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ドキュメント内 エネルギー概念の学習過程 (ページ 32-41)

問24.同質量の静止していた物体が,5N・2m,5N・4mの仕事をされた.

 (1)物体に移動したエネルギーはどちらが多いか.物体の速さはどち   らが大か.

 (2)2N・5m,5N。2mではどうか

問25.問23,24の物体に移動したエネルギー一を,物体の速さの変化で表   わしたい.式を完成せよ.

  F・S−(m・□)×(1・・口・)

  ・一{より・F・S−lm・口J

まとめ 質量mの物体2つのうち,一方が他方よりもhだけ高い位置に

 ある時,高い位置にある物体は他方の物体よりもmghだけ多くの,

高さの(位置)エネルギーを持っている.

  静止している物体が,仕事をされた結果運動すると,物体は運動エ ネルギーを得たという.増した速さがvの時,得たエネルギーは1/2m v2で表わされる.

実験 図のように,高さがh,

 2h,3hにある3つの玉を斜  面から転がすと,D点を通過  する時の玉の速さの比はどう  なるか.予想してから実験せ

 よ. (図20)

陽剛−

一 

「 「 「

下上盛f」

図20

問26.振り子がそれぞれの位置(図21)にある時,位置エネルギーと運  動エネルギーはいくらか.

161

,」、

B 図21

__.最高の

 振れ

位置エネルギー

運動エネルギー

A

B

C

 未実施の評価テストでは,t エネルギーはなくならない と考えると,新しい 量,ここでは運動エネルギーを考えざるを得ないように配列してある.なお,

エネルギーをとり出して使うと電気を起すことができるという機能についての 評価テストは省略した.

4.当評価テストを使ったパイロット授業から得られた一般的結論 4−1.)生徒がつかんだエネルギー像と生徒がたどった学習過程

 問19が終った時点で,「授業を通して,エネルギー一をどのような量と思ったか」

という感想を書かせた.整理すると次のようになる.

 「温度を上下させるエネルギーと物質を移動させるエネルギー一・〔と〕は,単 位は違っても量としては同じものだと思った」と移動量としての,熱量や仕事

の等価性に言及する者が5/13と一番多い.学習の当初,エネルギーの3つの機 能が,エネルギー資源から共通に引き出せることをつかんだこと,また仕事の 量を熱量で確認したことなどから,こうした感想が強く残ったのであろう,

 「石油,……高い所にある水などにあって,他の物体の温度を上げて,移動 させて電気を起こす」などと,燃料資源とその機能とに触れた者は4/13名.こ れもエネルギーの機能という整理が燃料資源というイメージから導びきやすい ことと,とらえやすいことを表わし,物理量としてエネルギーをとらえなおす 上で役立ったことを示している.

 また,エネルギーが移動した時(「物体の温度を上げた時とか移動させた時」)

に,移動したエネルギーを熱量や仕事量(「カロリーやジュール」)で表わすこ

とができることに触れた者は4/13名であった.機能の大小で移動したエネルギ ーの大小をくらべ,この機能の大小をさらに,熱量や仕事量という実験操作を 前提とする量に修正していくことに,さほどの困難さがなかったことを示して

いる.

 エネルギーが移動した結果,物体の持っているエネルギーは増減することに ついて述べた者は,2/13名.当パイロット授業では,移動したエネルギーを中 心に学習するものとなっているが,移動したエネルギーを手がかりにして,状 態量がどういうものかをつかんでいくことが可能であることを表わしている23).

 無記入は1名で,授業者の意図は,これらの感想と各発問の反応とをかね合 わせて判断すると,個々の発問を改善する必要は残っているが,基本的には達 成されたとみてよいであろう.そこで,生徒の先行経験や学習を引き出し整理 させ得た評価テストをつなぎ,要約すると,表26のようになる.(表中0の番号 で表わした,エネルギーという概念を考える必然は,当授業の中では,機能を 用語から整理する議論の中に入っている.

 この表26の結果自体が,生徒のとり得る学習過程の一事例として,主題に答 えるものとなる.つまり,燃料資源に対するイメージを引き出し整理すること によってエネルギt・一…の機能に着目し,これを操作的エネルギー概念にまで洗練

・改良する学習過程が存在し得るということである.また,3節での検討に述 べた各発問の改善点を実施することによって,上の学習過程を再現し得る一一つ の学習プラソを提示することができるということである.

4−2.) エネルギー概念の学習プランを改善するための視点

 主題の第二である学習プラソを改善するために必要な視点は次の2つにまと めることができる.

 その一つは,学習プラソを改善していく上では,子どもの先行経験や生活か らどのような,操作的な過程以前の学習がとり得るのかを判定していく作業が 大事であるということである,筆者が当初かかげた.「仕事と熱量とではどちが 先に導入されるべきか」といった課題設定は,本質的な問題ではないことがわ かった.なぜなら,熱量と仕事は物理的に等価であるというだけではなく,表 23の生徒がたどった学習過程では,熱量の学習の前に仕事を学習しなければな

163 表26.当授業に現われた,エネルギー・の学習過程

     (実線以高が前操作的過程)

       0.)エネルギー概念を考える必然性 1.資源との関連でエネルギーの機能を導びく 2.)機能の一つである「エネルギーをと

 り出して使うと他の物体の温度を上げ  ることができる」ことに着目する.

3.)機能の逆命題を現象にあてはめる.

 「物体の温度が上がればエネルギーが  使われた.」

4.)異温度の2物体の接触によるお互い  の温度変化一→何か(エネルギー)が  移動した.

5.)3.)と4.)から,移動した何かとは  エネルギーである.

6.)他の物体の温度を上げる機能の大・

 小と移動したエネルギーの大・小との  間には相関がある.

7.)水熱量計による,6.)の予想の妥当  性を確認,熱量の定量化

2.)機能の一つである「エネルギーを  とり出して使うと他の物体を移動さ  せることができる」ことに着目する.

3.)機能の逆命題を現象にあてはめる.

 「仕事をされるとエネルギーが使わ

 れた」.

4.)エンジンが石油を消費したことと  クレーンによって仕事がされたとい  う2つの現象の変化の関係一→エネ  ルギt−一が移動した(荷物は,高さの  エネルギーを得た).

5.)仕事をする機能の大・小と移動す  るエネルギーの大・小との問には相  関がある.

6.)仕事をされて得たtC高さのエネル  ギー が全て水銀の温度上げた(ジ  ュ・・一ルの実験).一→5.)の予想の妥  当性の確認と熱量の介在によって仕  事量を定量化.

らなかったり,仕事の学習の前に熱量を学習しなければならないという必要は 生じないからである.ということは,逆に従来のプラソのように,仕事を先に 教えなければいけないという結果も出ないことを意味する.あえて,どちらか に優劣をつけようとすれば,次の視点でも触れるエネルギーは保存量であるこ とに,子ども自身が容易に気付くことができるという点で,熱量を先に学習し た方が良いかも知れないということである.仕事に使ったエネルギーがどこへ 行ったかという問題は,力学的エネルギーの変換を前提にしないと保存量であ ることが,とらえられない(エネルギーの形態が変化してしまう)からである.

しかし,熱量での2物体の接触の際に,一方の物体の失うエネルギーが他方の

物体が得たエネルギーに等しいことを認めるのは,経験上無理がなく,実験に よっても容易に検証できる.もちろん,この優劣の差も,仕事に使われたエネ ルギーが形が変わっても保存されるんだというルールが,子供の中で容易に形 成される学習プラソを作成することができれば,解消してしまうわけである.

その意味でも,プラソの優劣をつけることではなく,子どものとりうる操作以 前の学習が,さらに究明されることが望まれるのである.

 その二つは,エネルギーは移動した先で増えたり減ったりしないという保存 のルールを子どもが学習の早い時期に獲得することの有効性である.伝統的な

プランでは,仕事の学習の後で「エネルギーの変換」を学び,その上で力学的 エネルギー保存の法則を扱う.さらに,本格的に保存を扱うのは,仕事率(ジ ューtル定数)を求め仕事と熱量の等価性を扱った後,最後のまとめとして行う.

ところが,当授業では,水同士の熱接触において,移動したエネルギーは増え も減りもしないことをつかみ,次には相手が水ではなくて物質が変わっても,

移動したエネルギーがどこかへ消えてしまうことはないだろうと予測する,こ のルールの妥当性は,比熱という新しい概念を導入することによって確認され る.移動した先でエネルギーが増えも減りもしないというルールは,荷物を持 ち上げる仕事にも適用され,位置エネルギーという概念を考え出す.さらに,

この位置エネルギーを持った物が落下をすれば,そのエネルギーはなくなるが,

どこかへ移動するか形を変えて存在するはずだということになる.こうして運 動エネルギ…一一という概念が登場する.つまり,保存のルールを使うことによっ て,子どもみずからが無理なく新しいエネルギーの下位概念をつくりだすこと

ができるのである.

 当授業における,この学習過程は,エネルギー概念は,そもそも保存則をそ の中に内包しているという物理学の論理構成をも反映している.従って,逆に,

子どもが,保存のルールを獲得し,エネルギーの下位概念をつくり出し得た時 に,エネルギー概念を獲得したと評価することはかなりの妥当性を持っている といえよう.この評価基準(到達目標)は,今後エネルギーの学習プランを改 善していく上で有力な基準と成り得るであろう.

ドキュメント内 エネルギー概念の学習過程 (ページ 32-41)

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