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研究分担者 川口鎮司 東京女子医科大学リウマチ内科 臨床教授 

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全身性強皮症に対するリハビリテーションの長期経過と QOL 改善に つなげる具体的生活指導 

 

研究協力者 麦井直樹 金沢大学医学部附属病院リハビリテーション部 作業療法士  研究分担者 浅野善英 東京大学医学部附属病院皮膚科 准教授 

研究分担者 川口鎮司 東京女子医科大学リウマチ内科 臨床教授 

研究分担者 桑名正隆 日本医科大学大学院医学研究科アレルギー膠原病内科学分野  教授  研究分担者 後藤大輔 筑波大学医学医療系内科 准教授 

研究分担者 神人正寿 熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療再建学分野 准教授  研究分担者 竹原和彦 金沢大学医薬保健研究域医学系皮膚分子病態学 教授 

研究分担者 波多野将 東京大学大学院医学系研究科重症心不全治療開発講座 特任准教授  研究分担者 藤本  学 筑波大学医学医療系皮膚科 教授 

協力者     佐藤伸一 東京大学医学部附属病院皮膚科 教授 

協力者     濱口儒人 金沢大学医薬保健研究域医学系皮膚分子病態学 准教授  協力者     松下貴史 金沢大学医薬保健研究域医学系皮膚分子病態学 講師  協力者     澤田幸恵 池田リハビリテーション病院 

協力者     染矢富士子  金沢大学医薬保健研究域保健学系リハビリテーション科学教授  研究代表者 尹  浩信  熊本大学大学院生命科学研究部皮膚病態治療学分野 教授 

 

研究要旨 

我々は全身性強皮症のリハビリテーションについて報告してきた.今回は,薬物治療される前 に手指のリハビリテーション単独で行った場合の効果について,検出される自己抗体別にリハ ビリテーションの方針の特徴を示すこと,家事動作で困難な動作を調査してリハビリテーショ ンにおける生活指導に役立てることを目的とした.手指のリハビリテーションは薬物治療と併 用後には及ばないものの,手指関節可動域改善の効果を示した.自己抗体別の検討では dcSSc が 多い抗体で多様にリハビリテーションが必要であることが確認できた.家事の中の調理動作で は,手指の筋力を必要とする動作の困難さに加え,巧緻性が必要な動作や寒冷刺激が加わる動作 で困難なことが明らかとなった.その対処法については,強皮症のリハビリテーション,生活便 利編として強皮症研究会議のホームページを介して公開した. 

 

A. 研究目的 

  当院では全身性強皮症(SSc)に対して 1997 年よりリハビリテーションを実施しており,

これまで手指の関節可動域制限に対するリハ ビリテーション,間質性肺炎に対するリハビ リテーション,顔の皮膚硬化による制限に対

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  2 するリハビリテーション,日常生活での困難 な動作について等をまとめ,報告してきた. 

この 3 年間はこれまで検討が行えなかった,

①手指の関節可動域制限に対するリハビリテ ーション単独の効果を示すこと,②SSc に検 出される自己抗体別にまとめ,リハビリテー ションの自己抗体別の特徴や方針を示すこと,

さらに③日常生活での困難な動作を,調理動 作を中心に詳細に調査し,生活指導に役立て ることを目的とした. 

 

B. 研究方法 

1)対象 

  対象は,1997 年 6 月から当院リハビリテー ション部に処方された SSc 患者とした.各目 的別の内訳を下記に示す. 

①  手指の関節可動域制限に対するリハビリ テーション単独の効果: 

手指に皮膚硬化による ROM 制限のあるステ ロイド無治療入院患者のうち,ステロイド内 服前に再測定した 41 例.平均年齢は 55.9 歳,

病型は dcSSc 36 例, lcSSc 5 例,  平均罹 病期間は 2.0 年,抗核抗体の内訳は,抗トポ イソメラーゼⅠ抗体  19 例,抗 RNA ポリメラ ーゼ抗体 12 例, 抗セントロメア抗体 2 例,

その他 8 例であった. 

②  SSc の自己抗体別リハビリテーション: 

抗トポイソメラーゼⅠ抗体陽性の 138 例,

抗 RNA ポリメラーゼ抗体陽性の 34 例,抗セン トロメア抗体陽性の 77 例,抗 U3RNP 抗体陽性 の 11 例の合計 260 例を対象とした. 

③  SSc の調理動作の調査: 

女性 SSc 患者 36 例を調査対象とした.病型 は dcSSc が 20 例,lcSSc が 16 例であった.

平均年齢は 55.4±11.5 歳.平均罹病期間は 8.3±6.3 年であった.平均 MRSS は 12.4 点.

抗核抗体の内訳は,抗トポイソメラーゼⅠ抗 体 17 例,抗 RNA ポリメラーゼ抗体 7 例,抗セ

ントロメア抗体 7 例,その他 5 例であった. 

2)方法 

① 手指の関節可動域制限に対するリハビリ テーション単独の効果 

手指のリハ内容と頻度:ステロイド無治療 の時期から患者に対して,入院中に実施した.

週 5 回,作業療法士が直接実施した.具体的 には,1指ごとにおこなう, 各々屈曲,伸展 方向ともに最大のところで,1回 5〜10 秒間 を繰り返し実施した. 

リハ効果判定:初診時・ステロイド開始直 前・開始後約 1 週間(退院直前)から 1 ヵ月 時(退院後初回外来)で他動手指 ROM を測定,

評価した.左右全指の ROM は Total  passive  ROM として算出した. 

② SSc の自己抗体別リハビリテーション  調査は,症例の診療記録より後方視的に行 った.項目は臨床所見として,病型,  MRSS,

皮膚潰瘍,関節炎,間質性肺炎,肺高血圧症,

逆流性食道炎,腎クリーゼ,悪性腫瘍の7症 状の有無.リハビリテーションに関しては,

手指他動 ROM (両側示指)の測定結果,リハ ビリテーションの問題点(手指・四肢・呼吸・

顔),リハビリテーションプログラム(手指・

四肢・呼吸・顔)の実施についてとした.自己 抗体別に各所見を比較し,特徴を調べた.さ らに手指 ROM の長期経過の追えた症例につい ては,ROM の変化を調査した. 

年齢,皮膚硬化の程度,手指 ROM に関しては,

Tukey‑Kramer の HSD 検定,他の臨床所見の有 無やリハビリテーションの問題点やプログラ ムに関してはχ2乗検定を用いて比較検定し た. 

③ SSc の調理動作の調査 

多様な調理動作より自作の評価表を作成し て調査した(表1). 

調理動作を運ぶ,取り出す,洗う,むく,切 る,開封,盛り付けるなど 10 項目全 50 動作

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  3 に分類した.各動作について,HAQ と同様に評 価段階を  0‐3 の 4 段階で点数化した.0 は,

簡単にできる.1は,なんとかできる. 2 は,

かなり難しい.3 は,まったくできないで評価 した.それぞれの動作で点数をつけ,合計点 を出した.合計点が高いほど障害があること を意味する. 

対象者に,全 50 動作について詳細を聴いた.

さらに,動作が困難な理由や特別に使用して いる道具やその他工夫点についても聴き取っ た.また同時期に握力,ピンチ力(指腹,側 腹),手指 ROM 制限の有無,HAQ も評価した.

手指 ROM 制限ありは他動指尖手掌間距離が 0 でないものとした. 

統計解析について示す. 

調理動作の合計点と各所見の関連性:病型 や各臨床所見(皮膚潰瘍,陥凹性瘢痕,間質性 肺炎,肺高血圧症)    の有無に関しては Wilcoxon の検定,年齢,罹病期間,  MRSS,

HAQ,握力,ピンチ力に関しては Spearman の 順位相関にて検定した. 

病型による比較:調理動作と HAQ に対して Wilcoxon の検定,さらに平均値としては対応 のない t 検定,握力,ピンチ力に関して対応 のない t 検定を行った. 

  SSc のリハビリテーションに関連した生活 指導のパンフレット作成 

  調査結果より導きだされた困難な項目に関 して,SSc のリハビリテーションに従事する 作業療法士が福祉機器や自助具などを選択し,

パンフレットとしてまとめた. 

  調査にあたっては金沢大学の医学倫理審査 委員会の承認を得た(No.812,960,962,1544). 

 

C. 研究結果 

① 手指の関節可動域制限に対するリハビリ テーション単独の効果 

  初診時・ステロイド開始直前・開始後約 1 週

間から 1 ヵ月時の3時点で母指〜小指の Total passive ROM を比較した(図 1).初診 時とステロイド開始直前との比較,ステロイ ド開始直前とステロイド開始後,初診時とス テロイド開始後との比較のすべてにおいて有 意 な 改 善 が み ら れ て い た ( Bonferroni,  p<0.01). 

② SSc の自己抗体別リハビリテーション      臨床所見およびリハビリテーションにお ける自己抗体別の特徴を示す.病型は,抗ト ポイソメラーゼⅠ抗体,抗 RNA ポリメラーゼ 抗体,抗 U3RNP 抗体で dcSSc が多く,皮膚硬 化は抗 RNA ポリメラーゼ抗体で最も強く,抗 トポイソメラーゼⅠ抗体,抗 U3RNP 抗体でも 強い症例が多かった.皮膚潰瘍は抗トポイソ メラーゼⅠ抗体に多くみられた.関節炎は頻 度が少ないが,抗 RNA ポリメラーゼ抗体で最 も少なかった.間質性肺炎は抗トポイソメラ ーゼⅠ抗体,抗 RNA ポリメラーゼ抗体で半数 以上にみられた.肺高血圧症は頻度こそ少な いが抗セントロメア抗体で,2 次性として抗 トポイソメラーゼⅠ抗体で注意を要した.逆 流性食道炎はすべての抗体で半数以上に出現 していた.腎クリーゼと悪性腫瘍は抗 RNA ポ リメラーゼ抗体で頻度が高かった(表 1). 

リハビリテーションは手指に関してすべての 抗体で対応していたが,抗セントロメア抗体 では軽度の障害の症例が多く,自主トレ指導 レベルが多かった.手指 ROM は抗トポイソメ ラーゼⅠ抗体では抗セントロメア抗体と比較 して有意に低下していた(図 2).四肢に関し ては抗トポイソメラーゼⅠ抗体,抗 RNA ポリ メラーゼ抗体,抗 U3RNP 抗体で多く実施した.

呼吸リハビリテーションは抗トポイソメラー ゼⅠ抗体で多く実施した.顔のリハビリテー ションは抗トポイソメラーゼⅠ抗体,抗 RNA ポリメラーゼ抗体,抗 U3RNP 抗体で 3 割程度 の症例に実施した.その他抗 RNA ポリメラー

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  4 ゼ抗体は,腎クリーゼや悪性腫瘍合併例にお いてはディコンディショニングに介入するこ ともあった.抗セントロメア抗体では,肺高 血圧症の合併例においてリスク管理下の運動 を行い,ADL を維持した(表 2). 

自己抗体別にまとめると,抗トポイソメラ ーゼⅠ抗体は dcSSc が多く,皮膚硬化が広範 なだけでなく強い症例も多く,皮膚潰瘍にも 注意を要した.また間質性肺炎も多く,2 次性 の肺高血圧症を併発する症例も存在した.リ ハビリテーションは症状を有する場合は,手 指,四肢,呼吸,顔と全面的に対応する必要が あった.抗 RNA ポリメラーゼ抗体は dcSSc が 多く,皮膚硬化が強い.間質性肺炎も多く,腎 クリーゼや悪性腫瘍合併例も多かった.リハ ビリテーションは手指,四肢,顔と皮膚硬化 による ROM 制限に対して実施,その一方で間 質性肺炎を合併した症例が多い割に呼吸への 介入は少なくてよかった.また腎クリーゼや 悪性腫瘍合併例では,ディコンディショニン グに介入することもあった.抗セントロメア 抗体はlcSSc が多く,皮膚硬化は目立たない.

肺高血圧症の合併に注意が必要であった.手 指リハビリテーションは行うが自主トレ指導 レベルも多かった.しかし関節炎や皮膚潰瘍 合併例では,ROM 制限に特に注意する必要が あった.  肺高血圧症の合併例では,リスク 管理下の運動を行い,ADL を保つ必要があっ た.抗 U3RNP 抗体は dcSSc が多く,皮膚硬化 が強い症例も多い.リハビリテーションは手 指,四肢,顔と皮膚硬化による ROM 制限に対 して実施する必要があった. 

続いて図 3 に自己抗体別の手指 ROM の継時的 変化を示す.各々症例数は異なるが,抗 RNA ポ リメラーゼ抗体,抗セントロメア抗体,抗 U3RNP 抗体では比較的良好な経過をたどった が,抗トポイソメラーゼⅠ抗体では,症例に 応じて良好な経過をたどるもの,悪化の経過

をたどるものと様々であった.悪化の要因と しては,皮膚潰瘍や皮膚硬化の再燃などが多 かった.特に手指の皮膚硬化が残存し,屈曲 拘縮がみられる場合,PIP 関節や DIP 関節の 背側に皮膚潰瘍を有する症例は ROM 低下が目 立つ傾向であった. 

③ SSc の調理動作の調査 

  調理動作における SSc 患者の困難な項目を 表 3 に示す.困難な動作は,缶詰の蓋を開け る,瓶の内蓋を開ける,包丁でかぼちゃを切 る,ハムやベーコンなどのパッケージを開け る,牛乳パックを開ける,もやしの袋を開け る,タッパを開ける動作であった. 

続いて表 4 に病型別調理動作の比較を示す. 

dcSSc と lcSSc 間で,握力,ピンチ力(指腹,

側腹)に差はみられなかったが,手指拘縮は 有意に dcSSc に多く,調理動作や HAQ は有意 に dcSSc が悪かった. 

  表 5 に有意であった調理動作と各種臨床所 見との関連項目を示す.調理動作と MRSS,HAQ は正の相関がみられ,皮膚硬化が強いほど,

HAQ の点数が悪いほど調理動作はより困難で あった.また握力や指腹つまみとは負の相関 がみられ,握力や指腹つまみが低下している ほど調理動作はより困難であった.さらに皮 膚潰瘍を有する患者や手指拘縮を有する患者 で調理動作はより困難であった. 

さらに対象者が生活において実施している 工夫点は,お湯,手袋やハサミの使用,そして 家族の協力を得るということであった. 

各調理動作の困難さの特徴としては,寒冷刺

激や皮膚潰瘍で道具の操作が困難であること,       

皮膚が硬く手指に力が入りにくいといったこ とであった. 

  SSc のリハビリテーションに関連した生活 指導のパンフレット 

  作成した生活指導のパンフレットを付録と して示す.同様の内容を強皮症研究会議のホ

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  5 ームページより閲覧できるようにした. 

 

D. 考  察 

  SSc の診療ガイドラインでは,ステロイド 投与は,発症早期で進行している例において は有用であるとされている.今回皮膚硬化に 対してステロイド投与が予定されている症例 に対して手指リハを開始し,内服前に手指 ROM を再評価し,リハ単独の効果を検討した.以 前の我々の報告では,ステロイド投与してい ない lcSSc においても手指リハは有意な効果 がみられた.しかし,dcSSc においてはステロ イド投与による効果と判別困難であった.今 回,極短期ではあったがステロイド投与前の リハ単独で ROM の変化をみた.結果からはリ ハ単独でも効果はえられるが,ステロイド併 用によりさらに改善が期待できることが示さ れた. 

    SSc では検出される自己抗体によって,

皮膚硬化の程度,間質性肺炎,腎クリーゼな ど主要な臨床所見の出現に特徴がみられる.

今回調査した自己抗体別の臨床所見の有無に 関する結果は,過去の報告と同様の結果を示 し,妥当性のある結果であった.また今回自 己抗体別に手指 ROM の継時的変化を示した.

抗体によっては,症例数は少なかったが,こ のような継時的変化はリハビリテーションに おける機能的予後を示すヒントになりうる結 果であり,今後は症例数を増やしていくこと が重要である.  

SSc では,当然出現する臨床所見やその重症 度によって生じる障害も異なり,リハビリテ ーションアプローチはそれに応じた対応とな っていた.本邦においては,2016 年の強皮症 診療ガイドラインにリハビリテーションの項 目が新たに追加された.ガイドラインに加え,

今回の我々の調査は,担当した症例のリハビ

リテーション方針を示すヒントになるかもし れない.  

SSc の困難な ADL に関して,我々は以前 SSc 患者 37 例を対象に 106 項目にわたる ADL,

APDL の評価を行った.評価結果は HAQ のスコ アと高い相関を示した.また活動制限の高い 項目は缶ジュースのふた開け,ペットボトル のふたを開けなど手・手指の筋力を要する項 目が多く,SSc の障害の特徴を示す結果であ った.今回作成した調理動作の評価表も同様 に HAQ と高い相関(r=0.91)があり,SSc の QOL を反映した評価表となった.HAQ では,SSc 患者が困難な項目は,欧米,本邦ともに握力 の項目であり,我々の調理動作の評価表で困 難であった項目の内容と一致していた.しか し一方で  HAQ は家事動作に関しては 20 動作 のうちの 1 つのみであり詳細な評価が行えな い.リハビリテーション場面で,SSc 患者が ADL,APDL の諸動作において,困っている障害 の1つ1つに対応していかなければならない ような場合は,情報を得るための評価バッテ リーとしては不十分である.我々の調理動作 の詳細にわたる調査からは,握力,ピンチ力 を必要とする課題で困難となりやすく,手指 拘縮や皮膚潰瘍を有する患者,また皮膚硬化 が強いほど困難であることが示された.病型 では dcSSc でより困難であった. 

Sandqvist  らの SSc の ADL,APDL の調査で は,調理動作は 102 項目中 12 項目で評価され ている.調査結果からは,ADL,APDL は dcSSc でより困難であり,握力の低下や巧緻性,皮 膚硬化の強さが関連していた.しかし調理動 作については詳細に示されてはいない.また 女性に多い SSc の APDL ということでは,育児 能力について,Poole らは RA などについて用 いられている Parent Disability Index(PDI) にて評価,調査している.調査結果からは育 児能力に関して,痛みや疲労感の強い症例で

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  6 低下していた.病型では dcSSc と lcSSc に差 はみられなかった. 

膠原病では,RA に関して家事動作を調査した 報告や生活指導についての報告は散見する.

RA で家事動作における問題点は関節痛と ROM 制限によるリーチ能力の低下が主要な障害の 要因である.一方,SSc では皮膚潰瘍や寒冷刺 激からくる疼痛,皮膚硬化からくる把持困難 が障害の要因としてあげられる.ADL や APDL の調査では,RA,SSc ともに類似した動作項目 に問題があるが,実際の生活指導では,RA と は異なった指導が必要となる.今回調理動作 に特化した調査で困っている諸動作を明らか にしたことにより,SSc の生活指導の方向性 を示すことができた.さらに今回,付録に示 したような生活指導のパンフレットを作成し た.先行研究に加え,SSc 患者の調理動作の詳 細な調査結果に基づいたものであり,リハビ リテーション分野からの生活指導も SSc 患者 の QOL をサポートする一助となると考える.

今後は手指機能についての指導を更に充実さ せていくとともに呼吸障害や寒冷刺激対策な ども検討していく必要がある. 

 

E. 結  論 

  SSc のリハビリテーションについて 3 項目 を検討した.薬物治療される前に手指のリハ ビリテーション単独で行った場合の効果につ いては,薬物治療と併用後には及ばないもの

の,手指関節可動域改善の効果を示した.自 己抗体別のリハビリテーションの特徴として,

dcSSc が多い自己抗体で多様にリハビリテー ションが必要であることが確認できた.家事 の中の調理動作では,手指の筋力を必要とす る動作の困難さに加え,巧緻性が必要な動作 や寒冷刺激が加わる動作で困難なことを確認 した.その対処法については強皮症研究会議 のホームページを介して公開した. 

 

G. 研究発表 

1.  論文発表  なし 

2.  学会発表 

麦井直樹,澤田幸恵,染矢富士子,松下貴史  濱口儒人  竹原和彦:全身性強皮症の抗核抗 体別の障害像とリハビリテーション.第 53 回日本リハビリテーション医学学術集会,

2016 年. 

大畠幸恵,麦井直樹,染矢富士子,竹原和 彦:全身性強皮症患者の調理動作.第 49 回 日本作業療法学会,2015 年. 

 

H. 知的財産権の出願・登録状況 

1.    特許取得  なし  2.    実用新案登録  なし  3.    その他  なし

   

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  図 1  結果  初診時・ステロイド開始前・後の ROM の変化 

  縦軸は Total passive ROM の角度を示す.各手指,左から順に初診時,ステロイド投与 直前,ステロイド投与後を示す.(Bonferroni, *:p<0.01) 

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  図 2  各自己抗体における初診時の手指 ROM 

(各々左右に配列,示指にて測定.角度は他動運動にて,MP 関節屈曲+PIP 関節屈曲+伸展

+DIP 関節屈曲+伸展の総和で示した.)   

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  図 3  自己抗体別の手指 ROM の継時的変化(右示指の経過を示す.角度は他動運動にて,

MP 関節屈曲+PIP 関節屈曲+伸展+DIP 関節屈曲+伸展の総和で示した.) 

   

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付録  全身性強皮症のリハビリテーションにおける生活指導 

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  25 表 1  自己抗体別の臨床所見の出現について 

項目  Topo-Ⅰ  RNAP  ACA  U3  p値 

病型(d:l)  98:40  28:6  8:69  7:4  p<0.0001 

MRSS  15.6±10.5  22.1±11.5  6.1±7.1  17.7±7.9  p<0.001 

皮膚潰瘍  27.5%  8.8%  13.0%  9.1%  p=0.0132 

関節炎  11.6%  2.9%  14.3%  18.2%  ns 

間質性肺炎  73.2%  52.9%  19.5%  18.2%  p<0.0001 

肺高血圧症  13.0%  2.9%  13.0%  9.1%  ns 

逆流性食道炎  67.4%  64.7%  55.8%  72.7%  ns 

腎クリーゼ  5.1%  20.6%  0%  9.1% 

 

悪性腫瘍  8.7%  20.6%  10.4%  0% 

 

     

表 2  自己抗体別のリハビリテーションの問題点,薬物治療,リハビリテーションプログ ラムについて 

項目  Topo-Ⅰ  RNAP  ACA  U3  p値 

問題点    手指  81.2%  85.3%  57.1%  81.8%  p=0.0005  問題点    四肢  22.5%  55.9%  2.6%  36.4%  p<0.0001  問題点    呼吸  55.8%  29.4%  15.6%*  27.3%  p<0.0001  問題点    顔  53.6%  50.0%  2.6%  36.4%  p<0.0001  ステロイド使用  86.2%  94.1%  23.4%*  81.8%  p<0.0001  手指  リハ  84.8%  85.3%  68.8%  81.8%  p=0.0196  四肢  リハ  23.2%  35.3%  3.9%  36.4%  p<0.0001  呼吸  リハ  35.5%  14.7%  14.3%  18.2%  p=0.0024  顔      リハ  37.0%  38.2%  1.3%  27.3%  p<0.0001 

*:抗セントロメア抗体では,肺高血圧症に対するリハビリテーションとして示す. 

       

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  26 表 3  全身性強皮症に対する調理動作評価表 

項目  動作  項目  動作 

洗う  手袋をはめる  片づけ・とりだし  食器をはこぶ 

    スポンジの使用    棚から取り出す  高い 

    食器を洗う    コップ      棚から取り出す  低い 

    食器を洗う    平皿      食器を拭く 

    食器を洗う    鍋、フライパン      生ごみの処理 

    野菜を洗う  はくさい,ねぎ      米びつに米を入れる 

    米とぎ  コンロ周り  火をつける   

切る  包丁の操作      かぼちゃ      フライパンを持つ 

    包丁の操作      魚      なべを持つ  片手なべ 

    包丁の操作      肉      なべを持つ  両手なべ 

    包丁の操作      玉ねぎ,りんご      換気扇をつける 

    千切り,みじん切り  盛り付ける  トング 

むく  玉ねぎの皮むき      菜箸 

    ゆで卵の殻むき      ヘラ、フライ返し 

    ピーラーの操作      おたま 

手で分割  レタスを手でちぎる    お茶わんや皿の保持 

    サランラップ、アルミホイルを切る      ポットに水を入れる 

    カレーのルウを割る  他  冷凍食品、氷の取り扱い 

    種をとる(ピーマン、かぼちゃ)    卵の殻割り 

こねる・まぜる  具材をまぜる(卵,味噌など)      串に刺す 

  手でこねる      エプロンをつける 

開封  調味料の外蓋      おろし金 

  パッケージを開封  もやし     

    パッケージを開封  ハム,ベーコン     

    タッパ     

    牛乳パック     

    缶詰の蓋     

    瓶の内蓋(しょうゆなど)     

 

   

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  27 表 4  病型別の比較 

 

dcSSc  lcSSc  p 値 

症例数  20 例  16 例 

 

調理動作合計中央値    36.5 点  1.5 点  p < 0.0001  調理動作合計平均値  36.2  4.6  p < 0.0001  HAQ  中央値  0.25 点  0.07 点  p < 0.0001  HAQ  平均値  0.37  0.07  p < 0.0001  握力     (最高値平均)  18.3kg  22.3kg  ns 

側腹つまみ(最高値平均)  6.7kg  7.3kg  ns  指腹つまみ(最高値平均)  4.6kg  5.1kg  ns 

手指拘縮(あり/なし)  17/3  2/14  p < 0.0001   

   

表 5  全身性強皮症患者の調理動作と手指機能および各種臨床所見との関連性 

  相関係数  p 値 

年齢  r = ‑0.18  0.26  罹病期間  r = 0.15  0.37  MRSS  r = 0.46  0.002  HAQ  r = 0.75  < 0.0001  握力  r = ‑0.43  0.007  側腹つまみ  r = ‑0.24  0.15  指腹つまみ  r = ‑0.42     0.01   

 

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