第
v
章 自然科学による分析第V章 自然科学による分析
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4 金属 製 品・ ガ ラス関連遺 物 の分析調査
東一坊大路西側溝 か ら出上 した金属器、ガラス増禍 について、
X線
透過撮影お よびX tt CT
による構造調査 と蛍光X線
分析法 による材質の調査 な どを実施 したので、その結果 を報告す る。A 分析資料 と観察
出土 した金属器 は保存状態が きわめて良好 で、 その表面 は黒色 の数100 μ
mの
ご く薄いさび で覆われてい る程度 で、腐蝕が進んでいる状態ではなかった。 内部 は黒色 さびで保護 された状 態で、還元状態で埋蔵 されていた ことが推定 された。ガラス対塙 は増捐 内部 に緑色 ガラスの薄い層が全面 に残存 してお り、風化変質 によ り黒色 に 変質 した部分が多 く、 また一部で は虹彩(銀化)や白色 に粉状 を呈す る部分 もみ られ る。
ガラス小玉 を製作 す るための鋳型 と思われ る破片 も数点発見 されてお り、その中の
1点
は孔 部分 に固 く焼 けた原料物質か、 もし くは風化物質が充填 されていた。 その表面 は軟 らかい黒色 物質で薄 く覆 われてい るが内部 は白色や淡茶色物質であった。B 調査 の結果
XttC Tに
鈴2点
と鏡1点
はX tt CTに
よる調査 をお こな った(Ph.82)。 鈴 は上 半 部 と下 半 部 を個 別 による製作法
の
検
討
製 作 した の ち上 下 をか しめてつ くって い る様 子 が観 察 され た。 また、鈴 の鉦部 分 は予 め鈴 の頂 部 に孔 をあけて鉦 を差 し込 んで接合 している様子が撮影 されてい る。
鏡 は鏡本体 と鉦 は個々 に
Tab.20
錆部分定量分析結果(wt.%) :検
出限界 (0.1%)未満 作 られ てお り、鉦 部 分 を接No.遺
物名
Mn Fe Cu As Pb Ag Sn Sb
合 して しある こ とは明 らか ヽ
0
ウ
罐ラケ表金昼 0と
1 :i4 ;│:: :::
あ る。接合材料 につい て は
5
館尾表金具01 0.294.4 3.3
今後検 討 す る必 要 が あ る。
7
素 文 小 鏡0.1 0291.7 4.0 8
素 文 小 鏡‑ 0.394.029
材質調査 は非破壊法お よ
10
嬰塔 1 6 73.8 1.0 び一部の資料 について は金
11
嬰12 13
鈴
丸
3.2941 2.6
Tab.21
金属部分定量分析結果(wt.%)
:検 出限界(0.1%)未満No.遺
物名
Mn Fe Cu As Pb Ag Sn Sb
属部分 の測 定 をお こな った (Tab 20、21)。今 回 の資 料 は さび層が きわ めて薄 いた め 分析値 が大 き く変 動 す る こ とはなか った。鈴 は銅 を主 成 分 とす る銅 製 品 で不 純物 は少 な く、容 易 にか しめ る こ とは理解 され る。素文鏡 は肉眼的 には同 じ材質 と推 定 され たが 、異 な った材 質 の もので あ る こ とが明 らか
156
玲
‑ 2.071.2 1.1
鈴
0.1 0.197.318
鈴
‑ 0199.7 ‑
1
欽具
0.1 0.194.22.9 2
巡 方表金具0.1 0.1 94.2 3.2
5
銘尾表金具‑ 0.1 94.3 2.7 7
素 文 小 鏡0.1 0.187.84.2 8
素 文 小 鏡‑ 0.191.95.0
10
薯路
11
殴塔
21 0.1 04 0.1 1.7 0.2 0.3 01 1.4 0.2 09 03 6.5 0.2 08 03 1,9 0.2 0.3 05
2.9 ‑ 12.2 ‑ 1 8 0.1 16.3 0.1
‑ 0.2 ‑
―‑ 0.1 ‑
―‑ 0.3 83.9 0.6
‑ 0.3 80.6 0,7
‑ 0.2 98.7 0.9 0 1 0.1 99.7 ‑
12 13
鈴 鈴
6AHG・ No 170
(lH蝸内ガラス)
× :今 回の試料
207Pb/206Pb 208Pb/206Pb 206Pb/204Pb 0 8477 2 0919
■ :奈 良時代の鉛 ガラス、緑柚
・ ユ
'′
′
第
V章
自然科学 に よる分析2 08
0 835 0 84 0 845 0 85 0 855 207Pb/206Pb
Fig.41
増 塙 に残 存 す るガ ラ ス の鉛 同位 体 比となった。
No.73は
銅一鉛―ひ素 を主成分 とす るのに対 して、No.124は
銅一ひ素が主成分 で あ り、鉛 はやや少 ない結果 となった。 しか し、 この2つ
の鏡 はひ素の含有量が多い とい う特徴 がある。嬰洛 は3点
あ り、 この うち2点
(No.71,53)は 、銅―錫 を主成分 とし、鉛 を若干含有す る青鋼製品である。他 の1点
(No.47)は 、銅 を主成分 とし鉛 お よびひ素が数%含
有す るもので、前
2者
とは材質が まった く異 なる。金具 の2点
(No.54,74)は 、いずれ も同材質で作 られてお り、銅 を主成分 とし鉛、ひ素が数
%含
有す る。以上、今 回の資料 について大 きく材質 をまとめる と、銅一錫 を主成分 とす るタイプ、銅 を主成分 とし不純物が少ないタイプ、銅 を主成分 とし鉛、 ひ 素が数
%含
有す るタイプになる。奈良時代 の銅製品 には錫の少 ない ものは鉛やひ素が含有 して お り、和 同銭 にもこのようなタイプの ものが多 く知 られている1ち今 回発見 された姑鍋 には緑色ガラスが付着残存 してお り、 それ らを分析 した結果、高鉛含有 のPbO―
Si02系
のガラスであ り、銅イオ ンによって緑色 に着色 されていた。 また、高周波カロ熱 分離一鉛 同位体比法 領1定 :斎藤努氏)によってガラスの測定 をお こなった結果、日本産鉛鉱石 を 原料 としていた ことが明 らかにな り、 それは「奈良時代の鉛」の領域 にプロッ トされた。 また、姑塙 に残存す る黒色物質 は
X線
回析分析 の結果、Pb5(P04)3CとヽPbS、 PbC03ヽSi02が
同定 さ れた。Si02は
資料採取の際、増禍か ら混入 した もので、PbC03は
鉛ガラスの風化 によって生 じ た白色 の物質である(Fig.41)。 なお、鋳型 に残存す る物質か らも同様 な物質が検 出されたが、鉛 ガラス原料 か風化物かの判定 はで きなか った。つ ま り、 この鋳型で鉛ガラスの小玉が製作 され たのか は不明である。奈良時代 の鉛ガラスの小玉 は溶融 したガラスを巻 き付 ける方法で作 られることが知 られてお り、鋳型で製造 されたか は今後詳細 な調査が必要 となる。
1)町
田章「日本出土青銅器の材質分析 による編年研究」『昭和63年度科学研究成果報告書』1988
pp.37‑93
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分 材 査
獅 ﹄
蛍
螂
析 質
銅 同位体 比 法 に よる原 料
産
地
157
● : PbC08 X : Si02 0 : Pb5(P04)3CI V : PbS
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← 乱
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