APC NEWSLETTER 【アゴラ】
No.22
方力鈞《シリーズNo.3 》
中国/1992年制作 福岡市美術館所蔵
広 げ よ う ア ジ ア 太 平 洋 の 知 的 交 流 ネ ッ ト ワ ー ク
アジア太平洋センター
アジア太平洋都市サミット記念シンポジウム開催
自主研究 4B プロジェクト 研究主査訪問 主催事業の紹介
マレーシア現地調査同行記
アジアの交流拠点都市を目指 している福岡市は、近年、航空 路・航路や研究機関の整備拡充 によってアジア各地との貿易取 引・情報交流を急増させており、
都市間連携・協力に大きな役割 を果たし得るものと期待を集め ています。
今回のシンポジウムは第3回 アジア太平洋都市サミットが今
タイのキッティー・リムスクル氏 は、既に国際的な大都市に成長した バンコクの現在の社会経済状況を紹 介し、経済危機・金融危機に見舞わ れながらもインドシナ諸国への玄関 口という利点を生かし、インドシナ における国際金融センターを目指し ていくという都市戦略の将来を展望 しました。また、新しい憲法の施行 に伴って、タイでも地方分権が進ん でおり、加えてさまざまな民族同士 が共存・融和してきた歴史的な経験 といった諸要素が、バンコクと諸外 国の間の市民、ビジネス、文化及び 科学技術研究におけるパートナーシ ップの形成にプラスに働くことも強 調されました。
中国の金鳳徳氏は、中国北部で最 も開放的な都市と言われる大連市を
日時:1998年6月25日(木)13:30〜16:30 場所:福岡市庁舎15階講堂
アジア太平洋都市サミット記念シンポジウム
クロスするアジア 発展する地域
〜都市間交流の新たな展開を目指して〜
取り上げ、改革開放政策下で成し遂 げられた産業、文教など各分野の成 果を強調し、特に日本と韓国を中心 とする外資の導入や国際貿易の実績 を大連市の開放度を測る重要指標と して紹介されました。また、「外圧に 屈服した結果としての対外開放から、
自ら進んで行う対外開放への歴史的 な大変革を経験した」大連市の次な る発展目標は、海外企業が中国市場 を開拓する際の重要拠点として、中 国で最も開放的な都市を目指してい ることが披露されました。
韓国の朴明欽氏は、釜山市におけ る行政をはじめとする国際交流の現 状、とりわけいくつかの国際交流プ ログラムを紹介し、その成果を評価 した上で、さらに今後は「国際交流 プログラムへの市民の積極的な参加」
各都市の国際化の現状と課題についてシンポジウムの前半 では、各パネリストがそれぞれの都市における国際化の 現状と課題について基調報告を行いました。
キッティー・リムスクル氏
(タイ・チュラロンコン大学経済学部準教授)
小川 雄平氏
(西南学院大学商学部長・教授)
金 鳳 徳氏
(中国・東北財経大学 経済研究所長・教授)
朴 明 欽氏
(韓国・釜山発展研究院首席研究員・研究1部長)
木幡 伸二氏
(日本・福岡大学商学部助教授)
パネリスト
コーディネーター
年福岡市で開催されるのを記念 して、日本、韓国、中国、タイ各都 市の有識者が都市間の多角的協 力のためのネットワーク構築の現 状と将来の展望について討議し ました。
当日、会場には約170名の市民
や研究者が来場し、基調報告と
討論に熱心に耳を傾け、活発な
意見交換が行われました。
を促し、「国際社会への貢献プログラ ムの開発」や「国際交流の推進体系 の整備」を一層進めることが釜山市 における国際化推進の課題として提 示されました。
地元福岡市の木幡伸二氏は、国際 貿易、地場企業の海外直接投資、国 際交流基盤の整備、そして人的交流 などを取り上げながら福岡の国際経 済交流の現状を報告されました。ま た、これまでの対外交流の特徴は、
対象が広域的で、内容が総合的だと
アジアの経済危機と経済交 流について
「中国の貨幣価値を維持していくこ とは中国経済を継続していくことに なり非常に大事だ。アメリカと日本 が人民元を切り下げないように人民 元の価値を確保してもらいたい。」
「東南アジアの金融危機が特に中国 東北地方の国営企業体制改革を困難 にしている。大連市は対日本、韓国 との貿易と直接投資依存度の高い都 市であり、金融危機が発生して以来、
投資が極めて低く下がっている。現 在、国営企業は体制改革の過渡期に あるため失業者が一時的に多く発生 していると思われるが、海外からの
多くの視察や投資を要望する」
「釜山市の大きな課題に外国企業の 誘致があるが、これは国を挙げての 課題でもある。今後は外国企業を誘 致するシステム、外国企業が進出し やすくなるように変えようと活発な 努力をしている」
市民交流について
「タイでは新しい憲法が制定され、国 レベルではなく、自治体レベルでも 財政面等で地方分権を進めており、
バンコク市をはじめ他の都市でもス ポーツや文化等の市民交流ができる のでぜひトライして欲しい」
「都市間交流、経済交流に止まるので はなく、今後は市民レベルで の相互理解、友好親善の推 進が必要である」
「アジア的価値が西洋と違う の は 情 に お い て だ と 思 う 。 お互いに友情がありさえす れば、相互理解ができると 思う。市民レベルでホーム ステイや民泊ができるシス テムを作り、アジア的市民 交流を行うとよいと思う」
21世紀の都市間交流の展 望について
「21世紀の都市間交流の課題は、市民 レベルの交流のために行政がいかに 民間を育成、支援していくかにある」
「政府が地方に権限を与え、各都市が 自主性を強化して経済、社会、文化、
芸術面の交流を積極的に進めること が大切である」
「アジアの各都市がさまざまなレベル のネットワークで協力し合い、『アジ アは一つ』というコンセプトのもと に21世紀に向けて共に発展して行 くべきだと思う」
最後に、コーディネーターの小川 雄平氏から「アジアでは単なる交流 の段階から協力の段階へ移ってきて いる。国境を超えて各都市が交流し ていくことは大切なことであるが、
身近な都市同士が中身の濃い協力を すべき段階にあり、都市間の協力ネ ットワークを早急に構築すべきであ る。この意味で福岡市の役割が今後 さらに重要となってくる」と結ばれ ました。
(アジア太平洋センター研究交流係長 志田原紳吉)
シンポジウムの後半ではフロアからの質問も交えながら活発な討論が行われ、パネリストの 方々から次のような発言がありました。
指 摘 し た 上 で、国際交流 から国際協力 へという時代 の流れの要請 に応えるため には、今後の 国際経済交流 は2都市間交
流を視野に入れた交流、福岡市の得 意とする特定分野に重点を置いた交 流、そして九州地域と海外各都市と
の媒介役としての役割を強化する方 向へと転換させていくことを提言さ れました。
21世紀は文化が経済をリードする
◎アジアの観光政策をテーマに取り 上げられたのは、どのような視点から でしょうか。
経済のサービス化、ソフト化が進み、
ポスト工業社会の到来とともに、観光 は基幹産業になると言われています。
平成10年4月から、アジア太平洋センターの第4期自主研究がスタートしまし た。今期の自主研究では、変わりつつあるアジア太平洋地域の経済ダイナミズム に焦点を当て、二つのプロジェクトを実施します。いずれのプロジェクトも日本を 含むアジア各国の研究者が参加し、共有できる問題意識を軸として各国の現状や 経験を学び合い、それぞれの国の社会経済発展や国際協力の促進に貢献できるよ うな研究を目指します。今回は、4Bプロジェクト研究主査の駄田井正 久留米大 学経済学部長・教授に、プロジェクトのテーマである「アジアの観光政策に関する 比較研究」の趣旨や意義についてお聞きします。
研 究 期 間 1998年4月〜2000年3月(2年間)
研究会の構成
研 究 主 査 駄田井 正 久留米大学経済学部長・教授 共 同 研 究 者 田村 馨 福岡大学商学部助教授
西川 芳昭 長崎ウエスレヤン短期大学助教授 朴 光 淳 全南大学教授(韓国)
閻 峰 北京第二外国語大学教授(中国)
Busaba KUNASIRIN マヒドン大学助教授(タイ)
陳 建 和 銘伝大学副教授(台湾)
日本の産業構造を見ても、第2次産業 の割合は急速に減少しており、第3次 産業が圧倒的な割合を占めてきてい ます。今まで日本は工業立国として の道を歩んできましたが、こうした状 況に照らしてみると、もはや工業立国 としては生き残っていけないのです。
これからは、サービスやソフトが重要 視されるようになり、国レベルでの政 策の転換も必要になります。
日本の経済は、アジアを抜きには考 えられないほど、アジアと密接な関係 を持っており、日本から多くの観光客
がアジアの国・地域を訪れています。
アジア地域への観光客は今後も増加 していくと思いますが、観光を通し て国・地域の振興を図るためには、国 を超えた観光ネットワークを整備して いくことが重要だと思います。そのた めにもまず、アジア諸国の観光政策を 調査・研究し、国・地域による違いや 特色等を比較し、分析することが重要 だと考えています。そして、お互いの 観光振興を通じて、アジア全体の経 済・社会の活性化を図っていく必要が あると思います。
観光は文化的で世界の平和に貢献する産業
◎今回の研究の目的及び意義はなん でしょうか。
21世紀は文化や芸術などサービ ス・ソフトを主体にした産業が発展 し、その中で観光が担う役割は一層 大きくなっていくでしょう。アジア諸 国の観光政策を研究し、相互の情報交
換やアジア地域における観光ネット ワークの整備を促進することにより、
北部九州の活性化につなげることが できると考えています。特に福岡は、
歴史的にも地理的にもアジアと密接 な関係があるので、観光政策は、アジ ア諸国との交流を促進する上でも重
要な位置を占めていくと思います。
また、観光は平和産業とも言われる ように、その振興は、平和と治安が必 須条件であり、観光を通した人的ネッ トワークの整備は、アジア地域の平和 と友好に大きな貢献ができると考え ています。
中国・雲南省 大理の三塔(唐時代の建設)
駄田井 正氏
(だたい ただし)
プロフィール
久留米大学経済学部長・教授 1944年生まれ。
大阪府立大学大学院経済学研究科博士課程修了。
専門は理論経済学・文化経済学。
久留米大学商学部助教授、教授を経て現職。
4Bプロジェクト
「アジアの観光政策に関する比較研究」
自主研究4Bプロジェクト研究主査訪問
中国
・雲 南省 白 族の 少女
︵少 数民 族︶
文化の振興と地域の発展
◎今回のプロジェクトは、北部九州の 発展にとってどのような貢献ができ るとお考えですか。また企業や市民に とっても役立つことは、どのようなこ とがありますか。
都市に魅力を持たせるためには、ど のような文化を育てる必要があるかを 考えることが大切です。例えば、北部 九州は海に開かれた地域として、特に 海にまつわる文化を生かす工夫をすべ きではないでしょうか。また、文化や 観光の振興を図れば、必然的に町並み のつくり方が変わってきます。観光政策 上大事なことは、リピーターをつくる ことです。それには、リピーターを引 きつけるだけの魅力を持つことが求め られます。そのためには、古い文化を 守るだけではなく、新しい文化との融 合を図りながら、地域文化を創造して いく努力が必要でしょう。また、他都 市との違いをアピールする魅力をつく
り出すため、さらに戦略的に取り組ん でいかなければならないでしょう。
また、市民の皆さんにも、観光を広 い視点で見たときの重要性や影響力 を認識していただき、観光は文化、経 済の振興や地域の振興・活性化に役 に立つことをご理解いただければと 思います。こうした視点は、観光客を 受け入れる側のホスピタリティの醸 成にもつながると思います。
◎アジア諸国が今後、観光政策を進め ていく上で、どのような課題や問題点 があるとお考えですか。
国際的な観光政策の上で留意しな ければならないことは、(観光は)一方 通行ではなく、相互に交流があること が必要だということです。所得格差が 大きい国同士では、どうしても一方の 国から他国を訪れるだけになってし まいます。そこで、海外からの観光客
◎比較研究の対象として日本、韓国、
中国、台湾、タイを選ばれた理由はな んでしょうか。
○1韓国、中国、台湾は日本からの距 離が近く、観光で訪れる人が多いとい うことです。タイも東南アジアの中で は日本からの観光客が多いところです。
○2これらの国・地域は、近年特に観 光に力を入れてきています。(なかで も韓国、タイは福岡にも観光PRを行 う機関を設置している)
○3韓国、台湾については、日本へも 多くの観光客が訪れていることなど から、比較研究の対象として最も適当 であると考えました。
また、今回のプロジェクトでは、ア ジア太平洋センターの「地方発展」と いう基本テーマに沿って、地方の観光 政策に焦点を当てたいと考えていま す。なかでも観光の拠点として脚光 を浴びている光州市(韓国)、雲南省
(中国)、チェンマイ(タイ)を取り上げ る予定です。ただし、アーバンツーリ ズム(都市型観光)の視点から台湾に ついては、タイペイを中心に調査を行
う予定です。光州は韓国の観光スポ ットとして注目されつつあるのです が、福岡と距離的には非常に近いにも かかわらず、飛行機の直行便はあり ません。プロジェクトの成果の一つと して、光州・福岡間の直行便の就航が 実現できないかと考えています。雲南 省は、中国の内陸部に位置し、ミャン マー、ラオス、タイと国境を接してお り、中国でも少数民族が一番多い省
(人口の約3分の1)です。沿岸部との経 済格差が拡大する中、来年「世界園芸 博覧会」を開催するなど観光の振興を 通じて活性化を図ろうとしています。
またチェンマイは、バンコクに次ぐ第 2の都市ですが、都市の規模では大き な差があります。しかし、山岳民族によ る独自の文化や豊かな自然など、観光 に関しては好条件がそろっています。
◎今回のプロジェクトの研究主査にな られて、先生のご専門の立場から、特 に注目されている点はなんでしょうか。
私の専門は理論経済学ですが、その ほかに以前から関心を持っているの
は、(文化と経済の関係を考察する)文 化経済学の分野です。今までは、経済 の成長に文化が追従していたのです が、ポスト工業社会ではむしろ文化そ のものが経済を牽引するようになっ てくるでしょう。例えば、市場経済は 文化的なものを捨象した普遍的な存 在ですが、それ自身が一つの文化的現 象だと言えると思います。また、これ からの産業はすべてなんらかの形で 文化に関連したものになってくるで しょう。スポーツ、美術、大学なども文 化産業と言えるでしょうし、特に観光 は典型的な文化産業ではないでしょう か。単に景色がいいだけでは人は集 まらないので、観光政策を進める上で は、文化を商品として提供する発想が 必要になってきます。このような視点 から、今回のプロジェクトでは、文化 をうまく融合させた観光政策のあり 方に焦点を当てたいと思います。
の受け入れにホームステイを取り入れ るなど、市民レベルでの受け入れ体制 を整備することも検討していくべきで しょう。
さらに、観光にはショッピングがつ きものなのですが、地元で独自の商品 開発を行い、(他で入手できない)特色 ある地元ブランド製品を生産すれば、
観光に魅力が増すのではないでしょう か。それは、また地場産業の振興にも つながります。
◎どうもありがとうございました。
タイ・バンコクのチャオプラヤー川
台湾・故宮博物院
アジア太平洋センターワークショップ開催
この懇話会は、業務としてアジアにかかわ っている企業・団体・行政機関が、情報の交 流を通して多角的な視点からアジアに関する 理解と認識を深め、業務展開上の参考として いただくことを目的とした意見交換会です。
第13回例会(1998年7月15日)
話題提供
「アジアに発信する『福岡対話』
レポート」
今年5月のADB福岡総会記念事業アジア経 済・投資フォーラム〜福岡'98「福岡対話」で モデレーターを務められた九州新アジアセ ンター代表の立石揚志氏と同フォーラム実 行委員会事務局次長の河部正氏から、標記 のテーマで話題提供をしていただきました。
両氏から、以下の説明がありました。
1.「福岡対話」開催の経緯
2.「アジア経済・投資フォーラム〜福岡'98」の概要 3.「アジア経済フォーラム」の論点 4.「福岡対話」の論点
5. 参加者の横顔と期間中のエピソード 6. 今後のフォーラムの展開
懇話会での意見交換の主なものは次のとおりです。
◎アジア参加8か国(中国、インド、インドネシア、マ レーシア、パキスタン、フィリピン、タイ、ベトナム)
と福岡の地元企業の間では、共同研究の話題も出た。
◎来年は、レセプション等の個別に話せる機会が多 い仕組み作りを希望する。
◎関連行事の「ベトナム投資懇談会」に参加したが、
中小企業の経営者の方からの質問が活発にあった。
◎福岡とアジアのビジネスにつながる今後のフォー ラムの展開について、継続して多数のアイデアをお 願いしたい。
第14回例会(1998年9月16日)
話題提供「ベトナムの現状リポート」
ベトナム商工会議所と業務提携を結ば れ、今年6月ベトナムへの貿易投資ミッショ ンを派遣された(株)西日本銀行国際部貿易 投資相談所長の緒方秀俊氏から、標記のテ ーマで話題提供をしていただきました。
緒方氏から、以下の説明がありました。
講師:東北財経大学(中国)経済研究所教授・
立命館大学客員教授 劉昌黎 氏
コメンテーター:西南学院大学商学部教授 立石揚志 氏
日時:1998年7月14日(火)
13:30〜15:30 場所:アクロス福岡会議室
第3回ワークショップ
「もう一つの香港をめざして
〜大連経済自由化への展望〜」
講師:高麗大学(韓国)政治外交学科教授・
大統領諮問政策企画委員会委員長 崔章集 氏
コメンテーター:九州大学法学部長・教授 石川捷治 氏
日時:1998年8月28日(金)
14:30〜17:00 場所:アクロス福岡会議室
第4回ワークショップ 金大中政権が進めつつある諸改革の現状 と今後の展望について報告していただきま した。崔先生は、今年、大統領諮問政策企画 委員会委員長に就任されており、金大中政 権が取り組んでいる旧来の政治刷新やIMF の緊急支援に象徴される未曾有の経済危機 への対応について、具体的にお話を伺うこ とができました。
会場では、180名あまりの参加者が熱心に耳を傾けていました。また、数多く の質問が寄せられ、今回のテーマに対する市民の関心の高さがうかがえました。
「金大中政権による改革のゆくえ」
アジア情報懇話会開催
大連が都市目標とする「北の香港」の意義と 実現のための手段としての自由港に関する考 え方について、大連の中国における地位や都市 の特性を踏まえて、報告していただきました。
さらにAPEC(アジア太平洋経済協力閣僚 会議)の目標とする経済自由化や貿易投資の
完全自由化の実現に向けて、中国が経済自由化政策を推進し、自由経済の規 模や範囲を拡大させていく必要があることを強調されました。
講演終了後は、丸紅(株)大連支店長として大連での滞在経験のある立石先 生から、劉先生のお話に対してコメントをいただき、会場からも熱心な質問 が寄せられました。
1. ベトナムの南北統一後の経済動向 2. 西日本銀行とベトナムとの経緯 3. 今回のベトナム貿易投資現地商談会 4. ベトナムの現況と98年・99年景気見通し 懇話会での意見交換の主なものは次のとおりです。
◎ベトナムの経済統計について(1997年)
人口: 7,671万人(日本の約3/5)、 面積: 33万km2(日本とほぼ同じ)、 一人当たりGDP: 324ドル、
産業構造(GDP比):1次産業31.2%
2次産業30.1%
3次産業38.7%、
◎ベトナム向け直接投資額が多い国は、韓国、日本、
シンガポール、台湾、香港の順である。
◎実質GDP成長率は、1996年 9.3%、1997年 9.2%と 高い。しかし、金額ベースでは小さく、これからである。
◎インドやタイから素材を仕入れ、ベトナムで衣料 品を作って成功している日本の企業の事例がある。
◎九州の企業は、ベトナムからの買い付け取引が 主である。ベトナムから水産加工物を輸入し、九 州から機械や漁網を輸出する取引も考えられる。
◎1986年12月採択した社会主義型市場経済を目指 す「ドイモイ」(刷新)路線は定着した。しかし、ア ジア金融危機の余波を受けてベトナムへの外国企 業の投資も低調である。
日韓海峡圏研究機関協議会 98年度総会開催
アジア太平洋センター理事長が 副会長に就任
テーマ 21世紀の都市アメニティと集合・居住スタイル
[
〜博多部の地域コミュニティの再生を考える〜]
日 時:1998年9月1日(火)13 :30〜16:30 場所:福岡市庁舎15階講堂
このフォーラムは、建築や都市計画を研究 する福岡とアジア諸国の大学院生が共同研 究を行い、福岡という都市を分析して、その 未来像を提案するプログラムです。都市の抱 えるさまざまな問題に焦点を当て、学生の共 同研究・学術文化交流を通じ、相互理解・友 好関係の一層の促進を図ることを目的とし ています。
今年のフォーラムには、福岡の3大学とタ イのアジア工科大学院から9名が参加し、博 多部にある大浜、冷泉、御供所小学校の跡地 利用について、それぞれチームを作り、8月 下旬から福岡でフィールドワークを実施し ました。
フォーラムでは、その成果を各チーム毎に スライドにまとめ、プレゼンテーションを行 いました。各チームは、それぞれの視点から、
博多部にある小学校跡地利用について提言 を行い、専門家との活発な議論が展開され ました。
福岡での発表の後、バンコク郊外のアジア 工科大学院においてプレゼンテーションを 実施し、アジア諸国の学生とも都市計画に ついて討論を重ね、都市研究を通じて互い に多くの成果を得ることができました。
◎近代的建築物の近くには、昔ながら のたたずまい
8月2日から7日にかけて、アジア太平洋セ ンター自主研究3Bプロジェクト(研究テー マ「アジア諸国の勤労者福祉現状に関する 比較研究」)のマレーシア現地調査に同行し、
クアラルンプールを訪問する機会を得た。
仕事での海外出張も、東南アジアへの旅 行も初めての経験、加えて開港したばかり のクアラルンプール国際空港(KLIA)という こともあり、不安を抱えての旅立ちであっ たが、到着ロビーで出迎えを受け、ようや くホッとすることができた。日本では真夏 の最中であったが、クアラルンプールは思 ったほど暑くないという印象である。
昨年来アジア経済の落ち込みが連日のよ うに報道されていたが、コモンウェルス・
ゲーム(英連邦競技大会)というスポーツ大 会が9月に開催されるとのことで、市街地の 至る所がちょっとした建設ラッシュに沸き 返っており、クアラルンプールは例外とも 言わんばかりの活気を感じた。しかし、一方
でKLタワーやツインビルなどの巨大かつ近 代的な建物のすぐ近くに屋台や市場などの 昔ながらのたたずまいがある街である。
◎高齢者福祉の現場を視察
マレーシアの高齢者は、日本と比較する とまだ家庭で家族と一緒に生活するという 環境にあり、高齢者福祉に関する分野につ いては、現在はまだ裾野を広げていくため に取り組んでいる段階のようである。研究 チームは、政府の社会福祉局や病院、老人 ホームなどを訪ねたが、特に老人ホームは 郊外に設置されており、もの静かな雰囲気 の中で、ゆっくりと時間が流れているかの ようだった。しかし、施設の近くでは、民間 の老人ホームが建設中とのことであり、市 民のニーズが多様化しているのを感じた。
◎入居老人の前向きな生き方 研究チーム一行が訪問した施設は決して 贅沢なものとは思えなかったが、ふと入所 している老人の工芸品について関心を示す と、入居している老人がそれぞれ自分の手
期日:1998年9月17日(木)〜19日(土) 場所:韓国慶尚南道昌原市
参加研究機関:日本側6、韓国側4
総会では前年度の活動状況や今年度の 活動方針について報告が行われ、慶南開発 研究院院長の朴秀永氏が新会長に、アジア 太平洋センター理事長の権藤與志夫氏が 副会長に就任しました。また、福岡市が次 期の総会開催地に決定しました。
総会記念講演では、「21世紀の日韓の新 しい関係定立と交流・協力方案について」
というテーマで韓国・仁済大学校の金烈圭 教授より、神話から見た日韓海峡のかかわ りについて、ご講演をいただきました。
総会にあわせて実務者会議が行われ、研 究課題である日韓海峡圏の地域比較研究 について活発な討議がなされました。
参加者構成:
◎アジア工科大学院 3名
(出身国:タイ、インド、アルゼンチン)
◎九州大学 3名
◎九州芸術工科大学 2名
◎九州産業大学 1名
※アジア工科大学院
(Asian Institute of Technology)
東南アジアに自前の技術系指導者養成を目指し設立 された機関。1959年設立。アジア諸国から学生が集まる ため、授業は英語。ほとんどの卒業生がアジア地域にと どまり、国家建設、後進者の育成に当たっている。
アジア・都市づくり
学生フォーラム'98開催
老人ホームでのゆったりとした時の流れ
研究交流係 永瀬眞二
で作った工芸品を積極的に売り込みをはじ め(売り物である)、その姿に一行は圧倒さ れてしまった。しかし、そのときの光景は 閉ざされた施設に入所しているという感じ ではなく、お年寄りの皆さんそれぞれがひ たむきにそして前向きに生きているという 印象を受けた。
現在のマレーシアは、経済危機とはいっ ても、経済の発展につれてインフラの整備 が急ピッチで充実しているところのようで あったが、今後開発が進んでいくにつれて、
私たちが訪問した老人ホームのあのゆった りとした時間は失われていくのかと、少し 寂しい気がした。
老人ホームで自分の書いた絵を一生懸命 説明していたお年寄りの笑顔が、今でも忘 れることができない。
マレーシア現地調査同行記
申し込み方 法 はがき、FAXまたはEメールに「市民カレッジ受講希望」と明記の上、住所、氏名(ふりがな)、 年齢、職業、電話番号を記入して当センターまで。電話での申し込みも可。
アジア太平洋センター(APC)賛助会員募集中
■表紙 方力鈞《シリーズNo.3 》 中国/1992年制作 福岡市美術館所蔵
スキンヘッドで両手をポケットにつっこみ、ニタ ニタと近寄ってくる集団。現実にはあり得ない群と 得体の知れない笑みは、不気味な印象を強烈に放ち、
社会の不条理を暗示するようでさえある。中国現代 美術の旗手・方力鈞の描くこうした絵画は、シニカ ル・リアリズムと呼ばれ、90年代初めの中国の美術 界において一世を風靡した。
この作品は、1999年春にオープンする福岡ア ジア美術館で展示される予定です。
INFORMATION
財団法人アジア太平洋センター
発 行 日/1998年10月23日
編集・発行/財団法人アジア太平洋センター
〒814 -0001 福岡市早良区百道浜2丁目3番26号 福岡タワーセンタービル2階
TEL092-852-1155 FAX092-845-3330 編 集 協 力/(有)サンアクト
印 刷/白木メディア(株)
●[アゴラ]は再生紙を使用しています。●[Agora]とは古代ギリシャの集会所、広場を意味する言葉です。
URL http://www.iijnet.or.jp/apc/
E-mail [email protected] Vol.6 No.22
編 集 後 記
年会費(毎年度1口以上納入いただきます) 個人会員:1口3,000円 法人会員:1口30,000円
賛助会員の特典 ◆センターが発行しているニューズレター「アゴラ」やニュースレポート「中国動向」、研究誌「APCアジア太平洋研究」等の刊行物をお送りいたします。
◆センター主催の講演会、ワークショップ等にご案内いたします。有料のものは受講料が割引になります。
◆企業内セミナーなどの講師についてご相談に応じます。ほかにもいろいろな特典がありますので、この機会にぜひご加入ください。
■今夏、当センターに数多くの海外研究者が訪れた。センター主催の各種事業に、韓国、
中国、タイ、台湾、インド、アルゼンチン、ドイツの研究者から、研究会や市民を対象と した講演等でさまざまなアジア情報を提供していただいた。また、自主研究の各国 の研究者は、それぞれマレーシア、中国へと現地での研究会及び視察に出かけていた だいた。
■10月7日で、当センターは設立7年目に向かってスタートしたが、自主研究も通算10 本、市民へのアジア情報を発信するワークショップ等も年間16回を数えるまでに事業展 開している。今後とも、新たな展開を図りながら事業の充実発展に努めていきたい。
■なお、自主研究4Aプロジェクトの中国東北地方調査時の地元研究者等との座談会は、
地元の新聞の一面に掲載された。今回のプロジェクトに対する中国側の期待の大きさ がうかがえる。
当センターの事業・趣旨に賛同し、アジア太平洋地域の知的交流や国際理解を深めるためのAPCの活動を応援していただ ける賛助会員の方を募集しています。会員には個人、法人の 2種類があります。
ニューズレター
アジアを体系的に理解する連続講座
アジア太平洋センター市民カレッジ(全6回)受講者募集
会 場 :アクロス福岡7階大会議室(福岡市中央区天神1−1−1)
受 講 料 :全講座(6回)通しで3,0 0 0 円(賛助会員の方は2,0 0 0 円)
*受講料納入方法につきましては、後日受講案内郵送の際にお知らせいたします。
なお、受講料納入後の取り消しに伴う払い戻しはできませんのでご了承下さい。
締 切 :平成10年11月16日(月)必着 時 間 :各回とも18:30〜20:30 開 催 日・ 講 師:
今回新たにご加入いただいた会員の皆様をご紹介いたします。ご加入誠にありがとうございます。
個人会員 大櫛 戊辰 奥薗 秀樹 辰元 登 橋本 秀雄 (五十音順・敬称略)
お申し込み・お問い合わせはこちらへご連絡下さい!!
財団法人アジア太平洋センター 事業企画係 〒814-0001 福岡市早良区百道浜二丁目3-26 福岡タワーセンタービル内 Tel: 092-852-1155 Fax: 092-845-3330 E-mail: [email protected] 9:30〜17:30 土曜、日曜、祝日は休みです
21世紀を目前に、今、アジアは大きく変わろ うとしています。人々の意識も大きく変化し、
さまざまな分野における市民の役割が重要視 されるようになりました。
アジアにおける「市民社会」の台頭です。ア ジアがよりよい新時代を迎えるために、私たち 市民はどのような社 会 を 創 っていけばいいの でしょ う か。
今回の市民カレッジでは、他のアジア諸国の 市民がどのような意識を持ち、どのような社会 を目指しているのかに焦点を当て、さまざまな視 点からアジアにおける「市民社会」の現状と展望 を明らかにしていきます。
皆様のご参加をお待ちしております。
◎第1回:11月25日(水)毛受 敏浩氏(日本国際交流センターシニアプログラムオフィサー)
◎第2回:11月30日(月)シルビア マユガ氏(作家・コラムニスト/フィリピン)
◎第3回:12月4日(金)伊藤 道雄氏(NGO活動推進センター常務理事・事務局長)
◎第4回:12月 7日(月)田村 慶子氏(北九州大学法学部教授)
◎第5回:12月15日(火)多田 昭重氏(西日本新聞社専務取締役編集局長)
◎第6回:12月18日(金)鈴木 佑司氏(法政大学法学部教授)
定 員 :1 0 0 名*申し込み多数の場合は抽選とさせていただきますので、あらかじめご了承ください。
テ ー マ[市民が創るアジアの新時代〜台頭する「市民社会」の現状と展望〜]
中国東北地方の新聞「丹東日報」
(8月21日付)一面に搭載された自 主研究4Aプロジェクト関連の記事