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債権者代位権の立法趣旨に関する研究(四・完)

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第一章 初めに

1 債権者代位権の立法趣旨を研究する意義  1.1 改正前423条に関する従来の通説

 1.2 債権者代位権の沿革を巡る従来の通説と先行研究との間の対立 1.3 立法趣旨に関する研究の必要性

 1.4 債権法改正後の規律の解釈における重要性 2 本論文の研究対象

 3 本論文の構成

第二章 1804年フランス民法典における代位訴権の立法趣旨 1 規定

 2 先行研究 3 立法趣旨の検討 3.1 共同質の原則  3.1.1 フランス古法

3.1.2 カンバセレス草案

 3.1.3 フランス民法典第2092条及び第2093条

3.2 1804年フランス民法典第1166条の立法趣旨

3.2.1 ビゴー=プレアムヌーによる説明

 3.2.2 マルヴィルによる説明

3.2.2.1 ローマ法大全の引用

 3.2.2.2 フランス古法における拡張

3.3 小括      (以上、174号)

第三章 代位訴権の制度趣旨に関するフランスにおける「種々ノ議論」

 1 制度趣旨に関する「種々ノ議論」

1.1 代位訴権に広汎な機能を認める説(汎用主義)

 1.1.1 信義則説

1.1.2 総合的制度説

1.1.3 自己の債権の保存又は回収説

 1.2 代位訴権の機能を一つの用法に限定する立場(固有主義)

1.2.1 強制執行説

 1.2.2 保存行為説

債権者代位権の立法趣旨に関する研究(四・完)

大 足 知 広

(2)

1.2.3 訴権限定説

1.2.4 執行の準備説

 1.3 判例の立場(自己の個別的利益保護説)

1.3.1 先例(1873年の破毀院判例)

 1.3.2 判例における代位訴権制度の趣旨

1.3.2.1 1873年判例自体の示す代位訴権の制度趣旨

1.3.2.2 その後の判例の発展

 1.4 小括

2 当時のフランスにおける要件論  2.1 要件に関する「種々ノ議論」

2.2 事前の裁判上の代位の要否

2.3 現在の日本の通説が前提とする二つの要件  2.3.1 金銭債権要件について

2.3.2 債務者の無資力について

 2.3.2.1 先行研究の評価

2.3.2.2 破毀院判例の検討

2.3.3 小括      (以上、175号)

第四章 「旧民法」における代位訴権の立法趣旨

1 ボワソナードにおける代位訴権についての元々の理解  1.1 強制執行説の援用

1.2 債務者の債権に対する執行方法 1.3 小括

 2 旧民法においてボワソナードが採用した代位訴権制度 2.1 強制執行説の採用

 2.2 適切な執行方法  2.3 裁判外の行使の否定 2.4 小括

 2.5 旧民法財産取得編236条2

2.6 被保全債権の種類と債務者の資力について  2.6.1 被保全債権の種類について

 2.6.2 債務者の無資力について 2.7 小括

 3 旧民法に対する日本の学説の反応 3.1 強制執行説

 3.2 保存行為説  3.3 梅謙次郎の見解

3.4 小括      (以上、176号)

(3)

第五章 明治新民法423条の立法趣旨

 本章では、明治新民法423条がどのような趣旨に基づく制度として立法さ れたのかを検討する。

1  これまでの検証結果の確認

 まず、第一章で確認した通り、起草委員は、旧民法の「手本ニナリマシタ 法典」であるフランス民法典において、代位訴権の制度趣旨や要件を巡り、

「種々ノ疑種々ノ議論」が生じてしまっていた、という点を問題視していた。

実際、第三章で既に確認したように、当時のフランスにおいては、実に多種 多様な見解が唱えられていたのである。

 そのような中、ボワソナードは、旧民法において、フランス民法典の立法 趣旨と同じく、代位訴権を強制執行そのものとして規定した。他方、新民法 典の起草者の一人である梅謙次郎は、代位訴権の沿革が強制執行そのもので あったことは認識しつつも、当時から既に、強制執行説とは全く異なる見解 を採用し、債務者とその相手方との間でなされた合意を、債権者が司法機関

第五章 明治新民法423条の立法趣旨 1 これまでの検証結果の確認  2 法典調査会における議論

3 起草委員・起草補助委員による解説  3.1 汎用主義

3.1.1 『帝国民法正解』における解説

3.1.2 梅謙次郎起草委員の見解

 3.2 被保全債権の種類

3.3 債権保全の必要性の判断基準  3.4 小括

4 「種々ノ議論」との関係性

5 起草委員の説明に対する現在の通説の誤解

 6 明治新民法423条に対する当時のフランスにおける評価 第六章 結び      (以上、本号・完)

(4)

を介することなく援用することを代位訴権の用法として肯定していた。

 そして、新民法典の編纂が開始されると、起草委員は、債権者代位権につ いて当時のフランスのような「種々ノ疑種々ノ議論」が生ずることのないよ うに、債権者代位権を「自己ノ債権ヲ保護スル為メ」の制度と定め、これを 明文で指示することにした。民法整理会において「保護」の「護」という字 を使用することについて懸念が示されたため、「保全」という文言に改めら れたが、その意味する内容は従前と同一のものであることについても既に確 認した。

2  法典調査会における議論

 第58回法典調査会においては、この「自己ノ債権ヲ保護スル為メ」という 制度趣旨が示す内容について、具体的には説明されていない。

 ただし、次の経緯から、債権者代位権は、詐害行為取消権とは異なる制度 趣旨として規定されたものであることが窺える(1)

 すなわち、詐害行為取消権の効果を定める明治新民法425条の原案421条 は、詐害行為取消判決について、「總債権者ノ利益ノ為メニ其ノ効力ヲ生ス」

と規定した。

 穂積委員は、同条を規定した理由について、次のように説明する。

「取消ノ結果ハ固ヨリ債務者ガ原地位ニ復スルノデアリマスカラ夫故 ニ其取消請求者ノ利益ノ為メノミデナイ4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4ト云フコトハ何ウモ之ハ断ツ テ置カナイト疑ヒガ生ズルモノデアラウト思ヒマス自分ノ利益ノ為ニ 之ヲ請求シタノデアルカラ其判決ハ自分ノミニ及ブト云フ疑ヒハ随分 生ジ得ルコトト思ヒマス」(2)

 つまり、原案421条は、詐害行為取消権が、取消債権者の個人的な利益の ためのものではなく、総債権者の利益のための制度であるということを明示 するために規定された、というのである。

 そして、このような制度趣旨については、詐害行為取消権を、専ら取消債 権者のみを利する制度にすべきであると考えていた富井委員(3)と、特定物債権

(5)

が直接に侵害された場合等をも対象とする広汎な制度とすべきであると考え ていた高木委員(4)によって、同条の削除案が提出されたが、法典調査会は原案

421条を存続させることを賛成多数で可決したのである。

 したがって、詐害行為取消権については、詐害行為取消権は特定物債権等 が侵害された場合については対象としておらず、また、総債権者の利益のた めの制度として立法されたということになる。

 これに対し、債権者代位権については、その制度趣旨について「総債権者 ノ利益ノ為メ」という文言は用いられていない。それどころか、むしろ「自 己ノ債権ヲ保護スル為メ」という文言が採用されているのである。

 原案421条は、これがなければ詐害行為取消権が個々の債権者の利益のた めの制度となってしまうという懸念から規定されたものである。したがっ て、仮に、債権者代位権を詐害行為取消権と同様の趣旨に基づく制度として 規定しようとしていたのであれば、債権者代位権についても原案421条と同 様にそのことを示す規定が置かれていなければならなかったはずであるし、

少なくとも、法典調査会において、「自己ノ債権ヲ」という文言を削除ない し変更する案が提出されていたはずである。それにも拘らず、原案418条に は「総債権者ノ利益ノ為メ」という文言は規定されなかったし、「自己ノ債 権ヲ」という文言も改められなかった。

 したがって、法典調査会においては、債権者代位権は、詐害行為取消権と は異なり、債権者の個別債権を保護するための制度であることが前提とされ ていたものと考えられる。

3  起草委員・起草補助委員による解説

 法典調査会においては、「自己ノ債権ヲ保護スル為メ」という制度趣旨が 意味する具体的な内容については説明されなかった。しかしながら、新民法 典の成立後に出版された起草委員や起草補助委員による解説書には、これに ついての詳細な記述が存在している。

 そこで、以下では、これらの解説書において債権者代位権が具体的にどの

(6)

ような趣旨の制度として規定されていたかについて、確認する。

3.1 汎用主義

3.1.1 『帝国民法正解』における解説

 まず、新民法典の

3

人の起草委員を校閲者とし、

3

人の起草補助委員が著 者となって出版された、『帝国民法正解』における解説を確認してみよう。

これは、新民法典の起草及び起草補助の任を受けた委員全員の手によって作 られた、おそらく唯一の、解説書である。その第

5

巻は、第423条の「自己 ノ債権ヲ保全スル為メ」について、次のように解説している。

「保全トハ債権者カ其債権ノ保存ヲ為シ又ハ弁済ヲ受ケ以テ其債権ヲ 全フスルコトヲ謂フナリ……債権者カ其債権ヲ保存センカ為メ債務者 ノ権利ヲ行使シタルトキハ……債務者ハ直接ニ利益ヲ受ク可シト雖モ 債権者ハ……間接ニ代位ノ利益ヲ受クルモノト謂フ可シ之ニ反シテ債 権者カ弁済ヲ得テ其債権ヲ全フセンカ為メ債務者ノ権利ヲ行使スル場 合ニ於テハ債権者ハ右ノ代位二依リ直ニ自己ノ債権ノ弁済ヲ得テ直接 ニ代位ノ利益ヲ受クルモノト謂フ可シ」(5)

 このように、同書においては、明治新民法における債権者代位権は、債権 者が自己の債権を保存または全うするための制度として規定されたと説明さ れている。そして、自己の債権を保存する場合とは、代位訴権を行使するこ とによって債務者が直接に利益を受け、それによって債権者が間接的に代位 行使の利益を受ける場合であるとされ、これに対し、自己の債権を全うする 場合とは、代位訴権を行使することによって債権者が直接に自己の債権の弁 済を受ける場合であるとされている。

 このように、起草補助委員は、起草委員の校閲を受けた上で、代位訴権に 複合的な機能─フランスの学説との関係でいえば広汎な機能─を認めて いる。

 これに付け加えるのであれば、起草補助委員らが掲げる「自己の債権を保4 4 4 4 4 4 4 存し4 4、又は全うするため4 4 4 4 4 4 4 4」という制度趣旨は、その文言からして、ツァハリ

4

4 4

(7)

エの「自己の債権の保存又は回収4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4」説を想起させるものである。そして実際 に、この『帝国民法正解』においては、債権者代位権の手続的要件について 言及する際に、ツァハリエの名を挙げて、その著書の記述を援用している(6)。  以上の通り、起草補助委員によれば、明治新民法423条は、「自己の債権を 保存し、又は全うするため」という制度趣旨の下で、汎用主義に基づいて規 定されたのである。

3.1.2 梅謙次郎起草委員の見解

 それでは、旧民法の代位訴権について汎用主義を支持していた梅謙次郎 は、明治新民法における債権者代位権について、汎用主義と固有主義のいず れの立場を支持していたのであろうか。

 これについては、梅もまた、起草補助委員と同じく、汎用主義に立ってい た。

 例えば、『民法債権(第一章)』においては、債権者代位権の用法には、債 権者が債務者の第三債務者に対する債権を行使することにより、自己の債権 について「弁済ヲ受クルノ便利ヲ得ル」ための用法もあれば、「債務者ノ財 産ヲ保存スル」という用法もあり、これらはいずれも「自己ノ債権ヲ保全ス ル為メ」のものであるとされている(7)

 また、『民法講義』においても、まず、債権者が債務者の債権を行使する ことによるという用法が紹介された上で(8)、このような「債権ノ履行ヲ求ムル ト云フ最後ノ手段デナク、モット軽イコトハ猶更出来ル4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4」として、次のよう な用法が後者の具体例として紹介されている(9)。すなわち、第一に、債務者の 権利が時効によって消滅しそうな場合には、債権者は債務者に代わって第三 債務者に催告をするなどの方法によりその時効を中断することもできる。ま た、債務者の財産が毀損されそうになっている場合には、その修復をするこ ともできる。更に、債務者の財産が何人にも管理されていない場合には、債 権者は債務者に代わって相当な管理をすることもできるのである(10)

 このように、梅謙次郎は、債権者代位権について、債権の履行を求めると いう最終手段としてのとしての用法、債務者の財産に対する保存行為として

4 4

(8)

の用法、更に、債務者の財産の管理行為としての用法(11)を認めていたというこ とになる。

 同書においては管理行為が追加されてはいるものの、『帝国民法正解』と 同様の理解に立っていたということができる。

 したがって、梅も起草補助委員と同様に汎用主義に立っていたということ になる。

3.2 被保全債権の種類

 現在の通説は、債権者代位権の本来の用法というためには、債権者の債権 が(無担保の)金銭債権でなければならないとする。

 しかしながら、423条の立法趣旨においては、被保全債権は何ら上記の債 権に限られていなかった。

 例えば、梅謙次郎は、債権者が債務者の第三債務者に対する債権を行使し て自己の債権の弁済を受けるための用法について、次のように述べている。

「債権ノ目的カ金銭其他ノ財産4 4 4 4 4ナル以上ハ債権者ハ此間接訴権ニ依リ テ自己ノ債権ノ弁済ヲ受クルノ便利ヲ得ルモノトス」(12)

 このように、被保全債権の種類は何ら金銭債権に限られず、一切の財産権 が被保全債権となるとしていることが、起草委員自身によって、明言されて いるのである。

 また、梅は、被保全債権と債務者の権利の目的は違うこともあり得る(13)と述 べている(14)。『帝国民法正解』においても、被保全債権は、金銭以外を目的と する債権であってもよいし(15)、担保権が付着していてもよい(16)とされている。

 以上の通り、明治新民法423条の本来の立法趣旨によれば、被保全債権の 種類は何ら(無担保の)金銭債権に限定されてなどいなかったのである。

3.3 債権保全の必要性の判断基準

 債権者代位権を行使するためには、債務者の権利を行使することが、自己 の債権を保全するために必要でなければならない。

(9)

 通説は、債権者代位権の本来の制度趣旨においては、この要件は債務者が 無資力であることを意味していると主張し、債務者の無資力を債権法改正前 民法423条の要件と位置付けてきた。

 しかしながら、次に示すように、本来、債権保全の必要性(「自己ノ債権ヲ 保全スル為メ必要ナルコト」)という要件は、「債務者が権利を行使しないこと によって、債権者の個別債権に危険が生じていること」を意味していた。

 例えば、梅委員は、次のように述べる。債務者が第三者に対して有する委 任事務履行請求権を債権者が代位行使しようとする場合、「極メテ稀ナル場 合」においては債権保全の必要性が認められることがある(17)ものの、通常の場 合には債権保全の必要性を認めることはできない。何故ならば、通常の場合 には、代位行使によって債務者の財産が増加することはあり得るものの、そ れは、自己の債権を保全するという目的からすれば、間接の結果に過ぎない のであって、「受任者カ委任事項ヲ履行セサルカ為メニ債権者ノ債権ヲ危ク スルモノト謂フコト」ができないからである(18)

 このように、梅は、「自己ノ債権ヲ保全スル為メ必要ナルコト」という要 件との関係では、債務者の資力状況は間接の結果に過ぎないと理解してお り、「債務者の権利不行使によって債権者の個別債権に危険が生じているこ と」こそが債権者代位権の要件であると理解していたのである。また、梅 は、「自己ノ債権ヲ保全スル為メ」とは、債権者の債権の履行を確保するた めという意味であるとも述べている。したがって、上記の「危険」とは、債 権者の履行を確保することについて生じた危険ということになる。

 また、『帝国民法正解』においては、次のように記述されている。債権者 が債権を保存するために債権者代位権を行使するときは、債務者の権利の不 行使によって債務者に財産上の不利益が生じ、債権者の債権が弁済不能に陥 る危険が生じていることが必要である。債権者代位権は、やむを得ない場合 における救正の方法であるから、「債務者カ其権利ヲ行使セサルモ債権者ニ 危険ヲ及ホサヽルコトヲ証明シ且ツ充分ノ注意ヲ以テ自己ノ財産ヲ管スルコ トヲ証明シタルトキ」には、相手方は債権者代位権の行使を否定することが

(10)

できる(19)

 以上の通り、起草委員及び起草補助委員によれば、「自己ノ債権ヲ保全ス ル為メ」とは、債務者の権利の不行使によって債権者の個別債権に危険が生 じていることを意味していた。そこでいう個別債権に生じた危険とは、その 債権の履行の確保に関する危険ないし弁済不能の危険であると表現されてお り、端的に言えば、その債権の実現について危険が生じていることを意味し ているということになるだろう。従って、この危険を生じさせているものが 債務者の資力状況である場合には、債務者の無資力が債権保全の必要性を基 礎付けることになる。他方、その危険を生じさせているものが債務者の資力 状況でない場合には、債務者の無資力は債権保全の必要性を基礎付けない。

3.4 小括

 以上で確認した起草委員及び起草補助委員の見解によれば、債権者代位権 の起草趣旨は次のようなものであった。

 まず、明治新民法は、債権者代位権について汎用主義を採用していた。す なわち、債務者の財産を保存することを通して債権者の債権を間接的に保全 するための用法も認められていたし、債務者の権利を行使することにより直 接に債権者の債権を保全するための用法も認められていた。

 そこでは、被保全債権の種類は、金銭債権のみならず、その他の財産権で も差支えないとされており、何ら現在の通説が主張するような債権に限定さ れてなどいなかった。

 また、「自己ノ債権ヲ保全スル為メ」とは、債権者の債権の履行を確保す るためという意味であり、より具体的には、①:債務者の権利の不行使によ って、②:債権者の個別債権の実現に関して危険が生じていること、を意味 しているものとされていた。したがって、保全の必要性は、債権者の個々の 債権に生じた危険を基準に判断されており、決して債務者が無資力の場合に 限定されてはいなかった。

 このように、明治新民法の起草者は、現在の通説が本来の制度趣旨と主張

(11)

しているものとは全く異なる制度として債権者代位権を規定していたという ことが明らかとなった。また、現在の通説が「転用型」などと呼んでいた類 型は、明治新民法423条の立法趣旨からしてみれば、何ら制度を転用したも のではなかった。

4  「種々ノ議論」との関係性

 明治新民法423条は、その保護対象を債権者の「自己の債権」と定めた。

既にみたように、このような見解は、19世紀のフランスにおいてもいくつか 存在していたが、帝国民法正解において、債権者代位権の目的が「自己の債4 4 4 4 権を保存又は全うするため4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4」とされていたことや、梅謙次郎の著書におい て、債権者代位権の用法として、自己の債権の保存・管理に加え、弁済を受 けるという用法も認められていたこと、更には、帝国民法正解の債権者代位 権に関する記述の中でツァハリエの著作が引用されている4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 (20)4ことからすれば、

「自己の債権の保存又は回収説4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4」の影響を受けていた可能性は高いといえる だろう。

 他方、「自己ノ4 4 4債権ヲ保護スル為メ4 4 4 4 4 4」という文言は、当時の最新判例であ った1873年判例の「自己の4 4 4個別的な利益を保護するため4 4 4 4 4 4」という制度趣旨と 類似している。富井政章と本野一郎による民法典のフランス語訳において も、「保全スル」は≪sauvegarder4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4

≫と翻訳されており(21)、1873年判例の判示し た制度趣旨と同じ文言が使用されている。また、梅謙次郎は、「自己ノ債権 ヲ保全スル為メ」とは、債権者が債権の履行を確保するため4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4という意味であ ると説明しているところ、1873年判例は、代位訴権によって債権者には自己 の債権の履行を確保するため4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4の手段が付与されていると判示していた。ま た、起草委員や起草補助委員は、債権者代位権の要件として、債務者が権利 を行使しないことによって、債権者の個別債権に危険が生じていること4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4を要 件としているのに対し、1873年判例も、代位訴権を行使するためには、債権4 4 者の個別的な利益に危険が生じていなければならない4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4としていた。

 そうすると、明治新民法423条は、1873年判例の「自己の個別的利益を保

(12)

護するため」という制度趣旨を継承しつつ、その保護対象を「自己の債権」

の範囲に限定したもの(22)だったのではないかと考えられる。とはいえ、この点 についてはそのように明示している資料がある訳ではなく、更なる研究が必 要であろう。

 以上を整理すると、次のようにまとめることができる。起草委員は、フラ ンス民法の代位訴権の制度趣旨や要件を巡り、フランスの議論が錯綜してい ることを認識していた。そこで、新民法典においては債権者代位権の制度趣 旨を定め、明文でこれを指示しなければならないと考えた。梅謙次郎は、リ ヨン大学留学時から、代位訴権について汎用主義を支持しており、旧民法財 産編339条についても、これを強制執行そのものとして起草したボワソナー ドとは異なる代位訴権制度を良しとしていた。そうした中で、明治新民法

423条は汎用主義に基づく制度として規定されたが、その具体的な内容につ

いては、1873年の破毀院判例が判示した制度趣旨を参考にしつつ、被保全債 権と関係のない利益まで保護するのは妥当でないと考え、ツァハリエの見解 なども参考にして、「自己の債権」を保護対象とするという形で同判例を修 正したものだった可能性が示唆されている。

5  起草委員の説明に対する現在の通説の誤解

 明治新民法423条の立法趣旨がいかなるものであったのかという点につい ては、上記の検討によって明らかとなった。したがって、現在の通説は、同 条の立法趣旨を誤解していたということになる。それでは、何故このような 誤解が生じたのであろうか。その原因の一つとして、現在の通説が、法典調 査会における起草委員の発言を誤って理解していたことを挙げることができ る。

 すなわち、現在の学説は、「其大體ニ於キマシテハ既成法典トひどう違ツ テ居ル所ハ御座イマセヌガ先ズ第一ニ」という穂積委員の発言(23)のうち、「既 成法典トひどう違ツテ居る所ハ御座イマセヌ」という文言があることを重視 し、起草委員は新民法の債権者代位権を旧民法の代位訴権と同じ趣旨の制度

(13)

にする意図で起草したと主張してきた(24)。そして、これらの学説は、実際には 両者が異質な制度であることから、起草委員における債権者代位権制度の理 解には問題があると指摘していた(25)

 しかしながら、このような理解は、穂積委員の説明の理解としては正確で はなかった。何故ならば、実際の速記録では「其大體ニ於キマシテハ4 4 4 4 4 4 4 4 4 4既成法 典トひどう違ツテ居ル所ハ御座イマセヌ」に続けて、「ガ先ズ第一ニ4 4 4 4 4 4」と説 明されているからである。したがって、この部分を文言の通りに素直に読め ば、以降、「先ツ第一ニ……」、「第二項ノ書方ニ付キマシテハ……」、と挙げ られている部分は、まさに既成法典と異なっている点を説明しているという ことになる。

 要するに、穂積委員の発言の趣旨は、原案418条は、その大体においては 旧民法の代位訴権の規定とひどく違ってはいないものの、一部において債権 者代位権の内容を旧民法から大きく変更した点がある、というものであった ということになる。

 それでは、穂積委員が説明している点が、実際に、旧民法と内容が大きく 違っているか否かを確かめてみよう。

 まず、穂積委員が旧民法から大きく変更した点の一つ目として挙げている のは、債権者代位権の制度趣旨を「自己ノ債権ヲ保護スル為メ」と規定した 点である。穂積委員の説明によれば、起草委員は代位訴権に関するフランス の議論の錯綜を認識しており、旧民法が目的規定を設置しなかったことを問 題であると考えていた。したがって、代位訴権について制度趣旨を定めて明 文で指示することにした、というのである。また、同じく起草委員であった 梅謙次郎は、リヨン大学に留学していた時から既に、代位訴権の制度趣旨に ついてボワソナードとは異なる見解に立っていた。また、新民法典の成立後 に著された『帝国民法正解』や梅謙次郎の著書における説明も、ボワソナー ドが旧民法において採用していた強制執行説とは全く異なるものであった。

このように、「先ツ第一ニ」の部分は、旧民法との変更点の一つ目を説明し ているものに外ならない。

(14)

 次に、穂積委員が大きな変更点の二つ目として挙げているのは、同条

2

項 の規律である。同項は、裁判上の代位を原則として不要とし、被保全債権の 履行期が未到来の場合に例外的にこれを要求することとしたうえで、保存行 為の場合にはこのような制限も取り払った。強制執行説に依拠して立法され た旧民法においては、裁判上の代位が間接の訴えの必須の要件とされていた のであるから、同項は、まさにこの規律を大きく変更したものに外ならな い。

 以上により、穂積委員は、新民法の債権者代位権はその大体については旧 民法の代位訴権と同様のものであると述べた上で、その一部については旧民 法と大きく違っている部分があるということを、具体的に説明していたとい える(26)。従来の研究においては、この穂積委員の説明の趣旨が誤って理解され てしまったため、起草委員が描いていた債権者代位権制度の姿を把握するこ とができていなかったということになる。

6  明治新民法423条に対する当時のフランスにおける評価

 上記のように、明治新民法の起草者は、代位訴権に関してフランスで生じ てしまった「種々ノ議論」を認識し、債権者代位権の制度趣旨や行使方法に ついて、意識的に変革を試みていたことが明らかとなった。

 それでは、逆に、同法423条の規定において採用された日本の債権者代位 権制度について、当時のフランスの学説はどのように評価していたのであろ うか。

 この点については、ベリエ(Bellier)によって1901年に著された代位訴権 に関する論文が、公布されてからまだ間もなかった日本民法423条を紹介し ている(27)。ベリエは、この論文の最終章の論題に比較法を選択した。代位訴権 の規定を置かなかった国も含めて、イギリス、オランダ、ドイツ、ロシア、

チリ、ルイジアナ、ポルトガル、イタリア、スペイン、ボリビア、カナダに おける代位訴権事情に言及した(28)後、最後にベリエが取り上げたのは、日本民 法であった。

(15)

 同論文は、日本民法典の起草者は、代位訴権に関するフランスの議論を日 本に持ち越さないように規律を明文化することを望んだと分析している(29)。そ して、履行期の到来の有無と裁判上の代位の要否とを組み合わせた上で、保 存行為をその例外とするという、日本民法に特有の構造を紹介したベリエ は、次のような言葉によって、同論文の本論を締めくくっている。

「日本民法典の起草者は、このような立法により、フランス民法典第

1166条の適用に関しフランスで生じていた複数の難題を回避した。そ

の上、他国の概念に着想を得て、それを模写することが可能であるの ならば、それを改良し、自分達のものとすることも同じく可能である ということを、証明したのである。」(30)

 このように、当時のフランスにおいても、日本の明治新民法の起草者が、

フランスにおける「種々ノ議論」を回避しようとしていた意図が伝わってい る。しかも、この規定は、フランス民法典の単なる模写ではなく、フランス における代位訴権の概念を改良し、これを日本の制度として昇華させたとし て、高い評価を受けているのである。

 以上で示してきた通り、日本の債権者代位権制度は、決して先行研究が分 析するようにフランス民法典や旧民法の代位訴権を再現しようとして失敗し たものではなく、むしろ、フランスで生じていた「種々ノ議論」を認識して いた起草委員が、フランス民法典や旧民法の欠点を補い、これらを改良し、

日本の制度として昇華させたものだったのである。

第六章 結び

 以上の研究により、日本の債権者代位権制度の立法趣旨について、次のよ うに結論付けることができる。

 まず、債権者代位権の沿革は、現在の通説がいうような「責任財産の保 全」のための制度ではなかった。フランス民法典における代位訴権は、債務 者の無体財産に対する強制執行そのものとして規定されたものであり、フラ

(16)

ンス民法典の起草者が第2092条及び第2093条とは別に第1166条を規定した目 的は、合意の相対的効力によっても債権者の強制執行が妨げられるものでは ないことを示すためであった。

 もっとも、フランス民法典施行後しばらくの間は、フランスにおいては、

代位訴権は上記のような制度としては理解されていなかった。すなわち、信 義則説及び総合的制度説という代位訴権に広範な機能を認める説が展開され ていたのである。他方で、19世紀中頃には、起草者と同じく、代位訴権を強 制執行そのものとして理解する見解が支持を集めるようになっていた。しか しながら、この説も絶対的な通説としての地位を獲得することはできなかっ た。保存行為説、自己の債権の保存又は回収説、訴権説、執行の準備説、自 己の個別的利益保護説など、多様な見解が次々と主張され、19世紀における フランスの議論は錯綜していた。

 そのような中、フランスから来日したボワソナードは、フランス民法の代 位訴権について強制執行説を支持しており、旧民法を起草する際にも、強制 執行説に基づいて代位訴権を規定した。これに対しては、当時の日本の学説 においても、多様な反応が見られた。新民法の起草者梅謙次郎は、リヨン大 学留学時からフランス民法の代位訴権について汎用主義を支持しており、旧 民法の代位訴権についても汎用主義に基づく解釈を展開していた。

 新民法典の編纂は、こうした状況を背景にして開始された。起草委員は、

代位訴権について上記のような「種々ノ議論」が生じていることを認識した うえで、新民法典においては、債権者代位権を「自己ノ債権ヲ保全スル為 メ」の制度とすることを決定し、これを明文で示した。

 起草者は、日本の債権者代位権制度について、汎用主義を採用した。そこ では、債務者の財産を保存することによって間接的に自己の債権を保全する ための用法も、債務者の権利を行使することにより債権者の個別債権を直接 に保全するための用法も、「自己ノ債権ヲ保全スル為メ」の用法として認め られていた。

 現在の通説が主張するような被保全債権の種類や債務者の無資力は、要件

(17)

とされていなかった。起草者が要件としていたのは、①債務者が権利を行使 しないことによって、②債権者の個別債権に危険が生じていること、であ る。以上のように、明治新民法423条の立法趣旨が明らかになった。

 それでは、このような趣旨で規定された423条について、現在の通説が主 張されるようになったのは、いかなる経緯によるものだったのであろうか。

明治新民法の成立以降、債権者代位権に関する日本の学説がどのように展開 されてきたかという点を研究することが必要である。

 また、明治新民法423条に関する判例は、被保全債権が金銭以外の債権で ある場合や債務者が無資力でない場合にも債権者代位権の行使を認めてきた のであり、通説はこれを債権者代位権の転用であると理解してきた。しかし ながら、同条の立法趣旨からすれば、判例が上記の用法を認めていたこと は、制度の転用ではなかったということになる。それでは、債権法改正前の 規律の下で蓄積されてきた判例は、どのように整理することができるのであ ろうか。本論文の研究結果を踏まえ、従来の判例を改めて検討することが必 要である。

 更には、現在の一般的な見解によれば、債権法改正後の債権者代位権の規 定に関しても、債権法改正前423条に関する従来の通説が前提としていた類 型に基づく要件論が維持されるものとされている。しかしながら、改正前

423条の立法趣旨からすれば、従来の通説が主張するような類型論を維持す

ることが正当かどうか疑問である。したがって、改正後423条から423条の

7

までの規定によって規律されている新たな債権者代位権制度について、要件 論を含め、どのような解釈論を展開していくべきかという点を検討しなけれ ばならない。

 このように、債権者代位権制度にはこれまで当然の前提とされてきた事項 についても未解明の点が数多く残されている。こうした点は今後の研究によ って明らかにしていくこととなる。明治新民法の起草者は債務者の権利の不 行使によって債権者の個別債権に生じた危険を除去するための制度として債 権者代位権を規定したという視点が、今後の債権者代位権に関する研究の一

(18)

助となることを期して、本論文を結ぶこととする。

(1) これに対し、現在の通説は、債権者代位権と詐害行為取消権について、

いずれも債務者の責任財産の保全のための制度であると主張して一体的に論 じており、そのため、いずれの権利についても、債権者の債権が金銭債権で あることと債務者の無資力とが要件となるとしている(ただし、現在の通説 においても、厳密には、無資力要件の意味する状況はそれぞれの権利で異な っている)。

(2) 〔穂積陳重発言〕日本近代立法資料叢書3『法典調査会 民法議事速記 録 三』(商事法務研究会、1984年)129頁。

(3) 〔富井政章発言〕・法典調査会速記録・前掲注(2)・130─131頁。

(4) 〔高木豐三発言〕・法典調査会速記録・前掲注(2)・131頁。高木委員 は、詐害行為取消権というのは「先ツ破産トカ何トカ云フ場合」─すなわ ち、総債権者を侵害する詐害行為の場合─の規律であり、このような場合 に取消債権者のみが利益を受けることになるのは妥当ではないとした上で、

他方で高木委員としては、特定物債権に関して特定の債権者を侵害するよう な行為も詐害行為として認められるべきではないかと考えており、原案421 条の規定は、後者の詐害行為の場合とは整合的でないことから、これを削除 すべきであるという見解を述べている(〔高木発言〕・前掲注(2)・131頁)。

実際、明治時代においてはこのような見解も主張されていたが、本論文の論 題とは異なるため、ここでその見解を検討することはしない。

(5) 穂積陳重─富井政章─梅謙次郎校閲・松波仁一郎─仁保亀松─仁井田益太郎

『帝国民法正解 第五巻 債権』(信山社、復刻版、1997年)187頁─189頁。

(6) 帝国民法正解・前掲注(5)・192頁。

(7) 梅謙次郎講述『民法原理(債権総則)』(信山社、復刻版、1992年⦅原 版:明治35年完結⦆)352頁─353頁、梅謙次郎講述『民法債権(第一章)完』

(信山社、復刻版、1996年⦅法政大学明治39年講義録⦆)250頁。梅謙次郎

『民法要義 巻之三 債権編』(有斐閣、復刻版、1984年、原版:大正元年)

78頁─79頁も同旨。

(8) 梅謙次郎講述『民法講義』(信山社、復刻版、1993年⦅原版大正13年⦆) 364頁。

(9) 梅・民法講義・前掲注(8)・364頁。

(10) 梅・民法講義・前掲注(8)・364頁。

(11) なお、梅委員が債務者の財産の管理行為をも債権者代位権の用法として

(19)

肯定していることについても、注意を向けておくのが望ましい。というの も、管理行為については、旧民法においては、債務者の「権能」であるとし て代位訴権の客体から除外されていたからである。しかしながら、新民法典 の明文においては、一身専属権については引き続き代位訴権の客体から除外 されているのに対し、「権能」については除外されていない。以上を要する に、債権者代位権によって債務者の「権能」を行使することが認められる場 合もあり得ると考えていた起草委員が、それと反する規律を採用していた旧 民法の文言を改めたということになる。

(12) 梅・債権第一章・前掲注(7)・250頁。

(13) 梅謙次郎「判批」『最近判例批評』(新青出版、復刻版、1995年⦅原版:

明治42年⦆)89頁〔113頁〕。

(14) 実際、後述するように、梅委員は、債権者が債務者に対して委任事務履 行債権を有しており、債務者も第三債務者に対して委任事務履行請求権を有 しているものの、債権者が第三債務者に対して直接の権利を有していない場 合には、債権者は明治新民法423条に基づき債務者の委任事務履行請求権を 行使することができると考えていたようである。

(15) 帝国民法正解・前掲注(5)・192頁。

(16) 帝国民法正解・前掲注(5)・192頁。

(17) 旧民法の規定を確認してきた読者の方々においては、債務者の委任事項 履行請求権を債権者が代位行使することを認めるべき「極メテ稀ナル場合」

について、心当たりがあることであろう。その場合とは、旧民法財産取得編 236条2項が代位訴権の一種として規定していた場合である。すなわち、債 権者が債務者に対して委任契約に基づく履行請求権を有しており、債務者が 第三者との間で復代理契約を締結したものの、それが当該委任契約上許され ていないものであり、かつ、原委任者がこれを追認しなかったため、原委任 者と復代理人との間に直接の権利関係が存在していない、という状況であ る。旧民法財産取得編236条2項は、このように極めて例外的な場合を想定 して、原委任者が代位訴権によって債務者の復代理人に対する管理訴権を行 使することを認めていた。

 したがって、梅委員が、債務者が委任事務履行請求権を行使しないことに よって債権者の個別債権に危険が生ずる「極メテ稀ナル場合」として念頭に 置いていたのは、この事例であったと考えられよう。何故ならば、この場合 に原委任者に債権者代位権の行使を認めれば、原委任者の被保全債権である 委任事務履行請求権が直接に保全される関係にあるからである。

(20)

(18) 梅・民法原理・前掲注(7)・354頁─355頁・梅・債権第一章・前掲注

(7)・251頁。

(19) 帝国民法正解・前掲注(5)・191頁。

(20) 帝国民法正解・前掲注(5)・192頁。

(21) 富井政章─本野一郎=訳『仏訳 日本帝国民法典(第1編〜第3編・第 4編〜第5編)』(信山社、復刻版、1997年)104頁。

(22) 実際、第四章で確認した梅によるフランス民法や旧民法の解釈において は、被保全債権から独立した債権者の個別的な利益さえも保護対象としてい たのに対し、第五章で検討した梅による明治新民法の各解説においては、こ のような用法の記述が消失している。

(23) 法典調査会速記録・前掲注(2)・速記録・100頁。

(24) 平井一雄「債権者代位権」星野英一編集代表『民法講座 第4巻 債権 総論』(有斐閣、1985年)111頁、工藤祐厳「フランス法における債権者代位 権の機能と構造(三・完)」民商・96巻2号(1987年)70頁─72頁、池田辰夫

「民法四二三条(債権者代位権)及び民事訴訟法二〇一条二項(訴訟担当と 判決効拡張)の制定過程」『債権者代位訴訟の構造』(信山社、1995年)54 頁─57頁、佐藤岩昭「債権者代位権に関する基礎的考察」『包括的担保法の諸 問題』(有斐閣、2017年、初出:2007年)75頁。

(25) 池田辰夫・前掲注(24)・54─57頁、工藤・前掲注(24)・70頁─72頁、佐 藤・前掲注(24)・74─76頁。

(26) 実際、梅謙次郎は、債権者がフランスの理論において債務者の包括承継 人として位置付けられており、日本の旧民法の規定がこれを継承していたこ とを認識した上で、新民法典では債権者を債務者の包括承継人とはせず第三 者として扱うことにしたとしている(梅・民法原理・前掲注(7)347頁・

368頁─369頁)。

(27) Maurice Bellier, Commentaire de l article 1166 du Code civil, Paris, 1901, p.149─p.150.

(28) Bellier, supra. note, (27), p.141─p.150.

(29) Bellier, supra. note, (27), p.149.

(30) Bellier, supra. note, (27), p.150.

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