• 検索結果がありません。

ペ ッ トボ トル で雪の結 晶 をつ くる

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ペ ッ トボ トル で雪の結 晶 をつ くる"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

北 海道 の雪 氷 N016(1997)

ペ ッ トボ トル で雪の結 晶 をつ くる

 

・ 寒 冷 環 境 の 教 材 化 の 一 環 と して ・ ・ 平 松 和 彦 (旭川 西 高 等 学 校)

1 1ま

じめ に

中 谷 宇 吉 郎 博 士 の グ ル ー プ が 世 界 で は じめ て 人 工 雪 を 作 成 した の は

1936年

の こ と で 、 これ は 低 温 室 の 中 に お い て で あ った 。 筆 者 は 常温 の 室 内 で 雪 の 結 晶 の 成 長 過 程 を観 察 す る こ とが で きれ ば 、 よ り 自然 現 象 の 面 白 さ を実 感 で き る と 思 い、 ベ ッ トボ トル の 中 に人 工 雪 を 作 成 す る 装 置 を 考案 した 。 本稿 で は そ の 装 置 の 作 成 方 法 お よ び観 察 方 法 な ど を 紹 介 し、

これ を理 科 教 育 の 場 で 活 用 す る こ と を 提 案 した い 。 な お 、 この テ ー マ は 筆 者 が 数 年来 構 想 し、 試 行 して い る「 寒冷 環 境 の 教 材化 」 の 一 部 と して位置 づ け られ る。

 

装 置 の 作 成 方 法 材 料

・ ペ ッ トボ トル (500mり

  (凸

凹 の 少 な い も の が よ い)

・ 発 泡 スチ ロー ル 製 ク ー ラ ー (他の 容 器 で も 代 用 可 能)

・ 鉤 り 糸

         (03号

な ど細 い も の

 

デ ン タ ル フ ロ ス を 裂 い た も の な ど で も 代用 可 能)

・ ゴム 栓

         (椅

子 の ゴ ム足 で も 代 用 可 能)

・ 消 し ゴ ム

        (サ

イ コ ロ状 に 切 って 使 用 す る)

作 成 手 順

(1)カ

ッタ ーで ペ ッ トボ トル と 同 じ直 径 の 穴 を ク ーラ ーの 蓋 に あ け る。

(2)釣

り糸 の 端 に、 消 し ゴ ム の 断 片 を ホ チ キ ス で 固 定 す る 。

(3)糸

を持 つて 消 し ゴ ム を 錨 の よ う に ペ ッ トボ トル の 底 に お ろ し、 日か ら 吐 息 を数 回 吹 き入 れ る 。

(4)鉤

り 糸 が ピ ン と 張 つ た 状 態 で 、 ゴ ム 栓 を す る 。

(5)ペ

ッ トボ トル を ク ー ラ ーの 蓋 の 穴 に は め 込 む 。

(6)ド

ラ イ ア イ ス 約1〜 1 5kgを砕 き 、 内 側 に 詰 め た ク ー ラ ー に ペ ッ トボ トル と 蓋 を セ ッ トす る 。

 

背 景 とな る原 理

(1)上

空 で 雷 の 結 晶 が 成 長 す る よ うな 環 境 を、 ペ ッ トボ トル 内 に つ く りだ す 。 必 要 な 条 件 は 氷 点 下 の 低 温 環 境 、 空 気 中 の 塵 に か わ る 凝 結 核 、 そ して過 飽 和 の 水 蒸 気 で あ る。

(2)低

温 環 境 は ペ ッ トボ トル を 冷 や す こ とで 作 り出 す 。 この と き、 ペ ッ トボ トル の 下 部 の 約3分の2をク ー ラ ー ボ ック ス に うめ こみ 、 上部 の 半 球 状 の 部 分 を蓋 の 上 に

顔をだした形にすることが肝要である。上部は顔を出しているので、室温に近い。

‑23‑

(2)

北海道の雪氷

 No.16(1997)

これ に 対 して 底 部 は トラ イ ア イ ス の 極 低 温 で 冷 や さ れ 、 ペ ッ トボ トル の 中 に は き わ め て 安 定 な 成 層 圏 が 出 現 す る 。 そ こで の 温 度 勾 配 を利 用 して 結 晶の 成 長 す る よ うな 低 温 条 件 を得 るの で あ る 。ペ ッ トボ トル 内 の 温 度 勾配 は 図 に しめ す と お りで 、 ク ーラ ー の蓋 の 高 さ の 前 後 で は

l cmに

つ き6℃〜7℃の 温 度 降 下 が あ る。

(3)空

気 中 に 浮 遊 す る 墜 、 つ ま り凝 結 核 の 代 替 物 と して 細 い釣 り糸 を利 用 す る 。 釣 り 糸 の か わ りに デ ンタ ル フ ロス を 裂 い て細 く した も の 、 バ イ オ リンの 弓の 毛 (馬 の 毛)、 ウ サ ギ の 毛 な ど も 使 用 可 能 で あ る 。 そ の 場 合 は 毛 の 固 定 に若 干 の 工 夫 が 必 要 で あ る 。 人 工 降 雨 で核 と して 使 わ れ る ヨ ウ 化 銀 の 粒 子 を糸 に つ け る方 法 も考 え られ る が 、 ヨ ウ化 銀 は重 金 属 で 、 学 校 以 外 で は

=般

に 入 手 しに く い薬 品 な の で 、 こ こで は 使 用 しな い 。 む しろ 、 単 一 の 凝 結 核 で は な く、 釣 り糸 を お ろ す こ と で、

あ たか も 水 蒸 気が 様 々 な 温 度 条 件 を選 択 す る よ う に して、 釣 り糸 上 に凝 結 して い

<の

を観 察 で き る と い うの が この 装 置 の 利 点 で あ る。 した が つて 、 多 様 な 結 晶形 (晶 癖

)を

同 時 に 見 る こ と にな る。

(4)水

蒸 気 に つ い て は 、 ペ ッ トボ トル を セ ッ トす る前 に 吐 息 を □か ら吹 き入 れ て お く こ と で過 飽 和 状 態 を つ く り だ す 。 また 、 水 道 水 を 入 れ て す ぐ捨 て るな ど、 他 の 方 法 と併 用 す る の も よ い。

平 松 式 ペ ッ トボ トル 人 工 雪 発 生 装 置

ペ ッ トボ トル内の温度

/ゴム 栓 (格子 用 の ゴム 足 でもよい)

室 温

+18° C +7°

CI

← ドライアイス

+5 5°

C

+3℃

―‑3°

C

N

―発泡ステロール製

')-)-

一 司

1.5℃

‑17°

C

‑28°

C

‑38℃

おもり (消しゴムを切って 錨のようにおろす)

観 察 して い る様 子 (地 学 の授 業風 景)

釣 り糸(ピンと張 る)

‑24‑

(3)

北海道 の雪 氷

 No.16(1997)

観 察

(1)ペ

ッ トボ トル の 内 部 の 温 度 勾 配 は 図 に 示 す と お り で あ る 。 養 の 高 さ が ち ょ う ど

0℃前 後 と な る 。し た が つ て 、そ の す ぐ 下 あ た り に

‑15℃

前 後 の 層 が 存 在 す る 。 こ の 近 く に 注 目 し な が ら 、 結 晶 成 長 の 観 察 を 開 始 す る 。 ペ ッ トボ トル を セ ッ トし た 時 刻 は 書 き 取 つ て お く 。 数 £ 後 に は 釣 り 糸 の 下 部 か ら 白

<霜

が つ い て く る 。 さ

ら に

15分

も す る と針 状 の 結 晶 が 水 平 に 成 長 し は じめ る の が 観 察 さ れ る 。

(2)観

察 を続 けて い くに したが つて、結 晶が針状や樹枝状 に成長 してい く様 子 を見 る ことが で きる。

30分

か ら1時間程度 で8 mmほどに も成長 する。

(左右 の 写 真 は そ れ ぞ れ 別 の ペ ッ トボ トル 内 に 成 長 した 樹 枝 状 結 晶)

装 置 の 特 徴 と利 点

室 内 で 人 工雪 を 作 成 す る 試 み は 過 去 な か つた わ け で は な い。 しか し どの 装 置 も 一 台 を作 成 す る の に か な りの 手 間 と費 用 が か か つて い た 。 筆 者 が 提 案 す る この 装 置 は 、 そ れ らに比 べ てみ て も きわ め て作 りや す い上 に、 観 察 が 容易 で あ る と ころ に特 徴 が あ る。 それ は以 下 挙 げ る 点 に 要 約 され る 。

(1)過

飽 和 の 水 蒸 気 を封 じ込 め る こ と に 以 前 は 苦 労 して い た が 、 これ を 吐 息 に含 まれ る 水蒸 気 で す ませ る。

(2)筒

状 の 中 に雪 の 結 晶 が 出 来 て も、 周 りに霜 が つ くの で観 察 が む す か しか った の だ が 、 この 装 置 で は 曇 つて い な い上 部 か ら 下 部 の 霜 の つ く低 温 部 を斜 め に見 下 ろ す こ とに な るの で、 観 察 が 容 易 で あ る 。過 去 者 案 され た 装 置 で は、 霜 取 り液 を塗 る とか 、 観 察 す る部 分 だ け ヒー タ ーで 霜 を 融 か す な どの 工 夫 が 必 要 で あ つた 。

(3)安

価 で 作 成 が 容 易 な の で 、 複 数 準 備 して 、 同 時 に実験 をす る こ とが で き る 。 そ れ に よ って 、 比 較 実 験 が 可 能 で あ る 。 つ ま り、 吐 息 を入 れ る量 に よ って、 結 晶 形 が 微 妙 に異 な る な ど、 自然 現 象 の 多 様 性 を 理 解 さ せ る こ とが で き る。

(4)装

置 の 構 造 が き わ め て シ ンプ ル な の で 、 子 供 た ち が 材 料 や 方 法 を 自発 的 に考 え て い ろ い ろ 工 夫 す る余 地 を 与 え る こ とが で き る 。 釣 り糸 の 表 面 を 加 工 す る とか 、 吐 息 の か わ りに 水蒸 気 を ど う入 れ るか 等 反 、 発 想 を 広 げ て い く こ とが で き るの で あ る 。 つ ま り これ は「 注 入 主 義 」 に立 つ実 験 装 置 で は な く、 基 本 形 を提 案 して お い て 、 子 供 た ち 自身 が さ ら に創 意 工 夫 して い く「 参 加 体 験 型 」 の 装 置 な の で あ る。

‑25‑

(4)

北海 道 の雪 氷

 No 16(1997)

 

教 育 現 場 で の 実 践 事 例

新 聞 紙 上 お よ び テ レ ビ 局 か ら報 道 さ れ た こ と で 、 全 国 各 地 か ら 問 い

3わ

せ が あ つた 。 ま た 授 業 な ど で実 施 さ れ た 様 子 の 情 報 を 得 る こ と が で き た 。 い ず れ も 数 台 を 用 意 し て 、 同 時 に 実 験 を お こな う と い う 、 この 簡 便 な 装 置 に ふ さ わ し い 授 業 形 態 が と られ た 。

旭 川 西 高 等 学 校 理 数 科 の 課 題 研 究 旭 川 西 高 等 学 校 普 通 科 (地学

IB授

)

・ 士 別 市 、 小 学 生 向 け の お も し ろ「 科 学 教 室 」 豊 富 高 等 学 校 で の 地 域 研 究

・歌志内小学校における、福岡県山田市の小学生との交流事業

旭川市、旭川市博物 館主催「 子供博物館」

・安城 市、かが くのひろば

・横浜 市、フ エリス女子学院高校

・ 広島 市、広島イ ンターナ シ ョナル スクール 名古屋市、親 と子のわ くわく科学ひろば

・ 力8賀市、中谷宇吉自B雪の科学館

 

ゴールデ ンウ ィーク企画

・ 福岡市、お天気ひろば (日本 気象協会)

 

ま と め と今 後 の 展 開

幸 い に も 、 各 地 の 授 業 や 科 学 教 室 な ど で 試 み ら れ た の で 、 改 良 す べ き 点 な ど も わ か つ て き た 。 前 述 の よ う に 、 す で に ヨ ウ 化 銀 を 使 用 して 成 長 さ せ る 試 み も あ る 。 この 物 質 の 結 晶 構 造 は 氷 品 の 構 造 と よ く 似 て い る た め 、 六 華 状 の 結 晶 が で き や す い 。 そ れ だ け に 初 期 条 件 と して 与 え るの に は 躊 躇 せ ざ る を得 な い 。 ま た 、 この 物 質 は 一般 に は 入 手 しに く い 上 、 重 金 属 で あ る 。 した が つて、 筆 者 は 釣 り糸 な どの 身 近 な 材 料 に 固執 した い 。 簡 単 に 入 手 で き る材 料 を使 う と こ ろ に も教 育 的 な 意 義 が あ る と考 え る か らで あ る。 さ ら に 今 後 、 授 業 の 中 で、 条 件 をか え て 実 験 を繰 り返 して 行 い 、 実 験 方 法 と して よ り洗 練 され た もの に して い き た い。 ま た 寒 冷 環 境 を キ ー ワ ー ドに して「 雪 」 に た い して さ ま ざ ま な ア プ ロ ーチ で 教 材 に と り こん で い き た い と考 え て い る。

急 速 な メ デ ィ ア の 発 達 に よ り、 視 聰 覚 教 材 を は じめ コ ン ピ ュー タ の 導 入 を通 じ て、 擬 似 体 験 が 周 囲 に は 満 ち あIsヽれ て い る 。 そ の うち す ぐれ た もの を 授 業 中 に 取 り入 れ る こ とは 可 能 であ る し、ま た 効 果 の あ る こ とで あ ろ う。しか し自 然 科 学 に お い て は な に よ りも「 本 物 」 を見 た り、 現 象 の お こ る「 過 程」 を 考 え る と こ ろ に そ の 本 質 が あ る は ず で あ る。 地学 に お け る フ ィー ル トワ ー クの 必 要 性 も ま さ に そ の 点 と表 裏 一 体 をな して い る の で あ る 。 機 械 が 発 達 した現 在 で は ます ま す「 本 物 」の 自然 現 象 を見 る 機 会が 減 つて い る 。これ か ら も野 外 、 室 内 間 わ す この よ うな 自然 現 象 の 本 質 を取 り扱 うよ うな 工 夫 を進 め て い きた い 。

◆ 文 献

藤 岡 由 夫,1971:qD谷宇 吉 息

3.雷

鳥 社, 239pp

全 国 理 科 教 育 セ ン タ ー 研 究 協 議 会 編,1985:地学 致 材 の 研 究.東洋 館.235pp

‑26‑

参照

関連したドキュメント

市場を拡大していくことを求めているはずであ るので、1だけではなく、2、3、4の戦略も

 現在『雪』および『ブラジル連句の歩み』で確認できる作品数は、『雪』47 巻、『ブラジル 連句の歩み』104 巻、重なりのある 21 巻を除くと、計 130 巻である 7 。1984 年

The accumulation of the local strain in the 823K-annealed specimen was investigated by the ker- nel average misorientation (KAM) approach using EBSD, and it is suggested

Kyoto University Research Information Repository https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp... A Self-archived

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

だけでなく, 「家賃だけでなくいろいろな面 に気をつけることが大切」など「生活全体を 考えて住居を選ぶ」ということに気づいた生

線量は線量限度に対し大きく余裕のある状況である。更に、眼の水晶体の等価線量限度について ICRP の声明 45 を自主的に取り入れ、 2018 年 4 月からの自主管理として

Al x Cu y B 105 single crystals were prepared by the reaction between metals and element boron using a molten copper flux in an argon atmosphere.. The conditions for