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エネルギー概念の学習過程
永 田 英 治
1.はじめに
エネルギー保存則は,物理学における未だかって破れたことのない基本的な 保存則の一つである.同時に,ニコートリノ等の新粒子の発見を促したように,
自然科学の指導原理としての役割も果してきた.また,この保存則を内包した エネルギー概念は,力学的現象と熱的現象の同一性を論じるように,一見なん の関連性もないような諸現象を統一的に把える上で欠かせないものである.
従って,もし子供がエネルギー概念を自己の中で,形成し獲得することがで きれば,それは,未知の現象に接した時に,その現象を過去の経験と照らし合わ せたり,新しい下位概念を構成したり,自然をより統一的に把握していく上で,
有力な手だての一つとなるであろう.今日,エネルギー概念を形成し獲得する 意義は,さらに増大している.「エネルギー一危機」などのもつ意味を科学的に把
え,有効な科学的処理に貢献し得る能力を身につける必要性が増大しているか
らである.
現行の学校教育においては,「物質とエネルギー」を理科の内容の大きな柱と している1)。ところが,それにもかかわらず,エネルギー概念の学習は子供にと って効果のある学習とはなっていないことが数々報告されている.例えば1977 年7月に告示された中学校学習指導要領においても,「理科の学習を抽象度の高 い,難解な親しみのないものにした一つの原因をなし」2)たとの理由で,1年次 から導入していたエネルギー概念を, 3年次から導入することを決めた.しか
し「難解」さの原因を明らかにすることなく,ただ削除したり繰り上げをして も,指導が改善されるという保障はない.
筆者は研究の当初,難解さの原因がまず仕事を学び,仕事によって熱を把え,
エネルギーを全て仕事に還元していく学習法にあると考えた3). しかし,研究 が進むにつれて,子供がすでにエネルギーについて,マンガや日常用語を通し て身につけていることや,日常経験の中でつかんだことを跳び越して,仕事と いう物理量を使わせようとしていたことに問題があると考えざるを得なくなっ たのである.物理量は,本来操作的な概念ではあるが,操作以前4)の学習過程 の究明が,あまりにも成されていないのである.
そこで,操作以前の学習過程を記述することが基礎研究として必要となり,
次の節にみるように,発問(評価テスト)を中心とするエネルギーの学習案を 作成し,パイロット授業を通して修正していったのである.この結果記述され た学習過程を要約すると,次のようになる.つまり,日常生活での経験や用語 を整理していくと,エネルギーの3つの機能(function)一エネルギー資源を 利用して,物を動かしたり,物の温度を上げたり,電気を起したりすることが できる一に着目できる.子供はこの機能を,ばく然とした形で,つまりイメ ージやルール5)としてつかんでおり,これを学習を通して洗練改良(re丘ne)し ながら,操作的な概念にまで到達することができるというものである.
子供によって定性的な機能として整理され把握された先行経験が,どのよう に操作的な概念へと発展していったのかという事実の記述は,学習プランの改 善の基礎研究となる.さらに第三者に伝達可能な形でまとめるという作業は,
同時に,授業評価の方法についての事例研究という側面ももっているであろう.
2. エネルギー授業の現状と問題点及び当論文の主題と方法 2−1.) 現状と問題点
エネルギー授業の現状を,共同作業を含めて調査研究した結果は,次のよう にまとめることができる.
A.) 現行の指導法は,明治以来本質的には変更のなかった指導法であり,
教育研究の結果確立したものではない.その指導法とは,「エネルギーは仕事 をする能力である」とまとめることを授業の目標の一つとし,それを生徒に獲 得させるために,仕事の量は「作用させたカ×物体が移動した距離」で表わさ
131
れることを実験操作やグラフの操作などによってつかむ,操作的な学習が導入 であるとする方法である.少なくとも教科書の記述の変遷にみる限り,上の指 導法以外の方法はほとんどみることができない6).
B.) また,この指導法は,物理学における概念構成上,エネルギーtを仕事 をする能力とまとめる必然性は必ずしもないことを見落としている.エネルギ ーをミクPに(分子運動として)定義する場合は別として7),熱力学第一法則に
よれば,内部エネルギーの増減を表わす量(移動量)として,仕事も熱量も等 価である.むしろ,同第二法則によると,熱量を100%仕事に変えることはで きないのであるから,エネルギーをいつもマクロな意味での仕事に還元して議 論することはできないことになる.
C.)仕事の操作的な学習を導入とすることは,わかりやすさという点でも 積極性を持たない.導入の時点では,物理的に不確かな概念ではあっても,そ れが子どもにとって,先行経験と対応しやすいものであり,後の学習指導によ って洗練されていくのであれば,否定されるものではない.ところが,次の例 のように,仕事に相当する子どもの持っているイメ・一一・ジはエネルギーを学んだ
ことになっている中学2年や3年になっても修正されていない.同じ重さの物 を等距離持ち上げる際に,そのままロープを手で引くか滑車を使うかによって 仕事量は異なるとする生徒は減らない8).98%もの生徒が,仕事量を「疲れる度 合」で判断しており,このイメージが洗練されていないわけである.
D.) しかも,今日の子どものエネルギーについてのイメージは,熱力学の 成立期における関心事,つまり蒸気機闘からどれだけの仕事が得られるかとい
うこととは異なり,仕事以外の機能についてのイメージも含んでいる.例えば
「エネルギーを知らない人にわかりやすく説明しなさい」という問に対する反 応9)も,エネルギー一の単元をすませた生徒と,まだその単元を学習していない 生徒との間で差がなく,共通に持っているイメージも今日的なものがある.つま
り「力・動力・体力」など力の概念との未分化なイメージと,「力などのもと」
というものとがほぼ%ずつを占めているだけではなく,「(燃料)資源」に注目す る反応も%を占める.一番目と二番目の反応は,概念の未分化.一科学の歴 史の中でもこれを克服することが重要であったが一によるものであり,三番
目の反応は,今日の子どもが抱く特徴的なイメージである.この最後のイメー ジは,ある時は動力源であり,ある時は熱源,またある時は電気の源でもある という,エネルギーの機能の多様さに目をむけているものである.さらには,
原子的なものであったり,化学的なものであったり,力学的なイメージに集中 していないこともその特徴の一つである.この時の発問を「どんな物にエネル ギーがあると考えられるか10)」と変更すると「(燃料)資源」などをあげる生徒 が大半を占めるようになる.
こうした現状をみると,子どもの持っている,「(燃料)資源」に関連したイ メージをむしろ積極的に引き出し,これを洗練改良していく学習過程があり得 ると予想することは決して,不自然だというわけではないだろう.
2−2.) 当論文における主題と方法
学習過程を記述するにあたってとくに必要なことは,エネルギーについて「生 徒の理解の現状と,当人にとってわかっていることとわかっていないこととの 接点でどのように対処しようとしているのかを知るための現状の評価11)」であ
ろう.さらに生徒自身が新しい課題にとりくむことによって,エネルギーにつ いてのイメージやルールを洗練改良していく過程を探り出し記述しなければな
らない.これをee−一の主題とする.
従って,パイロヅト授業では,次の形態をとることが望ましいと考えられる.
生徒が発問 授業者にとっては,生徒の先行経験を引き出し評価するための 発問で,生徒にとっては,これからとりくむ課題をよみとる発問12)一に解答 することから,授業が始まる.生徒の経験をそろえたり,どうしても新しい経 験をつけ加えたりする必要がある場合には,発問の中に実験やデモソストレー ショソを含むことがある,こうして生徒が発問にとりくむことによって,生徒 自身が持っているイメージやルールを整理した後,全体の討論の中でこれらを 修正していく.発問の次に用意された実験や,次の発問に,この修正したイメ ージやルールを生徒自ら適用することによって,その妥当性を確認したり,さ らに修正を行ったりする.授業者はこれらの過程を,発問に対する反応結果と
して,討論の経過として記録する.
上の形態で行ったパイロット授業の結果から,生徒が発問の意図をくみとる
133
ことができなかったり,その発問によっては先行経験(その前の発問での学習 を含む)を引き出すことができなかった発問を修正する.こうして修正改善さ れた発問のシリーズは,生徒のたどった学習過程を反映するものとなる.また,
イメージやル・・…ルがどのような先行経験から生ずるのか,ある生徒の提出した イメージやルールが他の生徒にどれだけ説得力を持つのかは,評価テストの反 応の多少だけからは判断できないことが多い.この時は討論の記録が有力なデ ータとなる.当論文で述べる学習過程は以上の作業によって得られたものであ
る.
パイロット授業の学習プランは,発問とその順序によって示される.授業者 は,発問の解答につながる発言を原則として行わないことが,先の主題から要 請されるからである.また,こうすることによって,授業の再現性をある程度 保障することになる.ところが,発問が不充分な時や,生徒の討論を組織する ためにやむを得ず,教師の助言が必要となることがある.この助言が妥当なも のであったかどうかは,授業記録から判定しておかなければならない.前者の 場合には,発問の変更が要求される.
ということは,逆に,パイロット授業を通して得られた発問の改善点は,学 習プラソの改善の方向を示すものとし得る.当論文では,先に述べた学習過程 考察の視点は学習プラソーつまり発問とその順序一をつくる前提としたの であるが,この妥当性と改善すべき方向を提出する.これがもう一つの主題で
ある.
表 1 パイロット授業データ記載要項
(1)第一回パイロット授業13)
授業者:永田英治 期間: 76.12〜 77.3(計45分×15)
対象:黒田中学1年(180名)
(注) 解答者数は表中%で表示
(2) 第二回パイロツト授業
授業者:永田英治,期間: 77.9〜 77.11(計45分×14)
対 象:上野高校(定)3年(20名)
(注)表中6/8などの数字は〔解答者数/授業への出席者数〕を意味する
・授業記録中,Se. Ya.,…等は生徒名の頭文字で公式に発言したことを意味し,
C.は複数の生徒による発言を表わす.
・当拙論で扱うデ・一・・タは第二回パイロット授業によるものが多い.比較などの必 要に応じて第一回のデータを使うが,その時は表中にそのことを記す.
・文中,実線の囲みは評価テスト,破線の囲みは授業記録である.
3.評価テストと授業結果の検討
3−1.) (燃料)資源との関連からエネルギーの機能を導びく 問0.どんなものからエネルギ・一がとり出せるか.
日常用語としてのエネルギーの使用例は「エネルギー危機」等である.この 意味は「(燃料)資源不足」であり,エネルギーはほぼ(燃料)資源と同意語と
して使われている.問0の生徒の反応もこれを反映している(表2).
・燃えるもの・燃料をあげた者 6/8名
・「放熱」するものをあげている者 6/8名
・「水力」「火力」「水圧」………・………・・…2/8名
・「生命体」「人間」「植物」・………・・2/8名
・その他「マグマ」「地震」「動いている玉,また は車」
表2問0の反応結果
また,「水力」「火力」な どをあげる生徒も多く,
エネルギッシュ」という 用語法からの連想と,力 の概念との未分化もみら
れる.
問1.石油からエネルギーをとり出すことができる理由を上げよ.……
ができるから,という形で答えよ.
資源との関連からエネルギーの機能に着目させようととした問題である.表 3のように,「燃やして……」とか「燃えて……」という解答が多い.これはエ ネルギt・一一を使う前には,エネルギー一をとり出す方法や,とりだせる状態が問題
となるので当然の反応ではあるが,ここに関心が集中すると,エネルギーの機 能というよりも,「石油を燃やして得られる機能」と理解されてしまう.もちろ ん,この間に対する解答としては,まちがいではないが,石油以外の燃料資源 を使っても,同様な機能をとり出すことができることがきちんと確認されなけ
ればいけない.
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「燃えて熱を出す」「石油を燃やす→火力」
「温度をあげる」「燃えて熱またはカロリーをうる」
「爆発力→動かす」
「熱を出すことによって仕事ができる」
物を動かす
4/8
4/8
「燃える」 2/8
「衣類などにできる」 1/8
表3 問1の反応結果
iIizu.燃えて,……熱がでるから. i
iT.熱が出るっていっても,色々な意味があるけど? i
iIiZU・温度を上げる. i
i ……中略…… i
i Ku. ストーブ, i
i T. ストーブで? i
lKu. あ,温度を上げる,か,でも,先生,何か器具を使わないととり出せない i l んだよね. i
iTa. あたりまえじゃん,動かす,だってそうだ. i
iT・ 石油をほっておいてもダメだな.何か操作をしてやった結果どういうこと i l ができるかって考えた方がいいな. i
i ……略…… i
lAra.他の物(石油以外のエネルギー資源)だって同じことができるでしょ…… i
i 以下略…… i
石油の例で考えると,「ビニール」,「合成せんい」などの石油製品に「できる」 という解答がでやすい.これも,記録中最後のAra.の意見をクラス全体のもの にすることができれば明確に解消したはずだったが,言葉の使いわけで,終って しまった.Ara.の意見が反映されるような発問に変更されねばならない14). iSe・ 合成紙とかせんい. i
iT。.あれは,石油を変えるんだよ,エネ,レギーじゃない. i
l T. じゃあ,これは消すのか? i lC. 消す,石油を何々にするんで,璽洞か をできるっていうのとは違う i 以上の議論をもとに,エネルギーの機能を3つにまとめる.教師が,生徒の
提出した意見を3つに分けて,まとめたが,不自然さはなかったようである.
iT. エネルギーをとり出して使うと l l 1.他の物体の温度を上げる i
; 2.他の物体を移動させる i
: 3.電気を起こす l i ことができる.(エネルギーの機能) i
3−2.)他の物体の温度を上げればエネルギーを使った
T.
CTTC
ガスを燃やせばエネルギーが取り出せる.これ(このエネルギー)でナッ トを赤熱して,このビーカーの水に入れると?
図1
(水温は80°Cになった.)
問2.ガスを燃やして得られたエネルギーはどこへ行ったか.
先の機能の一つの,逆命 題を使う問題である.表4 にみるように,水の温度が 上がるということは,「エネ ルギーが使われ,」エネルギ ーが移動したことだ,との 予想は自然であるようだ.
一人だけ,「エネルギーの
「水にとられた」「水の温度を上げた」
など水の温度上昇に着目した者
「ナット・空気,ナットを赤くさせた」
「ガスを燃やして生じたエネルギーはそ のまま,ボルトが熱せられたのはエネル ギーのカによる。ナットが熱くなるのも
同じ」
無答
4/8
1/8
1/8
2/8
表4問2の反応結果
力」を想定しているが,次の間3の討論で,彼がいおうとしている意味がわかる.
問3.赤く熱せられたことによって,ナットは熱せられる前よりもたく さんエネルギーを持った15)といってよいか.
この間は,ttナットから水へ エネルギーが移動したことをとらえさせようと
137
解 答 理 由
言えるとした者 5/6名
言えない 1/6名
熱せられたナットの方が 2/5名
より水の温度をあげる 無記入 3/5名
「ガスの火力のエネルギーの力がナットの温度を上げナ ットのエネルギーの力が水の温度を上げたから」
表5問3の反応決果
したものである.表5で理由をかかなかった生徒は,バーナーで一度熱したこ とに着目したと述べている.理由を述べている者は,一歩進んで,他の物体の 温度をどれだけ上げられるかという違いに注目している.機能の大小で,エネ
ルギーの大小を比較してもよいと考えているわけである.前者も討論の中で後 者の意見を受け入れている.
ところが,機能が生じた時に,必ずしも,エネルギーが移動したと考えなく ても,論理的には不都合がない.Se.の「エネルギーの力」という考えはこれ
を暗示している.
Se. 先生,エネルギーっていうのは移動するって考えていいの?
T. 移動しないって考えた方がいいのはどうしてだ? : Se. だって,エネルギーっていうのはなくならないんでしょ.だから移動しな い.(すると)ナットの持っているエネルギーは(熱せられる前と)変らな
い.
Is. だったらなんで温度が上がんだよ.
Se. それは,エネルギーの力があってその力で温度があがる……,あ,でも移 ってもなくなるわけじゃないのか!.そしたらいいです.
………中略………
T. よりたくさんのエネルギーをとり出して使うとより温度を上げることがで きるから(熱した方が)よりエネルギーが多いって考えてもいいことになる
Se.の考えは,持っているエネルギーの量と移動した量を区別しようとした ことから生じているようである.こう考えると,移動する,新たな量 ここ では「エネルギーの力」一を考え出さなければならず,エネルギー一は移動す ると考えた方が自然である.生徒の反応や討論の推移からも,このことがいえ る.しかし,Se.の考えは,これまでの事実だけでは必ずしも否定しきれるも のではなく,エネルギーの移動を感覚的に印象づけられるようないくつかの実
験をここで入れることも考えなければいけない.
3−3.) エネルギーを取り出す方法
問4.4°Cの水からエネルギー一を取り出すにはどんな方法があるか?
問5.20°Cのアルコールからエネルギーを取り出すにはどんな方法が あるか?
第一回のパイロヅト授業では,次の間6にあたる発問が,生徒にとっては,
必ずしも熱接触の問題として受けとめられなかった.多様な,エネルギーのと り出し方に議論の焦点が移ってしまった16).そこで,tt色々なとり出し方がある のだが,これからは熱接触に注目していこう と議論の方向を与えるつもりで この2つの問を入れたのだが,表6のように,生徒は,この発問を課題として,
とらえきれていないことがわかる.従って,問4,5は削除し,問6そのもの
を改善しなければならない.
熱 接 触
温度を上げる
冷 や す
気化熱(冷やす)
わ か ら な い
3/7
4/7
1/7
3/7
熱 接 触
温度を上げる
冷 や す
気化熱(冷やす)
わ か ら な い
2/7
2/7
2/7
5/7
問4の反応結果 問5の反応結果
表6
3−4.)温度平衡とエネルギーの移動 A.)温度平衡
問6.4°Cの水は,他の物体に接触させるだけで物体の温度を上げるこ とができるか.
先の問の結果から,この間は,「4°Cの水にはエネルギーがあるといえるか」
というものからこの間に変更した.どういう時に,熱接触におけるエネルギー 移動が起こるかを問題にしたつもりである.この間でも生徒はまだ答えづらい
139 ようで,用紙記入の前に次のやりとりがあった.
iTa・ 他の物体って何? 何でもいいの? i iKu. 温度は何度でもいいの? i iT・ 接触させただけでは,温度を上げられないものがあるか?(Ta,に対する i i 応答) i iTa. みんなダメじゃないの? i Ku・の質問は,発問の意図をとらえかけている., Ta・の質聞は,「相手が固 体であれば無理という意味合いを持っており,この発問は,接触させる物質を 具体的に提示しながら行う必要があると同時に,エネルギーの移動が起こらな
い熱接触がどういう場合なのかをつかむステップが必要であるようだ.
上のやり方があったおかげで表7のように全員「できる」となった.これを
できる6/6 4°C以下の水(物)とことわったもの 2/6
できない・
表7.問6の反応結果
確認する実験(図2)の際に,温度に
温度(℃)
粘土 着目した生徒は,「(水とアルコールの 糖甥温度は)だんだん近づいていくんだ」
と発言した.彼は,温度(熱)平衡の 概念(あるいはイメージ)をすでに持
図2 問6の実験(発間解答後)
らている可能性がある.次はそれを直 接聞く発問である.
問7.図のように熱した銅球を水の中に入れし ばらくすると,それぞれの温度はどう変化して いるか(おおざっぱなグラフで).
90℃銅球 10℃水(300g)
図3
固体を液体に完全につけるような当発問では,次の発問のように固体同士の 接触あるいは固体と気体との接触などとは違って,両者の温度が等しくなる
(近づいていく)という予想は,容易である(表8).レディネス調査のため議
論は省いた.
両物体の温度が等しくなるとした者
接近していくとした老
4/6
2/6
表8.問7の反応結果
問8.次の各片を長い間,実験室においておいた.各温度は何度くらい か?(触わってから予想してもよい). アルミニウム,鉛,木,発 泡スチロール
「アルミ片などの温度を予想しなさい.室温は()°C」
(室温を与え,各片を触ってから記入)
1アル・1鉛 木iチ。瑠
室温以下 69
10°C以上低い 44 12 13 室温以下
10°Cまで 28 50 38 19 室温以下
5°Cまで 3 6 47 13
室 温 0 0 0 17
室温以上
5°Cまで 0 0 0 35
室温以上
10°Cまで 0 0 0 3
(計180名 単位%)
表9.問8の中学生の反応
発泡スチロ・一一ルを一番高い温度とし左へ
行くほど温度が低い (全て室温以下) 3/7
全て室温に同じ 2/7
触っただけでは予想できない 1/7
無 答 1/7
表10.問8の高校生の反応結果
いというのは温度を表わしているわけではない(伝導率の大小)」という意味の 解答ではない.「(固体は)表面の温度と中の温度は違う」からだめだと述べて 中学一年生の解答結果 は表9のとおりであり,
高校生も表10のように似 かよった反応となってい る.当発問前に問6のよ うな実験をやってもやら なくても,この反応傾向 にはほとんど差がみられ ない.つまり,子どもは 温度平衡を特別な現象か ら「帰納」して覚えてい ても,触わってみると冷 たく感じるものや暖かく感 じるものがあると,このル ールを使えないのである.
表10で,「触わっただけでは 予想できない」と答えた者 は,「触わって冷たい,暖か
141 いる.これも,固体の表面と中とが温度平衡になっていることがわかっていない わけで,全ての片が同じ温度である結果を知れば,打ち消されるルールである.
TC
゜°°a
TCCT
TCTC
はい温度を測って(測定法は図4).
アルミ19度,鉛21度,木19度,ハッボスチロール21度 粘土
(°C)
ということは? 懲鰭
リルで穴をあけ 皆んな同じ一?あれ一.
交互に違うよ.
測る前から,1.2度位違ってたよ(測定前に測度計を 舗自蕩鎧く(麓管讐 で見える程度で良い)
空気中にならべておいて,温度計によって1〜2°Cの
図4 問8の実験ずれがあることを確認しておいた.)
………中略……一
みんなのいうようにほぼ同じと考えていいな.各片が接触しているのは?
空気.
すると,長い間接触させておくと……?
同じ温度になる!
次は,温度平衡の定着度をみる問である.
問9.(1)図のように一10°C 4ぴcの水 のアルコールと40°C
アルミカン の水とを接触させてお 一1ぴcアル,_,レ
②外容器の上ぶたをは
図5 ずしておくと,水,ア
ルコールの温度は何度になるか(室温20°C).
40°
忌 一 ≡…_三「=
v:一二じ =7=
秩∴鼈黶=Q■=
ア
■二_2_ニ ー 3
(1)と(2)との誤答者は同一で (1)
はない.表11のように,温度 平衡は,だいたいおさえられ ている.身のまわりにある物 質は,その物質固有の温度が
烈・/8
・1レ/8
一ll・
(2)
(°C)
水 20
7.5 ア
20
4.5
7/8
1/8
問9(1)の反応
結果 表11.
問9(2)の反応結果
ある,例えばアルコールは触わってひんやりするから低温である,という考え を抱いている生徒は多い.このイメージが問8,9(討論の後に実験をした)
の経験で消去される.固体同士の熱接触をポストテストに出したところ,正答 者は12/13名で,当発問の授業に出席していた者は全員正答であった.
IiZU.
(T.
T.
C.
T.
C.
Ku二 Ta.
T.
C.
((2)の予想は)水7.5°ででアルコール4.5°C ちょっとつまって黙っている)
(1)の場合接しているのは?
水とアルコール
今度は((2)の問題では)?
水,アルコール,空気
室の空気の温度は下がらないのかなあ
多いからあまり変わらないで室温と同じになる,
問8の結果から考えると?
室温と同じ!
3−4.) B)エネルギーは温度平衡を達成するように移動する
問10.1の層には90°Cの水,3〜4の層に は10°Cの水を入れた.1と4の層の水 の温度変化は?
手製針金かくはん棒
土
10℃水
図6
アルt板
奎驚慕゜
問11.(1)同量の90°Cの水と10°Cの水とでは,どちらが持っているエネ ルギーが多いか? (2)接触させると温度が変わる.その変わった分 のエネルギーはどこへ行ったか?
問の10.温度平衡についてはほぼ全員が正答である.問の11は,この温度変 化の原因は,高温物体から低温物体へのエネルギーの移動であることを議論さ せようとねらった.当授業では,表12にみるように,解答した者の多くが正 答である.中学生では,この問に対し,「冷たい水は冷やすことができるから,
(冷たい)エネルギーを持っている17)」と解答するものが多い.冷たい水も,
143
iはじめての 今までの 授業参加者 授業参加者 正答1・/・ 8/9
誤答 1/1 1/9
問10の反応結果
(1)
90°Cと答えた者
一部が10°Cの水へ 蒸発した
無 答
7/10
1/10
2/10
100%
問11(1)の反応結果 表12.
問11−(2)の反応結果
電気冷蔵庫等でエネルギーを使わなければ,つくれないのであるから,子ども が璽怜 とtt熱 の同等性18)を議論するのは当然のことでもある.ところが問
8で触わって,冷たい暖いということは,その物質の温度を表わしていないこと をつかみ,問6のように,4°Cと温度の低い水でもさらに温度の低い物を暖める ことができることを強く確認すると,璽暖かさ とは相対的なものであることが 理解されたことになり,冷たいエネルギーというイメージの解消が行なわれる.
逆に,暖かさ冷たさは相対的なものであることがつかめたかどうかを,冷た いエネルギーのイメージが解消できたかどうかで評価することが可能であると 結論づけられる.ポストテストによる,第一回と今回の授業結果の相異は表13
のとおりである.
問室温5°Cの部屋に次のものをおい た.A, Bの場合エネルギーの移動 は何から何へ起るか(第一回パイロ ット授業一中学では選択になって
いる).
A 90°銅球(第一回パイロット授業 では80°C水)
B 冷凍庫で作った一5°Cの氷
問
A
B
答 銅から空気 空気から銅 空気から氷 氷から空気
第一回 パイロット クラス
81%
19%
63%
23%
今回のク ラ ス
95%
O%
80%
8%
11計・8・名i計15名
表13 璽温度平衡とエネルギーの移動 のポストテスト第1回パイロット クラスと今回のパイロットクラスとの結果の比較
授業では次のことを確認して先へ進んだ.
i 高温の物体と低温の物体を接触させておくと(外界との問にエネルギーの出入 i りがない時は)エネルギーは高温の物体から低温の物体へ移動し,両者の温度は i等しくなる.
; (このように,温度の等しくなることを温度平衡という.)
3−5.)移動したエネルギーの量を熱量で表わす.A.)タイルを使った予想 iT. 移動したエネルギーが多いと(また相手の物質の量に変化がない時は),上 がる温度はさらに高くなるのか,そうじゃないのか?
:C. もっと高くなる,熱くなる.
iT.するとエネルギーが瀕した蘇温度が上がっ質量
た時 どれくらい水の温度が上がったかで移動し
i た量を比べられると考えてもいい.(板書)移動 19 1CaL したエネルギーは,物体の温度を何度高めたかと
いう量で表わせる. 温度変化 単位:水19を1°C上げるのに必要なエネルギー 1℃
を1cal.と決める.(図) 図7エネルギ幽図
1cal.の定義を,図7のように与えておいて,(1)では,熱量(必要なエネル ギー)は相手の物質の質量に比例すること,(2)では,高める温度に比例するこ
とを,タイル(単位面積)を数えさせて予想させる.
問12.(1)水3gを1°C上げるためには[コcal.のエネルギーが必要で
ある.
(2)水5gを4°C上げるためには[コcal.のエネルギーが必要で ある. (エネルギー図を書いて説明せよ)
表14にみるように,
説明である.
全員に近い生徒が比例性を予想している.以下は生徒の
3cal・ P・・/1・腱書製撫19/1・
鰭巨/・・i/1/
2・・ai・ 1 i・/1・1隠ネノレギ渓17/・・
無答1・/・・ll/1/
問12(1)の反応結果 問12(2)の反応結果
表14.
145 i ((1)の問で) :
l I l : l L__________二___」 :
1 図8 1
i((2)の問で) r隔「…−m 一一ri
i纏騰毒1雛つ つて 全部で2°i馴lii
ヒ L_____________ _J コ ロ
l I 図9 1
すでに,(2)の問で,幾人かの生徒は2変数の積となることに気付いていた.
これを確認するのが次の間である.
問13.(1)200gの水にエネルギーが移動して75°C温度が上がった.移動 したエネルギーは[:コcaL
(2)mgの水にエネルギーが移動して,水の温度はat°C上がった.
移動したエネルギーは[コcal.
表15にみるように,全員が 2変数の積を予想した.中学 生においてもタイルによる予 想は容易で,問12の数値計算 で180名中91%,文字式で74
%が正答となっている.ここで
は,
ど,
し,同時に積算が成りたつのは,
とを確認することである,
(1)
正 答
無 答
10/11
1/11
(2)
正 答
無 答
11/11
0
表15.問13の反応結果
タイル操作により湯をつくる時に熱源が一定であれば,水の量が多いほ あるいは高める温度が高いほど,時間がかかる等という先行経験を引きだ 各変数が熱量に比例しているからだというこ
ところが,議論の先に図7のタイルを与えてしまうことは,すでに変数の比
例性を与えてしまったことになりかねない.だからといって即タイルを与える ことがだめだ19°)というわけではなく,子どもがタイル操作でエネルギーを表 わせる妥当性を自らつかんだ上で,与えなければならないということである.
従って,当授業の進展では,水熱量計による変数の比例性の実験はこの間の後 であったが,順序をれいかえなければいけない.
3−5.) B.)水熱量計で予想を確かめる
ここは授業の経過を簡単に述べるに留める.ビーカーに入れた水を電気ヒー ターで熱し,温度変化を記録する.この時電気ヒーターは毎単位時間に供給す るエネルギーは一定であると仮定しておく.すると,2倍,3倍の温度上昇を 得るには,2倍.3倍の時間を要し,供給したエネルギーは2倍,3倍であっ
たということが確認される.(図10)
時 間(分)
供給したエネルギー
1分 E
2分
2E
電気ヒーター
上昇温度(℃) 62 124(100V・300W)
〔実験結果〕
3分
3E
192 4分
4E
261
水500g
図10 水熱量計の実験
次に,実験方法は同じであるが,水の量を2倍にしたものと3倍にしたもの を用意する.ヒーターは,同じ規格(つまり単位時間に供給するエネルギーが 同じもの)のものを使う.この3者の水を同じ温度だけ上げるのに必要な時間 は水の量に比例することを確認する.
3−6.)熱接触における熱量の保存と比熱の導入.
高温の物質から低温の物質へとエネルギーが移動しても,移動したエネルギ ーは,増えたり減ったりすることはないことをつかんでいく過程である.エネ ルギー保存則は,エネルギーの変換を終えてから,というのが伝統的なカリキ ェラムである.ところが変換は,エネルギーが移動しても保存されるはずだと 考えて初めて考えられるものであり,エネルギーという概念自体の中に保存量
であることを内包しているので,こうした指導法はおかしい.むしろ,保存量
147 であることに着目しながらエネルギーという概念を意味づけていくべきであろ
う.
熱接触におけるエネルギーの移動は,エネルギーの形態を変えないで,容易 に保存に気付くことができる.これを授業からみる.
問14.(1)500920°Cの水に100990°Cの水を接触(混合)させた.容 器の外と内とでエネルギーの出入りがない時.500920°Cの水に入 ったエネルギーと100990°Cから出たエネルギーとの間にはどん
な関係があるか.
ア.これだけの事実では何とも言えない.
イ.20°Cの水が得たエネルギー<90°Cの水が失ったエネルギー ウ.20°Cの水が得たエネルギー>90°Cの水が
[繭一『齋7蝿δ1
カ.その他 i 鋸板 i
L______________コ
(図11) 図11
問の前に,高温の水から低温の水へとエネルギーが移動し,エネルギーを高 温水は減少させ,低温の水は得ることを,生徒全員が一致して考えていること を確認した.すると,エと解答すれば,熱接触において移動したエネルギーは 保存されると考えたことになる.
しかし,生徒の反応
(表16)はこれを認め ていない.「ウかエ」と 答えた生徒は,授業の
中で,「水が同じ量だっ
正 答 工
1/9
イ
2/9
ウ
2/9
無 答
3/9
ウ か エ
1/9
表16.問14(1)の反応結果
たら絶対同じなんだよな」と発言し,他の生徒もこれに同意した.解答が,イ とウとにわかれたのは,水の量の違いに着目するか温度差に着目するかの違い であったことが討論で判明する.
iSe. 水の量が等しい時は,エでいいでしょう.ところが水の量が違うと90度の i
} 方が温度が(20°Cの方が上がるより)たくさん下がるから90度が失う方が i i 多い.でウになる. i iYa. いや,水の量が多いと温度を上げるのに必要なエネルギーはたくさんいる i i はずだから移ってきたエネルギ・・一・・は多いはずだ.とすると,イにならないと i
i おかしいでしょ. − i iSe. あれ,そうするとエでいいのかな? i iC. ウだ!ウだ! i
l l
他の生徒も両者の意見ともにおかしいところがないと述べた.さらに,意見 を聞いた後,ウと判断する生徒が増えたが,Ya.のいう,水の量が2倍になる と,2倍のエネルギーを供給する熱源を使いわけるということは,日常あまり 経験しないからであろう.
2変数に依存することを,子どもみずから獲得する前に,タイルを与えてし まい,十分にとらえきれなかったという問題がここにも現われたわけである.
T. それじゃ,両方の考え方(Se.とYa.の主張)をしなければいけないって ことか?
C. (沈黙)
T. エネルギーの量をどうやって決めたか考えてみろ!
Ya. 計算するんですか?
T. すぐ計算にまでいかなくても…….
Ya. あ,水の量と温度(変化)をかけるんだから,一…同じなのかな?
C. 同じか一.エだ.
T. 失ったエネルギーは(いくらだ)?
C. 100×(90−32)I
T. 得た方は?
C・5°°×(34−2°)で… P−一一一一…嘉…−r−…一 IT…t …tH−t … 一一「
C. だいたい同じ : i i(90°C):失ったエネルギ・− l T・ 温度変化だけが違うとl i
i 100×(90−32)=5800ca1. 1
考えると結果は違うな. } i l(20°C):得たエネルギー l C. (うなつく) 1 1
i 500×(32−20)=6000cal. i T・ 水の量の違う分だけ違L−____一一_一___一.一一_一一_一一.一一_一__一_一一一一.一.!
うと考えても,これも違うな.
149
この結果から,移動したエネルギーは,増えたり減ったりしないと結論づけ るのは容易であった.
次は,水以外の異なる物質を接触させる.すると比熱が小さい物質ほど温度 差が大きく,いかにもエネルギーのやりとりが大きくみえる.ここでも保存が 成り立つと考えると,熱量の表現のしかたを修正しなければいけなくなる.
問14.(2)500920°Cの水に100990°Cの銅を入れた.しばらくすると
水の温度は(*)°Cになった.(1)と比べると違う結果になっている.
なぜ違う結果になったのか. (*には測定値を入れる.当授業では 22°C)
この発問の前に,実験を行ない,生徒に両者が落ちつく温度を予想させた(表
水と同じ
1
水の場合より少し下がる 5
わからない 3 表17.水一銅の平衡温度の予想
17).生徒の予想は,水同士
の時(問14の(1))と同じか,
「片一方が固体なのでエネル ギーが混ざりにくい」から,
平衡温度が少し下がるというものが大半を占めている.実験結果は,予想とは 違い,22°Cになり,水同士の場合よりもはるかに低い。「目盛が違ってんじゃな
いかという生徒がでるほど意外であったようだ.
この間の解答では,エネルギーを質量と温度差の積で求めると,銅の失った エネルギーの方が水が得たものよりもはるかに多いということになってしまう 奇妙さに気付かせたかった.しかし,授業では,奇妙さに気付いてはいても(表 18),議論が熱量表現の修正にまで,なかなか進めない.銅の体積が水とは違う
イ
体積が違うから
3/10
口 熱伝導率が違う
ttナ体は混らない 3/10(箆垂覆)
ノ、
性質
t物質が違うから 2/1・(1名垂覆)
工
わからない無答
4/10
表18.問14(2)の反応結果
ことによるのだろうという意見が出て,これは本質的な違いではないとおさえ るのがむつかしいからである.
T. じゃあどれくらい体積が違うかっていうと…… i
C.・スシリンダーに水を入れて,それ(銅球)をつければいい. i
T.で測定してみると水1・・9は…。m・だったけど,約、1。m・で、/9倍ti, i s・.そしたら,体積が小さい方が(水を)あたためにくいと考えると,比例すi るとして一、水の場合の・/9の温度力・上がれば1.3・位…….あれ. 1
T.これだけじゃあってると違ってるともわカ、らないな_移動したエネルギi
一はどう表わされたかっていうと. i
C.重さかける温度(差)! i T.郷失ったエネ,レギーは? i Y。.・・0かける(9。_21.7) i
S。.2。・Cの水がもらったのは5。。×1.7で85。 i
C. K−. :
T, じゃ銅の方は? ;
C.6830カ。リー i
T.今までやったこと確かなことを前撫、この結果を考えると i
Se. 水に移ったエネルギーが850になることはまちがいないから,銅が失った i エネルギーは,みんな(全部は)水の方へ行かなかったことになる. i
Isi.
T.
Isi.
Ya.
Se.
Ta.
8分の1くらい.
残りは(どうなった)?
銅の場合は水のように混ざり合わないから逃げちゃう.
でも,そんなに逃げるはがない…….
だから蒸気になったのとか…….
プラスチック(発泡スチロールのこと)の容器だし,そうしたら前の水の やつだって…….
記録中・傍点をうったSe・の発言のように水が得たエネルギーの計算は前間 と同じで確かなはずである.すると,この場合の移動したエネルギーは水同士 のそれよりもはるかに小さかったという事実を確認できるし,授業の経過もそ
うなった・すると・銅の失った熱量が,この場合の量よりも小さくなるように 表現を変えれば,エネルギ・一が保存量であることを放棄する必要がない.とこ
ろが,生徒にとっては,こう結論するには,より所とする事実が足りない.q熟 せられやすくさめやすい物質がある 事実を,先につかまなければならないの
である.
151 ここは,この間の前に事実をつかむステップを入れる必要があり,当授業で は,1よりも小さな定数をかけておこうと,教師が提案して終わらざるを得な
かった.
3−7.)比熱を考慮して移動したエネルギーを(熱量で)表わす
ここでは比熱の物理的意味をつかみ,熱量計算ができるようになることを獲 得目標にし進んだ.当節では大きな主題と直接かかわらないので授業の経過を 述べるにとどめる.
まず,先の銅の場合,0.1という定数をかけておくとエネルギーは保存量で あるという要請がみたされる.この定数をCとして比熱と呼べば次のことが言 える.「1gの物質の温度を1°C上げるのに必要なエネルギーtは比熱と一致す る」.これを,教師が述べ,次のまとめを演習として生徒に解答させる.
問15.(1)1cal.のエネルギーを加えて上がった温度がt°Cの時,その物 質の比熱は,[コcal./g°C である.水の場合比熱は[コcal./g°C である.
(2)比熱がCであるmgの物質にエネルギーが移動した結果,温度が 4t°C上がると,移動したエネルギーはE:コcal.である.
(1)の結果は,比熱の物理的意味が十分にとらえられていないことを示す.(2)
はデータ不備である. 次の問題は,高温物質の質量をモル比にとってある.す
比 熱 水の比熱
・/tt鰭1i・1鰭
3/gl4/gl4/94/912/913/9
表19.問15(1)の反応結果 に適した教材である.
ると移動するエネルギーは全て等し い.従って質量がそれぞれ,全く違う にもかかわらず,落ちつく温度が皆等
しいという意外な事実に注目せざるを 得ず,比熱概念の必要性を強調するの
問16.100°Cに熱したアルミ(250g).パラフィソ(714g),銅(556g),
石油(100g)をそれぞれ400910°Cの水につけておいたら,各水の 温度は20°Cになった.水に移動したエネルギーと比熱をそれぞれ
について求めよ20).
この間の結果は表20のとおり 決して満足すべきものではない が,ここでの演習効果は次のポ ストテストの結果のように,大
きい.
移動した一ネルギー1比 熱 全問正答lg/・1
・問正答12/・1
全問正答14/1・
3/4正答ll/1・
2/4正割1/1・
・問正答13/・・
無 劉2/1・
表20.問16の反応結果 ポストテスト
・ 比熱がCでmgの物質の温度をt°C上げるのに必要なエネルギーは
〔正答10/11〕cal.である.
・ エネルギーの出入りのない容器の中で銅と鉛を接触させしばらくお いた.しばらくすると銅の温度は30°Cに落ちついた.鉛の比熱はい
くらか.(但し銅の比熱は0.09)〔正答5/11〕
3−8.)使われたエネルギーの量を仕事で表わす一仕事の変数は,時間か距 離か,重さか力か
エネルギーのもう一つの機能,つまりエネルギーを取り出して使うと物体を 移動することができるということに着目して,エネルギー概念を洗練・改良し
ていく.
iT。 クレーソというのは,エソジソで石油のエネルギーを取り出して使ってい i
; るわけで,問17では,物体を移動するのに使ったエネルギーはどちらが多い i i かというのを,経験的に予想してもらうわけだ. i
問17.(1)1kgの荷物を10m持
ア ち上げるの(ア)と,1kgを5
m持ち上げるの(イ)とではど一「−
10m ちらが・エネルギーをたく⊥一
さん必要とするか.(図12,
(ア)(イ))
(2)1kgの荷物を5m持ち
イ ウ ェ
図12