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「総合光学機器」メーカーの分析 その1 株式会社タムロン

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Academic year: 2021

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《研究ノート》「総合光学機器」メーカーの分析

その1 株式会社タムロン

溝田 誠吾

はじめに 光学機器メーカーの株式会社タムロン、シグマ、三共光学工業、これら3社はカメラのコア ディバイスである光学レンズ(=交換レンズ)を製作する光学機器メーカーである。 今回は、タムロン「交換レンズの製造工程」の工場現場を青森県に立地する3工場〈浪岡工 場(球面レンズ研磨中心と非球面ガラスレンズの製造)→大鰐工場(プラスチック部品の成形 工程)→弘前工場(交換レンズ最終組み立て工程組、金属部品加工)〉を調査した。そこで明ら かになったことは、青森3工場の編成、位置づけは、後発の「中国の仏山工場」(第1~3工場: 1998~2007 年)と「ベトナム工場(ハノイ)」(2012 年)の「マザー工場」である。

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1982(昭和 57)年には、西ドイツの現地法人の「タムロン・ヘアトリーブス G.m.b.h.」を設 立。香港現地法人「タムロン・ホンコン Ltd」設立した。1983(昭和 58)年には、一体型ビデ オカメラレンズを開発し、84(昭和 59)年には「株式会社オプテック・タムロン」(青森県浪 岡町)設立し、同社は「店頭取引銘柄」となり資本金は 38 億 3,557 万 5 千円に増資された。85 (昭和 60)年には、精密成形用金型工場として「株式会社ファイン技研」を設立。同年、青森 県大鰐町に成形工場を建設。95 年に英国に現地法人「タムロン U.K.Ltd.」を設立。同年、中判 カメラの老舗「ブロニカ株式会社」の株式取得し、新たに中判カメラ事業に進出。同年、11 月 弘前工場が「ISO9001」の認定工場になる。97 年には、香港に「タムロン工業香港有限公司」 を設立。同年7月、中国広東省仏山市に「タムロン光学有限公司」を設立。98(平成 10)年、 「ブロニカ株式会社」を吸収合併。

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医療用機器類、光学機器類の4業種に分けて把握することができる。 精密機器関連大手企業として、キヤノン、富士フイルムホールディングス、リコー、セイコー エプソン、オリンパス、ニコン、コニカミノルタホールディングスの7社が挙げられる。これ らの企業は、デジタルカメラなど光学機器類を中心に、比率の多少はあるが、それぞれ4業種 を手掛けている企業がほとんどである。 精密機器業に関係する業界団体は 20 を超え、業界の複雑・多様性を示している。精密機械を 代表するデジタルカメラの製造品出荷額は 4,000 円に迫る規模なっている。機械業界の複雑さ を物語る典型例として、関連団体は 50 を数えている(社団法人日本機械工業連合会の団体会員 の内訳)。 2007 年 11 月の改定で、精密機械器具業から変更された「業務用機械器具製造業」の統計で ある。『平成 26 年工業統計表』(経済産業省)によると、14 年業務用機械器具製造業の事業所 数は 6,997、従業者数 21 万 0092 人、製造品出荷額等7兆 0741 億円である。 精密機器は、明確な定義することは難しく、対象となる機器も多様化している。 《デジタルカメラ製造業》 従業者4人以上の事業所(153)の規模別内訳は、 4~9人:51 社、10~19 人:34 社、20~29 人:17 社、30~49 人:11 社、50~99 人:22 社、 100~199 人:8社、200~299 人:2社、300~499 人:4社、500~999 人:1社、1,000 人以 上:3社となっている。多くの製造業と同様に、部品加工の中小企業群が多いといえる。

一眼レフ用レンズができるまで(Camera Lens Manufacturing)

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十年単位の歳月を要する。マンツーマン指導によって、目と指先で精度をよむ、微妙な感覚を 身体化していく。原器製作に不可欠なもの、それは忍耐と根気だという。いつか必ず技術を習 得できることを信じ、日々研鑽を重ねることの先に、ようやく高精 度を体得する世界が開け る。原器製作に携わる熟練工は、ニュートンリングを読むことで、タムロン保証と呼ばれるラ ムダ/10 の高い精度を出す技術を持っている。 不可能を可能にする信念――これまでの技術を超えた厳しい要求に応えることで、技術のレ ベルが上がっていく。1R以下のカーブがとても困難な小径原器は、オスカー式研磨機が使え ないので、すべて手作業で製作していくことになる。現在のところ、0.6Rまで作った実績を持 つ熟練工がいる。また、基準としているラムダ/10 を超えるラムダ/15 の精度を出せる熟練工 が複数名いる。1R以下やラムダ/15 の世界は、肉眼と指だけでは到達できない。次元の違っ た領域である。不可能を可能にする信念の先に、干渉計で計測して始めてわかる水準の精度が 実現される。 技術力への自信とプライドを凝縮――破損や怪我の防止のために、鋭利な角を削る加工を、面 取りという。タムロンの原器には、必要最小限の面取りが施されている。面取りの幅が広けれ ば広いほど、周辺部分それに隠れる。必要最小限の面取りは、加工の難しい周辺部分も、きち んと高い精度が出ている証でもある。実用的には問題のないレベルの傷も入らないように、細 心の注意を払って仕上げられたタムロンのレンズ原器の美しさには、自信とプライドが凝縮さ れている。 2)大口径XGM の製品化 大口径 XGM が、高性能レンズの具現化――非球面レンズは、技術者にとっても、ユーザー にとっても、夢を叶えてくれるデバイスである。歪曲収差や球面収差などを抑制し、解像性能 を高めてくれるだけでなく、コンパクト化にも大きな効果がある。研削での製造はコストがか かり、大量生産には 不向きであったが、熱で柔らかくしたガラスを精密金型でプレスするガ ラスモールド方式によって、大量生産が可能になった。これまで難しかった、ガラスモールド による 55 ミリを超える大口径の生産を可能にした画期的な技術が、タムロンの XGM(Expanded Glass Molded Aspherical:大口径ガラスモールド両面非球面)である。明るい開放F値という夢 を実現する大口径、高い解像性能という夢を実現する非球球面レンズ。この2つの夢が出会い、 より身近でコンパクトな高性能レンズに結実するためのイノベーション、それが XGM なので ある。

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いるという状況である。

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1984 年8月 東京証券業協会での『店頭取引銘柄』になる。資本金は 38 億 3,557 万5千円に増資。 1985 年 12 月 精密成形用金型工場として『株式会社ファイン』を設立。 (昭和 60 年) 青森県大鰐町に成形工場を設立。 1995 年4月 英国に『タムロン U.K.Ltd 』設立。 (平成7年) 1995 年7月 中判カメラの老舗『プロニカ株式会社』の株式を取得し、新たに中 (平成7年) 判カメラ事業に乗り正す。 1995 年 11 月 弘前工場「ISO9001」認定工場になる。 (平成7年) 1997 年5月 香港に『タムロン工業香港有限公司』を設立。 (平成9年) 1997 年7月 中国広東省仏山市に『タムロン光学有限公司』を設立。 (平成9年) 1998 年7月 『ブロニカ株式会社』を吸収合併。

2000 年6月 フランスに「TAMRON FRANCE EURL.」を設立。 (平成 12 年) 2000 年9月 本社部門において「ISO9001」を認証取得。 (平成 12 年) 2000 年 12 月 弘前工場において「ISO14001」を認証取得。 (平成 12 年) 2001 年9月 仏山工場において「ISO9001 及び ISO14001」を認証取得。 (平成 13 年) 2001 年 10 月 本社部門において「ISO14001」認証取得。 (平成 13 年) 2003 年 11 月 浪岡工場・大鰐工場において「ISO14001」を認証取得。 (平成 15 年) 2004 年1月 浪岡工場・大鰐工場において「ISO9001」を認証取得。 (平成 16 年) 2005 年4月 埼玉県さいたま市見沼区蓮沼に本社を移転。 (平成 17 年) 2005 年 10 月 中国上海市に『騰龍光学(上海)有限公司』を設立。 (平成 17 年) 2006 年 11 月 東京証券取引所市場第1部に上場。 (平成 18 年) 2007 年 11 月 仏山工場第3期工場(新工場)稼動。 (平成 19 年) 2009 年8月 自動車産業用品質メネジメントシステムである「ISO/TS16949」を認 (平成 21 年) 証取得。 2012 年3月 ロシアに「TAMRON (Russia) LLC」を設立。 (平成 24 年)

2012 年5月 ベトナムに「TAMRON Optical (Vietnam) Co.,Ltd」を設立 (平成 24 年)

2013 年3月 インドに「TAMRON INDIA PRIVATE L1MITED」を設立。 (平成 25 年)

2015 年2月 株式会社宏友興産の株式を取得し、子会社とする。 (平成 27 年)

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参照

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