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<第一部 本研究の概要、目的とその方法>

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<第一部  本研究の概要、目的とその方法> 

  第一部においては、まず第1章にて研究の概要が示される。本研究のテーマとその契機 となる問題意識(1.1)、本研究の特長(1.2)、本研究の流れ(1.3)、本研究の基礎 的キーワード(1.4)について論じることとする。 

そして第2章では研究の目的が示される。 

第3章では研究の方法が示される。先行研究のサーベイの方法(3.1)、従来の産業活 性化策、地域産業事例のサーベイの方法(3.2)、事例地域における実践研究の方法(3.

3)、結論の導出の方法(3.4)について論じることとする。 

 

第1章 研究の概要 

本章においては、本研究のテーマ、問題意識、特長、流れについて論ずることとする。 

1.1項においては、本研究のテーマとその契機となる問題意識についてまとめている。 

本研究テーマに取り組むに至ったのは、筆者の職務経歴を通じて醸成された問題意識に 起因している。 

1.2項においては、本研究の特長についてまとめている。本研究には、4つの特長が あり、それらは筆者の研究者としての特性に起因している。 

1.3項においては、本研究の流れについてまとめている。 

1.4項においては、本研究にて用いる主要な用語の定義付けを行っている。

 

 

1.1 本研究のテーマとその契機となる問題意識 

 

本研究のテーマは、「地方の工業集積地域における産業活性化策に関する研究」である。

本テーマ選定に際しては、筆者の職務経歴を通じて培われた問題意識がその契機となっ ている。

  本研究を進めている筆者は、東京に生まれ、東京で教育を受け、東京で電機系製造業に 勤務し、その後、縁あって首都県北部を代表する工業集積地域、群馬県太田市に立地する 大学に転じた。

  企業勤務時代は、生産技術、事業管理、事業企画、事業開発を担務した。

主に、工程設計、地方製造系子会社の経営管理、原価低減、商品企画、収益管理、新規 事業開発等に取り組んだ。その過程で、地方に立地する製造子会社の経営戦略を東京本社 にて掌握している現実、東京の技術部門で設計VEを実施することにより地方都市の中小 部品メーカーの仕事がある日突然奪われる現実、等を見てきた。

我が国においては、周知の通り、人口や富は大都市に集中している。

さらに、研究開発人材、企業の本社機能、法律・会計・知的所有権等の専門人材、デザ イナー等、事業の企画立案に関わる主要な経営資源、諸機能が、東京等の大都市とその周 辺に偏在しているのは紛れもない現実である。

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そうした状況が変わらない中で急激な環境変化が進展している。

経営企画機能、専門人材の層が相対的に薄い地方において、産業をいかに活性化してい くかは、我が国の均衡ある経済発展を考える上で焦眉の急となっている。

また、筆者が大学に転じた平成4年は、1)経済のグローバル化、2)近隣新興諸国の技術力 向上、3)企業の海外直接投資の増加、4)バブル崩壊後の内需不振、が同時進行しはじめてい た時期でもあった。

筆者が活動基盤と定めた群馬県太田市とその周辺地域には、確固たる生産技術力を有す る中小企業が多数立地し、一定の工業集積が見られる。しかし、そうした企業の多くは他 律性の高い下請け企業であった。環境変化によるリスクが高まりつつある状況の中で、下 請け型経営からの脱却の必要性が感じられた。

特に、アジアを中心とする近隣新興諸国の工業集積加速は、近年、日本の既存工業集積 地域に強烈な変革圧力を加えている。Drucker,P.F.(1993)は、「イノベーションが不可避な 分野では、何もしないことがリスクを高める」と述べている。各企業家にとり「何かをす る事に伴うリスク」は未来永劫無くならないが、我が国の各工業集積地域では「何もしな いリスク」が急速に膨らんでいる。

Porter,M.E.(1990)は、企業や国のイノベーション能力、グレードアップ能力の重要性を 指摘しているが、我が国の地方の工業集積地域並びにそこに立地する企業が求められてい るのが、まさにこれらの能力である。

図1−1  本研究の契機となる問題意識

実務経験

研究活動 問題意識

•事業企画、事業開発

•地方子会社の管理

•生産技術、VE、等

•研究領域=      

  地域×経営×事業

•研究スタイル=   

  研究×地域貢献       ×政策立案

•大都市への

 高度機能集中

•大都市への

 専門人材集中

•製造業の

 グローバル展開

•近隣新興諸国の

 技術向上

•下請け型の

 経営の限界

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そうした問題意識に基づき、この10余年、1)「地域製造業のイノベーション」について 研究し、2)「地域産官学交流ネットワーク」を創設するなど社会的活動を実施し、3)「工業 集積地域における地域産業活性化」について考え活動し続けてきた。

地域産業、企業経営、事業の3レベルを統合して研究し、地域貢献を行い、同時に公的 機関の政策立案にも寄与する。そうした諸活動の蓄積が図1−1に示されている通り、本 研究の基礎となっている。 

 

1.2 本研究の特長

 

  本研究は、1)学際的な研究アプローチ、2)現場主義に基づく政策論、3)グローカルな視点、

4) 実践的な分析、の4つの特長を有している。

これら1)―4)について、筆者の研究者としての優位性は、下記のa−dにまとめられる。

すなわち、a.早稲田大学理工学研究科在学中、さらには同システム科学研究所特別研 究員時代に、経営、経済、システム科学の複合領域を産学共同研究してきた点、b.中央 官庁、地方自治体等の施策立案に協力し、関与し、同時に情報収集してきた点、c.地域 内外の有識者と産学官交流ネットワークを構築し、多数の地域企業のイノベーションを調 査してきた点、d.企業勤務を通じて技術と事業を関連付けて分析するスキルを磨いてき た点、である。本研究においては、a−dの諸点を活用し、1)−4)の各特長を際立たせつつ 論を進めることとする。

1.2.1 学際的な研究アプローチ

 

本研究テーマは関連領域が多岐にわたっており、学際的な研究アプローチを用いること を必要とする。既存の単一学問分野の論理体系では全体をカバーすることが困難な領域と 言える。

      図1−2 学際的な研究アプローチ

「地域産業〜

企業経営〜事業」

を統合した研究 地域産業の

マクロ分析

経営学他 経済学

地域産業の

ミクロ分析

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  経済学では、産業集積、イノベーション、工業立地といった諸分野が本研究に大いに関 連している。

経営学における企業家論(起業家論)は密接な関係がある。経営学における経営組織論、研 究開発、マーケティング、財務管理等も本研究を理解する上では基礎的分野となる。その 他、産業政策、都市計画、経済史、経営史、社会学、産業組織等の領域も関連性がある。

また、本研究分野においては、地域の企業家が引き起こすイノベーションを深く理解す ることが重要である。技術系の素養、工業経営への幅広い知識が求められる。

図1−2に示されている通りに、地域産業をマクロな視点で分析するのみならず、個別 企業のイノベーションをミクロな視点で分析し、それを積み上げていくことが重要となる。

筆者は、製造業における実務経験を経て、早稲田大学理工学研究科にて工業経営学を専 攻している。さらには同システム科学研究所・アジア太平洋研究所の特別研究員として次 世代生産システムの産学共同研究に従事し、経営学、経済学、システム科学の複合領域を 研究した経験を持つ。

また、地域産業、地域の企業家、地域の新事業、地域企業の経営システムについて幅広 く足を使い研究してきた。

成長力のあるイノベーティブな企業が多数集積する地域へと転ずることにより、地方の 工業集積地域の産業活性化が実現されていく。本研究においては、そうした道筋を学際的 かつ統合された視点により示すこととする。

 

 

1.2.2 現場主義に基づく政策論    

地域産業活性化については、現場主義に基づく政策論が必要とされている。

最近は、クラスター、産業集積、産業活性化に関する書物が多数出版されているが、各 著者の専門分野的な出自は、経済理論、産業政策、企業経営等、多岐にわたっている。

しかし、理論的に一定の水準にあり、その上で現場主義に基づく政策論を展開すること の出来る論者は極めて限られているのが実状と言える。

複数の学問分野に土地勘を持ち学際的なアプローチを取ることが出来、その上で理論的 な抽象化や深い歴史認識を備えていなければならない。そして、大きな問題は、理論を実 践できる場を持っているかどうかである。

クラスター論の提唱者であるPorter,M.E.は、実践的経営学を背景とし、それ以外に工学、

経済地理学などの素養を備えており学際的と言える。

Porterのクラスター論は、「状況証拠」を積み重ねて、その上で実践的な選択肢を示すと

いうビジネススクール的なアプローチである。必ずしも、経済学としての科学的アプロー チではないが、多数の事例研究を通じて、産業集積や産業競争力について示唆に富んだ抽 象化を行っている。

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Krugman,P.は、国際経済学、開発経済学などをベースとし、経済学者らしい科学的な論 理展開で地域産業集積について学際的に論じている。

しかし、こうした論客達は、泥臭い社会科学的実験の場を持ちそこで理論を実証してい るというわけではない。優秀な仲間とのネットワークを通じ良質な情報を得て、地域産業 や地域経済を俯瞰することに長けているのである。

筆者にとり参考となるのは、我が国の第一人者、清成忠男のアプローチである。

第一次ベンチャーブームの前から企業家セクターの研究を行っていた清成は、深みのあ る歴史認識に加えて国内外の産業集積を長年分析してきた。目線が現場に近く、その上で 抽象化された諸概念を提示している。

筆者の研究アプローチは、清成型の現場目線と歴史認識、企業家セクターを深く分析す る手法、諸理論を参考にしつつ、技術系のスキルを活用してオリジナリティを出そうとす るものである。さらに、この10年余、地方工業集積地域を舞台に泥臭い実践研究を続け、

得られた成果を政策立案の場にフィードバックしてきた経験を活用する。

図1−3に示される通り、本研究においては、先行研究により理論化、抽象化された諸 概念を参考とし、筆者による実践研究から得られた成果を統合する。

地域企業が直面する外部環境変化を歴史認識に基づき理解し、産業活性化策に関連する 諸構成要素(経営資源、インフラ)を把握する。その上で、現場主義に基づく政策論を展開す ることとする。

理論と歴史認識を背景とした現場主義こそが今求められているのである。

図1−3  現場主義に基づく政策論

1.2.3 グローカルな視点 

今や、各地域の産業は、オープンなグローバル経済の一部として考えていかなければな らない時代である。特に、製造業においてはグローバルな経営環境を無視して企業経営す

理論、歴史認識を 背景にした現場主義

外部環境変化

社会的実践 理論化/

抽象化

政策の構成要素

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ることが困難となりつつある。その一方で、地域産業活性化を実現するためには、各地域 にてローカルな努力を積み重ねていかなければならない。

製造業が多数立地する工業集積地域の産業活性化を論じるには、まさにグローカル

(Glocal)な見地を考慮に入れる必要がある。グローカルという造語は、「地球規模で考え、

地域で実践する(Think globally, Act locally)」ことを指すとされているが、地域産業活性化 のためには、まさに不可欠な考え方である。

本研究においては、グローバルな視点から国内外の先進諸地域産業の成功要因を抽出す ることとする。それと同時に、事例地域における実践研究を通じて、ローカルな視点から 工業集積地域のグレードアップの方法論を提示しようとするものである。

筆者は、経済産業省系の日本新事業創出機関協議会のフェロー、文部科学省科学技術政 策研究所の客員研究官等を兼務している。そうした諸機関における国内外の地域イノベー ションに関する比較分析成果を活用する。

その他、筆者は、経済産業省・中小企業庁等の官庁、地方自治体の政策立案に委員とし て多数参画している。そうした中で得られた知見を用い、従来の産業活性化策について、

その有効性と限界、政策的な流れについて論ずることとする。

産業活性化策には、国レベルのものから、地方自治体独自のものまである。

それら政策については、実践研究を通じて検証を行う。

図1−4 グローカルな視点

1.2.4 実践的な分析

  

地域産業活性化策を立案する際には、まず「どのような状況が産業活性化なのか」とい う定義を行い、どのようにそうした状況を創出するかを計画する。そして、政策立案後は、

その計画をフォローし、レビューする過程が必要となる。

こうした「地域産業の管理過程」についても本研究では論ずることとする。

地方工業集積地域 のバージョンアップ

ローカルな視点 グローバルな視点

政策研究 実践研究

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「マクロで漠然とした分析」でも「木を見て森を見ない分析」でもない、産業活性化策立 案のための実践的分析のあり方を示すこととする。

地域産業の分析に際しては、様々なアプローチが考えられる。

最もポピュラーなアプローチは、公的経済統計をベースに分析を実施するというもので ある。この手法は、データ入手性がよく、地域概況を理解する上では有益である。

本研究においては、こうした公的統計データに基づく地域産業の分析についても論じる こととする。

図1−5 実践的な分析

その一方で、公的統計データは、合計値、平均値により全体的傾向を把握するのには有 益であるが、構造的にどのような因果関係、因果順序が存在しているのかといった問題に ついては、常に明確な解を保証するものではない。質的な情報の収集についても十分にカ バーしているとは言い難い。

こうした公的統計データの課題を補完するためには、別途、私的な経済調査を通じて精 査を行う必要がある。これは、企業の経営実態について高度に分析するには、財務会計デー タのみならず、製品ポートフォリオ、顧客と供給業者、コスト構造、経営資源等の管理会 計データが不可欠となるのと同様である。

地域産業を深く理解するには、足で稼ぐスタイルにより、企業家に対するヒアリング調 査を実施することが重要である。そして、その際には、市場と経営資源、スキル、さらに はリスクとポテンシャルについての分析ノウハウが必要となる。

そして、こうした足で稼ぐ調査の際には、経済、経営、事業に関する知識はもちろんの こと、企業家という一人の人間を理解する感性が問われる。

産業活性化策立案 のための分析

地域産業 の管理過程

私的経済調査 に基づく分析 公的経済統計

に基づく分析

地域産業

のレビュー

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財務、商品企画は、企業家の金銭感覚を体現し、事業計画はマーケティングセンスを示 すものと言える。人材の調達等については人徳等が反映される。

地域の企業家についての深い理解は、地域産業についての深い理解につながる。

この点について、筆者は、製造業における実務経験に加えて、50−100社/年の企 業訪問、150−250社/年の事業計画評価を毎年積み重ねており、それらを通じて培 った分析力を持ち味として発揮する。

  また、地域に現在芽生えているイノベーションの萌芽、地域産業のポジショニング、フ ァンダメンタルズや諸構成要素(経営資源、インフラ)についても精査する必要がある。

筆者は地域のイノベーティブな企業群との交流組織を運営し、中小企業庁コーディネー ト活動支援事業のコンセプトを座長として導入を支援するなど、貴重な社会科学的実験の 機会を得てきた。本研究においては、コーディネート活動や企業支援における試行錯誤、

国内各地域のベストプラクティス調査を通じて得られた知見を論文に盛り込むこととする。

1.3 本研究の流れ 

  本研究は、表1−1に示されている通り五部構成となっている。

  第一部においては、研究の概要、目的とその方法が示される。

  本研究の全体像、コンセプト等がここでは明確化される。

  第二部においては、本研究に関連する先行研究が示される。

  本研究領域は、学際的アプローチが必要な分野であり、関連する諸領域の主たる先行研 究が分野ごとに示される。まずは、先行研究の体系について述べた後、本研究に関連する 重要な諸理論、諸概念を抽出する事が本部の要旨である。また、抽出された諸理論、諸概 念については、その後の論理展開にどのように活用されるかが明確化される。

  第三部においては、地域産業活性化策の体系、構成要素、成功要因等が示される。

地域産業活性化策は、様々な官庁、自治体が打ち出しており、体系、歴史的展開、構成 要素についてまとめる。そして、国内外の活力ある工業集積地域の成功要因、課題等につ いて論じる。政策手段の選択肢、成功要因等について明確化がなされる。

第四部においては、事例地域における実践研究が示される。

筆者が、10余年間基盤を置きコーディネート活動を続けてきた工業集積地域、群馬県 太田市を中心とする首都圏北部地域が実践研究のフィールドである。

まず、事例地域の産業集積、産業活性化策の流れが示され、次に事例地域では、どの様 な企業家活動が行われているのかが分析される。

そして、事例地域においてコーディネート活動を実施した実践から得られた知見が示さ れる。コーディネート活動、産業クラスター組織の立ち上げ等の実践を通じて得られた理 論をベースに、事例地域に相応しいさらなる活性化のための方法論を明確化する。

  第五部においては、第四部までに得られた知見等を基盤として、地方工業集積地域にお ける産業活性化策の在り方を示すこととする。

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  既に一定の工業集積を持つ地域がグレードアップするための政策体系はどうあるべきか、

地域産業活性化の構成要素(経営資源、インフラ)をいかに整備していくか、地域イノベーシ ョン創出システム構築についてどの様に進めていくか、について各論ずる。

  そして、まとめを行った後、今後の課題についても論じる。

   

表1−1  本研究の章立て 

<第一部  本研究の概要、目的とその方法>

    第1章 研究の概要

1.1 本研究のテーマとその契機となる問題意識

1.2 本研究の特長 1.3 本研究の流れ

1.4 本研究の基礎的キーワード

第2章 研究の目的     第3章 研究の方法

     3.1 先行研究のサーベイの方法

     3.2 従来の産業活性化策、地域産業事例のサーベイの方法      3.3 事例地域における実践研究の方法

     3.4 結論の導出の方法

<第二部  本研究に関連する先行研究>

    第4章 先行研究の体系

第5章 産業集積、産業立地等に関連する諸理論 5.1 産業集積、地域クラスターに関する先行研究      5.2 産業立地に関する先行研究

5.3 産業集積等に関連するその他先行研究 第6章 イノベーション、企業家等に関する諸理論      6.1 イノベーションに関する先行研究

6.2 企業家に関する先行研究

6.3 イノベーション、企業家等に関連するその他先行研究 第7章 産業政策、企業家支援等に関する諸理論

     7.1 産業政策、中小・ベンチャー企業政策に関する先行研究      7.2 企業家支援、金融等に関する先行研究

  7.3 産業政策、企業家支援等に関連するその他先行研究

第8章 先行研究と本研究の関わり 8.1 第5章と本研究の関わり 8.2 第6章と本研究の関わり 8.3 第7章と本研究の関わり

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<第三部  地域産業活性化策の体系、構成要素、成功要因等>

第9章  地域産業活性化策の体系と歴史的展開 9.1 地域産業活性化策の体系

9.2 地域産業活性化策の歴史的展開 9.3 第9章のまとめ

   第10章  地域産業活性化策の構成要素      10.1 地域産業活性化策の管理過程

     10.2 地域産業活性化に必要な経営資源、インフラ      10.3 第10章のまとめ

   第11章  国内外の活力ある工業集積地域事例とその成功要因等

11.1 海外の活力ある工業集積地域事例とその成功要因等

11.2 国内の活力ある工業集積地域事例とその成功要因等

11.3 地域産業活性化に向けた取り組み事例

11.4 第11章のまとめ

<第四部  事例地域における実践研究>

   第12章  事例地域の産業集積と従来の産業活性化策

12.1 太田地域の産業集積、産業活性化策

12.2 群馬県、首都圏北部地域の産業集積、産業活性化策

12.3 第12章のまとめ

   第13章  事例地域産業の企業家活動等      13.1 事例地域の製造企業等

13.2 事例地域の中小ベンチャー企業

13.3 第13章のまとめ

   第14章  事例地域における諸課題と課題解決のための実践      14.1 事例地域の経営資源、インフラに関する諸課題

14.2 事例地域におけるコーディネート活動の実践

     14.3 第14章のまとめ

<第五部  地方工業集積地域における産業活性化策の在り方>

   第15章  地方工業集積地域におけるグレードアップ型産業活性化策      15.1 グレードアップ型地域産業活性化策のロジック

     15.2 地域経営資源、地域インフラの整備策      15.3 地域イノベーション創出システムの構築策      15.4 第15章のまとめ

   第16章  まとめ 第17章  今後の課題

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1.4 本研究の基礎的キーワード

本研究に関連している各種用語は、その意味が漠然としたまま曖昧に用いられているこ とが多い。そこで、本項においては、研究テーマ「地方の工業集積地域の産業活性化に関 する研究」の中に含まれている「地方、地域、工業集積、産業活性化策」等の基礎的なキー ワードについて、本研究における定義付けを行うこととする。

1.4.1項にて、地方、地域について定義付けを行い、1.4.2項にて、工業集積、

産業活性化策について定義付けを行う。

1.4.1 本研究における地方、地域の定義

「地方」という語句は、様々なニュアンスで用いられる。言外に「地方=田舎」という意 味を持つことすらある。

地方については、機能的な階層構造と、地理的分業を絡めて語られることが多い。

機能的階層構造や地理的分業の問題は、国家と企業の双方にある。

まず、国家の官僚機構は、周知の通り東京に集中している。我が国では中央集権に対す る地方分権という論理で、「地方=東京以外」と認識されることが多い。

また、我が国では、戦後、多くの企業が本社機能を創業地から東京に移した。

そして、「a.東京以外の国内大都市」に支社を置き、安価な土地や労働力を確保しやす い「b.国内のその他地域」に工場を置くという階層構造も一般化していった。

我が国では、官僚機構の中枢機能と企業の本社機能の多くが東京に集積していることか ら、bを、あるいはbにaの大部分を加えた概念を「地方」と呼ぶことが多い。

  本研究においては、議論を明確化するために、「国や企業の諸企画機能が集積している 東京並びにその周辺地域以外は全て地方」と定義づけることにする。

  この定義では、大阪市や名古屋市といった大都市とその周辺も地方に入ることとなる。

本研究では、どちらかというと地方の非大都市を中心とした工業集積地域の問題に焦 点を合わせて論を進めるが、非東京の大都市圏、非大都市の県庁所在地、非県庁所在地 等、「地方」には様々な類型があることを念頭に置くこととする。

我が国における地方の概念に大きく影響しているのが、近代史上、1)近隣に先進国が少な

く、2)隣国からの侵略が無かったことに加えて、3)首都が長期にわたり移転していないこと、

4)民族的な多様性が少ないこと、だと言えるだろう。そして、「東京」に各セクターの中枢

機能と富が集中し、地方に権限を行使し、富の配分を行う構造が成立した。

欧州のように先進国が複数成立してきた歴史を持つ地域、経済的な栄枯盛衰や国境線の 変動等があった地域とでは、多くの相違点がある。

欧州では、古くから先進国間の水平的な産業の分業構造があり、最近では、EUと国家 の間の機能的階層構造についても議論されている。また、多種の民族や宗教が混在し、そ れらに起因する政治的問題があるため、地方分権に対する考え方が我が国におけるそれと は異なっていて当然である。

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一方、近年は日本の近隣新興諸国に工業集積地域が次々と誕生している。1)−4)の諸条件 のうち、1)について変化が生じている。

地域を代表する国際的水準の企業群は、海外生産活動を活発化させ、海外市場にて得ら れる収益が国内市場から得られる収益より伸びている事例も多々見られる。

こうした動向は、我が国においても、「東京と地方」に関する従来型の機能的分業論に影 響を与えている。企業立地は多極化し、土地と労働力については、海外地域に求める傾向 が強まっている。より市場に近い海外地域に高度機能をシフトする事例も増えている。

企業の拠点立地は、企業内部の全体最適を目指した資源配分と密接に関わっている。

多くの「国内の地方」が提供する土地と労働力は、コストパフォーマンスの面で、高度 成長期に比べて魅力の少ないものとなりつつあるのが実状と言えるだろう。

  官僚機構の中央集権構造については大きな変革の波がまだ訪れていないが、企業内の機 能的階層構造については、企画・デザイン等の高度機能が徐々に大市場に近いところにシ フトしていくという変化が一部の多国籍企業にて見られるようになりつつある。こうした 企業側の変化は、中長期的に、官僚機構内における構造改革に影響を与えるだろう。日本 企業の行動パターンが外資系のそれと近づいてくるため、工場の海外シフトにとどまらず、

本社機能等の海外移転が加速する可能性が高まるからである。 

「地域」と言う語句についても、地方と同様に曖昧に使用されることが多い。

例えば、Armstrong,H. & Taylor,J.(1985)は、「単純に国民経済より小さいものを地域経 済とする」という考え方に基づき、地域という用語を柔軟に用いている。

「地域」は、英語で言うところのRegion、Area、District等から、Local、Communityに 至る多彩な意味にて理解がなされる。地理学では、地球表面上のSpaceとして認識される。

「地域」という語句に関する衆目の一致する定義は存在していないものの、下記のⅠまた はⅡの「範囲概念」として理解されていることが多いと言えるだろう。

Ⅰ.ある行政区域内、地方政府の統治している範囲

Ⅱ.企業群や生活者達の活動が日常的に営まれている範囲

  地域産業政策については、Ⅰの行政的区分、あるいは「法律に基づく範囲概念」が重要 となり、その政策には自治体等の公的セクターの関与するウェートが高くなる。

しかし、その範囲はあくまで、歴史的経緯や文化的経緯、河川や山等の自然環境に基づ き便宜的に決められたものである。

我が国では、国の様々な事務を委任される都道府県、基礎的自治体である市町村が、地 方自治の現場を担っている。自治体の首長は民主主義的手続きを経て選任される存在であ り、地域産業政策は、福祉政策や生活基盤整備政策等、様々な政策の中の一つに過ぎない。

地域産業政策の優先順位は、首長の熱意や有権者の意識により異なってくる。

一方、企業や生活者の活動は、行政上の境界線には必ずしも支配されない。そのため、

ⅠとⅡの範囲が完全に一致することは通常あり得ない。

企業群と生活者の活動範囲も必ずしも一致しない。

(13)

生活者の活動範囲は、消費活動、生活に必要な消費財の調達、生活の糧を得るための職 場への通勤等により規定される。企業の活動範囲は、生産活動、業務上必要な生産財の調 達、顧客への納入等により規定される。

Marshall,A.(1920)は、地域に特定産業が集積することにより、人材や周辺産業が集積し、

技術等も迅速に共有されていくことを指摘している。外部経済化を通じて分業が成り立ち、

それを通じて規模の経済性等が得られることが産業集積のメリットなのである。

Krugman,P.(1991)は、こうした外部経済は、転居を伴わずに転職可能な範囲、財サービ スの流通が容易にしうる範囲、人的な接触が頻繁になされる範囲で成立するとしている。 

これは、上記のⅡにきわめて近い考え方である。

玉野井芳郎ら(1978)は、一定地域の住民が風土的個性を背景に、その地域の共同体に対し て一体感を持ち、自らの政治的・行政的自立性と文化的独自性を追求することを地域主義 (Regionalism)と呼び、提唱した。こうした地域主義の思想は、かつての「地方の時代」ブー ムにつながった。

こうした思想も踏まえた上で、本研究においては、Krugman,P.の考え方に近いⅡの「企 業群や生活者達の活動が日常的に営まれている範囲」を地域として定義する。

これは「法律に基づく地域範囲」の対立概念であり、「事実上の地域範囲」と言うことが 出来る。

勿論、地域産業政策には、Ⅰの範囲内を統治する行政組織が大いに関与する。

また、経済統計的には、Ⅰの行政単位毎に公的経済統計が把握される場合が多いので、

Ⅱの範囲の経済統計については個別の調査が必要となる点に留意が必要である。

そして、東アジア地域、欧州地域等の国家規模を越えた地域概念は、ここでは考えない こととする。ただ、例えば、複数国の境界線近隣に、特定産業が複数国にまたがり集積し ている場合等は、地域産業概念から排除すべきではない。

国家規模を越えた地域についても大スケールの地域概念として認めるべきという考え方 があるが、本研究では、地域とは「日常的な活動の基盤」とする。

本研究では、こうした範囲スケールについて、各企業の競争力が国家規模を越えて通用 する水準なのか、地元でのみ通用する水準なのかという、企業の競争力概念の分類に用い ることとする。

地域に関する範囲スケールとしては、マーシャル的な外部経済が機能する日常的な活動 基盤とはどの程度の範囲かがむしろ問題となる。

人間同士のコミュニケーション(精神的距離)、人やモノの移動(物理的距離)の両面で範囲 は規定される。我が国では、高速交通網の整備に伴い、物理的距離は、戦後一貫して改善 されてきた。情報通信網の整備や情報通信技術の革新は、精神的距離の短縮に寄与し、I T産業等においては商取引にかかわる物理的距離も劇的に短縮してきた。

しかし、隣接する集落同士がライバル関係にあるような地域では、物理的距離が短くと も精神的距離が長いということもある。ビジネスランチを摂りながら商談をして、即座に

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商取引が決まるような地域では、物理的距離も精神的距離も短いのである。

特に新規事業を立ち上げる際には、何らかのトラブルが不可避である。そうした状況に おいては、いかに迅速にトラブルから復旧出来るかが成功のカギとなる。例えば、部品製 造業の場合であれば、朝一番の顧客クレームを迅速に解決し、良品を午前中に納入すると いうスピード、そしてそれを支える物理的・精神的距離感が重要である。

移動距離と顧客との良好な関係の双方が問われる。

本研究において研究対象としている工業集積地域においては、信頼関係に基づき精神的 距離が短く、主要顧客までの納入が1−2時間以内に可能な物理的距離である場合が多い。

 

1.4.2 本研究における工業集積、産業活性化策の定義

  工業集積、産業活性化策というキーワードを定義付けするには、まず工業と産業という 語句の解釈を明確化する必要がある。Industry という語句を産業と訳すこともあれば工業 と訳すこともあるため、日本語による用語の混乱が見られる。工業と産業については、ほ ぼ同じ意味で用いられることもあれば、違う意味で用いられることもある。

  Watts,H.D.(1987)は、Industry とは、広義には第一次産業から第三次産業に至る全経済

活動を示すとしている。

  本研究においては、この見解に従い、第一次産業から第三次産業までの全経済活動を「広 義の産業」とし、ある地域の全経済活動を「広義の地域産業」とする。そして、産業構造 とは、各産業の生産力や産業立地、企業間組織、資本や労働の構造を指すこととし、相対 的に第三次産業のウェートが高まることを産業構造の高度化と呼ぶことにする。

  ただ、近年は、こうした第一次産業、第二次産業、第三次産業という産業分類が実態に そぐわなくなりつつある。

例えば、パーソナルコンピュータを商品として品揃えしている製造業でも、実際には中 国企業等からOEM購入し、自社では製造を一切していない場合がある。また、パーソナ ルコンピュータを顧客に直販するタイプの企業は、顧客管理やサポート、サービスに力を 入れており、第三次産業的なウェートが高くなっている。

  やる気のある酪農家は、第一次産業から脱皮し、乳製品や冷菓等の酪農加工製品を製造 したり、観光牧場を開設したりするので、第二次産業や第三次産業の要因を含むこととな る。同様に、先進的なレストランチェーンは、衛生面の優れた食品工場の様なセントラル キッチンを保有し、契約農家と提携して低農薬野菜栽培にまで乗り出す。

  進んだ経営を行う企業ほど、旧来型の産業分類にて仕分けすることが困難になる。

  競争力や付加価値を高めるようとすると、必然的に他社より進んだ製造過程、変換過程 を内包することになるからだ。

  その他、産業という語句の用法として、電機産業、自動車産業といった具合に、産出さ れる財により産業を分類することもある。

  本研究においては、こうした個別の財を産出するセクターを「狭義の産業」とし、ある

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地域の特徴的な財を産出するセクターを「狭義の地域産業」とする。

それに対して、「工業」とは、製造業セクターを指すこととする。

  工場が多数立地し、それらの延べ床面積合計が大きく、多くの工場労働者が働き多くの 生産設備が稼働している状況を「工業集積」とし、工業集積の見られる地域を「工業集積 地域」と本研究においては呼ぶこととする。多数の工場が立地する工業集積地域には、地 場産業型、企業城下町型、企業誘致型等のパターンがある。

  これに対し、「産業集積」とは狭義の産業が集積している状況のこととし、ある地域にお ける産業集積を「地域産業集積」、狭義の産業が集積する地域を「産業集積地域」とする。

例えば、織物や眼鏡等の地場産業が集積する地場産業型工業集積地域、鉄鋼産業や造船 産業等が集積する企業城下町型工業集積地域は、産業集積地域でもある。

多種多様な企業の工場を誘致した企業誘致型工業集積地域は、産業集積地域と言うほど 個別の財の生産について十分な集積が見られないこともある。つまり、一定の工業集積は あっても、産業集積があるとは言えない場合があるということである。

産業集積に関連したキーワードとしては、クラスターという語句も、近年使用頻度が高 い。クラスターとは元々は葡萄の房の意味で、Porter,M.E.(1990)は、様々な産業が相互連 結したものを「クラスター」と呼んでいる。

Porter のクラスター論については第5章にて論じることとするが、彼の言葉を借りるな

ら、顧客、供給業者、周辺産業を含む産業群のことである。

これは、産業の競争優位は特定の一産業単独で生ずるのでなく、相互に連結したクラス ター全体で生ずるという考えに立つ概念だ。

クラスターの中核的産業が競争優位に立ち、高水準の周辺産業との相乗効果で一層深み のある産業構造となる。一例として、我が国の現在の自動車産業では、国内に激しい競争 があり、その競争にもまれた各自動車メーカーは国際競争力を持つに至っている。自動車 部品メーカーも厳しい顧客の要求に日常的に応えているため実力がある。

Porter によれば、新しい競争力のパラダイムは国や企業のイノベーションとグレードア

ップの能力をベースとしており、イノベーションは競争などのプレッシャーから生まれる。

一方、どのようにプレッシャーを与えたならイノベーションが生ずるのか、競争に勝つ ためのイノベーションをどのように引き起こすのか、国レベルではなく、地域レベルでど のように競争優位を実現するかについて、各国・各地域の実態に即した個別具体論が求め られている。

本研究においては、 ある特定産業のクラスターの主たる産業群が特定地域に集積したも の を「地域クラスター」と呼ぶことにする。

一定の地域産業集積がなければ地域クラスター形成は事実上困難である。

クラスターという語句は新しいが、周辺産業の深み、外部環境への適応能力、競争力等 がある地域産業集積という概念であり、従来の産業集積論の延長上にあると考えられる。

次に、産業活性化、産業活性化策というキーワードについて、本研究における定義を述

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べる。これらの語句も様々な論者により曖昧に用いられている。

図1−6 地域クラスターの考え方

この問題については、第三部と第五部にて体系的に論じることとするので、本項では語 句の説明に止めることとする。

筆者は、ある著名な研究者に 地域産業活性化の定義は? という質問をしたことがあ るが、 地域の人達が良い表情をしているということ という禅問答のような回答であった。

確かに地域の産業が活性化しているなら、結果的に地域の人達は良い表情をすることに なるだろう。しかし、もう少し具体的な定義付けを行うことがここでは求められる。

産業活性化とは、産業がさらに活力を持つ状況に転ずることである。

地域経済の視点で考えると、1)既存地域産業が一層の活力を備える場合、2)新しい活力あ る地域産業が生まれる場合、の二通りに地域産業が活力を持つ状況は分類される。

本研究において「地域産業活性化」とは、上記1)、2)のいずれか、あるいは両方のパター ンを通じて地域産業が活力を持ち、自律的発展状況に到達することに他ならない。「地域産 業活性化策」とは、自律的発展状況に至るメカニズムを機能させるための政策とする。

産業政策という語句も曖昧さを多分に含んでいるが、第二部にてその先行研究の諸理論 を、第三部にて政策の流れを改めて論じることとする。本項においては、産業政策とは「産 業に関連する諸政策」であるという認識を示すに止めておくことにする。

最後に、通常は「地域産業活性化策」とほぼ同じ意味で用いられる「地域産業振興策」

についても、定義付けを行うこととする。

本研究においては、「地域産業活性化策」には地域における自律的発展を含むことを条件 としている。ところが、工場誘致型の産業政策は、東京などの本社に資本やノウハウの蓄 積がなされる場合が多いので、地域にて自律的な再生産は必ずしも起こらない。

顧客 供給

業者

クラスター構造クラスター

構造

  各国・各地域や各企業の    イノベーションの能力と    グレードアップの能力 個別具体論個別具体論

競争優位 競争優位

あるクラスターの

あるクラスターの

 主たる産業群の集積

 主たる産業群の集積

特定産業のクラスター

特定地域

中核的産業 その他 周辺産業

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  このように、工場誘致に代表される自律的発展が起こりにくい地域産業政策も含めた概 念として「地域産業振興策」を位置づけることとする。

産業政策には、規制緩和や産業組織への関与といった国レベルの政策が含まれている。

本研究では、産業政策のうち、地域レベルの政策全般を「地域産業振興策」と呼び、そ のうち自律的な再生産を含む戦略的な政策を「地域産業活性化策」と呼ぶことにする。

風土作り、インフラ整備、企業支援、競争力強化、集積促進、リソース充実、能力開発、

人材育成、イノベーション促進、コーディネート等の幅広い産業活性化策が今各地域で求 められている。

近年、我が国の産業政策には、地域産学官の努力結集を促し、競争優位産業の創出に向 けて各地域の自助努力を引き出そうという傾向が強まっている。我が国の中央集権構造は 未だに強固だが、地方の創意工夫を勘案した産業活性化策の模索がはじまりつつある。

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(参考文献)

<A>

Armstrong,H. & Taylor,J., 1985 . Reagional Economy and Policy. Philip Allan.「邦題:

地域振興の経済学、1991、大野喜久之輔監訳、晃洋書房」

<D>

Drucker,P.F. 1993 . Innovation and Entrepreneurship. Harper & Row, Publishers Inc.

「邦題:イノベーションと起業家精神  上・下、1997、上田惇生訳、ダイヤモンド社」

<K>

Krugman,P. 1991 . Geography and Trade. The MIT PRESS.

<M>

Marshall,A. 1920, Principles of Economics, Macmillan. 「邦題:経済学原理Ⅱ、馬場啓 之助訳、東洋経済新報社、1966」

<P>

Porter,M.E. 1990, The Competitive Advantage of Nations. The Free Press.「邦題:国 の競争優位、1992、土岐坤/中辻萬治/小野寺武夫/戸成富美子訳、ダイヤモンド社」

<T>

玉野井芳郎/清成忠男/中村尚司共編、1978、地域主義、学陽書房.

<W>

Watts,H.D. 1987 . Industrial Geography . Longman Group UK .「邦題:工業立地と雇 用変化、松原宏/勝部雅子訳、1995、古今書院」

参照

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