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人を恐れぬサバンナヒヒ

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Academic year: 2021

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- 42 - サバンナヒヒ(英語名はバブーン)は,霊 長目オナガザル科のヒヒ属で,群れを作っ て集団で暮らしています。

アフリカには霊長目が多く,最大の体格 になるのはマウンテンゴリラ(直立身長約 2 メートル),次いでチンパンジー(同約 1.6 メ ートル)ですが,ゴリラ,チンパンジーのい ずれも"森の住民"のため,最もよく見かけ るのは,サバンナヒヒということになりま す。

サバンナヒヒはオスの体長が 1 メートル を超すこともあり(直立した場合),体重は しばしば 30 キロにも達するガッシリした体 格の動物です。時には 100 頭以上もの群れ が,ひときわ体の大きなボスに統率されて 行動します。

サバンナヒヒのオスの成獣の顔は,長い 鼻筋と犬のように尖った鼻先が特徴で,顔 にはほとんど毛が生えていないように,ツ ルリとした印象です。窪んだ両目は小さく, 目と目の間隔がとても狭くなっています。

ただしメスや子どもたちはそれほど長い 鼻筋をしていません。オスの体毛はフサフ サと厚く,胸から肩に筋肉がつき,見るから に貫禄たっぷりですが,子どもはニホンザ

ルや他のサルの仲間と同様やせて耳ばかり が大きく目立っています。

サバンナヒヒの食性はおもに草食で,草 や根,木の実,花,果実などですが,他に昆虫, トカゲ,鳥の卵なども食べます。さらに鳥や ウサギ,鈴羊類の幼獣などを捕らえて食べ ることもあります。私もオスのサバンナヒ ヒがトムソンガゼルの幼獣のもも肉を,わ しづかみにして食べている場面を見たこと がありますが,その姿が骨付き肉を食べる 人間のように思えて,ゾッとしたものでし た。

とはいうものの,サバンナヒヒの赤ちゃ んが母親のお腹にしがみつくように抱きか

人を恐れぬサバンナヒヒ

動物雑感 (11)

平 岩 雅 代

アニマルフォトグラファー トラベルライター

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- 43 - かえられている姿や,尾の付け根に馬乗り になって胸を張っているような姿には,か わいらしさからつい微笑んでしまいます。

通常は見通しのいい草原に思い思いの姿 で座り,せっせと両手で草や根を集めては 忙しそうに口へ運んでいるサバンナヒヒで すが,いつでも数頭のオスは群れの周辺で にらみをきかせ,警戒を怠りません。そして ひとたび異常事態が発生するやいなや,大 声で「ギャー,ギャー」とサイレンを発しま す。すると群れはボスの引率のもと,一斉に 移動を始めるのです。

サバンナヒヒの天敵はヒョウで,夜間,木 の上で眠っているヒヒに向かって,ヒョウ は恐ろしい稔り声をあげます。すると寝ぼ けまなこで木から飛び降りたり,あわてる 余り落ちたヒヒをヒョウはガブリと,捕食 するのです。

ヒョウばかりでなく,ライオン,ハイエナ, ワニ,そして大形の猛禽類も手強い相手で す。

サバンナヒヒは野生動物ですが,長年人 間の近くに暮らして姿を見慣れてきますと, 人を恐れなくなり,次第に大胆に行動する ようになります。初めのうちはゴミ箱を漁 るくらいですが,段々と畑を荒らしたり,ホ テルやロッジの庭を我が者顔で歩き回った り,食堂のテラスのテーブルから果物を失 敬したり,ドアや窓を開け放したままの客 室に侵入して荷物を引っかき回したり,果 ては人間の子どもを襲って手に持っている 食べ物を奪うという悪さまでするようにな ります。

野生動物に餌を与えることは固く禁止さ れていますが,一度でもおいしい食べ物の 味を覚えたサバンナヒヒは,車のオープン ルーフから車内に乱入し「何かうまそうな 食べ物はないか……」という顔で物色する ようになってしまいます。

数年前のことですが,日本からのある観 光客が,ロッジの庭のテラスに置いておい た鞄の中から,サバンナヒヒにフィルムの 袋を持ち逃げされ,「私の大事な撮影済みフ ィルムを返してちょうだい」と,ロッジの従 業員が追いかけましたが,とうとう取り戻 せなかったというハプニングもありました。

参照

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