研 究
慢性疾患児の学校生活管理指導表の活用状況調査
河合 洋子1),津田 聡子1),岡田 朋彦2)
大見サキエ3),中塚志麻4),横田 雅史5)
〔論文要旨〕
目 的:小中学校での管理指導表の活用の現状を分析し,必要な情報の共通認識の方法について考察する。
方 法:3地区の公立小中学校で慢性疾患児に関わる教職員を対象に質問紙調査を行った。
結 果:34校の有効回答から222名の回答を得た。慢性疾患児と関わった経験のある教職員は141名(63.5%),
そのうち学校生活管理指導表を活用した人は52名(36.9%)であった。活用しなかった人の中には,「知らなかった」
と回答した人が多かった。
考 察:今後,通常学校において,慢性疾患だけでなく発達障害や医療的ケアの必要な児童生徒の受け入れも進 むため,これまで使用してきた管理指導表の活用について再検討の時期と考えられる。
Key words:慢性疾患児,学校生活,教職員,学校生活管理指導表,情報の共有
1.はじめに
平成21年4月に学校保健法から学校保健安全法に 改称され,養護i教諭その他職員,地域との連携等,
学校保健および学校安全に関する規定の充実が図ら れた1)。平成23年12月20日の文部科学省の通知2)では,
特別支援学校および小中学校において医療的ケアを必 要とする児童生徒等の健康と安全を確保することか
ら,特別支援学校だけでなくそれ以外の学校でも教育 委員会の総括的な管理体制の下,学校長を中心に組織 的な体制整備,医療機関,保護者との連携協力の必要 性が示された。今後何らかの支援を必要とする児童生 徒の在籍の増加は必須であり,児童生徒の安全な学校 生活のためには補助教員の充実や教職員と学校保健に
関わる関係者との協力支援体制がより重要になってき ている。そこで今回,慢性疾患児が安心して学校生活 を送るために小中学校での学校生活管理指導表(以下,
管理指導表)3)の活用の現状を分析し,必要な情報の 共通認識の方法について考察する。
皿.研究方法
1.調査対象・調査期間・調査手続き
対象は,A地区の小中学校32校, B地区60校, C地 区10校,合計102校の教職員であり,学級担任(経験 10年以上),校長/副校長/教頭,特別支援教育コー ディネーター,学年主任/主幹教諭,養護i教諭,学校 看護師スクールカウンセラー,スクールソーシャル ワーカー,栄養教諭である。調査期間は,平成23年11
An Analysis about Usage of the School Life Guidance and Management Form for Students with Medical Conditions/Chronic Diseases in Children among Teachers and Staff
Yoko KAwAi, Satoko TsuDA, Tomohiko OKADA, Sakie OHMI, Shima NAKATsuKA, Masashi YoKoTA l)宝塚大学看護学部(看護師/研究職)
2)大阪府立母子保健総合医療センター(看護師)
3)岐阜聖徳学園大学教育学部(看護師/研究職)
4)神戸市立友生養護学校,神戸大学大学院保健学研究科(教諭/研究職)
5)帝京平成大学現代ライフ学部(教諭/研究職)
別刷請求先:河合洋子 宝塚大学看護i学部 〒530−0012大阪府大阪市北区芝田1−13−16 Tel/Fax:06−6376−0892
〔2513〕
受付 13.3.1
採用13.1112
〜 12月。質問調査用紙は,教育委員会の許可を得て各 校の学校長に依頼文書と質問紙を郵送し,学校管理者 に質問紙の配布と回収を依頼した。回答者は依頼文と 質問紙を読み,研究参加の意思がある場合に質問紙に 記入を行うこととした。回答者は無記名・自記式の質 問紙に記入後,各自で無記名の封筒に入れて封をして 回収し,学校単位でまとめて郵送にて返送を行った。
2.調査内容
質問紙は以下の構成であった。学校の概要は学校種,
学級数(特別支援学級含む),全児童生徒数,全職員 数で,校長または教頭により記入を依頼した。回答者 の背景としては,性別,年齢職種,経験年数等を尋 ねた。調査内容は,1)慢性疾患児との関わりの経験 の有無;経験ありの場合,①どこから連絡を受けるか,
②入院時の連絡方法,③管理指導表の活用について(自 由回答),④慢性疾患児に対応していたこと,⑤慢性 疾患児が学校にいた場合に不安なこと,2)各職種の 役割期待,3)要望(自由回答)等であった。自由回 答以外の項目は選択式とした。ここでは,上記の調査 内容から1)についてまとめた。なお,慢性疾患は2 週間以上の病気療養をし,その後も治療を要するもの
とし,主な疾患は小児慢性特定疾患を参考とした。
3.分析方法
学校概要のデータおよび回答者からの結果はSPSS を使用し単純集計により整理した。自由回答について は内容分析を行い,共同研究者間で検討した。
4.倫理的配慮
本研究は,依頼文書に研究の趣旨,方法,研究参加 の任意性等について説明を記載した。回答内容の公表 にあたっては,個人が特定されないようにする旨を明 記した。研究参加への同意は質問紙の返送によること を記載した。調査は研究者の所属機関の研究倫理委員 会の審査を受け,承認を得たのちに開始した。
皿.結 果
1.学校の概要と対象の属性 (表1)
質問紙の返送は37校(回収率36.3%)で,有効回答 は小学校20校,中学校14校の合計34校(有効回収率 89.5%)であった。サンプル数は222名,性別は女性 148名(66.7%)の割合が高かった。年齢は,50歳代
表1 対象者の属性
n=222
人数 割合
性別 男
女 無回答
69名 148名 5名
(31.1%)
(66.7%)
(2.2%)
年齢 20歳代
30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 無回答
名名名名名名
つ
O
Q﹂ 3 4 ρ0 7 1 0乙 C︶ 0 1 (59%)
(13.1%)
(28.4%)
(468%)
(2.7%)
(3.2%)
表2 慢性疾患児との関わり経験
人数(%)
全体 学級担任 養護教諭 その他
222名(100%) 84名(100%) 34名(100%)104名(100%)
経験あり 経験なし 無回答
141名(63.5%)
79名(35.6%)
2名 (0.9%)
49名(5&3%) 30名(882%)
34名(40.5%) 3名 (8.8%)
1名 (12%) 1名 (3.0%)
54名(52.0%)
46名(44.2%)
4名 (3.8%)
保護者 養護教諭 学級担任 校長/副校長/教頭 主幹教諭/学年主任 特別支援教育コーディネーター スクールカウンセラー 学校看護師
スクールソーシャルワーカー
栄養教諭 その他
0 10 20 30 40 50 60 70(名)
N=141(複数回答)
図1 慢性疾患児の連絡を受けた人
医師 看護師
院内学級担任・特別支援学校担任
臨床心理士 医療ソーシャルワーカー
その他
一
122
一
19
一
19
一
1
一
0
罰
■4
0 20 40 60 80 100 120 140(名)
N=141(複数回答)
図2 保護者が病院で連絡を取っている人
104名(46.8%),40歳代63名(28.4%)の順であった。
該当する職種は,学級担任84名,養護i教諭34名,校長
/副校長/教頭31名,特別支援教育コーディネーター 23名,学年主任/主幹教諭20名であり,学校看護i師 およびスクールソーシャルワーカーはいずれも0名 であった。経験年数は,全体では23.1±10.5年(n=
213)であり,学級担任は23.1±11.2年(n=84),養
護教諭182±11.0年(n=34)であった。
5名
(3.5%)