育成す ることができるのでは ないだろうか。

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学習者 コーパスを活用 した上級 日本語教育の教材開発

富谷 玲子 ・高木南欧子

2004年に公開された 『日本語話 し言葉 コーパス』

(国立 国語研究所 ・情報通信研究機構 ・東京工業 大学)、2011年 に完成 した 『現代 日本語書 き言葉 均衡 コーパス』 (特定領域研究 「日本語 コーパス」) に代表 され るように、近年、現代 日本語のコーパ スの開発 と公開がすすめられている。 日本語教育 においてもコーパスの存在 は広 く知 られ るように な り、 さまざまな研究 グループによって開発、公 開がなされ、研究に利用 され始めている。 日本語 教育では、 これ らの基礎資料 を統語構造の分析へ の応用や、教材評価、 コースデザインの開発など 多岐に渡 る応用がなされ るようになったと同時に、

比較参照す るための学習者 コーパスの必要性 も求 め られ るようになった。学習者 コーパスとは、第 2言語学習者 の作文や発話データを大量 に収集、

分析 に必要 となる情報 を付加 し、検索が可能な形 に電子化 したものを指す。対照言語研究や誤用分 析、教室活動の分析 などか ら得 る知見 を教室活動 に還元す る際、学習者 コーパスを参照す ることに よ り数量的な分析が可能 になる一方、従来 とは異 なった知見を得 られ る可能性 もある。本研究では、

学部留学生 に対す る日本語教育への還元、初年度 教育 としての日本人学生 に対す る日本語教育への 還元 を可能 にす る基盤構築 を目的 としている。現 在、一般 に公開 されている日本語の学習者 コーパ スは 「日本語学習者 による日本語作文 と,その母 語訳 との対訳データベース (作文対訳DB)オンラ イン版」 (国立国語研究所)、 「KYコーパス」 (OPI テープを文字化 した言語資料) などがあ り、進行 中のプロジェク トなども多 々見受け られ る。 これ らの学習者 コーパスを構築 とい う点でみた場合 に

共通 してみ られ る問題点は、学習者 の母語や学習 歴などがさまざまである上 に、書 き起 こされたテ キス トや発話データに肘す るタグの付与 に非常に 時間がかかること、 また、言語運用場面や 目的が 多岐に渡 ることである。 しか し一方で、細かい分 類 と膨大な基礎データの支 えがなければ、期待す る抽 出結果 も得 られに くくな り、 コーパスとして の有用性が低下す る。解決策 の一つとして、抽出 結果を上記にあげた 『現代 日本語書き言葉均衡 コー パス』 とつなげ、参照 を可能 にし、付与 され る情 報 の客観性、信頼性 を向上 させ る試みや、特定分 野 の専門辞書 を組み込むことによって精度 を向上 させ る、辞書 の更新 ・増設 を可能 にす るシステム を採用す るな どの試みがみ られ る。 これ らの試み は、学習者 コーパスの設計 には非常に参考 になる と思われ る。

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参照

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