日本の コンテンツ産業
2005
財団法人デジタルコンテンツ協会 /
はじめに
日本のコンテンツ産業は、 近年におけるデジタル技術の進化、 ブロードバン ドインターネットの急速な普及などにより著しい変化を遂げつつあり、 コンテン ツビジネスはまさに転換期を迎えようとしているといえる。
本冊子は、 このような状況を背景に、 日本のコンテンツ産業を概観したもの であり、 「日本のコンテンツ政策」 「日本のコンテンツ産業とデジタルコンテンツ 市場」 「参考データ」 など、 掲載内容の大部分は当協会発行の 『デジタルコンテ ンツ白書 2005 』 から引用している。
また、コンテンツ産業は世界全体としても成長が期待されており、特にアジ ア地域においては今後コンテンツ産業の急速な成長が見込まれる。 世界・ア ジアのコンテンツ産業について、 本冊子では成長予測などを紹介している。
本冊子が、 日本国内および世界・アジアの各国において、 日本のコンテンツ 産業についての理解を深めるのに多少なりとも役立てば幸甚である。
※本冊子に掲載されている情報は2005年9月20日現在のものです。
本冊子について
◆市場規模の把握
● メディアコンテンツ産業の市場規模
コンテンツを、「映像」「音楽・音声(ラジオ放送)」「ゲーム」「図書・新聞、画像・テキスト」に 区分し、これとクロスする形でコンテンツの流通メディアとして、①パッケージソフトの出 版・発行・販売による流通 ②インターネットのアクセス・配信による流通 ③インターネ ット対応の携帯電話による流通 ④映画館・カラオケ・アーケードゲームなどの拠点サービ スによる流通 ⑤テレビの地上波・衛星・CATVやラジオによる放送の5区分に分類し、こ れらをメディアコンテンツ産業としてとらえ、市場規模を推計している。
● デジタルコンテンツの市場規模
デジタル形式で記録されたコンテンツを対象とし、エンドユーザー(コンテンツの利用者)
に対する暦年1年間の売上金額を市場規模として把握したもの。
①パッケージ流通コンテンツ ②インターネットを利用して流通するコンテンツ ③イン ターネット対応携帯電話で流通するコンテンツ ④デジタル放送向けコンテンツと、流通 メディア別に区分し、これとクロスする形で「映像」「音楽」「ゲーム」「図書、画像・テキスト」
と、コンテンツを4区分に分類して市場規模を推計している。
◆本冊子におけるデジタルコンテンツの定義
コンテンツ
デ ジ タ ル コンテンツ
様々なメディア上で流通する[映像、音楽、ゲーム、図書]など、動画・
静止画・音声・文字・プログラムなどの表現要素によって構成される 情報の内容
デジタル形式で記録されたコンテンツ
Copyright©2005DCAj All rights reserved Reproduction Forbidden
不許複製・禁無断転載
Printed in Japan by Dai Nippon Printing Co.,Ltd.
はじめに
本冊子について
スペシャリストからのメッセージ
世界に躍進・活躍する日本のコンテンツ ──────── 4
1. 日本のコンテンツ政策 ─────────────── 6
2004年度のコンテンツビジネス振興政策の動き
『知的財産推進計画2005』
『新産業創造戦略2005』
2. 日本のコンテンツ産業とデジタルコンテンツ市場 ─── 10
コンテンツ産業の市場規模 デジタルコンテンツの市場規模 コンテンツの各分野別動向
3. 世界・アジアのコンテンツ産業 ─────────── 16
世界におけるコンテンツ産業の成長予測 アジアにおけるコンテンツ産業の成長予測 日本・アジア間のコンテンツ輸出入推移 コンテンツ見本市における人的交流
4. 参考データ ──────────────────── 19 5. 主なコンテンツ関連イベント ──────────── 22
目 次
2004年度の日本発コンテンツ の大きな話題は、映画、アニメー ションを中心に多くの作品が海外 での評価を得ることで、日本人監 督やクリエイターたちが海外に躍 進・活躍の場を見いだし始めたこ とだろう。
この傾向は2002年度のアニメ ーション作品『千と千尋の神隠し』
(宮崎駿監督)が、第75回米国ア カデミー賞の長編アニメーション 部門賞、第52回ベルリン国際映画 祭の金熊賞(実写映画を含めた最 優秀作品賞)ほか多くの国際賞を 受賞し、それが宮崎作品のみなら ず、日本アニメーション全体への 高い評価につながり始めたことに 端を発しているだろう。
2004年度は、前年公開の米国 ワ ー ナ ー ・ ブ ラ ザ ー ス 映 画 作 品
『ラスト サムライ』(エドワード・
ズウィック監督)が、日本の幕末 を舞台に武士と米国人軍事教官と の交流を描いた作品として国際的 な評価を得、アカデミー賞にノミ ネートされるなど、コンテンツと
いうよりも、日本文化全体への関 心から幕を開けた。同作には渡辺 謙を筆頭に、真田広之、小雪など の日本人俳優も出演し、渡辺はそ の後も別のハリウッドメジャー映 画への出演を決めることになった。
また同じく前年度公開された米 国映画『キル・ビル』(Vol. 1, 2/
ク エ ン ティン・タ ラン ティーノ 監 督)が、日本を舞台にした作品とし て、日本風の殺陣などのアクション を取り入れながら、国際的な興行 で大きな成果を収めていたことも 大きいだろう。同作品が1970年 代の『修羅雪姫』(藤田敏八監督)ほ か日本映画の影響を強く受けてい ることは監督自身が表明している が、この作品では日本のアニメー ション制作会社プロダクション・ア イジー制作によるアニメーション が取り入れられている。
その後公開されたプロダクショ ン・アイジーによるアニメーション 映画『イノセンス』(押井守監督)は、
海外での評価も高く、第57回カン ヌ国際映画祭ノミネートのほか、ス
ペインの第4回シチェス映画祭で オリエント・エキスプレス賞を受賞 するに至った。また宮崎駿監督作品
『ハウルの動く城』も年末に公開さ れ、国内外で高い興行収益を上げた ほか、ベネチア国際映画祭のオゼッ ラ賞を受賞するなど、これもまた高 い評価を獲得している。
また2004年は、アニメーショ ンだけでなく実写映画でも、日本 人監督の活躍がクローズアップさ れてきた年だったといえる。特に、
日本人監督作品としては、初めて 2週間連続全米興行収益1位を記録 し、米国内興行収益で1億ドルを 超えた『THE JUON/呪怨(The GRUDGE)』(清水祟監督)はオ リジナルのビデオ版、劇場版を監 督した清水氏自らが監督したハリ ウッド映画であった。黒沢清監督 作品などによって一部のマニアに 築かれてきた印象もある日本製ホ ラー映画の世界評価を、この作品 が一気にエンターテインメントと しての評価の高みに乗せたといえ るだろう。
世界 スペシャリストからのメッセージ に 躍進・活躍 する 日本 の コンテンツ
演技指導をする中田監督
『ザ・リング2』
10月28日DVD販売予定(販売元:アスミック)
TM & ©2005 DREAMWORKS LLC
─ 知的財産立国の実現、 アイデンティティーの刷新をめざして ─
こうした評価を受けてか、かつて ゴア・ヴァービンスキー監督によっ て邦画作品を元にリメイクされたハ リウッド映画『The Ring』の第二 作目『The Ring2』は、オリジナ ルの邦画作品『リング』の中田秀夫 監督によってハリウッド映画として 制作された。2005年3月の全米興 行は3,332館で公開され、オープ ニング興行収入(3月18日から20 日までの収入)が、3,500万ドル を突破、全米初登場第1位の大ヒッ トを記録している。もちろん、以前 から、日本の映画作品が海外での評 価を獲得することは度々あった。し かし、2004年度に起こった事態が それらと違うのは、日本人がハリウ ッドを中心とする世界舞台で作品を 作り始めたことだろう。
また日本のアニメーション作品 は、これまでもテレビアニメを中心 に数多くが輸出され、アジア、ヨー ロッパで受け入れられてきている。
例えば、映画版『ポケットモンスタ ー』のエグゼクティブプロデューサ ーを務める久保雅一氏は、2002年
のヨーロッパにおける日本アニメー ションのテレビ放送本数は、ドイツ で週53本、ベルギーで47本、イタ リアで40本という驚異的な数字と なっていることを指摘する(久保雅 一・畠山けんじ『踊るコンテンツ・
ビジネスの未来』小学館)。しかし 一方では、多くの日本アニメーショ ン作品は、それが日本発のものであ ることはさほど意識されておらず、
言わば無国籍な作品として海外で受 け入れられてきたとの指摘も多い。
2004年に顕在化している事態 は、これとは違い、日本発のコンテ ンツ、ポップカルチャーの総体が独 自の文化として、一定の評価を持っ て受け入れられつつあることだろ う。例えば、日本のポピュラーミュ ー ジ ッ ク の 女 性 デ ュ オ ・ P U F F Y
(パフィー)をモデルにした米国ア ニメーション番組『ハイ!ハイ!パ フィー・アミユミ』が11月に米国 のアニメーション専門チャンネル
「カートゥーン ネットワーク」で始 まり、高視聴率を記録している(日 本のカートゥーン ネットワークで
は2006年1月より放送予定)。同 ネットワークの人気アニメーション
『ティーン・タイタンズ』の主題歌 をパフィーが唄ったことがきっかけ となり誕生した番組とのことだが、
本人たちも実写で登場する『ハイ!
ハイ!パフィー・アミユミ』の成功 は、日本の現代のポピュラー文化が そのまま違和感なく、世界で通用す る可能性を示している。
こうした動向から、日本の現代社 会・文化や都市生活そのものへの関 心が高まってきていることを指摘す る向きもある。例えば、秋葉原、東 京のアニメーション制作会社、コミッ クマーケットなどを観光コースに入 れた「日本アニメツアー」などが欧米 を中心に好評を博しているという。
日本のコンテンツ、ポップカルチ ャーに対して芽生えつつある世界か らの評価=ブランド力を、今後いか に持続・拡大していけるか。さらに は観光など周辺の産業資源として、
いかに育成・派生させていくことが できるのか。それが2005年以降に 課されたテーマだといえるだろう。
「ハイ!ハイ!パフィー・アミユミ」
TM & ©Cartoon Network. (s05)
福冨忠和
国際大学グローバル コミュニケーション センター 主幹研究員・教授
2004年5月、経済産業省は経済財政 諮問会議からの要請に応じて『新産業 創造戦略』を取りまとめた。この中で 今後重点的に取組を進めていくべき先 端的新産業分野の1つとしてコンテンツ 分野が取り上げられ、そこには2010 年の市場規模を15兆円(うちデジタル コンテンツの国内市場規模は6.3兆円)
とする展望が示された。
また同年4月、知的財産戦略本部のコ ンテンツ専門調査会は『コンテンツビ ジネス振興政策』を発表し、コンテン ツビジネス振興を国家戦略の柱とし、
「3つの目標、10の改革」をもってそれ を実現するとした。
さらに同年5月、知的財産戦略本部は
『知的財産推進計画2004』を発表、そ の第4章でコンテンツビジネスの飛躍的 拡大を目指し、「業界の近代化・合理化 の支援」「資金調達の多様化」「コンテ ンツの制作等へのインセンティブ付与」
「人材の育成」「コンテンツ関連技術の 高度化」「人材の発掘と顕彰」「教育や 啓発の充実」「海外展開の拡大と海賊版 対策の強化」「ブロードバンド等を活用 した事業展開の推進」「地域等の魅力あ るコンテンツの保存発信強化」等、12 の項目でコンテンツビジネス振興のた めの指針を示した。
この『知的財産推進計画』は3カ年の 集中改革であり、2004年度は改革の 実施年度、2005年度は改革の推進、
2006年度は改革の成果を評価すると し、2010年度の未来図(市場規模15 兆円、社会をリードするビジネス)へ 導くものとしている。
このように2004年は、コンテンツ ビジネスが国家戦略の重要な柱として 動き出した年であり、その構想に基づ いて様々な施策が国や民間で講じられ た年であった(図表1)。以下に主要な 成果について概略を紹介する。
◆下請代金支払遅延等防止法の改正
(2004年4月1日施行)
下請法は代金支払の遅延や買い叩き 等から下請事業者を保護する制度であ る。従来の規制対象は製造業、すなわ ち物品等の製造・修理を委託する取引 だけであったが、今日の経済のソフト 化 ・ サ ー ビ ス 化 を 受 け 、 規 制 対 象 を
「情報成果物の作成に係る下請取引」お よび「役務の提供に係る下請取引」に まで広げる法改正が行われた。情報成 果物の作成には、ゲームソフトのプロ グラム作成やテレビCMの制作等のコン テンツ制作が含まれる。
◆コンテンツ海外流通マーク『CJマーク』
制定(2004年9月2日発表)
日本のアニメーションやゲームなど の海賊版に対抗するため、コンテンツ 業界団体などで作るコンテンツ海外流 通促進機構(CODA)は、日本統一の コンテンツマークを制定した。マーク で違法コピーを判別し、商標権侵害な ど の 摘 発 を 進 め る 。 マ ー ク は
1. 日本のコンテンツ政策
2004年度のコンテンツビジネス 振興政策の動き
『下請代金支払遅延防止法』の改正(2003年6月成立)の施行 コンテンツ専門調査会『コンテンツビジネス振興政策』公表
−3つの目標と10の改革
『新産業創造戦略』(経済産業省)の決定
『知的財産推進計画2004』策定
『コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律』成立 コンテンツ海外流通マーク『CJマーク』制定
コンテンツ促進法第25条『コンテンツ版バイドール規定』施行 東京国際映画祭の抜本的強化
映像産業振興機構設立
『コンテンツビジネス改革のロードマップ』策定 知的財産権信託の解禁(信託業法の改正)
音楽レコード還流防止措置(『著作権法』の一部改正)
経団連による『映像コンテンツのブロードバンド配信に関する使用料率』の策定
『知的財産推進計画2005』(知的財産戦略本部)策定
『新産業創造戦略2005』(経済産業省)策定 2004年 4月
5月 6月 9月 10月
12月
2005年 1月 3月 6月
図表1 2004年から2005年にかけての主な動き
「Content Japan」の頭文字「CJ」を 図案化。既に中国、香港、韓国、台湾、
米国、欧州連合(EU)で団体商標権を 出願した。対象製品は、CD、DVD、
ゲームソフト、出版物、玩具、インタ ーネットの電子出版物・映像・画像で、
パッケージにマークを張る。これによ り、例えばマークがない商品は一目で 海賊版と判別でき、製品品質法違反、
著作権法違反を当局に申し立てること ができ、マークそのものをコピーした 場合は商標権違反を申し立てることが できる。
◆コンテンツ促進法第25条『コンテンツ版 バイドール規定』(2004年9月4日施行)
従来、国の委託による制作物に係る 知的財産権は国に帰属することとなっ ていたため、制作者のインセンティブ が阻害されたり、コンテンツの二次利 用が進まないといった弊害が指摘され ていた。今回の立法により、国が第三 者に制作を委託または請け負わせたコ ンテンツについて、一定の条件を満た せば、当該コンテンツに係る知的財産 権を受託者や請負者に譲り渡すことが できることとなった。
◆東京国際映画祭の抜本的強化
(2004年10月)
2004年10月23日から31日までの 9日間、第17回「東京国際映画祭」が、
六本木ヒルズと渋谷Bunkamuraをメイ ン会場として開催された。
『知的財産推進計画2004』には、東 京国際映画祭が3大国際映画祭に比肩す る高い国際評価を得ることができるよ う抜本的な強化を図る、と掲げられてお り、次のとおり新しい試みがなされた。
・映画とテレビ番組を売買する「東京
国際フィルム&コンテンツマーケッ ト(TIFCOM)」の同時開催。他の海 外国際映画祭同様に、映画とテレビ 番組を中心とした映像コンテンツの 売買のためのマーケットが併設され、日本はもとより、米国、韓国、中国、
香港、シンガポール等から83社の企 業が出展し、1,859名のバイヤーが 訪れ、活況を呈した。
・コミック、アニメーション、ゲームな
どを一堂に会した「東京国際エンター テイメントマーケット(ENTaMA)」も 幕張メッセで併設され、日本を代表す るコンテンツ関連企業118社が出展 した。このマーケットでは、映画以外 の分野で日本のコンテンツ産業の強 みを世界にアピールした。2005年は上記2つのマーケットを統 合し、「TIFFCOM2005〜アジア・パシ フィック・エンタテインメント・マーケッ ト」として、2005年10月26日から28 日にかけて六本木ヒルズで開催される。
◆映像産業振興機構設立(2004年12月)
映像産業振興機構は、「映像コンテン ツ産業関係企業・団体・職能者組織等 を主体に、政府による継続的支援のも とに、映像コンテンツ産業に係る教育 支援、作品の制作支援、内外の市場開 拓などの諸事業を通じてわが国の映像 コンテンツ産業の振興」を目的として 2004年12月に設立され、2005年6 月NPO法人として本格的な活動を開始 した。
事業の骨子として「映像産業に係る 人材育成の支援」「映像コンテンツ作品 制作への支援」「映像コンテンツ関係起 業への支援」「国内・国際市場整備機能 のための既存関係団体・組織への協力」
の4つの柱を掲げ、映像コンテンツ産業 の振興を図るとしている。
◆知的財産権信託の解禁(信託業法の 改正)(2004年12月30日施行)
信託業法ではこれまで、受託可能財産
を、「金銭」「有価証券」「金銭債権」「動産」
「土地およびその定着物」「地上権および 土地の賃借権」の6種類に限定していた が、この制限が緩和され、特許権や著作 権などの知的財産権についても受託可 能となった。これにより映画や音楽など のコンテンツに係る著作権も信託でき る(知的財産権信託)こととなった。ま た従来は、事実上信託銀行のみがその担 い手であったところ、併せて金融機関以 外の一般事業会社の信託業務事業への 参入も解禁され、2005年5月には第1 号となる信託会社が設立された。
◆音楽レコード還流防止措置(『著作権法』
の一部改正)(2005年1月1日施行)
日本のレコード業界は現在、アジア 諸国に販路を拡大しつつあるが、アジ ア諸国のレコード会社で生産された安 価な邦楽レコードの日本への逆輸入が 販路拡大の足かせとなっていた。この ため、著作権法を改正し、逆輸入を規 制する制度(「音楽レコード還流防止措 置」)を設けた。国外において許諾を受 けて作成した正規版の音楽レコードを
「権利者の許諾なしに、情を知って」、
頒布目的で輸入し、頒布目的で輸入さ れたものを頒布し、頒布目的で輸入さ れたものを所持することが禁じられる。
その後、日本レコード協会が発表した 運用基準では、パッケージ等にマーク を表示することで逆輸入版かどうかを 見分けやすくした。また、国内発売後 の輸入禁止期間を4年と定めた。
◆映像コンテンツのブロードバンド配信に 関する使用料率の策定(2005年3月)
2005年3月、日本経済団体連合会
(経団連)の「ブロードバンドコンテン ツ流通研究会」(2002年結成。民放連 と、JASRACなど著作権関連16団体 が参加し、ブロードバンド配信におけ る著作権処理や使用料などを協議中)
は、テレビ局が制作したテレビドラマ をブロードバンドでストリーミング配 信する場合に関する使用料率について、
著作権関連団体と合意したと発表した。
発表によると、テレビドラマをブロ ードバンド配信する事業者は、その情 報料収入の8.95%、そして広告収入の 1.35%を著作権使用料として支払うこ ととなる。その内訳は、文芸・音楽・
レコード・実演の4分野に分かれてお り、図表2のようになっている。
今回の合意は、あくまで2006年3月 31日までの暫定的な利用料率とはい え、著作権問題という壁を乗り越える 一歩だといえる。ただし、この使用料 率はあくまで「ストリーミング型」配 信に限定したものであるように、依然 として動画コンテンツの「ダウンロー ド型」配信に対する警戒心は強い。
2005年6月、知的財産基本法に基づ き推進計画の見直しを行い、『知的財産 推進計画2005』が策定された。集中 的改革の2年目として同2004の400 項目を上回る約450項目の施策が盛り 込まれている。
『知的財産推進計画2005』の第4章 では、コンテンツをいかした文化創造 国家への取組がうたわれており、「コン テンツビジネスの拡大」と「ライフス タイルをいかした日本ブランド戦略」
について、施策を取りまとめている。
以下に第4章Ⅰの抜粋を紹介する。
◆コンテンツビジネスの飛躍的拡大 今後、コンテンツビジネスが成長発 展を遂げる上で達成すべき課題として、
「業界の更なる近代化・合理化」「活躍 する者や産業としての重要性に対する 評価・社会的認識」「海外・新分野への 展開」が挙げられる。わが国コンテン ツ産業が、諸外国との競争に打ち勝つ とともに、日本文化の発信を通じて海 外における日本理解の増進を図るため、
コンテンツビジネスの振興を国家戦略 の柱として明確に位置付け、消費者か らの視点も取り入れながら関係者が一 体となって以下の施策を迅速かつ強力 に展開する必要があるとして3年間の集 中改革期間を設定した。
その1年目を経て、資金調達手段の多 様化や人材育成に向けた取組などの改 革が進み、コンテンツビジネスの飛躍 的拡大に向けた道筋が立てられた。集 中改革期間の2年目を迎え、諸課題の速 やかな達成を目指した積極的取組を進 める。
①業界の近代化・合理化を支援する 契約慣行の改善や透明化に向けた取
組の奨励・支援。独占禁止法等の厳 正な運用。弾力的な価格設定など事 業者による柔軟なビジネス展開の奨 励。統計資料の整備。
②コンテンツの制作・投資等を促進する
「完成保証制度」の充実。ファンドに よる資金調達に対する投資促進。コ ンテンツ評価手法の確立。コンテン ツの制作・投資等促進のためのイン センティブ付与。フィルムコミッシ ョン等の映像制作活動支援。
③人材育成を強化し、顕彰を充実する プロデューサーや創作者等の育成。
経営・法務・財務の専門家の活用奨 励。人材育成事業の支援。映像産業 振興機構の活動支援。有能な人材の 発掘と顕彰。教育や啓発の充実。
④コンテンツ流通大国に向けた改革を 進める
デジタル時代に対応した幅広い改革 の推進。新しいビジネスモデルと技 術の開発。法制度の改革推進。青少 年の健全育成への自主的な取組の奨 励・支援。
⑤海外展開を拡大する
JETRO、NEXI等を通じた海外展開 支援。東京国際映画祭の抜本的な強 化。世界への発信強化。アジアとの 連携強化。
分野
情報料収入8.95%
広告収入の1.35%
文芸
音楽
レコード
実演
協議先団体
日本文藝家協会 日本脚本家連盟 日本シナリオ作家協会
日本音楽著作権協会
(JASRAC)
日本レコード協会 日本芸能実演家団体協議会 実演家著作隣接権センター
(CPRA)など
日本芸能実演家団体協議会 実演家著作隣接権センター
(CPRA)など
合意内容
(当該分野の料率の合計)
情報料収入 2.8%
情報料収入および 広告料収入
1.35%
情報料収入 1.8%
情報料収入 3.0%
ブロードバンド 放送事業者
図表2 映像コンテンツのブロードバンド配信に関する著作権関係団体と 利用者団体協議会との合意について
(放送局制作のテレビドラマ番組をストリーム配信する場合の利用料率)
日本経済団体連合会 ブロードバンドコンテンツ流通研究会 発表資料(2005年3月23日)を元に作成
『知的財産推進計画2005』
⑥ライブエンターテインメントを振興 する
業界の近代化・合理化支援。集積化 に向けた取組奨励。観光との連携推 進。実演家の活動環境整備。
⑦コンテンツのアーカイブ化に関する取 組を奨励・支援する
コンテンツのアーカイブ化促進。フ ィルムセンターの充実。放送番組セ ンターの充実。文化遺産の公開・活 用。歴史的公文書を保存・公開し、
活用。地域のデジタルアーカイブ拡 充やネットワークの利活用推進。デ ジタル情報のアーカイブ化促進。コ
ンテンツ制作現場スタッフの技術の 保存を奨励・支援。デジタルアーカ イブ化のための研究開発。
⑧改革のロードマップを実現する
⑨コンテンツ促進法を的確に運用する コンテンツの創造、保護及び活用の 促進。「コンテンツ版バイ・ドール制 度」の積極的な利用の促進。
『新産業創造戦略2004』の具体化を 図るべく政策面を進化させた『新産業 創造戦略2005』が2005年6月に策定
された。この中で「コンテンツ」は重 点戦略7分野の1つとして取り上げら れ、今後、「コンテンツ流通の共通基盤 を整備し、ブロードバンドを活用した コンテンツ流通の拡大」「海外との連携 強化を図り、日本のソフトパワーを強 化」「コンテンツ流通拡大に向けた法制 度整備の検討」の施策について、重点 取組が予定されている(図表3)。
『新産業創造戦略2005』
○ 現在、国際的な評価は非常に高い。「Cool Japan」と 呼ばれ、文化への理解、国家ブランド価値の向上に資 するなど「ソフトパワー」としても注目を集める。
○ 一方、産業構造上、流通部門が寡占的傾向にある中で、
コンテンツ自体の価値を創造する生産部門が必ずしも 成果に応じたリターンを得られていない状況にある。
市場規模予測( )内はデジタルコンテンツ市場規模 2001年 2010年 11兆円(1.9兆円)→ 15兆円(6.3兆円)
(海外輸出・ライセンス規模)
0.3兆円 → 1.5兆円
① 市場の状況
○ 新しいコンテンツ市場を立ち上げることによりコンテンツ 産業のフロンティアを拡大する
・国際展開の促進による日本ブランドを確立する。
・ブロードバンドを活用した市場の確立を加速化する。
○ コンテンツ産業の構造改革により強靱な産業構造を構 築する
・デジタルシネマの推進による映像産業構造改革を促す。
・人材育成によるコンテンツ生産力を強化する。
・公正な取引環境を確立する。
・資金調達環境を整備する。
② アクションプログラム
■ 戦略の内容
■ 戦略の内容
○ 2003年のコンテンツ産業市場規模は12.8兆円と順 調に拡大
○ IP放送サービス等ブロードバンドを活用した新流通が 拡大
○ 東京芸大映像学科開設など教育機関におけるコンテン ツ関連コースが増加
○ 日本経団連は産学官連携を目指した「映像産業振興機 構」を設置(2005年6月NPO格認可)
○ 民間における様々なコンテンツファンドの立ち上げ
① 市場の状況の変化
○ 東京国際映画祭国際取引市場の開催
・東京国際映画祭に併せてコンテンツ国際取引市場を設置。
総合的なエンタメマーケットを実施。(4.4億円)
○ 海賊版対策専門家派遣
・昨年から北京・上海に海賊版対策専門員を常駐。情報収集、
現地企業相談等の相談窓口として機能。(3.5億円)
○ デジタルコンテンツ市場の整備・不正コピー対策技術の 検証
・デジタルシネマ推進フォーラムの設置等市場確立支援。
(0.6億円)
○ 人材育成事業
・プロデューサー・クリエイター育成カリキュラム等を策 定、教育機関で実証。今後は産学官連携を強化。(0.7億円)
○ 信託業法の改正、がんばれ!中小企業ファンド等資金調 達環境の整備
② 具体策
○ コンテンツ流通基盤(プラットフォーム)の整備
○ 海外との共同制作、人材交流の強化、アジアコンテンツ 産業セミナーの開催
○ コンテンツ流通拡大に向けた法制度整備の検討
③ 今後の課題
■ 現在の進捗状況 ※( )は17年度予算額 図表3 先端的な新産業分野(コンテンツ)
2004年の日本の「メディアコンテン ツ産業の市場規模」は、各産業団体等の 公 表 値 を 元 に 推 計 し た 結 果 、1 3 兆 3,362億円の規模となった(図表1参 照/注1)。この規模は過去5年間おおむ ね変化しておらず、人口や経済動向と同 じく動きのないものとなっている。一方、
このうちの「デジタルコンテンツの市場 規模」は2003年暦年から2004年暦年 に11.1%成長し、2兆4,685億円とな った(図表2参照/注2)。このデジタル コンテンツの市場は過去年間10%程度 の伸びを続けており、メディアコンテン
ツ産業のデジタル化の進展を示すもの となっている。
図表3の「コンテンツの分野別割合」で は、雑誌・書籍・新聞にオンラインデータ ベースなどを合わせた図書・新聞等の分
野が42.6%を占め、次いで映像ソフト、
映画興行、テレビ放送に、映像配信を合 わ せ た 映 像 分 野 が 3 5 . 5 % 、残りが 音 楽・音声(ラジオ放送)とゲームとなる。
図表4の「メディアの分野別割合」では、
2. 日本のコンテンツ産業と デジタルコンテンツ市場
13
兆3,362
億円図書・新聞、
画像・テキスト 5兆6,757億円 42.6%
ゲーム 1兆733億円 8.0%
音楽・音声
(ラジオ放送)
1兆8,560億円 13,9%
映像 4兆7,312億円 35.5%
図表1 メディアコンテンツ産業の市場規模
音楽・音声 ゲーム 図書、画像・テキスト 映像
(億円)
(年)
0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000
2002年 推計 2003年 推計 2004年 推計 2005年
予測 9,602
8,410
6,592
5,106
6,739
6,559
6,467
6,866
3,861
4,356
4,246
4,390
5,698
5,360
4,910
3,755
2兆5,900億円
2兆4,685億円
2兆2,215億円
2兆117億円 コンテンツ分野別
図表2 デジタルコンテンツの市場規模
インターネット 携帯電話 デジタル放送 パッケージ
(億円)
(年)
0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000
2002年 推計 2003年 推計 2004年 推計 2005年
予測 16,649
16,197
14,506
14,082
5,011
4,636
4,176
2,896
2,665
2,330
2,057
1,758
1,575
1,522
1,476
1,381
2兆5,900億円
2兆4,685億円
2兆2,215億円
2兆117億円 メディア分野別
コンテンツ産業の市場規模
映像・音楽・ゲームに図書・新聞を加えた パッケージソフトとしての流通が半分以 上、放送が3割弱、次いで拠点サービス 流通になり、インターネットや携帯電話 による流通はごくわずかである。
しかし、メディアコンテンツ産業全体 の中で成長しているのはDVDという新 しいメディアによるデジタルソフトのセ ル(販売)・レンタルと、インターネットや 携帯電話によるコンテンツ利用など新し いデジタルコンテンツをデジタルメディ アで提供する分野のみである。逆に図 書・新聞や、デジタルソフトであっても音 楽CD、家庭用ゲームソフトなどは、横ば
いあるいは減少している。また雑誌収入 の23.3%、新聞の32%、民放地上波放 送の85.6%を占める広告による収入も 横ばいだが、インターネット広告、携帯 電話広告は伸びている。
このようにコンテンツとメディアの関 係は、大きな変化の時期を迎えている。
注1:本推計は各産業団体発表の数値を 元 に 推 計 を 行 っ た も の だ が 、 2003年度・2004暦年の数値の 両方を用いている
注2:本推計は暦年の数値
2004年の「デジタルコンテンツの市 場規模」は2兆4,685億円となり、昨年 から11.1%の伸びとなった。この市場 は毎年10%近くの伸びを続けており、
毎年2,000億円台のペースでアナログ メディアからの転換が図られてきた状況 を呈している。
特に拡大が注目されるのは、パッケー ジの映像市場でのDVDのセル・レンタ ルである。DVDプレーヤーの世帯普及 率は35.4%となり、セル・レンタル合わ せた市場は前年に比べて約1,700億円
図表3 コンテンツの分野別割合(2004年)
合計
13
兆3,362
億円ゲーム 1兆733億円
8.0%
図書・新聞、
画像・テキスト 5兆6,757億円
42.6%
映像 4兆7,312億円
35.5%
音楽・音声(ラジオ放送)1兆8,560億円 13.9%
アーケードゲーム 6,377億円 4.8%
映像ソフト8,873億円 6.7%
インターネット映像配信 173億円 0.1%
映画興行 2,109億円 1.6%
民放地上波 2兆2,746億円 17.1%
2兆3,576億円 17.7%新聞
雑誌 1兆6,968億円 12.7%
携帯電話文字情報等サービス 743億円 0.6%
ナビゲーションソフト 519億円 0.4%
インターネット音楽配信 50億円 0.04%
携帯電話音楽配信 1,099億円 0.8%
カラオケ7,851億円 5.9%
コンサート2,080億円 1.6%
ラジオ放送2,278億円 1.7%
ゲームソフト3,809億円 2.9%
オンラインゲーム193億円 0.1%
携帯電話向けゲーム 354億円 0.3%
携帯電話映像・画像配信 314億円 0.2%
BS・CS 2,965億円 2.2%
CATV 3,330億円 2.5%
NHK 6,802億円 5.1%
音楽ソフト 5,202億円 3.9%
書籍 9,429億円 7.1%
オンラインデータベース、
メールマガジンほか 5,522億円 4.1%
図表4 メディアの分野別割合(2004年)
合計
13
兆3,362
億円 放送3兆8,121億円 28.6%拠点サービス流通 1兆8,417億円
13.8%
インターネット流通5,938億円 4.4%
パッケージ流通 6兆8,376億円
51.3%
携帯電話流通 2,510億円
1.9%
アーケードゲーム 6,377億円 4.8%
映像ソフト 8,873億円 6.7%
映像配信173億円 0.1%
映像・画像配信 314億円 0.2%
映画興行 2,109億円 1.6%
NHK6,802億円 5.1%
図書・新聞、画像・テキスト 5兆492億円
37.9%
オンラインデータベース、メールマガジンほか 5,522億円 4.1%
文字情報等サービス 743億円 0.6%
音楽ソフト 5,202億円 3.9%
音楽配信50億円 0.04%
音楽配信 1,099億円 0.8%
カラオケ・コンサート 9,931億円 7.4%
ラジオ放送 2,278億円 1.7%
テレビ 2兆9,041億円 21.8%
ゲームソフト 3,809億円 2.9%
オンラインゲーム193億円 0.1%
携帯電話向けゲーム 354億円 0.3%
デジタルコンテンツの市場規模
拡大した。レコードからCDヘの転換で は、CDプレーヤーが世帯普及率の50%
を超え、音楽ソフトが出荷割合の80%
を超えるまでに約8年を要しているが、
ビデオからDVDへの転換もこれと同じ ペースで進行してきたといえる。2005 年以降はこの伸び率は幾分低くなると考 えられ、このことがデジタルコンテンツ 市場全体の伸び率の成長予測を低いも のとしている。その他、音楽、ゲーム、図 書等のデジタルパッケージソフトは、一 様にマイナス成長か低い伸び率にとどま っている。
インターネットによる流通では、音楽 配信、オンラインゲーム、電子書籍等の 分野を筆頭に成長しており、オンライン データベースは既に成熟した市場となっ ている。またブロードバンドの普及で、
映像系コンテンツの成長が期待されて いる。
携帯電話による流通では、着信メロデ ィ、「着うた」に、「着うたフル」を加えた音 楽配信の市場規模が1,000億円を超え たことが注目される。その他、映像・画 像の配信、テキスト系コンテンツやゲー ムも、着実に市場を拡大している。
デジタル放送の市場は、エンドユーザ ーの視聴料負担だけとるとわずかな伸び だが、地上波放送のデジタル化をはじめ 放送のデジタル化が進行しており、これ によるメディアコンテンツ産業全体の変 化が注目されている。
◆映像
映像コンテンツの流通別の売上割合 は図表5のように、テレビ放送によるも のが圧倒的に多く、次いでパッケージソ フト、映画興行となり、インターネットに
よる映像配信、携帯電話による映像・画 像配信はごくわずかである。
テ レ ビ 放 送 で は 地 上 波 1 2 8 社
(NHK・キー局・地方局)と、BS 7事業 者、CS 184チャンネル、CATV 571 事業者があり、事業収入合計3兆5,843 億円、うち民放地上波局には2万4,419 人が従事している。
映像ソフトは、日本映像ソフト協会加 盟社37社を含め約200社のメーカーよ り、家電量販店やレコード店、コンビニ 等3万5千店の小売店と全国約6千店の レンタル店に出荷され、2004年の映像 ソフトの市場は合わせて8,873億円、そ のうちDVDが72%を占めるに至ってい る。
インターネットやブロードバンドで映 像配信を行う事業には映像ソフトメーカ ーなどが参入しており、昨年は人気の韓 国ドラマの配信などが行われ、173億円
売上
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000
制作
アニメ番組収入 約1,000億円
(週90本×12カ月×広告収入) 映画(日本アニメ)
興行収入 381億円 売上高 約2,609億円
制作高 約833億円 アニメ番組制作費 約450億円
(週90本×50週×1,000万円)
DVDソフト(日本アニメ)
出荷高1,228億円
DVDソフト(日本アニメ)権利収入 約307億円(出荷高×0.25)
映画(日本アニメ)
製作費 約76億円
(億円)
図表6 アニメーションの制作・売上高の推計(2004年)
合計
4
兆7,312
億円インターネット映像配信 173億円 0.4%
映画興行 2,109億円 4.5%
パッケージソフト 8,873億円 18.8%
携帯電話映像・画像配信 314億円 0.7%
放送 3兆5,843億円 75.8%
地上波
(民放およびNHK)
2兆8,329億円 59.9%
BS
(民放およびNHK)
1,985億円 4.2%
CS 2,199億円 4.7%
CATV 3,330億円 7.0%
セル 5,287億円 11.2%
レンタル 3,586億円 7.6%
図表5 映像コンテンツの流通別の売上割合
コンテンツの各分野別動向
の収入となっている。
携帯電話による映像・画像配信の市場 は、第3世代携帯の普及とともに伸び、
既にインターネット映像配信をしのぐ 314億円の市場となっているが、移動中 の視聴環境や画面サイズ、画質を考慮し た、携帯電話向けの映像コンテンツが求 められている。
映画は、邦画製作大手5社をはじめ洋 画および独立系配給会社約100社が配 給し、2004年にはスクリーン数が144 増の全国2,825スクリーンで上映が行 われている。2004年には邦画310 本・洋画339本が公開され、興行収入は 2,109億円、うち邦画興行収入は791 億円、さらにこのうち381億円が上位 20位以内の日本のアニメーションの興 行収入である。
日本のアニメーションは、マンガ、ゲ ームなどとの関連が深く、映画、テレビ、
映像ソフトに加え、インターネット、携帯 電話など多メディア展開が進展してい る。海外からも高い評価を得ているが、
最近は制作・流通ともに市場に対して過 剰であると懸念する声も聞かれる。
アニメーションの流通は、2004年に 劇場公開された上位20位以内の作品で 381億円の興行収入となるアニメーシ ョン映画と、30分1話当たり約700万
〜1,200万円程度で制作されるテレビ 番組(2004年秋期には毎週122タイト ル、冬期には95タイトル:日本動画協会 発 表 )の 放 送 、こ れら を 二 次 利 用して 2004年にDVD出荷の19.3%となった 映像ソフト販売によって行われている。
図表6のように、これによるアニメーシ ョンの売上は約2,609億円、アニメーシ ョン制作プロダクションにもたらされる 制作高は約833億円と推計される。
◆音楽
音楽コンテンツは、ソフト販売、配信、
放送や実演まで、権利利用のルールや権 利収入の徴収・配分の仕組みが整備さ れ、パッケージソフトについては世界的 に統計が完備している。レコード・CDな ど は 、こ の 仕 組 み の 下 で 作 詞 家・作 曲 家・アレンジャーが楽曲を提供し、アー ティスト(歌手・タレント)や演奏家によっ て原盤が制作され、レコード会社によっ て販売されてきたが、図表7に見るよう に、日本の音楽市場の大きな特徴として、
カラオケ市場の大きさ、そして最近の携 帯電話による音楽利用の普及が挙げら れる。
昨年、日本レコード協会会員21社や そ の グル ープ を 含 め 、主 要 な 約 9 0 社 150レーベルと、これ以外に約1,500
あるといわれるインディーズレーベルか ら発売されたCDなどの音楽ソフトは、
CDセル4,478億円、CDレンタル600 億円、その他アナログディスク・カセット テ ープ 等 の 売 上 1 2 4 億 円 、合 わ せ て 5,202億円の市場となった。CDアルバ ムの新譜タイトルのうち邦楽タイトル数 は 5 , 7 4 7 で 、全 体 に 占 め る 割 合 は 47.8%である。レコード会社から発売 された音楽ソフトは、数社の卸を経て約 1,400店のレコード店(日本レコード商 業組合加盟店)や、コンビニなどで販売 され、映像ソフト同様、3,305店のレン タル店でレンタルされるほか、オンライ ンでの販売も広がっている。しかしここ 数年、CDの市場は縮小しており、ミリオ ンヒットも減少している。
一方、音楽市場で売上を伸ばしている のが、携帯電話による着信メロディ、「着 うた」で、昨年は「着うたフル」のサービ スも加わって1,099億円の売上となり、
「着うたフル」は2004年11月のサービ ス開始から2005年4月3日までに、一 曲200〜300円の楽曲のダウンロード 利用が500万件を超えた。
こうした携帯電話での音楽利用は、着 信メロディをアクセサリーのように使う という、世界的に全く新しい音楽利用の 市場を開いたと言うこともでき、また「着
合計
1
兆6,282
億円 拠点サービス9,931億円 61.0%
インターネット音楽配信 50億円 0.3%
パッケージソフト 5,202億円 32.0%
携帯電話着信メロディ・
「着うた」・「着うたフル」配信 1,099億円 6.7%
CDセル 4,478億円 27.5%
その他のセル 124億円 0.8%
CDレンタル 600億円 3.7%
カラオケ 7,851億円 48.2%
コンサート 2,080億円 12.8%
図表7 音楽コンテンツの流通別の売上割合
うたフル」の普及は携帯電話で音楽を聴 くスタイルを浸透させた。これにより携 帯電話は、iPodをはじめデジタルオー ディオプレーヤーや、インターネットに よる音楽配信と競合するようになってき ている。
これに対して、インターネット音楽配 信は、レコード会社共同のサービスとし て先行していた『Mora』に加え、マイク ロ ソフト、E x c i t e 、O C N 、オリコン、
Yahooなどが参入して各サービス10万 曲近い提供曲数をそろえ、本格化した。
2005年はこれに対して日本の音楽ファ ンが、どこまで音楽配信を利用するのか が注目されている。
CD楽曲の二次利用としてとらえられ てきたカラオケは、実は日本の音楽市場 の半分近い、7,851億円の市場となって いる。
音楽ビジネスでは、コンテンツの制 作・流通のみならず、年間2,080億円の 市場となっているコンサートやライブ と、その録画・録音の二次利用、アーティ スト本人のテレビ・ラジオ等放送メディ アへの出演も大きなパートを占めてい る。また音楽の著作者や原盤の権利者に は、CM・映画・放送・ゲーム等での音楽 利用も重要な収入源となっている。
◆ゲーム
ゲームコンテンツ市場は、図表8のよ うに、家庭用ゲーム機のソフト、および PC用のゲームソフト、インターネットに よるオンラインゲーム、携帯電話向けゲ ーム、アーケードゲームからなり、このう ちアーケードゲームの売上が最も多い。
家庭用ゲームは、日本で開発され、全世 界に普及したコンテンツであり、ソフト とハードは密接な関係にある。
2004年末に任天堂DS、ソニーPSP と2つの携帯用ゲーム機が発売され話題 となった。当初ソフトのタイトルの少な さが危惧されたが、2004年末にDSが 150万台、PSPが48万台を売り、ハー ド出荷をわずかな前年割れにとどめる 要因となった。さらに2005年4月の出 荷はDSが200万台、PSPが100万台 となっている。2004年の国内家庭用ゲ ームの市場はハード1,201億円とソフト 3,160億円を合わせて4,361億円とな り、ここ数年横ばいである。また、海外 出荷については、2003年には国内出荷 の2倍以上となっている。このうち初代 P S・P S o n e の 世 界 累 積 出 荷 台 数 は 2004年5月に1億台を超えたが、日本 製ソフトはアメリカでのシェアが約半分 から3分の1まで落ちるなど厳しい状況 もある。
国内の家庭用ゲーム機のハード・ソフ
トに加え、649億円の売上となるPC用 ゲームソフトは、ハードメーカー系卸、ソ フト専門卸、玩具、レコードの卸を通じて、
専門小売店1,347店のほか、映像など との複合店、家電量販店、一般量販店、
玩具店、コンビニ等で販売されている。
またハードメーカーは、既に据え置き 型にインターネット接続機能を持たせて おり、DS、PSPも無線LAN機能を有し、
さらに次世代機では任天堂が過去のゲ ームソフトをすべてダウンロード可能と することを発表するなど、次世代の家庭 用ゲームはオンラインと融合しつつあ る。
オンラインゲームの市場は、従来の推 算で193億円としているが、2005年4 月に発表された「オンラインゲームフォ ーラム」の市場統計調査では、オンライ ンゲーム運営サービス売上367億円、
オンラインソフト販売212億円、合わせ て579億円、登録会員1,942万人、課 金会員266万人としている。
また携帯電話によるゲームも354億 円と市場が成長している。ソフトを端末 にバンドルしたもの、ダウンロードする ものだけでなく、オンラインアクセスす るRPGや対戦型のものなどが、家庭用 のゲームを携帯電話用にカスタマイズし てサービスされている。
アーケードゲームは、家庭用ビデオゲ
合計
1
兆733
億円 アーケードゲーム6,377億円 59.4%
オンラインゲーム 193億円 1.8%
家庭用ゲーム機向けソフト 3,160億円 29.4%
携帯電話向けゲーム 354億円 3.3%
PC用ゲームソフト 649億円 6.1%
パッケージソフト 3,809億円 35.5%
図表8 ゲームコンテンツの流通別の売上割合
ームのゲームソフトメーカーおよび専業 メーカーがソフト・ハード一体で開発に 当たり、専業のゲームセンターや兼業店 に供給し、ゲーム市場では最も大きなシ ェアとなっている。アーケードゲームの 専業ゲームセンターをはじめゲーム設置 店は2万6,359店で、6,377億円の売 上となっている。
◆図書・新聞、画像・テキスト
文字情報を伝えるメディアの代表は、
図書・新聞など印刷物のアナログコンテ ンツとして流通している。これに対して、
図表9のように、インターネットや携帯電 話による文字情報等のコンテンツの割 合は、ごくわずかにとどまっている。
図書・新聞においても、その制作工程 はデジタル化、ネットワーク化され、電 子書籍、新聞社のニュースサイト、ニュ ース配信や記事データベース、メールマ ガジン、CD-ROM縮刷版など、パッケー ジやネットワークによるデジタルコンテ ンツとしての流通も広がっている。
図書のうち書籍は年間約7万4,587 タイトル・約7.5億部/販売額9,429億 円 、雑 誌 は 週 刊・月刊・季 刊 等 合 わ せ 3,624タイトル・約30億部/販売額1兆 2,998億円が発行され、タイトルの多様 さや発行部数の多さは世界有数である。
しかし図書の市場は、雑誌広告3,970
億円を含め毎年横ばいで、そのうち390 億円の電子書籍(リファレンス、教育・教 養)販売の市場も昨年より減少した。
マンガは、アニメーション、ゲームな どに連動し、キャラクターの元になるコ ンテンツで、週刊誌では雑誌の15.2%
の発行金額、書籍では4.5%の発行金額 を占める。
書籍・雑誌は取次店を経て、全国1万 8,156店の書店とコンビニなどで販売 されるが、コンビニでの売上は図書販売 全体の4分の1にまで迫っており、また マンガ喫茶・新古書店なども流通上の問 題となっている。一方、「アマゾン」、「ブ ックワン」などのインターネットで注文 を受けて販売するオンライン書店は売上 を伸ばしている。
印刷物を流通せずにオンラインで書 籍・雑誌データを販売するのが電子書籍 で、2004年春に電子書籍に対応した専 用端末が登場し、20億円の市場となっ た。これは利用できる期間や回数が決め られた配信用データをオンラインストア で購入してダウンロードし、それを専用 端末に移して読む仕組みとなっている。
また、これまでの出版社によるものでは ない、メールマガジンなどインターネッ ト独自の文字情報等サービスは、148 億円の市場となる。
ナビゲーションソフトは地図出版のデ
ジタル化によるコンテンツだが、出版社 以外にシステムメーカーが販売するなど 特殊な流通となっている。ナビゲーショ ンソフトはカーナビゲーションシステム の普及とともに伸長し、519億円の市場 となった。
日本では日刊紙が合計5,302万部発 行され、最も新聞が普及した国といえる。
新聞の販売、広告収入にその他を加えた、
新聞社全体の売上は2兆3,576億円で、
微減傾向にある。新聞に限らず、様々な オ ン ラ イ ン デ ー タ ベ ー ス の 市 場 は 、 3,720億円となっている。また携帯電 話による、天気をはじめ様々な文字情報 のサービスの市場は563億円、インター ネット広告の市場は1,634億円、携帯電 話広告の市場は180億円となっており、
これら文字情報にかかわる利用料と広 告を合計すると、5兆6,757億円になる。
合計
5
兆6,757
億円携帯電話流通 743億円 1.3%
インターネット流通 5,522億円 9.7%
パッケージ流通 5兆492億円 89.0%
新聞販売1兆2,640億円 22.3%
書籍販売 9,429億円 16.6%
雑誌販売 1兆2,998億円 22.9%
雑誌広告 3,970億円 7.0%
新聞広告 7,544億円 13.3%
新聞その他 3,392億円 6.0%
ナビゲーションソフト 519億円 0.9%
オンラインデータベース 3,720億円 6.6%
電子書籍・メールマガジン・その他 168億円 0.3%
インターネット広告 1,634億円 2.9%
携帯電話文字情報等サービス 563億円 1.0%
携帯電話広告 180億円 0.3%
図表9 図書・新聞、画像・テキストコンテンツの流通別の売上割合
P r i c e W a t e r h o u s e C o o p e r s
「Global Entertainment and Media Outlook 2004-2008」によると、世界 のコンテンツ産業の市場規模の推移は、
2004年で約140兆円(約1兆3,000億 ドル )となっており、2 0 0 8 年には、約 180兆円(約1兆6,700億ドル)まで成長 すると見込まれている(図表1)。成長率は 2 0 0 4 年から2 0 0 8 年 の 期 間 で平 均 6.3%となることが予測されており、世界 銀行「Global Economic Prospects 2005(2004年11月)」による、2004 年、2005年の世界全体の経済成長率予 測がそれぞれ4.0%、3.2%であることと 比較すると、コンテンツ産業の成長はこれ をはるかに上回る水準で成長していくと 期待できる。
アジア地域では今後コンテンツ産業 の急速な成長が見込まれている。アジ ア地域のコンテンツ産業は2004年か ら2008年まで一貫して世界のコンテ ンツ産業全体の成長率よりも高い水準 で推移していくと見込まれており(図 表2)、仮にこのスピードを更に10年維 持するとした場合に、市場規模は2.5倍 の規模に達する。また、世界全体にお け る シ ェ ア は 2 0 0 4 年 の 1 9 % か ら 、 2008年には22%に拡大する見通しと なっており(図表3)、このスピードを 維持すると、2015年には28%まで拡 大する見込みである。
3. 世界・アジアのコンテンツ産業
(経済産業省 「コンテンツビジネスアジア連携研究会 報告書」 より)
世界におけるコンテンツ産業の 成長予測
※ここでのコンテンツ産業には、映画、テレビ、音楽、ラジオ、屋外広告、インターネット広告、ゲーム、ビジネス情報、
雑誌、新聞、書籍、テーマパーク、スポーツが含まれる。
0 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000
2004 2005 2006 2007 2008
12,000 14,000 16,000 18,000
(年)
(億ドル)
0 4 3 2 1 5 6 7 8
(%)
アジアにおけるコンテンツ産業の 成長予測
図表1 世界におけるコンテンツ産業の成長予測
図表2 アジアにおけるコンテンツ産業成長率予測
0 4
2
2004 2005 2006 2007 2008
6 8 10 12
(年)
(%) 世界 アジア
PricewaterhouseCoopers「Global Entertainment and Media Outlook 2004-2008」を元に作成 PricewaterhouseCoopers「Global Entertainment and Media Outlook 2004-2008」を元に作成
アジア地域における経済成長に伴い、
コンテンツ産業にかかわる貿易が拡大 している。日本とアジア諸国とのコン テンツ輸出入量をみると、図表4のよう に、2003年にはアジア向けコンテン ツ輸出が約315億円、アジアからのコ ンテンツ輸入は約170億円の規模とな っている。
図表4 日本・アジア間のコンテンツ輸出入推移
0 150 100 50
2001 2002 2003
200 250 300 350
(年)
(億円) 輸出(アジア) 輸入(アジア)
117 157
318
164
315
170
0 50
ゲーム 音楽 出版
100 150 200 250
(億円) 輸出 輸入
2002年 2001年
ゲーム 音楽 出版
輸入 輸出
0 50 100 150 200 250
(億円)
2003年
ゲーム 音楽 出版
輸入 輸出
0 50 100 150 200 250
(億円)
ゲーム:CESAゲーム白書、音楽:日本レコード協会、出版:貿易統計を元に作成
日本・アジア間のコンテンツ輸 出入推移
図表3 アジアにおけるコンテンツ産業規模予測
アジア太平洋 その他
2008年には 世界全体の22%に成長 19%
米国 0
10,000 8,000 6,000 4,000 2,000
2004 2005 2006
12,000 14,000 16,000 18,000
2007 2008 (年)
(億ドル)
PricewaterhouseCoopers「Global Entertainment and Media Outlook 2004-2008」を元に作成
(総来場者数4,500人のうち海外来場者449人)
「TIFCOM 2004」海外来場者割合 図表5 コンテンツ見本市の海外来場者
国名・地域 割合
アジア
北米 欧州 その他
中国 香港 韓国 ネパール シンガポール タイ その他
28%
13%
24%
1%
2%
12%
10%
4%
5%
2%
(総来場者16万人のうち海外来場者1,370人)
「東京ゲームショウ2004」ビジネスデイ海外来場者割合
国名・地域 割合
アジア
北米 欧州 その他
韓国 香港 中国 シンガポール タイ マレーシア インド イスラエル その他
45.1%
5.0%
4.7%
1.5%
0.4%
0.4%
0.1%
0.1%
22.2%
13.2%
6.0%
1.3%
アジアにおいてはコンテンツ産業に おける人的な交流も深まりを見せてい る。2004年に日本で開催されたコン テンツ見本市であるTIFCOM、東 京ゲームショウでは、多数のアジア諸 国からのコンテンツ関係者が来場して お り 、 そ れ ぞ れ 海 外 来 場 者 の 9 0 % 、 80%を占めている(図表5)。
コンテンツ見本市における人的 交流