第 475 回東京医科大学臨床懇話会
肋骨発生骨膜性軟骨肉腫の治療経験
Treatment of periosteal chondrosarcoma occurred in the rib
日 時
:
平成30
年4
月20
日(金)17 : 00〜 会 場:
東京医科大学病院 6階 臨床講堂 当 番 分 野:
東京医科大学整形外科学分野関連診療科
:
東京医科大学病院呼吸器外科・甲状腺外科 東京医科大学病院病理診断科東京医科大学病院放射線科 司 会
:
西田 淳(整形外科学 教授)発 言 者
:
永井 太朗(整形外科)遠藤 健司(整形外科 講師)
松原 泰輔(呼吸器外科・甲状腺外科)
萩原 優(呼吸器外科・甲状腺外科 講師)
平井 秀明(病理診断科)
眞田 知英(放射線科)
東医大誌 76(4)
: 355
-361, 2018
臨床懇話会
西田(司会)
:
それでは、時間となりましたので、ただいまから第
475
回東京医科大学臨床懇話会を始 めさせていただきます。本日の担当は整形外科分野でございます。私は整 形外科の西田と申します。どうぞよろしくお願いい たします。
この会は懇話会ですので、ご出席の皆様の活発な ご討論をお願いできればと思います。特に学生の皆 様、できるだけ質問等していただければと思います。
それでは、症例のプレゼンテーションを整形外科 の永井先生、よろしくお願いいたします。
永井(整形外科)
:
よろしくお願いします。整形 外科、永井と申します。まず、今回の症例は、軟骨肉腫の中で骨膜性軟骨 肉腫、という珍しい
subtype
の腫瘍です。まずは、そのアウトラインについてお話しします。
軟骨肉腫は、原発性の悪性骨腫瘍の中では、骨肉 腫に次いで頻度の高い腫瘍で、好発年齢は
50
歳以上とやや高齢です。発生部位は大腿骨近位や骨盤、
肋骨、上腕骨などの発生が多く、今回は肋骨での発 生の例についてお話しさせていただきます。
一次性、二次性に大別され、一次性のほうが多く、
まれな組織系としては、脱分化型、淡明細胞型、間 葉性、骨膜性などがあります。
今回我々が経験した症例は、骨膜性軟骨肉腫と呼 ばれるもので、骨表面に発生する形の軟骨肉腫で、
良性の骨膜性軟骨腫などとの鑑別が非常に難しいと されており、軟骨肉腫全体の
1%
未満と、非常にま れな腫瘍の一つです。軟骨腫は
5 cm
以内に留まることが多いのに対し て、軟骨肉腫は大きくなることが多いというのが鑑 別のポイントにはなりますが、画像上の鑑別は非常 に難しいことが、WHO
の分類にも記載されており、病理学的には、骨皮質への浸潤などが鑑別のポイン トとなりますが、こちらに関しても難しい点が多い ということがあります。
今回の症例では、症例は
43
歳の女性で看護師さ んの方です。胸部の異常陰影を検診で指摘されて、当院の呼吸 器外科に紹介となりました。CTでの精査を行い、
第
5
肋骨との連続性があるということで、骨が原発 の可能性があると指摘されて、整形外科に紹介とな りました。身体所見では、外観上、明らかな腫瘤の突出や疼 痛などはなく、呼吸苦や聴診上の異常などもありま せんでした。
西田
:
永井先生、ありがとうございました。当初は、呼吸器外科を紹介されて、それからまた 整形外科に紹介いただいたという患者さんですの で、初診時のことにつきまして、呼吸器外科の松原 先生、お願いいたします。
松原(呼吸器外科・甲状腺外科)
:
呼吸器外科の 松原と申します。よろしくお願いします。胸部の単純写真で、腫瘤影が認められたというこ とで、精査目的に胸部の造影
CT
が撮影されました。こちら胸部の
CT
なのですが、左の第5
肋骨から、胸腔内に突出するように腫瘤が認められました。肋 骨から連続するように、腫瘤の辺縁に石灰化が連続 性に認められたということで、当初は骨嚢腫の疑い
という読影の結果でした。
この腫瘤の内部の性状を確認するために、造影
MRI
を撮像致しました。こちらが造影の
MRI(図 3)ですが、同じように、
辺縁と内部がわずかに濃染している腫瘤が
CT
と同 じ部位にありました。読影では、周囲の肋骨、胸膜、椎体との連続性は否定できないという結果でして、
MRI
では、神経原性腫瘍の疑いという結果となり ました。CT
で骨嚢腫の疑いがあり、生検の適応があるか どうかということについて、呼吸器外科から整形外図
3 初診時造影 MRI
像A T1WI axial
像B T2WI axia
像図
2 初診時造影 CT
像A axial
像B coronal
像C sagital
像図
1 初診時単純 X
線正面像科へコンサルトさせていただきました。
西田
:
松原先生、ありがとうございました。画像所見につきまして、放射線科の眞田先生、詳 細にご説明をお願いいたします。
眞田(放射線科)
:
放射線科の眞田と申します。よろしくお願いいたします。
まず、これが初診時の胸部のレントゲンの写真(図
1)ですね。左上肺野の縦隔側に腫瘤影があると思
います。こちらのほうに出してはおりませんけれども、側 面像がありまして、椎体のそばにあるのが確認でき ますので、どちらかというと肺内よりは胸壁、後壁 の腫瘤ではないかというのが推察されます。
次に撮られたのが
CT(図 2)ですね。こちらに
なりますが、今、呼吸器外科の先生からご説明いた だいたように、第5
肋骨から胸腔内に膨隆するよう に発育する腫瘤と考えられました。その辺縁は骨皮質と連続するような骨化、境界明 瞭で類円形、肋骨に連続する石灰化を伴っています。
造影
CT
が撮られていたんですけれども、内部は造 影不良で、そのときのレポートでは、内部に微細な 石灰化があるのではないかということを書かれてお りましたが、石灰化がもう少し明確であれば、軟骨 基質等も疑うのですが、ちょっと石灰化が不明瞭 だったので、レポートとして書かせていただいたの が、このように肋骨から発生して、膨隆性に出てく る腫瘍として考えられた動脈瘤様骨のう腫という病 気です。ただ、この疾患に関しましては、好発年齢が
10
代から20
代と若いですけれども、この辺を疑って 精査ということになると思います。MRI(図 3)です。こちらは他院で撮られたもの
ですが、私もこの
MRI
を見させていただきました けれども、このMRI
の撮像では、肋骨との連続性 はわからないというところが正直なところで─肋 骨との連続性がわからないとなると、胸壁の軟部組 織から出てきて、この辺に発生するものということ になり、しかもT2
強調像で内部高信号ですので、神経原性腫瘍を疑うというのは仕方がないと思いま す。
一方で、先ほどの
CT
で、第5
肋骨から発生した 腫瘤が疑われるということになると、先ほどの動脈 瘤様骨のう腫ですと、MRI上で、出血等を見てい るフルイドレベルという所見が見られるんですね。そういう所見がないので、ちょっと動脈瘤様骨のう 腫は否定的かなと。
それ以外に肋骨原発の腫瘤をいろいろ考えていき ますと、例えば、腫瘤とは言えませんけれども、最 も頻度が多いのが、線維性骨異形成症ですね。これ は腫瘤ではないし、形が全く違います。
腫瘤系ですと、骨軟骨腫や軟骨腫、あとは内軟骨 腫などが考えられます。骨軟骨腫に関しては、この ような軟骨様のものだけが外に膨隆するということ は、あまりないと思われますので、鑑別から外され ると。そうすると残ってくるのが軟骨腫─軟骨腫 ですと、例えば、骨膜性軟骨腫というような外側に 膨隆するものとか、隆起性内軟骨腫などは、このよ うな形をとってもいいのかなと思われます。
悪性を疑うのであれば、先ほど、先生方がおっしゃ られていた傍骨性の軟骨肉腫というものがあると。
この辺が鑑別に挙がってくるかと思います。
T2
強調像で脊髄の中の髄液とほぼ同じような信 号で、提示していませんが拡散強調像でも同じよう な信号変化があります。造影画像では内部が造影されずに、辺縁が造影さ れるというのも内軟骨腫、軟骨腫等の所見としては 矛盾しないと考えられます。
西田
:
ありがとうございます。先生、骨軟骨腫等はどうですか。骨性のベースが ないので、鑑別からは外れますか
?
眞田
:
そうですね。その時点でちょっと違うか と。ほかの肋骨原発であり得る腫瘍、例えば、単純 に肋骨から出てくる腫瘍ということであれば、骨肉 腫とか、類骨骨腫とか、いろいろありますが、そう いうのも、やはり外方性に膨隆して、中心部のほう に向かって腫瘤の浸潤があまり見られないという点 を考えると、鑑別からは外せるかなと思います。西田
:
あとは、calcification(石灰化)があるよう だということと、骨化ではないようだということで すね。眞田
:
はい。その辺が考えられると思って……。西田
:
表面型の骨肉腫ではないだろうというこ とになりますね。眞田
:
後で出てくると思いますが、手術前の直近 のCT
は2017
年に撮られているんですけれども、最初に撮られたのが
2015
年のCT
で、その2
つを 比べた場合に、腫瘤はほとんど変わらない、もしく は、測る位置によっては、せいぜい1 mm
ぐらい変化があるか、それとも誤差かという程度の大きさの 変化でしかないので、画像的には、悪性よりも良性 を疑います。
そういうことを考えると、最初に言った軟骨腫で すね。骨膜性軟骨腫とか、隆起性内軟骨腫とか、そ ういうものがファーストに挙がってきて、多少なり とも成長しているのであれば、悪性を完全には否定 できないということで、軟骨肉腫も鑑別に挙げざる を得ないというところになってくるかと思います。
以上、放射線科の説明としてお話しさせていただ きました。
西田
:
ありがとうございました。整形外科の永井先生、今お話しいただいたことに つきまして、何かございますか。
永井
:
解説頂いた通りで、診断が難しく、当科で は悪性腫瘍の可能性も考慮して、CTガイド下にbiopsy
を行うことにいたしました。西田
:
その所見につきまして、病理の平井先生、お願いできますでしょうか。よろしくお願いいたし ます。
平井(病理診断科)
:
よろしくお願いします。病 理の平井です。こちらが生検の画像になります。軟骨様の組織が 採取されています(図
4)。拡大像では、若干細胞
密度が上昇しており、二核細胞が少数散見されます。軟骨細胞の異型は軽度に留まります。少なくとも高 度の異型を示すグレード
2、もしくはグレード 3
相 当の高悪性度の軟骨肉腫の像はみられません。画像 所見等を加味すると、鑑別診断としては骨軟骨腫、骨膜性軟骨腫などの良性軟骨性腫瘍と、異型の乏し いグレード
1
相当の骨膜性軟骨肉腫が挙げられま す。良性の軟骨性腫瘍とグレード
1
の骨膜性軟骨肉腫 の鑑別は、一般的には周囲組織への浸潤の有無でし か判断できないとされています。今回のような生検検体の場合は、病変の一部しか 採取されていないため、周囲組織への浸潤の評価は 困難です。
病理側としては、診断の確定のために、病変の全 摘をご検討頂きたいと考えました。
西田
:
ありがとうございます。今おっしゃってい ただいたとおりだと思いますが、組織学的に診断は かなり難しく、画像診断も非常に難しい症例でした。東京医大の整形外科では、病理の先生方と相談し て、こういうふうな診断難渋例のときは、症例数が 豊富なアメリカの
MayoClinic
に標本と画像を送っ て、セカンドオピニオンをもらっております。この例もそれで送っておりますので、MayoClinic のレポートを永井先生お話しいただけますか。
永井
: MayoClinic
にセカンドオピニオンとして、病理の検体と放射線の画像に関して相談しました。
結果は先生方にお話しいただいた内容とほぼ同様 で、良性の骨膜性軟骨腫など、良性の腫瘍が第一に 疑われるが、悪性の可能性を否定できないとの診断 に至りました。先ほど平井先生からもお話しいただ きましたが「辺縁切除などでの検体を採取し評価を 行うか、もしくは慎重な経過観察をお勧めします」
というお返事をいただきました。
これを踏まえ当科では、慎重に経過観察を行う方 針としました。
西田
: Mayo
クリニックの診断も、当院の放射線科、それから病理の先生方の先ほどまでのお話とほ ぼ同様であったため、経過観察を行ったということ ですね。その後の経過についてお願いいたします。
図
4 生検時病理画像
A 低倍率 B 高倍率
こちらが経過観察時の
CT
画像で、最終的に撮影 した初診から2
年後のCT
画像です。先ほど、眞田 先生からもお話をいただきましたが、この画像だけ 見てみると、ほとんど拡大しておらず、先ほどと同 じような画像に見えますが、2年前の初診時のCT
画像と比べると、やや拡大していると判断しました。一度放射線科の眞田先生にもコメントをいただけれ ばと思います。
西田
:
若干進行しているように見えますが……。眞田
:
放射線科のディスプレイ等で、実際に測っ てみたんですね。長径等を測ってみると、ある場所 で測ると1 mm
ぐらい─1 mm
程度ですと、微妙 なラインで誤差範囲でもあるんだけど、でも、ちょっ と大きくなっているかなというところだと思うの で、やっぱり成長しているのかなという気はします─なのでということです。
西田
:
私どもでは、これがもし悪性だとしても、現状この時期だったら摘出可能と判断しました。こ れより、さらに大きくなって、万一悪性で、浸潤性 の増大をすれば、治療困難になると判断をしました。
そのために呼吸器外科と相談しまして、内視鏡を 併用しての、切除を御相談したわけでございます。
その手術につきまして、呼吸器外科の萩原先生お 願いいたします。
萩原(呼吸器外科・甲状腺外科)
:
呼吸器外科の 萩原です。手術に当たりまして、椎体近傍の腫瘤と言いまし ても、肋骨に首座を置く腫瘤に対しての手術という ことで、我々はよく良性の神経原性腫瘍などに対し ましては、胸腔鏡で整形外科の先生と場合によって は協力しながら、神経根を切離して腫瘍を取り出す というような手術を行っております。
場所としては、神経鞘腫と同じような場所ですの
で、アプローチとしては同じでいいと思うんですね。
ただ悪性の可能性があるということで考えますと、
周囲の骨組織なども軟骨性の腫瘤ですので、肋骨も 根部のところで切離しなければいけないという形に なります。ですから、胸壁の一部を合併切除すると いう形になります。
通常、我々は肺がんなどの手術に対して、肺葉切 除を行うときに、胸壁浸潤があった場合は、かなり 大きな開胸を行って、以前は胸壁の一部、肋骨組織 と胸壁の組織の骨を一部含めて、合併切除などを 行っておりましたが、最近は胸腔鏡を併用して、小 切開で行うという形も行うようになっております。
今回は肺を取るわけではなく、腫瘤と腫瘍と骨の 一部を切除するということですので、容易に胸腔鏡 でのアプローチで十分であるということで、スリー ポートで手術を行っております。
実際の手術画像です。あまり画質がよくないので、
申しわけございません。これはオペ室の上の画像な ので、焦点が少しずれていますが、スリーポートあ けまして、胸腔内を観察しております。
まず、手前にあるのが肺ですね。肺の向こう側に 腫瘤がありまして、腫瘤の部位を確認した上で、ポー トを予定どおりあけるという形になります。
腫瘍はここ、こちら背中側、左側が頭側で、右側 が尾側になります。ここに見える拍動しているもの は大動脈ですね。大動脈弓からちょうど下行に入っ てきたところ─悪性の可能性のある病変ですの で、肋骨を一部合併切除するという形で、少しマー ジンを確保しながら、まず回りの胸膜を切開して、
切除ラインを決定していきます。
通常、胸壁の合併切除をする際には、まず、マー ジンをしっかり取る切離ラインを決定した上で切っ ていくという形で、層ごとに切離しております。
A 初診時 CT
像B 二年後 CT
像図
5 初診時、2
年後CT
比較本来の場合は、この腫瘤とこの肋骨やその肋骨周 囲の構造物、肋間動静脈、肋間神経というものを一 緒に切離してこなければなりません。その辺をそれ ぞれ確認しながら切っております。
血管は、実際のところは、このように電気メスで 焼灼して、一緒に切ってしまうような形になりまし た。神経はかなりしっかりしておりまして、ここで 問題になるのは、かなり椎体に近いところ、肋骨の 根部のところにありましたので、当然ここに見える 筋状のもの、これは交感神経幹ですね。交感神経も 一緒に巻き込まれておりましたので、これは残念な がら一緒に合併切除する形にしました。これも切断 いたしました。
神経などを切断して、回りのラインを決めて、肋 骨を残して、そのほかの周囲の肋間筋などの組織も、
胸腔内側から深く切り込んでいって、あとは肋骨と その外側の周囲の構造物を少し切るというだけに、
内側から胸腔内側から操作を進めてまいります。血 管などがあれば、その都度焼いて切離をしてまいり ます。
これは肋間動静脈だと思います。
ほとんど電気メスの操作で剥離を進めていきまし て、ここで見えているのはもう骨ですね。骨の部分 が見えています。ここのラインで切ってくるという ことですね。
椎体の付着部のところのラインまで切っておりま す。ここまでいって、これは肋間神経ですね。第
5
肋間神経になると思います。こちらも周囲を剥離して、露出しまして、こちら を切断しております。
さらに、大分肋骨が露出されまして、あらわになっ てきていて、この肋間の組織を切離しております。
どんどん切り込んでいて、その外側のところまで、
到達するところまで剥離をしております。
ここまで来ますと、もうほとんど回りが掘られた 状態で、骨だけであとつながっている状況ですね。
これは肋間神経を切って、切り離しております。そ うすると、あとは体外のほうから切開を加えて、こ この部分にアプローチする形になります。
あまり大きな傷をあける必要はなくて、小切開を あけて、外側から胴部に到達するという形になりま す。
時々突ついたりして、場所を確認しながらという 形ではありますけれども、ほぼ問題なく、ピンポイ
ントでぴたっと指が
2
本入って確認できるまでにな りました。そうすると、あとは肋骨を切断するだけです。
背側、こちら側は椎体がありますので、そこは肋 骨剪刀などで切れませんので、まず、腹側の肋骨を 肋骨剪刀等で切断して、ここをフリーにします。
こうした上で、今度は椎体との付着部を離断して いくんですが、ここは剥離して剥がし落とすような 形でとっています。肋横関節のあたりを、こんなふ うにして剥離してとっております。
ここが外れますと、ほぼ全て外れる。合併切除し た肋骨と腫瘤が外れてくる形になります。
残った結合織を切離しまして、あと取り出すんで すが、やはり骨がありますと取り出すのはなかなか 難渋しますので、骨を何とかうまく知恵の輪のよう にして、外側からつかんで、うまく抜ける角度で外 していきます。
ただ、この腫瘤もありまして、腫瘤も結構固めの 腫瘤ですので、何とか肋間を開きながら外して、こ れがとれた後の状態です。ここにぼこっと穴があい ている状況ですね。
止血などを確認して、特にここを何か補強すると いうことはしなくていいのかなという程度の大きさ でございます。
閉瘡して、あとは胸腔鏡のポートの部分も閉瘡し て、ドレーンを留置して手術は終了という形になり ます。
西田
:
ありがとうございました。後半は整形外科 でやらせていただいて、その分、永井先生にお話し していただこうと思っていたら、全部先生にお話し いただいて、どうもありがとうございました。結局、切除縁は
1 cm
でしたね。評価しまして、良性腫瘍であれば、ちょっと大きく取り過ぎたとい うことになりますけれども、悪性の骨膜性の軟骨肉 腫でしたら、ぎりぎりの広範囲切除を胸腔鏡により 場所を確認しながら適切に切って、ぎりぎりにとれ たということでございます。
あとは止血とか、神経の処理等もやっていただい て、非常に安全な手術ができたということになると 思います。
あとは病理の所見について、またお願いしたいと 思います。平井先生お願いいたします。
平井
:
切除された肋骨の検体です(図6
-a
)。腫 瘤性病変が認められます。切除検体の弱拡大像になります(図
6
-b)。画面
の真ん中に、髄腔内にわずかに腫瘍が浸潤している 像が認められます。髄腔への浸潤と考えた像の拡大像です。
強拡大で腫瘍細胞の核異型を評価すると、生検と ほぼ同様で、細胞密度がわずかに増加していて、二 核細胞が散見されます。
以上より細胞異型は軽度に留まりますが、わずか に髄腔内への浸潤像が認められたため、軟骨肉腫グ レード
1
と診断しました。断端は病理学的にも陰性でした。
西田
:
よろしいですか。ありがとうございます。断端陰性ということで、結果的に悪性ということ で、切除もしっかりできたということでございます。
永井先生、この症例につきまして、まとめをお願 いできますか。
永井
:
最終的には、病理の先生にもご確認をいた だきまして、Periosteal chondrosarcoma(傍骨性の軟 骨肉腫)という診断にいたしました。手術に関しては、先ほど萩原先生から詳細にご解 説いただきましたとおり、整形外科と呼吸器外科と 合同にて、正確な手術を行うことができて、十分な 切除縁も得られたということで、良好な治療ができ たものと考えています。現在、術後
1
年以上経過し、明らかな再発や転移などなく、現職である看護師に 復帰されている現状です。
司会
:
ありがとうございます。軟骨性の病変は画像診断のみならず、病理組織診 断でも良・悪性の鑑別が非常に難しいということが あります。これは今回の傍骨性とお話しされました けれども、どっちも使われています。
骨膜性軟骨肉腫と傍骨性軟骨肉腫、どちらも多分 正しいと思いますけれども、その組織型にかからず そのタイプにかかわらず、軟骨性病変というのは、
非常に診断が難しいということで、考え方はこう いった考え方で進めていくことになると思います。
呼吸器外科とも合同でやらせていただいて、本当 に安全な、いろいろな意味で切除縁ということから も、再発を防ぐことができる安全な切除ができて、
しかも出血のコントロールなどの観点からも、安全 な手術ができたということで、まとめさせていただ きます。
時間となりましたので、終わりにしたいと思いま すが、ご質問、ご発言を受けたいと思います。どな たか。
遠藤(整形外科)
:
整形外科の遠藤です。どうも 貴重な発表をありがとうございました。画像を見て、ダンベル腫瘍と非常に似ているので、
脊椎の分野のほうの腫瘍かということも最初は思っ たんですけれども、診断を進めていくにしたがって、
非常に治療の体系をしっかりと学ぶことができて、
大変勉強になりました。どうもありがとうございま した。
西田
:
多分一番は、先ほど放射線科のコメントを いただいたように、石灰化とかそういったところに あるんじゃないかと思います。あと、どなたかございませんか。
それでは、終了とさせていただきます。先生方ど うもありがとうございました。ご参加の皆様、どう もお疲れさまでした。
(石川 孝編集委員査読)
a b
図