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大阪府立産業技術総合研究所 No.

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OSAKA 機器紹介

X 線 In‑Plane 回折法による薄膜の構造解析

In‑Plane 回折、薄膜、X線回折 はじめに

はじめにはじめに はじめに はじめに

X線回折は、いろいろな物質の原子レベルに おける構造を調べる手段として利用されてきま した。さらに近年、nm オーダの薄膜や、極表面 の構造を調べる必要性が高くなっており、X線 全反射を利用した方法が注目されています。

平坦な表面を有する試料にX線が臨界角以下 の角度で入射した場合、鏡面反射が起こりま す。物質のX線に対する屈折率は 1より小さく、

しかも 1 に極めて近いため、全反射が起きる角 度は非常に低角度に限られます。Cu(Ka)線を用 いた場合、全反射臨界角は、Si で 0.22 度、 Au で 0.57度となります。試料表面にX線を臨界角 近傍の角度αで入射すると、図1のように、入 射角と等しい角度αで反射されます。同時に試 料表面に平行に伝搬するX線が、Bragg の回折 条件(λ =2dsinθ)を満たす、試料表面に垂直な 格子面によって回折され、試料表面すれすれに 出てきます。これを In‑plane 回折とよび、表面 構造解析に応用されています。このIn‑plane回 折による構造解析法は以下のような優れた特徴 を有しています。

1)通常のX線回折法などでは測定できない 薄膜の表面に垂直な格子面からの回折を直接測 定することが可能であり、表面付近の構造を直 接評価することができます。

2)X線が試料内部に侵入する深さは非常に 浅く、数 nm 以下となります。そのため基板、下 地からの情報をほとんど無くすことができま す。

3)更に入射角を全反射の臨界角付近で精密 にコントロールすることで、構造の深さ方向の 変化も測定できます。

図1 図1図1

図1図1     In‑planeIn‑planeIn‑planeIn‑planeIn‑plane 測定法の概念図測定法の概念図測定法の概念図測定法の概念図測定法の概念図 装置

装置装置 装置 装置

In‑plane光学系を装備した回折装置の概略を 図2に示します。入射側にはX線源から生じた 発散ビームを平行、単色化する多層膜ミラーを 装備しています。入射側および受光側にはX線 ビームの垂直発散を抑えるソーラースリットを 装備し、In‑plane 方向の角度分解能を確保して います。さらに受光側には平行スリットアナラ イザーを装備し、通常の対称・非対称反射法走 査方向(Out of plane)の角度分解能を確保し ています。

またIn‑plane回折を測定するためには、任意 の角度、位置にある薄膜試料の表面位置を常に 全反射条件に保つ必要があります。そのため、

ゴニオメータ上の試料ステージには、面内回転 φ軸のほかに、試料のあおり調整の Rx、Ry 軸、

前後調整の Z 軸の4軸を調整可能な4軸試料台 を備えています。

図2 図2 図2

図2図2 In‑plane In‑plane In‑plane In‑plane In‑plane 光学系を装備した回折装置の概略光学系を装備した回折装置の概略光学系を装備した回折装置の概略光学系を装備した回折装置の概略光学系を装備した回折装置の概略

00003

(2)

測定例 測定例測定例 測定例 測定例

ポリテトラフルオロエチレン(PTFE; ‑(CF2‑ CF2)n‑)は、極めて優れた耐薬品性と耐熱性を合 わせ持つ高分子であり、ガスケット、パッキン、

バルブ用部品、ライニングなどの用途に、広い 分野で用いられています。 PTFE は対称性の良 い結晶性高分子であり、図3に示したようにCF2 基が 15 個ごとに 180 度ねじれたらせん構造を とっており、単位格子(繊維周期 1.95nm)は六 方晶系の結晶構造を有しています。

図3ポリテトラフルオロエチレンの構造モデル 図3ポリテトラフルオロエチレンの構造モデル図3ポリテトラフルオロエチレンの構造モデル 図3ポリテトラフルオロエチレンの構造モデル図3ポリテトラフルオロエチレンの構造モデル 200℃程度に加熱したガラス基板上に PTFE を 押しつけてこすりつけると、ガラス基板上に PTFEの一軸延伸薄膜が得られます。このPTFE薄 膜を通常のX線回折(Out of plane 反射)およ びIn‑plane回折法により測定しました。 図4の Out of plane 反射では、2 θ =18 度付近に PTFE の結晶に基づくピークが認められました。次に 試料表面に対するX線入射角α(θ)を全反射臨 界角よりも僅かに大きい 0.3 度で固定して In‑

plane 方向の測定を行い、その結果を図5に示 します。延伸方向と平行方向にX線を入射した 場合、18 度、31 度付近に PTFE の結晶に基づく ピークが認められましたが、延伸方向と垂直方 向にX線を入射した場合には、明確なピークが 認められませんでした。これらの結果から、

PTFEの結晶は延伸方向にある程度の深さまで配 向しており、延伸方向に垂直な方向では、明確 な規則的構造を有していないことがわかりま す。

その他の適用例 その他の適用例その他の適用例 その他の適用例 その他の適用例

ここでは有機物への適用例を上げましたが、

図 図 図

図図 44444 ポリテトラフルオロエチレンの ポリテトラフルオロエチレンの ポリテトラフルオロエチレンの ポリテトラフルオロエチレンの Out of ポリテトラフルオロエチレンのOut ofOut ofOut ofOut of plane

planeplane plane

plane XXXX線回折X線回折線回折線回折線回折

図5 ポリテトラフルオロエチレンの 図5 ポリテトラフルオロエチレンの 図5 ポリテトラフルオロエチレンの 図5 ポリテトラフルオロエチレンの

図5 ポリテトラフルオロエチレンの In‑planeIn‑planeIn‑planeIn‑planeIn‑plane X

XXXX 線回折線回折線回折線回折線回折

その他に、1)シリコン基板上に形成したチ タンシリサイド薄膜の構造解析、2)ハード ディスクのディスク表面におけるコバルト結晶 の構造解析とディスクの評価、3)発光素子に おける薄膜構造の解析、などの適用が考えられ ます。

おわりに おわりにおわりに おわりにおわりに

In‑plane 回折法は、従来のX線回折法では困 難であった、試料面に対して垂直方向の数 nm 以 下の情報が得られ、nm オーダの分析深さを制御 可能な、特筆すべき測定法です。ただし、In‑

Plane 法および Out of plane 法は、互いに相補 的な情報であり、薄膜材料の評価を行う際には 両方向の測定が必要です。

参考文献 参考文献参考文献 参考文献参考文献

田所宏行,高分子の構造,化学同人,(1976)

作成者 材料技術部 有機材料グループ 木本正樹 Phone:0725‑51‑2679 発行日 2000 年 9 月 14 日

図 図 4 44 44 ポリテトラフルオロエチレンの  ポリテトラフルオロエチレンの  ポリテトラフルオロエチレンの  ポリテトラフルオロエチレンの Out of  ポリテトラフルオロエチレンの Out of Out of Out of Out of planeplaneplaneplane plane XXX X線回折X 線回折線回折線回折線回折 図5 ポリテトラフルオロエチレンの図5 ポリテトラフルオロエチレンの図5 ポリテトラフルオロエチレンの図5 ポリテトラフルオロエチレンの

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