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経済ウォッチ 日本 経済情勢概況 ( 取り消し線は 前回から削除した箇所 下線は追加した箇所 ) 日本経済は 緩やかな回復傾向で推移している 今後も 堅調な海外景気や 企業業績の改善を受けた設備投資需要の高まりなどを背景に 緩やかな景気回復が続くと予想する 個人消費は 賃金の上昇が引き続き鈍いことか

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目 次

2018 年 8 月 第 2 週号

(原則、毎月第 2 週、4 週発行) 2018 年度 vol.9

<フォーカス> 正常化へうまく舵を切った日銀

撤退戦は攻撃よりも難しいとよく言われるが、まずは無難にやってのけたと言えるだろう。日銀は、7 月 30,31 日に開催された金融政策決定会合において、長期金利の変動許容幅を拡大することを決定した。金 融政策の正常化に向け、また一歩踏み出した印象である。超低金利政策の長期化に伴う副作用の蓄積に 配慮し、市場予想よりも早めの政策修正に踏み切った英断をまずは評価したい。

日銀にとって難しいのは、物価目標の達成が見通せないなかでは、あくまで金融緩和強化の建前を維持 しなければならないという点である。長期金利の上昇を容認する以上、今回の方向性は紛れもなく引締めな のだが、会合後の公表文からは、「頼むからそうとらないでくれ」という日銀の懇願が透けて見える。標題に、

「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」と、わざわざ「強力な」をつけているところが泣かせるし、「当 分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持」という、先行きの政策を約束する文言(いわゆるフォ ワードガイダンス)が追加されたのもそのひとつである。具体的な基準や時期に一切言及しない、先行きの 日銀の行動を強く縛るものではないタイプなのだが、これが驚くほど良く効いて、決定会合直後の長期金利 が低下したのは日銀も驚いただろう。

16 年 9 月に導入されたイールドカーブ・コントロール(YCC)が、前進の構えを維持しながら、事実上の撤退 戦に舵を切った第一歩だとすれば、今回はその二歩目である。日銀にとっては、今更敗北宣言ができない 点が苦しい。通貨の信認を預かる仕事ということもあって、そもそも日銀は誤りを認められない組織であり、

それを批判してきたリフレ派の多くが政策委員に加わったあとも状況は変わらない。いきおい、退却を転進 と言い張ることが許される範囲の微修正しかできない。そこから一歩踏み出すためには「総括検証」のよう な言い訳集の作成が必要となるが、すでに一度やっている分、ハードルはぐんと上がる。同じ体制下で 3 度 の総括検証というのは考えられず、許されるのはせいぜいあと 1 回だ。

幸い、今回の修正で、金融調節の融通性は高まっており、日銀はしばらくこの政策を継続できる。黒田総 裁は、長期金利の変動許容幅について、だいたい従来の倍くらいを念頭に置いているとしたが、具体的な 水準は決定会合の決議事項ではなく、政策変更のアナウンスなく、さじ加減を調節することは可能である。

国債買い入れの減額を続けられるのはもちろんのこと、今後は ETF の買入れ額も縮小できる余地が出てき た。とはいえ、根本となるマイナス金利が残る以上、今回の修正とて応急処置にすぎない。物価見通しを下 方修正した結果、日銀は 20 年度までかけても物価目標の実現が難しいことを自ら認めた形となっている。

東京オリンピックまでには、マイナス金利の持続性も俎上に上げざるをえないだろう。これまで、包括緩和や 異次元緩和、YCC 等、数々の新機軸の立案に携わり、アイデアの宝庫ぶりを存分に見せつけてきた雨宮副 総裁の手腕に、撤退戦でも頼ることになりそうである。(Kodama wrote)

<フォーカス>正常化へうまく舵を切った日銀・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1

・経済情勢概況・・・・・・・‥・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2

・米個人消費は堅調だが懸念材料も・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3

・主要経済指標レビュー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6

・日米欧マーケットの動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10

(2)

経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

2 経済情勢概況

(※取り消し線は、前回から削除した箇所、下線は追加した箇所) 日 本

日本経済は、緩やかな回復傾向で推移している。今後も、堅調な海外景気や、企業業績の改善を受 けた設備投資需要の高まりなどを背景に、緩やかな景気回復が続くと予想する。

個人消費は、賃金の上昇が引き続き鈍いことから、緩慢な回復にとどまる。住宅投資も、住宅価格 の高止まりや空室率の上昇が下押し圧力となり、鈍化傾向で推移するとみる。

設備投資は、製造業の能力増強投資は慎重姿勢が続くとみるものの、省力化・省人化投資が下支え し、回復傾向が続くと予想する。公共投資は、オリンピック関連工事などが下支えし、当面底堅く推 移すると見込む。

輸出は回復が続いている。今後も、堅調な海外景気などに支えられ、回復傾向で推移すると予想す る。生産は、輸出の持ち直しや在庫調整の進展などから、均せば改善傾向が続くとみている。

消費者物価(コア CPI)は、2017 年 1 月以降、前年比プラスの推移となっている。今後は、原油価 格が予想以上の上昇を見せていることで、エネルギー関連品目がコア CPI の押し上げ要因となり、

2018 年度は+0.9%程度、2019 年度は+1.3%程度となると予想する。

米 国

米国経済は、堅調に推移している。雇用環境の改善や消費マインドの回復に加え、拡張的な財政政 策の効果などから、今後も景気回復が続くと予想する。

個人消費は、雇用・所得環境の改善が続くとみられることや所得税減税の効果などから、回復傾向 が続くとみる。

住宅投資は、雇用環境の改善や住宅在庫の水準の低さが下支え要因となるものの、人手不足といった 供給制約や、住宅ローン金利の上昇などが抑制要因となり、増勢の鈍化を予想する。

設備投資は、企業収益の改善や銀行の貸出態度の緩和、法人税減税などを背景に、緩やかな回復基 調が続くと予想する。なお、インフラ開発投資は、財政均衡派への配慮から、ある程度規模を縮小し たうえで実現すると予想する。

輸出は、新興国やユーロ圏景気の持ち直しを背景に、回復に向かうと予想する。

FRB は 6 月の FOMC で、FF レートの誘導目標レンジを 1.50-1.75%から、1.75-2.00%へと引き上げ た。2018 年内に残り 1 回、2019 年も 2 回程度の利上げ実施を予想する。

欧 州

ユーロ圏経済は、回復傾向が続いている。ECBの緩和的な金融政策が続くと見込まれるほか、雇用 環境の改善や輸出の増加を背景に、今後も緩やかな景気回復が続くと予想する。

個人消費は、雇用者数の増加などを背景に、緩やかな改善傾向が続くと予想する。

固定投資は、貿易摩擦への懸念から、回復ペースの鈍化を見込む。

ECBは6月の理事会で、資産買入れ策を規模を減額したうえで2018年末まで継続し、現行の政策金利 の2019年夏中のすえ置きをアナウンスした。政策金利の引き上げは、2019年9月と予想する。

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経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

3

米個人消費は堅調だが懸念材料も

雇用・所得環境の改善で個人消費は堅調推移

米国の個人消費は足元で堅調に推移している。実質 個人消費支出は、好調だった昨年末の反動もあって、

2、3 月に一時停滞気味の推移となっていたが、ここに きて持ち直している(図表 1)。

背景には、雇用・所得環境の改善が続いていること がある。年明け以降、実質可処分所得は増勢を強め、

足元でも堅調に推移している。好調な企業業績を背景 に、緩やかながら賃金が伸びているほか、昨年末に成 立した税制改革法で大規模な所得税減税が打ち出さ れ、その効果が顕在化していることも実質可処分所得 の押し上げ要因となっている。

雇用についても、7月の非農業部門雇用者数が前月比

+15.7万人と、6月の同+24.8万人から増加幅は縮小し たものの、3ヵ月移動平均で見れば同+22.4万人と、2 ヵ月連続で20万人を上回る伸びとなった。また、失業 率は3.9%と6月の4.0%から改善し、FRB(米連邦準備 制度理事会)の長期見通しのレンジである4.1-4.7%

を引き続き下回って推移している。非自発的パートタ イマーや求職断念者などを失業者に含んだ「広義の失 業率」も6月の7.8%から7.5%に改善し、2001年5月以 来の水準にまで低下している(図表2)。

企業向け調査は雇用・所得環境の改善継続を示唆 景気回復や好調な企業業績を背景に、企業の採用意 欲は引き続き強く、雇用環境の改善傾向は続く見込み である。企業経営者による経済団体であるビジネスラ ウンドテーブルが行なった調査によると、向こう6ヵ月 の採用を「増やす」と回答した企業の比率から「減ら す」と回答した企業の比率を差し引いた数値は上昇傾 向にあるほか、過去と比較しても高水準で推移してい る(図表3)。また、中小企業の経済団体である全米独 立企業連盟(NFIB)による調査でも、向こう3ヵ月の採 用を「増やす」と回答した比率が「減らす」と回答し た比率を上回って推移しており、企業規模を問わず、

労働需要が強い様子がうかがえる。

賃金については、NFIBの調査によれば、向こう3ヵ月 の賃金を「増やす」と回答した比率から「減らす」と

-15 -10 -5 0 5 10 15 20 25

-80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80

03/6 04/6 05/6 06/6 07/6 08/6 09/6 10/6 11/6 12/6 13/6 14/6 15/6 16/6 17/6 18/6

増加-減少 % (図表3)企業の採用計画

大企業 中小企業(右軸)

(出所)全米独立企業連盟(NFIB)、Business Roundtable

※雇用を「増やす」と回答した 比率から「減らす」と回答した 比率を差し引いて算出

増加-減少 % -0.2

-0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

17/5 17/6 17/7 17/8 17/9 17/10 17/11 17/12 18/1 18/2 18/3 18/4 18/5 18/6

(図表1)可処分所得と個人消費支出の伸び

(前月比、3ヵ月移動平均)

実質可処分所得 実質個人消費支出

(出所)米商務省

6 8 10 12 14 16 18

06/7 07/7 08/7 09/7 10/7 11/7 12/7 13/7 14/7 15/7 16/7 17/7 18/7

(図表2)米国における各種失業率の推移

広義の失業率 潜在失業率

広義の失業率(U6):非自発的パートタイマーや求 職断念 者等を失 業者 に含 めた失業 率 潜在失業率:労働市場を退出したものの、 就業の 意志が ある 者の数を 失業者 に含 めた失 業率

(出所)米労働省

-5 0 5 10 15 20 25

03/6 04/6 05/6 06/6 07/6 08/6 09/6 10/6 11/6 12/6 13/6 14/6 15/6 16/6 17/6 18/6

(図表4)中小企業の賃上げ見通し

(出所)全米独立企業連盟(NFIB)

※賃金を「増やす」と回答した 比率から「減らす」と回答した 比率を差し引いて算出

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経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

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回答した比率を差し引いた数値が上昇傾向にあるほか、過去と比較しても高水準で推移しており、上昇 圧力は着実に高まっている(図表4)。ただ、足元の米国景気は、拡張的な財政政策によって一時的に 押し上げられている面があるほか、リーマン・ショックを経て、米国の潜在成長率が低下するなか、企 業経営者のスタンスが以前と比べて慎重化しており、本格的な賃上げに二の足を踏んでいる可能性があ る。このため、今後も賃金の伸びの大幅な加速は見込みにくいが、増加基調自体は続くとみており、雇 用の改善とともに個人消費の押し上げ要因として寄与しよう。

個人消費の懸念材料

一方で懸念されるのが、貿易摩擦による影響であ る。春先以降、特に米中間での軋轢が目立っており、

7 月 6 日には互いに 340 億ドル相当の関税賦課を実施 したほか、米国は 160 億ドル相当の追加関税を 8 月 23 日に発動すると発表した(中国は同規模の報復関 税を課すことを表明している)。また、トランプ米 大統領は、中国が 340 億ドルの対抗措置を行なった ことを受け、新たに 2,000 億ドル相当の中国からの 輸入品に関税を賦課する措置を発表し、品目リスト

(図表 5)を公表したほか、最終的には 5,000 億ドル 相当の中国製品に関税を適用する可能性についても 言及している。中国は、これに対抗して米国からの 輸入に対して追加で 600 億ドルの報復関税を講じる 方針を発表、貿易摩擦が深刻化するリスクが高まっ ている。

ただ、今のところ、消費者マインドは改善傾向が 続いており、家計部門に大きな影響は及んでいない

(図表 6)。ISM 等の企業向けアンケート調査では、

関税導入により一部産業で物価上昇や供給制約が発生している様子が確認できるが、これまで打ち出さ れた関税措置の対象品目は主として産業向けの機械や部品にとどまっており、そうした影響が消費者周 辺に波及していないことが影響していると考える。また、消費者マインドは株価に連動して動く傾向が 見られるが、景気回復や減税効果などを背景に企業業績は堅調であり、貿易摩擦懸念が高まるなかで株 価が底堅く推移していることも寄与している。

しかしながら、トランプ米大統領が現在検討中の 2,000 億ドルの追加措置では、これまでと異なり、

食料品(野菜、魚、飲料等)に加えて、日用品(シャンプー、石鹸等)、家具(椅子や棚等)、家電(掃 除機、冷蔵庫、ランプ等)、衣料(帽子、バッグ等)といった消費財など、消費者に身近なものが多く 含まれている。全米小売業協会は、2,000 億ドルの追加措置が実施された場合、日用品への値上げ圧力 が高まる可能性を指摘しており、家計の実質購買力の低下により個人消費が抑制されるリスクが出てき ている。

加えて、米政権は、輸入車が同国の安全保障を脅かしているとの理由で、自動車や同部品の関税を引 き上げ、輸入を制限する措置についても検討している。現在、米国は輸入乗用車に 2.5%の関税をかけ

6,000 9,000 12,000 15,000 18,000 21,000 24,000 27,000

20 40 60 80 100 120 140 160

08/7 09/7 10/7 11/7 12/7 13/7 14/7 15/7 16/7 17/7 18/7

(図表6)消費者信頼感指数と株価の推移

消費者信頼感指数 NYダウ(右軸)

ポイント

(出所)カンファレンスボード、ファクトセット

ドル 耐久消費財

23.7%

非耐久消費財 5.9%

食料品 2.7%

工業用原料 18.6%

資本財 48.8%

その他 0.2%

(図表5)対中関税2,000億ドルリスト内訳

(出所)USTR等資料より明治安田生命作成

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経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

5

ており、トランプ米大統領はこれを 20%に引き上げる意向を示しているが、引き上げられた関税分を負 担するのはほかならぬ米国企業であり、また家計である。

IMF の試算によれば、鉄鋼・アルミニウム関税と 500 億ドル+2,000 億ドル相当の関税賦課(2,000 億 ドル分については税率 10%が前提、試算公表後、トランプ米大統領は 25%で検討することを表明)に よる米国景気への影響は、実質 GDP を前年比で▲0.2%押し下げる程度にとどまるとのことだが、自動 車関税も導入すれば同▲0.4%に拡大するほか、グローバルな信用ショックへと発展した場合は、リス クプレミアムの上昇により設備投資が抑制される結果、同▲0.8%まで影響が膨らむとのことである。

その場合、リスクセンチメントが悪化し株価も調整する結果、消費者マインドの萎縮も予想される。

トランプ米大統領が減税を含めた追加の景気刺激策を検討しているとの報道もあり、個人消費の増加 基調は続く見込みだが、貿易摩擦の影響が個人消費に波及するリスクについても引き続き注意が必要で ある(担当:大広)。

(6)

経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

6 主要経済指標レビュー(7/23~8/3)

≪日 本≫

○ 6 月鉱工業生産指数(7 月 31 日)

6 月の鉱工業生産指数(季調済)は前月比▲2.1%と、

2 ヵ月連続のマイナスとなった。ただ、四半期ベースで 見ると、4-6 月期は前期比+1.2%と、2 期ぶりのプラ スとなったほか、製造工業生産予測調査では、7、8 月 とも増産が続く見通しが示されている。7 月 1 日には中 国の自動車関税引き下げが実施されるなど、鉱工業生産 は、今後も均せば緩やかな回復が続くと予想する。内需 に関しては、更新維持・省力化投資や研究開発投資を中 心とする設備投資の回復が生産の伸びにある程度寄与 するとみている。ただ、米中貿易摩擦の報復合戦などが 企業にとってマインド面での重しになっており、日米貿 易協議の動向などには、引き続き留意が必要である。

○ 6 月新設住宅着工戸数(7 月 31 日)

6 月の新設住宅着工件数(季調値)は前月比▲8.2%と、

3 ヵ月ぶりのマイナスとなった。利用関係別では、分譲 は同▲20.0%と 5 ヵ月ぶりのマイナス、持家は同▲6.9%

と 4 ヵ月ぶりのマイナス、貸家は同▲1.1%と 2 ヵ月連 続のマイナスとなった。今後については、住宅支援策や 低金利環境が引き続き下支えとなるものの、マンション などの住宅価格の高止まりが続くなか、消費者は慎重に 物件購入を進めるとみている。また、金融機関によるア パートローン向け融資への慎重なスタンスが続き、貸家 着工は減少傾向で推移するとみられる。消費増税前の駆 け込み需要も見込まれるものの、住宅着工は均せば鈍化 傾向で推移すると予想する。

○ 6 月雇用関連統計(7 月 31 日)

6 月の雇用関連統計に関して、完全失業率(季調値)

は 2.4%と、4 ヵ月ぶりに上昇(悪化)し、前月から 0.2%

の上昇となったものの、引き続き低水準で推移している。

有効求人倍率(季調値)は 1.62 倍と、5 月から 0.02 ポ イント上昇、求人数が求職者数を上回る状態が続いてい る。ただ、賃金の伸び悩みには需給ギャップ以外の構造 的抑制要因も働いていることから、正社員の賃金に関し ては今後も安定的な上昇は考えにくい。依然として企業 側の採用ニーズは、賃金や社会保険料などの人件費を削 減でき、人員調整も容易な非正規や賃金等の待遇面で見 劣りする職種に偏っていることから、全職種平均でみた 賃金上昇ペースは緩やかなものにとどまると予想する。

2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5

0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8

14/6 14/9 14/12 15/3 15/6 15/9 15/12 16/3 16/6 16/9 16/12 17/3 17/6 17/9 17/12 18/3 18/6

有効求人倍率と完全失業率の推移

有効求人倍率 完全失業率(右軸)

(出所)厚生労働省「一般職業紹介状況」、総務省「労働力調査」

20 40 60 80 100 120

10 20 30 40 50 60

15/6 15/9 15/12 16/3 16/6 16/9 16/12 17/3 17/6 17/9 17/12 18/3 18/6

万戸 万戸

利用関係別新設住宅着工戸数の推移

(季調済年率換算戸数)

持家 貸家 分譲 総戸数(右軸)

(出所)国土交通省「住宅着工統計」

95 100 105 110 115 120

92 96 100 104 108 112

14/6 14/9 14/12 15/3 15/6 15/9 15/12 16/3 16/6 16/9 16/12 17/3 17/6 17/9 17/12 18/3 18/6

2010年=100 2010年=100 鉱工業生産・出荷・在庫指数の推移

生産指数 出荷指数 在庫指数(右軸)

(出所)経産省「鉱工業生産統計」

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経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

7

≪米 国≫

○ 6月住宅販売件数(7月23,25日)

6 月の米新築住宅販売件数は年率換算で 63.1 万戸、

前月比▲5.3%と、2 ヵ月ぶりに減少した。また、米中 古住宅販売件数は年率換算で 538 万戸、前月比▲0.6%

と、3 ヵ月連続の減少となった。住宅投資の先行指標 とされる住宅市場指数は足元で頭打ち感を強めている。

発表元の全米住宅建設業協会(NAHB)によれば、人材・

用地不足や資材コストの上昇など供給面での制約が重 しになっていると指摘している。今後の住宅投資は、

住宅価格や住宅ローン金利の上昇などを背景に家計の 住宅取得能力指数が低下傾向にあるほか、昨年末の税 制改革法で、住宅ローン控除の対象となる借入額の上 限が、現行の 100 万ドルから 75 万ドルに引き下げられ たことなどから低調な推移が続くと予想する。

○ 7月ISM製造業景況指数(8月1日)

7 月の ISM 製造業景況指数は 58.1 と、3 ヵ月ぶりに 低下した。構成項目別に見ると、在庫や雇用が前月か ら上昇する一方、生産、新規受注、リードタイムが低 下した。公表資料で示された回答者のコメントを見る と、前月に引き続き需要の強さが指摘されているもの の、貿易摩擦や関税の影響を懸念する声が目立ってお り、企業マインドを下押しした可能性がある。ただ、

各指数は依然として高い水準で推移しており、今のと ころ貿易摩擦に よる影響 は軽微なものに とどまっ て いると言える。調査した 18 業種中 17 業種で成長が報 告されており、残り 1 業種も前月から横ばいと、幅広 い業種で業況が改善している。企業マインドは堅調に 推移していることから、米国景気の回復基調は今後も 続く可能性が高い。

○ 6 月製造業新規受注(8 月 2 日)

6 月の製造業新規受注は前月比+0.7%と 2 ヵ月連続 で増加した。変動の激しい輸送機器を除くベースでも 同+0.4%と、12 ヵ月連続で増加した。財別に見ると、

耐久財は同+0.8%と、輸送機器の増加などにより 3 ヵ 月ぶりのプラスとなった。5 月に自動車部品供給業者 の火災で自動車が減少したが、その反動増が見られた ほか、振れの激しい航空機が増加したことが寄与した。

非耐久財は同+0.5%と 4 ヵ月連続で増加した。設備投 資の先行指標とされる非防衛資本財受注(除く航空機)

も同+0.2%と 3 ヵ月連続で増加しており、設備投資の 増加基調が続く見込みである。貿易摩擦への警戒感な どが下押し材料ではあるものの、企業業績の改善や拡 張的な財政政策の効果などが下支えとなり、製造業新 規受注は緩やかながら増加基調が続くと予想する。

4 5 6 7

0.2 0.4 0.6 0.8

11/6 11/12 12/6 12/12 13/6 13/12 14/6 14/12 15/6 15/12 16/6 16/12 17/6 17/12 18/6

100万件 新築・中古住宅販売件数の推移 100万件

新築住宅販売件数 中古住宅販売件数(右軸)

※数値は年率換算

(出所)米商務省、米不動産業協会(NAR)

30 35 40 45 50 55 60 65

06/7 07/7 08/7 09/7 10/7 11/7 12/7 13/7 14/7 15/7 16/7 17/7 18/7

ポイント ISM製造業景況指数の推移

(出所)米サプライマネジメント協会(ISM)

180 210 240 270 300 330

300 350 400 450 500 550

11/6 11/12 12/6 12/12 13/6 13/12 14/6 14/12 15/6 15/12 16/6 16/12 17/6 17/12 18/6

10億ドル 製造業新規受注の推移 10億ドル

受注額 耐久財(右軸) 非耐久財(右軸)

(出所)米商務省

(8)

経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

8

○ 7 月雇用統計(8 月 3 日)

7月の非農業部門雇用者数は前月比+15.7万人と、

市場予想の同+19.3万人を下回った。ただ、前月6月 の伸びが同+24.8万人と、同+21.3万人から上方修正 されたことを考慮すれば、ほぼ市場予想通りの結果だ ったと言える。なお、5月も同+26.8万人と、同+24.4 万人から上方修正されており、3ヵ月移動平均で見れ ば7月は同+22.4万人と、2ヵ月連続で20万人を上回る 伸びとなった。失業率は6月の4.0%から3.9%へ低下 し、引き続き低水準で推移している。時間当たり賃金 の伸びは前年比+2.7%と6月から横ばいにとどまり、

ここ数年見られたレンジ内での推移から脱してはい ない。7月の雇用統計は、FRBの緩やかな利上げを後押 しする内容だったと考える。

3 4 5 6 7 8 9 10 11

-1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600

08/7 09/7 10/7 11/7 12/7 13/7 14/7 15/7 16/7 17/7 18/7

% 千人 非農業部門雇用者月間増減数と失業率

非農業部門雇用者月間増減数 失業率(右軸)

(出所)米労働省

(9)

経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

9

≪欧 州≫

○ 7月ドイツIfo景況感指数(7月25日)

7 月のドイツ Ifo 景況感指数は 101.7 と 2 ヵ月連続 で低下した。内訳を見ると、現況指数は 105.2→105.3 と前月から上昇したものの、期待指数が 98.5→98.2 と 8 ヵ月連続で低下した。産業別では、建設業が 19.4

→27.4 と大きく上昇し、サービス業も 26.0→26.7 と 小幅に上昇したものの、製造業が 23.9→22.4、小売・

卸売業が 11.4→10.4 と悪化した。足元では、米国と EU の間で貿易摩擦への懸念が燻っているものの、ド イツでは堅調な雇用環境を背景に内需の回復などが 期待できることから、ドイツ景気は今後持ち直しに 向かうと予想する。

○ 6月ユーロ圏マネーサプライ(7月25日)

6 月のユーロ圏マネーサプライ(M3)は前年比+

4.4%と、3 ヵ月連続で伸び幅が拡大した。一方、民 間向け貸出額は同+2.9%と、2 ヵ月ぶりに伸び幅が 縮小した。民間向け貸出額の内訳を見ると、家計向 け が 同 + 3.0 % → + 2.9 % 、 非 金 融 企 業 向 け が 同 + 2.8%→+2.6%と、それぞれ伸び幅が縮小した。ECB

(欧州中央銀行)は 6 月の理事会で、資産購入策を 2018 年末で終了することを決定した。ただ、現行の 政策金利は少なくとも 2019 年夏の間まではすえ置か れるとともに、購入した資産の再投資について期限 は言及されておらず、ユーロ圏の金融環境は、依然 緩和的な状態が続くとみられる。貸出金利も低位で の推移が続いていることなどから、今後のユーロ圏 民間向け貸出額は、緩やかな回復傾向で推移すると みている。

○ 7月ユーロ圏景況感指数(7月30日)

7 月のユーロ圏景況感指数は 112.1 と、7 ヵ月連続 で前月から低下した。構成項目別に見ると、サービス 業景況感(14.4→15.3)のみ改善したものの、消費者 信頼感(▲0.6→▲0.6)は横ばい、鉱工業景況感(6.9

→5.8)、建設業景況感(5.6→5.4)、小売業景況感

(0.7→▲0.1)が悪化した。主要国別では、ドイツ

(111.9→112.8)は改善したものの、フランス(109.6

→109.5)、イタリア(109.6→109.0)、スペイン(109.4

→107.7)は悪化した。足元では、米国と EU の間で、

自動車の関税を相互に撤廃するとの米国政府高官の 提案を受け、米欧間の貿易摩擦への懸念はやや後退し つつあるとみられる。また、ドイツを中心に雇用環境 は改善が続いていることから、ユーロ圏景気は緩やか な持ち直しに向かうと予想する。

90 95 100 105 110

11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7

独Ifo景況感指数

Ifo景況指数 現況指数 期待指数

(出所)Ifo経済研究所 ポイント

-3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6

14/6 14/12 15/6 15/12 16/6 16/12 17/6 17/12 18/6

M3と民間部門貸出額の推移(前年比)

M3 民間部門貸出額

(出所)ECB

75 80 85 90 95 100 105 110 115 120

10/7 11/1 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7 17/1 17/7 18/1 18/7

ポイント ユーロ圏景況感指数

ドイツ フランス イタリア

スペイン ユーロ圏

(出所)欧州委員会

(10)

経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

10

70008000 100009000 11000 12000 13000 14000 15000 16000 17000 18000 19000

12/02 12/04 12/07 12/10 13/01 13/04 13/06 13/09 13/12 14/03 14/05 14/08 14/11 15/02

(円) 日経平均株価

(出所)ファ クトセット

日米欧マーケットの動向

(2018 年 8 月 6 日現在)

▽各国の株価動向

▽外為市場の動向

9000 11000 13000 15000 17000 19000 21000 23000 25000

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(円) 日経平均株価

(出所)ファ クトセット

15000 17000 19000 21000 23000 25000 27000 29000

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(ドル) ダウ工業株30種平均

(出所)ファ クトセット

8000 9000 10000 11000 12000 13000 14000 15000

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(ポイント) ドイツの株価指数(DAX)

(出所)ファクトセッ (出所)ファ クトセット

5200 5600 6000 6400 6800 7200 7600 8000

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(ポイント) 英国の株価指数(FT100)

(出所)ファクトセット (出所)ファ クトセット

95 100 105 110 115 120 125 130

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(円) 円/ドル相場

(出所)ファ クトセット

1.00 1.05 1.10 1.15 1.20 1.25 1.30

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(ドル) ドル/ユーロ相場

(出所)ファ クトセット

100 110 120 130 140 150

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(円) 円/ユーロ相場

(出所)ファ クトセット

110 120 130 140 150 160 170 180 190 200

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(円) 円/ポンド相場

(出所)ファ クトセット

(11)

経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

11

▽各国の金利動向

▽商品市況の動向

-0.1 0.0 0.1 0.2

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(%) 日本の無担保コール(O/N)

(出所)ファ クトセット

-0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(%) 長期金利(日本、10年国債)

(出所)ファ クトセット

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(%) 政策金利(米国、FFレート)

(出所)ファ クトセット

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(%) 長期金利(米国、10年国債)

(出所)ファ クトセット

(0.25) 0.00 0.25 0.50

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(%) 政策金利(ユーロ圏、定例オペ最低入札金利)

(出所)ファ クトセット

-0.5 0.0 0.5 1.0 1.5

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(%) 長期金利(ドイツ、10年国債)

(出所)ファ クトセット

20 30 40 50 60 70 80

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(ドル) 原油先物(WTI、中心月)

(出所)ファ クトセット

1000 1100 1200 1300 1400 1500

15/8 15/10 16/1 16/4 16/7 16/9 16/12 17/3 17/6 17/8 17/11 18/2 18/5 18/8

(ドル) 金先物(COMEX)

(出所)ファ クトセット

(12)

経済ウォッチ 2018 年 8 月第 2 週号

12

●照会先● 明治安田生命保険相互会社 運用企画部 運用調査グループ 東京都千代田区丸の内2-1-1 TEL03-3283-1216

執筆者:小玉祐一、松下定泰、大広泰三、久保和貴、柳田亮、

西山周作、木下裕太郎

本レポートは、明治安田生命保険 運用企画部 運用調査 G が情報提供資料として作成したものです。本 レポートは、情報提供のみを目的として作成したものであり、保険の販売その他の取引の勧誘を目的と したものではありません。また、記載されている意見や予測は、当社の資産運用方針と直接の関係はあ りません。当社では、本レポート中の掲載内容について細心の注意を払っていますが、これによりその 情報に関する信頼性、正確性、完全性などについて保証するものではありません。掲載された情報を用 いた結果生じた直接的、間接的トラブルや損失、損害については、当社は一切の責任を負いません。ま たこれらの情報は、予告なく掲載を変更、中断、中止することがあります。

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