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口頭 発 表 場 面 に お け る ス ピ ー チ不 安 につ い て

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口頭 発 表 場 面 に お け る ス ピ ー チ不 安 につ い て

岡 部 悦 子

キ ー ワー ド

ロ頭 発 表 場 面 ス ピーチ 不 安 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン不 安 状 況 不安 第 二 言 語不 安

1.は じめ に

留 学 生 が 日本 で 学 業 を 続 け て い くた め に は 様 々 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 が 必 要 で あ る が,特 に 「話 す 能 力 」 の 中 で 養 成 す べ き能 力 と して,下 瀬 川(1994:151)は,(1)学 術 習 得 の た め に 必 要 な 口 頭 発 表 力,(2)学 内 外 で 必 要 な 交 渉 の 場 で の 対 応 説 得 技 術 の 習 得,と い う2種 類 を あ げ て い る 。 一 方,「 話 す 能 力 」 の 教 育 が 重 視 さ れ る の に 伴 い,音 声 面 に 関 す る 学 習 活 動 と学 習 者 の 心 理 状 態 と の 関 係 に注 目 が 集 ま っ て い る 。 第 二 言 語 の 学 習 や 使 用,習 得 に 特 定 的 に 関 わ る 不 安 や 心 配 と,そ れ に よ っ て 引 き起 こ さ れ る 緊 張 や 焦 り は,「 第 二 言 語 不 安 」 と呼 ば れ て い る が(元 田2000b:34),口 頭 発 表 は学 習 活 動 の 中 で も不 安 の 大 き い も の で あ る と 考 え ら れ て い る 。

「大 勢 の 人 の 前 で 話 す と き は 緊 張 す る 」 「あ が っ て し ま う」 と い う よ う な 心 理 状 態 は,「 ス ピ ー チ 不 安1)(SpeechAnxiety)」 と よ ば れ,心 理 学 や コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 学 に お い て は 「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 不 安2)(Communi

1)聴 衆 の面 前 で 話 を す る 時 に感 じる不 安 の こ と。 高 橋 編(1999)「 音 声 言 語 指 導 大事 典 』p.341‑342

2)実 際 の,あ るい は 想像 上 の対 人 コ ミュ ニ ケ ー シ ョン に関連 した恐 怖 あ る い は 一125一

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cationApprehension)」 の 一 分 野 と して,1970年 代 か ら様 々 な研 究 が 行 わ れて きた。 ス ピ ーチ 不安 は第 二 言 語 を使 用 す る場 面 の ほか,母 語 を使 用 す る場 面 で も多 くの 人 々 が体 験 す る コ ミュ ニ ケ ー シ ョン不安 の1つ で あ る と 考 え られ てい る。

学 習 者 の 心 理 状 態 を考 慮 す れ ば,口 頭 発 表 に関 す る学 習 は勉 強 を続 け る 上 で必 要 性 の 高 い もの で あ るが,心 理 的 に は大 変 負担 の大 きい もの とい え る。 そ のた め 学 習 の効 果 を高 め る た め に は,学 習 者 の心 理 状 態 に配慮 した 指導 が 求 め られ る と思 われ る。 ま た心 理 的負 担 が 大 きい 中で,い か に言 語 表現 を コ ン トロー ル してい くか とい う観 点 か ら,口 頭 発 表 能 力 の育 成 の た め に は言語 面 と情 意 面 の 統 合 的 な研 究 が 必 要 で は な いか と思 わ れ る 。 岡部 (2000)で は,日 本 語 学 習 者 の 口頭 発 表 場 面 の言 語 表 現 に対 す る 日本 語 母 語 話 者 の違 和 感 の調 査 を行 っ たが,そ の 際 に は 日本 語 学 習 者 の情 意 面 につ いて 十 分 な考 察 が で きなか っ た。 そ の 反 省 を踏 まえ,本 研 究 で は将 来 的 に 日本 語教 育 へ 応 用 す る こ とを念 頭 にお き,口 頭 発 表 場 面 にお け るス ピ ーチ 不 安 につ い て,日 本 語 母語 話 者 の 感 じる不 安 と 日本 語 学 習者 の感 じる不 安 を,ア ンケ ー ト調 査 を通 じて比 較 す る こ とで,そ の性 質 の差 につ い て考 察 を試 み る。 ま た,同 時 に 口頭 発 表 に対 す る学 習 観,口 頭 発 表 場 面 で 用 い ら れ る言 語 表 現 に対 す る 意識 な ど,口 頭 発 表 の学 習 に関連 す る周 辺 の 意 識 に つ い て も調 査 を行 い,ス ピーチ不 安 を考 察 す る際 の参 考 とす る。

2.先 行 研 究 と本研 究 の位 置付 け

ス ピ ーチ不 安 に関す る研 究 を概 観 す る と,母 語教育(国 語教育)の 一環 と して母 語 話 者 を対 象 に した研 究 と,外 国語(第 二言 語)教 育 の 一環 と し て学 習 者 を対 象 に した研 究 の大 き く2つ の 流 れ が あ る。

ス ピー チ 不 安 の研 究 は,1970年 にMcCroskeyに よ り,母 語 で の 口頭 発 表 場 面 の教 育 に応 用 す る こ とを 目的 に,コ ミ ュニ ケ ー シ ョン不安 の一 分 野

不 安 の レ ベ ル 。 〈McCroskey(1984);近 藤 ・ヤ ン(1996)>

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と し て 研 究 が 始 め ら れ た 。McCroskeyは 「コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン不 安 に 関 す る 自 己 報 告(PersonalReportofCommunicationApprehension;PRCA)」

と い う 質 問 紙 法 に よ り,小 グ ル ー プ で の 討 論 ・集 会 で の 発 言 ・会 話 ・ス ピ ー チ 場 面 に 対 す る 個 人 の も つ 特 性 不 安 を 測 定 す る 尺 度 を 考 案 し た3〉。

Daily(1991:12)はMcCroskeyの 研 究 を 踏 ま え た 上 で,ス ピ ー チ 不 安 の 要 因 と し て,「 ス ピ ー チ の 形 式 に 対 す る 固 定 概 念(rulerigidity)」,「 ス

ピ ー チ 時 の 心 理 状 態 に 対 す る 固 定 概 念(thelabelspeopleapplytothe

arousaltheyexperiencewhenspeaking)」,「 聴 衆 と の 意 識 の 差 異(thehe‑

terogeneityoftheaudience)」 な ど を あ げ て い る 。4)

そ の 後 も 母 語 話 者 を 対 象 と した ス ピ ー チ 不 安 の 研 究 は,「 不 安 の 高 い 者 と 低 い 者 の 違 い は 何 か 」 と い う特 性 不 安 と し て の 関 心 か ら研 究 が 続 け ら れ,近 年 の 日本 人 を対 象 と した 研 究 と し て は,治 療 施 設 に 通 う ス ピ ー チ 不 安 者 を 対 象 と した 市 井(1990),日 本 人 大 学 生 を 対 象 に し た 小 泉(1997), 宮 前(2000),日 本 人 中 学 生 を 対 象 と し た 神 部 ・井 上(1997)な ど が あ る 。 市 井(1990)は ス ピ ー チ 予 告 後 の 心 理 状 態 を 質 問 紙 法 と心 拍 数 に よ っ て 調 査 し た も の,小 泉(1997)1ま ス ピ ー チ 場 面 の イ メ ー ジ の 評 定 を 質 問 紙 法 に よ っ て 調 査 し た も の で あ る が,こ れ ら の 調 査 で は ス ピ ー チ 不 安 に は 生 理 的 知 覚 が 関 連 し て い る と い う見 解 を 示 し て い る 。 一 方,神 部 ・井 上 (1995)の 質 問 紙 法 に よ る 調 査,宮 前(2000)の 心 拍 数 ・質 問 紙 法 ・ス ピ ー チ 後 の 思 考 の 書 き 出 し に よ る調 査 で は,過 去 の 失 敗 や 成 功 の 経 験 や 学 習 意 欲 な ど の 影 響 に よ っ て,発 表 や ス ピ ー チ に対 す る 認 知 が ス ピ ー チ 不 安 に 関 連 して い る とい う 見 解 を 示 し て い る 。 特 に 宮 前(2000:177)で は,高 ス ピ ー チ 傾 向 者 と低 ス ピ ー チ 傾 向 者 は,ス ピ ー チ 場 面 で は 同 様 の 生 理 的 反 応 を 経 験 す る が,不 安 及 び 認 知 に お い て 違 い が 表 れ る と し,ス ピ ー チ 不 安 傾 向 の 高 い 者 と低 い 者 と で は 主 観 的 側 面 に は 違 い が 認 め ら れ る が,生 理 的

3)McCroskey(1970),近 藤 ・ヤ ン(1996) 4)日 本 語 訳 は 筆 者 に よ る

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側 面 に は違 いが 見 られ な い と述 べ てい る。

外 国 語(第 二 言 語)と して の 日本 語 教 育 に関 す る研 究 で は,日 本 語 学 習 に伴 う不 安 尺 度 の作 成 に 関 す る元 田(2000a,b)の 調 査 な どにお い て,教 室 活 動 の 中 で は 口頭 発 表 が最 も不 安 が 高 い とい う報告 が な され て い る。 ま

た 「話 す 」 とい う言 語 活 動 に関連 して,小 河 原(2001)の 日本 語 学 習 者 を 対 象 に 日本 語発 音 を扱 った研 究 で は,不 安 要 因 と して場 面 に よる影 響 は あ ま りみ られ ず,「 発 音 ス キ ル の 欠如 」 や,他 の学 習 者 に よ る評 価 や 存 在 を 意識 す る こ と に よる 「他 者 評 価 」 「自他 評 価 」 が 発 音 不 安 に起 因す る と し て い る 。

以 上,現 在 まで の先 行研 究 を概 観 して み る と,母 語教 育 にお い て も外 国 語教 育 に お いて も 「人 前 で 話 す」 とい う状 況が 緊張 感 を生 み,不 安 を与 え てい る と考 え られ る。 これ はス ピー チ不 安 が コ ミュニ ケ ー シ ョン不 安 の研 究 の 中 で 「状 況 不 安 」5)に分 類 さ れ て い る こ とか ら もい わ ば当 然 の こ と な のか も しれ ない が,そ の不 安 の 質 は母 語 場 面 と第二 言 語場 面 とで 同 じで あ るの か,そ れ と も異 な る のか,と い う点 に つ い て は まだ 明確 で は ない よ う に思 わ れ る。 また,第 二 言 語 を使 用 す る場 面 で はス ピー チ 不安 が 大 きい と い う こ とは指 摘 され て い る ものの,そ れ は 第二 言 語 を使 用 す る場 面 全 体 に 対 す る指 摘 であ り,口 頭 発 表 場 面 とい う特 定 の場 面 を対 象 に して,学 習 者 は何 に対 して不 安 を感 じて い るの か とい う よ うな,ス ピー チ不 安 の具 体 的 な内容 に つ い て も まだ 明 らか に され て い な い と思 わ れ る。 も し学 習 者 が不 安 を抱 い て い る対 象 が少 しで も明 らか にな れ ば,口 頭 発 表 場面 の指 導 の 際 に何 を指 導 すべ きか,ま た どの よ う に指 導 すべ きか を考 える上 で参 考 にな るの で は な い だ ろ うか 。

そ こで本 稿 で は,将 来 的 に 日本 語 教 育 で の 口頭 発 表 場 面 の指 導 に生 か す こと を念 頭 に お き,第 二 言語 場 面 にお け るス ピー チ不 安 の 性 質 を よ り明 ら

5)マ ク ロ フ ス キ ー(McCroskey)が4分 類 し た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 不 安 の う ち の1つ 。 あ る 特 定 の 対 人 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン状 況 に 対 して 人 が 不 安 を 経 験 す

る 継 続 的 な 性 格 傾 向 の こ と 。 〈近 藤 ほ か(1996)を 参 考 ・〉

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か にす るた め に,日 本語 学習 者 と 日本 語 母 語 話 者 の ス ピー チ不 安 の 比 較 を 試 み る。 また本 稿 で は,質 問紙 法 に よ って ス ピー チ不 安 に対 す る認 知 を調 査 す る手法 を と り,生 理 的 な知 覚 につ い て は 考 察 の対 象 と しない こ と にす る 。

3.研 究 方 法 3‑1研 究 目的

本 研 究 で は,調 査 ・分 析 を通 じて,以 下 の3点 につ い て考 察 す る こ とを 目 的 とす る。

まず,第1の 目的 は,日 本 語 で ス ピ ーチ ・口頭 発 表 ・質疑 応 答 をす る と い っ た,日 本 語 使 用 環 境 にお け るス ピ ーチ 不 安 につ い て,日 本 語 母語 話 者 の 抱 くス ピー チ不 安 と,日 本 語 学 習 の抱 くス ピー チ不 安 とで は,ど の よう な違 い が あ る のか 比 較 を行 う。

元 田(2000a,c)の 第 二 言 語 不安 に関 す る調 査 に よ れ ば,日 本 語 の レベ ル が 不安 に 関与 して い る可 能性 が あ り,ほ とん どの不 安 の 有 意差 が 初 ・中 級 と上級 の 問 にみ られ,い ず れ も初 ・中級 が上 級 よ り も不 安得 点 が 高 い と い う結 果 が 報 告 され て い る。 本 研 究 で も,第2の 目的 として ,ス ピーチ不 安 と 日本 語 レベ ル との 関係 につ い て考 察 を試 み る。 岡部(2002)で は,口 頭 発 表 場 面 にお け る言 語 表 現 に対 す る意 識 を,① 日本 国 内 の大 学 機 関 が 設 置 す る留 学 生 別 科 で 日本 語 を 学習 して い る 中 上 級 レベ ル の 日本 語 学 習 者 (以 下,中 上 級 者),② 日本 国 内 の 大 学 院 に在 籍 し,日 本 語 に よる研 究 活 動 を行 っ て い る留 学 生(以 下,超 級 者),③ 日本 国 内 の大 学 ・大 学 院 に在 籍 し,日 本語 に よ る研 究 活 動 を行 っ てい る 日本 語 母語 話 者(以 下,母 語 話 者)の3つ の グル ー プ6)を対 象 に調 査 を行 っ た 。本 研 究 で も引 き続 き,こ の3つ の グ ル ー プ を対 象 に,ス ピー チ不 安 と 日本 語 レベ ル との 関係 に つ い

6)日 本 語 学 習 者 の超 級 ・中上 級 とい う レベ ル分 け は今 回の 調査 の た め の も の で, ACTFL‑OPIに よっ て判 定 を行 っ た もの で は な い。

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て調 査 ・分 析 した結 果 を行 う。

最 後 に,口 頭発 表場 面 に関連 す る 学 習 を1つ の 教 育 活動 と して考 えた 場 合,そ の実 践 方 法 と して は実 際 にス ピー チ や発 表 を行 う こ との ほか,口 頭 発 表 で使 用 され る言語 表 現 の 学 習 や,テ ー マ を決 め て 話 す 内容 や原 稿 を準 備 す る とい った 事 前 の活 動,ス ピー チ ・発 表 を 聞い た あ と に感 想 や 質 問 を 述べ た り,そ れ ら に応 答 す る とい った事 中 の活 動,ま た教 師 に よる講 評 や 学 生 同士 の相 互 評 価 を行 う とい った 事 後 の活 動 を伴 う こ とが多 い よ う に思 われ る 。本 研 究 で は第3の 目的 と して,こ れ らの 口頭 発 表 場面 に関す る教 育 活 動 全体 を視 野 に入 れ,幅 広 く学 習 者 の不 安 や意 識 を調査 す る こ とを通 じて 把 握 す る こ とを試 み る 。そ して,ス ピー チ不 安 の考 察 や 将 来 的 な 日本 語 教 育 へ の応 用 を考 える 際 の参 考 とす る。

3‑2調 査方 法

日本 語使 用 環境 にお け るス ピー チ不 安 と 口頭発 表 場 面 に伴 う諸 活動 に対 す る意 識 を調査 す る ため に,以 下 の4種 類 か らな る調 査 項 目 を作 成 した7)。

(1)経 験 ・必 要性 ・学 習 意 欲 に 関 す る項 目 〈調査 項 目;1〜3〉

神 部 ・井 上(1997)で は,学 習意 欲 の高 い者 はス ピー チ不 安 が 低 い傾 向 が あ る と報 告 され て い る。 今 回 の調 査 対 象 者 のス ピー チ不 安 を考 察 す る上 で の参 考 資 料 と して,発 表 ・ス ピー チ の経 験 ・必 要性 ・学 習 意 欲 に関 す る 質 問 を3項 目作 成 し,調 査 を行 っ た 。

(2)言 語 表 現 に 関 す る 項 目 〈調 査 項 目;4〜10〉

口 頭 発 表 場 面 で は,日 常 生 活 の 「お し ゃべ り」 と 比 較 し て,ス ピ ー チ レ ベ ル8)が 高 くな る た め,そ れ に 伴 っ て 表 現 形 式 も ス ピ ー チ レベ ル に 合 う よ

7)調 査 項 目の 詳 細 は,稿 末 の 資料 「口頭 発 表 場 面 のス ピ ーチ 不 安 に関 す る 調 査 項 目,及 び結 果 一 覧 」 を参 照 さ れ た い。

8)あ る 「談 話 」 にお い て選 択 され る 「表 現 の待 遇 度 」 の こ と を 「ス ピ ーチ レベ ル」 と規 定 す る。 岡 部 ・蒲谷(2000)p.112

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う に調 整 しな けれ ば な らな い 。 この よ うな 言 語 表 現 の運 用 の難 し さが ス ピー チ不 安 に関係 して い る可 能性 もあ る と考 え,中 上級 者 ・超 級 者 に対 し て 口頭 発 表 場 面 で使 用 さ れ る言語 表 現 全 体 に対 す る 印象 に つ い て5項 目の 設 問,そ して 母 語話 者 ・中上 級者 ・超 級 者 全 員 に対 して言 語 表 現 へ の価 値 観 を た ず ね る 設 問 を2項 目設 定 し た。 岡 部(2002)で は,岡 部 ・蒲 谷 (2000)で の 分析 に基 づ き,口 頭 発 表 場 面 のス ピー チ レベ ル の維 持 に 関 わ る言 語 表 現 の 運用 意 識 を調 査 す る た め に,そ の代 表 的 な表 現 の使 用 方 法 を たず ね る設 問 を作 成 したが,今 回 は 口頭 発 表 場 面 の ス ピ ー チ レベ ル全 体 に 対 す る話 者 の イ メ ー ジ を調査 す る こ とを 目的 と した。

(3)事 前準 備 活 動 に 関す る項 目 〈調 査 項 目;11〜14>

ス ピー チ不 安 を軽 減 す るた めの 指 導 方 法 と して神 部 ・井 上(1997)は,

「失 敗 経 験 がSP不 安 と相 関 が 高 い こ と も考 え併 せ る と,発 表 して よか っ た とい う感 想 を もたせ る よ うな事 前 の 配 慮 が 必 要 で あ る。 す なわ ち,本 発 表 ま で に十 分 な準 備 の 時 問 を取 る 。」 こ とを提 案 し,例 と して 「友 達 が 聞 きたい こ とは何 か」 の ア ンケ ー ト調 査 や 話 の 工夫,練 習 時 間 の確 保 な ど を あ げ て い る9)。しか し,実 際 に発 表 ・ス ピ ー チ をす る以 前 の準 備 作 業 自体 が 学 習 者 に とっ て は負担 にな り,学 習 意 欲 を低 下 させ る要 因 に なる恐 れ は な いの だ ろ うか。 この よ うな考 え か ら,ス ピー チ不 安 の 間接 的 な 要 因 と し て,事 前 準 備 活 動 に関 す る設 問 を2項 目作成 した。 中上級 者 ・超 級 者 に対

して は母 語 に よ る活 動 との比 較 を問 う設 問 を2項 目加 え,4項 目 と した 。

(4)事 中 ・事 後 活 動 に 関 す る 項 目 〈調 査 項 目;15〜33>

口 頭 発 表 場 面 で 実 際 に 「話 す こ と」 を 中 心 に,そ れ に伴 う事 中 ・事 後 活 動 に 関 す る 設 問 を19項 目作 成 した 。 こ れ ら の 項 目 は,中 上 級 者 ・超 級 者 ・

9)神 部 ・井 上(1997)p.433「SP不 安 」 と は 「ス ピ ー チ 不 安 」 の 簡 略 表 記 で あ る 。

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母 語 話 者 全 員 に 対 し て 共 通 の も の で あ る 。 項 目 を作 成 す る 際 に は,元 田 (2000a,b,cほ か)の 調 査 ・研 究 で 作 成 さ れ た 「日 本 語 不 安 尺 度(JLAS;

JapaneseLanguageAnxietyScale)」 の 中 か ら,口 頭 発 表 場 面 と特 に 関 わ り の 深 い 項 目 を 借 用 し,今 回 の 調 査 に あ う よ う一 部 手 を 加 え て 使 用 し た 。

以上,4種 類 か らな る調 査 項 目 を,日 本 語 母 語 話 者 を対 象 に26項 目,中 上級 者 ・超 級 者 を対 象 に33項 目作 成 し,4段 階評 定 で 回答 を求 め た。 調 査 は 「日本 語 に よる発 表 ・ス ピー チ に関 す る調 査 」 の一 部 と して,日 本 国 内 の 大学 で調 査 者 が 直接 該 当者 に調査 を依 頼 す る方 法 と,日 本 語 教 育 関係 者 に調 査 を委 託 す る 方法 を併 用 し,2001年7月 か ら8月 にか け て実 施 した。

3‑3仮 説

本研 究 を調 査 ・分析 す る にあ た り,以 下 の仮 説 を設 定 した。

① 口頭 発 表 場 面 にお け る ス ピ ーチ不 安 は,日 本 語 能 力 に よっ て差 が あ る の で は ない かo

② 本 調査 で は 中上 級 者 の抱 くス ピ ー チ不 安 が 最 も大 き く,次 い で 超 級 者 ・母 語 話 者 の 順 に不 安 は小 さ くな るの で は な い か。

③ ス ピーチ 不 安 は学 習 の意 欲 や 態 度 に も影響 し,ス ピー チ不 安 の大 きい もの は 口頭発 表場 面 に伴 う様 々 な学 習 活動 や言 語 表現 に対 して も否 定 的 な印 象 を抱 くの で は ない か 。

4.調 査 結 果 4‑1分 析 方 法

回 収 した調 査 票 の 中 か ら,回 答 に欠 損 値 が な か った87名(母 語 話 者41 名,超 級 者22名,中 上 級 者24名)の 結 果 を分 析 の対 象 と した 。 また今 回 の 調 査 で は,中 上 級 者 ・超 級 者 に対 して 母 語 と 日本 語 との 言語 活 動 を比 較 す る質 問項 目を設 定 した こ とか ら,日 本 語 母 語話 者 以 外 の対 象者 は 中 国語 母 語 話 者,韓 国語 母 語話 者 に 限定 した 。対 象 者 の母 語 別 の 内訳 は,日 本 語 母

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語 話 者4!名,中 国 語 母 語 話 者23名,韓 国 語 母 語 話 者23名 で あ る 。

今 回 の 調 査 で は 母 集 団 が 小 さ く,日 本 語 レ ベ ル 別 に 集 計 した 際 に調 査 結 果 が 正 規 分 布 に な ら な か っ た こ と か ら,グ ル ー プ 間 の 差 の 検 定 に は ノ ン パ

ラ メ ト リ ッ ク 検 定 の 手 法 を 用 い る こ と に し た 。 デ ー タ の 処 理 に は,SPSS BaseILOJを 使 用 した 。

4‑2結 果 ・考 察

調 査 の 結 果 は,稿 末 の 資 料 にま とめ た。 以 下,調 査 項 目の種 類 ご とに報 告 す る。

(1)経 験 ・必 要性 ・学 習 意 欲 に関 す る項 目

〈項 目1〜3〉 で は,日 本 語 に よる発 表 ・ス ピー チ の経 験 ・必 要性 ・学 習意 欲 につ いて 調査 した。 回答 方 法 は4段 階 評 定 で あ るが,こ こで は そ の 他 の 項 目 とは 異 な り,具 体 的 な回 数 や 事 例 を示 して 選 択 す る 方 法 を と っ

た 。

結 果 を み る と,発 表 ・ス ピ ーチ の 「経 験」 〈項 目1>,「 必 要性 」〈項 目 2>,「 学 習 意 欲 」〈項 目3>と もに,母 語 話 者,超 級 者,中 上 級 者 の 順 に 高 くな って い る。〈項 目1>の 「経 験」 につ い て は,母 語 話 者 ・超 級 者 に は 未経 験 者 はい なか ったが,中 上 級 者 は① 未経 験 者 か ら③ 日本 語 の ク ラ ス で よ くす る まで,回 答 が分 かれ た 。対 象 者 と した3つ の グ ル ー プ 間の 差 を ク ラ ス カ ル ・ウ ォ リス の検 定 を行 っ た とこ ろ,3項 目 と も有 意 差 が あ っ た 。 さ ら に多 重 比 較 に よ り,「 経験 」〈項 目1〉 ・「学 習 意 欲 」 〈項 目3>で は母 語話 者 ・超 級 者 と中上 級 者 の 間 に,「 必 要 性 」 〈項 目2>で は母 語 話 者 と中 上級 者 の 間 に差 が あ る こ とが認 め られ た 。 以 上 の こ とか ら,発 表 ・ス ピー チ に対 す る意 識 は,大 学 や大 学 院で 学 ぶ 者 と,日 本語 の予 備 教 育 を受 けて い る者 との 間 にか な りは っ き りと した差 が あ る こ とが わ か る 。現 在 の 学 習 に必 要性 を感 じて い る母 語 話 者 ・超 級 者,将 来 の 学 習 に必 要性 を感 じ て い る中上 級 者,と も にそ れ ぞれ の学 習 環 境 を反 映 す る 結 果 にな っ た と思

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わ れ る 。

(2)言 語 表 現 に関 す る項 目

〈項 目4〜10〉 で は,発 表 ・ス ピ ーチ で使 用 され る 言語 表 現 に関 す る意 識 につ い て,〈 項 目4〜8〉 で は 超級 者 と中上 級 者 に対 して 母語 との 違 い につ い て,〈 項 目9,10〉 で は全 員 を対 象 に発 表 ・ス ピー チ の 言 語 表 現 に 対 す る価 値 観 につ い て調 査 を行 った 。 設 問 の内 容 は,① 「そ う思 う」 寄 り の 回答 が 多 い ほ ど母 語 との 差 を感 じて い る,④ 「まっ た くそ う思 わ ない 」 寄 りの 回答 が 多 い ほ ど母 語 との 差 を感 じて い ない,と い う結 果 に な る よ う に構 成 した。

〈項 目4〜8〉 で は,日 本 語 能 力 別(超 級 者 と中 上 級 者),ま た母 語 別 (韓国 語 母 語 話者 と中国 語 母語 話 者)に2つ の グル ー プ 間 の差 を調 べ る た め に,マ ン ・ホ イ ッ トニ ー 検定(両 側 検 定)を 行 った 。 そ の結 果,ま ず 日 本 語 能 力 別 で は 〈項 目5>「 表 現 が ぢ が う」,〈項 目6>「 構 成 が ちが う」 で 有 意 差 が あ り,い ず れ も超 級 者 の ほ うが 中上級 者 に比 べ,① 「そ う思 う」

② 「や や そ う思 う」 という 差 を指 摘 す る回答 が多 か っ た。 〈項 目4〉 「発 表 の ス タイ ル が ちが う」,〈項 目7>「 敬 語 や改 ま っ た表 現 が 多 い」,〈項 目8>

「問接 的 な表 現 が 多 い」 に関 して は,有 意差 が認 め られ なか った 。 一 方, これ らの 項 目 につ い て 同様 の方 法 で母 語 別 に検 定 を行 った と こ ろ,〈 項 目 7>「 敬 語 や改 まっ た 表 現 が 多 い 」 の 回答 に有 意差 が 認 め られ,中 国 語 母 語話 者 の ほ うが 韓 国 語 母語 話 者 に比 べ,① 「そ う思 う」 とい う回 答 が 多 い

とい う結 果 に な った 。

以 上 の結 果 か ら考察 す る と,口 頭 発 表場 面 で は 日常 的 な 会 話 に比 べ て ス ピー チ レベ ルが 高 くな るが,こ の点 に つ い て は 〈項 目7〉 「敬 語 や 改 ま っ た表 現 が 多 い 」,〈項 目8>「 間接 的 な 表現 が多 い」 で超 級 者 ・中 上 級 者 と もに① 「そ う思 う」 と② 「や や そ う思 う」 を選 択 した比 率 が70%前 後 に達 してお り,意 識 的 に理 解 さ れて い る と思 われ る。 これ は 岡部(2002)で の 調 査 に お い て も,「 敬 語 」 や 「文 体 敬 語 」 の選 択 率 が 母 語 話 者 に 比べ て高

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い傾 向 が み られ た が,今 回の 結 果 も 日本 語 学 習 者 のス ピー チ レベ ル に対 す る高 い 認 識 を反 映 して い る と思 われ る。 ま た超 級 者 の 場 合 は,ス ピー チ レ ベ ル の違 い が は っ き りと表 れ る敬語 の以 外 の表 現 や構 成 な どに つ い て も, 母 語 との違 い を はっ き り と理 解 し,中 上 級 者 と比 べ 言 語 表 現 を切 り替 え る

とい う意 識 が で きて い る と考 え られ る。 岡部(2002)の 調査 で も,中 上 級 者 と超 級 者 の 言 語 表 現 の 選 択 意識 の 差 は 「特 に話 し言 葉 的 性 質 を もつ 語 彙 ・表 現 の選 択 」 や 「説 明 や表 現 の正 確 さ,明 確 さに関 わ る言 語 表現 の 選 択 」 に あ らわれ て い た 。母 語 と目標 言 語 とを対 照 しなが ら分析 ・使 用 す る とい う とい うこ とは,学 習 ス トラテ ジ ー の観 点 か ら見 る と,認 知 ス トラテ ジー に該 当す る。 フ ォー マ ルス ピー チ とイ ン フ ォー マ ルス ピー チ の 違 い は 単 に待 遇 表 現 や 敬 体 ・常 体 の違 い だ け で は な く,表 現 上(改 ま っ た言 い 方,砕 け た言 い方)の 違 い も伴 う 〈鎌 田(2001:59‑58)>が,ス ピー チ レ ベ ルの 変化 は構 成 か ら表 現 の細 部 まで様 々 な 要 素 に も影 響 す る とい う こ と を どこ まで意 識 して い るか とい う認 知 ス トラテ ジ ー の使 用 は,日 本 語 能 力

と関わ りが あ る と思 われ る。

母 語 別 の 比較 で は,〈 項 目7>「 敬 語 や 改 ま った 表現 が多 い」 に対 し,中 国 語 母 語 話 者 の 場 合,① 「そ う思 う」 ② 「や や そ う思 う」 とい う 回答 が 9L3%に 達 し,こ の数 字 は韓 国語 母 語 話 者 の 回答(①,② の合 計42.1%) の2倍 以 上 に相 等 す るlo)。日本 国内 の 日本 語 教 育 にお い て は,中 国語 母 語 話 者 ・韓 国 語 母 語話 者 の学 習 者 の比 率 が 大 変 高 い が,待 遇 表 現 に対 す る意 識 が異 な る こ とか ら,そ れぞ れ の母 語 や 母 文 化 に対 す る配 慮 が 何 らか の 形 で必 要 で は ない か と思 わ れ る。

10)母 語 別 の 結 果 は 次 の 通 り。 単 位:人()内 は 比 率 を 示 す 。 中 国 語 母 語 話 者 二① 「そ う 思 う 」16(69.6%),② 「や や そ う 思 う 」5(2L7%),③ 「あ ま り そ う思 わ な い 」2(8.7%),④ 「ま っ た く そ う思 わ な い 」O(0%)

韓 国 語 母 語 話 者:① 「そ う 思 う 」3(13.0%),② 「や や そ う 思 う 」9 (39.1%),③ 「あ ま り そ う思 わ な い 」9(39.1%),④ 「ま っ た くそ う 思 わ な い 」2(8.7%)

一135一

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言 語表 現 に関 す る項 目の 中 に,口 頭 発 表 場 面 の言 語 表 現 へ の 価 値 観 を調 査 す る項 目 を作 成 した 〈項 目9,10〉 。 回答 の形 式 は,① 「そ う思 う」 寄 りの 回答 が 多 い ほ どス タ イ ル,文 法 ・表 現 の規 範性 を重 視 す る傾 向,④

「まっ た くそ う思 わ な い」 寄 りの 回答 が 多 い ほ ど意 見 の 内 容 を重視 す る傾 向 と な る よ う に作 成 した 。検 定 の結 果,グ ル ー プ 間 に有 意 差 は み られ な か っ たが,母 語 話者 ・超 級 者 ・中上 級 者 と もに,回 答 の50%以 上 が③rあ ま りそ う思 わ な い」 ④ 「ま っ た くそ う思 わ な い」 に集 中 し,全 体 的 に発 表 や ス ピ ーチ の規 範 性 を重 視 す る傾 向 が み られ た。 特 に超 級 者 は,③ 「あ ま りそ う思 わ な い」 ④ 「ま っ た くそ う思 わ な い」 の 回答 が 〈項 目9>で は 72.7%,〈 項 目10>で は91%に 達 して お り,ス タ イ ルや 文 法 ・表 現 へ の 規 範性 を守 る意 識 が 非 常 に強 い とい え る で あ る と思 わ れ る。

(3〉 事 前 準 備 活 動 に 関 す る項 目

〈項 目11〜14〉 で は,発 表 ・ス ピ ー チ に 伴 う事 前 活 動 に つ い て の 設 問 を 作 成 し た 。 〈項 目11,12>は 超 級 者 ・中 上 級 者 を 対 象 に 母 語 で 行 う場 合 と

の 比 較 を た ず ね,そ の 結 果 を 日本 語 能 力 別 と 母 語 別 に 検 定 を 行 っ た が,ど ち ら に も有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 〈項 目11〉 「母 語 で 行 う 時 よ り時 間 が か か る 」 に 対 す る 回 答 は,超 級 者 ・中 上 級 者 と も に① 「そ う 思 う」 が50%

以 上 と な っ た 。 ま た 〈項 目12〉 「母 語 で 考 え て か ら 翻 訳 す る 」 で も① 「そ う思 う」 とい う 回 答 が な く,③ 「あ ま りそ う思 お な い 」 が50%以 上 と い う 結 果 な り,超 級 者 ・中 上 級 者 に 同 様 の 傾 向 が み られ る 。

一 方,母 語 話 者 ・超 級 者 ・中 上 級 者 全 員 を 対 象 と し た 〈項 目13〉 「日 本 語 の 資 料 を調 べ る こ と が 負 担 に な る 」,〈項 目14〉 「話 す こ と は 紙 に 書 い て お く」 の 結 果 に つ い て 検 定 を 行 っ た と こ ろ,10%の 有 意 水 準 で 有 意 傾 向 が 認 め ら れ た 。 母 語 話 者 ・超 級 者 と比 べ,中 上 級 者 に① 「そ う思 う」 ② 「や や そ う 思 う」 と い う 回 答 が 多 く,こ れ ら の 回 答 の 比 率 は 〈項 目13>で は50

%,〈 項 目14〉 で は62.5%と な っ て い る 。

以 上 の 結 果 か ら,超 級 者 ・中 上 級 者 と も に 口 頭 発 表 場 面 の 学 習 に つ い

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て,準 備 に時 問が か か る とい う認識 で は 一致 して い る もの の,中 上級 者 の 方 が超 級 者 に比 べ て事 前活 動 に負 担 を感 じて い る と考 え る こ とが で きる と 思 わ れ る 。 口頭 発 表 場 面 の学 習 で は,実 際 に 「話 す こ と」 が 目的 で あ る た め,「 話 す こ と」 に教 師 の 指 導 や評 価 が 集 中 しが ち で あ る が,言 語 能 力 の 低 い 学 習 者 に とっ て は 「話 す こ と」 の前 に負 担 や不 安 を多 く抱 えて い る よ う に思 わ れ る 。神 部 ・井 上(1997)や 田 中(2001)で は,中 学 生 ・高 校 生 対 象 の 国 語教 育 の研 究 ・実 践 か ら,発 表 』ス ピー チ で 成果 をあ げ るに は 入 念 な事 前 準 備 が 大切 で あ る と述べ て い るが,日 本 語教 育 の場 合,学 習 者 が

「話 す こ と」 に対 す る 自信 と成 果 を実 感 で きる よ う に なる た め に は,ど の よ う に事 前 活 動 も含 め て 口頭発 表場 面 の学 習 環 境 を整 えて い くべ きか,学 習 者 の 負 担 や 不 安 も踏 ま え なが ら,今 後 さ らに検 討 して い く必 要が あ る と 思 われ る。

(4)事 中 ・事 後 活 動 に関 す る項 目

〈項 目15〜33>で は,実 際 に発 表 ・ス ピー チ を行 う場 面 に対 して ど の よ うな意 識 を もっ てい るか,ま た聞 き手 か らの評 価 や発 表 ・ス ピー チ の直 後 に行 わ れ る こ とが多 い質 疑 応答 場 面 に関 す る 項 目 も含 め て ス ピー チ不 安 に 関 す る設 問 を作 成 した こ とか ら,「 事 中 ・事 後 活 動 に 関す る項 目」 と呼 ぶ こ と にす る 。 設 問 は全19項 目で,1)一 般 的 な発 話活 動 に 関す る項 目 〈項 目15,16〉,2)発 話 処理 に 関す る項 目 〈項 目17〜23>,3〉 他 者 か らの 評 価 に 関 す る項 目 〈項 目24〜29〉,4)質 疑 応 答 場 面 に 関 す る項 目 〈項 目 30〜33〉 の4つ の 種 類 の 設 問 を作 成 した。 元 田(2000b)の 調 査 結 果 に よ れ ば,日 本 語 学 習 者 の教 室 内 活動 に対 す る 日本 語 不 安 は 「発 話 活 動 にお け る 緊張 」 「状 況 不確 か さ に対 す る不 安 」 「低 い 日本 語 力 に対 す る心 配」 の3 因子 か らな る とい う結 果 が報 告 され て い るが,本 研 究 で も これ らの結 果 を 参考 に 口頭 発 表 場 面 にお け る ス ピー チ不 安 を調 査 す る項 目 を作 成 した 。 な お,事 中 ・事 後 活 動 に関 す る項 目は,母 語話 者 ・超 級 者 ・中上級 者 全 員 に 対 して 共通 の項 目 と した 。項 目作 成 にあ た っ て は,① 「そ う思 う」 が 多 い

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ほ どス ピ ーチ不 安 が 大 きい傾 向,④ 「まっ た くそ う思 わ な い」 が 多 い ほ ど ス ピ ーチ 不安 が小 さ い傾 向が み られ る よ うに した 。

回答 の結 果 に対 して 検 定 を行 っ た とこ ろ,〈 項 目15,16,21,23,28 , 33>の6項 目 に有 意 差 が,ま た 〈項 目19,25〉 の2項 目 に有 意 傾 向 が 認 め

られ た 。 以下,項 目の種 類 ご とに結 果 を報 告 す る。

1)一 般 的 な発 話 活動 に関 す る項 目で は,〈 項 目15>「 ふ だ ん か ら,日 本 語 で話 す とき は緊 張 す る」 に つ い て は多 重比 較 の結 果,超 級 者 と中 上級 者 の 間 に差 が 認 め られ た。 また,〈 項 目16>「 多 くの人 の 前 で 日本 語 で話 す と

きは 緊張 す る」 につ い て は多 重 比 較 の 結果,日 本 語 母 語 話 者 と超 級 者 の 問 に差 が 認 め られ た。 仮 説 で は,日 本 語 母語 話 者 → 超 級 者→ 中上 級 者 と い う 日本 語 能 力 の順 に 不 安 が低 くな る の で は な い か と予 想 した が ,調 査 の結 果,① 「そ う思 う」 と回 答 した 日本 母 語 話 者 の 比 率 は超 級 者 よ り高 く,

〈項 目16〉 「多 くの 人 の 前 で 日本 語 で 話 す と き は 緊 張 す る」 にお い て①

「そ う思 う」 と回 答 した 比 率 は,日 本 語 母 語 話 者 が53.7%で,超 級 者 の 18。2%,中 上 級 者 の4L7%と い う比 率 を上 回 る結 果 とな った 。 以 上 の結 果 か ら,ス ピーチ 不安 の 要 因 は,単 に 日本 語 能力 だ けの 問 題 で は な い とい う

こ とが で きる と思 わ れ る 。

次 に,2)発 話 処 理 に関 す る項 目 で は,多 重 比 較 の結 果 〈項 目21〉 「文 法 的 に正 しい 日本 語 を話 せ る か ど うか心 配す る」 と,〈 項 目23〉 「正 しい発 音 で 日本 語 を話 せ る か ど うか 心 配 す る」 にお いて は,超 級 者 ・中上 級 者 と 母語 話 者 の 間 に差 が 認 め ら れ た。 ま た 〈項 目19>「 自分 の性 格(パ ー ソ ナ リテ ィ)は か わ っ て しま う」 で は,有 意 傾 向 が み られ た。 これ らの 結 果 か ら,発 話 処 理 中 の不 安 につ い て は,中 上 級 者 ・超 級 者 は文 法 や 発 音 な ど

「日本 語 の 正 しさ」 に不 安 を抱 い て い る とい う こ とが で き,元 田(2000 b)で 指摘 され た 日本 語 不 安 の 因子 の1つ で あ る 「低 い 日本 語 力 に対 す る 心 配」 の存 在 を裏付 け る もの とい え る。 一 方 日本 語 母 語 話 者 に 「自分 の性 格(パ ー ソ ナ リテ ィ)は か わ っ て し ま う」 とい う 回答 が 多 か っ た の は,

「多 くの人 前 で 話 す 」 とい う状 況 そ の もの か ら感 じ る 「状 況 不 安」 で あ

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り,超 級 者 ・中上 級 者 の 感 じる 「第 二 言 語 不 安 」 とは性 質 の こ とな る不 安 で は ない か と推 測 で きる。

3)他 者 か らの評 価 に関 す る 項 目 で は,く 項 目25>「 他 の留 学 生 か ら 日本 語 が 下 手 だ とお もわ れ ない か 心 配す る」 で 有 意 傾 向 が み られ,ま た 〈項 目 28>「 聞 き手 が 自分 の 日本 語 を理 解 して くれ て い るか ど うか 心 配 す る」 で 有 意 差 が あ り,多 重 比 較 の結 果 日本 語 母 語 話 者 と中上 級 者 ・超 級 者 の 間 に 差 が 認 め られ た 。 こ れ らの 回答 の傾 向 か ら,超 級 者 ・中上級 者 に は発 話 処 理 にお け る 不 安 の 場 合 と同様 に,「 日本 語 の 正 し、さ」 につ い て 聞 き手 が ど

の よ う に感 じて い る か につ い て不 安 を も っ て い る と考 え られ る 。〈項 目2 4>の 「日本 人 か らの評 価」 や 〈項 目26〉 の 「先 生 か らの評 価jに 比べ て,

〈項 目25〉 「他 の留 学 生 か らの評 価 」 に お い て 母 語 話 者 と超 級 者 ・中上 級 者 との差 が あ らわ れ た 要 因 の1つ に は,小 河 原(2001)で も指 摘 され て い る よ うに,、他 の 学 習 者 の存 在 を強 く意識 し,自 分 の能 力 と比 較 を行 う 「自 他 比 較」 が 影 響 して い る の で は ない か と思 わ れ る 。 そ れ に対 して,日 本 語

母 語 話 者 の場 合 は,自 分 の話 した こ とが きち ん と伝 わ って い るか,「 聞 き 手 の 理 解」 につ いて 不 安 を もっ てい る と思 わ れ,こ の 点 にお い て も母語 話 者 の不 安 の 質 と中上 級 者 ・超級 者 との不 安 の 質 の 違 い が表 れて い る と考 え

られ る。

4)で 取 り上 げ た質 疑 応 答場 面 は,発 表 ・ス ピ ーチ の よ うに事 前準 備 が で きない こ と に加 え,そ の場 で即 座 に応 答 しな けれ ばな らない もの で あ る た め,日 本 語 能力 が 低 い ほ ど情 報処 理 活 動 に負 担 と不 安 を感 じるの で ない か と予 想 した が,〈 項 目30>「 準 備 して い な い こ と を質 問 され る と緊 張 す る」,〈項 目31〉 「準 備 して い な い こ とを質 問 され る とい い た い こ とが う ま く言 え ない 」,〈項 目32〉 「何 回言 ら て もわ か って もら えな い と きあ せ る」

の3項 目 で① 「そ う思 う」 とい う回 答 の比 率 は,母 語 話者 が 最 も高 か っ た 。検 定 の結 果,〈 項 目33〉 「日本 語 が 聞 き取 れず,不 安 にな る」 で 有 意 差 が み られ,多 重 比 較 で は超 級 者 と中 上級 者 の 間 に差 が 認 め られ た。 以 上 の 結 果 か ら,質 疑 応 答 場面 で は聴 解 力 に関 す る不 安 につ い て は 日本 語 能 力 が

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影 響 し,発 話 処 理 につ い て は 日本 語 能 力 よ りも,そ の場 の状 況 に対 す る不 安 が 影響 して い るの で は な い か と思 わ れ る。

以上 の結 果 か ら,口 頭 発 表 場 面 のス ピー チ不 安 につ いて,日 本語 母 語 話 者 ・日本 語 学 習 者 はい ず れ も不 安 を感 じて い るが,そ の性 質 は異 な り,日 本語 母 語 話 者 の 場合 は多 くの人 の 前 で 話 す とい う状 況 に対 して 緊張 し,発 話処 理 な どに影 響 す る 「状 況 不 安 」 を,日 本 語 学 習 者 は,多 くの人 の前 で

「正 しい 日本 語」 が 話 せ るか ど う か を不 安 に思 う,「 第 二 言 語 不 安」 を感 じて い る と考 え られ る。

5.ま とめ

本研 究 で は,口 頭 発 表 場 面 にお け る ス ピ ーチ不 安 に つ い て,(1)口 頭 発 表 場 面 の経 験 ・必 要性 ・学 習 意 欲,(2)口 頭 発 表 場 面 の 言 語 表 現 に対 す る意 識,(3)口 頭 発 表 場 面 の 学 習 に伴 う事 前 準 備 活動 に対 す る意 識,(4)口 頭 発 表 場 面 の事 中 ・事 後 活 動 に対 す る意 識 の4つ の側 面 か ら考 察 を試 み た 。調 査 の 結果 をま とめ る と,以 下 の よ う に な る。

(1)口 頭 発 表 場 面 の経 験 ・必 要 性 ・学 習意 欲 で は,発 表 ・ス ピー チの 経 験 が多 く,ま た 現 在 も必 要 と してい る母 語話 者 ・超 級 者 と,発 表 ・ス ピー チ の経 験 が 少 な く,将 来 的 な必 要 性 を感 じて い る 中上 級者 との 間 に意 識 の 差 が み られ,そ れ ぞ れ の対 象 者 の 学 習 環境 を反 映 す る結 果 とな っ た。

(2)口 頭発 表場 面 の言 語 表 現 に対 す る意 識 で は,中 上 級 者 は 「敬 語 や 改 まっ た表 現 が 多 い」 と感 じ,ス ピー チ レベ ル の 高 さを 強 く意 識 して い る傾 向,超 級 者 の 場 合 は,他 の 場 面 と比 較 し,口 頭 発 表場 面 の 言 語 表 現 で は 様 々な 表 現上 の違 いや,構 成 の違 い を 中上 級 者 よ り意 識 してい る傾 向 が み られ た 。 言語 表 現 に対 す る価 値 観 につ い ては,母 語 話 者 ・超 級 者 ・中上 級 者 と も に,単 に 自分 の 意見 を伝 わ れ ば よい とい うだ けで な く,日 本語 のス

タ イル や文 法 ・表 現 な どの規 範 性 に対 す る意 識 が 高 い こ とが わ か っ た。

(3)口 頭 発 表 場 面 の 学 習 に伴 う事 前 準 備 活 動 に対 す る意 識 で は,超 級 者 ・中上 級 者 と も に,母 語 で行 う場 合 と比較 して 準 備 に時 問 が か か る とい

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う回 答 が多 く,特 に 中上 級 者 は母語 話 者 ・超 級 者 に比 べ て,日 本 語 の資 料 を調 べ た り読 ん だ りす る こ とに負担 を感 じて い る とい う結 果 が み られ た。

(4〉 事 中 ・事 後 活 動 に関 す る項 目 と して 口頭 発 表 場 面 に 関す るス ピ ー チ 不 安 を調 べ た とこ ろ,日 本 語母 語 話 者 ・日本 語 学 習 者 はい ず れ も不 安 を感 じて い る が,日 本 語 母 語 話 者 の場合 は多 くの 人 の前 で話 す とい う状 況 に対 して 緊 張 す る とい う 「状 況不 安」 を,日 本 語 学 習 者 は,多 くの 人 の 前 で

「正 しい 日本 語 」 が 話 せ る か どう か を不 安 に思 う,「 第二 言 語 不 安 」 を感 じてい る とい う こ とが わか った 。

以 上 の結 果 か ら,本 研 究 の 目的 を改 め て振 り返 っ て み た い。 第1の 目 的 は 日本 語 母語 話 者 の ス ピ ーチ不 安 と 日本 語 学 習者 の ス ピー チ不 安 との比 較 を行 う こ とで あ っ た。 こ の点 につい て は,(4)の 考 察 か ら,日 本 語 母 語 話 者 の ス ピー チ不 安 は 「状 況 不 安」,ま た 日本 語 学 習 者 の ス ピー チ 不 安 は 「第 二言 語 不 安」 で あ る とい う性 質 の違 い が あ る とい う こ とが わか っ た。

次 に第2の 目的 は,ス ピーチ不 安 と 日本 語 能力 との 関係 につ い て考 察 す る こ とで あ った 。仮 説 で は,日 本語 能 力 とス ピー チ不 安 の大 きさが 反 比 例 す る ので は ない か と予 想 したが,日 本 語 母 語 話 者 と 日本 語 学 習 者 との不 安 の性 質 が 異 なる た め,そ の不 安 の大 きさの 差 が 日本 語 能 力 の差 に よ る もの で あ る とは直 接 断 定 す る こ とは難 しい 。 しか し,超 級 者 ・中上 級 者 とい う 日本 語 学 習 者 間 で比 較 を行 っ た場 合,回 答 の 結 果 に有 意 差 が 認 め られ た く項 目21〉 「文 法 的 な 正 し さへ の心 配」,〈項 目23〉 「発 音 の 心 配」,〈項 目 25>「 聴 解 力 へ の不 安」 で は超 級 者 に比 べ 中上 級 者 に① 「そ う思 う」 とい う 回答 が 多 か っ た こ とか ら,「 第二 言 語 不 安 」 は 日本 語 能 力 と関 わ りが 深 い と思 われ る。 しか し,そ の他 の項 目で の 不 安 は必 ず この よ うな結 果 に は な っ てい ない こ とか ら,「 第 二 言語 不 安 」 の 中 で も言 語 能力 と直 接 関係 し てい る項 目 と関 係 して い な い項 目 もあ る ので は ない か と思 わ れ る。 こ の点 につ い て は,デ ー タ の量 や 調査 項 目の質 に もよ る と思 わ れ る の で,引 き続

き検討 が必 要 で あ る と思 わ れ る。

最 後 に第3の 目的 は,学 習者 の口頭 発 表 場 面 に対 す る意 識 を,事 前 ・事

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中 ・事 後 活動 とい う教 育 活 動 全体 か ら把 握 し,ス ピー チ不 安 の考 察 や 日本 語教 育へ の応 用 を考 え る際 の 参考 とす る こ とで あ っ た。 一 般 に,発 表 ・ス ピー チ が うま くな る ため に は,場 数 を こ なせ ば よい,と い う考 え方 が あ る が,今 回 の調 査 で は経 験 の 多 い 日本 語 母 語 話 者 や超 級 者 で もス ピー チ不 安 を感 じて い る こ とか ら,ス ピー チ不 安 は単 に経 験 を積 む だ けで は解消 され ない よ う に思 わ れ る 。 ま た,超 級 者 ・中 上 級 者 とい う 日本 語 学 習 者 は,

「日本 語 の正 しさ」 に対 して不 安 を抱 い て い る こ とか ら,学 習 者 に対 して は言 語 面 で 自信 を も って 口頭 発 表 場 面 に望 め る よ う,事 前 準 備 を工 夫 す る,あ る い は事 後 活 動 で 学 習者 の発 表 ・ス ピー チ を振 り返 る機 会 を作 る な どして,今 後 の 学 習 に生 かせ る よ う な場 が持 て る よ うに な る と よい と思 わ れる。

教 育 へ の実 践 的 な提 案 と して,神 部 ・井上(1997)で は事 前指 導 の必 要 性が あ げ られ て い る 。本 研 究 の調査 で は,中 上 級 者 は事 前準 備 を負 担 に感 じる傾 向 が み られ た が,学 習 者 の 言語 能力 や,口 頭 発 表 場 面 の学 習 に費 や す こ とが で きる 時 問 的 な 制約 な ど も考 慮 しなが ら,効 果 的 な事 前 の指 導 方 法 につ い て検 討 す る こ とが望 まれ る 。 マ リオ ッ ト(1999)は オ ー ス トラ リ アにお け る 日本 人留 学生 のマ ク ロ学習 ス トラ テ ジー の研 究 で あ るが,仲 間 同士 の ネ ッ トワー クを活 用 した事 例 と して,口 頭発 表 の練 習 の準 備 を友 人 やチ ュー ター の助 け を借 りて行 う とい う例 をあ げて い る 。 この よ う に,事 前準 備 は教 室 内 の,教 師 の管 理 下 だ け で行 な われ るだ け で な く,社 会 的 ス

トラテ ジ ー を活 用 した 自律 学 習 も可能 で あ ろ う。

ただ し,指 導 の際 に注 意 した い の は,学 習 者 の 「自他 比 較 」 の 意 識へ の 対応 で あ る 。 日本 語 学 習 者 に とっ て多 くの人 の 前 で 「日本 語 の正 しさ」 に つい て 言 及 さ れ る こ とは,公 的 自意 識 に抵 触 す る問題 で あ ろ う。 口頭発 表 場面 の 学 習 は,多 くの人 の前 で評 価 さ れ る こ とが伴 うた め,学 習 者 の 人格 を傷 つ け る こ とが な い よ う,教 師 は細 心 の 注 意 をす る必 要 が あ る と思 わ れ る。Price(1991)は 人 前 で 話 す こ との 不 安 へ の 対 策 と して,1対1の 対 話形 式 や,小 グ ル ー プで の活 動 を 日々 の学 習 に取 り入 れ る こ と,ま た学 習

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者 に教 室 を 「学 び の場 」 「コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンの 場 」 とい う意 識 を持 た せ る こ と をあ げ てい る。不 安 を コ ン トロ ー ルす る とい う こ とは,学 習 ス トラ テ ジー の 中 の情 意 ス トラ テ ジ ー と深 い 関係 が あ る。 心 理 的負 担 を調 節 しな が ら学 習活 動 を構 成 して 自信 を もたせ る,活 動 に対 して肯 定 的 な意 識 を持 た せ る な ど,情 意 ス トラ テ ジ ーの活 用 は 口頭 発 表 場 面 の学 習 に有 効 で あ る と思 わ れ る。.

6.今 後 の課 題

口頭 発 表 場 面 の教 育 に 関す る研 究 は,学 習 者 の 言語 表 現 の 分析 や評 価 方 法 とい っ た教 師 側 の視 点 か らの研 究 は多 くな され て い るが,ス ピー チ 不 安 な ど学 習者 の視 点 に立 っ た研 究例 は まだ 多 くない 。今 回の よ うな,学 習 者 の 意 識 を改 め て調査 研 究 をす る こ と は,指 導 を考 え る上 で有 意義 で は な い か と思 わ れ る。 今 回 の調 査 項 目は,厳 密 な心 理 測 定 尺 度 を用 い た もの で は な く,口 頭 発 表 場 面 の指 導 の基 礎 的 な資 料 とす るべ く,大 きな傾 向 を 把 握 す る 目的 で行 った 。 また,母 語 と第 二言 語 に よる ス ピ ーチ不 安 の比 較 す る た め には,同 じ対 象 者 に2つ の異 な る言 語 を使 用 した場 合 で の心 理 状 態 の 比 較 をたず ね る とい う方 法 も考 え られ る が,現 実 に2つ 言語 に わ た っ て 発 表 ・ス ピー チ が で きる言 語 能 力の あ る被 験 者 を探 す こ とが 難 しい こ とか ら,今 回 は 日本 母 語話 者 と日本 語学 習者 を比 較 す る とい う試 験 的 な調 査 を 行 った 。

今 後 の課 題 と して は,デ ー タ数 を増 や してパ ラ メ トリ ック検 定 で量 的 な 検 定 を行 うこ とが あ げ られ る。 また今 回 の調 査 で は,中 上級 者 に発 表 ・ス ピー チ を経 験 した こ との ない 者 も含 まれ て い た こ とか ら,全 員 を経 験 者 に そ ろ え る な ど・ 学 習者 に関 す る統制 を厳 し く した上 で,様 々 な 角度 か ら の 研 究 を進 め てい く必 要が あ る と思 わ れ る。 一 方 で,ス ピー チ 不安 は学 習 者 の心 の 中 の問 題 で あ り,質 問 紙法 に よる調 査 に は 限界 が あ る こ と も事 実 で あ る 。 イ ンタ ビュ ー な どを通 じて学 習者 の生 の声 を と り入 れ た 質 的 な 調 査 との融 合 な ど,研 究方 法 の 改 善 につ い て も検 討 して い きた い 。 また ス ピ ー

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チ不 安 の 問題 は,学 習 者管 理 の 問題 と捉 え る こ とが で き るが,学 習 ス トラ テジ ー の 活用 も視 野 に入 れ なが ら,教 育 へ の応 用 を検 討 す る こ と も重 要 な 課題 と考 え る。 そ して最 終 的 に,学 習 者 の 抱 え る ス ピー チ 不安 を考 慮 しつ つ,日 本語 教 育 にお ける効 果 的 な指 導 方 法 を さ ぐっ てい きた い と考 え て い

る 。

謝辞

本 研 究 を進 め る にあ た り,多 くの 日本 語 ク ラス の 先生 方,留 学 生 ・大 学 生 ・大 学 院生 の 皆 様 方 に調 査 に ご協 力 いた だ きま した。 この 場 を借 りて,心 か らお礼 申 し上 げま す 。 ま た 貴 重 な ご意 見 を くだ さい ま した モ ニ タ ーの 方 々 に も感 謝 申 し上 げ ま す。

参 考 文 献

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