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133 第2章 選好度に関する項目の分析結果

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(1)

初等中等教育-037 平成30年度プロジェクト研究報告書

質問紙調査結果に見る

我が国児童生徒の意欲・態度等に関する 調査研究報告書

平成31年(2019 年)3月 研究代表者 濱口 太久未

(生徒指導・進路指導研究センター長)

(2)

はじめに

研究成果の概要

研究組織

各チームの組織構成と各部の執筆者 xi

1部:OECD生徒の学習到達度調査(PISA)-日本における経年変化の分析- はじめに --- 3

第1章 学習者の内発的動機付け --- 7

第2章 学習者の外発的動機付け --- 27

第3章 社会的諸課題に対する認識と予測 --- 37

第4章 科学的探究の認識と価値付け --- 56

第5章 学習環境 --- 76

第6章 総括 --- 104

補遺 --- 107

2部:TIMSS質問項目の日本における比較分析 第1章 問題と目的・方法 --- 133

第2章 選好度に関する項目の分析結果 --- 138

第3章 自信に関する項目の分析結果 --- 195

第4章 有用感に関する項目の分析結果 --- 264

3部:内閣府の青少年に関する調査研究のレビュー資料 はじめに --- 299

第1章 レビュー対象とした「青少年に関する調査研究」 --- 300

第2章 各調査結果の質問項目群ごとの比較 --- 308

第3章 総括 --- 331

4部:高校生はいかなる高校生活を送っているのか?― パネル調査結果に見える高校生の 適応状況から次の一歩を考える 本報告について --- 335

第1章 高校中退のシグナルとしての中学校での欠席日数 --- 337

第2章 不本意入学と高校生活満足度―資源としての周りの人のサポート― --- 347

第3章 いつ,何が自己肯定感・学校適応感・高校生活期待感を育むか? --- 359

第4章 中退の恐れが高かった生徒は,何に支えられて卒業に至ることができたのか? --- 379

補遺 --- 392

(3)

第 5 部:社会情緒的コンピテンス調査に係る分析結果

はじめに --- 397

第1章 児童期・青年期の社会情緒的コンピテンスについての調査内容 --- 405

第2章 社会情緒的コンピテンスの変化と発達 --- 419

第3章 社会情緒的コンピテンスの変化・発達に関連する要因の検討 --- 462

第 5 部:社会情緒的コンピテンス調査に係る分析結果 はじめに --- 397

第1章 児童期・青年期の社会情緒的コンピテンスについての調査内容 --- 405

第2章 社会情緒的コンピテンスの変化と発達 --- 419

第3章 社会情緒的コンピテンスの変化・発達に関連する要因の検討 --- 462

(4)

国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターでは,平成2930年度 に「質問紙調査結果に見る我が国児童生徒の意欲・態度等に関する調査研究」

(以下,「本プロジェクト研究」とする。)を実施した。本プロジェクト研究 は,国内外の学力調査に伴う児童生徒への意識調査をはじめとする,国や当研 究所が行った児童生徒の学習や学校生活等に関する調査の結果を用いて,①自 己肯定感や規範意識,②教科の学習に対する選好度や有用感,③社会性や他者 との関係の構築に係る調査項目を中心に,児童生徒の回答傾向やその関連要因 等について分析することを目的としたものである。

既に実施されているこれらの調査は,非常に膨大で多岐に渡るため,本プロ ジェクト研究では,主に調査対象となる一次研究等に応じて,「学力調査チー ム(PISA調査チーム)」,「国際数学・理科教育動向調査チーム」,「青少年 意識調査チーム」,「高校生追跡調査チーム」及び「社会情緒的コンピテンス チーム」の五つのチームに分かれて,研究を展開してきた。「学力調査チーム

(PISA調査チーム)」では,OECD生徒の学習到達度調査(PISA)を対象に,

先に述べた,自己肯定感や規範意識,教科の学習に対する選好度や有用感,社 会性や他者との関係の構築といった三側面,すなわち,生徒の社会情緒的な側 面に焦点を当てて,二次分析を行っている。「国際数学・理科教育動向調査チ ーム」では,国際教育到達度評価学会(IEA)が実施している国際数学・理科教 育動向調査(TIMSS)における選好度や有用感及び自信に関する質問項目を選 定し,この調査の集計表のデータを整理して,日本における同一調査項目の調 査サイクル間の比較(TIMSS1995からTIMSS2015までの比較),同一調査項目 の連続する調査サイクル間における異学年間の比較(例,TIMSS2011の小学校 第4学年と4年後のTIMSS2015の中学校第2学年の比較),そして,共通する 表現を持つ項目の教科間比較を行っている。「青少年意識調査チーム」では,

内閣府が定期的に行っている青少年に関する調査研究等を対象に分析した。内 閣府の青少年に関する調査研究の中でも,子ども・若者育成支援推進法の施行 以降にその関連施策に資する目的で実施された調査を用いて,比較が可能な質 問項目を抽出し,性別・年齢層別の回答結果の比較を行った。「高校生追跡調 査チーム」では,当研究所でこれまでに実施した調査から得られたデータに基 づき,中学校3年時の欠席日数と高校入学時の状況や中退率との関連性,不本 意入学と高校生活の満足度との関連性,自己肯定感・学校適応感・高校生活期 待感が育まれる学校環境や教育活動,中退リスクの高い生徒が卒業に至ったサ ポーティブな要因等を二次分析から明らかにしている。「社会情緒的コンピテ ンスチーム」では,当研究所のプロジェクト研究「非認知的(社会情緒的)能 力の発達と科学的検討手法についての研究」の一環で,平成27年から平成28年 にかけて収集したデータの二次分析を試み,児童生徒の自尊心や自律的学習動 機づけ,向社会性,他者への尊敬等の社会情緒的コンピテンスについて,短期 の経年変化と各種要因間の関連性について検証している。

上述の研究体制からも看取されるように,我が国の児童生徒を対象とした意 欲や態度等の概念は,種類や性質,調査方法等の異なる各種調査において,極

国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センターでは,平成2930年度 に「質問紙調査結果に見る我が国児童生徒の意欲・態度等に関する調査研究」

(以下,「本プロジェクト研究」とする。)を実施した。本プロジェクト研究 は,国内外の学力調査に伴う児童生徒への意識調査をはじめとする,国や当研 究所が行った児童生徒の学習や学校生活等に関する調査の結果を用いて,①自 己肯定感や規範意識,②教科の学習に対する選好度や有用感,③社会性や他者 との関係の構築に係る調査項目を中心に,児童生徒の回答傾向やその関連要因 等について分析することを目的としたものである。

既に実施されているこれらの調査は,非常に膨大で多岐に渡るため,本プロ ジェクト研究では,主に調査対象となる一次研究等に応じて,「学力調査チー ム(PISA調査チーム)」,「国際数学・理科教育動向調査チーム」,「青少年 意識調査チーム」,「高校生追跡調査チーム」及び「社会情緒的コンピテンス チーム」の五つのチームに分かれて,研究を展開してきた。「学力調査チーム

(PISA調査チーム)」では,OECD生徒の学習到達度調査(PISA)を対象に,

先に述べた,自己肯定感や規範意識,教科の学習に対する選好度や有用感,社 会性や他者との関係の構築といった三側面,すなわち,生徒の社会情緒的な側 面に焦点を当てて,二次分析を行っている。「国際数学・理科教育動向調査チ ーム」では,国際教育到達度評価学会(IEA)が実施している国際数学・理科教 育動向調査(TIMSS)における選好度や有用感及び自信に関する質問項目を選 定し,この調査の集計表のデータを整理して,日本における同一調査項目の調 査サイクル間の比較(TIMSS1995からTIMSS2015までの比較),同一調査項目 の連続する調査サイクル間における異学年間の比較(例,TIMSS2011の小学校 第4学年と4年後のTIMSS2015の中学校第2学年の比較),そして,共通する 表現を持つ項目の教科間比較を行っている。「青少年意識調査チーム」では,

内閣府が定期的に行っている青少年に関する調査研究等を対象に分析した。内 閣府の青少年に関する調査研究の中でも,子ども・若者育成支援推進法の施行 以降にその関連施策に資する目的で実施された調査を用いて,比較が可能な質 問項目を抽出し,性別・年齢層別の回答結果の比較を行った。「高校生追跡調 査チーム」では,当研究所でこれまでに実施した調査から得られたデータに基 づき,中学校3年時の欠席日数と高校入学時の状況や中退率との関連性,不本 意入学と高校生活の満足度との関連性,自己肯定感・学校適応感・高校生活期 待感が育まれる学校環境や教育活動,中退リスクの高い生徒が卒業に至ったサ ポーティブな要因等を二次分析から明らかにしている。「社会情緒的コンピテ ンスチーム」では,当研究所のプロジェクト研究「非認知的(社会情緒的)能 力の発達と科学的検討手法についての研究」の一環で,平成27年から平成28年 にかけて収集したデータの二次分析を試み,児童生徒の自尊心や自律的学習動 機づけ,向社会性,他者への尊敬等の社会情緒的コンピテンスについて,短期 の経年変化と各種要因間の関連性について検証している。

上述の研究体制からも看取されるように,我が国の児童生徒を対象とした意 欲や態度等の概念は,種類や性質,調査方法等の異なる各種調査において,極

(5)

めて多様かつ多義的に扱われている。上記の二次分析においても,それぞれの グループが取り扱った調査研究の性質等を反映して,我が国の児童生徒を対象 とした意欲や態度等について多様な知見を提起している。本プロジェクトでは,

知見を収斂しゅうれん化させることよりもむしろ,児童生徒の意欲や態度という対象は共 有しつつも,自己肯定感や規範意識,教科学習への選好や有用感,社会性とい った概念を基軸としつつ,社会学や心理学の学術的領域を横断し,さらには,

「非認知的な心の性質や機能なるもの」としての社会情緒的コンピテンスとい う世界的な潮流となっている新たな学術領域の知見をも射程に入れつつ,その 広範な領域における二次分析への挑戦を試みた。このことにより,生徒指導行 政でかねて言及されてきた自己指導能力や社会的リテラシーに関するの知見 に,更なる次元の厚みと奥行きとを持たせるものとなったことと確信している。

本プロジェクト研究では,時間的な制約や調査対象の広範さ,膨大さもあり,

生徒指導やキャリア教育の分野における「証拠に基づく政策立案」(Evidence Based Policy Making: EBPM)の理念の更なる実現が社会的要請となっている現 状に鑑みて,基礎的な知見を整理することをまずは目指した。本プロジェクト 研究の成果に基づく,教育委員会や学校への取組に資する具体的知見の提供が 今後の課題として残されているものの,それを待たずして,本報告書を手に取 った読者が有益と思えるくだりがあれば望外の喜びである。

国立教育政策研究所

生徒指導・進路指導研究センター長 濱口太久未

めて多様かつ多義的に扱われている。上記の二次分析においても,それぞれの グループが取り扱った調査研究の性質等を反映して,我が国の児童生徒を対象 とした意欲や態度等について多様な知見を提起している。本プロジェクトでは,

知見を収斂しゅうれん化させることよりもむしろ,児童生徒の意欲や態度という対象は共 有しつつも,自己肯定感や規範意識,教科学習への選好や有用感,社会性とい った概念を基軸としつつ,社会学や心理学の学術的領域を横断し,さらには,

「非認知的な心の性質や機能なるもの」としての社会情緒的コンピテンスとい う世界的な潮流となっている新たな学術領域の知見をも射程に入れつつ,その 広範な領域における二次分析への挑戦を試みた。このことにより,生徒指導行 政でかねて言及されてきた自己指導能力や社会的リテラシーに関するの知見 に,更なる次元の厚みと奥行きとを持たせるものとなったことと確信している。

本プロジェクト研究では,時間的な制約や調査対象の広範さ,膨大さもあり,

生徒指導やキャリア教育の分野における「証拠に基づく政策立案」(Evidence Based Policy Making: EBPM)の理念の更なる実現が社会的要請となっている現 状に鑑みて,基礎的な知見を整理することをまずは目指した。本プロジェクト 研究の成果に基づく,教育委員会や学校への取組に資する具体的知見の提供が 今後の課題として残されているものの,それを待たずして,本報告書を手に取 った読者が有益と思えるくだりがあれば望外の喜びである。

国立教育政策研究所

生徒指導・進路指導研究センター長 濱口太久未

(6)

「質問紙調査結果に見る我が国児童生徒の意欲・態度等に関する 調査研究」

「質問紙調査結果に見る我が国児童生徒の意欲・態度等に関する 調査研究報告書」の概要について

本プロジェクト研究では,主に国や当研究所が行った既存の調査データをも とに,①自己肯定感や規範意識,②教科の学習に対する選好度や有用感,③社 会性や他者との関係の構築に係る調査項目を中心に二次分析等を実施し,児童 生徒の回答傾向やそれらに関連する要因等を見いだすことを目的としている。

用いた既存の調査データは,OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)や国際数学・

理科教育動向調査(TIMSS),内閣府の「青少年に関する調査研究」,当研究所 が過去に実施した「高校生の学校生活調査」である。これらの既存の調査デー タに合わせて「学力調査チーム(PISA 調査チーム)「国際数学・理科教育動 向調査チーム」「青少年意識調査チーム」及び「高校生追跡調査チーム」を設 置した。また,「社会情緒的コンピテンスチーム」では,児童生徒の社会情緒 的コンピテンスの発達状態や,その状態に関連する要因を探ることを目的に,

質問紙調査を実施した。

各チームの研究成果の概要等は後述するが,「学力調査チーム(PISA 調査チ ーム)」と「国際数学・理科教育動向調査チーム」では,自己効力感や有用 感,自信,選考度等の質問項目について,とりわけ,理科や算数・数学といっ た特定の教科に関する観点から分析を試みている。また,「青少年意識調査チ ーム」では,主に 15~29 歳を対象に「充実感」「自己肯定感」「将来のイメ ージ」及び「就労に関する不安」への意識について,性別・年齢層別にその回 答傾向を分析している。そして,「高校生追跡調査チーム」では,二次分析を 通して,高校生の学校適応やその支援に関する重要な要因等について,複数の 観点から検証している。さらに,「社会情緒的コンピテンスチーム」では,小 学生・中学生・高校生への調査による学校種間の比較と,個人を1年の間を経 て追跡する縦断調査により,社会情緒的コンピテンスの発達的変化等を検証し ている。上記,各チームによる研究を通して,本プロジェクト研究の主題であ る我が国の児童生徒の広範な意欲・態度等の傾向等を描き出した。

1.調査研究の目的・概要

(1)調査研究の目的

本プロジェクト研究の目的は,国内外の学力調査に伴う児童生徒への意識調査 をはじめ,国や当研究所が行った児童生徒の学習や学校生活等に関する調査につ いて,とりわけ,①自己肯定感や規範意識,②教科の学習に対する選好度や有用 感,③社会性や他者との関係の構築に係る調査項目を中心に,児童生徒の回答傾 向やそれらに関連する要因等を分析することである。

「質問紙調査結果に見る我が国児童生徒の意欲・態度等に関する 調査研究」

「質問紙調査結果に見る我が国児童生徒の意欲・態度等に関する 調査研究報告書」の概要について

本プロジェクト研究では,主に国や当研究所が行った既存の調査データをも とに,①自己肯定感や規範意識,②教科の学習に対する選好度や有用感,③社 会性や他者との関係の構築に係る調査項目を中心に二次分析等を実施し,児童 生徒の回答傾向やそれらに関連する要因等を見いだすことを目的としている。

用いた既存の調査データは,OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)や国際数学・

理科教育動向調査(TIMSS),内閣府の「青少年に関する調査研究」,当研究所 が過去に実施した「高校生の学校生活調査」である。これらの既存の調査デー タに合わせて「学力調査チーム(PISA 調査チーム)「国際数学・理科教育動 向調査チーム」「青少年意識調査チーム」及び「高校生追跡調査チーム」を設 置した。また,「社会情緒的コンピテンスチーム」では,児童生徒の社会情緒 的コンピテンスの発達状態や,その状態に関連する要因を探ることを目的に,

質問紙調査を実施した。

各チームの研究成果の概要等は後述するが,「学力調査チーム(PISA 調査チ ーム)」と「国際数学・理科教育動向調査チーム」では,自己効力感や有用 感,自信,選考度等の質問項目について,とりわけ,理科や算数・数学といっ た特定の教科に関する観点から分析を試みている。また,「青少年意識調査チ ーム」では,主に 15~29 歳を対象に「充実感」「自己肯定感」「将来のイメ ージ」及び「就労に関する不安」への意識について,性別・年齢層別にその回 答傾向を分析している。そして,「高校生追跡調査チーム」では,二次分析を 通して,高校生の学校適応やその支援に関する重要な要因等について,複数の 観点から検証している。さらに,「社会情緒的コンピテンスチーム」では,小 学生・中学生・高校生への調査による学校種間の比較と,個人を1年の間を経 て追跡する縦断調査により,社会情緒的コンピテンスの発達的変化等を検証し ている。上記,各チームによる研究を通して,本プロジェクト研究の主題であ る我が国の児童生徒の広範な意欲・態度等の傾向等を描き出した。

1.調査研究の目的・概要

(1)調査研究の目的

本プロジェクト研究の目的は,国内外の学力調査に伴う児童生徒への意識調査 をはじめ,国や当研究所が行った児童生徒の学習や学校生活等に関する調査につ いて,とりわけ,①自己肯定感や規範意識,②教科の学習に対する選好度や有用 感,③社会性や他者との関係の構築に係る調査項目を中心に,児童生徒の回答傾 向やそれらに関連する要因等を分析することである。

(7)

(2)調査研究の概要

調査対象となる一次研究等に応じて,「学力調査チーム(PISA調査チーム)」

「国際数学・理科教育動向調査チーム」,「青少年意識調査チーム」,「高校生追跡 調査チーム」及び「社会情緒的コンピテンスチーム」の五つのチームに分かれ て,研究を実施した。

「学力調査チーム(PISA調査チーム)」では,OECD生徒の学習到達度調査

(PISA)を対象に,先に述べた,自己肯定感/効力感や規範意識,教科の学習に対

する選好度や有用感,社会性や他者との関係の構築といった三側面,すなわち,

生徒の社会情緒的な側面に焦点を当て,二次分析を行っている。

「国際数学・理科教育動向調査チーム」では,国際教育到達度評価学会

IEA)が実施している国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)における選好度 や有用感及び自信に関する質問項目を選定し,公開されている当該項目の集計表 のデータを整理して,日本における同一調査項目の調査サイクル間の比較,同一 調査項目の連続する調査サイクル間における異学年間の比較及び,共通する表現 を持つ項目の教科間比較を行った。

「青少年意識調査チーム」では,内閣府が実施してきた「青少年に関する調査 研究」のうち,子ども・若者育成支援推進法の施策に資する目的で実施された四 つのインターネット調査の結果を整理して,比較可能な質問項目を「充実感」

「自己肯定感」,「将来のイメージ」及び「就労に関する不安」として抽出し,性 別と年齢層別に,その回答割合と回答傾向を分析した。

「高校生追跡調査チーム」では,我が国の高校生の意欲・態度等について,高 校に入る以前における諸条件が高校生活にもたらす影響,及び,高校生活におけ る適応感等への影響要因という大きく2つのテーマを設定し,生徒指導・進路指 導研究センターが過去実施した「高校生の学校生活調査」のデータを用いて,二 次分析を行った。

「社会情緒的コンピテンスチーム」では,H27年度プロジェクト研究「非認知 的(社会情緒的)能力の発達と科学的検討手法についての研究」にて行った国内 外の研究知見の整理に基づき,同研究の一環で実施した質問紙調査のデータを用 いて,非認知的能力の中核的な内容を「社会情緒的コンピテンス」と定義し,我 が国の児童生徒の社会情緒的コンピテンスの実態について分析した。

【研究期間:平成2930年度,研究代表者:濱口太久未(生徒指導・進路指導研究セ ンター長)

2.研究成果の概要

(1)「学力調査チーム(PISA 調査チーム)」の成果の概要

本プロジェクトで対象とする質問項目の選定(理科学習及び2006年との比較に 焦点)

PISAチームは,二次分析の対象として,本プロジェクトの三つの側面に当ては まる質問項目をPISA2015年調査の生徒質問調査から選び出した。PISA調査は調 査年ごとに三分野の中で重点的に調査する分野を一つ決めている。PISA2015年調 査は科学的リテラシーを中心分野に据え,重点的に調査している。PISA2006年調 査も科学的リテラシーが中心分野であり,理科や科学に関する質問を多く生徒に 尋ねている。そこで,2006年と2015年との比較を行い,経年変化を検討した。

(2)調査研究の概要

調査対象となる一次研究等に応じて,「学力調査チーム(PISA調査チーム)」

「国際数学・理科教育動向調査チーム」,「青少年意識調査チーム」,「高校生追跡 調査チーム」及び「社会情緒的コンピテンスチーム」の五つのチームに分かれ て,研究を実施した。

「学力調査チーム(PISA調査チーム)」では,OECD生徒の学習到達度調査

(PISA)を対象に,先に述べた,自己肯定感/効力感や規範意識,教科の学習に対

する選好度や有用感,社会性や他者との関係の構築といった三側面,すなわち,

生徒の社会情緒的な側面に焦点を当て,二次分析を行っている。

「国際数学・理科教育動向調査チーム」では,国際教育到達度評価学会

IEA)が実施している国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)における選好度 や有用感及び自信に関する質問項目を選定し,公開されている当該項目の集計表 のデータを整理して,日本における同一調査項目の調査サイクル間の比較,同一 調査項目の連続する調査サイクル間における異学年間の比較及び,共通する表現 を持つ項目の教科間比較を行った。

「青少年意識調査チーム」では,内閣府が実施してきた「青少年に関する調査 研究」のうち,子ども・若者育成支援推進法の施策に資する目的で実施された四 つのインターネット調査の結果を整理して,比較可能な質問項目を「充実感」

「自己肯定感」,「将来のイメージ」及び「就労に関する不安」として抽出し,性 別と年齢層別に,その回答割合と回答傾向を分析した。

「高校生追跡調査チーム」では,我が国の高校生の意欲・態度等について,高 校に入る以前における諸条件が高校生活にもたらす影響,及び,高校生活におけ る適応感等への影響要因という大きく2つのテーマを設定し,生徒指導・進路指 導研究センターが過去実施した「高校生の学校生活調査」のデータを用いて,二 次分析を行った。

「社会情緒的コンピテンスチーム」では,H27年度プロジェクト研究「非認知 的(社会情緒的)能力の発達と科学的検討手法についての研究」にて行った国内 外の研究知見の整理に基づき,同研究の一環で実施した質問紙調査のデータを用 いて,非認知的能力の中核的な内容を「社会情緒的コンピテンス」と定義し,我 が国の児童生徒の社会情緒的コンピテンスの実態について分析した。

【研究期間:平成2930年度,研究代表者:濱口太久未(生徒指導・進路指導研究セ ンター長)

2.研究成果の概要

(1)「学力調査チーム(PISA 調査チーム)」の成果の概要

本プロジェクトで対象とする質問項目の選定(理科学習及び2006年との比較に 焦点)

PISAチームは,二次分析の対象として,本プロジェクトの三つの側面に当ては まる質問項目をPISA2015年調査の生徒質問調査から選び出した。PISA調査は調 査年ごとに三分野の中で重点的に調査する分野を一つ決めている。PISA2015年調 査は科学的リテラシーを中心分野に据え,重点的に調査している。PISA2006年調 査も科学的リテラシーが中心分野であり,理科や科学に関する質問を多く生徒に 尋ねている。そこで,2006年と2015年との比較を行い,経年変化を検討した。

(8)

全参加国の選択肢別回答割合を概観したいと考え集計結果をグラフ化し,それ に基づいて検討した。

その結果,日本の相対的な位置を見ると,「科学の楽しさ」「理科学習者として の自己効力感」「理科学習に対する道具的動機付け」「探究を基にした理科の授業 に関する生徒の認識」「協同作業への態度」については非常に低く,「環境問題の 認識」については中程度よりやや低く,「探究に対する科学的アプローチへの価 値付け」「生徒の学校への所属感」については中程度,「環境問題の予測」につい ては中程度よりやや高く,そして「理科の授業の雰囲気」については非常に高い ということが示された。

男女別に見た選択肢別回答割合(2015年生徒質問調査)

PISA2015年の生徒質問調査で生徒に尋ねた理科や科学に関する質問項目につい

て,全参加国の結果を見ると,日本は相対的に男女差の大きな国であることが示 された。

10個の指標のうち,男子の方が女子よりも肯定回答率が高いのは7つであり,

残りの3つの指標のうち「探究に対する科学的アプローチへの価値付け」の肯定 回答率は男女ほぼ同じであり,「生徒の学校への所属感」「理科の授業の雰囲気」

においては,女子の方が男子よりも肯定回答率がわずかに高いということが示さ れた。

選択肢別の平均得点

日本の生徒の選択肢別の平均得点(3分野)をグラフで示し,2006年と2015 年とを比較している。これによって,その質問項目への回答と得点との関係を把 握しようと試みた。

「科学の楽しさ」「環境問題の認識」「探究に対する科学的アプローチへの価値 付け」「理科の授業の雰囲気」においては得点との正の相関が見られた。一方 で,「理科学習者としての自己効力感」「環境問題の予測」「探究を基にした理科 の授業に関する生徒の認識」「生徒の学校への所属感」「協同作業への態度」にお いては得点との関連は弱いということが示された。また,「理科学習に対する道 具的な動機付け」は,2006年は回答傾向によって学力差が見られたが,2015 は学力差が小さくなり,得点との相関が弱まった。

生徒質問調査における生徒の控えめ(modesty)回答傾向

十分な学力・知識を持っているにも関わらず,日本の15歳生徒の場合には,

その回答が「強い肯定」ではなく「控えめな肯定」となって現れる可能性があ る。このような「控えめな回答」はPISAの生徒向けの質問ではどのような形で 現れているのか,第1部では理科の学習に関する2つの質問から分析した(①

「理科学習者としての自己効力感」,②「環境問題の認識」)。

分析の結果,「理科学習者としての自己効力感」「環境問題の認識」の両指標に おいて,日本の生徒の多くは「控えめ回答傾向」があるということが示された。

生徒の理科に対する関心と国の経済発展の水準との関係

第1部では,国民一人当たりの国内総生産(GDP)を用いて,生徒の質問項目 への回答傾向との関連を分析した。ここでは国内総生産(GDP)と特に関連する と思われる「科学の楽しさ」「理科学習者としての自己効力感」「理科の学習と自

全参加国の選択肢別回答割合を概観したいと考え集計結果をグラフ化し,それ に基づいて検討した。

その結果,日本の相対的な位置を見ると,「科学の楽しさ」「理科学習者として の自己効力感」「理科学習に対する道具的動機付け」「探究を基にした理科の授業 に関する生徒の認識」「協同作業への態度」については非常に低く,「環境問題の 認識」については中程度よりやや低く,「探究に対する科学的アプローチへの価 値付け」「生徒の学校への所属感」については中程度,「環境問題の予測」につい ては中程度よりやや高く,そして「理科の授業の雰囲気」については非常に高い ということが示された。

男女別に見た選択肢別回答割合(2015年生徒質問調査)

PISA2015年の生徒質問調査で生徒に尋ねた理科や科学に関する質問項目につい

て,全参加国の結果を見ると,日本は相対的に男女差の大きな国であることが示 された。

10個の指標のうち,男子の方が女子よりも肯定回答率が高いのは7つであり,

残りの3つの指標のうち「探究に対する科学的アプローチへの価値付け」の肯定 回答率は男女ほぼ同じであり,「生徒の学校への所属感」「理科の授業の雰囲気」

においては,女子の方が男子よりも肯定回答率がわずかに高いということが示さ れた。

選択肢別の平均得点

日本の生徒の選択肢別の平均得点(3分野)をグラフで示し,2006年と2015 年とを比較している。これによって,その質問項目への回答と得点との関係を把 握しようと試みた。

「科学の楽しさ」「環境問題の認識」「探究に対する科学的アプローチへの価値 付け」「理科の授業の雰囲気」においては得点との正の相関が見られた。一方 で,「理科学習者としての自己効力感」「環境問題の予測」「探究を基にした理科 の授業に関する生徒の認識」「生徒の学校への所属感」「協同作業への態度」にお いては得点との関連は弱いということが示された。また,「理科学習に対する道 具的な動機付け」は,2006年は回答傾向によって学力差が見られたが,2015 は学力差が小さくなり,得点との相関が弱まった。

生徒質問調査における生徒の控えめ(modesty)回答傾向

十分な学力・知識を持っているにも関わらず,日本の15歳生徒の場合には,

その回答が「強い肯定」ではなく「控えめな肯定」となって現れる可能性があ る。このような「控えめな回答」はPISAの生徒向けの質問ではどのような形で 現れているのか,第1部では理科の学習に関する2つの質問から分析した(①

「理科学習者としての自己効力感」,②「環境問題の認識」)。

分析の結果,「理科学習者としての自己効力感」「環境問題の認識」の両指標に おいて,日本の生徒の多くは「控えめ回答傾向」があるということが示された。

生徒の理科に対する関心と国の経済発展の水準との関係

第1部では,国民一人当たりの国内総生産(GDP)を用いて,生徒の質問項目 への回答傾向との関連を分析した。ここでは国内総生産(GDP)と特に関連する と思われる「科学の楽しさ」「理科学習者としての自己効力感」「理科の学習と自

(9)

分の将来の仕事」の三つの質問項目を取り上げた。

分析の結果,「科学の楽しさ」「理科学習に対する道具的な動機付け」において は,一人当たり国内総生産(GDP)との負の相関があることが,また「理科学習 者としての自己効力感」においては一人当たり国内総生産(GDP)との相関が弱 いということが示された。

(2)「国際数学・理科教育動向調査チーム」の成果の概要

「国際数学・理科教育動向調査チーム」では,TIMSSにおける選好度や有用感 及び自信に関する質問項目を選定し(選好度については6項目,自信については 9項目,有用感については6項目を分析対象とした),公開されている当該項目 の集計表のデータを整理して,日本における同一調査項目の調査サイクル間の比 較,同一調査項目の連続する調査サイクル間における異学年間の比較及び,共通 する表現を持つ項目の教科間比較を行った。

同一調査項目の調査サイクル間の比較の結果,有用感や選好度に関する分析対 象項目において,例外はあるものの,肯定的な内容の回答割合がやや増えている 傾向が見られた。一方で,自信に関する分析対象項目においては,肯定的な内容 の回答割合がやや増えている傾向が見られるものもあれば,このような傾向が見 られないものもあった。

同一調査項目の連続する調査サイクル間における異学年間の比較の結果,選好 度や自信に関する分析対象項目において,肯定的な内容の回答割合は小4から中 2になって減少する傾向が見られた。

共通する表現を持つ項目の教科間比較の結果,選好度や自信に関する分析対象 項目において,例外はあるものの,最も肯定的な内容の回答割合は算数よりも理 科の方がやや高い傾向が見られた。一方で,有用感に関する分析対象項目におい ては,例外はあるものの,最も肯定的な内容の回答割合は理科よりも数学の方が やや高い傾向が見られた。

(3)「青少年意識調査チーム」の成果の概要

「青少年意識調査チーム」では,内閣府が実施した「青少年に関する調査研 究」のうち,子ども・若者育成支援推進法の施策に資する目的で実施された四つ のインターネット調査について,比較可能な質問項目を「充実感」「自己肯定 感」「将来のイメージ」及び「就労に関する不安」として抽出し,性別と年齢層 別にその回答割合を示した。

その回答割合からみる傾向として,「充実感」については,男女とも共通して

16歳~19歳」が,他の年齢層よりも「充実している」と回答する割合が高 く,年齢層が上がるにつれて,「充実している」と回答する割合が低下してい た。また,男性の方が,年齢層が上がるにつれて,女性よりも充実していないと する回答の割合が高い傾向にあった。

しかしながら,活動ごとに充実度を尋ねる質問項目の場合は,年齢層が上がる につれて,必ずしもすべての活動について充実感が低下するわけではないことも 示された。その他,男女ともに「恋人といるとき」や「趣味に打ち込んでいると き」といったプライベートに関する事象については,他の活動項目よりも充実し ているとする割合が高かった。一方で,「勉強に打ち込んでいるとき」は,他の 活動と比して,各年齢層で充実しているとする割合が低く,年齢層が上がるとさ らに低下する傾向が見られた。

「自己肯定感」に関わる項目については,男女とも年齢層別に共通する特徴と

(10)

「今の自分が好きだ」や「私は,自分自身に満足している」の項目よりも高かっ た。また,男性の場合,「今の自分が好きだ」,「私は,自分自身に満足している」

及び「自分には長所があると感じている」のすべての項目について「1519歳」

が「肯定的な回答」の割合が高かった。一方で,女性の場合は,「今の自分が好き だ」に対する「肯定的な回答」はそれぞれの年齢層においてほぼ同じ割合である が,「私は,自分自身に満足している」と「自分には長所があると感じている」に 対する「肯定的な回答」は,むしろ,「25~29歳」が高い傾向を示した。

40歳頃を想定した「将来のイメージ」は,男女ともに年齢層別にみて共通して いる傾向は,「世界で活躍している」と「有名になっている」の項目の「肯定的 な回答」が低いことである。また,平成25年度調査における男性の「2024 歳」の層において,とりわけ,肯定的な回答の割合が,低い傾向にあった。

「就労に関する不安」については,男女ともに共通する傾向として,「きちんと 仕事ができるか」,「勤務先の人間関係がうまくいくか」及び「そもそも就職でき るのか・仕事を続けられるのか」の3項目について,年齢層が高いほど「不安が ある」の回答の割合が減少していた。他方,各調査の男女ともすべての年齢層に おいて,「十分な収入が得られるか」と「老後の年金はどうなるのか」の項目で

「不安がある」との回答の割合が高く,社会情勢を踏まえた今後の将来への展望 については悲観的であることが読み取れた。なお,男性に比べて,女性のほう が,上記2項目以外にも,「きちんと仕事ができるか」,「勤務先の人間関係がうま くいくか」,「仕事と家庭生活の両立はどうか」,「健康・体力面はどうか」及び

「そもそも就職できるのか・仕事を続けられるのか」の5項目について,ほぼ7 割を超えて「不安がある」とする回答であり,就労に関して広範な不安を抱えや すいことが示された。

(4)「高校生追跡調査チーム」の成果の概要

「高校生追跡調査チーム」では,生徒指導・進路指導研究センターが平成23 年度から25年度にかけて実施した「高校生の学校生活調査」のデータを用い て,以下に示す4つのテーマを設定し,二次分析を行った。

「第1 高校中退のシグナルとしての中学校での欠席日数」の結果からは,

(1)授業や学校行事,部活動,友人関係などにうまく適応するための,入学直 後のオリエンテーションや個別支援の充実,(2)不本意入学者であっても高校 生活への期待を抱くことができるような入学直後のオリエンテーションでの工 夫,(3)自己否定の感情や心身の不調にさいなまれている可能性を読み取り,

スクールカウンセラーや養護教諭と連携しながら行う心身面のサポートの重要性 が示唆された。

「第2 不本意入学と高校生活満足度―資源としての周りの人のサポート

―」の結果からは,総じて生徒を支える人々の重要性が確認されたことから,友 人,高校の先生,家族が話し相手になることに加えて,進学した高校に在籍する ことを肯定的に捉えなおすことを促すことを目指したカウンセリング等のサポー トを充実させること,学校生活の中で,生徒自身が必要な社会関係を構築できる ような機会を提供することが重要であることが示唆された.

「第3 いつ,何が自己肯定感・学校適応感・高校生活期待感を育むか?」

の結果からは,自己肯定感,学校適応感,高校生活期待感ともに,授業の影響が 最も顕著であること,友人からのサポートは,自己肯定感に特に強い影響を与え ること,学校行事は,学校適応感と学校生活期待感に特に強い影響を与えるこ

「今の自分が好きだ」や「私は,自分自身に満足している」の項目よりも高かっ た。また,男性の場合,「今の自分が好きだ」,「私は,自分自身に満足している」

及び「自分には長所があると感じている」のすべての項目について「1519歳」

が「肯定的な回答」の割合が高かった。一方で,女性の場合は,「今の自分が好き だ」に対する「肯定的な回答」はそれぞれの年齢層においてほぼ同じ割合である が,「私は,自分自身に満足している」と「自分には長所があると感じている」に 対する「肯定的な回答」は,むしろ,「25~29歳」が高い傾向を示した。

40歳頃を想定した「将来のイメージ」は,男女ともに年齢層別にみて共通して いる傾向は,「世界で活躍している」と「有名になっている」の項目の「肯定的 な回答」が低いことである。また,平成25年度調査における男性の「2024 歳」の層において,とりわけ,肯定的な回答の割合が,低い傾向にあった。

「就労に関する不安」については,男女ともに共通する傾向として,「きちんと 仕事ができるか」,「勤務先の人間関係がうまくいくか」及び「そもそも就職でき るのか・仕事を続けられるのか」の3項目について,年齢層が高いほど「不安が ある」の回答の割合が減少していた。他方,各調査の男女ともすべての年齢層に おいて,「十分な収入が得られるか」と「老後の年金はどうなるのか」の項目で

「不安がある」との回答の割合が高く,社会情勢を踏まえた今後の将来への展望 については悲観的であることが読み取れた。なお,男性に比べて,女性のほう が,上記2項目以外にも,「きちんと仕事ができるか」,「勤務先の人間関係がうま くいくか」,「仕事と家庭生活の両立はどうか」,「健康・体力面はどうか」及び

「そもそも就職できるのか・仕事を続けられるのか」の5項目について,ほぼ7 割を超えて「不安がある」とする回答であり,就労に関して広範な不安を抱えや すいことが示された。

(4)「高校生追跡調査チーム」の成果の概要

「高校生追跡調査チーム」では,生徒指導・進路指導研究センターが平成23 年度から25年度にかけて実施した「高校生の学校生活調査」のデータを用い て,以下に示す4つのテーマを設定し,二次分析を行った。

「第1 高校中退のシグナルとしての中学校での欠席日数」の結果からは,

(1)授業や学校行事,部活動,友人関係などにうまく適応するための,入学直 後のオリエンテーションや個別支援の充実,(2)不本意入学者であっても高校 生活への期待を抱くことができるような入学直後のオリエンテーションでの工 夫,(3)自己否定の感情や心身の不調にさいなまれている可能性を読み取り,

スクールカウンセラーや養護教諭と連携しながら行う心身面のサポートの重要性 が示唆された。

「第2 不本意入学と高校生活満足度―資源としての周りの人のサポート

―」の結果からは,総じて生徒を支える人々の重要性が確認されたことから,友 人,高校の先生,家族が話し相手になることに加えて,進学した高校に在籍する ことを肯定的に捉えなおすことを促すことを目指したカウンセリング等のサポー トを充実させること,学校生活の中で,生徒自身が必要な社会関係を構築できる ような機会を提供することが重要であることが示唆された.

「第3 いつ,何が自己肯定感・学校適応感・高校生活期待感を育むか?」

の結果からは,自己肯定感,学校適応感,高校生活期待感ともに,授業の影響が 最も顕著であること,友人からのサポートは,自己肯定感に特に強い影響を与え ること,学校行事は,学校適応感と学校生活期待感に特に強い影響を与えるこ

(11)

と,自己肯定感等を育む上で,何よりも授業が大切であり,また,生徒の周囲に 間接的に働きかけ,その人間関係を豊かなものにしていくこと,行事で生徒が役 割を果たし活躍する場面を創出することが重要であることが示唆された.

「第4 不安定な学校生活を送る生徒を支えるための教育的対応を考える」

の結果からは,1年時に「学校満足感」や「生活リズム」が優れず中退リスクが 高かった生徒たちが,その後も不安定な学校生活を送っていた可能性があるた め,学校生活のなかで,彼らの不安定性を解消するための環境整備が必要である こと,生徒たちの学校生活を支えるカギとなるのは「(この)高校の先生」,「学校 行事」,「授業(学校の勉強)」,「将来の夢や目標」等であり,何より「(この)高校の 先生」が,生徒たち――特に,中退リスクが高い生徒たち――の学校生活に果た す役割は大きいことが示唆された。

(5)「社会情緒的コンピテンスチーム」の成果の概要

我が国の児童生徒の社会情緒的コンピテンスの発達状態や,その状態に関連す る要因を探ることを目的に,質問紙調査を実施した。1回目の調査対象者は小学 4・5年生(約3千人),中学1・2年生(約3千人),高等学校1・2年生(約5千 )の児童生徒であった。1回目の調査から約1年後,学年が上がった後に,同じ 児童生徒を追跡する形で2回目の調査を行った。2時点の調査に共通して,社会 情緒的コンピテンスとして自己感情の表現,他者感情の認知,自己感情の制御,

セルフコントロール,感情特性,自尊心,向社会性,学習への動機付け,パーソ ナリティ等について質問した。児童生徒の社会情緒的コンピテンスの状態に関連 する要因を探るために,担任等の教員,保護者にも児童生徒との関係や学校生 活,家庭環境等に関する内容について質問紙調査を実施した。

測定した社会情緒的コンピテンスについて,まず,学校種(小学校・中学校・

高等学校)の集団平均値の比較による発達的変化の検討を行った。いずれの社会 情緒的コンピテンスについても,平均値の差は小さいものであったが,自尊心,

(自律的な)学習への動機付け,向社会性について,小学校の平均値が最も高 く,次いで中学校,高等学校という順であった。児童生徒の社会情緒的コンピテ ンスには,年齢や学年の上昇に伴い単調に高まるものではない発達形態があるこ とが示唆された。

次に,児童生徒の個人内変化を検討するため,1時点目と2時点目の社会情緒 的コンピテンスの比較を行った。今回調査をした社会情緒的コンピテンスの全て について,また,全ての学校種において,2時点の個人得点間には中程度の相関 関係が認められた。社会情緒的コンピテンスは約1年の時間を経ても個人内で比 較的安定していること,しかし同時に,変化の可能性もあることが示唆された。

最後に,児童生徒の社会情緒的コンピテンスと学校生活,教員,家庭の要因と の関連を検討した。学校行事や部活動に熱心に取り組む経験が,児童生徒の社会 情緒的コンピテンス(他者の感情の認知,学習への動機付け等)と相関関係にあ ることが示された。家庭の要因については,収入や蔵書数が児童生徒の感情表 現,自尊心,学習への動機付けと相関関係にあり,その関係は小学校,中学校よ りも,高等学校においてより強いものであった。特定の要因が他の要因と比較し て特に強く関連するといった結果は示されなかったが,学校での経験や家庭環境 などが児童生徒の社会情緒的コンピテンスにそれぞれ関連していることが示唆さ れた。

と,自己肯定感等を育む上で,何よりも授業が大切であり,また,生徒の周囲に 間接的に働きかけ,その人間関係を豊かなものにしていくこと,行事で生徒が役 割を果たし活躍する場面を創出することが重要であることが示唆された.

「第4 不安定な学校生活を送る生徒を支えるための教育的対応を考える」

の結果からは,1年時に「学校満足感」や「生活リズム」が優れず中退リスクが 高かった生徒たちが,その後も不安定な学校生活を送っていた可能性があるた め,学校生活のなかで,彼らの不安定性を解消するための環境整備が必要である こと,生徒たちの学校生活を支えるカギとなるのは「(この)高校の先生」,「学校 行事」,「授業(学校の勉強)」,「将来の夢や目標」等であり,何より「(この)高校の 先生」が,生徒たち――特に,中退リスクが高い生徒たち――の学校生活に果た す役割は大きいことが示唆された。

(5)「社会情緒的コンピテンスチーム」の成果の概要

我が国の児童生徒の社会情緒的コンピテンスの発達状態や,その状態に関連す る要因を探ることを目的に,質問紙調査を実施した。1回目の調査対象者は小学 4・5年生(約3千人),中学1・2年生(約3千人),高等学校1・2年生(約5千 )の児童生徒であった。1回目の調査から約1年後,学年が上がった後に,同じ 児童生徒を追跡する形で2回目の調査を行った。2時点の調査に共通して,社会 情緒的コンピテンスとして自己感情の表現,他者感情の認知,自己感情の制御,

セルフコントロール,感情特性,自尊心,向社会性,学習への動機付け,パーソ ナリティ等について質問した。児童生徒の社会情緒的コンピテンスの状態に関連 する要因を探るために,担任等の教員,保護者にも児童生徒との関係や学校生 活,家庭環境等に関する内容について質問紙調査を実施した。

測定した社会情緒的コンピテンスについて,まず,学校種(小学校・中学校・

高等学校)の集団平均値の比較による発達的変化の検討を行った。いずれの社会 情緒的コンピテンスについても,平均値の差は小さいものであったが,自尊心,

(自律的な)学習への動機付け,向社会性について,小学校の平均値が最も高 く,次いで中学校,高等学校という順であった。児童生徒の社会情緒的コンピテ ンスには,年齢や学年の上昇に伴い単調に高まるものではない発達形態があるこ とが示唆された。

次に,児童生徒の個人内変化を検討するため,1時点目と2時点目の社会情緒 的コンピテンスの比較を行った。今回調査をした社会情緒的コンピテンスの全て について,また,全ての学校種において,2時点の個人得点間には中程度の相関 関係が認められた。社会情緒的コンピテンスは約1年の時間を経ても個人内で比 較的安定していること,しかし同時に,変化の可能性もあることが示唆された。

最後に,児童生徒の社会情緒的コンピテンスと学校生活,教員,家庭の要因と の関連を検討した。学校行事や部活動に熱心に取り組む経験が,児童生徒の社会 情緒的コンピテンス(他者の感情の認知,学習への動機付け等)と相関関係にあ ることが示された。家庭の要因については,収入や蔵書数が児童生徒の感情表 現,自尊心,学習への動機付けと相関関係にあり,その関係は小学校,中学校よ りも,高等学校においてより強いものであった。特定の要因が他の要因と比較し て特に強く関連するといった結果は示されなかったが,学校での経験や家庭環境 などが児童生徒の社会情緒的コンピテンスにそれぞれ関連していることが示唆さ れた。

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